猫と不良とキヴォトスと

  • 1123/06/08(木) 00:09:36

    学園都市キヴォトス。
    今日も元気に馬鹿みたいに、銃弾と青春飛び交うこの都市で、アタシは今日もだらけていた。
    「マオ〜、腹減ったか〜?ん〜?」
    「んにゃ」
    ムニムニとマオ…愛猫であり相猫であるマオの顔を揉みつつ、アタシは空虚に時間を喰い潰していた。
    午前11時43分、ちなみに火曜日。
    祝日でもなんでもない、ド平日。
    そしてアタシが今いるところは学校でも教室でも、ましてや塾でもなく、ただの公園。
    有り体に言えば、サボりだ。
    「たくよぉ、よくわかんねぇよなぁお勉強とかなぁ?」
    「にゃあ」
    「お〜、マオもそう思うよな?うりうり」
    ま、キヴォトスじゃあ別に珍しくもなんともないありふれた光景。
    ショットガンと鉄パイプを立てかけて、猫を撫でる。
    そんな幸せで些細な日常もまた、キヴォトスの一部…つまり、悪くねぇ。OK?
    「よーしよしよし、飯にするか、ん?
    うしうし、んじゃそこのコンビニでも…」
    目線を向ける、マオが1つ鳴く。
    コンビニが強盗に襲われている。

    …ありふれたクソッタレた光景、猫が鳴けば強盗が起こる、これもまたキヴォトスの一部だ。

  • 2123/06/08(木) 00:20:06

    「ふざけんなクソボケゾウリムシ共がぁ!!!」
    「うわぁ!?」「なんだコイツ!?」「いきなりなんだオメェ!?」「もうヤダこの職場」
    「にゃん」
    キヴォトスじゃあ強盗なんぞ珍しくもない。
    ありふれて、最早名物にすらならない光景。
    アタシもな~んもない時なら頑張れよと心の中で応援して通り過ぎてやる、が。
    「てめえらが!強盗したら!アタシが!飯!買えねぇだろうが!」
    「ぎゃ!?」「ぐお!?」「今どき鉄パイプ!?」
    適当に撃って、適当に殴る。
    とてもシンプル、あまりにもシンプルすぎてコイツラの懐から金をくすねても誰も気にしない。
    「にゃんにゃ」
    「おーそうだな、すいませーん」
    「は、はい…?」
    脅威がボコボコにされて少し安心したのか、店員がカウンターから出てくる。
    「この店にある猫缶全部、あ、あとアンパンと牛乳2つカバンに詰めろ」
    ので、そこにすかさず銃口を突きつけて、マオが口にくわえてはカウンターにのっけたそこに転がってるアホどもが持ってきたっぽいカバンをパイプで指す。

    強盗を倒したヒーローが強盗だった、これもこの都市じゃまぁまぁある事だ。
    一つ賢くなったな、店員サン。

  • 3123/06/08(木) 00:40:44

    とは言えまぁ、世の中何もかも上手く行くだとかは全然ねぇもんで。
    「まぁ、通報されてるよなそりゃあ」
    『えー、貴女は囲まれています。
    武器を放り捨てて手を上げて投降しなさーい』
    店の外にはヴァルキューレの豚共がわらわらとまぁ…
    「普段は動きのろっちいのに、なぁんでこんな時にはオシゴト張り切ってんだよ…
    アタシが動く時に限ってこうだ」
    「んみ」
    美味そうに飯を食うマオを撫でつつ、タメ息1つをキヴォトスにくれてやり、外に頭を出す。
    「いーじゃねえかよちょっとぐらいよぉ!
    弱いものを囲って虐めるの良くねぇと思うなぁアタシ!」
    『うるせーよ馬鹿、やるならウチのいないとこで騒ぎ起こせって言ってんだろボケ』
    「…ん?あーお前か丁度いいや!な?見逃してくれよちょいとさ!」
    天はアタシを見放さなかった、とアタシはボリボリと頭をかいてメガホンで呼びかけるチビ…馴染みのヴァル公に呼びかける。
    『お前ソレ何回目だよ、無理だよ流石に。
    ウチもほら、内申点とかあんだよ分かるだろ?』
    「お願い!まーじでお願い!金やるから!」
    『コンビニの金だろそれ、駄目に決まってんだろ渡すなら勤務時間外に』『先輩?』
    『あー…ともかく、さっさと投降してさっさと捕まってさっさとウチに金渡して手柄になれ、今ならカツ丼の上に乗ってるよく分からん葉っぱをくれてやるぞー』
    「…まぁ、こーなるよな」

    あんなカスに期待したアタシが馬鹿だったか、さてどうするべきか。
    …こんなピンチもキヴォトスじゃあ珍しくねえ。
    これ、テストに出るぜ?

  • 4123/06/08(木) 00:59:51

    「どうすりゃいいと思うよ店員サン」
    「私のことを開放したらいいんじゃないですかね」
    「別に拘束してる訳じゃねえし、逃げようと思えば逃げれるだろ?
    ちょっと鉛玉が飛んでくるだけで」
    「もうやだ誰か助けて」
    さて、何故だが俺のために留まってくれている店員サンのおかげで外の豚共は攻めてこれねぇが…時間をかければそれだけ相手に準備を許す、逃げるならさっさとしなきゃならねえ。
    「つっても、入口裏口…どこもアイツラがなぁ…」
    「にゃにゃ」
    「おー?どうしたマオ、いい玩具でも見つけ…」
    「んにゃ」
    ……どうやらマオはご機嫌な玩具を持ってきたようだった。


    「先輩、包囲完了致しました!」
    「お疲れさん、奴さんもそろそろ痺れきらす頃合いだ、気を抜くなー」
    「はい、もちろ…!」

    爆発音、吹き飛ぶコンビニ、主に天井。
    さてさて、ここでCMタイムだ。

    「キヴォトスのコンビニでぇ!えーと…なんか手榴弾が販売中!!」
    「にゃ!」

    吹き飛ぶアタシ、ガレキ、時々店員。
    さ、ちょいとセンスの良い出口ができたわけだし…帰るとしようか?
    「…あーあ、ウチしーらね」
    「な、な、な…」

  • 5123/06/08(木) 01:07:07

    「あーあ、結局持ち帰れたのこれだけかよ?」
    「んにゃにゃ」
    風に揺らめく札を指で弾き、タメ息1つキヴォトスに還る。
    午後1時12分、銃弾と青春飛び交うこの都市で、アタシは今日もだらけている。
    「まー…いいか!
    うーし、今日は一日だらけて…ん?
    んだよこんな時に。
    もしもし?アタシに連絡をよこそうなんざいい度胸…あ、先生!?
    えー、なに、どしたん?え?暴れる?いいよいいよ全然大丈夫!
    うん、うん、りょーかい!…あ、いつものアレ言ってくれ!
    ………へへ!おう、任せな!」

    先生に呼ばれてお手伝いをする。
    これもまあ、キヴォトスでそれなりにありふれた日常。

    終わり。

  • 6二次元好きの匿名さん23/06/08(木) 01:45:59

    物騒すぎない?って言いたいんだけど最新話でキヴォトスがめたくそ物騒なのが証明されてるからなんも言えないわ

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