- 1どっかの代表◆nn8qcwj2l.23/06/10(土) 21:05:10
ここは「ここだけダンジョンがある世界の掲示板の番外編みたいなスレです
書き込みの方針は以下でお願いします
何もなし or ※付き →メタ会話
「」→セリフ
()→心情
【】→状況描写
現行本スレ
ここだけダンジョンがある世界の掲示板 第3810層|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/2021590/脳内設定スレhttps://bbs.animanch.com/board/1992184/姉妹スレhttps://b…bbs.animanch.comHowling Hounds#Outtake「コーヒーブレイク」
- 2〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/06/10(土) 21:09:05
スレ立てお疲れ様です
「ここね」
【喫茶店のドアを開き、中に入っていく】
『わあ、おしゃれなお店……』
【幽かな少女も一緒だ】 - 3どっかの代表◆nn8qcwj2l.23/06/10(土) 21:15:28
【セントラリア中心街の某所。喫茶店キザイア。 落着き払ったシックな店内を褐色のライトが影つける。いたって普通の喫茶店だ。ただ1つ、幽霊が出るという噂を除けば。ふとたち寄った喫茶店で昔懐かしの人に出会う。その人物が実は故人で忘れた事を思い出す…よくある話だ。では悪霊にはどんな巡り合わせがある?そんな事を考えながら一人の女性が戸を開ける。隻腕で、首にはチョーカーを巻いている】
「ごめんください」 - 4〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/06/10(土) 21:19:22
- 5どっかの代表◆nn8qcwj2l.23/06/10(土) 21:30:03
- 6〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/06/10(土) 21:39:41
【あんな最期を迎えたのだから元気一杯とはいかないのかもしれないが、目の前の人物──祭政技工と呼ばれていたメンダスシアの代表は、まるで別人のようだった】
「……どうしたのよ、そんな疲れ切った顔して」
【そんな祭政技工の顔を見て斬糸の口から漏れたのは、どこか遠慮がちな、探るような言葉】
【目の前の相手は確かに、かつては堪えきれぬ程の怒りをぶつけた人物ではある】
【だが、斬糸は知っていた。彼女がああなったのは、挫折と懊悩と無力感に苛まれ続けたことによるものなのだと】
【それに今の祭政技工からはおよそ、"生気"というものを感じなかった。それに以前、地獄のような場所に引きずり込まれていくのを目の当たりにしていた】
【であれば、彼女はやはり死人なのだろう】
「こっちも別に、今更あんたに何もしないわよ」
【例え目的のためにどれ程のことをしでかした人物であろうと、死んだらそこまで。死を以てけじめとする】
【斬糸は、死人に鞭は打たない主義だった】
- 7どっかの代表◆nn8qcwj2l.23/06/10(土) 21:50:19
- 8〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/06/10(土) 21:59:59
- 9どっかの代表◆nn8qcwj2l.23/06/10(土) 22:15:47
- 10〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/06/10(土) 22:24:51
「…………」
【祭政技工の顔を眺めながら、カプチーノを飲み干す】
【そしてカップから口を離し】
「……まあ、私の方も色々あったのよ。
シャドウナイトの友達が異世界から来たり、シャドウナイトが攫われたり、捨てた《夢》が襲いかかってきたあと娘()になったり、なんやかんやあって死んでも死なない体になったり……」
『あと、ライターのお姉さんにも会いました。
今はあの人も、お姉ちゃん達と同じ冒険者です』
「というか『斬る理由』って……
そんなの『この世界を護りたい』以外にあるの?
『人の生と死を捻じ曲げる存在』を狩る仕事やってるくらいだし」
【当たり前のような顔をして、そう言う】
「………シズクさんのいるこの世界を、護りたいんでしょ?」
- 11どっかの代表◆nn8qcwj2l.23/06/10(土) 22:40:58
- 12〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/06/10(土) 23:00:36
「……あんたの願い、確かに聞いたわ」
【どかっ、と椅子の背もたれにより掛かる。そして天井を見上げて言葉を続けた】
「『より良く変わっていく世界を見守りたい』って願いに関しては、心配しなくても叶うわよ。
例えばメンダスシアに冒険者ギルドの支部ができたの。友達(※黒檀のこと)が行ってたけど、すごく立派なところだったって」
【あたかも、星を見上げるように】
「……けどね」
【ふっ、と祭政技工の方を向く】
「『私のことは置いて行って欲しい』って願いは叶わないわ。
だって、例えこの世の誰が忘れても絶対に忘れない人がいるんだから。
……あんたの夢の続きを、その先を。見ようとしてる人がいるんだから」
【誰のことか、敢えて口には出さなかった】
【もっとも、言葉など不要だろうが】
「もしあんたが今、『生前にやってきたことに対する罰が欲しい』とか考えてるなら、きっとそれがそうよ」
「どんなことがあっても、置いて行ってなんかくれない。嫌いになってなんかくれない。だって、あんたは『恩人』なんだから」
「……人間一人『救う』っていうのは、そういうことよ」
- 13どっかの代表◆nn8qcwj2l.23/06/10(土) 23:27:25
「…ふ」
【女性は、祭政技工は始めて心から笑んだ】
「ふははははははっ。これは極刑だな、自分が書いた芝居の役に縛られ続けるとはね!
では『恩人らしく』その罰を受けるとしよう。シズク君が天寿を全うするまで、生き汚く世界を見届け続けようじゃないか 」
【その時、一人の死神が入店する。ギルドではエリート死神と呼ばれている彼だ】
「次の任務が入りました。早急に現場に向かうように」
「悪いなヒズ、本のコーヒーブレイクの予定だったんだが…ああ、それでは斬糸君、これからもシズク君をよろしく頼んだ。『恩人』は記憶の中にしかいないから、『仲間』が支えるしかないだろう。そして、君の人生に幸あれ 」
【男女は慌ただしく店を後にする】
「なあ、ヒズ…もし指揮剣が亡くなったらこっちにスカウトできないかな」
「システムの判断次第ですね」
【そうして、幽霊と死神は去った】
「ごめんくださいませ」
「どうもでーす、今日はお嬢の奢りで」
「この前もそうだったじゃない」
【客が入れ替わりに入って、喫茶店キザイアは生者の空間へと戻って行くのだろう。褐色に照るライトは、今や中心街の闇に残る少ない灯りの一つである。店員が食器を片付けると、小洒落たジャズ以外轟く音はなくなった】
※締めの文章お願いします、お疲れさまでした
- 14〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/06/10(土) 23:42:07
「……それはどうも。
こっちも精々、為すべきことを為すわ」
『お務め、頑張ってくださいね』
【エリート死神に連れられていく祭政技工に、二人で手を振る】
「できること、やるべきこと、やりたいこと……
この3つって、なかなか揃わないのよね」
『あのお姉さんは、その3つを揃えられたみたいだね』
「それは良いことよ、間違いなく」
【妹にそう答える斬糸の顔は、どこか嬉しそうだった】
「……そろそろ、帰りましょっか」
『そうだね。そろそろ日付が変わっちゃう』
【二人は席を立ち会計を済ませ──ついでにすれ違った知った顔の二人に挨拶しながら、店を後にした】
- 15〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/06/10(土) 23:42:42
お疲れ様でした!
こちらの我儘を効いてくださってありがとうございました! - 16シズク◆nn8qcwj2l.23/06/10(土) 23:49:27