【SS】完璧な理由【CP要素有】

  • 1二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:30:10

    前作に予想以上に反応があり、深夜テンションで爆上がりしたので続編です

    こちらを読んでいなくても単体で読めます

    【SS】心の雨に傘を【CP要素有】|あにまん掲示板フラッシュの誕生日会話を見て、脳と心臓が停止した勢いで書きましたスレ画のカップリング要素を含みますまた、スレ画のカップリング前提ですが、他のウマ娘が話題に出てきますのでご了承下さいbbs.animanch.com

    当社比ですが、ガッツリ恋愛描写があります

    スレ画のカップリング前提ですが、他のウマ娘も話題に出てきますのでご注意ください

  • 2二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:30:44

    「ごめんなさい、急に映画に付き合ってほしいなんて言っちゃって」

    「いえ、今日は貴方と過ごす予定でしたから」

    「はい、大好きな漫画の映画化で…絶対公開初日に見たいって思って。…丁度、その日がアタシの誕生日だったから」

    「渡りに船、と言うことですね。私はその作品を良く知りませんが…スカーレットさんが夢中になるような作品なのですから、それは素敵な物なのでしょうね」

    「はい!お互いのことが大好きで、大事に思っているって言うのが凄く伝わってきて…」

    「ふむ…恋愛ものと言うことですね」

    二人で並んで映画館までの道を歩く。

    「貴方はこちら側を」

    いつも、歩道を歩く時フラッシュさんは車道側を歩いてくれる。
    優しく手を引いて、歩幅を合わせてエスコートしてくれる。

    「いつも…ありがとうございます」

    「私にとっては…至極当然のことです。貴方を守るのは私の使命…と言うのはいささか言い過ぎですが」

    「……同じウマ娘なんですから…アタシもたまにはエスコートした方が…良いんです、よね」

    「…私は女性相手の場合、エスコートする方が性に合っているので。ご迷惑でなければ、ですが」

    「いえ、…何と言うか、凄く大切にされている感じが…ちょっと、慣れなくてむず痒いですけど」

  • 3二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:32:40

    「…貴方程の人ならば、そうしたい方は大勢居るのでは?」

    「そんな!むしろいっつも面倒見る側で…だから、その…こうして貰えるの、…嬉しい、です」

    「それは…何よりです。ならば、このまま向かいましょうか」

    「はい」

    ──
    ───

    「…アタシにも、あんな素敵な相手が居たらなあ…」

    映画を見終わって、劇場に併設されたカフェで感想を話す。
    女の子の理想の恋人、をとにかく描いた様な映画だった。
    …デートの時には、いつも車道側を歩いてくれる。
    話を嫌な顔一つせず聞いてくれ、その話を聞けることが嬉しい、と言ってくれる。
    主人公がピンチの時には、当たり前の様に駆けつけて守ってくれる。
    勿論、真面目で一途で…ちょっと不器用な主人公の魅力があってこそ、その恋模様が引き立つのだと知った上で言ったことだ。 

    「まあ、そんな人そうそう居ないんですけどね…アハハ」

    「憧れが強いのですね、スカーレットさんは」

    「ご、ごめんなさい!アタシばっかり話しちゃって…」

    「いえ、楽しそうな貴方を見るのも幸せな時間ですから」

    「ありがとうございます…憧れ…憧れかあ」

  • 4二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:33:00

    そう言われて、頭の中でシーンを一つ一つ思い返す。
    都合が良いと言われても、そんな恋愛に、そんな恋人に憧れてしまう。

    「…うん、夢物語だとは分かっていますけど…やっぱり、そんな素敵な人が居たら…好きになっちゃいますね」

    「ふむ…確かにその様な方は人間としても魅力に溢れていますね」

    「…フラッシュさんの理想の人は、どんな人ですか?」

    「そうですね…」

    純粋に気になった。
    こんなに素敵な人なのだから、理想も高いのだろうと勝手に思い込んで。
    だけど返ってきた答えは、予想もしていない物で。

    「……急な質問で申し訳ありませんが、スカーレットさんは…付き合う相手の身長は気になりますか?」

    …本当に、急な質問だ。
    だけど確かに、そう言われれば理想の相手、として選ぶなら気になる要素ではある。
    素直に…答えることにした。

    「…確かに高身長、高収入、高学歴なんて言う条件もありますけど。やっぱりアタシの1番の条件は…アタシのことを大切に思ってくれて…お互いに尊重しあえる人が良いかな…なんて。…我儘ですかね」

    「そんなことはありませんよ。互いを尊重しあえる、これは恋愛に限らず相手と長く付き合うためには大切な要素です。答えるのが遅れて申し訳ありませんが…私も、見た目や学歴よりも…互いを思いあえる…そう言った方が理想です」

    「…おんなじ、ですね」

    「…はい」

    同じ想いを持つことが嬉しくて、少し照れたような笑顔になってしまう。

  • 5二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:33:27

    「……スカーレットさんは、私の理想の相手ですよ」

    「……あ、ありがとうございます。お世辞だとしても…嬉しいです」

    「……それが…お世辞ではない、と言ったらどうしますか」

    「…え?」

    その言葉の意味が分からない程、鈍感じゃない。
    …だからこそ、聞き返してしまう。

    「……それって…」

    「……すみません、急に」

    「……いえ…」

    …お互いに目を逸らしたまま、沈黙が続く。
    浮足立つ気持ちとは裏腹に、お互い黙り込んでしまい話が続かない。
    …どうにもならないこの状況に助け舟を出してくれたのは、店員さんだった。
    飲み終わった後のグラスを片付けてもらい、そのまま外に出ることにした。
    出かけた時は綺麗な青空だったのに、外はもう、夕暮れ時の茜色に包まれていた。

    ……歩幅が、合わない。
    フラッシュさんは、何も言わないままアタシの前をただ歩いている。
    いつもアタシの手を引いてくれていた、優しい人。
    その背中が、余計に遠く感じてしまう。
    不安な気持ちが顔に出ないように歩いていると、フラッシュさんが立ち止まって、アタシの方に振り向いた。

  • 6二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:33:52

    「…すみません、貴方を疎かにしていました。恥ずべきことです」

    「いえ、…アタシこそ…黙ったままで…ごめんなさい」

    「……埋め合わせをしたい…とは言いませんが。少し、あちらで話しませんか」

    フラッシュさんが指した先には、小さな公園があった。
    少し古びたベンチや遊具、スコップが無造作に捨てられている砂場。
    本来なら、誰か居ても良いはずのそこには、誂えたかのように誰も居なかった。

    ベンチで隣り合わせに座って…何を話そう、と困っていた所でフラッシュさんが切り出してくれた。

    「以前…貴方は私に、貴方は何でも出来るから、と言ってくださいましたね」

    「はい。…今年、フラッシュさんのお誕生日をお祝いする時に…ですね」

    「…実際はどうでしょうか。貴方から今の私を見て、私はそういう存在に見えているでしょうか」

    「…勿論ですよ!今日だって、アタシを優しくエスコートしてくれて…本当に、嬉しかったです。……まるで、あの映画の…主人公になったみたいでした。本当に、おこがましいですけど」

    アタシの言葉に、フラッシュさんは首を振る。

    「ですが先程…私は余裕をなくして、貴方を蔑ろにしてしまいました。それでも…貴方に私がそう見えるのだとしたら…その相手が、貴方だからなのですよ」

    「…フラッシュさん」

    「…私は、完璧な存在などではありません。ですがそれでも…貴方にとって、頼れる相手で居たかった。……それは…格好を付けたかったのですよ、貴方に対して」

  • 7二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:34:26

    「……格好…を…」

    そう言いながら、口元を手で覆って、バツが悪そうにアタシから目を逸らすフラッシュさん。
    …手で覆われて、良く見えないけれど…その顔が赤く染まっているのは想像に難くない。

    …こんなシーンは、飽きるくらい見てきた。
    漫画で、映画で…アタシの、理想(ゆめ)の中で。

    ずっと、見る度にもどかしく思っていた。
    お互いに好き合っていることがわかっている状態なのに、なかなか進展しない二人を見て、ヤキモキしていた。
    アタシなら。
    ……アタシなら、そんなことないのに。
    アナタが好きって、すぐ言っちゃうのに。

    ……そう、思って、いたのに。
    ……いざ、自分がそうなると、…どう返せば良いのか分からない。

    嬉しくない訳がない。
    むしろ、アタシで良いの?なんて感情すら湧いてくる。

    「…いつから?」

    「…いつから、でしょうね」

    並んで歩く時、いつも車道側に立ってくれる人。
    歩幅を合わせて、優しく手を引いてくれる人。
    無理をしてでも、格好を付けてくれる人。

    「気が付いたら、貴方と過ごす日々が私の日常になっていた。貴方に何かあったらと思うと…気が気じゃ、なくなっていた。貴方にとって…頼れる存在になりたかった…もっと違う言い方をすれば…特別な存在に、なりたかったのです」 

  • 8二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:35:02

    ……顔を赤くしてでも、大切な想いを伝えてくれる、可愛い人。

    ……そんな、空想の世界の中だけの存在だと思っていた人が、眼の前に居る。
    …その事実に、胸が高鳴る。
    思わず、息を呑む。

    ……この誠実な思いに、アタシはどう返すのが正解なのだろう。
    正解なんて、分からない。
    だけど、これだけは伝えたかった。

    「…誰が何と言おうと…アタシにとってアナタは完璧な人なんです。…むしろ、今の話を聞いて…もっと…そう思っちゃいました」

    精一杯のぎこちない笑顔で、想いを伝えようと試みる。
    ひたすらに紅に染まる、その顔で。

    「え?」

    「だって…完璧じゃないって自覚してて…それでもアタシの前でそうありたい、なんて…素敵じゃないですか…」

    「…スカーレットさん」

    「だってアナタとアタシは、普段は全然関わりがなくて。…アタシの友達にも、驚かれるくらい。なのに。そんなこと聞いたら…欲張っちゃいそうで」

    口に出せば出す程、胸の鼓動が高鳴るのを感じる。
    眼の前の彼女に、その音が聞こえるんじゃないかと思うくらいに。
    思わず、泣き出しそうになるくらいに。

    「ズルい、ですよ…」

    身体中から湧き上がる熱を、隠すことは出来なかった。

  • 9二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:35:34

    辺りを見渡し、誰も居ないことを確かめて。

    眼の前の想い人に、全てさらけ出すつもりで。
    その熱を全て伝えるかの様に、その唇に、アタシの唇を押し付けた。

    「……!!!!!!!!」

    ほんの一瞬の口付けの筈が、たまらなく長く感じた。
    押し付けた唇を、指先で拭う。
    まだ、熱が収まらない。

    「…アタシは」

    熱に浮かされたまま言葉を続けようとすると、目一杯に広げた手で、静止の合図をされる。

    「…その先は、私に言わせてください。今…正直格好が付ける余裕がなくとも…格好を付けたいのです、貴方には」

    「……はい」

    「スカーレットさん。私は、貴方が好きです」

    その言葉と同時に手を取られ、手の甲に口付けされる。
    親愛と…尊敬…そして、独占の証。

    「…本当に、ズルい人」

    「何度も言いますが…貴方がそうさせてくるのですよ」

  • 10二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:36:20

    …今まで気付かなかったけれど、フラッシュさんの方が、少しだけアタシより背が低い。
    それでも、その差を飛び越えるように。
    その熱を唇に乗せて、アタシの唇に伝えてくれる。
    それが、凄く嬉しかった。

    「…あの時、身長のことを聞いてきたの、こういうことだったんですね」

    「……貴方がそういう人ではないと…知っていたつもりですが…万が一のことがあったら、と」

    「…例えフラッシュさんがアタシより身長がずっと低くても…高くても。アタシの大切な人なことには何も、変わりませんよ」

    それは、嘘偽りのない本心からの言葉で、笑顔だった。
    こんなにアタシのことを思ってくれるからこそ…アタシもそれに応えたいと思える。
    一頻り、お互いの存在を確かめ合うように"それ"に夢中になっていた。

    「愛しています、スカーレットさん」

    「はい、フラッシュさん」

    「…もうあの様な醜態は晒しません。一生お守りします」

    「そ、そこまでは…」

    「……ダメですか」

    「しょ、しょんぼりしないでください!ダメじゃないですけど!なんと言うか…まだ実感が湧かないと言うか…」

    「事を急ぎすぎましたね…では、この言葉は機会を重ねてからまたお伝えすると言うことで」

    「は、はい…」

  • 11二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:36:37

    ……一瞬で物凄い段階まで話が進んでしまった気がする。
    ……帰り道をまた歩き始めた頃には、すっかり陽も落ちて、辺りは暗くなってしまっていた。

    「…門限、過ぎてますね。…フジさんにまた怒られちゃうかも」

    「ちゃんと理由を言えば、許してくださるかと」

    「……ちゃんと言うんですか?理由」

    「……素直に謝るだけにしましょうか」

    「……はい」

    また、バツが悪そうに口を手で隠し、眼を逸らす仕草。
    アタシはフラッシュさんの、この仕草が好きなのかもしれないと思い始めた。

    「…言うのが遅れてしまいましたが…ハッピーバースデー、スカーレットさん…いえ、私の…世界で1番大切な人」

    「ありがとうございます、フラッシュさん…ううん、アタシの…世界で1番の、恋人さん」

    大好きな人と一緒に、歩幅を合わせて同じ帰り道を歩く。
    理想(ゆめ)よりも、現実(いま)が本当の夢みたいで。
    肩を抱き寄せられて、頬が紅く染まる理由。
    その理由が分かっても、それを止めることなんて出来なくて。
    むしろ、その熱に身を任せてしまいたかった。

    ─ 完璧な理由 終わり ─

  • 12二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:37:55

    フラッシュはスカーレットに対して、私が確認出来る限りではドイツ語を用いて話したことはない、と言う前提で書いてますが私の見ていない所で話していたら死にます
    ダイワスカーレットさん、お誕生日おめでとうございます
    恋愛物を描くコツはいつ、何処で何が起きているか、誰が誰をどれくらい思っているかを描写することだと以前教えて頂きましたが、少しでもそれに忠実に描けていれば幸いです 
    読んで頂きありがとうございました

  • 13二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 02:38:13

    今までに書いた物です(色々ごちゃまぜになっていますがカップリング要素がある物はそう表記してあります)

    【SS】あなたと、わたし【トレウマ/閲覧注意】|あにまん掲示板ウインディちゃんにある感情を向けるトレーナーと、ウインディちゃんのお話です トレーナーの性別に指定はありませんので、ご自由に想像頂けたら幸いです契約前、個別ストーリー3話の光景が今回のお話の元ネタです…bbs.animanch.com
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  • 14二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 03:19:28

    俺は流浪のフラダスの民
    素晴らしい誕生日SSに浄化される

  • 15二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 08:39:51

    すごく…すごいです 
    幸せはすぐ側にあったんやな…

  • 16二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 09:06:15

    マジの深夜に投稿するんじゃないよ
    (尊いでしゅ…)

  • 17二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 09:52:34

    >>12

    おまけ

    (注意書きにあるウマ娘って誰だよ)


    「フラッシュ君にはいつかお礼をして貰わないとねぇ…そもそも何故私にスカーレット君のことを相談してくるのか。スカーレット君も然りさ。私はたまたま、偶然共通の話題があって君たちと共に過ごしているだけだと言うのにねぇ。……互いのことは、互いが1番良く知っている、その筈さ。ハッハッハッハッ!」


    Qタキオンさん要る?

    Aあの団欒の構図が大好きなので要る(鋼の意志) 


    (実際の出番もカットした場面の中に少し話題が出る程度でしたが、注意書きを修正せず投稿してしまった私…バカな私…)

  • 18123/05/13(土) 09:58:58

    >>14

    ありがとうございます(フラダスとフラスカってどっちが主流なのかわからない私…)

    邪念と羞恥心全開で書いた物ですが清い物を感じ取って頂けたら幸いです

    >>15

    ありがとうございます

    人に愛されるのは人を愛することが出来る人…なのだと思います

    >>16

    ありがとうございます

    ご指摘どおり投稿時間帯がよろしくないのですが、時間を置いてからだと個人的に羞恥心が勝って最悪投稿しなくなるおそれがあるくらい恋愛描写に不慣れなので投稿してしまいました

    少しでも喜んで頂けたら幸いです 

  • 19二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 10:11:25

    供給少ないから助かるゥ〜〜〜!!!(昇天)
    たしかにダスカの前でドイツ語を話してないな…
    確認の為にもっと公式くんは供給してくれよな

  • 20123/05/13(土) 13:13:15

    >>19

    ありがとうございます

    もしかしたら私たちの見えないところで使っている…のかもしれませんね

    少しでも飢えを満たせていたら幸いです

  • 21二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 01:01:13

    投稿してくれてありがとう…それしか言葉が見つからない

  • 22二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 01:01:29

    ありがとう…ありがとう 

  • 23123/05/14(日) 09:10:08

    >>21

    ありがとうございます

    そう言って貰えると投稿して良かったと思えます

    >>22

    こちらこそ、ありがとうございます…ありがとうございます…


    本当に皆さんのハートや感想一つ一つが励みになります

  • 24二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 19:37:06

    親馬鹿タキオン好き
    良いものを見た

  • 25二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 00:02:55

    >>24

    ありがとうございます 

    カップリング物を書く時、その二人以外の登場人物を出して良いのか、話題にしていいのかその塩梅が難しいですが個人的にフラスカ+タキオンの組み合わせが好きなので書いてしまいました 

    少しでも楽しんで頂ければ幸いです 

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