(ディザウオ百合)供養のSSもどき

  • 1二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 10:05:21

    「ドバイには何回か来てるけど、やっぱ日本とはちげーな。むしむししてるしあちーし」
    「そうですねぇ」

    ウオッカさんと一緒にドバイに来てから数週間。
    2人で近くの公園にまでやって来て、休養を取っていた。

    「……アイルランドは、逆に結構寒いみたいですね」
    「あー、らしいな。慣れっかなぁ」

    日陰のベンチでのんびり。この時間は大切にしなきゃ。
    …先日のレース。去年、あのジャパンカップで見たウオッカさんの背中を追い抜いて、私が勝ったレース。それがそのまま彼女の引退レースになるなんて、不謹慎だけれどなんだか運命を感じてしまう。…いや、ファンとしてこれは最低よね、忘れよう。

    まだ私は本番のレースを控えているけれど、ウオッカさんはその前にアイルランドに行ってしまう。アイルランドで後輩にレースを教えたり、バイクに乗って旅したり、気になってるアイルランド生まれのウマ娘と会ったりする予定なんだって。
    志半ばの引退のはずなのに前向きで、やっぱり素敵なヒトだ。…強がってるだけなのかもしれないけど。

    ウオッカさんはぐっと伸びをすると、じっと私を見つめてきた。蒸し暑いせいで彼女の顔は火照っていて、思わずドキッとしてしまう。う、び、美人だ。

    「え、な、ど、…え!?」
    「あ、いや、お前のレース見れないのもったいないなーって思っちまってさ…日にち決まってるからしょうがねーんだけど」

    うれしい。
    これってファンサ?…そうじゃないよね、だってここには私とウオッカさんしかいないんだもの。

    「そ…そう思って、くれるんですね」
    「そりゃあ、この俺を倒した期待の後輩だからなー!ライバルみたいなもんだろ、1勝1敗だし」
    「ら、ライバル!?わ、私とウオッカさんが!?………う、」
    「そーだよ。俺に次は負けねー!って思わせてくれたからな。スカーレットのやつとか、マーチャンとかとはまた違うライバル……って、な、泣くほどかよ!?」

    うれしい、うれしい。
    ウオッカさんは慌てて私の顔を覗き込んでくる。そんな動作も愛おしくなってしまう。

  • 2二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 10:05:38

    ハンカチを取り出したウオッカさんは私の涙を拭き取ってくれた。ハンカチにはデフォルメ化されたケーキのアップリケが付いていて、「い、妹のだし…」と慌てて付け加えたウオッカさんがかわいかった。

    「ぐすん……」
    「な、なんつーか…お前、ほんとに俺のファンなんだな……」
    「当たり前ですよ!ウオッカさんってほんと鈍感なんですから!でもそんなところも可愛くて素敵!」
    「ちょっ…!ほ、本人の前で言うか普通!?」

    ウオッカさんの火照った顔が更に赤くなる。かわいい。かわいいヒトだ、本当に。
    …でも、こんなかわいいヒトとはもうすぐお別れになってしまう。
    こんなに近づけたのに、ライバルだって言ってくれたのに。
    心臓がきゅーっと締め付けられて、急にものすごく寂しくなってしまった。

    「…ウオッカさん、本当に、アイルランドに行っちゃうんですね……」
    「……そうだけど……」
    「私、すごく寂しいです。だってあなたのことが好きだから」
    「すっ……はああ!?」
    「あなたに会って、憧れってこういうものなんだ、って思ったんです。もちろんカフェさんも憧れですけど、カフェさんはお母さんとかお父さんとか…そんな感じで。優しくて大好きです」
    「……す、す、……とか、きゅ、急に言うなよなー……」
    「でも、ウオッカさんへの憧れって、そういうのじゃなくて……思ってたよりも身近なヒトで、強くて、カッコよくて……ウオッカさん聞いてます?」
    「へっ!?あ、ああ、聞いてるぜ!?」

    最後の機会かもしれないんだから、ちゃんと聞いて欲しい。ウブなウオッカさんにはちょっと恥ずかしいかもしれないけど。

    「それでですね……もちろんカッコいいだけじゃなくて、スイーツが大好きなところやウブなところ、ちょっとチョロいところもあって……本当に素敵なヒトだなって」
    「ぐ……な、なんだよ急に……は、恥ずいって……」
    「恥ずくてもいいから聞いてください。とにかく本当にウオッカさんのことが好きなんです、私。だからあなたが遠くに行ってしまうのが寂しい。ウオッカさんは……どうなんですか?」

    ウオッカさんの左手を両手で掴んでそう聞く。私の怒涛の告白への恥ずかしさからか耳もぺたんと垂れてしまっているが、彼女は目を逸らしながらも答えてくれた。

  • 3二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 10:06:48

    「…そりゃあ、俺だって寂しいよ」
    「………」
    「レースから離れること、日本にいる俺のファンや先輩後輩、同期の奴らと離れること。もろもろ含めて寂しいもんは寂しいぜ」
    「……ですよね…」
    「あと、その………お前と離れんのも、寂しい」
    「………え?」

    ウオッカさんは私の手を握り返すと、ぐっとこちらに体を寄せてきた。
    肩に重さを感じる。蒸し暑いはずなのに、それとは違う暖かさを感じる。
    私の顔の近くに、ウオッカさんの顔がある。

    「ど、ドバイには何回か来てるけど、今回が一番楽しかったんだ。レースは勝てなかったし、本番前に引退になっちまったのに、なんでかは知らねーけど…後悔とか、そういうのほとんど無くて」
    「う、ウオッカさん……!?」
    「スッキリとした気持ちなんだよ。それって……お前が、ディザイアがいたからなんじゃねーのかな、って…」
    「……ウオッカさん…」

    これがウオッカさんの匂いなのか、とか、ウオッカさんの熱だ、とか、そんな変態じみた考えを吹き飛ばすくらい、変な気持ちだった。
    逆に冷静になってきて、それと同時にウオッカさんの言葉を咀嚼する。
    私がいたから、ウオッカさんは今回の旅を楽しめた。私がいたから、ウオッカさんは後悔せずに引退できた。
    ウオッカさんは純粋でまっすぐだから、伝えたい時ははっきり伝えるっていうのが私のウオッカさんへの解釈。

  • 4二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 10:07:38

    ……つまり、期待、してもいいのかな。
    心臓がうるさい。
    「…俺が休憩してて、お前がトレーニング、って時、あっただろ」
    「あ、ありましたね…」
    「そんとき、じ、実はさぁ……さ、寂しかったんだよ」
    「……え?」
    「帰ってきたお前を見た時、な、なんか、安心しちゃって……あ、俺、寂しかったんだ、って、思ったんだよ」
    「ま、待ってください、ウオッカさん、本当に?」
    「……なあ、こういう話得意じゃねー俺でもなんとなくわかっちまったぜ………俺、たぶん、ディザイアのこと………」
    「わあああああああああ!!!!」
    「!?!??」

    突然の私の大声に驚いて、ウオッカさんはビクッとしながら体を起こした。そんなウオッカさんを差し置いて、私は両方の頬に手を当てる。
    絶対これは蒸し暑さからじゃない、顔が熱い。

    これは夢?ウオッカさんが私のことを……いや、夢のはずがない。
    肩に感じた熱も私のこの頬の熱さも現実なんだから。

    「び、びっくりした……」
    「ウオッカさん!」
    「おおう!?」

  • 5二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 10:08:08

    「私、本気にしてもいいですか!?ファンを越えちゃっても、いいんですか!?」
    「そ、そこは好きにしたらいいんじゃねーの!?……す、……なのは、ほんとだし……」
    「わかりました!プールに行きましょう!」
    「え!?」
    「暑くて熱くて死にそうなので!!ね!!」

    ウオッカさんの手を取って立ち上がる。そのままプールのあるトレーニング場へと走り出した。
    戸惑ったままのウオッカさんだったけど、ぎゅっと手を握り返してくれた。
    嬉しくて、プールではしゃぎすぎて足をつりかけたりもした。
    それから数日後、アイルランドに行くウオッカさんを見送ってから、ドバイの自分の部屋にウオッカさんのポスターを貼った。寂しいのには変わりないしね。
    あ、もうすぐドバイに来るブエナちゃんに報告しなきゃ。ウオッカさんと相思相愛でした!って。たぶん信じてくれないだろうけど!

    おわり

  • 6二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 10:18:04

    信用しない信用しない
    どうせまたディザイアちゃんの妄想でしょう
    ……え?ほんとなの?

  • 7二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 10:33:58

    ディザウオが両想いなのは史実なんだよね…

  • 8二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 10:53:44
    こぼればなし、など。: yoko kunihiro photo :diaryひとにも馬にも愛されるウオッカ、はなれてしまうとすごく恋しい、 一ヶ月間一緒にすごしてきた レッドディザイアもそう感じたのかもしれません。 コメントにもいただきましたように(ありがとうございます!)、 ディザイアの馬房の前には、ウオッカの写真が飾ってありました。 ウオッカのアイルランド行きに合わせて、私もドバイから移動したのですが、 そのアイルランドで、ドバイからの電話を受けました。 ウオッカがアイルランドへ行ってから、ディザイアが、さみしがっているみたい、 ウオッカの顔を見たら安心するかもしれないので 馬房から顔を出してるウオッカの大きな写真を持ってきてくれませんか、というお話でした。 ウオッカがアイルランドへ行く日、 馬房を出て、厩舎を後にするウオッカを、ディザイアがずーっと目で追っていたことを思い出し、 でも、まさか、ほかにたくさん日本..yoko-kunihiro.blog.ss-blog.jp

    >ウオッカがアイルランドへ行く日、

    馬房を出て、厩舎を後にするウオッカを、ディザイアがずーっと目で追っていたことを思い出し、

    でも、まさか、ほかにたくさん日本から馬が来たのに

    ディザイアはさみしがっているのか、と

    とてもせつなかったです。


    よくがんばったね、かな、ありがとう、かな。: yoko kunihiro photo :diaryきょうの夜、岸本助手は日本に戻ります。 ずっと一緒にがんばってきたウオッカと、なんてお話したのかな。   左:レッドディザイア  右:ウオッカ 芝生を食べて先に馬房に戻っていたウオッカが はじめて大きな声で何度もいななきました。 それを聞いたディザイアも、きょうは早めに芝生タイムを切り上げて、 馬房に戻りました。 顔を見合ってからお互いに少し小声で鳴いて、その後ウオッカは落ち着いたみたいです。 さみしがりな一面を見せたウオッカ、より愛おしく感じました。 ディザイアがちょっとおねえさんになったように見えました。yoko-kunihiro.blog.ss-blog.jp

    >芝生を食べて先に馬房に戻っていたウオッカが

    はじめて大きな声で何度もいななきました。

    それを聞いたディザイアも、きょうは早めに芝生タイムを切り上げて、

    馬房に戻りました。

    顔を見合ってからお互いに少し小声で鳴いて、その後ウオッカは落ち着いたみたいです。


    さみしがりな一面を見せたウオッカ、より愛おしく感じました。

    ディザイアがちょっとおねえさんになったように見えました。


    推せる〜

  • 9二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 11:08:09

    >>8

    史実でこれってディザイアウマ娘になったらディザウオ推せまくりだろ

  • 10二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 11:23:02

    ウオッカ様の受け属性が高すぎる

  • 11二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 11:23:21

    >>10

    適性か

  • 12二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 12:18:11

    ウオッカの引退レースでディザイア勝ったのか

  • 13二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 12:36:38

    >>8

    ウオディザかな?と思ったらディザウオだった史実すき

  • 14二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 13:16:44

    押せ押せディザイアと甘えるウオッカ良いゾ〜これ

  • 15二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 13:21:45

    めちゃくちゃ良いもん見た…

    プールに行きましょう!が
    感情追いついてない乙女って感じで
    特に響いた

  • 16二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 13:25:02

    ディザイアの引退することになった原因がウオッカと同じ鼻出血なのも美しいんだ
    ディザイアもウオッカも早世しちまってるのも美しいんだ
    悲しいんだ

  • 17二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 14:22:01

    史実百合つよすぎる
    好きだ…

  • 18二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 15:32:00

    遠距離恋愛もよいものだ

  • 19二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 16:48:21

    >>16

    ディザウオ思ってたより関係深いな…

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