- 1二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 03:19:54
<夜桜太陽>
俺と凶一郎兄さんは、よくにていると思う。いやよくにていると言うより、方向が同じなのだろう。
「全ては家族を守るために」という方向に。
そして、俺と兄さんの間に少し違う点がある。それはすでに失くしたことがあるかどうか。
そして兄さんは、失うことをとても恐れている。
一度失いかけたから、全てを懸けてでも、みんなを守ろうとする。
俺は、己を賭けることすらできずに、全てを失った。
いや、正確にはひとつを残して失った。
それは桜だ。夜に咲く綺麗な桜。
そしてその桜は、俺に力をくれたのだ。今を生きる力を。
その瞬間、俺という存在は、生き方を決めたのだ。桜が夜に綺麗にさくために、全てを捧げる光になろうと。
開化によって得た硬化という力は、俺にとってこれ以上ない光だ。これでより桜を守ることができるのだから。
だから、俺と兄さんはよく似ている。手段が違うだけで、やっていることは同じ。愛し方さえも。
この愛は、言うなればマグマだ。この感情は何人をも近づけぬように溶かしつくす。
この愛を受け止めてほしいという気持ちは確かにある。でもこんな気持ちは桜の美しさを破壊する。だから気づかないでほしい。この思いは地の下に隠されているのが適切なのだから。
だから想うことは一つだけ。
「愛している」
どうか散らないでくれ。俺の桜
- 2二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 03:23:41
<夜桜六美>
『夜桜』は不気味な存在だ。暗闇に揺蕩い、枝を鳴らし、全てを見ている。下に埋まった死体から血をすすり、人を怯えさせる。
私はそういう存在。挿し木のように生まれ、その力をもって人を害する『夜桜』という妖怪のような存在の一部。
だから私は、『夜桜』以外を遠くに見ていた。美術館にある『絵画』のように、世界を隔て、NPCのように感情を隠す。
私は、ある一枚の『絵画』にはまっていた。その絵画の名前を『太陽』という。
他の絵とそんなに違いはないけれど、無意識のうちについ目でおっていた。その『絵画』には、いままでにない温かさを感じたから。
だけどある時、変化が起きた。
その『絵画』に汚れが着いたのだ。まるでタールやヘドロのようだった。その瞬間、私は自分自身に驚くほどにうろたえた。
あぁダメ。やめてお願い。
まるで赤子のように泣きわめいたことを覚えている。
私はその『絵画』を必死に洗浄した。毎日毎日、目をそらさずに。
そして、気がついたら、『絵画』なんてどこにもなかった。
目の前にいるのは『太陽』という生きることを選んだ一人の少年。
夜しかなかった私の世界に光がさした。
その光がもたらしたのは夜にはない温かさ。
夜の不気味な桜が柔らかい光をもった。
私が太陽に持つ感情は秋の紅葉。その温かさを愛しているし、その光に恋をしている、色とりどりの赤。
私にとって太陽は太陽なのだ。模しなくなってしまったら夜さえ消えてしまう。
だから、だからどうか
「愛してる」
どうか散らないで、私の太陽
- 3二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 03:24:11
深夜に書きなぐった。多分あとで後悔する
- 4二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 03:27:29
このレスは削除されています
- 5二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 03:46:59
SS初めてだけど楽しかった