- 1二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 22:41:10
- 2二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 22:41:35
- 3二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 22:42:20
師弟対決
- 4二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 22:42:27
魔銃使いと魔法使いの戦闘シーン
長めの杖とリボルバーみたいな銃で戦ってほしい - 5二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 22:47:00
非スタンド使いがギアッチョ(ホワイトアルバム展開済み)を攻略する
- 6二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 22:53:34
振り向くと同時に、構えた。
右手を、少しだけ浮かしている早撃ちの構え。自分も、ほとんど同じ構えをしているはずだ。
奴の腰のホルスターに収められているリボルバーが、夕日で鈍く輝いている。
息が、詰まりそうだった。手汗。皮の手袋をしていても、薄く滲んでいるのが分かった。こいつが手強いということは、向かい合うとよく分かる。だからこそ、構えだけは絶対に崩さなかった。
息を、胸を上下さないようにしつつ、深く吸い込んだ。
今日まで、何人もこの銃で仕留めてきた。この西部で、生死の境をいつ越えてもおかしくなかったが、まだ生きている。
夕日が、徐々に地平線に沈んでいく。影が伸びる。ダンブルウィードがひとつ、風に巻かれ、俺と奴との間を、駆け抜けた。
来る。奴の指が、伸びた。思った時、俺も銃把に手を掛けていた。
銃声。同時だった。ダブルアクションの衝撃と、耳元を何かが駆け抜けるのも、同時だった。
影。奴の影だけが、崩れ落ちた。顔が、最期に少しだけ、笑った気がした。
- 7二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:12:09
「ルールは分かるか?田舎小僧〈カントリーボーイ〉」
「減らず口が達者だな。乳飲み野郎〈マンモーニ〉」
タンブルウィードがカサカサと
テキサスの荒野を転がって行く。
砂塵を伴った乾いた風の中、二人の男が相対していた。
「ヘッへ、山奥育ちにしちゃ道理がわかるじゃねぇの
お勉強したみてぇだな?」
先程乳飲み野郎と呼ばれた
黒いカウボーイハットを被った男は
古びたリボルバーにパラベラムを装填しながら
相手の青年を挑発する。
おどけた口調に似合わない切れた視線は
相手の仕草をそれとなく観察し
力量に狂いはないかを確認している。
「…都会の人間って奴は口から屁をこくのか?
クセェなぁ…」
言われた青年が負けじと相手を挑発する。
青年は、今機嫌が悪かった。
目の前の男に酒場で絡まれたからだ。
言葉尻はキツイ。
既に右腕は腰の相棒に手が伸びている。
二人の視線が相手を捉えだす。
「んじゃま。やるかね、田舎小僧」
「言われなくてもやるさ、乳飲み野郎」
互いの右腕がグリップに吸い付く。
コインが地についたら合図だ。
二人の感情は同じだった。
『『ぶち抜いてやる!』』
ただ、それだけだ。
- 8〉〉721/11/26(金) 23:13:25
もう書かれちゃったので導入書いた
- 9二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:23:57
曲がり角でぶつかるのは美少女だけにしてほしかった。
しかし、ここは戦場。女の子なんて絶滅危惧種だ。
「銃を置いて両手を上げろ!」
敵は二人で俺は孤軍。真正面の撃ち合いじゃあ断然不利だ。
俺は観念して愛銃のリボルバーを恋人に対するエスコートのように優しく地面において両膝を地に着けた。
すると奴ら俺の銃を蹴っ飛ばしやがった。当然の扱いと言えば否めないがこれほど腹の立つのは久しぶりだ。
蹴った奴の顔に始めて注目したがにきびだらけの面が引きつっている。大方戦場童貞の新兵だろう。女の味は知らないだろうに難儀なこった。童貞卒業の前に鉛弾にファッ〇されて処女卒業するといいぜ。
すると、天の神様がほほ笑んでくれたのか遥か彼方からの銃声と共に敵の一人がどうと倒れた。味方の狙撃手だ。
俺は迷わず立ち上がり愛銃へと駆け出す。
新兵は突然倒れた兵士から俺へと目を戻し自動小銃を乱射する。
マイダーリンまで5メートル。足元に外れた弾が礫をまき散らす。
マイダーリンまで3メートル。乾坤一擲の跳躍、いよいよ恐慌状態の新兵の雄たけびがクライマックスを迎える。
新兵の乱射が俺にクリーンヒットするか、俺の照準が早いか──
遂に手がマイダーリンにかかる。だが、このまま倒れ込んだらその隙に蜂の巣にされるだろう。
一か八か、俺は宙を舞いながら大口開けたにきび面に照準を構え怒りを込めて引き金を引いた。
俺の気持ちに応えたマイダーリンは憎々しいにきび面に鉛のビンタを喰らわせてやった。
興奮冷めぬ中、俺は絶命した敵に向かって駆け寄ってキメ台詞を言ってやった。
「次があったら、相手の武器も丁重に扱うんだな」
中々の快挙に笑いが止まらなかったがそんな俺の顔を銃弾がかすめた。余裕の表情が引きつる。
敵の新手に気づいた俺は慌てて瓦礫の山に身を隠した。
- 10スレ主21/11/26(金) 23:42:44
トリップわすれてました
再会したのは、雪が舞う山中の中だった。
「遅かったな。いや、むしろ早かったというべきか」
「ここまで、苦労しました。それに、大勢の血が流れた。遅かったというべきでしょうね」
「お前も、大勢斬ったようではないか。剣鬼の弟子もまた、鬼ということだ」
師匠の口が、愉しげに歪んだ。私は腰の刀を、抜き放った。
「貴方をここで止める。それが、弟子である私にできる、最後の務め」
「為せるかな、お前のような未熟者に。鬼が斬れるかな」
狂気入り混じった笑みのまま、師匠も刀を抜いた。静寂。狂気も殺気も、全て内に沈め込んだかのような静けさだけが残り、向かい合った。
固着した。絶対に、こちらからは動かない。師匠の動きは、変幻そのものなのだ。こちらから動けば、必ず後の先を取ってくる。刀をぶらりと下げた構え方が、見る者には隙のように見えるのだ。
- 11二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:43:55
書くってそっちね
- 12スレ主21/11/26(金) 23:44:16
文字オーバーしてしまった
「ふぅん、つまらん」
本当につまらなそうな声。師匠が唐突に、一歩踏み出した。その時には、刀が地を擦り上がり、眼の前に迫ってきていた。後ろへと跳びつつ、刀を横に構える。火花が、いくつも散った。
間合いを置いて、正眼に構えた。上げた刀が、次の瞬間には振り下ろされてきた。その場に残っていれば、頭蓋を半分に斬られただろう。刀を持たせると、まともな動きではない。
再びの、固着。私は息を、深く深く吸った。そして、吐く。白い息の向こう側に、師匠の姿は変わらずにあった。この静けさに耐えられなくなった時こそが、私の負けなのだ。
師匠が、消えた。刀の動きは見えている。再び、下がる。下がった先にも、斬撃が追いかけてきた。初めて、刀と刀がまともに触れた。今度は火花だけでなく、激しい衝撃もある。刀だけは、絶対に手放さなかった。
間合いに、入っていた。こちらから、斬りかかっていく。師匠の体ではなく、刀同士で斬り合うようにした。
距離を取って向かい合うと、師匠は手強い。だが、こちらの刀が届く範囲であれば、その動きを押さえられる。出来るのは、いくらかでも剣筋を知っている、弟子である自分だけだろう。
師匠が、自分から下がった。間合いを取る動き。来た。読み切ると同時に、跳躍した。師匠。眼下にあるその姿に、刀を振り下ろしたが、手応えが無かった。姿が、幻のように消える。
師匠の気配は、背後にあった。振り向いた時には、上段から刀が降ってくる。斬られる。思いつつも、体は動いていた。
転がりながら、間合いの中に飛び込む。肩。鋭い何かが走ったが、こちらも刀を横に薙いでいた。
膝を、ついた。生きている。しばらくして、それが理解できた。肩を、斬られていた。だが、斬り落とされてはいない。
顔を上げた。眼の前に、師匠が仰向けで倒れている。駆け寄ったが、ほとんど、息をしていなかった。
「何故、私を斬らなかったのですか。それだけの暇は、あったはずなのに。何故ですか」
「馬鹿が」
それが、眼を閉じた師匠の、最期の言葉だった。
雪が薄く積もっている。
- 13二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 00:45:57
「師匠!俺にも戦わせて下さい」
「貴様が居たら邪魔にしかならん、早くどこかへ隠れとれ」
異形の軍勢が攻めてくる
街に広がるそんな赤子も信じないような噂話が本当だったと皆が気がついた時にはもう手遅れになっていた
だからこそ、強者として皆が避難するまでの時間稼ぎをしなければならないのだ
どう考えても勝ち目のない戦い
だが、どう説得されても彼の決意は揺らがない
ならばせめて最後まで一緒にと弟子は想うのだ
「俺だってもう立派な戦士です」
「ハッ、まだ14のガキが何を一丁前に言ってやがる」
「俺に一太刀も掠れさせも出来ねえ奴が行ってもただやられるだけだ」
「…俺の方が強ければ良いのですね?」
「ヒヨッコがほざくじゃねぇか…おうよ!漢に二言は無え」 - 14二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 00:48:34
対峙した2人の間に殺意は微塵もないが、それは譲る気も同様だ
互いが絶対に引かない
「フッッ」
仕掛けるのは師匠からだった
上段から振り下ろす神速の刀
それは稲妻の如き軌道で鎖骨に迫る
雷鳴のような風切り音が遅れて響く
弟子は動きを予測しそれを何とか刀で受けるが…
「っ!?」
「前に教えただろ?武器だけを見るなって」
腹部に前蹴りが刺さる
痛みに体勢が崩れた所を狙い、顎を正拳突きが襲う
寝るな、寝るな!という弟子の思いを嘲笑うように頭の中が白くなっていく
ダメだ、師匠が…俺がここで寝たら師匠が…
「でもまぁ…あれだ」
「俺のこの刀を受け止めたのは幾多の剣豪の中でお前が初めてだ」
「誇れ!お前は強い、いつかきっと俺より強くなれるだろうよ」
薄れる意識の中初めて、師匠の笑顔を見た
「あの鼻垂れ小僧がたった数年でよく、俺の最強の刀を受けれたもんだ」
あの剣技は戦いを簡単に終わらせてしまうが故にずっと封印してきた物だ
今回は速攻で終わらせる為、戦闘不能にさせるつもりで打った
まさかそれを初見で受けられるとは
「本当に強く…なったな」
災厄から逃げ出そうとする知り合いに弟子を預けた後、眼前に迫る軍勢を待つあいだの僅かな時間 - 15二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 00:50:34
愛弟子を想い眼を閉じる
最初は親に捨てられていた子供を気紛れで拾っただけだった。だが、接するうちにいつかそれが愛になるのを感じた
天涯孤独の自分にとって初めて出来た息子のような存在
気恥ずかしくていつもぶっきらぼうに接していた
だが、本当はもっと可愛がりたかった
褒めて、抱きしめて、頭を撫でてやりたかった
武の道で右に出る者がいないと自他共に認める己がこんなに不器用な性格であることを初めて知った
感情に浸るのは一瞬
敵はすぐ近く
嫌な匂いが漂ってくる
「ここからは一歩も進めぬと思え!」
刀を割れんばかりに握りながら蠢く万の軍勢に吠える
ここからは散るまで羅刹であろう
それが"愛息子"を守ることに繋がるなら己の限界など軽く超えてみせる
眼を覚ました弟子が周囲の静止を振り切りながら戻った時、そこに最愛の師も、憎むべき敵も誰も立っていなかった
ただ、深紅の海の中心で墓標のように"父"の愛刀が地面に深く突き刺さり月明かりに輝いていた - 16スレ主21/11/27(土) 00:59:32
聖堂に入った瞬間、足元に魔導陣が浮かび上がった。身を投げるようにして飛び出したところに、稲妻が走った。駄目押しの雷魔法まで用意していたようだ。そのまま体で受けたが、大したダメージはない。
立ち上がり様に2発、炎魔法を込めた魔弾を放った。奥の壇上で杖を構えた人影を、飛び込む時に見逃しては居なかった。
思わず、舌打ちした。火の玉ふたつ、命中する前に、見えない壁にでも弾かれたように消えた。派手なフレスコ画に、火の粉が飛び散っただけだ。
「不意打ちとは、ご挨拶だな。信心なんてものとは縁はないが、聖水があってよかったと、初めて思ったぜ」
「ふん。魔銃使いの、鼠賊か」
まだ、若い男だった。杖を持っている。他の魔法使いが使うものよりも、いくらか長く見えた。魔銃を向けても、全く興味を示さない。もう1発ぶっ放ったが、飛び回る子虫でも払いのけるような杖の動作で、払われていた。
「詠唱っての、するのが筋だと思うけどな」
「そんなものは、二流のすることだ。まして魔銃など、魔法力も使えぬ鼠が、薄汚い足でこの聖堂を侵した。万死に値する」
「遺言は、それだけかい」
銃口から火の玉が放たれるのと、杖から水が噴き出てきたのは、同時だった。
- 17スレ主21/11/27(土) 01:00:12
聖堂内を、横に走る。走りつつ、間をおいて3発撃った。2発は炎で相殺し、1発は杖で払われていく。それを、装填しながら見て取った。装填できるのは全部で6発。残りの弾も、潤沢という訳ではない。
「こうなれば、近づくしかねえよなあ!」
足を、魔法使いの男へと向けた。杖が振るわれるが、機先を制するように魔弾を放った。妨げられることなく、男がいる壇上に駆け上がる。
「鼠が、不敬であるぞ!」
男が感情的な叫び声を上げた。杖から炎が噴き出し、鞭のようになって襲い掛かってくる。こちらもダンスのように身を回し、跳躍しながら、弾を放った。
3発、4発。全て防がれた。流石に戦い慣れている、と感心した時、不意に腰が引かれた。いや、身体ではなく、腰のポーチが引き寄せられていた。そこには、残りの魔弾が入っている。
迷う暇はなかった。ポーチを片手で千切り、何とか体勢を立て直した。茶色のポーチは、今は男の前でぷかぷかと浮かんでいる。引き寄せる魔法は、魔法使いの基本中の基本だと聞いたことを、それで思いだした。魔銃では、その類の魔法は使えない。
「こんなもので、私の前に出てくるとは。魔法使いを侮るでないわ、鼠が」
さっきの激情が嘘のように、男は冷笑を浮かべていた。杖を振り、ポーチを遥か彼方へ吹っ飛ばした。とても手が届く距離ではない。
「お前は、楽には殺さん。覚悟するがいい」
「怖いことを言うじゃねえか。まあ安心しろよ。俺の方は、別にお前の命なんていらんからな」
「減らず口を」
残り、2発。1発で男の口を塞ぎ、もう1発は頭上に向け、撃った。
ガラスが割れる音。砕けたステンドグラスが、雨のように降ってきた。これは、賭けだ。男は、破片から身を守るのに集中している。背後を取るのは、容易いことだった。
魔銃を、男の後頭部に突き付ける。
「動くんじゃねえよ。頭が、黒焦げになるぜ」
「嘘を吐くな。お前の薄汚い小道具は、6発が限度とみた。もう弾は無い」
「じゃあ、試してみるか?」
引き金を引くと、男は呻き声を上げ、倒れた。
最初に喰らった、雷魔法。受け止めると同時にその魔力を込めた弾が、一発だけ手元にあった。
装填を見切られない。それが、賭けだったのだ。
- 18スレ主21/11/27(土) 01:02:08
すんません、これはちょっと厳しいかな……
- 19二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 11:14:03
巌流島の決闘を小次郎視点で書いてほしい
- 20二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 20:20:17
- 21二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 20:24:22
大切な幼馴染みとの殺し合い
- 22二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 20:45:35
「・・・参られよ」
右手の打刀を下段に、左手の木刀を中断に構え、こちらを睨め付ける新免。双眸に灯る、強烈な意志を湛えた光。若き日の自分に、かような輝きがあったろうか。
"物干竿"と打刀が、甲高い咆哮を上げながら火花を飛ばした。腕に響く衝撃に実感が無いのは、肉薄した新免の面が、あまりにも強烈に頭に飛び込んできたためであろう。口を真一文字に結んだまま、気勢も上げずにこちらを圧してくる貌に、思わず口の端を吊り上げる。
下段より放たれた岩を断たんばかりの剛剣。新免が一息に勝負を決めにきたことを訝しむが、疑念はすぐに霧消した。
「我が剣を検めるつもりか」
致命の一撃を如何ように捌くか?身のこなしを、太刀の軌道を、目線を、息遣いを、新免は見極めるつもりでいるのだ。若々しい闘志を縛り付けるごとき周到さは、流石あの如水の陣にいただけのことはある。
「光栄なことだ」
新免の攻勢を受け止めながら、晴れがましい思いが胸中に満ちる。額を狙った突き、足払い、半身を捻っての水平斬り。唸りを上げながら風を裂く剣を振るい、早くも体力が削がれていることであろう。老いた自分の剣を見るだけのために、この若人は惜しみなく己の生命を使ってくれる。
剣豪という虚名を持つ身、それに応えぬ訳にはいくまい。
間合いを取りながら、半瞬空を見遣る。燕を飛ばすには、お誂え向きの青空と言うべきか。
ごめん序盤しか書けなかったけど。
- 23スレ主21/11/28(日) 01:06:13
イラスト的には、1対多数で良いのかな?
静かなイラストだけど、激しい感じになってしまった
不意に、黒い影が立ち塞がってきた。2人。地べたにひとり。もうひとりは、すぐ傍らの木の枝の上だった。
森の中である。奇妙な気配は感じていたが、明確なものではなく、気づいた時には地面から湧いたように、いきなり姿を現した。
どちらも、剣を一振り手にしている。湛えている気配は、手練れのものだった。
鯉口を切った。刃を交えずに切り抜けるのは無理だ。それは、頭ではなく、肌で理解した。
対峙はしなかった。地面にいた方が、先に動いた。刃が一度触れ合い、そのまま立ち位置が入れ替わる。背後。頭上。もうひとりが木の上から跳躍してきたが、地面を転がり、何とか死角からの刃を躱した。
身を起こしたところにも、息継ぐ間もなく剣が襲い掛かってくる。刀を細かく使い、何とか切先を弾き返した。
この2人の連携に、隙は無かった。息が、少しずつ苦しくなってくる。
何もできずに、ここで斬られるのか。ここで死ぬのか、そう思った時、背中がかっと熱くなった。斬られた。頭で理解した瞬間、全身に怒りが駆けまわった。
敵。眼の前にいる。剣を振り下ろすよりも先に、腹を蹴り上げた。切先がぶれた剣を、腕ごと斬り飛ばす。前のめりに傾げた体を、頭蓋から両断した。
残ったひとりの動きが、それで固まった。
気合。雄たけびを上げた。背中の傷など、何ほどのものか。敵に肩から体当たりを食らわせ、近くの木の幹に叩きつけた。
追い込んだ。渾身の刀を振り下ろしながら、そう思った。相手を剣ごと、胴体を袈裟切りにした。生温かい返り血が、全身に降りかかってくる。
相手の姿が崩れ落ちた。背後の木も、音を立てて倒れていく。
荒い息が、しばらく収まらなかった。