【SS】セメウケタキオン

  • 1二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:24:14

    「ん~……」
    カフェは、いつも実験を断る。
    いやまぁ、確かに私が薬を仕込んだり、節操なく何度も絡んだりしているからなんだが…
    にしてもさすがにこう、友人としての進展が欲しいという気持ちもなくはない。まぁ、友人呼びはカフェがものすごく嫌な顔をするのだが。
    …もしかすると、私が悪意をもって接していると思われているのか?
    この前だってそうだ、ポッケ君にパフェを振る舞おうとした時も「罠」だとキッパリ言われた。
    私はそんなに信用がないのだろうか……
    そうだ。
    じゃあ単純に好意をアピールすれば良いんだ。安直だがそれが一番分かりやすいし、決して嫌がらせがしたい訳ではないというのが伝わるはず。しかも実験にも移りやすくなるはずだ。
    そう、私はカフェが嫌いなのではなくてカフェが好きなんだと伝われば良いんだ。
    そうと決まれば早速それを意識して立ち回ってみようじゃないか。
    より良い実験の日々を得るために!

  • 2二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:24:37

    期待

  • 3二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:25:18

    翌日、旧理科実験室にカフェはいた。つまり、今日はチャンスということだ。
    「おやおや、カーフェー~、いたなら挨拶ぐらいしてくれても良いじゃないか~」
    「…なんですか、用がないなら行きますが」
    「…君はそうやって毎度私に冷たくするよねぇ、私はこんなにもカフェのことを愛しているというのに!」
    そう言うとピク、とカフェの耳が反応したかと思えば、面倒臭いと言わんばかりにため息を吐いてくる。
    「……何かの実験ですか?からかうのも大概に…」
    「いや、本心だが?私は良い友人としてカフェのことを好いている。だからこうして構っているんだよ?これは嘘じゃない、本当のことさ」
    少し固まったあとに、立ち上がってこちらを一瞥しながらカフェは歩き始めた。
    「……どうせ…上手いこと言いくるめて実験にこぎつけるつもりでしょう…引っ掛かりませんよ……」
    「あ、カフェ!…行ってしまった」
    上手いこと言いくるめて、か……
    …結構、本当のことのつもりなのだけれどねぇ。

  • 4二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:26:18

    また別の日、カフェテリアでのことだ。
    今日は普通に飲食に来ただけなのだが、よく見るシルエット。
    間違いない、カフェだ。
    「カフェ~!こんなところにいたのかい!後ろ姿からでも愛らしいなカフェは!好きだぞ~?」
    背後から軽く抱きつきいつも通り鬱陶しいくらいのテンションで話しかけると、露骨に嫌そうな顔をしながら振り向いてきた。
    「タキオンさん、抱きつくのは止めてください……。…あとその胡散臭いセリフはなんですか」
    「おいおい、私の好意を疑わないでくれよ~、私は本当にカフェのことを友人として好ましく思っている!じゃなきゃこんなに君に構わないだろう!?」
    「……」
    「無言が一番傷付くんだが!?」
    少し耳を動かしながら何とも言えない表情のまま黙るカフェ。
    機嫌が取れたようにも不機嫌なようにも見えず、いつもの仏頂面が崩れているわけでもないので心情がよく読めない。しばらくそのままの状態が続くと、ようやく口を開いた。
    「……離してください」
    「ん?ああすまないね、苦しかったかな?」
    「いえ別に、あまり近付かれると何をされるか分かったものじゃないので」
    「んー?心外だねぇ、さすがにそんな不意打ちじみたことはしないさ」
    「うるさいです。座るなら早く座ってください」
    「おや、なら座らせて貰うよ。そういえばこの前──」
    ……今日は、まだ話に付き合って貰えたような気がする。少しだけとはいえ雑談に付き合ってくれるようになったのなら十分な進歩と言えるかもしれない。
    今までだとはいはいそうですかって感じで話を切られていたからねぇ……
    いやはや!たまには強気に行ってみるものだねぇ!!

  • 5二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:27:26

    またまた別の日、旧理科実験室。

    大体カフェと私が会うとすればここだ。
    ちょくちょく好意のアピールを仕掛けてきたが、そもそも、カフェは案外押しに弱いのというのは知っている。
    なので、ここは押させてもらうことにしようじゃないか。
    そう考え、前のように抱きつこうとしたら普通に避けられた。
    「…カフェ?」
    「いや、普通に…抱きつかれたら暑いです……」
    「えぇ……じゃあどうやってアピールすればいいんだい……」
    「何もしなくて良いですよ……あなたが勝手に絡んできて迷惑しているだけです」
    「カフェ好きの私にずいぶん寂しいことを言うじゃないか……好ましく思っている相手から離れろというのかい?」
    「……そんなに好き好き言っていると言葉の価値が下がりますよ」
    「安くても買い叩いてくれるならそれで良いさ、その分大量発注して売り払ってあげようじゃないか」
    「…勝手にしてください」
    「……ふぅン、じゃあ勝手にさせてもらおうか」
    「えっ……ちょ、ちょっと……」
    突然のことで驚いているのか、珍しく狼惑しているカフェを尻目に私は強引に腕を掴み引き寄せた。
    そして思い切り抱きしめる。
    「……!ちょっと…何を…!」
    身を捩りながら抵抗するカフェだが、私がめちゃくちゃしつこくすると色々悟ったのかすぐに大人しくなった。
    「カフェ、私の最近の行動は全部私なりの愛情表現だ、これもそれの一つ。決して君を嫌ってのことではない。……伝わってくれたかい?」
    「…はいはい…もう分かりましたから離してくれませんか」
    「ダメだよ、君も素直になってくれないと分からないからねぇ?」
    「……」
    またあの時みたいに沈黙が流れる。
    ものすごくやりにくい…が、趣味も違えば嗜好品すら違う以上、私も多少強引に行かなくてはダメだと思ってね、分かってくれよカフェ。
    そういえばなぜ私はこんなにカフェに好意を押し付けているのだったか。
    カフェのことを好いているのを分かって欲しい、それ以外に?
    ……なんだか本題を忘れたまま事を進めている気がするぞ。

  • 6二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:28:26

    ……まぁ良いだろう、今は目の前にいるカフェに構うだけだ。
    少しの間ずっと抱きついていると、どういうわけだか、珍しくカフェの方からも手を回してきた。
    「……タキオンさん…一つ言っても……?」
    「ん?どうしたんだい?」
    「タキオンさんは勝手すぎます。いきなり距離を詰めてきて、いつも鬱陶しくて……これも実験の一貫なんじゃないですか?」
    ……な、なんだか声のトーンが可笑しくないかカフェ?
    そんなことに気を取られていると尻尾の方に違和感を感じた。
    ……尻尾が交わっている。
    …これ最近流行りの尻尾ハグだ!?
    「カ、カフェ?少し君の様子がおかしくないかい?尻尾も……」
    「あぁ、これですか?あなたの言う『愛情表現』ですが?」
    「いやでも、少しカフェらしくないというかなんというか…!?」
    「何がですか…人を散々からかっておいて……」
    「からかってなんか…!アレは私の友人としての本心で…!」
    「うるさいですよ……いつもいつもそうやって内心楽しんでるんでしょう?」
    ドスの効いた声でそう言い放つと、カフェの全力をもって私はソファーに押し飛ばされた。そのまま勢いで倒されてしまったが、クッション性のある柔らかいソファーだったおかげで痛みはほとんどない。
    ……が、カフェの方がおかしいというか、何か堪忍袋の緒が消し飛んだような勢いを持ってしまっている。
    私の言うことなんか知ったことか、といった感じでまさしく問答無用。おかしいねぇ何か怒らせるようなことしたかなぁ!?
    「…タキオンさんは私を実験動物か愛玩動物かと思っているんでしょうが、私はあなたを襲うこともある獣なんですよ」

  • 7二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:28:36

    そう言いながら、私の上に跨ってきた。
    「……えっ、あの、カフェ?」
    「あなたが安値でも良いから愛情を買ってくれと言ったんでしょう……買ってあげますよ、品切れになるまで」
    両手は恋人繋ぎで抑えられ、カフェの尻尾は私の脚に巻き付いている、おまけに細身とはいえカフェの体重が身体に乗っているんだ、逃げられるわけがない。
    「カ、カフェ!落ち着いてくれ!一旦冷静に……!」
    必死に説得を試みるが聞く耳持たず。
    むしろさらに密着してくる始末だ。これはまずい、非常にマズイ状況だ。
    やはり、好意を伝えるには直接的過ぎたのかもしれない、そう後悔してももう遅い。
    そもそも何でこんなにカフェに好かれようとしてたのか、頭がパニクっている今余計に思い出せない。
    私はカフェのことが…友人として好きで……
    じゃあ別に良いじゃないか。
    いやこうされたくてやったわけじゃないだろう?
    だが今はカフェが積極的に向かってきてくれているぞ?
    こうなるとは思ってない…!
    もはや何が正解か分からない、頭も纏まらない。
    あぁ、もう──
    「獣相手に餌掲げて誘ってきたんです…覚悟はできてますよね……」



    好きにされても────別に良いか。





    おわり。

  • 8二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:30:55

    押しに弱いのは一体どっちなんですかね……

  • 9二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:39:53

    どんどんフラストレーション溜めさせられて爆発するカフェが良い…

    ちなみにこういう攻めしてた子が受けに回っちゃうのはなんてジャンルなんですかね

  • 10二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:50:26

    タキオンは割かし健全な攻め方なのにカフェが相変わらずインモラル……

  • 11二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:52:23

    カフェ以外にしても扱い変わるんかな

  • 12二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 23:57:29

    最高のカフェタキだ!!!!(スタンディングオベーション)

  • 13二次元好きの匿名さん23/05/09(火) 00:18:13

    これは飢えた猟犬なカフェ!

  • 14二次元好きの匿名さん23/05/09(火) 06:33:26

    >>9

    多分リバ受けとかそういうのにあたる

  • 15二次元好きの匿名さん23/05/09(火) 06:37:55

    リバーサイドカフェ?

  • 16二次元好きの匿名さん23/05/09(火) 18:30:39

    >>8

    どっちも押しに弱いけどカフェの反撃力がおかしいだけだぞ

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています