閲覧注意 ss ガラルリーグがボディペイント必須地帯だったら

  • 1二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:31:08
  • 2二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:32:02

    ルリナさんかわいいよね。お尻もおへそもかわいいよね。ss書くね。

  • 3二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:32:26

    …カミ…カミエシー!?!?

    >>1

  • 4二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:33:00

    また……またしても詠唱開始しなさったのか…?!

  • 5二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:33:11

    肌がヒリつくような緊張感が漂うガラルリーグ本部の中央会議室。緊急招集されたジムリーダーたちの表情はみな一同に硬い。


    緊急招集。


    詳細も分からないまま万全の準備を整えて本部に馳せ参じた彼らは、トップアスリートであり、それぞれの街の看板を背負う名士であり、そしてガラル地方の治安を一挙に担う最高戦力でもある。


    そのジムリーダーたちが招集されるということは、ガラル地方にとって、そして国民とポケモンたちにとって、極めて重要な影響を及ぼしかねない何かが起こったということ。


    一同の脳裏にあったのは、かつてこの地に混沌をもたらした巨災、ムゲンダイナの姿であった。


    しかし、そのムゲンダイナは新旧チャンピオンの活躍によって退治され、今では若き新チャンピオンである少女の殿として、重責を立派に果たすほどに忠実な戦力と化している。それでは一体何が起こっているのか。当の新チャンピオンも詳細は聞かされていないようだ。

  • 6二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:33:37

    召集をかけたのは前チャンピオンでありバトルタワー・オーナーのダンデである。ジムリーダー全員が席についてからしばらくして、彼は会議室に入ってきた。傍らには彼の優秀なブレーンであるソニア博士と弟のホップが付き添っている。両者ともに彼の縁者ながら極めて優秀な学者でありトレーナーである。



    そして、ダンデが恭しく招き入れる形で、本来なら現在は一般人である前アラベスクジム・ジムリーダーのポプラと前スパイクジム・ジムリーダーのネズが入室してきた。この二人の知見も必要と考えたダンデが、特例的に招集し二人がそれに応じた形である。



    無論この二人は現ジムリーダーたちにとっても顔なじみであり、彼らに文句などあるはずはないが、いくら旧知の仲であるとはいえダンデが一般人を呼びつけて内部会議に参加させるという越権行為をしていることそのものが、事態の深刻さを物語っている。



    「どういうことだよ」

    キバナは両手を頭の後ろで組み、椅子にうんともたれかかってダンデに問うた。この質問にはこの招集が何のためなのか、そして、この越権行為は正気か、というキバナの圧がこもっている。



    飄々とした態度でありながらも、表情には些かのゆるみもない。

  • 7二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:34:08

    ジムリーダーたちも考えは同じである。

    一体何のために我々は呼ばれたのか、それを早く聞きたいというのが総意である。



    「ああ、だが俺もまだ頭がはっきり理解してなくてな・・・そのためにソニア博士を連れてきた。ソニア博士、ホップ、悪いが説明を頼む。」



    「ダンデさんに代わって説明します。本日皆さんをお呼びしたのは・・・」



    ソニアにとってこのジムリーダーの面々は顔なじみであるが、年長者もいる上に一応は公式の場である以上、ある程度の礼儀はわきまえるべきである。近しい仲のダンデを「さん」と呼び、敬語を使って話を進めるのもそのためである。



    ホップはソニアの指示に従って資料を配り、スライドを写し、ソニアに資料を手渡し、助手としての仕事を立派に果たしている。



    新チャンピオンのユウリは、友人のホップが懸命に仕事に打ち込んでいる姿を見てくすりと笑うが、他の面々は資料に集中している。



    「以上が、現在の状況です。はっきり言って、かなりヤバ・・・危険な状況にあります。」ソニアの説明は実に理路整然としていて彼女が身に着けた広く深い学識を感じさせる。

  • 8二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:35:19

    ガラル粒子。このガラル地方にのみ存在が確認されている赤い素粒子状の物質でありダイマックス現象の根幹機能を担う物質とされている。エネルギー産業においても重要かつ大きなウェイトを占めている物質だが、まだ未解明の部分が多い未知の物質でもある。



    ソニア博士によると、ローズ前委員長が発端となったあの事件以降、ガラル地方の粒子濃度自体が跳ね上がっているらしく、事実ワイルドエリアのポケモンたちはレベルが跳ね上がっていることも珍しくなくなっていた。



    それはつまり、もしかするとパワースポット以外でもダイマックス現象が起こり得るということでもある。その可能性は今のところ高くない、とソニア博士は付け加えたが未知の状況である以上、油断は禁物となる。



    会議室の中でしばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのは意外にも、彼らの中では際立って温厚なヤローだった。膨大な熱量を感じさせる巨躯をぴたりと静止させ、厳かに、それでいて優しい声色で彼は問う。



    「実際んとこ、ポケモンちゃんたちにどんな影響があるんだろか・・・」誰に問うているわけでもない独り言ではあったが、それはこの場の全員が今最も知りたいことでもあった。



    彼らはトレーナーである。当然彼らの最重要関心事は、自らの大切な相棒たちについてのこと。

  • 9二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:35:48

    「これほどガラル粒子が濃くなったことは、かつてありませんでした。とはいってもさすがに整備されたパワースポットであるジムやリーグほどではありません。また、ガラル粒子そのものに危険性や中毒性はないので、今日明日にポケモンたちがどうこうなることはないでしょう。」ソニア博士はあくまで冷静に知見を展開させた。



    「問題はそこじゃあない・・・だろう?」



    最年長となるポプラが口を開くと一同の雰囲気に変化があった。肌がヒリつく緊張感から心臓を掴まれたような圧迫感へと空気が変化する。



    「もともと長らくパワースポットで活動してんだ、それでもポケモンたちには特に影響はなかった。それでもこんな風に私らが呼ばれるってことは・・・」



    「ポケモンではなく、人間に影響がある・・・でしょうか」ポプラの視線を受けた弟子のビートが彼女の言葉の続きを紡ぐ。



    「・・・はい。その可能性は十分にあります。」ソニア博士は一呼吸おいてビートを肯定した。

  • 10二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:36:38

    ざわざわと動揺するかと思われたが、そこはやはり一流トレーナーたち。どっしりと構えて、次の言を待つ。

    「人間に影響があると言ってもガラル地方のトレーナーたち全員が一様に影響を受けるわけではありません。ポケモンとの連携や関係性が深く濃いほど影響が強いことが分かっています。」ソニア博士の発言の意味は、極めてシンプルである。

    つまり、強いトレーナーほど影響を受けやすい、ということ。それはそのまま、ジムリーダーやチャンピオンともなれば確実に致命的な影響を受けるということでもある。一同に緊張が走るのも無理はない。とはいえガラル最強の達人集団である彼らがその緊張を表情に出すことはなかった。

    「具体的にはどんな影響が?」カブはあくまで平静に、ソニアに余計な圧力をかけないように気づかいながら質問した。

    「詳しくはまだまだ調査中ですが、一例として、近く大きなエネルギー反応があると、身体に溜まったガラル粒子がエネルギーとともに全身の毛穴から噴出することが想定されます。つまり、・・・」ソニア博士は言い淀んだ。


    だが、誰も彼女を急かすことはしない。このときだけはソニア博士は一人の若い女性ソニアとして赤面し、葛藤し、決断した。そして再び博士としての佇まいを取り戻して告げる。


    「つまり・・・・





    ダイマックスすると全裸になります。」

  • 11二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:40:00

    会議が終わり、簡単な挨拶を済ませてジムリーダーたちはそれぞれの街へと帰っていった。午前に始まった会議だったが、日はすっかり傾き、赤々と輝いて海をオレンジ色に染めている。

    ルリナはバウタウンの堤防に立ち、海を眺めて思考に耽る。いつもなら釣り人たちがいる場所だが、この時間帯では周囲には誰もいない。

    誰に聞かれるわけでもないが、ルリナは独り言を口に出すことなく、ただただ脳内でのみ独白する。

    (ああああ~~~~~!!!何!?全裸って何!?ダイマックスしたら全裸!?なんで!?試合を見に来る人が何人いると思ってるのよ?全裸!?全!!?裸!!!?私、大人よ!?成人女性よ!?それが衆人環視の中で全裸!?オニオン君ならいいわよ!?可愛らしいでしょうしね!でも私はアウトでしょ!?ギリギリアウトでしょ!?)

    ルリナの表情は一切動かない。雄々しい貌で赤く染まった海を見つめるその姿は凛々しく、力強い。心中の叫びを抑え込み眼前の大海原を臨む女傑の背中には街の威信を背負って立つ覚悟と困難を前に逃げ出さない真の強さがにじみ出ている。

    「ソニアは、原因究明には時間がかかるって言ってたわね・・・」短期的に解決できるのであれば問題はない。何かしらのアクシデントがあってジムチャレンジを中止しているとリーグが公表すれば済む。

    だが、解決の糸口がまるで見えない状況下でガラル地方の一大産業を眠らせてしまうわけにはいかない。

    そう、ジムリーダーとは興行としても極めて重要な役割を担うエンターテイナーでもある。

    「ダイマックスしないワケには・・・・・いかないか・・・」真剣な表情でひたすらに考え込むが、なんの手立ても浮かんでこない。

    ひたすらに考え込み、もがき、ルリナは顔を上げて、ぱしっと軽く頬を叩いた。

    「考えてもしょうがない!もしかしたら、ただの考えすぎってこともあるし!」自分に言い聞かせるように力強く言うルリナ。すぐさまにその足でジムへと赴き、フィールドで実際にダイマックスを使ってみる。もちろん観客はゼロ、スタッフなどの人の目も一切省いている。

    そして結果の方は、ルリナにとっては喜ばしく、彼女はその報をソニアへと知らせた。

    「もう!なによソニア~~~!!全然問題ないじゃない!!ダイマックスしても何も起こらなかったわ!」嬉々とした声にスマホロトムも思わずにこりと微笑む。

  • 12二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:42:06

    改行の数をちょっと模索中です。いつも一行開けしてるんですが、2行開け、3行開けもしてみますね。どれが一番見やすいか意見もらえたら嬉しいです。

  • 13二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:47:18

    ちょいエロシチュスレが召喚呪文みたいになってて草

  • 14二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 14:53:01

    見覚えのある文体だな…

  • 15二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 15:00:26

    >>13

    全裸ボディペイントを「ちょい」エロに分類する辺り、順当に毒されてるな

  • 16二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 15:42:57

    会議中のルリナさん

  • 17二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 16:11:14

    オニオンくんの全裸もまずいですよ!

  • 18二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 16:13:11

    >>17

    かわいらしいのでセーフ😋

  • 19二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 16:27:55

    てっきり別の人が短編で書くのかな~とか呑気してたら本人だったんけ!?

  • 20二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:00:29

    >>19

    あ、ここのスレ主は元スレのスレ主さんではないですよ!

  • 21二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:01:52

    「え!?あれ!?ホントに!?ちょっと待って今ターフタウンにいるの!タクシーとったからすぐそっち行くわ!待ってて!」ソニアは自らの推論が外れたことに対するショックというより、ルリナが実験をしてくれていたことに感謝し、合流することにした。



    息を切らしながら走ってやってきたソニア。相棒のワンパチを伴っていたが、助手のホップは今回は先に研究所に戻っているとのこと。ただし、彼の代わりというわけではないが、ターフタウンのジムリーダーであるヤローが同伴してやってきていた。



    予想していなかった同伴者に当然のことながら、取り乱すルリナだったが、なんなとか平静を保ちつつジムの屋内フィールドへと二人と一匹を招き入れる。



    「それじゃ見せるわよ?」「うん、お願い。」ルリナとソニアは簡単な打ち合わせを口頭で行い、実際にダイマックスさせて見せた。ルリナの服装に影響はないように見える。ダイマックスを解除した後もその様子に特段の変化はなかった。

  • 22二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:03:11

    「確かに・・・でもそしたら高まるエネルギーはどうなるんだろう・・・」あごに指を沿わせて独り言をつぶやくソニアの隣で、


    「はあ~、いつ見てもすげえや。ルリナさんもポケモンもきれーですね!」とヤローが声をかける。

    「ルリナさんもポケモンもきれーですね」

    「ルリナさんもきれーですね」

    「ルリナさんは綺麗な人ですね」


    ルリナは耳に入ってきた誉め言葉を最大限に拡大解釈して独り赤面する。

    「も~~~ヤロー君たら!ほらほら、せっかく来たんだから一戦やっときましょーよ!ねえ、ほら、早く!」ルリナに急かされる形でフィールドに立つヤロー。

    ソニアはそんな二人のことを微笑ましく見ていた。ヤローが今回フルメンバーではないこともあってか、緊張感よりもむしろ和気藹々とした和やかなフレンドリーマッチとなった。

    そして、ルリナが再びダイマックスを仕掛けたその瞬間。

    パンッと短い音がなった。

    そびえたつ岩山のようなカジリガメ、そのキョダイマックスの後ろでルリナの衣服はコマ切れどころか糸切れに近いレベルで寸断されて宙を舞っている。

    ダイマックスの光と沈みかける夕日とのコントラスト。ポケモンと大自然の光が織りなす妖光の共演に彩られながら、腕を組んで仁王立ちするルリナは今、全裸でフィールドに立っている。

    「なんでよ!!!!!!?????」絶叫するルリナ。位置関係的にカジリガメがヤローの視線を遮ってくれているが、横から見ていたソニアにはしっかりと視認された。

  • 23二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:03:47

    元スレの定義がどっちかわかんねえ!(全裸ペパーかこのスレのネタ元か)
    後者ならそれ俺だからすごく楽しみにしてる

  • 24二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:03:56

    「ちょちょちょっ!ヤローさん!ちょっとストップ!向こう見といてください!ルリナ大丈夫!?」ソニアは慌ててルリナに駆け寄る。赤面して身をよじっているルリナにタオルをかぶせたが、ほぼ同時にそのタオルも爆散してしまった。

    「なんでよ!!!!!????」またも絶叫するルリナ。

    「ルリナちょっとダイマックス解除してみて!ヤローさんあっち向いてるから大丈夫見えない!」

    ソニアの提案に従いダイマックスを解除したルリナ。今度はソニアの上着をかけてもらっても何も変化はなかった。

    「そうか、わかったわ。きっと高エネルギーが充満したトレーナーが近くに居る状況、要するにジムリーダー同士が戦うような状況でダイマックスしたら、その人の服が吹き飛んで・・・」

    「全裸になるのね・・・」ずーんと沈み込むように丸くなって絶望しているルリナ。ヤローは未だに律儀に向こうをむいている。

  • 25二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:06:27

    >>23

    おや、全ペをご存知でしたか。お恥ずかしい。

    書いたり描いたりしながら、独自解釈で進めていきますね。元スレとかけ離れてしまったら申し訳ない。

  • 26二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:21:19

    「とりあえず、ルリナ、替えの服は私のを使って。ヤローさーん!ヤローさんもダイマックスしてみてくださーい!」フィールド上のポジションから動かないでいたヤローに対してソニアが大きな声で指示を出す。


    ルリナのカジリガメと同様にヤローのワタシラガが全身を含ませてダイマックスを果たす。そして、パンッと短い音。


    凛々しくも優しい顔で立つジムリーダー・ヤロー。ガラルの草使いの全裸の姿がそこにあった。


    「なんでですか!!!???」絶叫するヤロー。ルリナはヤローの勇姿を見守りながらも、自分の時以上に赤面している。


    「やっぱり!ジムリーダークラスが同じ場所にいると共鳴反応が起こるんだわ!」ソニアは自分の仮説が正しかったことが証明され、俄然興奮冷めやらぬ調子である。


    「ソニア・・・お礼を言わないとね。ありがとう」ルリナはいつになく真剣な調子でソニアに対して感謝の言葉を告げる。



    「あの・・・服か何か・・・」フィールドでは全裸になったヤローが独りうずくまっていた。

  • 27二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:31:54

    ヤローさんに救いはないのですか???(ウールーぶつけるしか…?

  • 28二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:56:26

     ・   ・   ・

    三人はもうしばらく実験を続け、日が完全に沈んだあたりで解散となった。ターフタウンへと帰っていくヤローを見送り、ルリナとソニアは行きつけのバーレストランへと向かう。

    バウタウンの港でとれた新鮮な魚介をオリーブでつけたマリネを肴に、アルコール度数の低い甘いカクテルを傾ける二人の間には様々な話が盛り上がる。2人ともすっかりできあがった辺りでソニアが切り出した。

    「ねえ、ルリナはどうするの?」それは裸で戦うのかという問い。
    「どうしたらいいんでしょうね・・・もちろん嫌なことなんてないんだけど・・・」それは意中の相手との距離を縮めることいついての問い。

    そう。2人は完全に掛け違いとなっている。

    「え!?嫌じゃないの!?」(裸になるのが嫌じゃないの?)
    「もちろんよ!私からはなかなか言い出せなかったけど・・・今日は嬉しかったわ」(ヤロー君と会えて嬉しかったわ)

    「ルリナにそんな趣味があったとは・・・」(露出趣味があったなんて知らなかった)
    「あら?そんな趣味だなんて失礼ね」(ヤロー君はいい男じゃない、失礼ね)

    「えっ?」
    「えっ?」


    とかく、絶妙な掛け違いをしつつも、妙齢女子の小さな宴は盛り上がり、ソニアはルリナの部屋に泊まって翌日の早朝に研究所へと帰っていった。

  • 29二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:57:41

    ソニアを見送ったルリナは、いよいよ考え込む。街の看板を背負うジムリーダーが興行を休むわけにはいかない。かといって、嫁入り前の身体を衆目さらして平然としていられるほど剛胆ではない。

    「いや、もうこれは肝がすわってるとか、すわってないとかそういう問題じゃなくない?」虚空に向かって思わず問いかけてしまうが、当然答えは返ってこない。


    「服は無くなる・・・布もダメ・・・水着も布だからダメ・・・布じゃなければ・・・布以外で肌を隠せるもの・・・っっっ!!!!」

    長時間の熟考の末、ルリナが出した結論。それは・・・


    「最初から全裸ならいいのよ!」


    ルリナは混乱している。
    その日の午後、誰もいないバウタウンのフィールドに全裸のルリナが立っていた。腕を組んで仁王立ちし、カジリガメをダイマックスさせる。様々な水の技を宙に放ち、試合を想定した立ち回りを考えていく過程で、彼女の混乱は解けてきた。


    「・・・これじゃ変態じゃないの!!!未成年見に来れないわよ!!!」冷静になったルリナがもう一度熟考したどり着いた妥協点。それが


    「ボディペイントなら、まぁ・・・」であった。

  • 30二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 17:59:52

    ルリナが埒外の解決方法を探っている頃、ソニアとホップは別の角度からのアプローチを模索していた。2人とてガラルリーグをR18指定送りにすることは何としても避けたい。
    そうして彼らが模索していたのは、ガラル粒子の解明とそもそもはじけ飛ばない布地の服の開発という方向性であった。

    幸いにして、ガラル粒子については前委員長ローズがマクロコスモス社をあげて研究に取り組んでいたため、資料は十分にある。

    布地の開発については彼らは門外漢もいいところだが、専門家たちの知見を借りながらガラル粒子のエネルギーを上手く発散できる仕組みを探求していくことになった。
    実際には、成果を即答できるほどではないにしても、からっきしというわけでもなく、時間が十分にあれば「ダイマックスしても全裸にならないジムリーダー及びチャンピオン専用ユニフォーム」の開発ははっきりとした現実味があるといえるところまで来ていた。

  • 31二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 18:01:27

    ところ変わってスパイクタウン。一度は寂れ果ててしまったこの街も、再び息を吹き返そうとしている。全盛期ほどではないにせよ、少しずつかつての喧騒が蘇りつつあった。


    そんな中でネズとマリィは大喧嘩をしている。


    「ダメですよ!絶対に認めません!」
    「別にアニキに認められんでもよか!」


    「なっ!?分かってるんですか!下手をしたら全裸になるんですよ!?それも大観衆の前で!」
    「ダイマックスしたらそうなるって言うとったっちゃ!ならダイマックスさえしなければ別に問題なか!」


    二人の議論はもちろん件の話についてである。兄のネズとしては可愛い妹の柔肌を衆目にさらすなど到底看過できることではない。かといって、マリィもようやくジムリーダーに就任することができたのに戦うなと言われて素直に従える道理はなかった。


    「そもそも別にマリィの裸なんて誰も見とうなかやろ!」
    「そんなワケないでしょう!!世の男どもはみんなマリィを狙ってるに決まってます!」


    喧々諤々といった調子だが、結局はネズが折れることになるのは、妹を持つ兄の宿命か。マリィの熱意を尊重はするが、肌が見られないような工夫をしてくれと懇願する兄の気持ちは、妹にもしっかりと伝わった。その結果・・・


    「ボディペイントたい!」自信満々の表情で、ふんすと鼻息を吐きながら現れたマリィ。ネズが頭を抱えることになったのは言うまでもない。

  • 32二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 18:03:14

    後日、ソニアとホップは奇跡的な発見をした。アラベスクタウンの片隅にある、ガラル粒子の影響が極端に少ない素材を発見し、その繊維化に成功している小さな手芸品店を見つけたのである。とはいえ、大量生産ができるほどの量はなく、そもそもユニフォームのような面積の広い布地の確保は難しいとのこと。



    それでもなんとか試作品のつもりで一着作成したが、実験を行う前にガラルトーナメントが始まってしまった。ホップから報せを受けていたユウリはその一着だけをもってチャンピオンの座で相手を待つことになった。



    ルリナやマリィに関しては自前で対策をしているとのことだったので、ソニアは彼女たちの言葉に従うことにした。ひと言だけでも相談していれば、ボディペイントで試合に臨むなどという暴挙には及ばなかっただろうが、これも運命のいたずらか。

  • 33二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 18:09:24

    こうしてそれぞれの思惑を胸に秘めつつ始まったトーナメント。初戦はマリィとビートの新人ジムリーダー同士の戦いとなった。実力としては伯仲しているが、タイプ相性による有利と、ジムリーダーとしての経験によってビートに一日の長がある。マリィがビートに挑む形だが、二人の実力差的には十分に番狂わせがあり得る好カードである。



    「絶対勝つけん!アニキも見とうばい!」

    「こっちもそのつもりですよ!下手を打ったら婆さんになにされるか分からないんでね!」



    息を巻く二人。至近距離で挨拶をした後、ビートはなぜかドキドキと、胸が高鳴るのを感じた。戦いの興奮に身が震えているのだと感じたが、マリィがボディペイントになっていることには気づかなかった。女性経験が皆無である少年の鼻腔に無自覚な少女の甘やかな匂いが襲い掛かった。それでも平静を装えるほど彼の心臓は頑丈ではない。



    ちなみにビートは別にマリィに恋をしているわけではない。もちろん嫌いなわけでもなく、どちらかと言えば憎からずといったところだが、彼の鼓動が高鳴っているのは単純に彼が童貞だからである。

  • 34二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 19:08:27

    「さあ、行きますよ!クチート!」頬を染めつつポケモンを繰り出す。ボール捌きが少々精彩を欠いているが、許容範囲だろう。


    「こっちも行くっちゃ!レパルダス!」見事なボディペイントに彩られているため、足を大きく上げてもなんら違和感を感じさせない。スタジアムのカメラが接写となっても会場には関係者以外気づくものはいなかった。


    マリィの調子が普段よりも高度に仕上がっていることから、ネズも取り乱してはいない。


    試合開始の合図とともに飛び掛かるレパルダス。凄まじいまでのスピードに先手を許したビートのクチートだったが、瞬時に態勢を立て直す。先手をとられて怯んでしまったが、そこはやはりジムリーダー。その程度では取り乱さない。


    最初の一手分、マリィが優勢を取れたがそのまま押し切れるとは彼女も考えていない。やはり相性の力はビートの方に傾き、フェアリー技をぶつけて大ダメージを負わせることに成功した。マリィの方はそれもおり込み済みだったため動揺せず、レパルダスは最後の力をふりしぼってクチートと相打ちに持ち込んだ。


    新人とは思えぬ、手に汗握る攻防。観客たちのボルテージはすっかり上がり切っている。その後も一進一退の攻防が続き、両者最後のポケモンとなった。


    「さすがにやりますね!でも、勝利は渡しませんよ!ブリムオン!」
    「ビートもつよか!でも、そろそろマリィがおねんねさせるっちゃ!オーロンゲ!」

  • 35二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 19:09:13

    互いに一歩も引かない若きエースたち。当然彼らの額には汗がにじんでいる。

    汗。人間が体温を調節するための機能の一つだが、それは全身から噴き出ることで作用する。にじみでた汗は皮膚に乗っている不純物を押し流そうとする。ファンたちがポケモンに集中している中、ビートだけはマリィの一挙手一投足を注視していた。

    だからこそ気づく。マリィの服の形が歪にゆがんでいる。刹那の衝撃のあと、ビートは全てを悟る。目の前に同年代の女子が裸でいるという事態を。

    一気に弾み出す鼓動。上気する頭。ぼやける視界。童貞にはあまりに強い刺激である。そのゆるみの隙を見逃すマリィではなかった。


    「オーロンゲ!今ばい!

     ダ  イ  マ  ッ  ク  ス  ! ! ! ! 」

  • 36二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 19:09:49

    一手分にもならない、ほんの半手分の遅れが勝敗を分けることとなった。ダイマックスを受けるにはこちらもダイマックスするしかないはずだが、一気に押し切られてしまい、ビートはダイマックスという手札を切ることなく敗退してしまった。



    ちなみに、ビートがダイマックスした場合、彼の衣服は粉みじんに吹き飛び公衆の面前に可愛らしい全裸を披露することになっていたが、その場合はポプラが瞬時にフェアリー技のキラキラを振りまいて肝心な箇所が見えないように立ち回ろうとしていた。



    「やった!アニキ見とった!?マリィ勝った!」控え目な喜び方だが、彼女にしてはかなりの感情表現である。

    「いいから!早く戻ってきなさい!」ネズはマリィのボディペイントが落ちかかっていることに気づき、気が気でなかった。



    控室へと戻って来たビート。先輩選手たちの労いに対する挨拶もそこそこにとどめ、足早にトイレへと駆け込んでいく。しばらくして出てきた彼の表情はどうも晴れない。

  • 37二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 19:48:55

    まさか、テラバーストか・・・!

  • 38二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 19:50:04

    顔を赤く染めてうつむきながら廊下を歩く彼を迎えたのは、師であるポプラだった。

    「ボーヤにゃ、刺激が強すぎたようだね」

    「なっ、なにを言うんですか!今回は、えっと・・・」



    「いいのさ。欠点は分かりやすい方がいい。ヒトもポケモンも。さ、帰ったらまた特訓さね。」

    「なんですか・・・怒られると思ったのに・・・」



    師と弟子。師は弟子の健闘を称え更なる飛躍を約束し、弟子は師の優しさと偉大さに信頼と敬意を表してついていく。不思議な関係の二人ではあったが、その後ろ姿は確かに師と弟子のものであった。



    「マリィ~!おめでとう!ビートも強いのに凄かったね!」ユウリは新チャンピオンとして別の控室にいるため、マリィにはスマホロトムを介して祝辞を伝えた。



    「ありがと。でも、ウカウカしてたら足元すくわれるって言うけんね。ユウリと戦うまでは油断しない。」マリィはくすりと微笑んで意気込みを新たにした。

  • 39二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 19:52:33

    敗因:童貞

    こんなに悲しいことある?

  • 40二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 22:20:47

    さり気なく童貞バレされたビートェ…

  • 41二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 22:41:40

    ビートの経歴と年齢で非童貞だったらそっちの方が問題だろ

  • 42二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 22:56:40

    ホップも童貞だよね•••?

  • 43二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 05:20:22

    なんなんこれ

  • 44二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 09:20:29

    ビートがペパー枠か!

  • 45二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 10:07:57

    ガラルリーグ。その興業の真髄は、一流のトレーナーたちによる最高水準のパフォーマンスである。余人が容易くは到達できない領域の妙技を肌で感じることができる一大エンターテインメント。



    それが、このガラルリーグの本質であり、国民たちの期待でもある。



    その点でいえば、今回の騒動はきっかけとして機能していた。なにしろ、ダイマックスしたら全裸になるのである。そうと分かって大人しく裸に剥かれるような異常者は決して多くない。



    ジムリーダーたちは、その手練の技をもって自身の肢体を隠し、また白熱する勝負を演出していった。



    炎のジムリーダー・カブは、いぶし銀の炎技で自身の身体を巧妙に彩った。どこからどう見ても致命的な部分が視界に入らないその技は、まさにベテランの迫力である。



    天候使いのジムリーダー・キバナは、砂嵐や日照りの反射光を利用してあらゆる形で自らの裸身を装飾した。いかにセクシーに見えるかを追求したギリギリの職人芸であり、特に若い女性たちなどはその立ちほこらんばかりの色気にくらくらと理性を揺さぶられてしまっている。



    そして、ルリナの試合の番となった。

  • 46二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 10:29:46

    対戦相手は自身がライバルとして公言している草タイプ使いのヤロー。タイプ相性としてはヤローが有利だが、先のマリィとビートの例もある。高いレベルでの戦いでは、ほんの少しの要素が勝敗を大きく分けることもある。



    ヤローとしても油断は禁物である。



    ルリナはいつも通り、セパレートタイプの女性用ユニフォームを身に纏い、フィール途上に立った。ヤローも同様にユニフォームを着こんでいる。といっても、ヤローの場合は、その有用性の面から四六時中ユニフォームを着ていることも多いため、真新しさはない。



    無論、双方ダイマックス全裸に対しての対策はしてある。ヤローは勝負とは別の草ポケモンたちを配して草の鎧を身に纏うつもりであり、ルリナはすでに衣服の下にボディペイントを施している。



    対策は万全。



    しかし、ルリナは気づいていない。衣服の下とは意外に蒸れる上、ボディペイントの塗料はたとえ油性でも蒸れればかなり薄くなるということに。

  • 47二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 10:37:31

    オラ、わくわくしてきたぞ

  • 48二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 15:06:44

    マリィちゃん

  • 49二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 15:09:07

    >>48

    どけ!ネズミどけ!

  • 50二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 17:18:36

    絵師さんありがとう。
    仕事終わったらまた続き書きますね

  • 51二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 20:57:27

    両者ともにゆったりとした運びから始まったライバル対決。といっても、ルリナがヤローを一方的に意識しているだけであるが、それでも互いに至上の達人同士であることには違いない。

    下馬評ではヤローが若干優勢だったが、試合が始まるとヤローはかなり苦戦を強いられることとなった。

    それもそのはず。ルリナは完全にヤローを意識したメンバー構成を取っていたからである。

    草タイプ対策に新しく2体の仲間を迎えたルリナ。1体は虫タイプのグソクムシャ、もう1体は飛行タイプのペリッパーである。



    新参と言えど、達人であるルリナがヤロー対策として本腰を入れて育成した強力な新戦力である。

    ヤローの驚く顔や苦い顔を見るたびに、ルリナの中にほの甘い快感が蓄積されていくのを、彼女自身も感じていたが、それを表に出すことはしなかった。

  • 52二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 23:07:58

    万物を押し流す怒涛の波のように、ゴリゴリと力攻めでヤローを追い詰めるルリナ。ヤローは虎の子であるダイマックスを切るが、自発的に切ったのではなく、切らされているのだということは彼自身も分かっている。

    それでもここまで押し込まれては、持っているカードを全て切らざるを得ない。

    パンッと短い音と共に、塵へと還るヤローの衣服。それでも男は戦いから逃げはしない。ワタシラガたちの力を使い、大柄な肉体美を絶妙に装飾し、戦いを続行する。

    ルリナは、ライバルのヤローに押し勝とうしていること、および意中の相手であるヤローのあられもない姿を特等席で見物できていることで、まさに絶好調と化しているが、動揺も慢心もなく着実に攻め込んでいく様は、流麗そのものである。

  • 53二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 08:59:03

    本来ヤローとルリナの実力は、極めて高い水準で拮抗している。だからこそ、勝負の天秤はほんの小さな砂粒で大きく傾くことになる。

    今回その砂粒となったのは、全裸ボディペイントという特殊な状況であった。全裸で大観衆の前に立つなど、並みの精神でできることではない。それを呑み込む強靭な魂の圧力がルリナのパフォーマンスを一段上へと押し上げていた。

    つまり、ルリナは全裸をモノにしている。勝敗を分けたのは、タイプの相性でもなければ、トレーナーの作戦行動でもない。布一枚の重さを脱ぎ捨てることへの覚悟の違いが勝敗を分けることになった。

    確かに大柄純朴な成人男性と眉目秀麗な成人女性では、肌を晒すことの重さが違うのは言うまでもないが、今回はさらにルリナのモデルという職業が上手くフィットしていた。視線を操ることを生業といている彼女にとって、観客たちの視線はむしろ強力な後ろ盾となった。

    結果、先にダイマックスを切って消耗したヤローに対して、ルリナは十分な余裕をもってダイマックスを行い、最後まで見た目に似合わぬ力押しで圧し勝つこととなった。

    もちろん、彼女の衣服も短く乾いた破裂音と共にスタジアムの塵へと還っていったが、精巧なボディペイントを見破れる者は一人もいなかった。唯一、特等席で彼女と対峙していたヤローとジムリーダーたちだけは彼女の事情を知っていたが、それでも今となっては些細なことである。

  • 54二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 09:26:23

    控え室のベンチに腰掛けるヤロー。奇しくもそこは、ルリナがかつてヤローに敗れた際に腰かけていたところと同じ位置であった。そこにルリナは頬を伝う汗を拭いつつ彼に声をかけた。


    「ヤロー君」
    「ルリナさん」


    二人の間にはしばらく沈黙が流れたが、決して二人とも言葉を失って気まずくなっているわけではなかった。勝負に全てを出し切ったためか、言葉がなくとも通じ合えていたのだ。


    「勝つわ。」
    「ええ。勝ってください。」


    ほんのわずかな短い会話。それでも満たされる不思議な絆。大人の男女にしか出せない妖艶な色気が二人を包み込んでいた。そして、関係者として通りすがったホップは、

    (二人とも裸で何やってるんだ?)と思っていたが、そばにいたソニアに連れられていってしまった。まだ幼い彼には二人の独特な空気感は理解できなかった。

  • 55二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 19:25:22

    その後の試合もやはり全員一流の名に恥じない名勝負となった。

    二回戦では全身を不透明な氷で彩ったメロンと、ボディペイントを新たに描きなおしたマリィの戦いとなったが、まったく隙を見せないメロンに対してマリィが急所攻撃を連続して成功させ、これまた下馬評をひっくり返して勝利を収めた。

    「すでにトップジムリーダーたちと比肩し得るだけの実力を備えている。」それが今のマリィへの観衆たちの評価であった。

    ガラルの住人たちは他のどの地方よりもバトルに対しての目が肥えている。その彼らがマリィを手放しで称賛しているのだから、兄のネズは口角が上がっていくのを押さえられるはずもない。

    始めこそ心配していたネズだったが、妹のマリィはすでに自分が心配をしてやらなくてはならないような子供ではないと感じ、戦士として彼女の気概を認めるに至っていた。



    一方、別ブロックの方では勢いに乗ったルリナが猛威を振るっていた。水を得た魚ということわざがあるが、事情を知る者は今の彼女を見て「衣服を捨てたルリナ」の強さを語らずにはいられないだろう。相性的に不利な相手であったヤローをうち破り、続くキバナとの二回戦も見事な采配を見せ、危なげない勝利を収めた。

    戦いを終えたあとのキバナは、ルリナの健闘を称え、素直に賞賛する。そしてルリナも素直にそれを受ける。年代も近い彼らには、奇妙な友情にも似た何かが確かにあった。

    誤解がないように強調しておくが、もちろん全員全裸である。全員が試合でダイマックスを終えた今、控室に服を着ている選手は一人もいない。



    そして、チャンピオン戦を除けば最後の戦い。ルリナとマリィの決勝戦である。

  • 56二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 07:25:14

    新たなことわざが生まれてしまった…見たまんまでもあるが

  • 57二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 08:29:48

    全ペも読んでました、ファンです
    新作嬉しい

  • 58二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 09:08:09

    待って?メロンさん全裸で氷まとってたの?そこ詳しく

  • 59二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 14:27:00

    フィールド上に立つ二人の全裸。

    もちろん精巧に彩られたボディペイントによって、彼女らが全裸であることに感づくことができる者はごく少数。

    全裸で戦うという点においては、いくつかのポイントが存在する。

    まず一つは、羞恥心の克服。やはりどこまでいっても人間は服を着る生き物であり、衣食住の最も初めに位置するものが「衣」であるように、人間活動の根幹を支えるものが衣服である。

    それを脱ぎ捨てるということはすなわち、異常事態に他ならない。本来ならば、全裸とは、屋内でしか存在し得ず、親しい者や愛する者の前でしかあり得ない人間存在の神秘の最奥なのである。

    それを公衆の面前に惜しげもなく披露するとなれば、その精神が揺さぶられることは必至。それこそが羞恥心であり、戦いの場を一層複雑にする心の中の悪魔である。羞恥心を手懐け、心の揺れを押さえつけることは、達人同士の戦いにおいては極めて大きなファクターとなる。

    そして二つめのポイントは、摩擦の有無である。衣服をまとうことによって人間はあらゆる活動を可能としている。それはトレーナーも同様であるが、衣服によって肌を隠せば当然ながら、肌に直接触れるものは少なくなる。肌感覚も重要な情報の一つである以上、全裸となればその全身は感覚器官としての使命を思い出し、より一層多くの情報を手に入れるようになるだろう。

    全裸になることによる索敵性能や探知性能の上昇。これをいかにうまく捉えることができるかが、勝負において重要な役割を果たすであろうことは想像に難くない。

  • 60二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 14:27:10

    この場において、ルリナとマリィは互いにアドバンテージを持っていた。羞恥心の克服についてはマリィが、感覚性能向上の利点についてはルリナが上回っている。

    マリィはその若さ故、いや幼さ故に自らの裸身を晒すことのハードルが高くはなかった。人並みにおしゃれも楽しみたい年頃ではあっても、自分が誰かの特定の存在になるとはイメージもしていない。だからこそ、羞恥心の克服はマリィにとっては難しいことではなかった。

    ルリナはモデルとして人々の視線を誘導することに長けている上、港町で生まれ育ち、海とともに育った彼女にとっては、空気や水の流れを肌で感じ取ることは日常と化している。それが全裸による性能向上の恩恵を受け、今の彼女はいわば人間レーダーに近い存在となっている。この点は、たとえ今のマリィが絶好調であっても真似できることではない。

    同じ女性ジムリーダーでありながら、そこまで深く交流してこなかった二人。それでもお互いの実力が本物であることは重々に承知している。また、マリィにとってはルリナある種のあこがれの存在でもある。

    構図としてはマリィがルリナのむき出しの胸を借りる形になるだろうか。


    先鋒としてマリィはスピードタイプのレパルダスを、ルリナはパワータイプのグソクムシャを繰り出した。タイプ相性としてはルリナが優勢だが、レパルダスには飛行技である「つばめがえし」がある上、スピードは圧倒的。ルリナとしても油断はできない。

  • 61二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 21:54:36

    美女と美少女の戦い、先鋒戦は観客の盛り上がりとは裏腹に、意外にも静かな立ち上がりから始まっていった。ただそれは動きが無いという意味ではない。視覚的な動きはかなりのものがあり、観客たちはみなトレーナーとポケモンたちの妙技にうなる。

    無いのは動きではなく、「ぶつかり」である。轟音を打ち鳴らすようなぶつかり合いがあると多くの者たちが踏んでいたが、攻撃や防御が派手な音を鳴らすことはなかった。

    マリィのレパルダスはとにかくスピードをもって攪乱し、ときに背後から、又ときに側面から「つばめがえし」を叩きこまんと隙を狙う。が、ことごとく先読みされ躱されていく。まるでタイミングが完全に読まれているような感覚。もはや未来予知に近い精度での先取り回避である。

    それを可能としているのはルリナの肌。それもむき出しになっている全裸の全身が鋭敏に風の流れを捉え、グソクムシャに前もって回避行動を取らせている。

    マリィは全裸の威力をまだ分かっていない。それでもルリナが何かをやっていることは分かる。レパルダスに出す指示には一分のミスも許されない。虫タイプの一撃をくらえば、難なく沈んでしまうのは必至だからである。

    観客たちは予想と異なる華麗な追いかけっこに、一層ボルテージが上がっていく。ただし、この追いかけっこは、「お互いが鬼」である。定められたフィールドの中で二人の鬼が互いに追い回しあっていれば、勝負が決まるには、そう長くはかからない。

    本人たちの時間間隔で数時間、観客たちにとっては数十分、そして現実には1分ほどの時間が経過したとき、先に地に倒れたのはマリィのレパルダスの方であった。互いに譲らぬ一進一退の攻防戦の要訣となったのは、ルリナの先輩トレーナーとしての経験値だろうか。

    先鋒戦はルリナの勝利。とはいえ消耗を考えて、ルリナもグソクムシャを引っ込めて仕切り直しを取る。マリィの目の闘志はまだまだ強く燃え上がっている。

    そしてもう一つ。これほどに緊張が昂れば当然肌には汗がにじむこととなる。今はまだ、本人たちにしか分からない程度だが、全身のボディペイントは確実に汗とともに薄く落ち始めている。内心に冷や汗をかいて焦るルリナの心の隙をマリィが突けるかが勝負の分かれ目となるだろう。

  • 62二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 08:44:15

    全裸がバフ要素になってる?

  • 63二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 11:26:03

    次鋒としてマリィが繰り出したズルズキン、悪タイプと格闘タイプを併せ持つ肉弾戦闘の雄だが、マリィにとっての不運はルリナが次に出したペリッパーが飛行タイプを持っているということであった。

    致命的な弱点を連続して疲れることになったマリィ。善戦はしたものの、それでもルリナのペリッパーを倒しきるには至らなかった。

    二体続けての黒星となったマリィ。彼女の実力はトップリーダーたちと遜色ない水準であるが、そんな彼女を相手に大立ち回りを演じるほどにルリナの調子は仕上がっていた。

    しかし、ここからマリィの逆転が始まる。

    マリィが中堅として繰り出したのは、常日頃から共に過ごしている相棒のモルペコ。その身に宿すは悪の雷電。
    ルリナのペリッパーに隙などなかったはずだが、モルペコのスピードはペリッパーのそれを完全に凌駕していた。

    紫電一閃の「オーラぐるま」によって撃沈していくペリッパー。

    一瞬驚いた表情をしたルリナだったが、マリィの強さに手ごたえを感じ、一層気合が高まっていくのを感じるのであった。

  • 64二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 19:35:25

    モルペコってルリナ特攻だよね

  • 65二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 22:14:06

    マリィのモルペコ一体を食い止めるのに、ルリナは相当な力を要した。

    タイプの相性をついたヌオーが地面技を決めるまで、モルペコは暴れに暴れた。そのヌオーも大将として繰り出されたオーロンゲの一撃のもとに伏せることになり、いよいよ互いに大将戦となった。

    カジリガメとオーロンゲの一騎打ち。当然、繰り出されるはダイマックスである。

    全身を膨らませた二体の強者がにらみ合う。ここからは足を止めてスピードを捨てた当たり合いである。まさに徒手空拳のぶつかり合いに、観客たちの興奮は絶頂である。

    ダイマックスによって観客の視線は一人残らず上に引っ張られているが、フィールド上の美女と美少女は激しい水しぶきと汗によってその全身をしとどに濡らしている。

    当然ながらボディペイントも落ちかかっているが、今はそれを気にしている局面ではない。わずかな采配のしくじりが敗北を突き付けてくるこの緊張感の中でマリィとルリナは口角を上げて笑う。

    決着は近い。

  • 66二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 23:08:44

    オーロンゲとカジリガメ。互いに間合いを図ることもなくひたすらに全身全霊をぶつけ合う二体。

    こんな戦い方をしていれば当然そう長くはもたない。キョダイマックスとはいえ強大なエネルギーの応酬を続けられる程、余裕のある相手ではない。

    マリィとルリナが勝負に出たのはほとんど同時であった。

    前傾姿勢を取り、水のオーラをまとって突進していくカジリガメ

    黒いオーラを纏って迎え撃つオーロンゲ

    勝負を制したのは、ルリナのカジリガメであった。

    万感の思いをかみつぶしてマリィの健闘を称え握手するルリナと、素直に答えるマリィ。

    マリィのボディペイントはほとんど落ちて白い肌をむき出ししてしまっている。それでも全裸の美少女に頓着するもは一人もいなかった。

    当然ルリナのボディペイントももはやその役目を放棄していたが、やはり実に画になる出で立ちであり、勝者の品位とはかくあるべしを体現していた。

    ルリナにとっては長年のキャリアの中でもはじめてとなるチャンピオン戦。

    相手は無敵のチャンピオン・ダンデを下した新鋭チャンピオン・ユウリ。何かと交流のある二人だが、ここまでの真剣勝負となるのは初めてとなる。

    もちろんルリナは控室でボディペイントを塗りなおしている。新チャンピオン・ユウリはホップが持ってきていたユニフォームに袖を通し、猛然とフィールドに立つ。

    ガラルリーグ・ラストバトルの幕開けである。

  • 67二次元好きの匿名さん23/04/30(日) 10:20:37

    保守

  • 68二次元好きの匿名さん23/04/30(日) 14:57:57

    チャンピオン戦は初手から大激突となった。

    水のエキスパートであるルリナにぶつける相手としては、やはり草タイプのゴリランダ―が望ましい。が、それに対して対策を怠るルリナではない。

    ところが、チャンピオン・ユウリはルリナが草タイプに対策してくることまで読んで同じ水タイプのインテレオンを繰り出し戦線の形成を図った。

    さすがに水タイプ同士の戦いともなれば、専門家であるルリナに軍配があがるが、体力を大きく削られた状態ではユウリの次鋒を倒す余力などあるはずもない。

    こうして読みあいと削り合いが続くが、草タイプ対策用のグソクムシャとペリッパーを落とされた状態ではユウリのゴリランダーを倒すのにかなりの消耗を強いられてしまった。

    ルリナの取れる手段はただ一つ。最大の火力をもって小細工をまるごと押し流すのみである。

    ルリナのカジリガメがダイマックスしていくと同時に、ユウリもまたゴリランダーにダイマックスさせていく。

    チャンピオン専用ユニフォームはホップとソニアのお手製の特殊繊維で出来ており、ダイマックスしても衣服が弾けることはない。だが、時間の無さから試験は十分でなかったため、ユウリだけでなく製作者の二人もこの繊維の致命的な弱点に気づいていなかった。このチャンピオンユニフォームは、

    水に溶けるのである。

    多少の汗程度なら何ともないが、ダイマックスの水しぶきを浴びてしまえば、さすがにどうにもならない。

    ユウリは他のジムリーダーたちとは違って、全裸対策を取っていなかった。その結果、ガラルの大観衆の前に新チャンピオンの全裸が披露されることになってしまった。

    強烈な羞恥に襲われたユウリの口から出た叫び声、それは助けを求める声であった。


    「ム、ム、ムゲンダイナァァァアアアア!!!!」

  • 69二次元好きの匿名さん23/04/30(日) 15:12:16

    主人の悲しい叫び声とともにゴリランダーと入れ替わりでフィールドに出たムゲンダイナ。

    妖しく光る赤い小さな光球を散りばめて主人の裸身を覆い隠しつつ、眼前のカジリガメを睨む。かつて戦いの場で身を削り合った少女を、今は主人として立てているこの少女を守るため、ムゲンダイナは全力の雄たけびを上げた。

    ダイマックス砲。

    ムゲンダイナだけが持つ、必殺の一撃である。ルリナのカジリガメは直撃を避けられる程俊敏なタイプではない。

    大健闘ではあったが、やはりチャンピオンの壁は厚い。ルリナの美しい戦いぶりとチャンピオンの圧倒的な力と、それぞれの肉体の美しさを称えつつ、この度のガラルリーグ・トーナメントは終了となった。

  • 70二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 00:09:53

    ムゲンダイナァァァ!を全裸で回収すな

  • 71二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 11:51:13

    保守

  • 72二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 23:42:36

    だ、ダイナさん…

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています