- 1二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 21:25:13
- 2二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 21:26:01
じゃあダメ
- 3二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 21:26:08
いいんじゃない?
ジャンルを明記した上で続けてくれ - 4二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 21:27:47
ノータイムで出してください…!
ノータイムで、自由に上げてください!
貴重…貴重なんだ! - 5二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 21:28:44
リンク貼ったり露骨に宣伝したりしなきゃ大丈夫だと思うよ
なので貼れ - 6二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 21:28:49
貴様のアカウントを特定してやるぜ
- 7二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 21:28:55
いつでも来い!
- 8スレ主21/11/27(土) 21:33:19
ごめん、何故か暫くスレ入れなくて出すの遅れた。
とりあえず女トレーナーさんが出てくるけどアプリのモルモット君そのものではないです。あと性格もちょっと難ありなので人を選ぶかもしれません。
それでも良い方はどうぞ↓
とりあえず投稿分を小出しします。 - 9スレ主21/11/27(土) 21:37:55
それは人生で二度目の衝撃だった。
たった1人の観客の前で行われた『超光速の粒子』と『皇帝』の併走。
可能性の果てを求め、より速く、より先へと走り行く彼女の目を見て確信した。
ああ、彼女は… - 10スレ主21/11/27(土) 21:39:23
私は今、トレーナー室にいる。
本当ならば練習の為にトレーニング場へ行くべきなのだが、私の担当ウマ娘の場合、ちゃんと参加するとは限らないのだ。現に、ジャージ姿にもならずに目の前で寛ぐ彼女を見れば、自分の判断が間違っていなかった事が分かる。私は思わず溜息をついた。
「何だい、モルモット君。そんなに物欲しそうな顔をして、また被験体になりたいのかな?無論、私は大歓迎だが。」
「そんなわけないでしょ⁉︎」
いきなり物騒な言葉を吐く目の前のウマ娘にツッコミを入れる。彼女の名はアグネスタキオン。誰よりもウマ娘の可能性を追い求めるウマ娘であり、私の担当だ。
「…どうして貴方の担当になってしまったのかと後悔していただけ。」
これは半分嘘、半分本音だ。
彼女の速さを追求する姿勢は尊敬するし、その為の研究だって他人に迷惑さえかけなければ好きにして良いと思っている。だが、同じ『果て』を見たいと願った私が考えたトレーニングを度々無視する彼女には納得がいかなかった。 - 11スレ主21/11/27(土) 21:40:13
「そう言いながら律儀に実験に付き合ってくれるじゃないか。君のそういうところ、嫌いじゃない。」
「放っておいたら誰に何しでかすか分からないじゃない。貴方のトレーナーである以上、私にも責任があるわけだし。」
「うんうん。責任感のあるモルモットで結構。」
そう言ってタキオンは私の前に紅茶を差し出した。トレーナー室へ来ると、彼女はよく紅茶を淹れてくれる。まあ、自分が飲みたいから淹れるだけで、気遣いとかそういうものではない。とりあえずそのまま紅茶を口に運ぶ。
「美味しい。」
「お褒めに預かり光栄だよ。」
私の感想を聞いて満足そうに頷くと、タキオンも紅茶を口に運んだ。見た目といい、性格といい、如何にも大量に珈琲を決めていそうな彼女だが、実は紅茶が好物である。彼女なりにこだわりがあるらしく、その辺の喫茶店より遥かに美味しい。代償として身体の至る所が光ったりするが、そんな事は些事である。
「おお、今回は虹色か…ッ!ブフッ、眩しくて直視フフ、できな…ッ!」
「…。」
そう、だから身体が虹色に発光するなど些事なのだ。こんな事でいちいち動揺していては彼女のトレーナーは務まらない。
「そんな事より、弥生賞の事なのだけれど。」
華々しいデビューを飾った彼女だが、未だにトゥインクル・シリーズについては乗り気ではないようだった。あれ程の脚を持ちながらそれを伸ばさないなど有り得ない。彼女の稀有な才能を無駄にしない為にも、トレーナーとしての責任は果たしたかった。
「言っただろう。君がどう計画を立てようと、出走するかどうかは私が決めると。」
「でも…!」
「悪いが今日は研究の予定が詰まっていてね。ここでお暇させてもらうとしよう。」
「タキオン!」
制止も虚しく、彼女はトレーナー室を出て行ってしまった。これで彼女がトレーニングに参加しないのは5日目だ。GIIとはいえ、目標の弥生賞はかなりの実力者が集うレースである。いくら才能があれど、トレーニング無しで挑めるほど現実は甘くない。
「…スカウトする相手、間違えたかな。」
誰も居ない部屋で、私はぽつりと呟いた。 - 12スレ主21/11/27(土) 21:40:59
「ハァ、ハァ…くっ!」
整えられた芝の上をひたすら走り続ける。
誰よりも『速さ』を追求していた。
誰よりも『走る』事を愛していた。
誰よりも『その果て』を夢見ていた。
「あっ…。」
それでも彼女たちはそんな私を嘲笑うかのように先を行く。
もしも私が『 』だったら。
叶うはずのない夢を見て、今日も私は現実へ帰る。 - 13スレ主21/11/27(土) 21:41:44
「おはよ…ってどうしたの⁈」
「今日もすごい顔しているけど大丈夫?」
「え?あ、おはよう…。」
「貴方の担当、アグネスタキオンだものね。疲れが溜まるのも分かるけれど。」
朝から気分が優れないまま通勤すると、顔を見た同僚たちが驚いた顔で話しかけてきた。どうやらタキオンの所為でやつれていると思われているらしい。そう思われてしまう彼女の普段の行動に頭を抱えつつ、流石に濡れ衣を着せるのは可哀想なので弁明する。
「違う違う。タキオンの所為じゃなくて、VRの所為。」
「VR?貴方、ゲーム好きだったっけ?」
「ああ、タキオンに借りたんだけど…」
それはタキオンと共にトゥインクル・シリーズについて計画を立てようとした矢先に、彼女から渡されたものである。
「仮想世界とはいえ、ウマ娘と同等の身体能力を得られるんだよ?あの時はタキオンにぼろ負けしたけれど、感覚さえ噛み合えばもっと速く走れたと思うんだよね。そもそもウマ娘の筋力は私たち人間のそれを」
「ちょ、ストップ!相変わらずスイッチ入るとこれなんだから。…つまり、ずーっとVR空間で走り続けて気持ち悪くなったのね。」
「やっぱり貴方たち、なるべくしてなったコンビだわ。」
「どういう意味かね?君たちィ…。」
折角の熱弁を遮られてムッとなるが、仕事に支障が出かねないのはトレーナー失格だ。同僚たちからの説教は大人しく受け、今後のタキオンの計画を立てることにした。 - 14スレ主21/11/27(土) 21:43:34
あーでもない、こーでもないと頭を抱えて何時間経ったのか。廊下が騒がしくなって来たのでトレーナー室を出てみれば、授業を終えたウマ娘たちとトレーナーがトレーニング場に向かっていた。気付かないうちに終業の鐘が鳴っていたのだろう。まあ鐘が聞こえたところで彼女がトレーナー室に飛び込んで来ることはないから、特に問題はないが。
「…気分転換に外に行くか。」
どうせ今日も来ないだろうし、ずっと部屋に閉じこもっても何にもならないだろう。折角だからまだトレーナーが決まっていないウマ娘の練習でも見るのも良い。
確かにタキオンは私の理想そのものだった。
しかし、トレーニングにすら顔を出さない彼女に構ってやるほど私は暇じゃない。
正直誰でも良かったのだ。
あの時の感動を自分の手で、いや、自分が育てたウマ娘で実現できさえすれば。
そんな黒い感情を抱えて、私はトレーニング場へ向かった。 - 15スレ主21/11/27(土) 21:45:15
トレーニング場は既に賑わっていた。念入りにストレッチをする者、軽く走って身体を慣らす者、トレーナーと走り方について話し合う者…。そうそう、これが放課後に本来私がやりたかったことだ。
「何やってるんだ?」
「わっ⁉︎」
じっくりと他のウマ娘を眺めていれば、突然背後から声をかけられた。振り返ると、そこに居たのは同時期にトレセンに入ったトレーナーだった。
「君か…。」
「その反応は酷くないか?トレーニング場で見かけるなんて珍しかったから声かけただけだよ。」
どうやら声に出ていたらしい。少し申し訳ないことをした。
目の前の男は普通に良い奴なのだが、養成所に居た頃からどうにも危なっかしいのだ。そしてどういう訳か顔を合わせる機会が多かった私は、その危なっかしいことに巻き込まれるのが常だった。…というわけで、私は若干この男に苦手意識を持っている。まあそんなことより…
「!…珍しい、か。そうだよね、そりゃ彼此何日もトレーニングしてないもんね…。」
「…タキオンさん、また実験しているんですか?」
彼から突き付けられた現実にショックを受けていると、落ち着いた雰囲気のウマ娘に尋ねられた。
「ああ、カフェさん…。」
『お友だち』という不思議な存在を認識していると噂の青鹿毛の少女、マンハッタンカフェ。この男の担当ウマ娘である。 - 16スレ主21/11/27(土) 21:46:04
「今日来なかったら6日目だよ…。」
「マジか。」
「…全くあの人は…。」
予想を超えていたのか、驚きを隠せない様子の2人。カフェさんに関しては呆れ返っている。
「今日も来ないだろうし、折角だから偵察でもしておくよ。特にカフェさんは、タキオンが今後超えていかなければならない壁になるだろうしね。」
「!」
「…へえ、言ってくれるなぁ。だが、トレーニングにも参加しないような奴と比べられるのは心外だ。うちのカフェは強いぞ。そういうのは、タキオンをトレーニングに参加させてから言ってくれ。」
私の発言に対し、彼は眉を顰めた。
彼自身はそう滅多なことで怒らないのは知っている。怒るとすれば、その理由は…
「…そうだね。今のザマで言うのはカフェさんに対して失礼だった。申し訳ない。」
真面目に練習する彼女に対しての侮辱に他ならなかったからだ。担当の為に怒ることができる…そういうところは変わらないな、と私は思った。養成所時代も、彼は誰よりも担当のことを考えられるトレーナーだった。
…私とは違う。 - 17スレ主21/11/27(土) 21:46:27
「…私もタキオンさんに会ったら声かけておきますね。」
険悪な雰囲気を察してか、カフェさんがフォローを入れてくれた。…子供に気を遣わせてしまうとは、私もまだまだだ。
「有難う、カフェさん。君も、トレーニング邪魔して悪かったね。それじゃあ私はここで。」
そう言って私は彼らと別れる。
…何故だか偵察する気は失せていて、私はトレーナー室に戻ることにした。 - 18スレ主21/11/27(土) 21:47:28
トレーナー室のある建物に入ろうとした時だった。
「おーい!待ってくれモルモット君!」
遠くからタキオンの声が聞こえてきた。追い詰められ過ぎて、遂に幻聴の症状が出始めたらしい。…今度精神科にでも行こうか。
「おーい、聞こえているかい?」
何と今度は目の前にタキオンが現れた。
しかもいつもの制服ではなくジャージ姿である。まるでトレーニングに参加する気満々ではないか。夢のような光景だ。
「ああ、幻聴だけじゃなくて幻覚まで…。どうしよう、今日はもう帰」
「待て待て待て。私は本物だよ、モルモット君。どうしたんだい、まさか危ない薬でも飲んだんじゃ…」
「いや貴方に言われたくないわ!」
いつも実験と称して怪しげな薬を飲ませる輩が何を言うのだ。と、ツッコミを入れたところで正気に戻る。どうやら目の前に居るのは本物のタキオンのようだった。 - 19スレ主21/11/27(土) 21:48:20
「全く。折角トレーナー室まで迎えに行ったのにどこにも居ないから探し回ったよ。折角の貴重な時間が無駄になってしまった。」
と、不満げに言うタキオン。とりあえずトレーニング場へ戻ってきた私たちだが、どういう訳か私は正座させられていた。
「え、というかどうしたのその格好。」
「何って…走る為さ。流石に制服でトレーニングは無理があるだろう。」
「ハシ…ル…?」
「おっとこれは重症だね。ほらほら水でも飲んでしっかりしたまえ。」
手渡された水を口に流し込む。冷えていたからか、大分落ち着いてきた。成程、走るからジャージだったのか。
「…走る気あったんだ。」
「当然だろう。私が何の為に実験していると思っているんだか。…そんなことより、ようやくサンプルが完成してね!一刻も早くタイムを取りたい!」
そう言って彼女は私の部屋にあったはずのストップウォッチを手渡すと、駆け出した。私は反射的にボタンを押す。
「ハッ…ハッ…!」
「…ハハハハハッ!恐れるな、もっと速く、もっと速くだ‼︎」 - 20スレ主21/11/27(土) 21:48:41
夢中になってダートを駆ける彼女の姿は、やはり、狂気的で、それでいてどこか儚くー
スカウトを決めたあの日の彼女と重なった。
「…。」
相変わらず、自由奔放なウマ娘だ。そんな彼女に振り回される日々には嫌気が差していたが、やはりあの走りは本物だった。
彼女なら、タキオンならばきっと『その先』
へと行けるはずだと確信する。
ーそれから暫く、彼女が夕日に照らされ疾走する様を、息を詰めて見つめていた。
因みに、それを眺めていた私の髪の毛は緑色に発光していた。 - 21スレ主21/11/27(土) 21:49:03
…当時の彼女は、今でも脳裏に焼き付いている。もしも、もしもあの時に抱いた想いを忘れずにいたら、彼女の想いに寄り添うことができていたのなら、こんなことにはならなかっただろう。
弥生賞、そして皐月賞を制した『超光速の粒子』。
彼女は、皐月賞を最後にその走りを止めた。 - 22スレ主21/11/27(土) 21:49:37
とりあえず投稿分はここまでです。
お目汚し失礼しました…。 - 23二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 21:50:59
めっちゃ長編でびっくりした
ゆっくり読ませていただきます。ありがとう - 24二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 21:51:08
- 25スレ主21/11/27(土) 22:13:22
有難うございます。筆が乗ったのでここまで書けましたが、スピードに波があるのでなるべく頑張って続き書きます。
- 26スレ主21/11/27(土) 23:48:19
改めて他の方々のSS見ましたが、私のやつスレ向きじゃないですね。スレ落ちるまでに続きを更新できそうにないので、もしpixivで作品見つけたらのんびり見守ってやってください。
- 27スレ主21/11/28(日) 09:15:11
ちょっとだけ続き書いときます。これから仕事なので多分終わった頃には消えてそうですが。
- 28スレ主21/11/28(日) 09:15:37
そのレースを観た時、身体中を電流が駆け回ったかと錯覚した。
何てことのない地方のメイクデビュー戦。
その中で後続を大差で引き離し、意気揚々と駆け抜けて行くウマ娘がいた。
『この舞台は私が主役だ。』
彼女がそう言ったわけではない。だが、その走りが、目が、レースを観る者全てに告げていた。
そのままスピードを緩めることなく、彼女は栄光を手にした。鳴り止まない拍手と歓声が耳から離れない。
あんな速さで芝を駆け抜けるのはどれだけ気持ち良いのだろう?ただひたすらゴールに向かって風を切るのはどれだけ愉快なのだろう?
気付けば、私は共にビデオを観ていた母に宣言していた。
「おかあさん!わたし、『 』になる!」
子供とは無邪気で、時に残酷だ。
その時の母が何と返したか、よく覚えていない。ただ、申し訳なさそうな顔をしていたことだけは記憶に残っている。
その夢が決して叶うことがないと知るのは、それから1年後のことだった。 - 29スレ主21/11/28(日) 09:16:19
養成所に入って先ず叩き込まれるのは、担当ウマ娘との信頼関係の築き方だ。どんなに知識や技術があろうと、それを押し付けるだけではレースを制することなどできないと。まして、ウマ娘が本格化を迎えるのは大抵多感なお年頃だ。「これがどういうことか分かるか?」と、何処か遠い目をして話す中年おっさんの教官を見て察した。…何だこれ、男トレーナーめっちゃしんどくね?と1日目で感じたのは記憶に新しい。
まあ、それでもウマ娘とトレーナーは二人三脚でやっていくしかない。だからこそ、担当ウマ娘が全力を出せるような環境を整えようと思った。特に取り柄のない俺だったから、余計にそう思ったのかもしれない。そんな努力が報われたのか、ただ運が良かっただけなのか、マンハッタンカフェという優秀なウマ娘の担当トレーナーとして俺は今此処にいる…わけだが。
「…というわけで、プランB開始だ。二人三脚、いや三人四脚で頑張ろうじゃないか!せいぜいウマ娘の脚に置いていかれないことだね、カフェのトレーナー君。」
いつの間にかアドバイザーが増えていた。 - 30スレ主21/11/28(日) 09:16:49
とりあえず此処まで。