聞いてくれますか六花さん

[1 書いてる人 23/04/21(金) 21:52:16]

「蓬を抱き枕にして思いきりすーはーしたいわけですよ」
「ちょっと待ってね夢芽ちゃん今なんか聴き間違えた気するからね」

残念ながらそうではない。
宝多六花の聴覚はまさに正確無比そのもの、寸分の狂いもなく言葉を捉えていたのである。
真剣な面持ちとなった南夢芽が、しわの寄った眉間に手をやった六花へなおも鋭い熱弁を振るった。

「あの蓬ですよ。全国抱き枕にしたい男子ナンバーワンの蓬ですよ。これはもう、誰が何と言おうと抱くしかないじゃないですか」
「やめてその言い方、危な過ぎるから！ていうかなにそのランキング⁉︎蓬くんってばいつの間に何のナンバーワンになってるの⁉︎」
「安心してください。回答者は私だけです。全国の私の支持を受けて見事一位になりました」
「なにも安心できないしそれってつまり夢芽ちゃんが勝手に言ってるだけだよね⁉︎ランキングでもなんでもなくない⁉︎」

[2 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 21:53:15]

出だしから頭茹だってるねこの浮かれポンチ怪獣さん

[3 書いてる人 23/04/21(金) 21:57:07]

「当たり前じゃないですか。断じて蓬を他の女になんか抱かせたりさせませんよ」
「だからもっ、言い方！その言い方やめてって！なんか変な感じになっちゃうでしょぉ⁉︎」
「ほほう。六花さん、変な感じとは……？」
「夢芽ちゃんっ！」
「うぇへへ。それはともかく蓬を抱き枕にしたいわけです。抱きしめて吸いまくって美味しくいただきたいわけです。分かりますよね、この気持ち」
「ごめんね全然分かんない。真顔でなんてこと言ってんの。いくら冷静に言ったからって、言ってる中身最低だかんね？」

[4 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:01:17]

暴走し過ぎてでは？
酔ってんの？

[5 書いてる人 23/04/21(金) 22:01:42]

「だって考えてみてください六花さん。せっかくの六花さんちでのお泊まり会なんですよ。蓬と裕太さんは今頃一緒に、リビングでごろごろしてるはず。抱き枕にしちゃうには絶好のチャンスじゃないですか」
「ウチのリビングはそんなことするために貸してるわけじゃないんですけど⁉︎ていうかリビングに夢芽ちゃん行っちゃったら寝る部屋分けた意味ないじゃん！蓬くんだって寝ようとしてるはずだし、邪魔しちゃうのも良くないって！」
「なるほど。確かに私が一人で男子部屋に行くのは良くないことかも知れないですね」
「だよね⁉︎そうでしょ⁉︎だから変なこと考えてないでさっさと」
「なので六花さんも一緒に行って裕太さんを抱き枕にすれば公平ってわけですよね」
「寝ようって言おうとしたのに全然寝れない感じだよ⁉︎不安過ぎて眠気が飛んでっちゃうよ⁉︎何がどう公平なのかあたしさっぱり分かんないよ⁉︎」

[6 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:02:51]

この文章量………この名前………あの人か！！
今日も期待してます！

[7 書いてる人 23/04/21(金) 22:05:52]

「私だけが抱き枕を手に入れちゃうのは独占禁止法違反ですからね。日本国憲法にもそう明記されています。全ての女子は好きピを抱き枕にする基本的権利を有すると」
「最悪だよ！その国マジで最悪だよ！あたし多分投票行かない、そんな国あったとしたら！」
「まだ選挙権ないですけどね私達。それはそれとして、六花さんも裕太さんを抱き枕にしたくてたまらないところでしょうし。ここはひとつフェアトレード、一緒に抱き枕をゲットしに行きましょう」
「べ、べ、べ、別に裕太を抱き枕にとかっ、そんなこと全然したくないしっ！フェアでもトレードでもなんでもないしっ！」

[8 書いてる人 23/04/21(金) 22:09:01]

「六花さん。裕太さんを抱き枕にできるのは、今しかないかも知れないんですよ。この千載一遇の機会、見逃す手はありませんって」
「だっ、だから別にいいって言ってるじゃんっ！ゆっ、裕太を抱き枕にとかそんなっ、そんなことっ、あたしがするわけっ……！」
「ホントですかぁ？もっと自分の気持ちに正直になっちゃってもいいんですよぉ？ほーらこの五円玉を見つめてください。あなたはだんだん裕太さんを抱き枕にしたくなーる、抱き枕にしたくなーる……」
「え……そ……そうかな……？あたし、裕太を抱き枕にしたいのかな……？」

[9 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:11:54]

そういえば、上履き汚いのは別にいいから洗ってるアピールするのやめてとか言ってたよね…

[11 書いてる人 23/04/21(金) 22:13:10]

南無三、六花の美しくつぶらなお目目がぐるぐると円を描き始めた。
催眠術師と化した夢芽は紐にぶら下げた五円片手に、悪魔の誘惑を囁き続ける。

「そうですよぉ……裕太さんってば背も低いし線も細いし、あんなに可愛い顔をしてるんですよぉ……きっと触り心地もふわふわふかふか、抱き枕にするには最高の逸材だと思うんですよねぇ……」
「ふ、ふわふわ、ふかふか……？裕太、ふわふわ……？」
「今だけのビッグチャンスなんですよぉ……裕太さんを抱きしめながら寝ちゃえば、もう安眠間違いなしですよぉ……」
「ゆ、裕太を、抱きしめながら、寝る……ふわふわの裕太を、抱きしめながら……」
「六花さん。一緒にリビング、行きません？」
「う……うん……あたし、一緒にリビング、行く……」

[12 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:14:39]

これもはやインスタンスドミネーションだろ

[13 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:14:39]

六花さん陥落！

[15 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:15:55]

>>2

相変わらずのポンチ具合だ

[16 書いてる人 23/04/21(金) 22:16:51]

そういうことになった。なってしまった。
お気に入りの寝巻きに身を包んだ夢芽は、渦巻き状の瞳となったパジャマ姿の六花を引き連れ、意気揚々とリビングへ突撃を敢行したものだ。
そんなこととはつゆ知らず、本日の抱き枕候補二名はリビングに布団を敷き延べてこれに寝そべり、仲良く夜のボーイズトークと洒落込んでいたようだが、意外や意外、突然の闖入者に蓬も裕太も揃って体を起こしかけ、

「お、夢芽。六花さんも」
「六花、どうしたの？」
「…………」
「あれ、六花？」

[17 書いてる人 23/04/21(金) 22:18:54]

「裕太さん。何も言わずに、六花さんの抱き枕になってください」
「……ごめん夢芽さん。今なんて……」

[18 書いてる人 23/04/21(金) 22:21:07]

「蓬。裕太さん、捕まえて」
「あ、了解。ごめんけど裕太、ちょっと大人しくしてね」
「よ、蓬ぃ⁉︎待ってよ蓬、なんなのこれ⁉︎なんで今オレ捕まったの⁉︎いったい何を了解したの⁉︎」
「いやぁ。なんか夢芽、逆らったらめんどそうな空気出てたから。とりあえず火の粉が掛かる前に言う通りにしとくかなって」
「そんな雑な理由で自由を奪われてるのオレ⁉︎オレたち一応友達だよね⁉︎もうちょい躊躇ってくれても良くない⁉︎」
「裕太は自由を失うんじゃないよ。かけがえのない不自由を、これから手に入れていくんだ」
「台無しだから！いい感じの台詞が台無しだから！最終回っぽい雰囲気なのにシチュエーションで台無しだからっ！」

[19 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:21:11]

夢芽さん裕六気ぶり同盟？

[20 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:24:12]

ヨモギルティ！
まあどうせ火の粉は蓬の方にも来るんだけどね！

[21 書いてる人 23/04/21(金) 22:24:57]

「それじゃ夢芽さん、これでどう？」
「パーフェクトだよ蓬さん。さっ、やるなら今です六花さん！」
「裕太……抱き枕にする……裕太……抱き枕にする……」
「り、六花ぁ⁉︎なんか、なんか目つきおかしくない⁉︎え、え、なにこれ、えっ⁉︎六花いったいどうしたの⁉︎蓬⁉︎夢芽さん⁉︎なんなのこれぇっ⁉︎」
「ゆっ……裕太ーーーーーーーーっ！」
「うわ、え、ちょ、わーーーーーっ⁉︎」

[22 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:26:36]

六花は　抱き枕裕太　を　手に　入れた　！　▼

[23 書いてる人 23/04/21(金) 22:27:59]

目元に怪しい光を宿してにじり寄ってきた六花が、ふわふわふかふかの抱き枕目掛けて勢いよく飛びついた。
あまりに咄嗟の猛攻に、裕太も六花を抱き留めながらもすんでのところで踏ん張りきれず、ともに布団へ倒れ込む。
よしきたとばかりに夢芽氏、掛け布団をふわりと被せてやって、一丁上がりの寸法だ。
一つの布団にひしめき合って、哀れな獲物と化した裕太を、六花が力の限りに抱きしめる。
そうしている間も何やら小声でぶつぶつと、

「裕太……抱き枕にする……裕太……抱き枕にする……ふわふわ、ふかふか、ふわふ、わ……ん、あ、あれ……？」

呟き続けていたのも束の間、六花は違和感に思い至った。

[24 書いてる人 23/04/21(金) 22:30:35]

あんまりふわふわしていない。
それほどふかふかしていない。
堅く、たくましく、ごつごつしていて、筋張ったような肌触り。
それが女の自分とは違う、男の子の体なのだと気付いた六花がはっと面を上げた一瞬。
布団の中で言葉を失い間近にこちらを見つめている、裕太の瞳と目が合った。

[25 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:31:02]

小説で裕太の髪は柔らかって描かれてるからな
後頭部に顔埋めて寝たらよく寝れる

[26 書いてる人 23/04/21(金) 22:33:42]

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ⁉︎」

一気に正気を取り戻した六花の顔が、真っ赤になって爆発した。
慌てて裕太から身を離そうとするものの、飛び込んだ拍子に彼の背中へ回した腕が、見事に押し倒された裕太の下敷きとなってしまって、抜け出そうにも抜け出せない。
もとより裕太は、抱きついてきた乙女の体がもたらす柔らかな衝撃に、米粒ほども身動きならず、ひたすらじっと固まっている。

「りっ……あっ、えと、りっ……」
「ゆ……ゆっ、ゆうっ……」

名を呼ぼうとして呼ばわりきれず、辺りの空気を食べるが如く口をぱくぱくさせている。
密着した相手の体から、激しく高鳴る胸の鼓動が嫌というほど伝わって、羞恥の炎が燃え盛る。
熱にやられた六花ががくりと気絶し、裕太の胸に落ちていったのと同時に、諸々限界になった裕太も呆気なく意識を手放した。
折り重なるようにして一枚の布団に包まれ、先ほどとは違う理由で目を回した六花と裕太は、そのまま朝まで目覚めなかった。

[27 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:36:02]

口の中が砂糖でじゃりじゃりするわ～

[28 書いてる人 23/04/21(金) 22:37:04]

一方、このひどい有様の仕掛け人となった夢芽、仲良く眠りに就いた二人を眺めながらしきりに何度も頷いて、

「うんうん。やっぱ好きピを抱き枕にして眠るのは乙女全員の特権だからね。六花さんも裕太さんも、幸せそうでよかったよかった」

良い仕事をした日は気分も良い。これで夢芽もなんの心配をすることもなく、すやすや眠れるというものだ。
そのために欠かせない愛しい愛しい抱き枕も、既に目の前にいるではないか。

[29 書いてる人 23/04/21(金) 22:40:21]

「さっ、蓬。私もそろそろ寝たいから。大人しく私の抱き枕、にっ……？」

六花と裕太の眠るそれとは別の布団にぺたんと座り、お目当ての相手に向けて手を伸ばした夢芽であったが、どうしたことか、伸ばした腕をぱしんと掴まれ、その動きを止められた。
誰にと言えば、言うまでもない、今まさに抱き枕にされかけていた麻中蓬その人である。

「蓬？どしたの。なに、この手？」
「さっきから。さっきから夢芽ずっと、抱き枕って言ってたよね」
「え、うん。言ってた。なってよ、私の抱き枕」
「それはいいよ。それはいいんだけど夢芽。俺さ、最近思うんだ」
「何を？何が？」

[30 書いてる人 23/04/21(金) 22:44:09]

「誰かを抱き枕にしていいのは、誰かに抱き枕にされる覚悟がある人だけなんだって」
「え」

[31 書いてる人 23/04/21(金) 22:46:14]

夢芽が言葉の意味を理解するより早く、蓬がその手をぐいと引いた。
次の瞬間、夢芽は自ら横倒しに倒れ込んだ蓬の両腕と胸の間へすっぽりと収まって、完全に抱きすくめられて動きを封じられている。
予期せぬ事態に夢芽が思わず身を固くしたところへ、蓬が夢芽の首筋に遠慮なく顔を近付け、大きく息を吸い込んだかと思えば、

「あ。夢芽の匂いがする」

と、やったものだから、さしもの夢芽も慌てふためき、狼狽の極みに達してしまった。

「やっ、ちょっ、よっ、よもっ、よもぎっ⁉︎待って、なっ、なにっ、なにしてっ……⁉︎」
「え？なにって、抱き枕？」

[32 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:46:21]

ここでよもくんの反撃だぁー

[33 書いてる人 23/04/21(金) 22:50:42]

「だっ、それだめっ、だめだからっ……！話が、話が違うからっ……！抱き枕にするのっ、私の方っ……！」
「甘いなぁ夢芽。栗きんとんよりも甘い。俺が夢芽の抱き枕になるんじゃなくて、夢芽が俺の抱き枕になるんだよ。てかなんでそんなに慌ててんの。もともと抱き枕のつもりで来たんでしょ？」
「さっ、されるつもりで、来てないからっ……！するのとされるの、全然覚悟が違うからぁっ……⁉︎」
「同じだと思うけどなぁ。あぁ、それにしても良いなこれ。柔らかいし良い匂い。どうして夢芽はこんなに抱き枕の才能あるの？今夜はぐっすり眠れそうだよ」
「やだ、ちょっ、嗅がないでって……⁉︎なにしてんの、蓬のばかっ……！」
「それはもう。夢芽を抱き枕にして思いきりすーはーしたいわけですよ」

[34 書いてる人 23/04/21(金) 22:54:16]

「変態っ、変態っ、蓬、サイテー……！もう別れてやるから、蓬なんかっ……！」
「あ、嗅ぐのはだめかぁ。じゃあどうしようかな。せっかく可愛い抱き枕があるんだし、このまま何もしないっていうのは少し勿体無いと思わない？」
「ひっ……⁉︎」
「あはは。そんなにびくびくしないでよ。別に食べたりしないんだから。だけど、うん、そうだなぁ。裕太と六花さんには謝らないといけないよね。俺も乗っかっちゃったとは言え、ちょっと今夜は夢芽もおイタが過ぎてたみたいだし……」

[35 書いてる人 23/04/21(金) 22:56:35]

そう言って蓬は、腕の中で微かに震える夢芽の耳元へ音もなく口を寄せ、

「———あんまり悪戯ばっかしてると。悪い子、ホントに食べちゃうよ……？」

艶めかしい吐息を吹きかけながら、甘やかに囁いた。
夢芽の背すじがぞくりと痺れ、脳の奥がくらくら揺れた。

[36 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 22:59:17]

浮かれポンチを茹でダコにする男、つよい

[37 書いてる人 23/04/21(金) 22:59:31]

「—————きゅぅ」

可愛らしい鳴き声ひとつ。それが夢芽の最後であった。
隣の寝床では裕太と六花が、未だにお目目をぐるぐるさせて寄り添いながら眠っている。
頭から熱々の煙を吹いてそれきり動かなくなった夢芽を、幸せそうに微笑む蓬が優しくぎゅっと抱き寄せて、布団の中へとくるまった。

おわり

[38 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 23:04:01]

この怪獣使い…強い！

[39 二次元好きの匿名さん 23/04/21(金) 23:06:26]

さすが怪獣使い、浮かれポンチ怪獣を大人しくさせるのが得意だな！

[40 二次元好きの匿名さん 23/04/22(土) 03:20:56]

はあ～夢芽ちゃん可愛過ぎる

[41 二次元好きの匿名さん 23/04/22(土) 06:04:01]

浮かれポンチぃ…ヨモギルティ…

[42 二次元好きの匿名さん 23/04/22(土) 06:48:40]

蓬鬼つええ！このまま逆らう女全員抱き枕にしていこうぜ！

[43 二次元好きの匿名さん 23/04/22(土) 10:01:48]

ペース崩されると弱くなると…

[44 書いてた人 23/04/22(土) 10:16:32]

IP規制に巻き込まれてました。

みなさんご覧くださりありがとうございました。

可愛い裕六よもゆめを無限に眺めていたいんですよ。

他の場所にもアップとかしたりしてますが、そちらではここのことは言及を控えていただけると助かります。この掲示板内だったら他の場所のことを話しても大丈夫です。むしろいっぱい話してくれると嬉しいです。

ちなみに過去はこんなの書いてました。

合わせてどうぞ。

六花「人生で大切なこと」｜あにまん掲示板

えっちえっち！裕太の泣いて怖がる顔えっち！｜あにまん掲示板

[45 二次元好きの匿名さん 23/04/22(土) 13:31:12]

さいっっっこうでございましたぁ…内はす…ナイ2もどうか…

[46 二次元好きの匿名さん 23/04/22(土) 17:51:49]

やはり貴方でございましたか……感謝感謝……

[48 二次元好きの匿名さん 23/04/23(日) 01:19:44]

貴方様のSSを見て雑コラですがお目めぐるぐるする六花コラを作りましたので置いときます

[49 二次元好きの匿名さん 23/04/23(日) 12:30:40]

かわいい

[50 二次元好きの匿名さん 23/04/23(日) 20:34:53]

さいこう