- 1二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 22:42:27
- 2二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 22:43:14
過去作一覧(上に行くほど新しいです)
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- 4二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 22:48:51
サビーナの家に向かう途中、ラウダはずっと感じていた違和感の正体にようやく気付きました。
というのも、やけに静かなのです。
以前街に来た時は夜になってもたくさんの人が道を歩き、みんな楽しそうに笑ってとても賑やかでした。
ですが今はどうでしょうか。まだ陽も沈みきっていない時刻だというのに、人通りはまばらで誰もが暗い表情をしています。
これは一体どうした事かと、ラウダは道を歩いていたカルを捕まえて事情を聞いてみると、カルは暗い表情のままポツリと「ニカ様のせいです」と答えました。
ニカというのはこの国を統べる女王の名です。
何故彼女の名前が出るのかと再度ラウダが聞くと、なんでもニカは重度の人間不信に陥ってしまったらしく、誰も信じる事が出来ないと家臣や街に住む国民を次々に処刑しているというのです。 - 5二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 22:50:28
- 6二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 22:52:11
再立て乙です
暴虐の女王ニカが4BBAカルを心胆寒からしめてるの、ちょいスカッとする俺 - 7二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 22:52:31
グエルがオジェロとの結婚式…
グエルがオジェロとの結婚式………… - 8二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 22:57:29
博打癖を除けば、気が良い奴だからねオジェロ
- 9二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 23:20:49
もうタイトルだけで笑う
- 10二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 23:32:30
ヒートアックスを持って堂々と乗り込んだラウダはたちまち衛兵に取り押さえられ、ニカの前に引き出されました。
「そんな物騒な物を持って私に何の用です?」
「僕はこの街の人達を暴君から救おうとしただけだ」
悪びれる様子もなく答えたラウダに、ニカは貼り付けたような笑みを浮かべます。
「暴君?私がですか?」
「自覚すらないとは呆れたな…何故自分の周りの人達を信じてやろうとしない?人の心を疑うのは最も恥ずべき悪徳だ!」
「そういう事は私じゃなくて本編の大人達に言ってください」
そうため息混じりに吐き捨て、ニカは先程とは打って変わり愁を帯びた表情になります。
「人間なんて信じるだけ無駄だと、そう理解してしまったんです。さっきから偉そうな事を言っている貴方だって、もし私が処刑を命じれば泣いて許しを乞うでしょう?」
「そんな事はしない」ラウダはそうキッパリと言い切りました。 - 11二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 23:36:27
本編のニカが人間不信になってなくて本当に良かった
- 12二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 00:29:15
「僕を処刑したいというのなら好きにすればいいさ。ただ……」
そこでラウダは僅かに躊躇いを見せ、ニカの目を真っ直ぐに見つめて懇願しました。
「あと4日…いや、3日でいい。処刑まで猶予を与えてほしい。たった1人の兄さんの結婚式を見届けたいんだ。3日後に僕は必ずここへ戻ってくると約束しよう」
その言葉に、ニカはお腹を抱えて笑いました。
「そんな見え透いた嘘を信じるわけないじゃないですか!小鳥でさえ一度逃がしたら2度と戻って来ませんよ?」
「いいや!絶対に戻る!」
ラウダは必死に言い募ります。全ては、兄の幸せを誰よりも祝福したいという一心でした。
「どうしても信じられないと言うなら仕方ない……この街にサビーナという女がいる。僕の古くからの友人だ、彼女を担保にしよう」
「担保?」
「僕が逃げてここに戻らなければ、サビーナを代わりに処刑してくれて構わない。それでどうだ?」
ニカは目を丸くしました。
まさか友人を人質に差し出すなんて、なんと冷酷な男なのだろうとサビーナに僅かに同情の念が湧にます。
しかし、だからこそ面白いと思ったのもまた事実でした。
「分かりました、良いでしょう。3日間だけ待ちます。ただし、3日後のdice1d3=1 (1) (1.日没 2.夜明け 3.午後5時)までに戻って来なければ、そのサビーナさんという人を貴方の身代わりとして殺します」
- 13二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 00:31:49
水星放送初期にちらほら見た冷酷ニカ姐を思い出して懐かしくなっちゃった
- 14二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 00:39:36
不思議とラウダが必死に走ったり泳いだりする姿は頭に浮かぶな
- 15二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 01:03:11
- 16二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 06:12:42
- 17二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 09:44:45
サビーナ男前で草
- 18二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 09:50:19
無言で拳付き出すのは男前すぎるぞサビーナの姉御
- 19二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 09:57:50
サビーナ姉さんがカッコ良すぎる…!
- 20二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 19:01:01
ほしゅ
- 21二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 19:43:36
突然のオジェロにふいた
どっちがどっちです?? - 22二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 20:43:30
ラウダは一睡もせず走り続け、村に到着したのは翌日のdice1d3=1 (1) (1.朝 2.昼 3.夜)でした。
「ラウダ!?一体どうしたんだ、フラフラじゃないか!」
疲労困憊になって帰って来た弟の姿に驚くグエルに、ラウダは肩で息をしながら「僕の事は気にしないで」と言います。
「それよりも兄さんの結婚式の事なんだけど、急で悪いけど明日に前倒しできないかな?色々あってすぐに街に戻らないといけないから、その前に兄さんの晴れ舞台を見ておきたくて」
「随分と急だな……そんなに大事な用事なのか?」
「うん。どうしても守らないといけない約束なんだ」
「………分かった、オジェロや村の皆には俺から話をしておく。準備は元々ほとんど終わっているし、急げば式自体は明日挙げられるはずだ。だからお前はひとまず家で少し休んでろ」
「そうさせて貰うよ。……ありがとう、兄さん」
あえて深く追求せず了承してくれた事にお礼を言えば、グエルは笑ってラウダの頭をやや乱暴に撫でました。
- 23二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 21:27:40
自分の結婚式の日取りを急遽変更して文句ひとつないとは、この弟にしてこの兄在りか
オジェロが結婚相手なの逆に良かったのかな、こういうの気にしなさそうだし - 24二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 21:33:19
ラウダくんとサビーナ様が並ぶとカラーリングも寒色系で格好いい
- 25二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 22:38:19
ラウダがベッドで横になり一眠りついている間に、グエルは自身のdice1d2=1 (1) (1.根気強さ 2.脳焼きスキル)をフルに活用して無事オジェロと村の人達を納得させる事に成功していました。
ラウダが目を覚ました頃には既に村人総出で式の準備に取り掛かっており、ラウダも慌ててそれに参加します。
そしてその日の昼に、結婚式は執り行われました。
不幸にもdice1d3=2 (2) (1.小雨 2.雨 3.土砂降り)に見舞われ屋内での挙式となりましたが、そんな事は関係ないと言わんばかりのお祝いムードに包まれ、オジェロとグエルも幸せそうに笑っています。
その光景を見て、ラウダはこれ以上ないほどの幸福を感じると同時に生きる事への未練が湧いてしまいました。
- 26二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 22:47:57
ラウダだけじゃ難しい時でもグエルがいれば何とかなりそうな妙な安心感がある
- 27二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 22:53:15
この村の住人の脳は無事らしい
- 28二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 23:06:44
いや待て、グエルが常駐してる村なんだぞ、とっくに焼き尽くされきった後だったのかもしれん
- 29二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 06:11:19
ああ、生きたい。これからもこの村で兄さんや村のみんなと一緒に暮らしたい。
そう心から思いましたが、それでもラウダには果たさねばならない友との約束があります。
今のラウダは自分だけでなくサビーナの命も背負っているのです。
後ろ髪を引かれる思いを無理矢理振り払い、ラウダは式の終わりと共に出発を決意しました。
つつがなく式が終了し、周りはすぐさま宴会ムードへと変わっていきます。
そんな中でラウダはグエルに近付き、声が震えてしまわないよう意識しながら声をかけます。
振り返ったグエルはラウダの表情を見て何かを察したのか、ただ静かに「もう行くのか」と問いかけました。ラウダはコクリと頷きます。
「そうか……確か急ぎの用事だって言ってたよな?貸してやるから乗っていくといい」
そう言ってグエルはラウダを格納庫へと連れて行き、dice1d3=3 (3) (1.ディランザ 2.ダリルバルデ 3.シュバルゼッテ )を貸してくれました。
お礼を言ってコックピットに乗り込む直前、ラウダは改めてグエルに向き直ります。
「今日は兄さんの門出を見届ける事が出来て本当に良かったよ。兄さんの弟になれた事は僕にとって何よりの誇りだ」
「おいおい、何大袈裟な事言ってるんだよ?今生の別れでもあるまいし」
そのグエルの言葉に、ラウダはただ曖昧に微笑む事しか出来ませんでした。
- 30二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 07:01:15
それ乗っていいやつ…?
- 31二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 09:40:41
これ本編でもあったら草生えるんだが
- 32二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 18:55:23
ほしゅ
- 33二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 20:21:56
「それにしても、まだ本編で正式なパイロットが判明してないのに僕が乗っても良いのか…?」」
今更な疑問を口にしながら、ラウダはシュバルゼッテを操縦します。
ちなみにガンダムの呪いだとかそういう部分に踏み込むと話がめんどくさい事になりそうなので、このお話ではその辺りの設定はガン無視します。よいこのみんなも気にしたら負けだと思ってね。
話を戻すと、約束の日は明日の日没。今から約まるまる1日くらいです。
行きの時点で不眠無休で走れば半日で辿り着けたし、何より今はMSに乗っているので、これならば約束の時刻よりもずっと早く城に到着できるでしょう。その事に安堵しつつもどこか複雑な気持ちをラウダは抱きます。
しかしこのお話はなろう小説ではないので、そんなに都合よくトントン拍子では進みません。
「なっ!?」
突如現れた3機のMSがシュバルゼッテを取り囲みます。
それは、この辺りを縄張りとする山賊集団dice3d28=16 4 3 (23) でした。
(27ソフィ、28ノレア、既出キャラの場合は+1)
- 34二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 20:23:53
ほぼ全員登場済みじゃねーか!
この場合は4号、シャディク、フェルシーちゃんになります。全員パイロット科!やったね! - 35二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 20:27:18
4号もシャディクもアーシアンの貧民だから山賊似合うな…フェルシーちゃんはチンピラ感あるしまあ…
- 36二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 20:50:49
三人とも腕利きのパイロット
なんなら二人は頭もいい
会いたくねえな - 37二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 20:52:50
地味に御三家ランブルリング状態?
- 38二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 20:53:38
とんでもねえメンツに囲まれている
- 39二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 21:10:28
>ちなみにガンダムの呪いだとかそういう部分に踏み込むと話がめんどくさい事になりそうなので、このお話ではその辺りの設定はガン無視します。
好き過ぎる
- 40二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 21:32:38
- 41二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 21:33:42
「見た事ないMSだけど、もしかしてワンオフ機?羨ましいなぁ〜」
「量産機乗ってるの君だけだもんね」
「お願いだからエランはもう黙ってて!」
「もう少しじっくり見せて貰えるかな?ああ大丈夫、手荒な真似はしないよ。もっとも…君が大人しくしていれば、だけどね」
シャディクの言葉で彼らの狙いがシュバルゼッテであると確信し、ラウダは歯噛みします。
「悪いが急いでるんだ。追い剥ぎなら他を当たってくれ」
「逃げられると思ってるの?」
無視して押し切ろうとしたラウダでしたが、すかさずエランがビームライフルを撃ち、それがシュバルゼッテの足元を掠めました。
「やれやれ、出来れば手荒な真似はしたくなかったんだけどな」
「恨むなら私達と遭遇した自分の運の無さを恨んでよね」
「…クソッ!こっちはお前達に構ってる暇なんてないっていうのに!」
苛立ちも顕に、ラウダはシュバルゼッテに装備されていた大剣を取り出して大きく振りかぶりました。 - 42二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 22:31:35
この盗賊団かわいいな!
- 43二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 22:42:22
研修中w
ここのスレのエランはフリーダムだなと思ったが本編もわりとフリーダムだった - 44二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 23:55:21
- 45二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 00:05:21
- 46二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 06:11:58
(クレしんネタだと前が見えねェと同じくらいの知名度だと思ってたけどそうでもないのか……)
必死にシュバルゼッテを操りラウダはシャディク達を相手に防戦一方で立ち回りますが、3対1という事もあり徐々に追い詰められていきました。
機体の損傷も大きく、このままでは撃破されてしまうのも時間の問題です。
「っせめてこの場から逃げ切る事さえ出来れば…!」
ラウダがそう考えたその時です、フェルシーが振り下ろしたアックスをサッと避けると、外した事でバランスを崩したのかディランザが僅かによろけてしまいます。
ラウダはその隙を見逃しませんでした。
「今だ!!」
「何ッ!?」
「ギャフン!わ、私を踏み台にしたぁ!?」
ラウダはすぐさまディランザに飛び乗り、そのまま高く跳躍して戦線を離脱します。
逃すまいと飛んできたファラクトの銃撃もお構いなしにラウダは飛行スピードを上げ、ラウダはかろうじてシャディク達から逃げる事に成功しました。 - 47二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 12:19:23
フェルシーちゃんかわいい
- 48二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 20:56:42
保守
- 49二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 21:11:47
どうにか山賊トリオを撒いたラウダでしたが、想定外の戦闘によるdice1d2=2 (2) (1.機体の損傷 2.燃料の枯渇)が激しく、シュバルゼッテはロクに動かせない状態になってしまいました。
心の中で兄に謝罪しながらシュバルゼッテを降り、ラウダは自分の足で街へと戻る事にしましたが、前日から続く雨によってぬかるんだ地面が彼の行手を阻みます。
それでも必死に足を動かして進み、そして大きな川を跨ぐ橋までたどり着いたところで、ラウダは大きく目を見開きました。
なんと雨のせいで川が氾濫し、橋が壊れてしまっていたのです。
川は轟々と濁流が流れていて、とても生身で渡れるような状態ではありません。
「嘘だろ……ここまで来たって言うのに……!」
目の前に広がる残酷な現実に、ラウダは絶望して膝をつく他ありませんでした。
- 50二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 22:20:19
いちいち絵が合ってるなw
- 51二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 23:04:33
──いっそ、もう諦めてしまおうか。
そんな悪魔の囁きがラウダの脳裏に浮かびます。
僕は友の為に死力を尽くして戦い、走った。それだけでも十分じゃないか。
幸いにも自分は周りの人間に恵まれている。きっとこのまま村に帰っても兄を始めとした誰1人も己を責める事はしないだろう。
サビーナだってそうだ。優しい彼女の事だ、僕が間に合わなかったとしても、きっと僕を恨んだりしない……
そんな都合の良い言い訳ばかりが浮かんでは消え、ラウダは自己嫌悪でどうにかなってしまいそうでした。
その時です。不意にラウダが懐に大事にしまい込んでいた一枚の紙がハラリと落ち、ちょうどラウダの目線の真正面に滑り込んできたのです。
それはdice1d2=2 (2) (1.昔サビーナと一緒に撮った写真 2.兄の結婚式のスピーチ原稿)でした。
- 52二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 23:50:24
兄さんの引き強いな
- 53二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 08:22:44
楽しみ保守
- 54二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 13:51:17
「兄さん……」
結婚式の時に見た、兄の幸せそうな顔を思い出します。
思えばグエルは昔から立派な人でした。
気高く真っ直ぐで努力家。それでいてどこまでも誠実な彼に脳を焼かれた人間の数は計り知れません。
そしてそんな兄を支えられるような人間になりたくて、ラウダも努力を重ねてきました。
「……そうか、そうだったな。一体何をやっているんだ僕は」
思わず笑みが溢れました。
ラウダは原稿用紙を再び大事に仕舞い込み、ゆっくりと立ち上がります。
ここで諦めれば、処刑を免れ生きる事ができるでしょう。
しかし、友を裏切ってまで生き延びたとしてそれでグエル・ジェタークの弟として胸を張って生きられるでしょうか?答えは当然否です。
姓は違えどラウダもジェタークの男です。例え苦しくても無様でも、最後まで諦めずにもがき続けるべきなのでしょう。そう、懲りずに何度も暗殺を企てた父のように。
ラウダの中で何かおかしなスイッチが入った音がしましたが、本人はそれに気付きません。
今彼の中にあるのはサビーナへの友情とグエルへの敬愛、そしてニカへの怒りのみであり、特に大きなdice1d3=1 (1) (1.サビーナへの友情 2.グエルへの敬愛 3.ニカへの怒り)がラウダを突き動かしていました。
「ウオオオオオオオ!!!」
雄叫びと共に、ラウダは川をdice1d4=1 (1) で渡りました!
1.クロール
2.バタフライ
3.どこからか取り出したアヒルボート
4.水上走り
- 55二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 14:39:41
クロールで濁流を⋯
- 56二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 15:02:00
兄弟は平凡に暮らしてきたのにどうして父親は暗殺脳なんだよ!
- 57二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 15:03:18
この世界線でもヴィムは暗殺し続けてんのか……
グエルの結婚にもめちゃくちゃ反対してそう - 58二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 15:06:14
クソ親父のことは見習わなくていいんじゃないかな…
- 59二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 18:19:44
覚醒したラウダは濁流をものともせず凄まじいスピードでクロールで対岸まで泳ぎ切り、そのまま駆け出しました。
「待ってろサビーナああああああ!!」
もう迷いはありませんでした。友との約束を果たすためにラウダはひたすらに足を動かします。走れラウダ!(タイトル回収)
そしてその道中、ニカがラウダの妨害にと寄越したヒットマンが現れました。
「ここから先は通さn」
「うるさい邪魔だァ!!」
ヒットマンが銃を構えますがそんな事お構いなしにラウダはヒットマンにdice1d3=1 (1) (1.右ストレート 2.ラリアット 3.飛び蹴り)をお見舞いしてノックダウンさせ、倒れたヒットマンに目もくれずその横を走り去ります。
今の止まらないラウダ・ニールを止められる者は兄以外にいないでしょう。
勝ち取りたい物もない無力な馬鹿にはなれないと、ラウダは走り続けます。
街と日没は、もう目前まで迫っていました。
- 60二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 18:26:12
勢いがすごい
- 61二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 18:35:35
それでラウダ君はいいんだよ
- 62二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 20:29:17
一方その頃、街の広場ではサビーナが処刑されようとしていました。
「あともう少しで陽が沈みますね…サビーナさん、今どんな気持ちですか?」
磔にされたサビーナにニカがそう語りかけます。
「やっぱり私の言った通りでしたね、人なんで信じても無駄なんです。あの人もきっと今頃あなたの事なんて忘れて呑気にお酒でも飲んでるんじゃないですか?」
「いいや、ラウダは絶対に戻って来る。アイツは義理を通す男だ」
磔にされてもなお、サビーナは動じる事なく真っ直ぐにラウダが来るであろう道を見つめていました。その様子にニカはクスクスと嘲笑を浮かべます。
ここに戻れば自分が処刑されるというのに、わざわざ戻って来る馬鹿がどこにいると言うのか。
それに、サビーナは知りませんがニカは念のためにヒットマンを雇いラウダの足止めをするよう依頼しました。まさか平凡な牧人がヒットマンに拳で勝てるわけもあるまいし、万が一にも戻って来ることはないでしょう。
「……あなたも、人を信じたりしなければ殺されずに済んだのに」
そう言ったニカの目には、僅かな憐憫と虚しさが滲んでいました。
陽が沈み切るまであと数分もありません。ニカが処刑人に刑の執行を言い渡そうとしたその時でした。
「待て!!!」 - 63二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 21:52:34
突如聞こえたその声に、サビーナとニカはハッと目を見開きます。
集まっていた野次馬達も何事かと声のした方を振り返る中、その野次馬達を掻き分けてボロボロになったラウダが処刑台の前へと転がるように飛び込んで来ました。
「彼女を解放しろ!!僕は、ラウダ・ニールは戻ってきたぞ!約束の通り、今!ここに!!」
ラウダがそう力一杯叫ぶと、野次馬からどよめきが上がりました。
ラウダの気迫に気圧されつつ処刑人がサビーナを拘束していた縄を解くと、ラウダはすぐさま彼女に駆け寄ります。
「サビーナ…!」
「ラウダ…」
力なく座り込んだサビーナがラウダを見上げると、ラウダは目に涙を浮かべて彼女に懇願しました。
「サビーナ…どうか僕を殴ってくれ。僕は一度君の事を見捨てかけた。君を裏切ろうとしたんだ。君が殴ってくれないと、僕は僕を許せそうにない。この通りだ」
ラウダがそう言うと、サビーナは全てを察した表情で頷き、全力でラウダにdice1d4=2 (2) (1.ビンタ 2.グーパン 3.腹パン 4.頭突き)をしました。
- 64二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 21:54:40
サビーナさんいちいち行動が男前だよ
- 65二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 22:16:10
ラウダの勢いもすごかったがサビーナさんも負けてない、さすが親友
- 66二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 23:07:36
すげえ⋯男女なのに湿っぽさが全くない⋯
- 67二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 23:10:48
まあ、ザビーナさんはグーパンしていい
- 68二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 09:12:01
走れ保守
- 69二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 11:48:34
パイロット科女子から繰り出された本気パンチの威力は凄まじいもので、ラウダは後方に吹っ飛ばされます。
そしてラウダを殴ったサビーナはすぐにラウダの元へと歩み寄り、優しく微笑んで言いました。
「ラウダ、私の事も殴って欲しい。私はニカ・ナナウラに偉そうにお前が戻ってくると言ったが、実はこの3日間で一度だけ、お前は帰ってこないんじゃないかと疑ってしまった。殴られるべきなのは私も同じだ。だから友として本気で私を殴ってくれ。そうしないと私はお前の友として抱擁を交わせない」
「え、いや、流石に女子を殴るのはコンプラ的にまずいというか……」
「何を言っている、私とお前の仲だろう?男女平等パンチというヤツだ、遠慮するな」
「だから遠慮とかじゃなくて………すまない、本当にこれで勘弁してくれ」
そう言って、ラウダはサビーナに弱い力でdice1d4=2 (2) (1.デコピン 2.チョップ 3.ほっぺを引っ張る)した後、ひしと彼女を抱きしめました。
「ありがとう、友よ」
そう言ったのは、ラウダがサビーナか、もしかしたら両方かもしれません。
ラウダとサビーナはしっかりと抱きしめ合い、それから2人で静かに嬉し涙を流しました。
美しい友情の抱擁に、群衆から拍手と歓声が上がりました。
- 70二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 11:50:16
- 71二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 12:02:16
サビーナ様もラウダくんも漢前!!!
- 72二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:17:58
コンプラwww
- 73二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:21:57
その光景を呆然と眺めていたニカでしたが、やがてフッと笑うと、静かに2人へと近付きます。
その表情は、憑き物が取れたような晴れやかなものでした。
「凄いですね、あなた達は。私の負けです。こんなの見せられたら、もう人を信じられないなんて言えなくなっちゃうじゃないですか」
ニカは集まる民衆全員に聞こえるように、ハッキリと通る声で高らかに宣言します。
「ラウダ・ニール。貴方の処刑は取りやめとします。貴方は何の罪のない善良な一国民として、これからも自身の村で平和に暮らすといいでしょう。……それと、今さらどの口が言うんだって自分でも思うんですけど…どうかあなた達の仲間に、私も入れてもらえませんか…?」
不安げな表情を浮かべてそう言うニカに、ラウダとサビーナは目を丸くしました。
そして2人で顔を見合わせた後、どちらともなく笑いだします。どうやら2人とも答えは同じのようです。
「…貴女がこれまでの行為を反省し、心を入れ替えると誓えるのなら」
「喜んで、私達の友として迎え入れよう」
「!!はいっ……ありがとうございます…!」
差し出されたラウダの手を握り、ニカはポロポロと涙を溢します。
邪智暴虐の女王が死に、新たな女王が生まれた瞬間でした。
群衆から先程の歓声を上回る歓喜の声が湧き上がりました。
「万歳!ニカ女王万歳!」
その時、処刑人と家臣達の間を潜り抜け、城に使える侍女のペトラが顔を赤らめながらラウダにdice1d4=3 (3) (1.緋のマント 2.バスタオル 3.全身タイツ 4.葉っぱ)を差し出します。
キョトンとするラウダに、サビーナは彼女にしては珍しく揶揄うような笑みを浮かべて友に教えてやります。
「ラウダ、お前の着ている服はボロボロで裸も同然じゃないか。早くそれを着てやれ、彼女は君の裸体を野次馬達に見て欲しくないんだろう」
サビーナのその言葉に、ラウダはペトラと同様に赤面しました。
- 74二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:24:43
全身タイツもそれはそれで見せられない絵面じゃないか…?
- 75二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:24:49
着てもボディライン丸わかり!
- 76二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:28:48
- 77二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:29:55
完結おめでとう!!
- 78二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:30:23
しれっと逮捕されてる⋯
- 79二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:30:59
結婚はいいものだよ
幸せの形としてわかりやすい - 80二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:38:20
4号逮捕されたね…
- 81二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 13:43:32
この話書いてて確信しました。ジェターク兄弟めちゃくちゃ動かしやすい。
あとラウダが心折れたに落ちたのがサビーナの写真だったらもうちょっと真面目(?)に原作をなぞった流れになる予定でした。止まらないラウダ・ニールRAGE OF DUSTルートは完全に悪ふざけだったけど正直楽しかったですハイ - 82二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 14:04:53
めでたしめでたし
- 83二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 14:33:10
ジェターク兄弟もだけど他もなかなかナイスキャスティングで面白かった!
乙でした - 84二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 23:53:10
良かった…ここのラウペトは幸せになったんだ…乙乙