多分ファル子はフラッシュの脳にもこれ叩き込んでる

  • 1二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 19:49:04

    フラッシュの人生のフルコースにハムカツをねじ込んでる。

  • 2二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 19:51:44

    来るか‥…ファル子とファン1号との食事の記憶がフルコースのフラッシュ!!

  • 3二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 19:52:35

    ソース、かけてあげましょうか?

  • 4二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 19:52:44

    >>2

    待てよ俺、書き込んでから気付いたがファン1号は何処から湧いたんだよ。

  • 5二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 19:53:24

    帰国したフラッシュはこれでハムカツ作りそう

    ボロニアソーセージの紹介 | ソーセージの店 ダダチャdadacha.biz
  • 6二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 19:54:15

    素朴なハムカツを一緒に買い食いするファル子とフラッシュが見れると聞いて

  • 7二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 19:55:40

    お肉屋さんに行きましょう。

  • 8二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 19:59:48

    >>6

    成人してから懐かしのハムカツで宅飲みする大学生同棲フラファル概念を>>6に奢ってやりたいから誰か書いて。

  • 9二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 20:00:19

    密かな優越感を味わいご満悦のフラッシュ

  • 10二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 22:01:25

    しゃあっフラファル!

  • 11二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 22:02:30

    そして肉料理はファル子さんのおやすみのキス…

  • 12二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 22:03:17

    >>8

    そういうのはファル子が思いつきで買ってきてくれたりするんだよね……

  • 13二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 22:34:14

    フラッシュが食事担当の時にこう思いつきで懐かしのハムカツを買ってきて
    「もう…栄養バランス偏ってしまいますよ?」
    「えへへ…懐かしくて…ごめんね☆」
    「まったく…しょうがないですね…ふふっ」

    ってなるフラファルがあると聞いて

  • 14二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 22:37:27

    >>11

    ファルコンがぁあ!!!

  • 15二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 22:55:12

    おかしいな……うまむすめしで供給があったはずなんだが

  • 16二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 22:56:33

    >>15

    あの回すきすき

  • 17二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 23:40:48

    >>8氏とは別の概念が降ってきたので場をお借りいたす、3レスの予定


    「ハムカツ…ですか?」

    エイシンフラッシュは目の前で湯気を立てる薄っぺらい揚げ物を見て首を傾げた


    「そう!ハムカツ!

    確かにチープな見た目だし、アイドル的なキラキラ感は全く無いんだけどこれが結構美味しいの!」

    そう言って二枚の揚げ物の片方を差し出すスマートファルコンの笑顔には一切の邪気はなく、

    日本に来て日の浅い友人に庶民のささやかな楽しみを教えようとする善意が満ちていた


    小さな紙袋から半身を乗り出した茶色いハムカツ?をスマートファルコンから受け取る

    熱い!?

    触ったときにまずその熱さに驚く

    揚げたてのハムカツはその薄さにも関わらず膨大な熱を内に秘めていた


    「これは、見た目よりも熱いですね」

    「そうそう、アッツアツのうちにかじるのがこういう食べ物の一番美味しい食べ方だよ!

    さあさあ、まずは食べてみて!

    あ、でもアツアツ過ぎるのを食べてヤケドしちゃうのはアイドルじゃなくてバラドル路線によりすぎかも?!」


    ニコニコと笑顔のまま騒ぎ立てるスマートファルコンに押されて、ハムカツ?を口許へと運ぶ

    熱さに警戒しながらまずは小さく一口


    さくり


    見た目通りの薄さと、からりと揚がった衣の歯応えが、呆気なく口の中でほどける

    しかし覚悟はしていたがやはり熱い!

    「ハフッ、ほれは、思ったより熱いですね」

    その熱さをほふほふと小さく息をついて宥めながら、ハムカツの欠片を噛み締める

  • 18二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 23:41:35

    まず感じるのは衣から染み出る油の甘み
    次に中身の『ハム』
    どうやらその正体はFleischwurstのような豚肉のミンチと脂身を寄せ集めて、塩とスパイスで味付けして固めたもののようだ
    故郷のFleischwurstに比べるとかなり安っぽい味だが、それが油を吸った衣と一緒になると不思議と後を引く

    なるほど、これは確かに侮れない
    ドイツに居た頃食べていたFleischwurstを揚げると言うのは想定の範囲外だったが、
    このチープな味のwurstなら、こう言った食べ方もかえって味わいが深くなると言うもの

    ”日本人は日常の食にこだわると言うのは、こういうことなのですね”
    日本に来る前に読んだ異文化理解についての解説書の内容を思い返しつつ今度は大きめにもう一口

    少し冷めたハムカツは、それでもまだ香ばしさと歯応えを失ってはおらず、食べやすくなった分かえって食欲を刺激する

    今度はFleischwurstの味を確かめるようにゆっくりと咀嚼していく
    やはり見てのとおり中のFleischwurstは紙のように薄い
    しかしこの薄さがあるからこそ外側の衣と調和するのは承知している
    噛むにつれて滲んでくるwurstの味はやはりチープだ
    しかしこのチープさも、油の甘みと言う援軍を味方につければこれはこれで中々の美味となる

  • 19二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 23:42:26

    ”ああなるほど、これはCurrywurstに少し似ているのですね”

    勿論ルールやベルリンの名物であるカレー風味のケチャップをまぶしたあのwurstとは中身は全く違うが、
    それでもアツアツの安っぽいwurstを油で調理して食べる安価な食べ物と言う少し故郷と通じるものを感じて、エイシンフラッシュは嬉しさを覚えた

    ”日本もドイツも、ちょっとした学生の買い食いのおやつの中身は余り変わらないのですね”

    地球の反対側の、何もかもがドイツとは違う、エキゾチックな東洋の異教の国
    そんな土地で暮らす中で肩肘を張っていた部分が、wurstの味で宥められるようだった

    口の中のハムカツを十分に咀嚼して飲みこんで、次が最後の一口

    さくり、さくり、さくり

    日本とドイツとを繫いでくれたハムカツの味は
    やはりどこまでも安っぽく、しかし安心感に満ちていた

    ごくん

    「ごちそうさまでした
    ありがとうございます、スマートファルコンさん」
    日本語の食後の祈りを、スマートファルコンへの感謝とともに口にする
    この騒がしい同室の先輩がどこまで考えてハムカツを奢ってくれたのかは判らないが、今は彼女に感謝を捧げねばならないとエイシンフラッシュは心から思った

    「どういたしまして!
    さて、それじゃ次はどこへ行こうか?
    フラッシュさんにもっともっと日本の楽しいところを知ってもらわなきゃだもんね!!」
    屈託なく笑うスマートファルコンの差し出す手をとって、
    「はい、私も日本の楽しいところをもっと知りたいです」
    エイシンフラッシュは朗らかに笑った

  • 20二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 23:44:08

    以上にて終了で御座います
    では失礼いたす

  • 21二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 23:46:55

    尊みと飯テロの二重攻撃!!!!!こんなの耐えられん…!!しゅき…

  • 22二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 00:11:02

    カリーヴルストがどんな料理か調べて見たらまんまと飯テロ食らっちまったぜ…
    いいSSををありがとうありがとう…

  • 23二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 02:18:05

    あーなんかハムカツ食いたくなってくる……

  • 24二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 07:30:40

    尊みのが肉汁並みに溢れてる!!!!!
    帰りにハムカツ買って帰ろうかな

  • 25二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 16:57:05

    色んな料理やお菓子を一緒にフラッシュと楽しむファル子概念いいぞ…
    とくに日本特有のものとかを一緒に味わって思い出たくさん作るんや…

  • 26二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 17:32:53

    最近は良質なフラファルを多く供給できて助かる
    いやファルフラか…?

  • 27二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 18:38:30

    他にもメンチカツとか後はたいやきとか一緒に食ってるフラッシュとファルコン考えただけでもう尊い

  • 28二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 06:00:44

    朝からとんでもねえ飯テロにあっちまった……いい……

  • 29二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 06:29:42

    ファルフラの食べ歩きとかずっと見ていたい
    この二人は安心感がある

  • 30二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 06:58:53

    立ち寄った商店街でマチタン達がたい焼きをはんぶんぶんこにしてるのを目撃して
    全然そんな事なかったんだけど「これが最後の一個でしたので…よければはんぶんこしませんか?」と
    ファル子とたいやき半分個するフラッシュ概念置いておきますね

  • 311723/05/17(水) 12:28:13

    ハムカツの話が思ったよりご好評頂けたようで♥の数の多さに驚いております、>>17です

    >>30氏の概念と友人から聞いたドイツ人留学生の話が脳内で結合した結果、第二弾が完成しましたのでこの場をお借りいたす

    5レスの予定です


    「理解できません」

    エイシンフラッシュは眉間に皺を寄せてきっぱりと言い切った


    「えー?そんな事ないと思うんだけど?」

    スマートファルコンは同室の後輩が時折見せる意固地な姿に”また始まった”と内心思った

    しかし、まさか外出のお土産として買ってきた鯛焼きに対してこんな反応が返ってくると言うのは予想外だった


    最初は良かったのだ

    ケーキ屋の娘であるエイシンフラッシュは鯛焼きの造形に対して非常に興味を示し、

    「こんな精巧な型で焼いたワッフルなど初めて見ました…!

    こんなものを貰ってもよろしいのですか?」

    「スマートファルコンさん、これはもしやかなりの高級品なのでは?」

    等と真剣に聞いてくる姿は、大いにスマートファルコンを楽しませてくれるものだった

    雲行きが怪しくなったのは鯛焼きについて説明してからだ

  • 321723/05/17(水) 12:28:51

    「! こんな精巧な型が普及品なのですか!」
    「あんこ?あんことはなんですか?」
    「なるほど、あんことはADZUKIのペーストなのですか
    は?『甘くて美味しい』?『砂糖で煮る』?!?!」
    そこからエイシンフラッシュの態度はいきなり硬化して今にいたる

    「豆というものはそのまま茹でるか塩味で煮て食べるものです
    トーフやミソなどの加工食品にするのは理解できますが、甘い味付けの豆などというものは神の教えに反しています」
    「ファル子イエス様はそんな細かい事を言わないと思うの…」
    仏頂面で大真面目にあんこを批判するエイシンフラッシュ
    スマートファルコンのツッコミもどこ吹く風だ

    日本ではあまり知られていないが、ドイツ人はいんげん豆や大豆、小豆、レンズ豆等の豆類はかなりよく食べる
    しかしそれらは皆、スープに入れるか柔らかく茹でて料理の付け合わせ、又はサラダの具材として食べるのであって、
    甘く煮た豆の料理というものはドイツ人の普段の食卓には存在しない

    この時のエイシンフラッシュの甘く煮た豆に対する嫌悪感は、日本人諸氏ならイギリス料理の中では無難な食べ物とされる
    『ライスプティング
    (バターとミルクで甘く煮たバニラ風味のお粥に
    イチゴやブルーベリーのジャムを山盛り掛けて食べる軽食)』
    を前知識無しに目の前に出されたような気分であると説明すれば共感して貰えるかも知れない

  • 331723/05/17(水) 12:29:28

    「うーん、ドイツではあんこは食べないのは判ったけど、そんなに嫌わなくても良いんじゃないかなあ」
    「日本の文化として甘い豆のペーストを食べると言うことを否定はしません
    しかしドイツ人としては受け入れ難い食べ物だと言うこともまた理解していただきたいです」
    絶対零度の視線を鯛焼きに向けるエイシンフラッシュ
    まるで親の敵でも見るかのようなその視線はとても食物を見るものでは無い

    ”これは無理強いしちゃうのは可哀想だね、それならこっちを…”
    スマートファルコンの脳内で次の一手への対応が組み上がっていく

    「じゃあフラッシュさんにはこっちの方が良いかな?」
    そう言ってエイシンフラッシュが睨み付けているものとは別の鯛焼きを取り上げる

    「こっちはね、中身があんこじゃなくてカスタードクリームなの!
    これならフラッシュさんも大丈夫でしょ?」
    スマートファルコンのその言葉を聞いたエイシンフラッシュは
    「はい、それでしたら喜んでご馳走になります」
    深い眉間の皺を消して、柔らかに微笑んだ

  • 34二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 12:29:31

    おまえはファル子?

  • 351723/05/17(水) 12:31:00

    ひと悶着はあったがこうなるともうぶつかる理由も無い
    エイシンフラッシュはカスタードクリームを、スマートファルコンはこしあんをそれぞれ手に持っておやつタイムの始まりだ

    「ではいただきます」
    「いっただっきまーす」
    手に持った鯛焼きを口許に運ぶ
    どこから口をつけようか少し迷うが、とりあえず目の前のスマートファルコンにならって頭側から口にする

    最初に感じるのはワッフルに似た外側の生地の歯応えとパサついた口当たり
    ”ワッフルと似てはいますがこちらの方が薄いですし、味付けもされていませんね”
    ぶつり、と生地を嚙みきると、中に入っていたカスタードクリームが待ってましたとばかりに口内に溢れだす
    カスタードクリームの強めの甘さと生地の素っ気なさが口の中で混ざり合い、心地よい甘さになる
    ”なるほど、このカスタードクリームがかなり甘めの味付けなので、生地を味気なく仕上げてあるのですか”

    パサついた生地の食感に滑らかなクリームの感触が絡みつき、程よい喉越しとなって喉を通り抜けてゆく
    ”滑らかなものとパサついたものとを組み合わせて食感と喉越しを良くする手法
    これはApfelstrudelに似ていますね
    あちらはアイスクリームとケーキの組み合わせですが”
    ケーキ屋の娘として、初めてのスイーツ相手にはつい製作者の狙いを分析してしまうエイシンフラッシュだが、もごもごと動く口許は楽しそうに緩んでいる

    こくん

    飲みこんで次の一口を、と行く前にスマートファルコンがおかしな事をしているのにエイシンフラッシュは気づいた

  • 361723/05/17(水) 12:32:16

    「スマートファルコンさん、なぜ尻尾をちぎり取っているのですか?」
    こちらも楽しそうに鯛焼きを頬張っていたスマートファルコンが片手に鯛焼き本体、もう片手に鯛焼きの尻尾だけを持って交互にかぶりついている

    「えへへ、ちょっとお行儀悪いけど、こうやって食べると鯛焼きがもっと美味しくなるの!
    フラッシュさんも良ければ試してみて?」

    スマートファルコンのオススメに従い、半信半疑で鯛焼きの尻尾をちぎり取る
    まずは同じように鯛焼き本体を一口
    ”ここまでは先程と同じですね”
    そして続けて尻尾を一口
    ”確かにこのかりかりした食感は良いですね、しかしやはり味気ないようにしか思えませんが…?”
    疑問に思いながらまた本体を一口
    「!」
    思わず目を見開く
    ”?!さっきよりも甘味が強い?!何故です?!”
    また尻尾を一口
    ”そうか、この尻尾の味気なさと食感が理由なのですね!”

    鯛焼きの生地はカスタードクリームと混ざり合って丁度良くなるように敢えて素っ気ない味になっているが、二口三口と食べ進めるとやはり口の中がカスタードクリームで甘くなってくる
    ”そこでこの尻尾です、このかりかりした食感と味気なさで口の中の甘さをリセットしてくれる…!”
    また本体を一口
    ”例えるならばBienenstich(アーモンドがたっぷり掛かったドイツのバタークリームケーキ、濃厚な甘さがクセになる)とブラックコーヒーの組み合わせ
    口の中をリフレッシュさせて最後まで飽きずに鯛焼きが美味しく食べられる…!”

    本体、尻尾、本体、尻尾、そう気づくと食べ進める手は止まらない
    夢中になって交互に食べ進めるうちに、残るは僅かな尻尾の欠片だけとなってしまった

    ”もうおしまいですか…”
    名残を惜しむように最後の尻尾を口にする
    冷めてはいてもかりかりした尻尾は、最後までその食感で口の中を楽しませて胃の中へ去って行った

  • 371723/05/17(水) 12:32:38

    「ごちそうさまでした
    とても美味しかったです、スマートファルコンさん」
    日本の未知の美味をまた教えてくれたスマートファルコンに感謝を込めて食後の祈りを口にする
    その後に出た言葉は混じりっ気無しの本音だった

    「えへへ、そう言ってくれると嬉しいな!
    フラッシュさんが良いなら、また前みたいに美味しいものを売ってるお店案内するよ?」
    「ええ、是非ともご一緒させて貰いたいです、あ、でも…」
    エイシンフラッシュの顔が少し曇る
    「その、そうすると私はあんこを食べられるようにならなくてはいけないのでしょうか…?」

    己の罪を告白するかのような深刻な口調にスマートファルコンは思わず吹き出した
    「何がおかしいんですか!スマートファルコンさん!」
    羞恥で真っ赤になって怒るエイシンフラッシュ
    「ま、待って、アハハハハ! ふ、フラッシュさんがそんな深刻な顔で、アハハハハ!
    はー、はー、い、言うから…!」
    笑いすぎて息を切らすスマートファルコン
    それを見て更に顔を真っ赤にして食ってかかるエイシンフラッシュ

    二人の少女のじゃれ合いは隣の部屋からの苦情が来るまで延々と続いていた

  • 381723/05/17(水) 12:37:25

    以上にて終了で御座います
    当方賢さGにつきレス数間違えておりましたことをお詫び申し上げます

    この話の元ネタは「ドイツ人の留学生に御座候(関西で有名な回転焼きチェーン)を喰わせたら殴り合いになりかけた」と言う友人から聞いた話です
    ドイツ人(と言うかヨーロッパ人)の中には甘い豆は世界がひっくり返っても受け入れられないと言う派閥がそれなりの勢力でいるそうなので
    フラッシュさんにはそちらの勢力の意見を代表してもらいました
    ご不快に思われたあんこ愛好者の皆様には伏してお詫び申し上げます

    それではこれにて失礼いたす

  • 39二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 14:57:36

    ドイツの文化と尊みを一気に摂取できるいいSSをだぁ…
    恐らく俺はこれでたい焼き3つ分くらいの糖分は摂取したはず

  • 40二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 21:09:56

    大変良きSSでござった……

  • 41二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 22:02:57

    ありがとう……ありがとう……!
    本当に読みやすくて素晴らしいSSでした……!!

  • 42二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 22:10:19

    ここがうまむすめしフラファルアンソロジーですか

  • 43二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 22:13:23

    ドイツだと肉まん見たいなのとかってなんか違う呼び方あるんやろか
    ピロシキとはまた違うだろうし…包子も違うだろうし…
    2人は冬はコンビニで中華まんを半分個する(確信)

  • 44二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 05:23:37

    夏はちゅーちゅー系アイス
    冬は中華まん

    完璧な布陣だ

  • 45二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 08:07:44

    秋はお芋
    春は……桜餅?

  • 46二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 08:11:46

    春は買い食いとかではないけど2人でちょっとしたお花見とかね
    温かい飲み物買ってきて2人で学園内にある桜を見たりとか

  • 47二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 18:28:03

    2人でかき氷食べてキーンってなってるのは熱中症対策にいい

  • 48二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 01:01:58

    これは巧妙なハムカツステマスレ

  • 49二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 06:06:32

    細かな食レポするフラッシュが良すぎる……
    紹介されたものを最大限味わってるのすき

  • 50二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 07:55:30

    うまむすめしのフラファル回好き

  • 511723/05/19(金) 15:16:37

    前回もご好評頂けたようでほっとしております

    >>17です

    皆様からの萌え出ずるシチュエーションの数々に影響されまして、3作目が完成しましたので投下させていただきます

    6レスの予定です


    「わぁ…!これが本場のSchneezuckerですか!」

    たくさんのイチゴの乗った豪華なかき氷に目を輝かせるエイシンフラッシュ


    それを見て

    「うーん、かき氷が全部こんなんだと誤解させて良いのかなあ…

    それよりまず、かき氷に本場もなにもあるのかなあ…?」

    間違った日本文化を植えつけてしまっていないかと自分のレモンフロマージュかき氷を突きながらスマートファルコンは頭を悩ませていた


    KO線府中駅からしばらく歩いた辺りにある地元で評判の良い洋菓子店

    この店で初夏から出しているかき氷が予約制の高級品だけど凄く美味しいと言う話をクラスメイトに聞かされたエイシンフラッシュがまず思ったことは

    「かき氷とはなんですか?」

    そこからだった


    ””え、そこから?””

    思わず顔を見合わせるクラスメイト達


    「?」

    彼女らに解説して貰えると疑わず、好奇心いっぱいの無垢なまなざしを向けるエイシンフラッシュ

    子ウマ娘のように耳も思いっきり前掛かりだ


    「…あー、かき氷って言うのはね…」

    意を決したように解説をはじめるクラスメイト達

    素直に聞き続けるエイシンフラッシュ


    一通りの説明を受けた後、エイシンフラッシュは次の休日の予定を大幅に修正する事を決めた

  • 521723/05/19(金) 15:17:36

    最初は教えてくれたクラスメイト達と来店しようと思っていたエイシンフラッシュだったが、残念な事に彼女らは皆この日予定が入ってしまっていた
    ならばと諦めきれぬエイシンフラッシュが白羽の矢を立てたのが同室の先輩スマートファルコン
    以前からハムカツや鯛焼き等、エイシンフラッシュを気遣ってくれている先輩をお礼を兼ねてこちらから誘う口実を探していたエイシンフラッシュにとっては絶好の機会だった

    そしてエイシンフラッシュは首尾良くスマートファルコンを誘う事にも予約にも成功し、日曜日の昼下がりにこの店の特製かき氷を味わう事になったのだった

    エイシンフラッシュの前に姿を現した特製イチゴスペシャルかき氷

    食べる前に、まずはその美しい外観から観察していく

    ドーム型のふわふわの氷の上に鮮やかな色のイチゴソースとミルクがグラデーション状にかけられており、
    裾野から順に純白、薄いピンク、紅色、ルビー色と美しく層を成している
    その様はまるで「紅い霊峰のような……」と嘆息するほどに美しい

    その『霊峰』の頂上に厳然として建つのは白いクリームの雲に囲まれた深いルビー色に輝くイチゴの祭壇
    上から降りかかる粉砂糖は言うなれば昨夜の雪の跡か
    隣りに屹立する焼きメレンゲの柱はさながら朽ちた神殿の遺構を思わせる
    堂々たるイチゴスペシャルかき氷と言う名の工芸品にエイシンフラッシュは一種の感動を覚えていた

    ”このお店は店名からするとフランス菓子の店のようですが、飾り付けのセンスはやはり日本のものですね”
    フランス菓子の美しさを日本人のセンスで彩ったルビー色の霊峰を前に
    エイシンフラッシュはハロウィンの日の教会のReformationstagに両親に連れられて参列するような厳かな思いでスプーンを手に取った

  • 531723/05/19(金) 15:18:12

    まずは山の中腹のイチゴソースとミルクの掛かった辺りを一匙
    いきなり神域に踏み入るような無作法な真似はしない

    イチゴソース、ミルク、氷の聖三位一体のバランスを崩さぬように慎重に見極めてスプーンを入れる
    そして聖体拝領の如く敬虔に口許へ

    シャリッ
    ”!”
    まず感じるのは氷の圧倒的な冷たさとあえかな舌触り
    しかし淡雪のように薄く削られた氷片はすぐに溶けて流れゆき、舌の上には冷たい刺激と共にイチゴソースの甘酸っぱさとミルクの濃厚な風味が降り積もる
    「Lecker(美味しい)……!」
    思わず口から漏れる感嘆に、右手は間髪を入れず次の一匙を同じ辺りから掬いあげる
    ”このイチゴソースの果実感の残し方が絶妙ですね、甘過ぎない酸味強めの味わいが乳脂肪分強めのミルクとマッチしています
    そして氷の冷たさで鈍くなる口の中には甘さと酸味が程よい刺激を残して喉の奥へ消えていく
    これが本場の最高のSchneezuckerの味わい!
    なるほど、これは予約を必要とするのも頷けます!”

    しゃくしゃくと夢中になって中腹を食べ進めるエイシンフラッシュに、対面のスマートファルコンから声が掛かった
    「フラッシュさん?かき氷はあんまり急いで食べちゃうとキーンとなっちゃうよ?」
    「はい?キーンとなる、とは……っ?!?!」

    当にスマートファルコンに返事をしたその時、エイシンフラッシュのこめかみに鋭い痛みが走った
    「っ~?!⭐○&#*~!!??」
    思わず頭を抑えてうめき声を上げないように耳を絞って必死で自制するエイシンフラッシュ
    落ち着いて席に横たわっていた彼女の尻尾も驚きと衝撃で派手に毛を逆立たせている
    予想通りな姿を眺めてスマートファルコンは
    ”やっぱりこうなっちゃったかー”
    と苦笑いを漏らした

  • 541723/05/19(金) 15:19:06

    一通り痛みに耐えて持ち直したエイシンフラッシュが、目尻に薄く涙を浮かべてスマートファルコンに問い掛けた
    「ファ、ファルコンさん、今の謎の頭痛は一体…?
    なぜファルコンさんにはああなることが判ったのですか……?」
    そりゃああなるよね、と苦笑するスマートファルコン
    「アレはね、アイスクリーム頭痛って言って急いで冷たいものを食べすぎると起きるの
    冷たいものをいっぺんに沢山食べたら体がビックリして冷えた体温を上げようとするからあの頭痛がするんだって前にTVで言ってた」
    「つまりこの頭痛は……」
    「レディーなら子ウマ娘みたいに急がずに優雅に食べなさい、って言う神様からの小言かな?」
    先輩の余裕を見せて揶揄ってくるスマートファルコンに、何も言えないエイシンフラッシュだった

    ”み、みっともないところを見せてしまいました……
    反省せねばなりません”
    先程の醜態に恥じ入りつつも、彼女のスプーンは次なる霊峰の神秘を解明しようとかき氷に向かっていく
    次に狙いを定めるのは山頂の雲のようなクリーム
    イチゴソースで紅色に色づいたクリームを口にすると、今までとは種類の違う酸味と乳脂肪分の味わい、そして馴染み深い香りが広がった
    ”この味はチーズクリーム!
    なるほど、生クリームだと時間が経つと緩くなって氷と混ざってしまいますが
    チーズクリームなら時間を掛けてもダレずにクリームはクリーム、氷は氷として食べられますし、イチゴとの相性もピッタリです”
    鼻に抜けるチーズの風味がイチゴとミルクで馴らされた嗅覚を再び活性化させてゆく
    ”香りの相乗効果も狙ってのこのチョイスでしたか、どこまでも隙がありませんね”

    中腹を踏破し、雲に脚をかけ、いよいよ目指すは山頂の祭壇
    ”とうとうここまで来ましたか”
    無言で気合いを入れるとともにスプーンが美しく組み上げられたイチゴの列を掬いあげる
    氷、チーズクリーム、イチゴのバランスを考慮しないようなはしたない真似はしない
    ”いざ、頂点へ”
    どこかの不退転のような事を思いつつイチゴを口許へ

  • 551723/05/19(金) 15:23:22

    しゅり…
    ”素晴らしい、完璧なバランスです”
    イチゴの瑞々しく清涼感のある歯触り、新鮮かつ清冽な酸味、春の陽光を閉じ込めたような優しく華やかな芳香、チーズクリームの濃厚な脂肪感、それと相反する軽やかな酸味、イチゴソースの甘味と酸味による風味の後押し、それらの中でアクセントとして顔を覗かせる細かく砕いたアーモンドの香ばしさと粒々感、そしてその全ての味を受け止めて洗い流す淡雪のような氷
    一つの氷菓子としての調和の到達点
    それをエイシンフラッシュは確かに今、口にしていた

    山頂、中腹、クリームと手を替え品を替え食べるものを楽しませてくる特製イチゴスペシャル、その完成度に感激するエイシンフラッシュであるが、先程の痛い教訓を忘れてはいない
    ”焦ってはなりません、優雅に、淑女らしく賞味するのです”
    しかし食べる内に口の中が甘く冷えてくることは否めない
    ”ああ、そうでした”
    そんな中で存在を主張してくるのが焼きメレンゲ
    ”このメレンゲの意図は明白ですね、氷菓の口直しとして香ばしさを意識するのは定石です”
    そっとつまみ上げればメレンゲはあくまで軽く、儚く、口にするとこれも軽やかな香ばしさだけを残して「すうっ……」と消えていった

    ”ああ、どこまでも……”
    目眩く氷菓の世界に一人酔い痴れるエイシンフラッシュ
    そんな彼女に
    「ねえ、フラッシュさーん?」
    忘れてはならぬ声が届いた

    「はっ!はい、何でしょうかスマートファルコンさん!」
    半分以上忘我の境地に至っていた魂を地上に引き戻すエイシンフラッシュ、忘我のあまり呼び名まで以前に戻っている

    「なんかもの凄く熱中してたけど本当に気に入ったんだね
    ファル子も美味しさに感動してたけど、フラッシュさんはそれ以上みたい!」
    にっこりと笑うスマートファルコンの笑顔に今日のもう一つの目的を思い出す
    ”いけない、今日はファルコンさんへの御礼でもあるというのに、淑女としてこんな事では”
    「はい、本当にここのSchneezuckerは素晴らしいです!
    ファルコンさんにも楽しんで頂けたなら、お誘いして良かったと思います」
    そう言って笑うエイシンフラッシュに、スマートファルコンは更なる追撃を仕掛けてきた

  • 561723/05/19(金) 15:24:29

    「じゃあさ、せっかく二人で来てるのにお互い自分のだけしか味を知らないとかもったいないよね?
    フラッシュさんがイヤじゃなければファル子のレモンも味見してみる?」
    「よろしいのですか?なら是非とも!」
    淑女としてあるまじき事に、考えるより先にエイシンフラッシュはスマートファルコンの提案に飛びついていた
    ”ああああ、今日の私は幾ら楽しみにしていたとはいえはしゃぎすぎです……”
    内心へこむエイシンフラッシュに
    「じゃあさ、はい、あーん」
    スマートファルコンはにこやかにスプーンを差し出してきた

    「え?ファルコンさん?」
    「あれ?味見しないの?」
    いかにもアイドル志望らしく可愛らしく小首を傾げるスマートファルコン
    「いえ、流石にそれは行儀が宜しくないのでは……」
    先程の自分の醜態を思い返して歯切れの悪いエイシンフラッシュ
    そんな彼女にスマートファルコンは再度笑いかけた
    「ちょっとお行儀悪いけど、美味しいのが一番だよ!
    ファル子、フラッシュさんにファル子の思う一番美味しいところを食べて貰いたいなーって」
    「ファルコンさん…」

    この人はいつもそうだ
    ギムナジウムの途中から日本へ留学してきて、不安だった私を明るく受け容れてくれて
    学年の区切りの関係で、同年齢なのに1年後輩となった私をいつでも気にかけてくれて
    周囲に上手く合わせるのが苦手な私が溶け込めるように色々な人との仲立ちをしてくれて
    そして今も、私以上に私が楽しく過ごせているかどうかを気にかけてくれている

    「わかりました、ファルコンさんがそう言うなら」
    エイシンフラッシュは意を決してやや大きめにスマートファルコンのスプーンの前で口を開けた
    「そうそう!楽しいのが一番だよ!はい、召し上がれ!」
    そう言って輝くような笑顔と共に口の中に差し込まれた、甘酸っぱいレモンフロマージュかき氷の風味
    エイシンフラッシュは”きっと私は、一生この味を覚えていられるだろう”と思った

  • 571723/05/19(金) 15:27:39

    以上にて終了で御座います

    今作のインスピレーションを下さった>>47氏へ感謝を捧げます


    二人揃ってキーンというのもよいですけど、二人揃ってスイーツなら『あーん』はお約束ですよね?(圧迫面接)


    それではこれにて失礼いたす

  • 58二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 15:44:47

    尊い……これは尊みの極み……良い……

  • 59二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 20:06:43

    頭キーンなるフラッシュ可愛い…

  • 60二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 23:13:56

    あら^〜
    素晴らしすぎるSS、ちょっと余裕のある雰囲気のファル子と甘いものに目がないフラッシュのかき氷回最高でした!

  • 61二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 07:48:54

    寝起きの空腹に効きすぎる……
    リアルももうすぐかき氷の季節だし食いたくなってくるやん…

  • 62二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 19:00:02

    数年後またこうやって買い食いした品々を懐かしんで2人で食べてるフラファルはいる
    きっとフラッシュはいつ食べたのかもきっちりと覚えてるんやろな

  • 631723/05/20(土) 23:17:36

    毎度お騒がせしております>>17で御座います


    >>1さんにお聞きしたいのですが、今まで三回場をお借りして投下させて貰ったのですが、段々と話の内容がハムカツ概念から外れて単なるフラファルSS孤独のグルメ風味になりつつあるので、

    このスレをこの先もお借りしても良いかどうかを伺いたかったのです


    迷惑だと言われるならば勿論今後の投下は別の場所で行わせて頂きますが、

    もし許可が頂けるなら今後もこちらの場所をお借りさせて貰いたいとお願いに上がりました

    急な話でご迷惑かとは思いますが、お返事をお待ちしております

  • 64123/05/20(土) 23:21:32

    >>63

    フラファル(ファルフラ)を取り扱う以外にルールはございませんので、御自由にお使いください。

    GOODファルフラ!

  • 651723/05/20(土) 23:28:41

    >>64

    寛大なお言葉ありがとうございます!

    それでは今後も場をお借りさせて頂きます!

    どうか宜しくお願いいたします

  • 66二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 23:30:30

    やったぜ!!!!!!!!11111

  • 67二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 07:02:31

    フラファルのグルメうれしい…うれしい…

  • 68二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 10:42:06

    このフラッシュはわさびツーンとかの初体験も絶対可愛い

  • 69二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 20:47:00

    どんどん日本食に馴染んでいくフラッシュいいぞ……

  • 70二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 21:36:16

    なんてスレを見つけちまったんだ
    尊みで胸が一杯だけど腹は減る一方だ
    このまま食べるの我慢したらナイスバディになっちゃうよ

  • 71二次元好きの匿名さん23/05/22(月) 05:13:34

    納豆に邂逅したフラッシュとか駄菓子とか…後はポン菓子を初めて見るフラッシュとか絶対可愛い

  • 72二次元好きの匿名さん23/05/22(月) 06:59:32

    フラッシュはファル子が持ってるポン菓子を初めて見た時お菓子だと認識しなさそう
    でも食べてみると素朴な甘さとさくさく食感にハマる(確信)

  • 731723/05/22(月) 11:27:57

    毎度お騒がせしております>>17で御座います

    何とか第4回が完成しましたので、場をお借りしに参りました

    計9レスの予定です



    「ミソラーメンが食べたいです」

    エイシンフラッシュがそう言いだしたことはスマートファルコンには少し意外だった


    「この前のかき氷みたいなスイーツも良いけど、フラッシュさん何か日本でこれを食べてみたい!みたいなものってないのー?」

    平日の就寝前のなんの気無い雑談

    そこでエイシンフラッシュから帰ってきた答えは寿司や刺身、スキヤキ辺りを予想していたスマートファルコンにとっては非常に意外な食べ物だった


    「えー?何でラーメン?

    もっとこう、日本でしか食べられないものってあるんじゃないの?」

    「ラーメンも十分日本でしか食べられないものですよ、ファルコンさん」


    そう苦笑して答えるエイシンフラッシュを見て、そう言えばラーメンがヨーロッパにあるわけないな、という当たり前の事にスマートファルコンは思い至った


    「それにドイツのミソラーメンと日本のミソラーメンがどう違うのかも気にはなっていたんです」

    「え?ドイツの味噌ラーメン?あるの?」


    あるんかい

    どこかの稲妻の如くツッコミそうになるがそれより好奇心が先に立つ


    「ええ、日本人の方がドイツではじめたラーメン店チェーンのTAKUMIと言うお店があります」

    名物のミソラーメン、何度か食べたことはあるんですよ、と微笑むエイシンフラッシュに

    ”思ってたより日本の食べ物ってドイツにあるんだなあ”

    とグローバル化を実感するスマートファルコンだった

  • 741723/05/22(月) 11:29:03

    そんな会話をしてからしばらく後、日用品を買いに府中駅前のショッピングモールに訪れた二人はその日の事を思い出した
    「フラッシュさん、お昼ご飯だけどこないだ言ってた味噌ラーメン、食べてみる?」
    「良いのですか?
    ファルコンさんが構わないのなら、私としてはとても嬉しいです」

    そう言って微笑むエイシンフラッシュ
    近頃は堅苦しいのは変わらずとも、こうして柔らかい笑顔を見せてくれることが多くなった
    ”フラッシュさんもそろそろ日本に馴染んできてくれたのかな?”
    スマートファルコンには、こういったエイシンフラッシュのちょっとした変化が嬉しかった
    ”折角日本に来てるんだから、レースの事は別として、楽しい思い出たくさーん持って帰って欲しいもんね!”

    そういつかの別れを考える中で思う、ほんの少しの寂しさを振り払うように
    「じゃあここのフードコート行こうか!
    ここのラーメン屋さん、評判良い上にウマ娘盛もやってくれるんだよ!」
    スマートファルコンは笑った

  • 751723/05/22(月) 11:30:32

    昼時のフードコートは例に漏れず混雑しているが、
    特にイベントがあるわけでもない今日のような日は思っているよりは並ばなくてすむことも多い
    列に並ぶこと10分、長さの割に素早く二人の順番がやって来る

    「いらっしゃいませ、ご注文は!!」
    景気よく叫ぶ店員に
    「ミソラーメンウマ娘盛をお願いします」
    「あ、それを二つ下さーい」
    と並ぶ間に決めていた注文を告げる
    「ありがとうございます!味噌ウマ2丁入りゃーしたーァ!!」
    「「ありがとうございまーす!!」」

    威勢良く返事して素早くウマ娘盛の支度に入る厨房
    会計を済ませ、受け取りカウンター前でわくわくとそれを待つエイシンフラッシュと
    ”フラッシュさんこういう時は何だか子供みたいになるよね
    普段が大人っぽいから余計に幼くみえるのかも”
    等とほっこりしているスマートファルコン

    少しの時間で
    「お待たせしました味噌ラーメンウマ娘二つでお待ちのお客様!!」
    「「はーい!」」
    二人はずっしりとしたウマ娘盛の味噌ラーメンを受け取りテーブルへと
    「…どうしましょう、ファルコンさん」
    移動できなかった

  • 761723/05/22(月) 11:31:27

    「え?どうしたの?フラッシュさん?」
    「スプーンはありますがフォークがありません…」

    ”あ、ラーメン食べるのはお箸じゃないんだ”
    今更ながらエイシンフラッシュがドイツ人であることを実感するスマートファルコン
    困惑して左右を見回すエイシンフラッシュ
    「あ、それなら!こちらにございますのでどうぞ!!」
    素早く使い捨てフォークを差しだしてフォローする店員
    「海外の方だったんですねー、日本語上手いしウマ娘さんはみんな美人だから気づけませんでしたよ!スイマセン!」
    ニコニコ笑顔でフォローを入れる店員に押されっぱなしのエイシンフラッシュ
    「あ、ありがとうございます」
    ”勢いで誤魔化されてるなー”と冷ややかな目線を送るスマートファルコン
    さすが混雑店だけあって、色々な意味で素早い対応であった

    混雑の中から空きテーブルを何とかみつけて二人で陣取る 
    「では、頂きます」
    「いっただっきまーす」
    目の前にはホカホカと湯気を上げる味噌ラーメンウマ娘盛(麺4玉入り)

    まずは全景を見渡す
    スープの中から少し頭を出す麺、その上に大量の白髪ネギ
    ネギの山の周りにはやや薄く切られた5枚のチャーシューが左手に、バターを従えたコーンの山が右手に、そして奥には2等分された茶色い煮卵が4つ睨みをきかせ、正面にはメンマとモヤシが小山を作っている
    ”この茶色い卵は食べたことがありませんね、何かで味付けしてあるのでしょうか”
    全景を前にまずはスープを一口
    やや強めの塩味と、味噌の風味と旨味、ニンニクの香り、トウガラシらしき辛み、ドイツで食べた覚えのあるとんこつらしき濃い旨みと脂分、それと何か魚らしき香りと旨み
    数えきれない味と香りの嵐が暴力的に押し寄せてくる

    ”これが、日本のラーメン……!
    ドイツのものも美味でしたがこの荒々しさはその遥かに上です……!”

  • 771723/05/22(月) 11:32:16

    次は麺だ
    そう考えてフォークで麺を巻き取ろうとしているエイシンフラッシュを興味津々で眺めるウマ娘が一人
    「おおー、ラーメンをそんな食べ方するんだ、ドイツでは」
    物珍しさに思いっきり注目するスマートファルコン
    本人もラーメンを前に箸を片手の臨戦態勢だ
    「日本のマナーでは違うと知ってはいるのですが、やはり啜るのは無作法に感じてしまって……」
    フォークとレンゲで味噌ラーメンの麺を完璧な紡錘形に巻き上げて、エイシンフラッシュは困ったように笑った

    口内を蹂躙するスープの旨みをなだめるように、紡錘形に巻き上げた麺を口許へ

    はむ
    ”これは、パスタやドイツのラーメンと比べて大分堅い……?”
    しかし噛んでみればその堅さは歯を心地良く押し返す弾力となり、口の中には麦とかん水の香りが吹きぬける
    ”なるほど、この麺の堅さは塩味と旨みが荒々しく強いこのスープと対抗するためのものですか”
    麺の歯触りを楽しむ内に、スープの強い味は麺に受け止められて口の中で均衡し、素晴らしい調和を産む
    しかしその調和はスープの味が薄れるとともに崩れ、口内には少しの味気なさが残る
    ”スープが足りませんでしたか、では次を”
    続けてまた麺を巻き上げて口に入れる
    そしてそれを追い掛けるようにスープを一口
    再び均衡が産まれ、そして崩れゆく
    ”いけない、では次を……”
    均衡、崩壊、均衡、崩壊
    その繰り返しに引き込まれるように、エイシンフラッシュはテンポ良く麺、スープ、麺、スープと繰り返し口許へとフォークとレンゲを運んでいた

  • 781723/05/22(月) 11:33:06

    ”手を止める切っ掛けが見当たりません……!
    これが、日本のラーメンの魔力……!”

    味噌、ニンニク、トウガラシと言った強い味付けのスープを立て続けに飲んだからか、気がつけば額には汗すら滲んでいる
    ”落ち着くのです、エイシンフラッシュ
    ここは一息ついて、麺とスープの他の具にも目を配りましょう”

    一旦無限ループを強引に切り上げ、エイシンフラッシュはフォークを他の具へと向ける
    まずは手前のメンマとモヤシ
    メンマはザキザキと、モヤシはシャキシャキと複数の異なる歯応えが口内を通り越して頭の芯へと響く
    ”この歯触りの軽快さは日本でもドイツでも変わりませんね
    やはり麺とスープばかりではバランスを欠くと言うものです”
    メンマが歯応えの中に甘辛さでアクセントをくわえて舌を楽しませれば、
    スープとメンマの濃い味にならされた舌はモヤシの淡白さでリフレッシュされる
    そのコンビネーションがうれしい

    また麺とスープを味わった後に今度はバターコーンへとレンゲを向ける
    しゃくしゃく
    ”うん、コーンの甘味と歯触りが強い味のスープになれた舌をモヤシとは違う方向で休めてくれています
    このバターがまた良いですね”
    続けて麺とスープを一口
    ”!これは?!スープがさっきよりもまろやかに!
    そうか、バターにはこんな狙いもあるのですか!!”
    バターはコーンの味付けのみならず、その濃厚な脂肪分でスープの攻撃的な味の印象を丸く穏やかにしていた
    しかし旨み自体は減ってはいないから、麺とスープの均衡と崩壊の連鎖にはいささかの揺るぎも無い
    ”ラーメンのバターにはこのような効果もあるのですね
    ドイツではバタートッピングを試したことはありませんでした
    これは両親へのメールに一言付け加えねばなりませんね”
    ラーメンスープの熱に浮かされたか胡乱な事を考えるエイシンフラッシュ
    『味噌ラーメンにはバターを乗せろ』と日本からわざわざメールで教えてくる娘を見て両親がどう思うかを考えるべきだろう

  • 791723/05/22(月) 11:34:25

    彼女が続けて狙いを定めたのはチャーシュー
    ”ドイツのTAKUMIではSchweinebauchにスパイスやショウユで味付けして煮たものが載っていましたが、ここのチャーシューはSchweinebauchではなさそうですね? ”
    丸っこい形のチャーシューを一枚フォークで取り上げる
    みしり
    ”堅い!”
    ドイツで食べたバラチャーシューの印象でかじりついたエイシンフラッシュには、そのチャーシューのミッシリとした肉感は余りにも堅いものに思えた
    しかし一度食い千切って咀嚼してみれば、調味料を吸い込んで堅くなった豚肉の塊は細かい繊維状に千切れながら肉の旨みと調味料のハーモニーを奏でだす
    その味わいの下支えとして外周部の焦げ臭と香ばしさが良い仕事をしていることに気が付いたエイシンフラッシュは内心大きく頷いた
    ”この肉の部位はおそらくHüfte!
    なるほど、Schweinebratenのように、味付けした肉を塊で焼き上げてから薄く切り分けているのですね
    これはこれで美味です
    同じラーメンにのせる肉でもこれ程バリエーションがあるのですか”

    チャーシューを一枚平らげ、再度麺とスープを味わったらとうとう最後の煮卵の出番だ
    ”この卵は、半熟に仕上げてあるのですね
    安価で半生の卵が食べられるとは、日本ならではですね”
    一般にヨーロッパでは卵は加熱用として売っていて、生で食べられる卵は殆ど見当たらない高級品扱いであるため、日本の半熟卵が安価だと知ってはいても得したような気持ちになるエイシンフラッシュ

  • 801723/05/22(月) 11:35:14

    ”では、頂きましょう”
    あむ
    味玉を思い切って口に入れると、まず感じるのは白身部分の強いしょうゆとダシの味
    ”やはりこれは調味液に半熟卵を漬け込んだものなのですね
    これも塩辛い味付けではありますが中々美味ですね”
    ぷつり
    白身に歯が食い込むと、溢れ出た半熟の黄身の部分が白身の味を和らげるとともに、卵黄特有のまろやかさと滑らかさを口内に広げてゆく
    ”!黄身の部分が混ざると全く別物の味になりました!
    これは、全体を食べないと判断出来ない料理なのですね!!”
    驚きのあまり思わず飲み込むと共に、更に味玉をもう一つ口内へ
    今度は最初から黄身の側を下にして味わってみる
    たらり
    黄身の濃厚な旨みがダシ味と絡み合って舌の上に広がる
    ”ああ、黄身から味わうのもまた美味です……
    しかしこうしてしまうと白身の部分が少し塩辛くなりすぎますね”
    やはりこれは全体を一つのものとして味わってこそなのだろう
    ”ラーメンそのものがそんなところがありますね
    スープだけでは塩辛い
    麺だけでは味気ない
    具だけでは味が強すぎたりなさ過ぎたりとバランスが悪い
    しかし全てが渾然一体となった美味は替えがたいものがあります”

  • 811723/05/22(月) 11:36:03

    麺を口に入れてスープを飲む
    具を味わった後はスープで口の中を潤す
    麺と具を両方一度に食べて味わいの変化を楽しむ
    様々な食べ方に、ラーメンは鷹揚に応え、そのたび毎に違う美味な顔を見せてくれる
    しかしそれらのバランスを崩してしまえば、美味の真骨頂を味わう事は出来ない

    ラーメンという食べ物は、オーケストラの指揮者の如く食べる側に繊細なバランス感覚を要求するのだ
    それは何と、細やかな気遣いを日常的に自然とおこなう事に長けた、この日本という国らしい食べ物なのだろう
    ”この国の人達と文化はやはり侮れません……”

    スマートファルコンに聞かれたら確実に
    『作る方も食べる方もそこまで深く考えてないと思うよ』
    と言われるであろうエイシンフラッシュの見事な勇み足だった

    麺を全て食べ尽くし、最後に丼の底に残ったスープとネギとをレンゲですくって味わう
    丼の底に残るスパイス類の刺激が最後まで喉を刺激する
    ウマ娘盛の味噌ラーメンを二人揃って食べ尽くし
    「「ごちそうさまでした」」
    今日も食後の祈りをスマートファルコンと共に唱えてテーブルを後にする
    空にした丼を店に返せばもう後は寮に帰るだけだ

  • 821723/05/22(月) 11:37:05

    「フラッシュさん、これからどうする?
    もう帰っちゃうの?」
    スマートファルコンの問い掛けにエイシンフラッシュは
    「そうですね、スケジュールではこの後、明日の課題と買ってきたものの整理を行うつもりでした」
    と予定を口にした

    「うーん、課題かー」
    目に見えてテンションのさがるスマートファルコン
    耳も尻尾も元気なさげに垂れている
    「ですが……」
    とらしくなくそこで一拍溜めて
    「ファルコンさんとなら15時00分までなら外出を延長しても今日のスケジュールに狂いはありませんね」
    エイシンフラッシュは悪戯に微笑んだ

    「え?」
    まさかエイシンフラッシュが自分から予定の変更を言い出すとは
    スマートファルコンが虚を突かれたように呆けていると
    「それでは、どうしますか?ファルコンさん」
    してやったりとばかりにエイシンフラッシュは再度微笑んだ

    「よーし!それならこれからカラオケ行ってファル子のワンマンライブの練習に付き合って貰うんだから!
    行けるとこまでトコトン行くよー!!」
    先程とうってかわってやる気をみなぎらせるスマートファルコン
    耳と尻尾も力強く左右に振られている
    「先程言ったように15時までですよ?ファルコンさん
    それ以降はスケジュールに狂いが出てしまいますから」
    「え~、もっとガンガン行こうよ~」
    「ダメです、二時間以上の遅延は認められません」

    二人のウマ娘はショッピングモールの入口へと初夏の陽光の中を、睦み合うように歩いていった

  • 831723/05/22(月) 11:38:46

    以上で終了で御座います
    安定の賢さGによるレス数間違い失礼いたしました

    それではこれにて失礼いたす

  • 84二次元好きの匿名さん23/05/22(月) 11:59:12

    ウワーーーーーーッ!!!!お昼前になんてものをーーー!!!味噌ラーメン食いてぇーーーー!!!
    フラッシュのグルメ良すぎる……

  • 85二次元好きの匿名さん23/05/22(月) 12:41:00

    ちくしょう、昼飯を食べる前に見るべきだったッ……見ていればお昼ご飯のメニューは味噌ラーメンになっていた筈だったのに!

    味を想像出来るくらいにしっかりと食事の描写が書き込まれていますし、ファルフラの尊さでダブルでお腹いっぱいな名SSでした。
    本当にありがとう……

  • 86二次元好きの匿名さん23/05/22(月) 19:50:41

    今度の休み味噌ラーメン食いいこ…味玉もええ…

  • 871723/05/22(月) 23:47:39

    先程もお騒がせしました>>17で御座います

    >>71>>72氏の書き込みにインスピレーション頂きまして気がつけば書き上がっていましたので

    第5回投下の場をお借りしに参りました

    全6レスの予定です


    「にんじん、ですか?」

    「そう、にんじん

    懐かしくてさー、つい大人買いしちゃった!」

    にこやかに笑うクラスメイトに30cmはあるオレンジ色のビニール袋に詰められた粒を『はい、にんじんあげる』と手渡され、エイシンフラッシュは困惑した


    「お、爆弾じゃん、久しぶりに見た」

    「へー、こっちのドン菓子ってこんなのに入ってるんだ」

    「爆弾とかドン菓子とかなんだよその名前

    パッカンかはざしだろ?」

    「え?おいりやないの?

    ウララちゃんはパットライスって言いよったけど」

    わいわいわい

    周りのクラスメイトが口々に言う名前の全てに聞き覚えはない

    ”一体これは何なのでしょうか?何かのお菓子のようですが…?”

    半透明なオレンジ色の三角錐に『にんじん』と筆文字で書かれたパッケージからは内容は読み取れない


    「皆さん、これはいったいどのような…」

    エイシンフラッシュが聞こうとしたときに

    「よーし、授業はじめるぞー、席に着け

    …お前らとっかんとかどっから持ってきた…?

    授業始めるんだから仕舞え仕舞え」

    教室に入ってきた教師の発言で、エイシンフラッシュはさらに混乱した


    「と言うわけでクラスメイトの方から貰ったのですが、これはいったい何なのでしょうか?」

    帰寮後に至極真面目に質問してくるエイシンフラッシュと、その愉快なクラスメイト達にスマートファルコンは思わず頬を緩ませた

  • 881723/05/22(月) 23:48:29

    「うんうん、フラッシュさんにクラスで仲良しの子達がたくさん出来てファル子も嬉しいよ
    フラッシュさんも成長したねえ、およよよ」
    何目線かも判らない謎の視点で、エイシンフラッシュの交友関係が広がっているのを喜ぶスマートファルコン
    ご丁寧に目尻をハンカチでぬぐう演技付だ

    そんな日本のお茶の間ドラマでお馴染みの動作等知るわけも無いエイシンフラッシュは更に困惑中だ
    「ファルコンさん?一体それはどう言う事を指して言っているのですか?」
    「あはは、ゴメンゴメン
    ちょっとおふざけしただけだよ」
    ハンカチをしまい込んで向き直るスマートファルコン

    「これファル子のとこだとポン菓子って言ってたなあ
    お米を炙ってポン!って爆発させて甘い味付けするお菓子だからポン菓子」
    謎の『にんじん』の正体について説明するスマートファルコン
    「おこめ、ライスを爆発させる??爆発させたものを味付けする??」
    宇宙の神秘を覗いたような顔になるエイシンフラッシュ
    どこかのギャラクシーな猫やロボと並べたらネット世界でバズりそうだ

    「うーん、実際作ってるとこ見てみないと判りにくいよね…
    とりあえず食べてみたら?甘くてさくさくしてて美味しいよ?」
    「はあ、それでしたら開けてみます、ファルコンさんもたべますか?」
    「良いの?ならファル子も貰うね!久しぶりだなー」

    とりあえず紙皿を出してその上に『にんじん』の袋の中身を空ける

    サラサラサラサラ
    「?おかしいですね、はじめて見たはずなのに何か見覚えが…?」
    よく判らない既視感に襲われてまたもや困惑するエイシンフラッシュ
    「食べてみたら思い出すんじゃない?いっただっきまーす」
    「はあ、では、頂きます」

  • 891723/05/22(月) 23:49:33

    スマートファルコンの勧めに従ってまず一口
    さくっ
    ”!この食感には覚えがあります!
    私は間違いなく以前これをどこかで食べている!
    でもどこで!?”

    口の中に広がる軽い食感と香ばしい米を炒った香りに記憶を刺激されるエイシンフラッシュ
    スマートファルコンの言うとおりに、香ばしくて軽くて飽きない優しい甘さがして美味しいのは間違いないのだが、今のエイシンフラッシュは自分の記憶を探すのに忙しくてそれを口にする余裕がなかった
    しゅわしゅわしゅわしゅわ
    口の中で呆気なく溶けるポン菓子
    飲み込んだ後に残る香ばしい米のにおい
    ”この香りにも覚えはありますね……”

    続けてもう一口
    今度は先程よりも大目に口の中にポン菓子を入れる
    ”間違いありませんね、私はこれをどこかで食べている
    しかし何時どこで?
    日本で食べた記憶はありませんから、ドイツで食べたと言うことですか?”
    思い返せば思い返すほどに困惑する
    ドイツの実家ではライス等食卓に上がる事はなかった
    ライスは滅多に無い少し変わったアジア料理やトルコ料理の外食で食べるもの
    それがドイツでのエイシンフラッシュの常識だった

    深く深く眉間に皺を寄せて自分が何処で食べたのかを思い出そうとするエイシンフラッシュに
    「フラッシュさん、そこまで悩まないでもよくない?なんか飲み物でも淹れようか?」
    とスマートファルコンが声を掛けた
    「あ、申し訳ありません
    つい思い出そうと夢中になっていました」
    「そこまで頑張らなくても良いんじゃないかなあ……
    飲み物はホントは牛乳が一番合うんだけど、紅茶とかどうかな?フラッシュさん」

  • 901723/05/22(月) 23:50:49

    ”!牛乳!Milch!!”
    その時!エイシンフラッシュの脳裏に電流奔る……!

    ガタン!「それです!!」
    「ひゃあっ!?」
    思わず立ち上がって言うエイシンフラッシュ
    その剣幕にビックリして耳と尻尾を逆立たせるスマートファルコン

    「はっ、すみません!ファルコンさん!
    思い出したのでつい興奮してしまいました……」
    己の醜態に顔を真っ赤にして俯くエイシンフラッシュ
    耳も外側にシオシオと垂れている

    「あ、うん、ファル子もびっくりしただけだから大丈夫だよ
    それより思い出せたの?」
    エイシンフラッシュのへこみ方を見てフォローするスマートファルコン

    「は、はい、Müsliです
    ドイツで食べていたMüsliの中に味つけしていないこれが入っていたのを思い出しました」
    「ミューズリ?ってあの麦とかナッツとかいろんなの混ざってる朝ご飯で食べるやつのこと?」
    「はい、そのMüsliです」
    やっと思い出せたエイシンフラッシュは晴れ晴れとした顔で耳を真っ直ぐに戻してスマートファルコンの質問に答えた

    「へー、甘くないポン菓子って余り想像つかないけどやっぱり牛乳かけてたべるの?」
    「そうですね、Milch、牛乳かJoghurtと混ぜる事が多いですね
    子供の頃はそれにHonig、ハチミツを混ぜて貰っていました」
    「あ、それなら何となく味の予想出来るよ
    それはそれで美味しそうだね」
    途中判りにくい単語が挟まったが発音的に多分ヨーグルトのことだろうな、と思うスマートファルコンだった

  • 911723/05/22(月) 23:51:20

    さくさくさく
    「落ち着きました
    これで何も心残りなしに食べることが出来ますね」
    さくさく
    「本当さっきまでフラッシュさん眉間の皺凄かったもんね」
    さくさくさくさく
    「それを言わないで下さいファルコンさん……
    大人げなかったとは自覚しているのですから……」
    さくさくさくさくさくさくさくさく
    「えへへ、ゴメンね」
    さくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさく

    会話が途切れたところで不意に
    「でもフラッシュさんポン菓子気に入ったんだねー」
    とスマートファルコンに問い掛けられてエイシンフラッシュは戸惑った

    「はい、確かに懐かしいしこの味つけはこれで美味だと思いますが?」
    ”そんなに気に入ったという訳でも無いのですが……?”

    そう疑問に思うエイシンフラッシュにスマートファルコンは
    「だってさっきから凄い勢いでフラッシュさんポン菓子食べてるでしょ、日本のも気に入って貰えたんなら良かったよ」
    と指摘した

  • 921723/05/22(月) 23:52:05

    「え?」
    とエイシンフラッシュが手許の紙皿を見てみると
    「ほら、もう空っぽじゃない」
    ”そんな!?この皿に山盛りのポン菓子があったはずなのですが?!
    ファルコンさんはそんなに多く食べてはいませんでした
    まさか、これは全て私が!?!?”
    クラスメイトに貰ったポン菓子はほぼ全部がエイシンフラッシュの胃の中に収まってしまっていたようだった

    「も、もうおしまいですか、
    ごちそうさまでした……」
    「はい、ごちそうさま
    フラッシュさん、あんまりおやつ食べちゃうと晩御飯食べられなくなるよ?」
    「あ、あうぅぅぅ……」

    幼児を優しく注意する母親のようにスマートファルコンに揶揄われて、エイシンフラッシュは酷く赤面した

  • 931723/05/22(月) 23:58:12

    以上で終了で御座います

    あらためましてインスピレーションを頂けた>>71>>72氏に感謝を捧げます


    今回調べてみるまでここまでポン菓子の地域名が多いとは知りませんでした

    今作にでてきた限りですと


    神奈川 爆弾

    ドン菓子 北海道の一部

    パッカン 愛知

    はざし 静岡の一部

    おいり 香川

    パットライス 高知

    とっかん 長野と群馬の一部


    だそうです

    なお作者の地元はポン菓子でした


    それではこれにて失礼いたす

  • 94二次元好きの匿名さん23/05/23(火) 00:22:55

    スゥー……………(昇天)
    はえーそんなに呼び方に違いがあるんだ…こういう雑学も入ってるのええぞぉ…

  • 95二次元好きの匿名さん23/05/23(火) 07:00:33

    またタメになる知識をふんだんに織り込んでる!
    そんなに呼び方が多かったとは知りませんでした(ポン菓子地域)
    そしてフラッシュさん食べすぎちゃって可愛いね……

  • 96二次元好きの匿名さん23/05/23(火) 13:52:15

    は?可愛い
    こんなのファル子もっとフラッシュに色んなもの食べてもらいたくなってまうやん…
    そや!たこパや!

  • 97二次元好きの匿名さん23/05/23(火) 20:17:03

    食べてる時の描写細かくて作者は普段何考えながら食べてんのかってくらいだし、食べ終わった後のイチャイチャも良い…

  • 981723/05/24(水) 00:04:42

    毎度お騒がせしております>>17で御座います

    第6回投下の場をお借りしに参りました

    全7レスの予定です


    「はい、確かに好きな食べ物を家族みんなで食べると言うのはかけがえのない時間だと思います」

    エイシンフラッシュの何かを思い出すような微笑に、

    スマートファルコンはどうしようも無い遣る瀬なさを覚えた


    「にっくま-,ん、にっくまー,ん、にっくにっくまー,ん」

    るんたったと替え歌を口ずさみながら栗東寮への帰路を辿るツインテールのウマ娘が一人

    赤地に白の文字が書かれた紙袋を片手に機嫌良くリズミカルに尻尾を揺らしている

    言わずと知れた、宇宙的ウマドル(になる予定だよ)、スマートファルコンである


    「フジさん、ただいま~

    ファル子、戻りました!」

    「お帰り、ファルコン」

    寮の玄関をくぐり、靴を履き替えてロビーで話をしていたフジキセキ寮長達に挨拶をする

    「あ、タマモさんはもう戻ってきてます?」

    「さっき帰ってきていた筈だよ」

    「ありがとー⭐」

    スマートファルコンは機嫌良く、自室では無くタマモクロスの部屋へと続く階段を上っていった

  • 991723/05/24(水) 00:05:45

    ガチャ
    エイシンフラッシュは自室のドアのノブが回る音を聞きつけて、入ってくるだろう賑やかな先輩を迎えるために机から入口へと向き直った

    「フラッシュさん、ただいま~!」
    いつも以上にハイテンションで入ってくるスマートファルコン
    「お帰りなさい、ファルコンさん
    今日は予定通りの帰宅ですね」
    全く動じること無くそれを迎えるエイシンフラッシュ
    どちらが先輩なのか判ったものでは無い
    「今日のライブ最高だったよー!!
    やっぱりアイドルは現場に行ってこそだよね!!
    フラッシュさんも来れば良かったのに!」
    まさにテンション爆発と言った様子のスマートファルコン
    「いえ、先日言ったように私はクラスの皆さんとのダンス練習と、家族へのメールを送る予定がありましたので」
    に対して飽くまでも冷静に答えるエイシンフラッシュ

    「やっぱりダメかー
    フラッシュさんにもアイドルの素晴らしさは解って欲しいんだけどなー」
    そう残念そうにスマートファルコンがこぼすと
    「ファルコンさんがアイドル目指して一生懸命努力されてることは解りますので、私は素晴らしいと思っていますよ」
    と微笑むエイシンフラッシュ
    「ううう、フラッシュさんの応援がすっごく温かい
    ファル子いつか必ずウマドルの星になってフラッシュさんに恩返しするからね!!(ビシィ!」
    感極まったように真上を指差すポーズを決める、テンション爆発状態のスマートファルコン
    どうやらエイシンフラッシュの言葉は今日の彼女には特効だったらしい

    「そんな熱心な応援をしてくれるステキな子のフラッシュさんには、とってもよいものがあります、はいこれ!!」
    スマートファルコンは赤地に白文字で”511”と書かれている小さな箱をエイシンフラッシュに差し出した

  • 1001723/05/24(水) 00:06:49

    「511?これは一体何でしょうか」
    怪訝な顔をするエイシンフラッシュ
    同時になんだか食欲をそそる良い匂いがその赤い箱から漂ってくる事にも気付く

    「ファルコンさん、何か食べ物のような良い匂いがするのですがこれは一体?」
    「これはねー、タマモクロスさん曰く、『家族の元気のもと』なんだって」
    「『家族の元気のもと』?」
    エイシンフラッシュの脳裏に、両親の顔が浮かんだ

    スマートファルコンが赤い箱を開けると、その中には白くて丸い良い匂いのする何かが入っていた
    ”Dampfnudelに似ていますね?
    しかしこの匂いは明らかに 肉料理、それも日本や中国の料理の匂いです”

    「これはねー、511の肉まん!
    タマモさんに言わせると『豚まんや!肉まんとちゃう!』らしいんだけど」
    「その肉まんと豚まんの違いとは何なのでしょうか?」
    「同じもののことだよ?
    地方で呼び方が違うだけで」
    「……ならタマモクロスさんもそこにこだわる必要は無いのでは?」
    先輩の発言にも容赦なく厳密さを追求するエイシンフラッシュ
    「……なんかこだわるポイントがあるんだろうね、ファル子にはわかんないや」
    関西人のこだわりはドイツ人とウマドルには通用しないようだった

  • 1011723/05/24(水) 00:07:28

    「昨日ね、今日池袋のライブに行くって話をロビーでしてたらタマモさんにお願いされたんだ
    池袋のデパートで地元の名物が期間限定で出店してるから、どうしてもオグリさんに食べさせたいんで代わりに買ってきて欲しいって
    そのかわりにファル子達が食べる分もタマモさんの奢りで買ってきて良いからって」
    1階の台所の隅に場を移して、いそいそと皿に肉まんを移してラップを掛け、レンジで温めるスマートファルコン
    「それでタマモクロスさんのお話が出ていたのですね、納得しました」
    その隣で小皿を二つ用意するエイシンフラッシュ
    箱の外側に書いてあったとおり、辛子醤油を小皿に用意して準備は万端だ
    「と言うことで、タマモさんに感謝して頂こうか!」
    「はい、ありがとうございます」
    チーン
    レンジのドアを開けるとふわっと肉まんの良い匂いが
    台所に広がった

    「では、頂きます」
    「いっただっきまーす」

    湯気を立てる白い肉まんをおそるおそる手に取る
    ”!やはり熱いですね、しかし我慢出来ない程ではありません”
    比較的持ちやすい底の左右を摘まんでまずは何もつけないで一口

    はぷっ、ほわあぁぁぁ
    ”!これは凄いですね!”
    ふわふわの柔らかい皮に歯が埋まったと思ったら、その中から爆発的な熱気を伴って具の匂いが飛び出してくる
    慌てずにまずは皮だけを嚙みきって一口
    真っ白な皮は見た目通りの柔らかさとほのかな甘さを伝えてくる
    そして具に接していた皮からは、芳醇な肉汁と中華風の調味料の味がしみ出してくる
    そして肉汁のコクと調味料の塩気を皮の甘さと柔らかさが受け止めて、これだけで一つの料理として完成した味わいになっている

  • 1021723/05/24(水) 00:08:00

    ”まだ皮の部分だけだというのにこの味わい!
    これはタマモクロスさんが何とかして友人に食べさせたいと思うのも分かりますね”

    続けて今度は具と皮をともに一口

    ”やはりこの具は豚肉でしたか、ショウユとスパイスの味と、この甘さは……?”

    中華風の味つけの中に甘さが広がる優しい風味
    それでいて皮とのバランスが崩れているようなことは全くない
    具単体としても、総合的な料理としても、非常に優れたバランスだと言えた

    甘さの正体を探る為にも今度は具の部分だけを小さく一口
    かじり取った断面から透き通った白っぽい四角形が見えた

    ”この透明感と甘さ、そして肉汁以外にも感じる汁気からして、この白っぽいものの正体はZwiebelですか!
    なるほど、FrikadelleのようにZwiebelのみじん切りを入れることによって、
    肉の臭みを消すと共に甘味とコクを足しているのですね”

    納得しながら具を飲みこんで、ここで小皿に目を向ける
    ”さて、箱の解説ではカラシジョウユをつけるとより美味になるとありましたが、どうなるのでしょうか?”

    小皿の辛子醤油に肉まんを少し浸す
    皮の端が黒く染まったのをみて、その部分を大きめにかじりとる

    はぷっ、つうん

    まず舌に感じるのは、醤油の強い塩気と、辛子のつんと来る刺激
    それらが舌の上を覆ったと思うやいなや、皮の甘味と具の旨みと脂分とコクが塩気を洗い流して押し寄せる
    舌の上に残る醤油の味は脂分で洗い流されて、具の旨みと相俟って更なる美味へと昇華していく
    しかし怒濤のような旨みと脂分の奔流の中でも辛子は最後までその刺激を保ち続け、脂分でくどくなりがちな後口をさっぱりさせることに成功していた

  • 1031723/05/24(水) 00:09:10

    ”これは確かにお薦めするだけのことはありますね
    くどくなりがちな甘味と旨みの強い味つけをカラシジョウユが引き締めてくれています”

    感心しながら今度は何もつけずにもう一口
    辛子醤油ありとなしとの辛口甘口の切替が口の中を飽きさせない

    ”一本調子になりがちなHackfleisch の料理を上手く食べさせる工夫ですね
    ソースやスパイスの使い方は種類が違ってもどの国でも目的は変わらないと言うことですか”

    色々と試している内に肉まんは最後の一口

    終わりにはやはりこれ、と辛子醤油を少しだけつけて最後の一口

    はぷっ、つぅん

    鼻の奥が痛痒くなるような清涼感のある辛味を残して
    肉まんは胃の中に消えていった

    「ごちそうさまでした」
    「ごちそうさまでした」
    「はい、お粗末様でした、って作ったんも買うてきたんもウチちゃうけどな!」

    スマートファルコンと共に食後の祈りを口にすると、横から合いの手が飛んできた

    「今日はどうもありがとうなー
    ファルコンも客とは言えライブの後並ぶのは大変やったやろ」
    ニコニコと声を掛けてきたのはタマモクロス

  • 1041723/05/24(水) 00:10:34

    「いえいえ、こんな良いものお裾分けして貰ったんだから大丈夫ですよ、
    ホント美味しかったんですから
    ね、フラッシュさん」
    「はい、確かに初めて口にする美味でした
    タマモクロスさん、ありがとうございました」

    二人揃って口にすると判りやすく照れるタマモクロス
    「いやいやいや、ウチが頼んだんやから、そんなお礼言われたら却って恐縮してまうわ
    みんな511のある時の方が無い時よりずっとええやろ」
    不思議な言い回しだ、とエイシンフラッシュは思った
    「ある時と無い時ですか?」
    同じ事をスマートファルコンも思ったようで不思議そうに聞いている

    「あー、そうか、511の宣伝って関西でしかやっとらんのやな
    そらネタも通じへんわな
    かー、ウチとしたことが外してしもた!」
    大袈裟に額を叩くタマモクロス
    「今のは511のCMのお約束なんや
    家族みんなで511の肉まん食べて楽しくわらっとるんが『ある時』
    家族みんなで揃ってるけど何も食べんと悲しそーうにしとるんが『無い時』や
    アカン、外したネタの解説自分でせなあかんとか拷問やでこれ……」
    苦笑いするタマモクロス

    しかしエイシンフラッシュにはその中の一節が強く刺さった
    「そうですね、タマモクロスさん」
    スマートファルコンは
    「はい、確かに好きな食べ物を家族みんなで食べると言うのは」
    そう言って微笑むエイシンフラッシュの、遠い家族を思うような切なさを含んだ微笑に
    「かけがえのない時間だと思います」
    どうしようも無い遣る瀬なさを覚えた

  • 105二次元好きの匿名さん23/05/24(水) 00:14:14

    タマのシナリオに511なんて出とったっけ?大阪の蓬莱は551やけど

  • 1061723/05/24(水) 00:14:55

    以上で終了で御座います

    >>43氏の概念からインスピレーションを頂きまして変化球ですがこのようになりました

    この場で>>43氏にお礼を申し上げます


    いわゆる曇らせっぽい内容になってしまいましたが

    世の中曇れば晴れる、晴れれば曇るもので御座います

    このまま終わらせるつもりは毛頭ありませんのでご安心を


    それではこれにて失礼いたす

  • 1071723/05/24(水) 00:15:56

    >>105

    実在企業と言うことで念の為仮名()とさせて頂いております

    そこら辺はご容赦願います

  • 108二次元好きの匿名さん23/05/24(水) 00:44:39

    今回も良かった良かった…なんとなく日本にちょっとずつ馴染んで来た感あるなフラッシュ
    そして出てきたドイツ語を調べるのもちょっと楽しくなって来たで

  • 109二次元好きの匿名さん23/05/24(水) 07:29:05

    起きたら肉まん食べるファルフラ供給がががががが
    ここまで美味しそうに食べてくれたらなんでも食べさせてあげたいよね

  • 110二次元好きの匿名さん23/05/24(水) 19:10:14

    ファルフラのグルメシリーズは飯テロとしての威力が高すぎる

  • 1111723/05/24(水) 22:37:45

    毎度お騒がせしております>>17で御座います

    何とか第7回が完成しましたので、場をお借りしに参りました 計5レスの予定です


    雨が降っていた

    日本の雨季は6月だと言うが、実際のところ雨季でなくとも日本は雨の多い国だ

    その雨が齎すものなのか、空気は常に湿気を帯びて、緩やかに肌に纏わり付く

    柔らかな日光とからりと乾燥した気候の母国とは全く違う日々

    日本は人口が多く人混みばかりで緑が少ない国だと言うものもいたが、この多雨と強い日光がもたらす草木の生命力の強さは母国とは比べ物にならないほど逞しい

    人の多さも、緑の濃さも、

    話す言葉も、歩く速さも、

    雨の多さも、信じる神も、

    走るターフも、日々の食事も、

    何もかもが、『貴女は違うのだ』と言うようだった

    この国では自分は異分子だと理解した上で、訪れた筈だった

    異分子でも、ターフの上で戦うものであるのならば同じである筈だった

    降りしきる雨にも

    逞しい緑にも

    高く跳ね回るような響きの言葉にも、

    見慣れぬ漢字の並ぶ看板にも

    チーズではなくショウユの匂いのする食卓にも

    家靴では無くスリッパで過ごす生活にも

    エイシンフラッシュは異分子である自分を突きつけられているような日々を過ごしていた


    「Papa、Mama」


    「Ich vermisse dich.」


    消灯後のか細いエイシンフラッシュの呟きが、切なくスマートファルコンの耳朶を打った


    雨はまだ、止まない

  • 1121723/05/24(水) 22:39:01

    スマートファルコンは決意した
    このままではダメだと立ち上がった
    エイシンフラッシュが最近落ち込んでいることは皆が知っている
    心配して声を掛ける者、気晴らしにと遊びに誘う者はスマートファルコンを含めて多くいた
    だが、エイシンフラッシュはその悉くを鉄壁の微笑で断って憂い顔でトレーニングと勉学に励むのみだった

    エイシンフラッシュは留学生である
    彼女は日本に遊びに来ているわけでは無い
    日本で勉学とトレーニングに励み、日本のレースでの栄光を手に入れるために地球を半分回ってきた挑戦者だ
    そんな彼女の勉学とトレーニングを邪魔することはクラスメイトや同室の先輩と言えども憚られる
    彼女は日本のウマ娘達のように地元の期待を背負ってきた、と言うわけですら無く自分の意志で異国に挑んだ求道者だ
    その求道者であり挑戦者の努力を妨げるようなことは、同じレースの道を志すウマ娘としてあってはならない
    自分達も彼女を見習って、寸暇を惜しんで努力すべきなのだ



    だが、それがどうした



    毎夜ベッドの中で誰にも気づかれぬように、ひっそりと圧し殺した声で父母を呼ぶ友を放っておくような真似が出来るか
    他人だから、ライバルだからと憂い顔で日々を過ごす仲間を励まさないような真似が出来るか
    それはファル子の奉じるウマドルとしての道ではない
    ウマドルを志すものならば、全ての人を笑顔にするという目標を一時でも忘れる事は赦されない
    ファル子はそんな見さげ果てた奴になるのは願い下げだった

  • 1131723/05/24(水) 22:40:18

    「と言うことでパーティーをやろうと思います」
    「なんて?」
    しかしてスマートファルコンの発案は少々突飛である事には変わりなかった

    「フラッシュさんに元気を出してもらう為にパーティーをやりたいんです」
    寮長室の応接テーブルの前でスマートファルコンは、はっきりとフジキセキとタマモクロスに対して言い切った
    「フラッシュさんが暗い顔をするようになったのはここ10日程です」
    二人から目を逸らさずにスマートファルコンは言葉を続ける
    「何が切っ掛けだったのかは判りません、でもフラッシュさんは今、ホームシックで苦しんでる」
    耳を絞り、両手を強く握りしめ、自分に出来る精一杯の誠実さでスマートファルコンは訴える
    「遠くから来た同室のお友達が苦しんでるのに、助けないなんていうのはウマドルじゃない!」
    「いや、ウチらはウマドルやないねんけど」
    思わず反射的にツッコむタマモクロス
    「タマモさん、タマモさんなら判りますよね!?
    家族に会えない辛さや寂しさが!!」
    タマモクロスの反応をスルーして更に重ねて訴える
    「フジさん、フジさんもいつも言ってますよね!?
    皆を楽しませるからエンターテイナーだって!
    皆に心配事無しに頑張って欲しいから寮長をやってるんだって!」
    更に矛先をフジキセキに変えてこちらも口説き落とそうとするスマートファルコン

    その瞳は熱く燃えており、エイシンフラッシュを何とかして立ち直らせようとする決意に満ちていた

  • 1141723/05/24(水) 22:40:55

    「はあ、やれやれ」
    タマモクロスがため息をついて立ち上がる
    「全く、困ったもんだよね」
    それに続いてフジキセキが腰を上げる

    そのまま二人はスマートファルコンに目もくれずに寮長室内から出て行こうとする、が



    その前に立ち塞がるスマートファルコン

    「ファルコン、のいてくれ
    ウチらは忙しいねん」
    「いささかマナーとして問題があるんじゃないかな、
    ポニーちゃん?」
    二人の平坦な声が響く

    「どきません」
    「ここで退いたら、ファル子はファル子で居られないから」
    「ファル子のウマドルの夢を応援してくれたフラッシュさんに応えたいから」
    「フラッシュさんに元気を出してもらうためなら、ファル子は何だってやるって決めたから」
    「だからファル子はどきません
    失礼なのはよく判ってます、でも、フラッシュさんの為にも、どうか力を貸して下さい」

  • 1151723/05/24(水) 22:41:48

    「ファルコン」
    フジキセキの声が再び冷たく響く
    「早く退いてくれないかな」
    「嫌です」
    「困ったな、そうするとパーティーの準備が遅れてしまうだろう?」
    「フラッシュさんの為……に……?」
    「全くやで、ウチらに力貸せ言うて来たんとちゃうんかいな、ファルコン?」
    「え、それじゃ……」

    にいっ

    フジキセキとタマモクロスの口角が吊り上がる

    「いやー、参ったわぁ
    ウチらは早いことここから出てパーティーの用意せなあかん思とんのに通せんぼしよる奴がおるわー」
    「ホントにねえ、ここから出るのが1秒遅れたら1秒フラッシュを元気づけるのがおくれるのにねえ」
    白々しい口調で話す二人の笑顔を見て、スマートファルコンは喜びを爆発させた

    「……っ!!ァ、ありがとうございます!先輩!!」

    「声うるさっ!そんなんより、はよそこを退きーや」
    「全く、私が栗東寮のポニーちゃん達の事で力を貸さないなんて、どうして思ったんだい?
    早く準備の為に色々とやらなきゃならないだろう?」

    「ふぁ゛、ふぁ゛い゛いぃ」
    返事は、声にならなかった

    「ほら、泣いとる暇はないで、元気づける為にパーティーやるんやろ?」
    「さあ、まずは何処で何をやるかを決めようか、資材を調達する予算もいるしね、中々の規模のパーティーになりそうだ」

  • 1161723/05/24(水) 22:42:16

    「え゛っく、う゛っく」
    次々と涙が止まらない
    でも、確かにそんな暇は無かった
    これから、フラッシュさんを元気にするための、とっておきのパーティーの相談をしなくちゃいけないんだ
    泣いてる暇はない

    「ぜんばい、ファ゛ル゛子頑張りまずの゛で、よ゛ろじぐ、お願いじま゛ず」
    でもやっぱり、二人の頼れる先輩への決意表明はうまく言葉にならなかった

  • 1171723/05/24(水) 22:45:30

    以上で終了でございます
    珍しく飯テロを挟まないスタイルでお送りしております
    多少異色の回になりましたが次回をお待ち頂ければ幸いで御座います

    次回最終回!
    東方不敗暁に死す!(嘘予告)

    それではこれにて失礼いたす

  • 118二次元好きの匿名さん23/05/24(水) 23:11:19

    ふー……これはもう座して次を待つしかねぇ…
    ホームシックなフラッシュ可愛い

  • 119二次元好きの匿名さん23/05/24(水) 23:22:25

    これは次回がすごく……すごく楽しみです!
    フラッシュさんへの最高のパーティーをお待ちしてます!

  • 120二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 07:06:22

    続きを待機シャトル

  • 121二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 14:00:24

    あったけえ………
    肉まんみたいにあったけえな…

  • 122二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 01:36:18

    フラッシュの為に全力になれるファルコンがてえてえ……

  • 123二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 07:43:08

    たい焼きとフラッシュさん

  • 1241723/05/26(金) 10:48:21

    毎度お騒がせしております>>17で御座います

    何とか第8回が完成しましたので、場をお借りしに参りました

    計6レスの予定です


    キーンコーンカーンコーン

    授業の終了を告げるチャイムが鳴ると、教室のあちこちでは放課後のトレーニングとその後の予定を言い交わす声がそこかしこから聞こえてくる


    ”でも、私には関係ありませんね

    私はやるべき事を正しくやるだけです”

    そんな日常の風景の中を、エイシンフラッシュは今日も個人トレーニングの為にグラウンドへ向かおうとしていた


    が、『エイシンフラッシュさん、エイシンフラッシュさん、フジキセキ栗東寮長がお呼びです

    栗東寮寮長室までお越し下さい』

    珍しい寮長室内への呼び出しと言う校内放送に、エイシンフラッシュの本日のスケジュールは乱される事になった


    「呼び出して悪かったね、フラッシュ

    とりあえずそこにかけてくれないかな?」

    寮長室でフジキセキに促され、エイシンフラッシュはソファへと腰掛けた

    「今日君に来て貰ったのは他でもない

    最近皆から君が元気が無いと聞くことが多いんだ

    良ければ、何があったのかを私に聞かせてくれないか?

    話したくないなら構わないけれど、何か私に手伝える事があるなら教えてほしいと思ってね」

  • 1251723/05/26(金) 10:49:01

    やはりか、とエイシンフラッシュは思った
    最近クラスメイトやスマートファルコンから遊びに誘われたり、気を遣われる事が増えているように感じていたが、どうやら自分は思っていたよりも重症らしい
    周囲から見ても自分は何とかしなくてはならないように見えているようだ
    こんな事ではいけない
    早くスケジュール通りのトレーニングに戻って、自分は心配されなくても大丈夫だと証明しなくては
    義務感に突き動かされ、エイシンフラッシュは口を開いた
    「気に掛けて頂いてありがとうございます
    しかし私は特に不調と言うこともなく、スケジュール通りのトレーニングに打ち込めています
    今日も個人トレーニングの予定がありますので今からそちらに向かってもよろしいでしょうか?」
    そう告げるとフジキセキは大仰に頷いた
    「そうか、君はそう考えているのかい
    でもそれは君の主観視点での話だろう?
    君にはまだトレーナーは居ないはずだ
    君は君自身が問題無くトレーニング出来ていると言うことを客観的に証明出来るかい?」
    エイシンフラッシュはフジキセキの態度に不快感を覚えた
    その言葉はまるで、貴方の自己評価は間違っていると言われたようなものだからだ
    否定されたと言う反発と自身のトレーニングメニューを否定的に言われた怒りとがエイシンフラッシュの胸を満たしていた
    その怒りと反発のままにフジキセキに反論しようとした刹那

    「だから、君のことを一番客観的に見てくれる人に相談して欲しいんだ」
    とフジキセキはタブレットを差し出した

  • 1261723/05/26(金) 10:50:23

    見るとタブレットの画面はビデオ通話ソフトが回線を開こうとしているところだった
    機先を制されて何となくその画面を見ていると
    『 Du hast viel durchgemacht,Flash』
    (大変みたいだね、フラッシュ)
    『Engel,bist du in Ordnung?』
    (ねえ、貴女大丈夫なの?)
    「!!!」
    と、今一番聞きたくて、でも聞きたくない声がした

    驚愕の余り詰まった喉で問い掛ける
    「Papa!!?Mama!!?Was ist denn los?!」
    (お父さん!?お母さん!?一体どうして?!)

    『Ich habe gehört, dass es dir schwer fiel』
    (君が大変だと聞いたんだよ)
    世界で一番頼れる、厳格な父の顔
    『Flash,Dein Einsatz ist großartig.Aber……』(フラッシュ、君の努力は素晴らしい、でもね……)
    それが今心配そうに曇っている
    『Engel,Ich möchte, dass du gesund bleibst』
    (私達は、貴女に元気で居て欲しいのよ)
    世界で一番大好きな、優しい母の声も湿りがちだ

    エイシンフラッシュを心から心配する表情の両親
    時差を考えれば今が一番仕込みで忙しい時間だろうに、わざわざ娘へのビデオ通話に夫婦揃って顔を出してくれている
    その両親の心配りが今のエイシンフラッシュには痛かった
    『(お店の仕込みは大丈夫なの?もうやってないといけない時間ですよね?)』
    感謝より先に強がりが口を衝く、自分を信頼して日本へと行かせてくれた、二人を心配させたくなくて
    『(今日は臨時休業だよ!私達の一番の宝物、フラッシュが沈んでるなんて話を聞いた後にいつも通りの顔や気持ちでケーゼトルテ(チーズケーキ)を焼けるものか!)』
    そんな娘の強がりを吹き飛ばすように、父は真顔で何でもないように言い放った

  • 1271723/05/26(金) 10:51:45

    エイシンフラッシュはその言葉を聞いて天を仰いだ
    まさか自分が周りに心配されているのが、地球を半周して両親にまで伝わってしまうとは
    ちらり、と横目でフジキセキを睨むとトリックスターな寮長は涼しげな顔で微笑むだけだった

    『(お父さん、お母さんその話は寮長から聞いたの?)』
    両親に確認する
    『(いや、寮長というのはその君の後ろに映っている黒鹿毛の彼女だろう?その子じゃないよ)』
    なら、一体誰が?
    『(フアルコさんと言ったかしら、栗毛の、明るく丸っこい印象のウマ娘さんから聞いたのよ)』
    !あの人が!
    塞ぎ込んでいた自分を見つめる、スマートファルコンの視線を思い出す
    あの人は、そこまで私を心配してくれていたのか
    真っ暗に沈んでいた心の中に、変化が起きていくのが感じられた

    エイシンフラッシュはもう一度、天を仰いで嘆息した
    どうやらあのおせっかいで底抜けに明るい先輩には、私が沈んでるなんてことは許せなかったようだ
    『(お父さん、お母さん、わざわざ朝早くからありがとう、確かに日本の生活は大変です、でもね)』
    沈んでいた心が、ゆっくりと動き出す
    『(私にも、この国のお友達が出来たの
    ルームメイトの、アイドルに憧れる少し変わり者の上級生
    だけど、とっても優しい、素敵な人)』
    瓶の底の澱のように積もっていた寂しさが、少しずつ薄れてゆく
    『(お母さんのさっき言った、私が大変だって伝えてくれたって言うスマートファルコンさん、その人)』
    エイシンフラッシュの心を曇らせていたものが薄れた中に差し込むのは、光
    『(その人が、私がこの国でやっていけるかをずっと心配して、ずっと見ていてくれたから)』
    まん丸な太陽が、薄暗い心の底へと陽光を届けてくれた
    『(落ち込んだり大変だったりもしたけれど、私は助けて貰えている)』
    優しい光と熱に照らされて、日陰でうずくまっていた気持ちが立ち上がる
    『(だからね、お父さんお母さんが心配してくれるのも判るけど、私はまだまだ頑張れますから)』
    さあ、真っ直ぐに背筋を伸ばして前を向こう、優しい人達の声に応えられるように

  • 1281723/05/26(金) 10:52:19

    『(私は、あの人達と元気です)』
    そう言って微笑むと、両親の顔に安堵の色が浮かぶ

    『(そうかい、良いルームメイトに恵まれたんだね、フラッシュ)』
    不安の色を消して微笑む父
    『(貴女を助けてくれたのはあの子なのね、優しい子)』
    エイシンフラッシュの大好きな、優しい微笑みを取り戻した母
    『(フラッシュがどれだけ普段頑張っているのか、そんなフラッシュがどれだけ落ち込んでいるのかを、身振り手振りが殆どだったけど一生懸命私達に伝えてくれたんだ)』
    スマートファルコンの悪戦苦闘の様子が父の口ぶりから伝わってくる
    『(ドイツ語は殆ど話せないみたいだったけど、凄く真剣に伝えようとしてくれたわ)』
    殆ど?全くの間違いでは?
    そう思わせる母の微笑
    『(フラッシュ、君はきっと、人生で二度あるかどうか判らない位の良い出会いをしたんだ、この奇蹟を神に感謝して、彼女との友情を長く続けていけるように努力しなさい)』
    笑顔で、それでも口調と眼は何処までも真剣に
    『(ええ、きっと、神様もそれを良しとされるわ)』
    エイシンフラッシュの一番大切な両親は、一番大切な友達に太鼓判を押してくれた

    ”寂しさに空を覆われていると思って居たのは私の間違いで
    何時だって私の周りには手を伸ばしてくれる人がいたんだ”
    暖かい熱が、エイシンフラッシュの胸を満たす
    今や心の中は澄み渡り、雲一つ無い、素敵な日本の青空が広がっている

    画面の中で微笑む両親にエイシンフラッシュは
    『(そのつもりです、最高のお友達ですから!)』
    と大きく胸を張って笑った

  • 1291723/05/26(金) 10:53:19

    通話を終えて、真っ黒になったタブレットを名残惜しく思いつつフジキセキに返す

    それを受け取ったフジキセキは
    「相談の結果はどうだったかな、ポニーちゃん?」
    と悪戯に微笑んだ

    「はい、本当に、」
    エイシンフラッシュはその表情を見て
    「私は良い先輩達に恵まれているな、と理解しました」
    何日かぶりに心の底から笑った

    「なら良かった、私達は先輩として少しは君の役に立てたかい?」
    フジキセキの視線は何処までも優しい

    「はい、本当にお世話になりました」
    エイシンフラッシュは心からの感謝を込めて、日本風にフジキセキに深く頭を下げた
    今この時は、この仕草こそが自分の心をきちんと伝えてくれると、素直にそう思えた

    「うん、いい顔に戻ったねポニーちゃん」
    耳を揺らして満足そうに頷くフジキセキ

    「じゃあ、みんなにもそれを伝えに行こうか」
    「はい、スマートファルコンさんやクラスの皆さんには、とても心配を掛けてしまいましたから」
    エイシンフラッシュが言うと
    「それだけかな?」
    とフジキセキは悪戯に笑った 

  • 1301723/05/26(金) 10:53:38

    「え?」
    エイシンフラッシュは混乱した
    彼女の生活は良くも悪くも寮の部屋と教室で完結していて、今まではそれ以外での人間関係を積極的に築こうとはしてこなかったから

    「折角の機会だ、自分がどれだけ人気者なのかをよく判っていない主演女優(ヒロイン)に、レッドカーペットをご用意させて貰ったよ
    どうか、楽しんで欲しいね」

    不可解な事を言うフジキセキに促されて寮長室のドアを開くと

    ぱん!ぱん!パパパパパン!!

    「きゃあっ!?」
    けたたましい破裂音と降り注ぐ紙テープと紙吹雪に包まれて、エイシンフラッシュは驚きの余り尻尾と耳を逆立てて硬直した

    「「「「せーの、栗東寮タコパへようこそーっ!!」」」」

    「……はえ?」
    スマートファルコンを先頭としたクラスメイト達や寮の先輩達の歓迎と、いつの間にか賑やかに飾り付けられ、テーブル席と鉄板が複数用意された栗東寮ロビーの様子を見て、エイシンフラッシュは理解が追いつかなかった

  • 1311723/05/26(金) 10:56:33

    以上で投下は終了でございます
    飯テロが、飯テロまでが遠い……!
    次回最終回と言ったな、アレは嘘だ(迫真)

    お待たせしました分次回は濃厚な飯テロ回をご用意いたしました(大言壮語)
    皆様断食の上お待ち下さい(自爆スイッチを連打する姿)

    それではこれにて失礼いたす

  • 132二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 11:20:22

    うわぁああああああああああああ(美しい家族回にやられて落下)
    毎度素晴らしいSSをありがとうございます!
    次回までビールでも飲んでリラックスしながら待ってます!

  • 133二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 18:12:10

    たこ焼き用意しとかな…!!あっつあつや…!

  • 1341723/05/26(金) 20:39:14

    毎度お騒がせしております>>17で御座います

    最近足りなかった飯テロの為の第9回が完成しましたので、場をお借りしに参りました

    計9レスの予定です


    紙吹雪を髪の毛に貼り付けたままで戸惑うエイシンフラッシュの手を引いて、スマートファルコンは彼女を会場のメイン、所謂お誕生日席に座らせた


    「こ、これは一体何事ですか?

    タコパとは?

    何故私は真ん中の席に座らされているのですか?」

    エイシンフラッシュは絶賛混乱中だ

    クルクルと忙しなく回る耳もそれを表している


    「あー、フラッシュさんめっちゃパニクってるね」

    「無理もないんじゃない?気づいてなかったみたいだし」

    「そりゃそうでしょー、フラッシュさんにこの企画がバレないように、

    この一週間アタシ達がどれだけ気を遣って日常生活を送ったと思っているのか!」

    「これがその成果よ!

    見ていろ、全力で歓迎して喜ばせてやるからなあ……!」

    「怖い怖い、なんでゲームのボスみたいになりようんよ

    単なるタコパやっちゅうのに」

    エイシンフラッシュを取り囲むクラスメイト達、今回の準備を熱心に手伝ってくれた彼女達から口々に歓迎?の言葉が掛けられる


    「え?え?企画?歓迎?

    ……もしかして、この催しは、わたしの、ため、に……?」

    「「「そーだよ!早く気づけよこのヤロー!!」」」

    荒っぽいツッコミと共に爆笑が巻き起こる

  • 1351723/05/26(金) 20:39:59

    「アンタが最近ヘコみすぎだったからさー、こりゃー何とかして元気づけてやらなきゃ女がすたると思って」
    目つきの鋭い、栗毛のクラスメイトが笑いかける

    「デビューしたらライバルや言うてもね、それまで仲良うしたらおえん言うことにはならんやん?」
    糸目のおかっぱヘアのクラスメイトが呼びかける

    「キミが落ち込んでるから、と言うだけでこれだけのポニーちゃんが集まったんだよ?
    君はもっと、自分が周りに愛されていることを知るべきだ」
    フジキセキが暖かくエイシンフラッシュを諭す

    途方にくれた迷子のように周りを見回していたエイシンフラッシュは、黙って隣に佇むスマートファルコンに助けを求めた
    「ふ、ファルコンさん、本当に、こんな大勢の方が、私が悩んでいるからと言って?」
    何が起きているのか理解できない、と言ったその表情は、まるで怯えているかのようだ

    「フラッシュさん」
    スマートファルコンは
    「『ユメヲカケル』って歌える?」
    真っ直ぐにエイシンフラッシュに問い掛けた

  • 1361723/05/26(金) 20:40:27

    「『ユメヲカケル』、ですか?
    はい、ダンスの模範演技の曲にもなっていましたので一通りは覚えました」

    「『トモダチ以上、仲間でライバル』」
    スマートファルコンがゆっくりと暗唱する歌詞の一節に、エイシンフラッシュが目を見開く

    「それはこういうことなの
    レースでは皆がライバルだけど、そうでないところでは皆で助け合って、高め合って、一緒に泣いて笑って怒って悔しがって、」
    もう一度、目を見つめながら語り掛ける
    「皆で強くなるんだ、それが競走ウマ娘だって、私達は信じてる」

    「……っ!」
    息を呑むエイシンフラッシュの瞳から、涙が溢れだす

    「ほら、泣いてないで、皆で楽しみましょ?
    今日はパーティーなんだから!」
    スマートファルコンの言葉を受けてエイシンフラッシュは
    「……っ、はい!!」
    涙に濡れた瞳で、華咲くように笑った

  • 1371723/05/26(金) 20:41:42

    ”今日は驚かされてばかりです、Papa、Mamaといい、このパーティーといい”
    やっと落ち着いて周りを見渡すエイシンフラッシュの前に、とん、と皿が置かれる

    「!これは!?」 
    この、武骨な見た目のwurstに、カレーの香りのする赤いケチャップは!
    「へへーん、懐かしいだろ、栗東寮特製カレーブルスト、お待ちどう!」
    「アタシらホンモノ食べたことないから、がっかりしたらごめんねー」
    「いえ、いえ!ありがとうございます!」

    さっきあれだけ泣いたのに、また目頭が熱を持つのを感じる
    ”今日の私は涙もろ過ぎますね”
    少し笑って、フォークを手に取る
    「いただきます」
    「「はい、どーぞ!」」

    ぶつり
    ホカホカと、湯気をたてる10cm程の赤茶色い焦げ目のついたwurst
    それを一つフォークで刺して、ケチャップをたっぷり絡めて口に運ぶ

    ばづん
    しっかりとした皮を嚙みきる感触
    口内に広がる油と肉汁と香ばしさと、ケチャップの甘味とカレーの香りと!

    日本に来てからの日々が、ドイツの思い出と混ぜこぜになってエイシンフラッシュの胸を満たす
    確かにこのwurstは彼女達の言うようにドイツのものと比べて塩気もスパイスの香りも控え目だし、ケチャップだって甘くて酸味が足り無い
    でも、今のエイシンフラッシュにとって、この『カレーブルスト』こそが世界一のCurrywurstだった

    「おいしい、です」
    「「よっしゃ!」」
    涙を堪えながらの言葉では、そう言うのが精一杯だった

  • 1381723/05/26(金) 20:42:40

    クラスメイトの心尽くしのカレーブルストを食べ終えた頃を見計らって、今度はタマモクロスとスマートファルコンが何かの皿を持ってくる
    「よっしゃ、次はこれやな!」
    「フラッシュさん、これが今日のメインのたこ焼きだよ!
    熱いから気をつけてね!」

    皿の上には小振りな卓球のボールのような形のきつね色の料理が湯気をたてている
    黒いソースと青緑のスパイスのようなものを被った姿は一見するとお菓子にもみえるが、漂う香ばしい香りがそれが甘味である事を否定していた

    「たこ焼き、ですか?」
    「せや、熱いけど旨いで!」
    「うーん、おかずのパンケーキと言うか何というか、
    とにかく小麦粉の生地に具を入れて丸く焼いたものなの」
    「まあまずは食べてみ!話はそれからや!」

    タマモクロスの勧めに従って端のボールを一つ、ピックで刺して口許へ

    はむ
    ”!!?これは!熱いです!!!”
    まず感じるのは圧倒的な熱
    口内をたこ焼きの持つ膨大な熱量が蹂躙し、全てを焼き尽くさんと迫る
    「はふっ!ほふっ?!ハフッ!」
    思わず無作法にも口から大きく音を出して息を継いで熱さを宥める姿を見て、タマモクロスは大笑いし、スマートファルコンは慌てて飲み物を取りに走った

  • 1391723/05/26(金) 20:43:27

    ”な、何とか口の中が落ち着きました……
    余りにも熱いですね、このたこ焼きは……”
    ようやく熱を逃がし終え、スマートファルコンから飲み物を受け取って落ち着いたエイシンフラッシュ
    その口中は黒いソースの刺激的な風味と甘味の強い味で満たされているが、肝腎のたこ焼きはまだ原型を保って居座っている
    ”このソースはかなり濃い味付けでしたね、そうすると日本の料理のパターン的にはこのボールの中身は薄味なのでしょうか?”
    熱を逃がしてあらためてゆっくりと慎重にたこ焼きを噛み締める
    とろり
    たこ焼きのきつね色の表が割れると、中からはまだ熱いシチュー状の液体が流れ出した

    ”熱いですが何とか許容範囲ですね、それよりもこの液体の味つけは!”
    とろりと溢れだしてきた中身は芳醇なダシの味を含み、舌を優しく包み込む
    その中に散らされたねぎの甘味と紅ショウガの酸味と刺激が心地良い
    ”薄味という予想は当たりましたが、それを上回る味わいですね、おや?これは……”

    シチュー状の生地の中に何か弾力のある塊がある事にエイシンフラッシュは気が付いた

    ”この固まりが具だということなのでしょうか?
    果たしてこれは……?”
    おそるおそる歯で噛んでみると、塊はぐにっとした固い歯応えを残しつつ千切れてゆく
    ”!この味は!”
    噛んだ先から、塊から濃厚な海鮮物の旨みとコクを含んだ汁が漏れ出てくる
    その汁だけでも十分に美味だというのに、
    先程流れでたシチュー状の生地はその旨みを受け止めて、己の持つダシ風味を加えて味わいを更に深くしていく
    ”これは堪りません、何という複雑にして食欲をそそる風味なのですか!”
    口の中を満たす味わい深い液体を飲み下せば、口の中には余韻がいつまでも漂っていた

  • 1401723/05/26(金) 20:44:13

    ”これはなんと完成度の高い料理でしょうか
    しかしあの具は一体……?
    イカのようでもありますが、貝か何かでしょうか?”

    「どや?ウチのたこ焼きは
    美味いやろ?」
    一つ目を食べ終えたエイシンフラッシュにニコニコとタマモクロスが語り掛ける

    「はい、とても美味しかったです、しかし、あの中に入っていた具は一体何なのですか?」
    「そらたこ焼きの具というたらタコにきまってるやろ?」

    沈黙が降りる
    「タコ、ですか?あの、八本足、の?」
    「タコやで?あ、もしかしてタコ嫌いやった?」
    「いえ、食べるの自体が初めてでした」
    「あ、そうなんや
    でも美味かったならええやろ?」
    「は、はい、ありがとうございます」

    タマモクロスは知るよしもない
    これは欧州でも北側の北欧やドイツ、ベルギー辺りの話なのだが、まずその辺りではタコを食べる風習がない
    食べる風習が無いため、かつてサッカードイツ代表の勝敗を予想したことで人気者になった水族館のマスコットタコ、パウル君のようにドイツ人にとってはタコは水族館で見るものなのである
    (イタリアやスペイン旅行で食べて美味かった事を知る人もそれなりに居るが、まだ多数派では無いようだ)
    日本人的に言うと、知らずに食べたアザラシやイルカの料理が凄く美味しかったような気持ちだろうか

    多少引き攣ったエイシンフラッシュの正直な気持ちは
    『美味しかったのです、美味しかったのですがタコですか……
    ごめんなさい見知らぬタコさん、本当に美味しかったです……』
    と言ったものであった

  • 1411723/05/26(金) 20:45:24

    ”うう、罪悪感はありますがもう料理になってしまっていますからね
    申し訳ないですが美味しく頂きましょう”

    こみ上げる罪悪感を見なかったことにして次のたこ焼きに手をつける
    食欲に負けたと言われても否定できない姿だった

    多少熱の冷めたたこ焼きをまた口へ入れる
    はむ、とろり、ぐにっ
    ”冷めてから食べれば余計によく判ります
    やはりこのソースと中身は相性が良い
    タコさんの味もそれを後押ししてくれていますね”

    濃い味のソースと中身のとろりとしたダシ風味がお互いを引き立てあい、濃い旨みが口いっぱいに広がる
    そこへ青のりや紅ショウガ、ネギと言った脇役がアクセントを加え、最後にタコから出て来た鮮烈な旨みが全てをまとめ上げる

    ”美味しいです、本当に美味しいです
    ごめんなさいタコさん
    私は貴方の美味しさを知ってしまいました……”
    心の中で故人(タコ)に祈りを捧げつつ、次々とたこ焼きを平らげるエイシンフラッシュ
    どうやら悩みを吹っ切った事で、段々と調子が出て来たようだった

    「フラッシュさん、良ければこれも試してみる?」
    スマートファルコンがそう言ってたこ焼きのおかわりと共に持ってきたのは
    「『はなかつお』?」

    「お、それかけるのも美味いで!贅沢やけどな!」
    タマモクロスの声にも後押しされ、スマートファルコンの言うとおりにたこ焼きに載せてみる

  • 1421723/05/26(金) 20:46:11

    ぐねぐねひらひらぐねぐねひらひら
    「?!何ですかこれは!?」
    今度はカツオの踊る姿に驚くエイシンフラッシュ
    それを見て周りの皆は再びの大爆笑だ
    「フラッシュさん、これはカツオ節っていって魚を燻製にして乾かしたものを、薄ーく削ってあるの
    薄ーいからたこ焼きの熱でこんな風に踊るんだよ」

    スマートファルコンの解説をうけて、試しに一つ口に入れてみる

    はむ
    まず感じるのは圧倒的なカツオの風味
    ”これが先程踊っていたものの香りですか
    確かに魚の匂いがしますね”
    そして噛み締めたときに
    ”!!”
    爆発的な旨味の洪水が始まった
    ”これがカツオ節の味!まるで純粋に魚の美味を凝縮したような、素晴らしい味わいです!”
    そしてそれに負けじとたこ焼きが、ソースが、タコがそれぞれの美味をぶつけてくる
    口の中で美味創成のビッグバンが起きたかのような圧倒的な味の暴風に
    ”これが、たこ焼き……”
    エイシンフラッシュは魅了され、ものも言わずに次のたこ焼きを頬張っていた

    はむ、とろり、ぶつん
    ”!?これは、タコさんではありません!?
    この味は……さっきのwurst?!
    このソースは、wurstの味まで許容して、包み込んでしまうのですか!!”
    エイシンフラッシュが驚愕の表情を見せたことによって周囲も事態を悟った

    「お、さてはタコじゃないのが当たったなー?
    ウインナーとかチーズとか餅とか、色んなのも入れて焼いてるから食べてみなよ!」

  • 1431723/05/26(金) 20:46:54

    こくこくこく

    そう声を掛けるクラスメイトにものも言わずに頷いて次のたこ焼きを口へ

    はむ、とろり、むにっ
    ”この柔らかさと匂いは、これはチーズ!
    塩気とコクの強さがたまりません!”
    はむ、とろり、もにいっ
    ”これは先ほど言っていたモチですね、単体では味のないモチがたこ焼きの味とソースの味を吸い込んで美味へと昇華しています!!”
    はむ、とろり、しゃきっ
    ”今度はコーンですか!!甘味とダシ風味が合わさって、優しさが口いっぱいに広がります!!”

    はむはむはむはむ 
    ハムスターのように次々ととたこ焼きを口にするエイシンフラッシュ
    ”ああ、はしたない事だと判っているのに、手が止まりません!!”
    今この時、エイシンフラッシュは自分が世界で一番愛されたウマ娘だと確信を持って言うことが出来た

    そしてそんなエイシンフラッシュを眺めてハイタッチやガッツポーズを繰り返す参加者達の中で
    ”フラッシュさん、貴女は一人じゃないんだって、気付いてくれたみたいだね
    本当に嬉しそうに、いつも以上に楽しそうに食べてくれてる”
    パーティーの成功と、エイシンフラッシュの元気を取り戻した姿に心からスマートファルコンは安堵していた

  • 1441723/05/26(金) 20:48:33

    「ファルコン、上手く行ったみたいだね?」
    「はい、フジさん達のお陰です」
    「私は何もしちゃいないさ、せいぜい君の手伝いをしただけだよ」
    「それでもお礼を言わせて下さい、ありがとうございました」
    クラスメイト達に囲まれてアレも食え、これも食えと餌付けされるエイシンフラッシュの姿を眺めて、スマートファルコンは言葉を続ける

    「日本に来たばかりの頃からフラッシュさんは気丈で、弱音なんて絶対吐いてやらない!みたいにスケジュールをたてて、その通りに頑張ってて
    付き合い辛い子じゃなかったけど、やっぱりどこか周りにも隙を見せないようにと肩肘を張ってるところがありました
    それが今じゃあんな風に皆にワイワイ振り回されて笑ってる
    フラッシュさんが、自然体で居られるようになって本当に良かった」
    一番近くでエイシンフラッシュの努力を見てきた、スマートファルコンだからこそ言える言葉だった

    「ファルコン、でも私達はあの子が皆と打ち解けられたのは、君のお陰だと思っているよ」
    フジキセキは覚えている
    入寮して最初の頃は、とにかく真面目に、厳格に己を律していたエイシンフラッシュが、いつの間にか良く笑うようになった
    周りの仲間と話し合うようになった
    浴場の体重計の上で悩むようになった
    家族から初めて離れて中央にやって来た年頃のウマ娘らしく、親の事を思って泣くようになった
    自分をレースのための機械のように律しようと、
    自分の心を凍り付かせてしまおうとしなくなった

    これは全て、エイシンフラッシュの心の鎧を時間を掛けて解いていったスマートファルコンの功績だとフジキセキは思っている
    「ファルコン、君はあの子が心を無くしてしまいそうなところを、救ったんだよ
    誇ると良い、これは君の成果だ」

    フジキセキに正面からそう言われたスマートファルコンは
    「ファル子はそんな大袈裟なことをしたとは思ってないですよ」
    本当に、何でもないことを言うように
    「だって、泣きそうだったり、寂しそうだったり、苦しそうだったりする人を放っておくのはウマドル的にNGですから⭐」
    今日一番の笑顔で、楽しそうに笑っていた

  • 1451723/05/26(金) 20:51:31

    以上で投下は終了でございます
    次回最終回 エピローグを予定しております
    エイシンフラッシュが曇った分、それ以上に幸せになる姿を見せようと努力したつもりですがいかがでしたでしょうか?
    それではこれにて失礼いたす

  • 1461723/05/26(金) 20:59:35

    そして安定の賢さG……
    レス数間違い失礼しました

  • 147二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 23:03:58

    故人のタコさんで芝
    国が違えば食文化も大きく変わってきますよね()

    相変わらず食事の描写が大変美味しそうで飯テロ性能爆発してらっしゃる。 たくさん食べて英気を養って、また頑張ろうねフラッシュさん……!
    エピローグも首を長くしてお待ちしてます!!

  • 148二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 23:40:45

    相変わらず描写がすごくてすごいと思います!
    最後があるのは当然ですがずっと見ていたいなぁと思ってしまいました。
    最後まで読ませてもらいますのでよろしくお願いします!

  • 1491723/05/27(土) 10:56:37

    毎度お騒がせしております>>17で御座います

    最終回、エピローグが完成しましたので、場をお借りしに参りました

    計6レスの予定です


    「Schwester……」

    エイシンフラッシュが呟いた言葉の意味は、スマートファルコンには解らなかった


    黒鹿毛のウマ娘が一人、真剣な顔でカフェテリアのテーブルに座っていた


    正面から強敵に挑むような気迫を漂わせ、彼女は相手に向き直る

    すう、はあ

    軽く息を整えると共に、耳を真っ直ぐに立たせて気合いの乗った表情で戦いに臨む

    その姿はメイクデビュー戦に挑むかのような凜としたもので

    「では、参ります」

    彼女は勇気とともにその手に武器を取った


    勝負は一瞬にして決した


    ぽろり

    「ああっ!」

    彼女の構える『武器』の間から、『敵』は無情にもすり抜けてゆく

    ころころころ、とん

    「やっぱりまだそれは無理だってー、フラッシュさん」

    「それなりに箸が使えるようになってきたからって、それはチャレンジャーすぎるわ

    日本人でも不器用だと難しいのに」

    周囲の囃し立てる声の中、エイシンフラッシュはがっくりと肩を落とした


    〇里芋の煮っ転がし─エイシンフラッシュ●

    決まり手 勇み足

  • 1501723/05/27(土) 10:57:26

    もぐもぐもぐ
    「掴みやすいものなら問題なく食べられるようになってきたので、そろそろ大丈夫かと思ったのですが……」
    ぱくぱく
    「いやー、だからって煮っ転がしはレベル上げすぎ」
    ツルツル
    「それこそうどんとかの、つるつるしてるけど割と掴みやすいものからやるべきじゃないのかなあ」
    もぐもぐ
    「麺類は、まだ啜るのが上手く出来ないので……」
    ぱくぱく
    「あー、そうだったね」
    ごくごく
    「ウチらのやってる事って実はソコソコ難しいテクニックだったんだね……」
    ずぞー
    「子供の頃からの積み重ねって馬鹿にならないねえ」

    吞気な会話を繰り広げながらクラスメイト達と昼食をとるエイシンフラッシュ
    その表情には春頃のような陰は見当たらない

    季節はそろそろ梅雨も過ぎ、夏に入ろうかと言うところである
    あのパーティー以来、すっかり皆と打ち解けて勉学にトレーニングに励むエイシンフラッシュは、充実した日々を過ごしていた
    不安定だった心も『トモダチ以上、仲間でライバル』な皆との交流で安定し、日本の文化に親しもうとする余裕すら出てきていた

    エイシンフラッシュがそうやって独り立ちしようとしているその頃、ダート路線へと進むことを決意したスマートファルコンはトレーナーと契約した

  • 1511723/05/27(土) 10:58:07

    ガチャ
    「た、ただ今~」
    よろよろ
    ぼすん
    「お帰りなさい、ファルコンさん
    お疲れのようですが、お風呂に入らずに寝てしまっては美容にも、体調管理にも良くないですよ?」
    トレーナーに余程しごかれているのか、エイシンフラッシュが心配して声をかけても
    「う~、しゃい……」
    謎の言葉を漏らすのみで完全に死んでいる
    両手足はおろか、尻尾にすら力が入っていない姿は、最早ウマ娘ではなく転がる丸太のようだった

    「ほら、ファルコンさん
    疲れているのでしょうが、せめて歯磨き位はして下さい
    ウマドルがだらしない姿を見せて良いのですか?」
    「ファル子は、センターを、諦めないよぉ……」
    「ならお風呂に行って下さい
    人前に出るアイドルならいつでも清潔にしておくべきでしょう」
    「うん……」

    復活してゾンビのような足取りで浴場へ向かうスマートファルコン
    その姿を見送ってエイシンフラッシュは物思いにふける

    ”トレーナーさんが考えてくれたメニューをこなすだけで、あの疲れ様ですか
    私が考えていたトレーニングメニュー等、ここでは取るに足らないものでしか無かったのですね”

    春までの自分の身の程知らずが急に恥ずかしくなってエイシンフラッシュはベッドに顔を伏せた

  • 1521723/05/27(土) 10:58:52

    ガチャ
    「ただ今~」
    ホカホカと温まって、少しだけ正気に戻ったスマートファルコンが帰ってくる
    「お帰りなさい、トレーナーさんのメニューは大分きつかったみたいでしたね」
    ころん
    「うん、ファル子ダートの一番星になるためにトコトン頑張るつもりだったけど、つもりはつもりでしか無かったよ……」
    もう体を起こしているのもしんどいのか、よろよろとベッドに横たわって受け答えするスマートファルコン
    エイシンフラッシュの脳裏にニュースで見た『要介護者』と言う言葉が浮かぶやられっぷりである

    「でも、ファルコンさんはそんな大変なメニューでも逃げ出さずに頑張って居るじゃないですか」
    「当たり前でしょ?
    ファル子が望んで、強くなるために作って貰ったメニューだよ?
    逃げて何になるのさ、あうっ」
    言葉は勇ましいが時折ふくらはぎが痙攣して手でさすっている状態で言っても絵にはならない
    垂れた右耳の先が頭の下敷きになっているのを直そうともしない辺り、もはや限界は近い

    ”本当に辛そうですね……、そうだ!”

    「ファルコンさん、良ければ脚のマッサージをやらせて貰いましょうか?」
    「え?正直嬉しいけど良いの、フラッシュさん?」
    戸惑うスマートファルコンにエイシンフラッシュは
    「🎵~ちょっとヘコむ時は、パッと耳済ませて」
    「! Feel Me!」
    「「その背中 押していたいから~🎵」」
    歌に乗せて気持ちを伝えることにした

    「あはっ」
    「ふふふふ」
    『ユメヲカケル』の一節を合唱した後に、どちらからとも無く笑い合う

  • 1531723/05/27(土) 11:01:29

    「じゃあお願いするね、フラッシュさん」
    「任せて下さい、ファルコンさん
    授業で先日学びましたので復習は万全です」
    ──沈黙が訪れる
    「……やるのは初めて、なの?」
    「はい、ですが授業の内容は把握しています
    知識に問題はありません」
    初めてのクセに堂々たる佇まいのエイシンフラッシュ
    「え、えーと、やっぱりフラッシュさんに悪いから遠慮した方が良いかな~⭐」
    その姿に急に不安になってくるスマートファルコン
    「問題はありません
    私がファルコンさんに万全の体制で練習して貰いたいと願っているのですから」
    わきわきとスマートファルコンの足下にせまるエイシンフラッシュ
    ”その気遣いはこんな形で発揮して欲しくなかったかなあ……”
    口には出せないぼやきを胸中に秘めて、スマートファルコンは覚悟を決めた

    ~以下ダイジェストでお送りします⭐~
    「ふ、フラッシュさん!体はそっちに曲がるように出来てないから!!」
    「お、おかしいですね
    教科書ではこうなっていたのですが……」
    「ァひぃん!?」
    「我慢して下さい、ここが疲労回復のつぼである、と言うことです」
    「絶妙に信用出来ない!!?」

    「お゛、お゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
    「(ギュッ、ギュッ)こうやって、血流を正すことを、意識する、のです!」
    「(ビクンビクンビクン)」
    「ファルコンさん?
    ……寝てしまいましたか
    ふふっ、お休みなさい」

  • 1541723/05/27(土) 11:02:28

    翌朝
    「う、う~ん」
    スマートファルコンは、何時もより早く目を覚ました
    昨日の夜はあちこち強張っていた体は、今は何の辛さも無い
    「……フラッシュさんの按摩術(ごうもん)、効いてたんだなあ……」
    世の理不尽に想いを馳せるスマートファルコン

    枕元の目覚まし時計は普段の起床時刻の40分も前を指しており、その証拠のように普段はスマートファルコンより早起きのエイシンフラッシュもまだすうすうと寝息をたてている

    「……色々思うこともあるけれど、フラッシュさん、ありがとうね」
    何となくエイシンフラッシュの枕元に歩み寄って昨晩の礼を述べる
    穏やかな寝顔が軽く微笑んだように見えて、スマートファルコンはそのまま無意識にエイシンフラッシュの頭を撫でていた

    「Schwester……」
    エイシンフラッシュが呟いた言葉の意味は、スマートファルコンには解らなかった
    でも、エイシンフラッシュが幸せそうな微笑を寝顔に浮かべていると言うだけで、スマートファルコンには十分だった

    さあ、今日も新しい一日が始まる
    今日も夢に向かって全力で進むとしよう
    いつまでも、夢に届くまで
    この素敵な仲間達とともに

  • 1551723/05/27(土) 11:07:56

    以上にて終了でございます

    長期に渡りスレをお貸し頂きました>>1

    暖かい感想と、沢山の作劇のヒントをを頂きました住民の皆様

    お読み頂きました読者の皆様

    そして魅力的なキャラクターを産み出したCygamesの皆様

    スマートファルコン号、エイシンフラッシュ号の関係者の皆様に

    心よりの感謝を捧げます


    長期間お付き合い頂きまして、誠にありがとうございました


    これにて本作は完結でございます

    又こぼれ話的なものが思いつきましたら投下させて頂くかも知れません

    それでは、またあう日まで

  • 156二次元好きの匿名さん23/05/27(土) 12:21:01

    いい…………素晴らしいフラッシュのグルメだった……
    Schwesterの意味しらべて俺は成仏した

  • 157二次元好きの匿名さん23/05/27(土) 12:27:44

    完結おめでとう ついこの間知って、食レポの続きを楽しみにしていました
    また期待しています!

  • 158二次元好きの匿名さん23/05/27(土) 14:17:58

    最高の最終回をありがとう……本当にありがとう……!
    部屋でいちゃつくフラファルも大変美味しかったです! このシリーズをまた一から読み返して尊みと空腹を味わってきます!
    そしてまた17氏のSSを読める日を楽しみにしていますよ!

  • 159二次元好きの匿名さん23/05/27(土) 21:27:08

    ブラボー…ブラボー…!

  • 160二次元好きの匿名さん23/05/27(土) 22:23:32

    このレスは削除されています

  • 161二次元好きの匿名さん23/05/28(日) 10:20:41

    ドイツの食文化への知識が深まるSSでした

  • 162二次元好きの匿名さん23/05/28(日) 20:37:32

    まさかハムカツからこんな尊いSSのがたくさん見れるなんて誰が予想しただろうか…

  • 1631723/05/28(日) 20:45:34

    毎度お騒がせしております>>17で御座います

    本編の没ネタ集を眺めていたら何故か一本完成していましたので、再び場をお借りしに参りました

    計4レスの予定です


    「バニラソースで食べるんですよ」

    「えっ?」

    スマートファルコンはエイシンフラッシュの一言に思わず目が点になった


    事の発端は511の肉まんの話であった

    休日の昼下がり、おやつを食べながら前に食べたアレが美味しかった、コレは楽しかった等と話している途中、

    「そういえばね、肉まんみたいなものってドイツにはあったりするの?」

    と何気なくスマートファルコンが尋ねたところ


    「はい、ドイツにもDampfnudelという肉まんにそっくりな食べ物があります」

    と言う返事が返ってきた


    それは良いのだが

    「冬の定番メニューで、バニラソースで食べるんですよ」

    「えっ?」

    と返ってくることまでは予想外であった

  • 1641723/05/28(日) 20:46:40

    ”バニラソース?アイスじゃなくて?なんでバニラ?
    そもそも肉まんにバニラの臭いってどうなの?!?!”
    余りのミスマッチ感に混乱するスマートファルコン
    今日まで培ってきたエイシンフラッシュの味覚への信頼がガラガラと崩れる音が聞こえるようだった

    「……フラッシュさん?
    その、バニラソースってやっぱり甘いの?」
    おそるおそる聞いてみると
    「はい!レシピとしてはカスタードクリームの牛乳を増やしてソースらしくしたものですね」
    と更なるミスマッチの予感がスマートファルコンを襲う

    「こ、個性的なあじがしそうだね……」
    精一杯の感想を述べるスマートファルコン
    「そうですか?作り方としてはそうおかしなものでもありませんよ?
    日本にも、クリームパンという同じような発想のものがあるじゃないですか」
    キョトンとするエイシンフラッシュ

    「クリームパンには肉は入ってないよ!?肉まんじゃないんだから!?」
    余りの感覚の齟齬に思わずツッコむスマートファルコン

    「え?」
    完全に意表を突かれた、という顔をするエイシンフラッシュ
    なぜ肉まんとクリームパンを同列に語ってツッコまれないと思った

  • 1651723/05/28(日) 20:48:02

    ”……ドイツ人と日本人は味覚の上ではわかり合えないのかも知れない……”
    遣る瀬ない気分に襲われるスマートファルコン

    ポン菓子の時のように、宇宙の神秘を覗いた顔になるエイシンフラッシュ

    ”どうしよう、明日からご飯食べてるフラッシュさんの顔が真っ直ぐに見られなくなりそう……”
    スマートファルコンの懊悩を前に

    「……あっ!!」
    エイシンフラッシュが今度は全てを理解した顔になった

    「ファルコンさん!誤解です!!
    お肉にバニラソース掛けるような事はしませんよ!!」
    大いに焦るエイシンフラッシュ
    だが、今のスマートファルコンにはその態度すら疑わしい

    「良いんだよ、フラッシュさん
    好みって言うのは国によってそれぞれだから……」
    全てを諦めた慈母の笑みを湛えるスマートファルコン

    「違います!違います!ファルコンさんは誤解してるんです!!」
    こちらはものすごく動揺するエイシンフラッシュ
    『差しためらい』『魅惑のささやき』『独占力』『八方睨み』『熱い眼差し』『鋭い眼光』と作者がチャンミで貰ったデバフ全部乗せを喰らったウマ娘ですらここまで動揺はしないだろう

    「えーと、なんて言いましたっけ……
    そう!皮!皮だけなんです!!Dampfnudelは中に何も入っていない皮だけの肉まんにバニラソースをかけて食べるNachtischなんです!!」
    「なんて?」

    ドイツ人の味覚への誤解を解こうと必死のエイシンフラッシュ
    焦りの余りドイツ語が出ているのに気付いていない辺りで動揺の程が判る

  • 1661723/05/28(日) 20:48:39

    「あー、もう、とにかくDampfnudelにお肉は入っていないんですよ!!」
    中々みられない貴重なエイシンフラッシュの逆ギレシーン
    多分家族以外でみたことがあるのはスマートファルコンだけであろう

    「お肉は入っていないならお魚とか?」
    まだ信用しきれていないスマートファルコン
    「だからそんなのじゃ無いんです!!
    Dampfnudelはまともなお菓子なんです!!」
    祖国の名誉のために必死になるエイシンフラッシュ
    人類がお互いを分かり合える日はやはり遠いのかも知れない

    ぎゃあぎゃあと姦しい二人のやり取りに呆れるかのように、カラン、とアイスコーヒーの入ったグラスの氷が音を立てる
    トレセン学園が夏休みに入る少し前の出来事であった

  • 1671723/05/28(日) 20:54:05

    以上にて終了でございます

    ドイツの名誉のために申し上げますと、
    Dampfnudelと言うのはほぼ肉まんの皮と同じものを中身無しで蒸し上げて、バニラソースをかけて食べる冬のデザートでございます

    エイシンフラッシュのいう「肉まんそっくり」といのは見た目のことなのですね
    味は全く違いますのでご安心下さい
    以上没ネタこぼれ話でした

    ではこれにて失礼いたす

  • 168二次元好きの匿名さん23/05/28(日) 21:03:35

    番外編でもわちゃわちゃしててかわいいですねこの子達(デジタる)
    Dampfnudelを調べてみたら想像より肉まんみたいな見た目しててびっくりしました

  • 169二次元好きの匿名さん23/05/28(日) 21:10:47

    「ムウ…あれは!中国料理で言うところの饅頭(マントウ)…」
    「知っているのか雷電!」

  • 170二次元好きの匿名さん23/05/28(日) 21:16:59

    >>38 尊いSSに感謝の落書きを

  • 1711723/05/28(日) 21:18:52

    >>170

    え?


    ウワーッ!?!?!?

    人生初支援絵!?!?!?


    ありがとうございます!!!(五体投地)

  • 172二次元好きの匿名さん23/05/29(月) 07:47:48

    >>171

    感謝の極みっス!

  • 173二次元好きの匿名さん23/05/29(月) 07:57:05

    SSも絵も尊みの極み過ぎる………

  • 174二次元好きの匿名さん23/05/29(月) 19:37:30

    完結からこぼれ話来るの早い、早くない?

  • 1751723/05/29(月) 21:08:56

    毎度お騒がせしております>>17で御座います


    某所にて重たい内容よりサラッと読めるものの方が気楽に読めて嬉しいと言う人も多いと言う話がありました

    その議論を見て、この作品群の売りは何か、飯テロだ

    となると7話以降には飯テロが足らないのでは無いか、と反省したので追加でこぼれ話を持って参りました

    計5レスの予定です


    スマートファルコンの訴えによりエイシンフラッシュを元気づけるパーティーをやろう、と言う話はまとまった

    しかしどんなものであれイベント開催とは計画と下準備と人員が必要なものである

    人員集めをする前にまずは計画と下準備のプランをまとめてしまおうと主催者側になった三人は知恵を絞っていた

    「とりあえずまずは何処で何をするか、やなあ」

    「どこかのお店を借りて、とかは予算的に却下ですよね」

    「せやな、重賞勝った祝いやないんやから、寮の身内のパーティーでそんな贅沢したら罰が当たるで」

    二人で相談してパ-ティーの大枠を詰めていくタマモクロスとスマートファルコン

    エイシンフラッシュを元気づける、と言う目的に余りに予算を浪費するのは学生の身の上として憚られた


    「なら寮の台所かロビー借りてですよね」

    「調理器具あるのはええけど台所やと狭いんと違う?少人数ならそれもええねん

    けど、あの子のクラスの友達どんくらいおるかしらんけど、アンタがそれだけ躍起になるような子の友達が一人二人言うことはないやろ」

    「ですね」

    エイシンフラッシュからクラスメイトとの話を聞く限り、彼女にはこのイベントに参加してくる友達が居ないと言うことは考え無くて良さそうだった

    「ならロビーやなあ、ロビーでやるパーティーとなると、お菓子やら出来合いのもんやら持ち寄って食べておしゃべりする奴か?」

    「それも楽しそうなんですけど、ファル子的にはなーんか違うんですよねー」

  • 1761723/05/29(月) 21:09:54

    スマートファルコンは考える
    エイシンフラッシュのホームシックを慰めるには、彼女の周りには助けてくれる人がたくさん居ると伝えることが一番有効だろう
    両親やドイツの友人と会えない寂しさを無くすことは出来ないだろうが、それよりも多くを皆で与えることが出来れば良いのだ 
    なら、皆で何かをするといった経験が仲間意識を強くするには良いのではないか

    「パーティーに来てくれた皆で何かを作って食べるとかどうですかね?
    フラッシュさんケーキ屋さんの娘だけあってお菓子作りとか上手ですし」
    「ケーキ作りか、それもええとは思うけど一番つくるの上手いのがあの子なら、あの子が作業のメインになってまうで?
    主賓にメイン労働力で作らせるのもなんか違わへんか?」
    「それはそうですね……」

    うーん
    二人が思い悩んでいるとそこに声が掛かった

    「なら、誰でも作れるし失敗しても楽しめるものがいいんじゃないかな」
    「あ、フジさんお帰りなさい」
    「お、その顔はなんか良いアイデアがあるっちゅう顔やな」
    二人の期待の目線を受けてフジキセキは
    「タマモ、君なら心当たりあるだろう?
    君の得意な『粉もん』だよ」
    と得意げに言った
    「なる程!お好み焼きやたこ焼きなら誰でも出来ますし、失敗しても良く焼いたら食べられますもんね!」
    「確かに、料理出来へん子らでも出来るし、出来るもんは出来るもんで楽しめるしな」 
    「ならお好み焼きで良いかな?
    ゴルシが持っている鉄板を借りてくれば、予算はガスコンロのレンタル代と材料費で済むし」
    「ええんちゃうかな?ファルコンはどう思う?」
    先輩二人のやり取りで方向性が決まりかける
    それで良さそうだ、と思ったスマートファルコンの脳裏にある場面が浮かび上がった

  • 1771723/05/29(月) 21:11:01

    『これはCurrywurstに少し似ている気がします』
    そう言ってハムカツを持ってスマートファルコンに笑うエイシンフラッシュ
    そうだ、あの子の寂しさを無くすのが最優先では無いのか?
    思い出せ、スマートファルコン
    Currywurstとはどんなものだとあの子は言っていた?
    『カレースパイスの入ったトマトケチャップを、Bratpfanne、フライパン?で焼いたwurstにかけたものです、学生や大人の軽食としては一般的なんですよ?』
    今回は全てはエイシンフラッシュの為に
    スマートファルコンは、そう思って口を開いた
    「お好み焼きも良いんですけど、もっとフラッシュさんに喜んで貰えそうな物があるんです」

    Currywurstの詳細を聞いた二人は大きく頷いた
    「ええんちゃう?鉄板あれば作るの簡単な割に美味しそうで、あの子には懐かしくて皆には目新しいとか最高やん」
    「それは良いね、とするとそれと共に食べるパンなんかを用意すれば良いのかな?」
    「先輩達がそう言ってくれるならそれが良いとファル子も思います」
    「あー、ちょお待ち、折角あの子に楽しんで貰うためなんやったらドイツのもんだけやと片手落ちや
    日本の美味しいもんも食ってもらわな」
    なる程、それは道理だ
    ドイツのものだけで良いというのなら、それは日本に来た甲斐が無いと言うものだろう
    「ならどうする?鉄板をレンタルして横でお好み焼きをやるかい?」
    「いやいやレンタルしてくるなら、もっとええもんがあるやん
    たこ焼きや!アレならそのカレーブルート?と一緒に食べられるし中身色々揃えてやったら楽しめるで!」
    「カレーブルスト、だね
    しかしその意見は良いんじゃないかな
    スマートファルコン、君がそれで良いと思うなら、
    その方向で準備を始めようと思うがどうだい?」

    凄い、皆で知恵を出し合えば、こんなに簡単に何をするべきかが解るのか
    これならきっと
    「はい!これならフラッシュさんに喜んで貰える、最高のパーティーになると思います!!」
    スマートファルコンはそう言って華やかに笑った

  • 1781723/05/29(月) 21:12:10

    じゅ~
    「そろそろ焼けましたかね」
    「うん、こんなもんちゃうのかなあ」

    『カレーブルストなるものを作るのは良いが、もしマズかったらエイシンフラッシュに悪いのではないか』

    三人で当日までの準備の大枠を詰める途中にそんな意見が出てきたのはある意味当然の流れだった
    なにせ今回の参加者でエイシンフラッシュ以外で食べたことのあるものは誰もいないメニューだ
    もし国辱的にマズかったら慰めるどころか派手に逆効果になるだろうことは想像に難くない

    とりあえず近所のスーパーでちょっと良いソーセージを買ってきて、寮の台所にあったケチャップとカレー粉を適当に混ぜてソースを作ったら準備は完了である

    じゅー
    「じゃあ、これを皿の上に置いてっと……」
    アツアツのソーセージを3本、皿の上に並べてゆく
    「ここへこのケチャップかけたらええんやな、ホンマに作り方は簡単やなあ」
    どろり
    程よく焦げたソーセージの上にカレー粉入りのケチャップがかけられる
    「いかにも屋台の味って感じの見た目だね」
    確かにとても美味しそうな見た目ではある
    しかし遠目から見ると日本の屋台で食べられるフランクフルトの小型版にしか見えないのはどうなのか
    「これでええんやろか……」
    タマモクロスが思わず漏らした言葉がこの場に居る三人の気持ちを表していた
    『見た目が手抜き過ぎる……』

    「せっかく作ったんですし、とりあえず食べてみませんか?」
    流れる微妙な空気を変えようとしたスマートファルコンの提案に乗り、一人一本ずつフォークで刺したソーセージを口にする

  • 1791723/05/29(月) 21:13:29

    ばつん
    ”熱い!でも思ってたより美味しい!!”
    ややお高めだけあって噛むと豪快に弾けるソーセージの皮の中からは大量の肉汁が溢れ出てくる
    そのスパイスの効いた美味なるスープが口中を占領するとともに、ケチャップの甘さと塩気、カレー粉の香りと辛味が一気に押し寄せてくる
    ”凄い!お祭りのフランクフルトに似てるけど、あれよりもカレーの分刺激的でちょっとオトナな味!!”
    そして、口の中に居座るソーセージを噛み締めると肉の旨み、ソーセージのスパイスの香り、脂の甘味が怒濤のように追加でやって来る
    ”美味しい!!あれ?でも……”

    スマートファルコンが微妙な顔をするのと同時期に、フジキセキからも声が上がった

    「ファルコン、すまないんだけどケチャップをもう少しかけて貰っても良いかな?」
    「お?フジもかいな
    ウチもちょっとケチャップ足してもろて構わへん?」

    二人の言うように、確かにこのソーセージ相手では、フランクフルトのような量のケチャップだとカレー粉が入っていてすら物足りなさが出てくる

    「良いソーセージ使うとこんな刺激的な味のケチャップでもちょっとの量じゃお肉の味に負けちゃうんですね」
    「こんなええソーセージ使うんかいな、と買ってきたときは少し思たけど、これやないと美味しないやろな、この味つけは」
    「日本でもドイツでも、屋台やお店の人の工夫は凄いもんだね」
    三人揃ってソーセージの上にカレー粉ケチャップを足しながら、ドイツ人の工夫
    に想いを馳せる

  • 1801723/05/29(月) 21:14:12

    そして次の一口
    がぶり、ぶつん
    ”やっぱりケチャップ足した方がずっと美味しい!
    これはクセになる味だね”
    再び口の中を占拠する肉汁とケチャップとカレー粉の暴力的な旨みと刺激
    そこに肉の味と噛みごたえが絡むことでどんどん次が食べたくなる、ジャンクフードのような一種の魔力が発生していた
    その誘惑に逆らわずまた一口
    がぶり、ぶつん
    ”この皮の噛みごたえが本当に良いよね
    中のお肉だけじゃなくて、皮からも確かに旨みが出てきてるのがわかるよ”
    敢えて皮の多い辺りを噛み締めると、肉の味に加えて皮からのものらしきスモーキーな燻製臭と、じんわりとしたコクが滲んでくる
    ”なんか食べ方によって色んな味がするのってお得な感じだね!”

    そうやって三人で夢中で食べていると、ソーセージはあっという間に消えてしまった
    「いやー、見た目がアレやからって舐めとったわ
    こら一本取られたわ」
    「確かに予想外に美味しかったね、これは嬉しいサプライズだったよ」
    「凄く美味しかったです!これならきっとフラッシュさんも喜んでくれますよね!?」
    三者三様の感想を述べた後、では当日はどの位の量を用意するか、と相談を始めた三人の後ろから迫る芦毛の怪物(はらぺこかいじゅう)の脅威に彼女達が気付くのは全てが手遅れになってからだった

  • 1811723/05/29(月) 21:19:02

    以上にて終了でございます

    実際旅行記やブログ等を見ていると、
    本場のCurrywurstはソーセージを焼くか揚げるかしたものにカレー粉とケチャップをぶっ掛けて、そこにパンかフライドポテトをつけるだけというシンプルスタイルが大半だそうです
    日本でもビアホールやドイツレストランなどで出しているお店はそれなりにあるようなので機会があればお試し下さい
    以上7.5話こぼれ話でした

    ではこれにて失礼いたす

  • 1821723/05/29(月) 21:20:38

    そしてまたもや賢さG……
    6レスでした……

  • 183二次元好きの匿名さん23/05/29(月) 21:28:26

    毎度毎度どうしてそんなに美味しそうに書くの?晩ご飯食べちゃったのにさぁ…ありがとう!面白かったです!

  • 184二次元好きの匿名さん23/05/29(月) 21:42:42

    あっ、これは明日ソーセージ食べちゃうやつだわ(悟り)
    既にお夕飯食べたのにソーセージの噛み切る感覚と溢れる肉汁の味を想起しちゃってもう……もう!

  • 185二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 07:39:57

    こんなん絶対ビール進むやつだ……あーー休みの日作ってみっかなー!!

  • 186二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 17:55:29

    カレーとソーセージってだけでもう美味しそうだな…
    飯テロが強いすぎる……

  • 1871723/05/30(火) 22:27:43

    毎度お騒がせしております>>17で御座います

    早い者でこのスレもおしまいが見えて参りました

    お付き合い頂いた皆様に『その後』のエイシンフラッシュのお話しを最後にお届けして終わりにさせていただこうと思います

    計3レスの予定です


    じゅわあぁぁぁぁぁ

    目の前でパンの衣をつけた豚肉が油の海の中を泳ぎ回っている

    Schnitzel Wiener Artによく似ているが、ぶ厚さは比べ物にならない

    まるで真っ二つに切ったSchweinebratenのような大きな豚肉の塊がこんがりと美味しそうな狐色に色づくと、白い風変わりな制服を着た料理人が2本の棒を器用に使って鍋の中からそれを取りだした


    じぅぅぅぅ

    まな板の上で小さく油を弾けさせ、湯気を上げるTonkatsu

    さあ、私を食えと言わんばかりのその魅力的な姿に思わず生唾を飲み込む

    油跳ねが大方収まったところでおもむろに料理人が包丁を構えた


    ざくり、ざくり、ざくり

    Tonkatsuが私の目の前で6つに切り分けられていく

    衣の美しさを損なわず、きれいに等分に切り分けるその技は、私にObstbrot(ドライフルーツ入りのライ麦パン)を器用に切り分けるBäckereiのおじさんの姿を思い出させた


    「Thank you for waiting. It's pork cutlet.」

    私の目の前に芸術的に揚がったTonkatsuが、Krautsalatによく似たサラダを伴って差し出された

    「Dank……、アリガトゴザマス」

    「Danke schön.」

    料理人のおじさんは私に軽く笑いかけて次の仕事へと移っていった

  • 1881723/05/30(火) 22:29:00

    「イタダキマス」
    UMATUBEで勉強した日本語の食前の祈りとともにフォークを手にする
    最初は右端の小さな部分から
    ざくり
    まずは何もつけずに一口
    じゃくっっ
    「……lecker!!!」

    さっくさくの衣と、程よく火が通った豚肉の旨さと、噛むと滲み出る脂の甘さと塩こしょうのアクセントと……!
    あっという間に飲みこんで次の一切れ
    こちらにはメニューのお薦め通りに黒いソースをかけて
    たらーり
    ソースのビンを置くまでの時間すらもどかしいと、フォークを刺す
    ざくり
    ざしゅっ
    ソースが染みて噛みごたえが柔らかくなった衣の中から先程と同じように肉と脂の味がやって来る
    前との違いはこの黒いソース!
    甘くて酸っぱくて塩気があって旨みもあってちょっとケチャップやRinderragoutのソースにも似たコクがあって……!
    Tonkatsuの味わいが何倍にも増幅され、舌が天国へと導かれてゆく……!
    夢中で残りのTonkatsuを貪る間、私は親戚のお姉さんを頼ってこの国へ留学することを決めたことにもの凄い満足感を覚えていた

    「Ich bin sehr zufrieden……」
    流石に食べ過ぎた
    いくらTonkatsuが美味しいからって3人分はやり過ぎだったか
    旅費以外に貰ったお小遣いは既にしてややピンチであるが、Tonkatsuの為なら安いものだ
    それに、どうせ明日からは食事も出る寮に入るのだしお金はそこまではいらないだろう

    そう考えつつ集合場所に向かう
    予定の時間まではあと15分
    もう少しゆっくりしていても良かったかな?と思っていると見覚えのある黒鹿毛が目に入った

  • 1891723/05/30(火) 22:29:31

    「Vela!!Vela Azul!!」
    「Flash!!Schwester!!」
    5年振りに合うエイシンフラッシュは、昔よりも更に美人になっていた
    そして腹が立つほどに一部のサイズが大きくもなっていた
    いまにみていろ、わたしだってほんかくかすれば……(呪詛)

    「(久しぶりねヴェラ、元気だった!?)」
    「(もー、こないだ来る前にオンラインで話したときも同じ事言ってたじゃん
    元気だって)」
    「(そうだったわね、でも飛行機に乗りっぱなしだったでしょう?)」
    「(大丈夫大丈夫!寝てたから!)」
    「(はあ、本当に貴女は……)」
    軽く額を抑えて困ったように笑うフラッシュ姉さん
    「(それに今、レストランでTonkatsuたくさん食べてきたから元気100倍だよ!!)」
    私がそう言うとフラッシュ姉さんの表情が引きつった
    「(ヴェラ……?貴女お小遣いそんな事に無駄遣いすると足りなくなるわよ……?)」
    「(大丈夫大丈夫!!明日からはチューオートレセン学園の寮に入るんでしょ?ご飯でるならなんとでもなるって!!)」
    返事は更に深い溜め息だった、解せぬ

    「(何にせよ貴女が無事に来てくれて嬉しいわ、ヴェラ
    この国は大変なことも多いけど、きっとここで努力したことは貴女の糧になるから、頑張ってね)」
    「(勿論よ!私はフラッシュ姉さんみたいにニッポンのG1を獲りまくってやるんだから!)」
    そう意気込む私を穏やかな笑顔で見つめて
    「(まずは環境に慣れるために努力することからよ、レースの勝ち負けはその後についてくるものなのよ?)」
    「(ぶー、お父さんみたいなこと言ってるー)」
    そう不平を漏らす私を電車の駅へと先導しつつ
    「(さあ、それよりまずは日本のベテランな私が、日本の良いところをいろいろ紹介してあげましょう
    ヴェラ、楽しむのも、努力するのも、みんな全力でね?)」
    フラッシュ姉さんは朗らかに笑った

  • 1901723/05/30(火) 22:33:14

    以上にて終了でございます

    場を貸していただいた>>1様に

    ここまでお付き合い頂いた皆様に

    そして出演して貰ったウマ娘の皆様に

    心よりの感謝を捧げます


    皆様 またいずれどこかでお会いしましょう


    それではこれにて失礼いたす

  • 191二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 22:54:47

    ただただ素晴らしい尊い飯テロスレだった…SSたくさんありがたやありがたや…

  • 192二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 23:16:34

    終わってしまえばアッと言う間だったなぁ 更新が楽しみでしたよ ありがとう…

  • 193二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 23:43:00

    もう残り少ないですが最近1番の楽しみなスレでした!


    この尊いファルフラスレを立てて頂いた1氏、並びにキャラクター達がいきいきとしながらもダイレクトに胃袋へくるような博識飯テロSSを投下して下さる17氏、最後にこのスレを見守り続けたトレーナー達に最大級の感謝とよきグルメライフの在らんことを!


    >>170 より

  • 194二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 10:10:09

    ヴェラアズールとオーヴェルニュも同室になって欲しい
    そして「フラッシュ姉さんに聞いた」日本のグルメとかお菓子を食べ歩いて欲しいな

  • 1951723/05/31(水) 20:01:39
  • 196二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 07:15:59

    良いフラファルスレだった
    ハムカツをキメてくる

  • 197二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 19:09:24

    最終的には人生のフルコースにハムカツ以外もラインナップされてるフラッシュ

  • 198二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 06:21:59

    ありがとう、本当にお腹いっぱいになれる良いスレだった

  • 199二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 18:10:45

    今度は4人で食べ歩いちゃえ

  • 200二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 18:11:10

    ご馳走様でした!

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています