- 1二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 15:35:57
- 2二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 15:37:39
このユニバースだと蓬とか一定の条件で覚えてる奴がいたりする?
- 3二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 15:37:46
全員曇るやつじゃん
- 4二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 15:38:13
確かグリッドマンの初期構想がそんな感じだった
監督がヒーロー=孤独な存在って考えだから戦い続けるうちに裕太が学校にもいられなくなって~みたいな - 5二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 15:38:14
ハイパーエージェント響裕太ユニバースか…
- 6二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 15:39:11
新世紀中学生とグリッドナイト同盟、あと蓬くらいかな?
- 7二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 15:50:15
- 8二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 15:53:15
新世紀中学生のジャンクとして活動するのか…?
- 9二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 16:02:17
- 10二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 16:22:06
- 11二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 16:38:05
- 12二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 16:40:03
- 13二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 19:34:42
こうなっても裕太はグリッドマンは悪くないよって言う確信がある
- 14二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 19:36:26
片目蒼色片目金色の黒スーツ姿のハイパーエージェント響裕太が見たくないかと言われれば凄い見たい
- 15二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 19:51:29
記憶から消えて姿も現さなかったらさすがに六花も別の恋する可能性あるかな?
- 16二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 19:54:11
定期的に電話かけてる蓬とかいるんかな
- 17二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 03:23:15
- 18二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 06:15:22
- 19二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 06:26:19
こんなん言われたらもうグリッドマンは何も言えないよなぁ…
- 20二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 16:16:14
明るい感じじゃなくて「グリッドマンは…、悪くないよ…」みたいな暗い感じだと個人的には良い
- 21二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 20:05:03
グリッドマンユニバースの事件が解決してから一年、響裕太を取り巻く環境は大きく変化した。
宇宙規模に拡大したグリッドマンとのアクセスフラッシュによって、二人の肉体は完全に一体化することになり、グリッドマンと響裕太は一心同体となった。それ以来、裕太は新世紀中学生の「ジャンク」として活動している。
服装はツツジ台高校の制服から新世紀中学生の黒いスーツになり、一体化した影響か、瞳は青と黄のオッドアイになっていた。
しかし、裕太にとって最も大きな変化は、一体化による大きすぎる代償だった。
「ハァ…ハァ…」
今日もまた、ある世界に出現した怪獣を討伐するべく、裕太はグリッドマンに変身し、これを打ち破った。
『裕太、無理をしすぎているのではないか?』
グリッドマンが心配するのも無理はない。裕太はここ最近、休むことなく戦っている。実体を持たないグリッドマンはともかく、あくまで生身である裕太には、疲労とダメージが確実にたまっていた。
「大丈夫だよ、グリッドマン。世界を救うためにやらなきゃいけないことだから。それに……もう俺の帰りを待ってくれる人はいないからさ」
裕太のその言葉に、グリッドマンは心底申し訳なさそうな顔をした。彼の人生を滅茶苦茶にした原因である自分が、それ以上何を言えるのか。 - 22二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 20:07:05
あの事件によって、グリッドマンと一体化した裕太は、存在すらグリッドマンと同一になった。その影響で、元居た世界の人間たちの記憶から、響裕太の存在は消滅してしまった。クラスメイトや両親はもちろん、グリッドマン同盟の内海に、六花も…。
忘れられた悲しみに耐えきれず、使命を言い訳にして、逃げるようにその世界を去った。しかし運命は、再び裕太に試練を与えようとしていた。
「お疲れさん」
ボラーの声に振り返ると、新世紀中学生とグリッドナイト同盟が揃っていた。ここにいる全員が、響裕太の記憶を失わずにいる。
「響裕太、あまり勝手な行動をするな」
叱るような口調でナイトは言う。ハイパーエージェントとして活動してからは、よく彼に窘められる。
「ごめん、でも本当に最近怪獣が多くてさ、みんなはなるべく温存しててほしいんだよ」
「そのことだが、最近かなりの頻度で怪獣が出現する原因がわかった。」
マックスはそういうと、レックスに視線を送る。突き止めたのは彼のようだ。
「どうやらマッドオリジンの因子が、ユニバースを越えて暴れ始めたみてぇだ。これからその大元を叩きに行くぞ」
それはすなわち、あの世界へ回帰しなければならないことを意味していた。
「だ、大丈夫か裕太」
「グリッドマンに意識があれば、僕らだけでも戦える。裕太君、無理について来ることないよ」
キャリバーが尋ね、ヴィットも続く。彼らだけでなく、ボラーとマックス、レックスにグリッドナイト同盟の二人もまた、一様に裕太を気遣う視線を送る。
「ありがとうございます、キャリバーさん、ヴィットさん。でも、俺が行かないとグリッドマンは戦えないし、フィクサービームで街も直せない、俺も行きます」
裕太の言葉に、表情を明るくさせる者はいなかった。 - 23二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 20:10:22
二代目の開けたパサルートを抜けると、眼前に怪獣が見えた。
「もう暴れ始めてる!」
『裕太!アクセスフラッシュだ!』
グリッドマンの呼びかけに応えて袖をまくる。露になったプライマルアクセプターが装着された左腕を縦に構え、右腕をクロスした。
「アクセスッ…フラッシュ!」
その瞬間、裕太の体が光に包まれ、体積を増していく。その光が徐々にグリッドマンを形作り、体に色彩が宿った。
「グオァァァァァ」
変身して即、怪獣の首に蹴りを見舞う。この世界の戻る原因となった怪獣に、手心など加えるつもりはなかった。
〈グリッドォォォ…〉
怪獣を睨むように、左腕の手甲が光る。腕の矛先を向け、必殺の光線を放つ。
〈ビィィーーム!〉
光線が怪獣を貫き、爆発と共に吹き飛ばす。爆炎が収まり、怪獣の撃退を確認すると、破壊された街に目を向け、修復の光線を放つ。
〈フィクサービーム!〉
光のシャワーが、街の隅々にまで行き届き、瞬く間に怪獣の痕跡を消していく。街の全快を見届けると、裕太は変身を解いた。
すると、二つの足音が近づいてきた。収縮していくグリッドマンの光を追ってきたのだろう。
「「グリッドマン!」」
曲がり角から現れたその二人は、忘れるはずもない、内海将と宝多六花だった。
「りっ…!」
思わず名前を呼びそうになり、咄嗟に唇をかむ。
彼女はもう自分のことは覚えていない、頭ではわかっているが、今もなお想い続けるその人を目にすると、何かを期待せずにはいられなくなる。
「誰…?」
だが、彼女の一言によって、期待はたやすく打ち砕かれる。自分は果たして、顔に出さずにいられていただろうか。
再会の喜びと、やはり去来した絶望がせめぎ合い、涙腺を刺激する。それでも、こみあげてくる涙をこらえ、裕太は二人に笑って言う。
「初めまして、新世紀中学生のジャンクと言います」 - 24二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 20:11:22
情動が抑えきれずに書きました。
設定やセリフはレスからいくつか拝借しました。 - 25二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 20:16:14
グリッドマン周りの人達は覚えてくれてるのが救いだな
でもあの二人が忘れてるってのはやっぱ辛いな・・・・ - 26二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 20:55:06
心臓がキュッてなった...
- 27二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 22:53:01
グリッドマンの残りカスであり、同盟が確かに存在した唯一の証拠のダブルミーニングだよね
>ハイパーエージェント「ジャンク」
- 28二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 23:11:00
SS投稿ありがとうございます!
- 29二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 08:48:09
グリッドマンの心が耐えきれない……
- 30二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 08:52:51
もし仮に映画やテレビでこんな展開なってたらグリッドマンアンチになってたかもしれん
少年一人の幸福も守れねーで何がハイパーエージェントだよって - 31二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 10:45:11
スパイダーマンに関してはNWHで一応一区切りついてるから良いけど(今後のマーベル作品で何かあるかもだが)、
こういう今までの仲間達が主人公の記憶を失ったパターンで、でも作品そのものは続く場合って最後に仲間達の記憶が戻るのと、ずっと失ったまま作品が完結するのとどっちが良いんだろ - 32二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 16:41:10
話していくうちに誰かが新世紀中学生になった経緯聞いちゃって裕太がめっちゃ曇りそう
- 33二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 17:26:36
高校生の大事な2ヶ月間を奪った挙げ句、その罪悪感の尻拭いをまたその高校生にしてもらい、その恩人に関する全ての記憶を恩人の周りから抹消することになって人生をめちゃくちゃにして、永遠の戦いに身を投じさせるってことだからな
文字にするだけでヤバいなこれ
- 34二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 17:44:55
- 35二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 18:20:25
NWHピーターと違って裕太は自分に非が一切ないからなあ…ピーターとは違う悲惨さがある
- 36二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 23:18:14
ところで忘れられること、ちゃんと一体化する前に伝えてるよね…?
- 37二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 07:28:42
- 38二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 13:03:07
流石に畜生すぎるから、グリッドマンでも想定できなかった事態だと思いたい
- 39二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 23:32:23
それ真相知ってる蓬が一番つらいやつ…
- 40二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 08:31:23
背も伸びてると良い
- 41二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 18:45:25
再会を果たしたグリッドマン同盟、そこに新世紀中学生とグリッドナイト同盟も合流し、内海と六花に事情を話すことになった。マッドオリジンの因子によって、再び迫りくる危機に、二人は表情を引き締める。
また、因子のエネルギーから発生する脅威が予測できないため、戦力は少しでも多いほうが良い。そこでグリッドナイト同盟とレックスは、麻中蓬をはじめとしたガウマ隊に協力を仰ぐべく、一度この世界を離れることになった。
「でー、やっぱり皆さんウチに泊まるんですね…」
そして宝多家には、グリッドマン同盟の二人と、新世紀中学生の面々が集結していた。
「また怪獣出るかもしれないじゃん」
「い、異変の正体を、突き止めるまでだ」
「もちろんお店も手伝いますし」
ボラーの釈明に、キャリバーとヴィットも続く。意図してか知らずか、一年前と全く同じ返答に六花は苦笑する。
そこで六花はふと部屋を見回す。するとジャンクの姿がないことに気が付いた。
「あれ?ジャンクさんは?」
「あー…、あいつは「これ以上厄介になるのは申し訳ない」って、適当なホテルに泊まるってよ」
「えー…、いまさら一人くらい気にすることないのに…」
今は新世紀中学生の四人だが、どうせ蓬たちもここに泊まることになるのだ。ジャンク一人いなくても、それほど違いはないはずだった。
「ジャンクさんと、ちょっと話したいことあったのにな…」
六花のその言葉に、新世紀中学生のメンバーが一様に驚いた表情を浮かべた。彼らを代表し、マックスが彼女に尋ねる。
「…ジャンクのことが気になるのか?」
「いや、気になるっていうか、うちの店と同じ名前だからちょっと…、偶然だなと思って」
何とはなしに言う六花に、マックスは少し悲しそうな顔をして「そうか」とだけ返した。 - 42二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 18:47:36
暗い夜道に一人佇む裕太、その視線の先は一軒のマンション。この世界で自分が暮らしていた住居だった。
グリッドマンとの一体化が、この世界に与えた影響は記憶だけではない。裕太の部屋はその内装を変え、戸籍や母子手帳、カレンダーに記された花丸まで、一縷の望みも許さないとばかりに消失していた。
住居だけではない、母校であるツツジ台高校にも、響裕太という人間が在籍していた痕跡は消え去っていた。
この世界に自分の居場所はない。「ジャンク」という新世紀中学生としての名前は、それでも自分がこの世界に確かに存在したという証明と、少しの自虐だった。
「ホテルって、どこにあったかな…」
そう呟いた時、裕太の左ポケットから電子音が鳴った。携帯の液晶に映っていた名前は、裕太があらゆるものを失ったあの事件で、唯一得たといっていい存在だった。
『もしもし裕太?元気だった?』
「久しぶり、蓬」
電話の相手は、別世界で暮らす友人、麻中蓬だった。
グリッドマンとの一体化は、裕太の世界だけでなく、蓬の世界の住人達にも影響を与えた。しかし、蓬だけは怪獣との結びつきの影響か、記憶を失うことはなかった。
今の裕太にとっては、時々する蓬との他愛もない通話が、数少ない楽しみの一つだった。
『ガウマさんから連絡受けてさ…、明日皆でそっちに行くよ』
「ありがとう、心強いよ」
いつもなら、お互いの近況報告となるところだが、事態が事態なのでそうもいかなかった。
しかし蓬は、この事態だからこそ、どうしても聞きたいことがあった。
『あのさ、裕太。』
言葉に詰まる。自分がそれを言ったところで、裕太の現状に何の効果をもたらすというのか。それでも蓬は、裕太に聞かずにいられなかった。
『その…、六花さんとは…』
蓬がそう言った刹那、裕太の袖から光が溢れ、Gコールが鳴る。 - 43二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 18:49:05
『どうした裕太!何の音⁉』
「蓬!怪獣だ、怪獣が現れる!」
『わかった!今すぐガウマさんたちと行く!』
そう掛け合った後に電話を切る。まもなく地震が発生し、怪獣のうめき声が聞こえる。裕太はすぐさま袖をまくってアクセプターを出し、グリッドマンに呼びかける。
「グリッドマン!」
『裕太!共に戦おう!』
グリッドマンへの返答代わりに左腕を縦に構え、右腕をクロスした。
「アクセス、フラッシュ!」
裕太の体に、また光が灯った。 - 44二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 19:03:49
>>23まで読み返して裕太が可哀そうすぎたので、裕太を救うべく続きを書きました。
- 45二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 19:39:55
これは期待
- 46二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 04:42:01
良いね
- 47二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 06:05:09
みんな情動が煮詰まってるのか良質なss書きが増えて来て嬉しいねぇ!(アレクシス並感)
- 48二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 07:30:48
ジャンクって名前をしてるのにアクセスフラッシュにジャンクを必要としない...この裕太実質ハイパーエージェントなのでは?
- 49二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 13:36:03
このレスは削除されています
- 50二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 20:03:51
グリッドマンの器になってしまった裕太
…かわいいねぇ - 51二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 23:34:36
裕太がアクセスフラッシュする少し前、ジャンクショップ「絢」の面々も怪獣の出現を察知していた。
内海に六花、新世紀中学生がジャンクの前に集まると、怪獣に相対するグリッドマンの姿がジャンクに映った。そこで内海がふと疑問を口にする。
「そういえば、グリッドマンはジャンクがないと変身できないんじゃありませんでしたっけ?」
これまでグリッドマンは、ジャンクから自分たちが戦闘コードを打ち込むことで、現実世界に現れて戦うことができるようになっていたはずだ。
「あ、えっと…、ジャンクの奴が来てからは、無くても変身できるようになったんだよ」
「なるほど!だからジャンクさんなんですね!」
「そ、そーなんだよ!役割が一緒だからってことで~」
「とにかくジャンクに続け!全員で行くぞ!」
内海の質問にしどろもどろになるボラーをフォローするように、マックスが号令をかける。
「アクセスコード、バトルトラクトマックス!」
「アクセスコード、グリッドマンキャリバー!」
「アクセスコード、スカイヴィッター」
「アクセスコード、バスターボラー!」
四人が光と化し、ジャンクに吸い込まれていく。
その光を追う六花は、視線の終着点であるジャンクを見て、これが一年間店にあった事実に疑問を抱く。
(ジャンクさんはまだ居なかったのに、なんで事件の後にこれを持っていかなかったんだろ?)
アレクシスケリヴの事件を解決した後、グリッドマンたちはジャンクを持って行ったはずだ。
だがグリッドマンユニバースの事件が終わっても、それは店の中にあり続けた。ジャンクが加入する前だというのに。
そんな六花の疑問を吹き飛ばすように、街中に轟音が響いた。 - 52二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 23:36:29
〈〈〈〈〈超合体超人、フルパワーグリッドマンッ!〉〉〉〉〉
合体を果たしたグリッドマンは、怪獣につかみかかる。だが、圧倒的なパワーを誇るフルパワーグリッドマンでさえ、この怪獣には力負けしてしまう。
「グオォォォォァ!」
〈グッ!なんてパワーだ!〉
〈接近戦は不利だっ!遠距離から仕掛けるぞ!〉
そういうとグリッドマンは怪獣と距離を取り、ミサイルポットを展開させた。
〈バスターグリッドミサイルッ!〉
「ガァァァッ!」
ミサイルの轟音に対抗するように怪獣が咆哮する。それが音波のバリアとなり、ミサイルが防がれる。しかし、グリッドマンは、ミサイルを撃ちながら、すでに次の行動に移っていた。
〈〈グリッド、キャリバー…〉〉
ミサイルの煙をかき分けて、グリッドマンキャリバーを上段に構えたグリッドマンが、怪獣の眼前に躍り出た。
〈〈エ——ンドッ!〉〉
グリッドマンはそのままの勢いで、刃を渾身の力で振りぬいた。だが…
「ガァ!」
〈何だとっ!〉
袈裟切りにするつもりだった刃は、ガキンと鈍い音を立てて、怪獣の肩口で弾かれてしまった。
〈ダメだっ!刃が通らないっ〉
〈こ、これは…〉
フルパワーグリッドマンを上回る力、ボラーのミサイルを封じる音波攻撃、グリッドマンキャリバーが通らない強靭な表皮。あまりにも都合がよすぎる。 - 53二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 23:38:34
〈まさかっ…我々の攻撃手段が把握されている⁉〉
〈元がマッドオリジンだから、その性質も受け継いでるんでしょ〉
マッドオリジンはグリッドマンへの執着から、相手の取りうる手段をすべて把握していた。その因子から生まれた怪獣ならば、グリッドマンの戦いに対する適応力を受け継いでいたとしても不思議ではない。
〈どうすんだよ、このままじゃじり貧だぞ!〉
怪獣の性質がわかったところで、対抗策がなければ意味がない。ボラーは焦りを含んだ口調で尋ねた。
〈大丈夫っ!もうそろそろ…〉
「なんとかビーム!」
裕太の言葉を遮るように、怪獣の頭上から珍妙な技名と共にビームが降ってきた。
「ガァァァ!」
不意打ちにはさすがにダメージを受けたか、よろめく怪獣の前に、赤い竜人が現れた。
〈〈〈〈〈ダイナゼノンッ!バトル、ゴー‼〉〉〉〉〉 - 54二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 07:54:23
ここの内海は友達とうまく付き合ってるけどもう一人友達がいる気がして
「イマジナリーフレンドじゃあるまいし」と考えてたり
六花さんは好印象すらある男子に告白されても「理由もなく」断ってたら俺得 - 55二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 14:32:18
保守
- 56二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 22:45:42
〈待たせたな大将!〉
レックスの言葉と共にグリッドマンの方を向いたダイナゼノン。それに続いて、グリッドナイトも上空から現れる。
〈グリッドナイト、サーキュラーッ!〉
紫の光輪が、怪獣めがけて飛ぶ。しかし、怪獣はボラーのミサイルのように、音波のバリアを張って防いでしまった。
〈何⁉〉
〈アンチ、奴はマッドオリジンと同じだ。我々の攻撃は予測されて対策してくる。〉
驚くグリッドナイトに、キャリバーが先ほどの考察を告げる。
「じゃあ!あの時みたいにみんなの力を!」
〈いや、おそらくはローグカイゼルグリッドマンも同じだ。マッドオリジンを倒した形態を学習してないとは思えん〉
「えぇ⁉じゃあどうするんですか、それじゃ打つ手がっ!」
うろたえるちせ。彼女のように言葉は発さないが、暦と夢芽、そしてレックスも同じ心情だった。しかし、蓬だけはそれを聞いて、少し逡巡した後に言った。
「……ひとつ、俺に考えがあります。予測されても対抗できないように、動きを止めてしまえば良いんです」
「…!蓬、それはダメっ!」
蓬の提案に、彼の意図を察した夢芽が反対する。
「あんな強い怪獣の中に入ったら、どうなるかわからないっ!」
「ごめん夢芽、でも今はこれしかない。」
「蓬…」
蓬の覚悟に何も言えなくなる夢芽。そんな彼女を安心させようと、蓬は少し笑みを浮かべた後、表情を引き締めて言う。
「そういうことなんで、動きを止められたらすぐに片を付けてください!」
そういうと蓬は、人差し指と中指、薬指と小指を合わせたままⅤ字に開き、その奥の怪獣に照準を合わせる。
「インスタンスッ…ドミネーション!」 - 57二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 22:50:12
気が付くと蓬は、見知らぬ場所にポツンと一人で佇んでいた。
(なんだこれ…?ここ何処だ?)
かつてインスタンスドミネーションを試みた時に、機械の基盤のような世界に意識が飛んだことがある。
しかし、これはその時とも違う。何の変哲もない街の片隅だった。
周りを見渡してみると、高架下のトンネルのあたりで、赤い髪をした少年と緑がかった髪の少年が、何かを話しているのを見つけた。
(あれは…、内海君と裕太?)
蓬の視線の先で、内海はポケットから何かを取り出す。それを強く握ったまま、裕太に手渡して言った。
『心配なんてしてやらねぇ…、でも、一緒にいてやるよ』
(これは…まさか⁉) - 58二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 00:58:44
〈動きが止まった!一気に決めろ!〉
レックスの合図の下、フルパワーグリッドマンとグリッドナイトが、それぞれ左腕と右腕に力を込める。
〈グリッドナイト…ストームッ!〉
〈グリッド…ビームッ!〉
二つの光線が混ざり合い、巨大な螺旋となって怪獣に衝突する。
無論怪獣には、このような攻撃の情報があり、対抗策も持ち合わせていた。しかし、体の自由が利かない状態では、なすすべなく飲み込まれるしかなかった。
「グッ!ギガガッ…、グアァァァ‼」
一際大きな呻き声をあげ、怪獣の光線の中に搔き消えていった。 - 59二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 07:34:04
まさかの蓬曇らせ…
- 60二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 10:48:57
裕太と蓬はいくらでも曇らせていいベノ
- 61二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 14:12:45
大変な目にあいつづけてきた裕太には同じくらい幸せな人生を送って欲しいって心の底から思うわ
- 62二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 18:54:31
記憶を失った時、「記憶を失っても関係ない、もう一度一から友達になろう」と言ってくれてもう一度始まった友達達を傷つけたくないからで離れるの辛過ぎるよね……。
- 63二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:23:51
「よっしゃ!さすがグリッドマンにグリッドナイト!最後には勝ってくれるぜ!」
内海がそう言うと、ジャンクから新世紀中学生とガウマ隊が飛び出してきた。二人しかいなかった店内が、一気に狭くなる。
「ちょっと内海さん!うちらも戦ったんすけど~」
「ごめんごめん!助かったよ!」
ちせの不満に、内海が苦笑しながら返す。
そうして勝利に沸く面々の中で、蓬だけは沈鬱な表情を浮かべていた。
「蓬、大丈夫?体、何ともない?」
それに気づいた夢芽が、心配そうに蓬の顔を覗き込む。しかし、蓬の顔がすぐれないのは疲労によってではなく、怪獣の中で見た光景からだった。 - 64二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:24:50
ガウマ隊がジャンクの店内に戻ったのは、この世界に来て、まずジャンクに赴いてからアクセスコードを唱えたためだ。
つまり、ジャンクを介さず変身した裕太は、戦いが終わって変身を解いても、元居た夜道に戻るだけとなった。
『裕太、大丈夫か』
「……ッ」
再び集った仲間たち、力を合わせて掴んだ勝利。しかし裕太の心には、どうしようもない疎外感があった。「来てくれてありがとう!一緒に戦おう!」そう呼びかけたかったが、蓬とレックス以外のガウマ隊にとっては、自分は見知らぬ誰かでしかない。
「ジャンクに戻ろうグリッドマン。蓬たちも来てくれてるから」
そう言ってジャンクに向けて歩き出す。
すると、遠くから誰かが歩いてきているのがぼんやりと見えた。 - 65二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:25:36
「ジャンクさん!ジャンクさーん!」
六花が遠くで、自分の名前を呼びながらこちらに歩いてきていた。
「六花…!」
「あ、居た!」
こちらを見つけた六花は、走って向かってくる。
「六花…さん、どうして…?」
「ジャンクさん、店の場所まだわかんないかな~と思って」
入れ違いにならなくて良かった。そう言うと六花は裕太の隣に立って、今歩いてきたほうに向かって歩き出した。裕太もまた、彼女に続いて歩き出す。
それだけで、すべてが報われた気がした。 - 66二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:27:00
「ジャンクさんは、どうして新世紀中学生になったんですか?」
六花と共に、ジャンクに向かって歩いている間、二人は色んなことを話した。新世紀中学生としての任務のこと、六花の学校生活、受験のこと。
そんな折、ふと六花が尋ねたのだった。
「……好きな人が、いたんです…」
裕太は話した。一緒にいてくれた親友のこと、今なお想い続ける人のこと。自分の世界に起きた事件を解決し、その人たちを守るために、自分の存在が忘れられてしまったこと。
適当な作り話でごまかすこともできたのに、なぜ本当のことを言おうと思ったのか。それはきっと、自分のことを知ってほしかったから、覚えてほしかったから。
裕太の話を聞くごとに、六花の顔は神妙になり、裕太を気遣う表情になった。
「戻りますよ、いつかきっと。」
六花がポツリと言う。その好きな人が、自分のことだとは想像もしないまま。
「友だちも、好きな人も、きっと…取り戻せますよ」
六花は優しく、しかし力強く裕太に言った。
「ありがとう、六花」
驚いた顔の六花を見て、自分がつい呼び捨てにしたことに気づいた。
「あぁごめんなさい六花さん!」
慌てて訂正する裕太に、六花は苦笑しながら髪を弄り、照れくさそうに言った。
「別に…、呼び捨てでもいいですよ…」 - 67二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:28:11
今日はここまで
ジャンクから蓬たちが出てきたのは、悟空の瞬間移動的なことをレックスとやったからと思ってください。 - 68二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 08:02:09
六花さん覚えてなくても体には刻まれているんだ…裕太への…
- 69二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 15:20:57
今日は更新できないと思います
- 70二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 20:43:46
明日の期待を込めて保守
- 71二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 06:17:49
保守
- 72二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 16:27:18
保守します
- 73二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 00:18:03
ほ
- 74二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 06:55:35
「初めまして、新世紀中学生のジャンクといいます」
「どうも、山中暦です」
「南夢芽です」
「飛鳥川ちせっす!よろしくお願いします!」
「…麻中蓬です。よろしく」
見知ったはずの人たちと、もう一度初対面の挨拶をしなければならない苦痛は、何度経験しても和らぐものではない。
本当に見知った蓬とも、初対面の挨拶をしなければならないのは、特に心にきた。
挨拶を済ませて一息つこうとしたところで、ヴィットが密かに裕太に近づいて告げる。
「怪獣の正体がわかったよ、裕太君」 - 75二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 06:57:42
暗い夜道をまた歩いている。しかし、今度は一人ではないし、隣が六花でもない。裕太に蓬、マックスとヴィット。少し変わった組み合わせだが、マスク以外はまともに見えるマックスと、外見は優男なヴィットの二人なら、他と比べれば不審に思われないだろう。
ボラーとキャリバー、そしてレックスは、六花たちの護衛のためにジャンクに残っている。
「あの…、怪獣の正体がわかったなら、どうして六花たちのいるところで言わないんですか?」
「蓬君に確かめたいことがあるんだってさ」
そういわれて蓬を見る。少し険しい表情の蓬に「もしかして夢芽さんと関係があるのかな」なんて思いながら黙り込む。
その沈黙を埋めるように、マックスが話し始める。
「マッドオリジンの因子が再び怪獣になったと聞いた時、不思議に思っていた。怪獣は人間の情動から生まれる。なら、その情動は何処から来たものなのか。」
「それに、あんなに強力な怪獣が生まれるには、それだけ強い情動が必要だもんね」
「じゃあ…その情動の元は…?」
裕太の疑問を聞いて、ヴィットが視線を蓬に移す。それに気づいた蓬は、インスタンスドミネーションを試みた時のことを裕太に言う。
「俺、あの怪獣を掴んだ時、意識が飛んだんだ。」 - 76二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 06:58:59
蓬は、怪獣の中で目にしたものを話した。ヴィットが裕太に怪獣の正体の判明を密かに伝えてジャンクを出たのは、現場に赴いて確かめたいことがあったからだ。
蓬は高架下トンネルを確認すると、うんと頷いて言う。
「そう、ここだ。俺が怪獣の中で見たのは」
まだ誰も意識していないことだが、先ほど現れた怪獣はまさにここ、高架下のトンネル付近から誕生したのである。
しかし、彼らは蓬から得た情報だけで、結論にたどり着いた。
「まさか、怪獣の元になった情動って…」
グリッドマンユニバースの戦いで、敗北したマッドオリジンの因子がこの世界に漂った。しかし、それらはじきに消滅するはずの微弱なものだった。
しかし、因子が消滅しようとする時に、同じく世界から消えかけていた物があった。
消滅寸前でありながら大きく強く、おまけにグリッドマンの情報を多分に持った。マッドオリジンにとってこの上なく都合のいい情動が。
「おそらく、裕太の記憶だ」 - 77二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 06:59:53
おもくそ寝落ちしました。
- 78二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 15:24:59
保守
- 79二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 23:48:33
「俺の…、記憶?」
「消失するはずの裕太の記憶が、同じく消滅しかけていたマッドオリジンの因子と結びつき、一年かけて怪獣を生み出したようだ」
マックスの言葉に、裕太はしばらく俯いた後、自嘲気味に笑って言った。
「じゃあ…、俺のせいじゃないか…!」
「それは違う!」
弱弱しくつぶやく裕太に、蓬が力強く言う。そのまま裕太の肩を掴んで、励ましの言葉を続ける。
「裕太は、世界を守ろうとしたんじゃないか!六花さんたちに忘れられてまでっ!そうまでしたのに怪獣の元になったなんて…、絶対に、裕太のせいなんかじゃない!」
蓬の言葉に、二人も頷く。裕太を責めようとする者など、いるものか。
「それに……」
言葉に詰まる。気づけば蓬は、涙を流していた。
怪獣の中に入り、その正体を知った時から、蓬はある希望を抱いていた。
「それに…、怪獣の中にあるなら、記憶は完全には消えてないっ!なら戻せるかも…、取り戻せるかもしれない!」
もしかしたら、夢芽たちと離れて外に出たのは、これを伝えたかったのかもしれない。
「戻せる…?みんなの、記憶が…?」
芽生えた希望をかみしめるように、裕太は言葉を紡ぐ。心の奥底に封じ込めたはずの感情が、涙となって溢れ出す。
「また内海と、六花と…!」
マックスが、裕太の肩にポンと手を置く。ヴィットもまた、裕太に優しい笑みを向ける。
「全力を尽くそう」
「ゔっ…ゔっ…、…はい!」
マックスの激励に、嗚咽交じりの声で答えた。 - 80二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 23:50:24
ジャンクに帰ってから、マックスは残っていた面々に怪獣の正体について、裕太との関係は伏せたまま告げる。怪獣は、新条アカネやマッドオリジンによって、記憶を消された市民の情動が起こしたものであると。
ちなみに、ボラーとキャリバーにレックスとは、四人が外に赴く前に、蓬によって概ね怪獣の正体を共有している。
「戦闘中も言ったが、怪獣はローグカイゼルグリッドマンをも学習している可能性が高い。そして、麻中蓬のインスタンスドミネーションも、次は対策されるかもしれない」
「そうですよね…、それにあれ以上の怪獣相手じゃ蓬君が心配だ」
暦がマックスの意見に同調しつつ、蓬を気遣う。
「だ、だから次は現れる前に叩く」
暦に対して、キャリバーが呟く。
「何も万全の状態の怪獣が出てくるまで待ってやることはねぇんだ。怪獣が早く現れるために、こっちが手伝ってやりゃいい」
キャリバーの意見を補足して、ボラーがしたり顔で言う。
「そんなこと…どうやって」
「お前らは、それができる奴を知ってるはずだぜ、グリッドマン同盟」
六花の疑問にレックスが答え、マックスに視線を送る。
「人間の情動を解放させ、怪獣を実体化させることができる人物」
「まさか…それって…」
そう言う内海の脳裏には、ある一人の男が浮かんでいた。
その男はかつて、この世界の神様を誑かし、退屈しのぎに怪獣を生み出していた。
その想像が正解だと肯定するようにマックスは頷き、続ける。
「アレクシス・ケリヴだ」 - 81二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 23:51:00
今日はここまで