- 1二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 10:27:09
私がそのウマ娘を担当になったのは──いや、ならされたのは、トレセン学園に入ってすぐの事だった。
大学の先輩に呼び出された私は、先輩がサポートトレーナーとして所属するチームの一室を興味深く眺めていた。
「……それで、お前を呼び出した訳なんだがな」
「あ、はい」
視点を部屋から、早くもくたびれた感じの出ている先輩に移す。
「出来ればなんだがな……」
「……はぁ」
なんだか歯切れが悪い。どうしたんだろう?
「ぜひ、お前に担当してもらいたいウマ娘がいるんだ」
「はい?」
目が点になった。
「あのー、おっしゃってる意味がわからないんですが?」
「まぁ、そうだよなー……」
トレーナーは才あるウマ娘を求めている。チームともなれば、尚更だ。
しかし、それをせず入りたてのズブのド素人に担当して欲しいとは、どういう事だろう?
「この子なんだけどな……」
そう言って一枚の写真を私に寄越す、それを受け取って見た第一印象は、
「でっか……」 - 2二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 10:28:28
思わず、口に出ていた。
そして、ある事に気づいてジト目で先輩をにらむ。
「つまり、そういう事ですか?」
「い、いや、違う……! い、ま、まぁ、全く見当違いって訳で、もないんだが……」
「これだから男は……」
「だから違うんだって! そんだけの理由でお前には降らんよ!」
「じゃあ、どういう訳なんです!」
しどろもどろになる先輩に、身をのりだし語気を強めて問いかける。
「……あー、その子な。悪癖があってな。何度かトレーナーついてるんだが、生徒会主導で解約されたりしててな……」
「生徒会主導って……」
かなりの問題児らしい。
「悪癖ってどんな?」
「セクハラ」
「は?」
「セクハラがな、ひどいんだ」
話に聞くところ、距離感が近くボディタッチが多くナチュラルに下ネタぶっ込んで来るとのこと。
何より、その被害が男女を問わない。 - 3二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 10:28:37
第一声それはアウトだよ!!
- 4二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 10:29:37
「トレーナーに粉かけてくる分には、最悪トレーナーが耐えればいいんだがなぁ。チーム内のウマ娘や、他所のトレーナーのウマ娘にも被害が行くのは流石に見過ごせないんだわ」
その言い方と内容が、ちょっと引っ掛かった。
「チーム内ってまさか……」
「……ちょっと前までうちにいた」
「先輩がくたびれてるのって……」
「事後処理。後、めっちゃ彼女に疑われた」
「……御愁傷様です」
そこで当然の疑問が湧いてくる。
「そんな子、誰も担当に付なければいいんじゃないですか……?」
「素質がある」
「もったいない、と。でなんで私に?」
「今までの傾向から言ってお前に直接的な行為をしないと踏んだ」
ちなみに、私の容姿を紹介しよう。
低身長、まな板、ゆるふわロング、地味眼鏡、以上。
髪を切ったら、中一に見られる自信がある。
つまりちっちゃい子に手を出したことはない、という事だ。 - 5二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 10:30:34
本当にでかい
- 6二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 10:30:48
「これだから男は……」
「そう言うなよ。新人が最初から素質あるウマ娘を育てられるのは贅沢なんだぞ?」
「とはいえですね……、こっちも初めての担当なんですよ?」
「本当に頼む! トレーニングの相談にはいつでも乗るから」
先輩は土下座せんばかり頭を下げる。そうまでされては断れない。
私は仕方なく、承諾したのだった。
その後、顔合わせをしたそのウマ娘──クレイジーインラブの私の第一印象は、
「わぁ、ちっちゃ……」
と思わず出た一言だった - 7二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 10:31:56
- 8作者21/08/27(金) 10:33:21
ギャグっぽくするしかなかった。
正直、すまん。 - 9二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 12:05:55
いや、おもしろかった。
- 10二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 12:20:17
クレイジーインラブをクレイラと略するのはいいと思う。
- 11二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 12:26:25
コレは良いものだ