もう疲れちゃって全然動けなくてェ…

1二次元好きの匿名さん23/06/05(月) 00:18:33

「──というわけですのでトレーナーさん、私のことを運んでくださらないかしら！」

トレーナーさんと二人でお出掛けをした帰り道、私は昨晩夜遅くまで考えていた作戦を実行しようとしていました。

（昨日録画で見たプリファイアニメ……その中で『疲れた姫を王子様がプリンセス抱っこをして運んでくれる』という素晴らしいシチュエーションがありましたの！それを実現させるためにこうして疲れたアピールをしてプリンセス抱っこをしてもらう……名付けて『ドキドキ！姫と王子様が急接近！作戦』ですわ！！！）

近くにあったベンチに座りながら手を目一杯広げてトレーナーさんを待ち構えます。

「さぁトレーナーさん！早く姫を運んでくださいまし！もちろんプリンセス抱っこで！」

トレーナーさんなら、私が疲れていたと言えばきっとプリンセス抱っこをしてくれるはず！そう思いながら待っていましたが……。

「あんまり疲れているようには見えない……というか、元気満々じゃないか？」
「……ほえっ？」

そういえば、アニメのプリファイは坂路ダッシュを１０００本してへとへとの状態でしたわ！あれくらいへとへとじゃないと王子様はプリンセス抱っこをしてくれないということでしょうか！？

（くぅぅ、流石はトレーナーさん……私がへとへとじゃないということを見破るだなんて！でもどうしましょう、昨日あんなに考えた作戦が失敗してしまいますわ！）

「えーっと……えーっと……実は疲れてないんですけど本当は疲れていて……いえそうではなくて！その……」

しどろもどろな言い訳をしていると、トレーナーさんが不安そうに私の顔を覗いてきます。その表情を見ていると嘘をついていることが申し訳なく感じてきてしまい……。

「すみませんトレーナーさん。実は全然疲れていないんです……」

つい、本当のことを話してしまいました。

「──それで、プリファイで見たプリンセス抱っこをしてもらえないかと思って嘘をついちゃったんです……ごめんなさいですわ……」

顔を俯かせ、指をモジモジさせながら謝りました。トレーナーさんはこんな私を見てどう思うでしょうか……？

>>21

2二次元好きの匿名さん23/06/05(月) 00:19:08

「なんだ、そういうことだったんだね」
「えっ……」

ホッとしたような声を出すので顔を上げてみると、トレーナーさんは笑っていました。

「さっきまで元気一杯で走り回ってたのに急にあんなことを言い出すからさ、もしかしてどこか痛めたり体調が悪くなったのかと思って心配しちゃってたよ。でも何事も無くて良かった」

その笑顔はとても眩しくて……私は言葉も発せずに見惚れてしまいました。

「それにそんな可愛い嘘を吐かなくてもさ」

そう言ってトレーナーさんは私の近くまで歩いてきて、そのまま私をひょいと持ち上げてくれたのです！プリンセス抱っこで！！！

「これくらい、いつでもしてあげるから大丈夫だよ」
「ト、トレーナーさん……！」

感極まった声を上げる私を優しい目で見つめてくれるトレーナーさん。そんなトレーナーさんの首に手を回しぎゅっと掴まります。

「感謝感激ですわ～っ！ありがとうございますっ、トレーナーさん！」

ちょっと苦しそうにしながらも、それでも私を離さずぎゅっと抱いてくれる王子様の腕に収まっていると、心がポカポカしてきちゃいます。

（やっぱりトレーナーさんは、私のたった一人の王子様ですわっ♪）

こうして、姫と王子様の絆はより強く、より固くなっていくのでした！おしまいっ♪