【SS】優しい手のひら

  • 1二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 21:25:28

    「ふわ……」

    「カフェ眠そうだけど、体に異変とかないか」

    「はい……、トレーナーさん……今日は......体も頭が重くて......」

    「...そうか、今日はトレーニング休もう」
     
     トレーナーさんに聞かれたように、今日は体が重たいし、頭も痛くてぼーっとする。
    私の体質は異変が起きやすく、例えば、食欲が異様に高まる時もあれば、逆に一口も食べ物がのどを通らない時もある。
     
     それに加え、最近の空模様は荒れる日が多く、気温の温度差も激しい日が続いて、体があまり強くない私にいつもより異変が強い気がした。
     いつも通り異変があった場合はトレーナーさんに相談したが、トレーナーさんの言う通りに今日は休んだほうがいいと判断する。

    「ごめんなさい……せっかくトレーニングの時間なのに……」

    「カフェが気にする必要がないよ。体調が悪いんだから仕方ないさ。寝れる?」

    「いえ……それが……眠れなくて……」

     いつもなら頭が重いときは瞼を閉じれば、すぐ眠れるはずなのだけど、今日の私は眠れる気がしない。

    「…そっか。カフェ。眠れなくても休もうか。とりあえず、保健室に行こうか」

    「すみません……お願いします……」

     トレーナーさんと一緒に保健室に向かって、部屋を出ていく。廊下に出ると、雨が降っていることに気づいた。雨が降って、気温が下がっている所に温かいコーヒーを飲みたい気分にもなれない。そんなことを考えながら、トレーナーさんに体を預けるようにして、ゆっくり歩く。

  • 2二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 21:26:30

     保健室に着いて、トレーナーさんが扉をノックして中に入る。

    「失礼します。マンハッタンカフェのトレーナーです」
     
     声をかけたが、保健室の先生はいないのか返事がない。

    「いないみたいですね……」

    「うーん……とりあえず、カフェ、ベットで休もう」

     トレーナーさんが保健室のカーテンを閉めて、私をベットまで誘導してくれる。そのままベッドに入って、シーツを被る。

    「当分の間はここにいるけど、眠れないなら声をかけてくれ」
    「はい……ありがとうございます……」

     それから少しの間、目を閉じたりしていたけど、頭痛が強くなって全然眠れなかった。横になったまま目を開くと、心配そうな表情をしたトレーナーさんの顔が見える。

    「カフェ、やっぱり眠れないのか」

    「えぇ……まぁ……でも大丈夫ですよ……」

    「無理はよくないよ。……よし、カフェ、失礼するよ」
     
     トレーナーさんがそう言うと、私の頬を優しく、大切に撫でる。突然の出来事に思わず驚いて、つい、彼の顔を見て呟く。

  • 3二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 21:27:17

    「……トレーナーさん」

    「脅かして、ごめんね。普通、頭を撫でるものだけど、こうするとよく眠れるらしいからやってみたんだけど、どう?」

    「……悪くはないと思いますよ」

     私がそう返事すると、彼は再び、手のひらで私の頬を労わるように撫でる。確かにさっきまでの痛みが少し和らいだ気がする。それに、この手つきはどこか懐かしさを思い出すような気が…。

    「カフェが眠れるまで撫でておくよ」

    「……はい、ありがとうございます」

     頬を撫でる手からは温かさを感じて心地よい。安心感からなのか、それとも別の理由があるからなのか分からないけど、不思議と睡魔が襲ってきた。

    「おやすみ、カフェ」
     
    トレーナーさんがそういうと、意識がだんだん遠のき始めた。眠りに落ちる前に見えたのは、優しい微笑みを浮かべた彼だった。

  • 4二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 21:30:20

     お馬さんが撫でられて喜ぶ場所が頭ではなく、頬とか首あたりなので、それを踏まえてみて短いながら、書いてました。

  • 5二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 22:08:18

    しっとりしてる…すき…

  • 6二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 06:23:01

    良い…

オススメ

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