- 1二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 11:10:03
窓から入り込む隙間風。
まんまるさんの鳴き声と一緒に入り込む朝東風が目を覚まさせてくれました。
前日の雨のせいか、少しだけ湿り気の混じった、しゆたらべ。
「もうすぐ梅雨入りかしら……茅花流しも嫌いじゃないですけど」
しとしとさんやでんでんさんと会えるのは、嬉しいんですけどね。
私は布団から起き上がり、学園へ行く支度をします。
いつも通りの、長袖の冬服に手を伸ばし────ぴたりと、手が止まりました。
それは、昨日、頬に触れた熱風を思い出したからです。
昨日は、温風が吹いていました。
ひのまるさんがお日様に向けて背伸びをしそうな気温。
受ける風は心地良いのですが、長袖には少し辛く、汗を多めにかいてしまって。
トレーナーさんと会った時、近づくことに臆病風が吹いてしまいました。
私の汗が混じった香風が、彼に伝わってしまうのではないか、と。
「ふふっ、我ながら夏に木枯らしを吹かせるようなことを考えてましたね?」
私の汗の匂いなんて、トレーニング後の恒風として浴びられているのに。
何にせよ、これは一つの時つ風。
この機会に、冬服から夏服に衣替えというのも悪風ではないかもしれません。
私はクローゼットの奥の方から、半袖の夏服を取り出します。
心地良い涼風を感じられそうな意匠。
どちらかといえば、私は冬服よりも夏服に好風を感じるのでした。 - 2二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 11:10:55
空はどんより、黒南風混じり。
くるくるさんも低く飛び、にゃあにゃあさんも顔を洗いそう。
普段ならばようずな気分になりそうな空模様だけど、今日はいせちな気分。
「る~♪ るらら~♪ る~ら~♪」
思わず鼻歌を奏でて、ステップを踏んでしまいます。
流れる緑風が、晒した肌を軽く撫でつけて、とても気持ちが良い。
私が冬服より夏服におぼせを覚えるのは、これが理由でした。
より風を感じられるから────そんな安直な風道。
でもそのことは私にとって大事な風標なのです。
……ああ、そういえば、もう一つ理由がありましたね。
ふと、背後から風が吹き抜けました。
いつも背中を押してくれる追風、ずっと浴びていたい清風。
ともにあるだけで安らいで、穏やかな心地にさせてくれる、優しい凱風。
「おはよう、ご機嫌そうだね、ゼファー」
「トレーナーさん、おはようございます」
振り返れば、にこやかに微笑んで声をかけてくれるトレーナーさんの姿。
見てみると彼も半袖の服で、夏至夜風も楽しめそうな、そんな恰好。
……彼と衣替えの風向きが一致していたことが、なぜかとても嬉しくて。
ひよりひよりと踊る気持ちを押さえながら、彼の薫風に誘われていきます。
二人並んで、街路風。
隣り合わせで歩めば、腕と腕がたまに触れ合って。
これが、私が夏服の方を東風と思ってしまう、もう一つの理由。
────貴方だけの風を、より肌から感じることが出来るから。 - 3二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 11:11:35
「そういえばゼファー、衣替えしたんだね。可愛くて、似合ってるよ」
「……っ!」
正面から、突然吹き抜ける、あからしま。
彼の正風な視線に耐えられず、私は思わず目を逸らしてしまいました。
刹那、不意にちょんと、腕と腕が触れ合って。
紅葉葉楓のようになった肌の熱が彼に伝わってしまいます。
……こういうときだけは、困りものですね。 - 4二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 11:12:01
お わ り
この子が一番衣替えを好みそう - 5二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 11:12:27
- 6二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 11:54:33
最高だよ最高だ
汗を気にするアスリートは可愛いね - 7二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 12:10:36
すき
- 8二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 12:11:34
- 9二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 12:20:27
お昼休みにいいものを見た
- 10二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 12:28:16
かわいい
- 11二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 12:33:11
鼻歌歌うゼファーいいよね……
かわいいSSだ - 12二次元好きの匿名さん23/06/13(火) 12:35:48
アカン……風語録が理解できてない未熟者の俺にも、キュンキュン来るわこのゼファー
大好き - 13123/06/13(火) 19:06:04
- 14二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 05:00:21
トレーナーと衣替えのタイミングが被ってご機嫌になるゼファー可愛いくて好き
- 15123/06/14(水) 09:00:09