- 1二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 18:23:57
- 2二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 18:29:54
一瞬風が止み、帽子は近くの大きな木の枝に引っ掛かってしまった。
「よし、こんな時は投げ縄で!ってあれ?」
カウガールは普段腰にかけて常備している投げ縄を取ろうとするが無い。
早めにパトロールを済ませて戻るつもりで特に必要ないだろうと考え、保安官室に置いてきたのだった。
「私のバカ!何で投げ縄置いてきちゃうのよ~!」
そんな自分を責めていると、また風が強く吹き、帽子が宙を舞い始めた。 - 3二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 18:36:15
「うわっ、また!」
カウガールはまた帽子を追いかける。
あの帽子は今は亡き大事な母の形見で大切な物だ。
彼女の母も昔は立派なカウガールで保安官だったのだ。
「あれは大好きなママの形見!絶対取り戻すから!」
こんなに風が強いのはこの西部じゃ珍しい。
砂嵐が吹き荒れる砂漠地帯じゃない限り、ここまで風は強く吹かない。
「憎たらしい風め!このカウガール様をナメんじゃないわよ!」 - 4二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 18:41:49
とにかくカウガールは諦めず、必死に帽子を追いかけた。
母の大事な形見である帽子を絶対に手放したくない。
だんだん日が暮れて辺りが薄暗くなっていく。
とうとうカウガールは帽子を完全に見失ってしまった。
「ごめんなさいママ。私、ママの帽子を取り戻せなかった」
カウガールの目からポロリと一粒の涙がこぼれた。 - 5二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 18:47:23
このエリアは砂漠が近く、夜になると一気に冷え込むため
カウガールは仕方なく帽子を諦めて町へと戻ることに決めた。
ママには悪いが、新しい帽子を買うしかない。それを考えるだけでも彼女にとって酷く辛いものだった。
帽子が無いと寒さが全身に染みるように伝わってきた。
ふと夜空を見上げた時、流れ星が現れた。
「もし願いが叶うなら、大切な帽子が私の所に戻ってきますように・・・!」
願っても無駄だとは分かっていたが、カウガールは今は僅かな奇跡を信じるしか他になかった。 - 6二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 18:55:31
カウガールが大きなサボテンの近くを歩いていた時だった。
足下の小石に足を取られ、よろけてしまったカウガールはサボテンに尻をぶつけてしまった。
「痛ッ!!!」
尻に刺さったトゲを抜く最中、ふと上の方を見上げてみるとサボテンのてっぺんに帽子が引っ掛かっていた。
「わ、私の帽子!!」
その帽子は自然に落ち、カウガールはジャンプしキャッチした。
帽子が見つかった。そして今、自分の手に戻った。
大好きな母の温かさが全身に伝わってきた。
「まさか帽子が見つかるなんて。やっぱり奇跡って最後まで信じ続けた者にだけ訪れるものなのね」
とりあえず帽子を頭に被るカウガール。今はとにかく安堵と嬉しさでいっぱいだった。
本当に嬉しくて、ランランルンルン♪と鼻唄を歌うようにスキップする。 - 7二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 19:03:46
しかし、カウガールは居眠りしているトラに気付かず、うっかり尻尾を踏んでしまった。
トラは痛みで目を覚まし、カウガールの姿を見るや否や睡眠を邪魔された怒りで、牙を剥き出しにして彼女を追いかけた。
「うわッ!ご、ごめんなさい!わざとじゃないから許してーッ!!」
そんな事を言っても不注意だったカウガールが悪いし、トラが許してくれるはずがない。
死に物狂いで逃げるもカウガールは遂にトラに追追いつかれて、左脚の太腿をガブッと噛みつかれてしまった。
「い、痛ーーーーーッッッ!!!」
・・・・・・・・
翌朝、左脚の太腿に包帯を巻いて町をパトロールするカウガールの姿があった。
トラに噛まれた太腿は痛むが、やはり帽子が戻ってきた嬉しさはとにかく大きかった。
「さてと今日も一日頑張るとしますか!」
THE END - 8二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 19:06:44
カウガール可愛い
- 9二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 19:13:14
思っていた以上の傑作だったわ
- 10二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 19:14:50
マザコンな一面見せてて可愛かったよな