- 1二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 17:17:54
- 2二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 17:18:21
言い出しっぺの法則だ
君が書くんだよ - 3二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 17:23:25
ふむ…悪くない
君が描きたまえよ - 4二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 17:27:42
スレ保守は任せて欲しい
存分に筆を振るってくれ - 5二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 17:28:18
- 6二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 17:30:31
もしかしてルドルフと心中SSニキかか?
- 7二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 17:31:22
- 8二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 17:34:28
- 9二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 18:59:20
- 10二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 19:03:33
- 11二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 19:04:10
- 12二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 19:07:27
ゆっくり待つさ!
- 13二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 19:25:17
兆候は既に現れていた。普段の生活の時も、トレーニングの時も、トレーナーくんと出掛けているときも、脚に違和感があった。
すぐに報告すればよかったかもしれない、きっとトレーナーくんは私のことを大袈裟に心配し、病院に駆け込ませただろう。それが正しかったのだろう。
だけど、それが出来なかった。もし本当に不調があったら?もし何年もかかるリハビリが必要だと診断されたら?もし、もう走れないとしたら…?
それが怖くて、何も言い出せなかった。
「ははっ…それが…この、ザマか…!」
違う、本当は違うんだ。
本当の理由は───
「───トレーナーくんに、見捨てられたくなかったんだ」
口から漏れ出す言葉と同時に、涙が頬を伝わり、芝のコースに落ちる。
誰もいない暗闇の中、自身の嗚咽が静かに響き渡った。 - 14二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 19:48:30
次の日──
「やぁトレーナーくん、身体の調子はどうだい?私も万全とはいかないがね、少しずつ良くなってきてると思うよ、あと数日休めば問題ないさ、その間にも研究は進めているから休み明けには更にパワーアップした私を披露しようじゃないか!」
少し前に、トレーナーくんには少し疲労が溜まってしまったと言い、何日か休みをもらっていた。幸い普通に歩く分には支障がないので脚の不調はなんとか隠すことが出来ていた。
この話を切り出した時、トレーナーくんはひどく慌てて、俺の指導が悪かったと頭を下げてきた。その時心に罪悪感が芽生えたが、どうしても自分の事を話せなかった。話してしまったら、トレーナーくんとの関係が終わってしまうんじゃないかと言う恐怖が勝ってしまった。
「…一体いつまで騙し続けていられるか、ね…」
ミーティング室から退室し、廊下を歩きながら小さな声で呟く。いや、本当は既にトレーナーくんは知っているのかもしれない。私に気を遣い、何も話さないのかもしれない。もしかしたら既に理事長達と話し合い、私と…
「…うっ、くぅ………」
頭痛と吐き気が襲ってきた。ここまで私が走ってこられたのもトレーナーくんのお陰だ、自分でも変人だと自覚している私に、危ない薬を飲み干してまでついてきてくれた、トレーナーくん。指導や練習方法のアイデアもとても優秀で、きっと私が走れなくなったら、他の子の担当をすることになるのだろう、優秀な人をトレセンが手放す筈がない。
吐き気と目眩がひどくなってきた。フラフラと廊下を歩いている。脚の痛みも増しているのだろう、自分の意思を持っているかのようにズキズキと痛み、意識を低下させる。
「…嫌だ」
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!
トレーナーくんがいてほしい、トレーナーくんと走っていきたい、トレーナーくんの心に残っていたい、トレーナーくんと、笑いながら、怒られながら、呆られながら、ずっと一緒に歩んでいきたい!!!
それなのに、この脚では………!
「ッ……ァ……!」
───今までで一番ひどい頭痛と脚の痛みと共に、私の意識はそこでプツッと消えてなくなった。 - 15二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 19:51:55
なんか趣旨とずれてきた気がするけど気にするな!
- 16二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 21:14:51
「………ここ、は…」
見たことのない天井、いや、何回か見たことがある。保健室だ。
「お目覚めですか」
「……トレーナーくん?」
「………私の声を担当トレーナーと間違えるとは、重症ですね」
「あぁ、君か、カフェ…」
顔を横に向けると、そこには少し心配そうな顔をしたマンハッタンカフェがいた。
「廊下でフラフラになってたのを見かけたのでここまで運んできました」
「…そう、か………すまないね、手間をかけさせたようで」
「ええ本当に」
カフェが大きく溜め息をつく。
「私は、どれだけ寝ていたんだい?」
「そうですね、大体3時間ほどでしょうか」
外に目をやると、既に夕陽が傾きオレンジ色に世界を染めていた。
「そろそろ、戻らなければ…ッ!!!」
カフェに脚を捕まれ、痛みが走る。
「この脚でどこに向かうんですか?」
「………ばれていたか」
恐らくここに運ばれたときも痛みで声をあげていたのだろう。
「………トレーナーには…その、既に………?」
聞くのが怖かったが、尋ねてみた。
「私が電話を掛ける直前、やめてくれと言っていましたが、無意識だったみたいですね」
「そうか………」
いっそのこと、バレたほうが心が楽だったかもしれない。そんなことを思いながら天井を見つめる。 - 17二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 21:33:30
「貴女が何故その脚をトレーナーに隠すのかわかりません、その脚では最悪」
「言わないでくれ」
遮るように言葉を発する。
「…わかりました、それでは私はこれで」
カフェが立ち上がる。
「保健の先生はいませんので、帰る時は勝手に帰っていいと思いますが、もう少し安静にしていた方がいいですよ」
「あぁ、すまないね…」
「…いえ、それと、先に謝っておきます」
そう言ってカフェは去っていった。
「謝る…?」
その答えはすぐにやって来た。 - 18二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 21:41:55
カフェが去ってから少しして、ドタドタと、明らかにウマ娘の走り方ではない足音が近付いてきていた。
「なんだ…あっ!」
そういうことか…カフェ!
立ち上がろうとし、再び脚に痛みが走り、思わず声を漏らし脚を抱えてしまう。
そして、足音の本人が入ってきた。
「……トレーナーくん」
大丈夫か、と大きな声をかけられる。脚を抱えているのもバッチリ見られてしまった。
「…カフェから連絡をもらったのかい、すまないね、少し目眩がしただけなんだ、気にすることはないさ」
こんな状況だと言うのにまだ誤魔化そうとする自分が憎い。
俺のせいだ、とトレーナーくんが呟いた。体調管理も怪我のことも察してやれないトレーナーだと。 - 19二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 22:24:38
トレーナーの顔が、悔しさと悲しみで歪む。
「違う!」
自分でも驚くほどの声が出た。
「トレーナーくんは間違ってない!トレーナーくんは私の為に実験に協力してくれて、私のトレーナーになってくれた!トレーナーくんがいなかったら私はもうここにはいなかった!トレーナーくんが、トレーナーくんが…!」
矢継ぎ早に喋る。涙が滲んで視界がぼやけてきた。脚も痛む。それでも言葉が止まらない。
「………トレーナーくんが、私の前からいなくなってしまったら、どうしよう………っ」
その言葉を機に、トレーナーくんの目の前で、嗚咽を漏らしてしまった。 - 20二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 23:12:56
暫く───どれくらいかわからない、外が暗くなった頃、トレーナーくんが大事なことを3つ話してくれた。
1つ目は、脚の事。この話が終わったらすぐに病院に駆け込むとトレーナーくんは言った。
2つ目は、お礼だった。俺はアグネスタキオンのトレーナーだからここまで来れた。お前の担当じゃなかったら、俺はここまで来れなかった。だから、ありがとう、と。
3つ目は、これからのことだった。ただ一言。
「俺はアグネスタキオンのトレーナーだ、これまでも、これからも」
「………これ以上、泣かせないでくれたまえよ」 - 21二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 23:59:01
その後の顛末は、割と呆気ないものであった。
病院に駆け込みすぐに診て貰った結果だが、脚の状態はそれほど酷いものではないとの事で、それよりも精神的な負担が小さな脚の痛みをかなり助長させていたそうだ。
ただし脚の怪我も放っておけば悪化してしまうため、走り込みなどトレーニングはしばらくの間…短くても半年は絶対安静とのことだ。あとふっとい痛み止めの注射を刺された。すごく痛かった。
「しかし歩けなくなるのは不便だねぇ、トレーナーくん、車椅子だと移動するのにも一苦労だよ」
しばらく月日が経った後、トレセンの周りを車椅子でトレーナーくんと歩く。
押すのも大変なんだが。セグウェイでも借りてくればいいのでは?とトレーナーくんが言う。
「何を言ってるんだい、こうやって押してくれるモルモットくんがいるのだから何も問題はないだろう?」
そう言って笑う。トレーナーくんもやれやれと言う顔で車椅子を押してくれている。
「しかしトレーニングはダメと言われたが、研究は禁止されてないからねぇ、今日もミーティング室で研究を続けようじゃないか、この薬品が完成すれば、半年の遅れなどあっという間さ!」
ミーティング室での研究は勘弁してくれ、と言いたげなトレーナーくんを無視して前へ向き直る。
「おや、あそこにあるのは何だろうね?」
当てもない場所を指差す。トレーナーくんがそこを見てキョロキョロする。
「…ありがとう、トレーナーくん」
吐息くらいの声量で、そっと呟く。おそらく聞こえてはいないだろう、聞こえてていても、それはそれで問題はない。
あぁすまない、どうやら気のせいだったようだね、と声をかけ、再度車椅子を押して貰う。後でカフェにも再度礼を言っておかなければ。
車椅子の背もたれに身体を預け、首だけ上を見て、トレーナーくんと目を合わせる。
「さぁトレーナー…いや、モルモットくん、今日の実験を始めに、急いて行こうじゃないか!」
二人で、一緒に。
完 - 22二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 00:01:01
お目汚し失礼しました。おそらく希望してたものとはかなりかけ離れた物になってしまっています。バッドエンドビターエンドでも良かったんですがハピエン厨なのでなるべくハッピーな終り方を目指しました。あと時間めっちゃかけて申し訳ない。
- 23二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 01:10:13
とっても良かった!ブラボー!
- 24二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 01:10:55
タキオン「…………モルモットくんの視力を奪えば…………」
- 25二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 03:55:39
スレ主です!
ありがとう…もう、その言葉しか思い付かない…
ハッピーエンドで全然大丈夫です、望む所ですよ!
…スレ主は筆が進むと心中エンド直行するんで… - 26二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 06:53:09
初めて書いたものだから気に入っていただけるかわからなかったですが、書いて良かったです!
- 27二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 07:00:53
すばらし
- 28二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 07:26:53
なんだコレ
名著か - 29書いた人◆0QST4bqSOw21/08/28(土) 07:47:53
感想が来てる、ありがてぇ、ありがてぇ…
- 30二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 12:37:12
このレスは削除されています
- 31二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 12:43:13
100いいねほど送りたい気分だ
それはそうとスレ主は何で心中させようとするんです? - 32二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 12:54:11
- 33二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 12:54:58
- 34二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 13:00:31
- 35二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 13:31:11
ポップみたいなことを言ってらっしゃる…
- 36書いた人◆0QST4bqSOw21/08/28(土) 13:57:01
思ったより読まれてて嬉しいです…
- 37二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 16:54:15
保守
何時間くらいで過去倉庫行きになるのだろうか? - 38二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 17:11:13
- 39二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 17:12:39
いやぁ、いいもん読ませてもらったわ、曇らせもHappyも等しくいいものだ。
- 40二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 18:05:50
ありがとう!
- 41書いた人◆0QST4bqSOw21/08/28(土) 21:46:19
1日経ってから見てみると直したい部分がたくさん出てくるの辛いけど楽しい。
- 42二次元好きの匿名さん21/08/29(日) 08:15:03
- 43書いた人◆0QST4bqSOw21/08/29(日) 09:15:03
書きたい自分になっていいんだよ…