はちみーが欲しいのか?

  • 1二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:34:31

    「…え」

    紅葉が終わりを告げる季節、学園近くの夕方の公園で小さいウマ娘のガキと出会った。

    はちみーの屋台を物欲しそうに見つめ、ベンチにぽつんと座っているヤツを見て、気づけば体が動いていた。

    「それボクにいってるんですか?」

    「おう。あれが欲しいんだろ?ワタシが奢ってやる、来い。」

    ガキを引き連れて屋台に並ぶ。

    「お待たせしました。ご注文は?」

    「…どれでもいいぞ。」

    「じゃあ、はちみー固めこいめ多めで!」

    クソでかサイズのはちみーを受け取ると、頬膨らましてハムスターみてえに嬉しそうにすする。

    「お会計、1200円になりまーす。」

    「…意外と高ぇな。」

    さっさと会計を済ませ、さっきのベンチに座る。

  • 2◆uSHhaiTNoSeM23/05/25(木) 17:35:14

    よきかな

  • 3二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:35:35

    「そういや名前聞いてなかったな。」

    「ズズッ…トウカイテイオー…テイオーでいいです。」

    「テイオーはなんでこんな夕方に一人で公園にいる?お子様はおうちに帰る時間だぜ。」

    「お母さんとケンカしちゃって…。家出してきたんです。でも、もどるにもどれなくて。」

    いかにもガキっぽいな。よく顔を見ると涙の跡が残っている。

    「お姉さん、その制服トレセンのだよね?いっぱいレースとか勝ってるんですか?」

    「あぁもちろん。ワタシは今年の夏に、日本のクラシックの頂点を獲った。今度は海外を…世界を獲る。」

    「クラシックの頂点って…!まさか、今年のダービーを勝ったシリウスシンボリさん!!?」

    フッ、その驚き方…ベタだが嫌いじゃねぇ。

    「シンボリルドルフさんのレースばっかり見てたから気づかなかったー。」
    イラッ

    「このガキが…」

    「うわああ頭グリグリしないでよおお」

    そうやって話してるうちに日が暮れそうになったので、家まで送ってやることにした。

    …なぜワタシは知らないガキにこんな真似を。

    「あっ、あれがおうちだよ!」

  • 4二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:35:53

    テイオーが指さす先には、それなりにデカいお屋敷があった。

    ガキのくせに行儀がいいとは思ったが…。

    「テイオー!どこに行ってたの!心配したのよ!」

    「うわあああ出てってごめんなさい!!」

    テイオーの母らしき人が駆け寄ってくる。あと少し遅かったら警察沙汰だったな。

    「うちの子を連れ帰ってくれてありがとうございます!…あら?貴方はもしやシンボリ家の…」

    「たまたま通りかかっただけです、礼には及びませんよ。ではワタシはこれで…。」

    テイオーにかまってたら時間食っちまった。…帰るか。

    「シリウスさ~ん!!」

    「?」

    名前を呼ばれ、思わず振り返る。

    「いつかぜったいシリウスさんも、ルドルフさんだってこえるウマ娘になって見せるから!!トレセンでまっててね~!!」

    「…へぇ?言うじゃねえか。」

    手を大きく振るテイオーを見届けて、満足げに帰路についた。

  • 5二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:36:14

    …なんてこともあったな。

    『トウカイテイオー抜けた!トウカイテイオー抜けた!三バ身から四バ身!──』

    「笑みが漏れ出てるぜ?皇帝サマ。」

    生徒会室にて、二人のダービーウマ娘の姿がそこにはあった。
    シリウスシンボリは、ソファを占拠するように足を組んでドスッと座り、生徒会長シンボリルドルフは、にやける顔を我慢してスマホに釘付けになっている。

    「もう正直に言えよ。テイオーが自分と同じく無敗でダービーを獲ったこと。誰でもいいから自慢したかったって。」

    「ひどい言い草だなシリウス。たまたますれ違って声をかけただけだろう。」

    「テイオーをえらく気に入ってるようだが、何か思い入れでもあるのか?」

    「二冠達成の直後に、我一番にと報道陣をかきわけて祝いに来てくれてね。…それに、あの子には運命的な何かを感じるんだ。まるで親にでもなったような…」

    「それはそれは喜ばしいことで…。」

    「シリウスも彼女を知っているようだが、過去になにかあったのかな?」

    「なに、別に話すほどの事でもない。でも、運命的な何か…それはワタシも同じかもな。」

    「カイチョーー!!!」

    突然、生徒会室の扉が開かれ、新たな二冠ウマ娘トウカイテイオーが元気そうに現れた。

    「会長!あのねあのね…あれぇ、シリウスもいる!会長と仲良く一緒なんて珍しいね。」

  • 6二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:36:33

    「別に仲良くなんてねぇ。」

    「シリウス…。テイオー、それで?何か用があるのかな?」

    「ボクと一緒に並走して欲しいんだ。無敗の二冠ウマ娘の実力、とくと見よ!ってね。」

    思わずシリウスが顔をひしゃげる。

    「そうだな、この後だったr」

    「おいおい、天下の皇帝サマは仕事で忙しいんだ。大好きな先輩の迷惑になるぜ?」

    「うー、そっかあ…」

    「代わりにワタシが付き合ってやるよ。昔のあの発言、忘れたとは言わせねえぜ?」

    「え、いいの!?わーい久々にシリウスと並走だあ!じゃあ会長、あとでね!」

    シリウスが、テイオーと去る間際にルドルフと目を合わせる。そして邪悪な笑みをたたえて呟いた。

    「(テイオーは『ワタシの』ものだ。)」

    「…!!」

    ルドルフが早足で駆けより、テイオーの腕を掴む。

    「待て、テイオー。実は予定が開いているんだ。今なら走っても構わないよ。」

    そこにシリウスが割り込み、ルドルフの手を振り払う。

  • 7二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:38:01

    「おいおいワタシが先約だぜ?皇帝サマには引っ込んでもらおうか。」

    「その言葉は頂けないな、シリウス。『私の』テイオーは私と並走してがっている。別に構わないだろう?」

    「天下のトレセン学園生徒会の会長サマが横入りか?それとも、『ワタシの』テイオーを無理やりにでも奪うとでも?」

    生徒会室が一瞬、静かになる。

    「…『私の』テイオーを返してもらおう。」

    普段から抑えていた、獰猛なライオンのような恐ろしいオーラが一気に噴き出す。

    「『ワタシの』テイオーを譲ったつもりはさらさら無え。…表出ろ。芝2400で勝負だ。負けても吠え面かくなよ?」

    「…ッ!!望むところだ。終始先行して君を叩き潰す。」

    二人が睨みあっていたその時、テイオーが二人の間に収まる。

    「ふ、二人とも、なんだかすっごく怖いよ…。ボク並走したいだけなのに、どうしちゃったの…?」

    「テイオー、止めてくれるなよ。」

    「その通り、これは大事な戦いだ。」

    「三人で一緒に並走すれば良いじゃん!!こんな風に争う二人…見たくないよ。見たく…ないよお……うう」

    テイオーがぴわわっと泣き始め、あっ…。と二人が我に返る。

  • 8二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:38:58

    「す、すまないテイオー、別にシリウスが嫌いになったとかそういうのでは」

    「お、落ち着けテイオー。これから三人で順番に走ろう、な?」

    あたふたと二人がテイオーをあやす。

    「…本当?」

    「「ああ!」」

    「…ぐすっ、じゃあ走る。」

    二人はホッと胸を撫でおろした。

    「じゃあさ、仲直りで三人で手つないでいこ!ボクが真ん中だモンニ」

    「ははっ、子供かよ。」

    「まぁまぁシリウス、今回だけでも。」

    テイオーを真ん中に、三人で手をつないで生徒会室を出る。

    「シリウス、今度またはちみー買ってよね。」

    「ったく…仕方ねえな。」

    「そう言いつつ笑みがこぼれてるぞ、シリウス。」

    三人は、他愛ない話をして幸せそうに歩いていく。

  • 9二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:39:16

    ついでに、たまたま通りかかった野生のデジたんは死んだ。

    「尊…すぎ…る…」

  • 10二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:39:39

    才能の不法投棄とかいけませんねぇこれは
    ちょっと五体投地して尊崇しますねありがとうございます

  • 1123/05/25(木) 17:40:37
  • 12二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:45:31

    シリ×トレ以外でも中々良いのをお描きになさるな…

  • 13二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:49:30

    でっかの人か!!

  • 14二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 17:52:38

    でっか…3連発からの落差が凄い

  • 15二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 18:03:25

    いつおっぱいが来るか身構えてたわ

  • 1623/05/25(木) 18:09:34

    今回も反応ついた!!前スレでも褒めてくれてる人がいて嬉しい…

    無事にスレが立ったことに感無量です。えっちなのは今後pixivに落としていきますね。

    全部のレスは返せませんが、全ていいねをして拝見しております


    >>10

    ありがとうございます!

    pixivに出すより100倍嬉しいので不法投棄しまくります。


    >>12

    >>13

    >>14

    >>15

    前スレから引き続き見てくれてありがとうございます。

    一応pixivで予告していたんですが、今回えっち要素は皆無でした。

    自分でも落差すげえなとは思います…。

  • 17二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 18:29:20

    野良デジたんとは…?

    デジたん(霊体)は訝しんだ

  • 18二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 19:32:00

    >>17

    お前さんが霊体になった後身体を発生させるから残った身体が尊みパワーで動いてるんだぞ

  • 19二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 20:54:39

    いいSSじゃないか…テイオーの純粋さが沁みる

  • 20二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 06:40:13

    >>18

    デジたんだけ無限に増えていくのか

  • 21二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 18:10:24

    オグタマとか書いてみて欲しい

  • 22123/05/27(土) 02:18:55

    >>21

    オグタマ良いですね

    シングレでウマ娘にハマった人なので、オグリとタマは大好きです

    健全な方で次書いてみようかな

  • 23二次元好きの匿名さん23/05/27(土) 07:48:21

    健全SSも楽しみだしおっぱい路線も楽しみだぜ

  • 24二次元好きの匿名さん23/05/27(土) 18:41:34

    保守

  • 25二次元好きの匿名さん23/05/28(日) 01:29:45

    新作ってどっちのスレに投げる予定ですか?

  • 26123/05/28(日) 07:41:24

    >>25

    完走しそうなので前スレですね

    もう少しお待ちください

  • 27二次元好きの匿名さん23/05/28(日) 10:41:56

    楽しみ!

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