- 1二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 21:05:51
- 2二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 21:20:45
このレスは削除されています
- 3二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 21:26:52
人間よりも余程人の出来たポケモンである。また幻覚を見ていた様だ。「俺は鋼タイプのジムリーダー!」刹那、また私にあの忌まわしい光景が煌々と脳内を迸った。頭が割れるように苦しい。何か、何か気が紛れる物は無いのか。私が目をやったのは左側の窓と机の合間だった。以前愛読していた本が埃を被って積まれていた。「現役はがねエキスパート105人に聞いたはがねポケモンの育て方」「チャンピオンランクが教える!殿堂入り間違い無し!ジムリーダー巡り100の裏技!」「統合失調症と共に生きる」本を読むのは辞めだ。またあの幻聴が聞こえてくる。嗚呼、頼むからもう辞めてくれ。私は心の中で慟哭した。今度こそ声は外に出ていないと信じたかった。もっとも、幻聴以外私に返答する者はなかった。
- 4二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 21:29:42
まさかスレ画が無いのも狙っての事なのか…?
- 5二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 21:39:54
ポケモンでこんな鬱い話久しぶりに見たかも
- 6二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 21:40:41
1の文才裏山
- 7二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 21:41:44
はがね使いのジムリーダーだったけど何かあって挫折して病気になっちゃったの?
- 8123/06/14(水) 21:47:10
彼はまだジムリーダーではなく、はがねジムリーダーを志したただの若い青年でした。しかし志半ばで統合失調症になってしまい、旅を続ける事が出来なくなってしまいました。
- 9二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 22:03:52
続きが気になる…
- 10二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 22:16:22
軽い気持ちでスレ見たら腹にグーパンされた気分どうしてくれるんですか続きはよ
- 11二次元好きの匿名さん23/06/14(水) 23:08:55
この系統のスレで普通こういう方向に向かうと思わないじゃん…
- 12二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 10:41:08
ビビった
続き期待 - 13二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 10:42:51
何が原因で統合失調症に…?
- 14二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 10:47:54
統合失調症、たまにこうやって正気に戻るのキツいよな……
- 15二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 18:24:11
一人称が「私」なの国語の教科書に載ってる文豪の書いてた小説にありそう
- 16二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 18:37:33
ちゃんと鋼ジムリーダーなるよね?なるんだよね?
- 17二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 18:39:52
こういう雰囲気の作品好きだからさ…
続きあるのかな - 18二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 18:43:20
本当に引き込まれるっていうか、中々目の離せない文章
- 19二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 00:39:56
文章力激高1だ…このはがね使いさんが再び立ち上がれる日はくるんだろうか
- 20二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 00:41:22
まずなんではがね使いなのか気になる
チャンピオン目指すとかじゃないんか - 21二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 01:10:09
いきなりボディブローを食らったような鋭く引き込まれる文。期待
- 22二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 10:16:18
手持ちは今実家とかで面倒見て貰ってるのかな
何使ってたのかな…パッと浮かんだのはダイノーズだけど - 23二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 10:21:31
保守
- 24二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 20:12:08
保守
ドーミラー? - 25123/06/16(金) 20:38:32
気付けば外は暗くなっていた。私の視界にまず入って来たのは泣きそうな母の顔、次に母の抱えているブロロンだった。いつもあれ程元気で騒がしかった奴がこうもエンジン音すら出さず沈黙している様子は、私にこれはまだ夢の中ではないかという錯覚を起こさせた。母は泣きながら私に何か話していた。「ちゃんとご飯食べてるの?」「皆元気に過ごしているわよ。」私はそれの話している事をほぼ認識出来なかったが、大体こんな旨の事を言っていた気がする。私は返答せず、終始機械的に首を縦に振る事に勤めた。幻覚が母の声を遮っていたからである。母は返答しない私を見て泣き腫らした目で何か捲し立てた後、病室を去って行ってしまった。 私は自身の親不孝を詫びたかった。
- 26123/06/16(金) 21:01:46
私は小刻みに震える手で抗うつ薬を服用した。どうもこれを飲むと食欲が失せる気がして、私はあまりこれが好きではなかった。目の前に広がる惨憺たる現実から逃れるように、私は急いでこれを飲み込んだ。薬特有のほろ苦い味とあのざらざらとした舌触りが私を不快にさせ、強引に大量の水でそれを掻き消した。あの苦味がまだ仄かに舌に残っている時、私はこれ見よがしに窓の外の景色を見た。今まで気付かなかったのだが、目を回しそうになる程私の部屋は高い場所に位置していた。遥か下に見ゆる大地の上を何台もの車がゴウと走り抜けていった。
いっそ、ここから何もかも捨てさってしまおうか。 それはあまりにも馬鹿げた案だが、私の脳にこびりついて離れようとしなかった。 - 27二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 21:06:41
ポケカテの文豪割と久しぶりに見たかもしれない。
- 28二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 21:19:31
「捨て去る」って主人公そこから飛び降りたりしないよな?な?
- 29二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 21:40:14
ええ…文豪や…内容入ってきやすい良い文や…
状況は良くないけど… - 30二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 22:07:11
母親やハピナスの事を「それ」と呼んでたりするのが主人公がガチで追い詰められてる感ある
でも同時にハピナスにお礼を言ったりお母さんに謝ろうとしているのがなんとも - 31二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 22:31:02
薬の味ってなんか印象に残るよね
- 32二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 22:48:26
最後の行が空欄なの主人公が言葉に詰まっている感ある
- 33二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 00:45:26
幻覚というフィルターのせいで地の文が信用出来ない語り部になってて実に良い
- 34二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 10:09:06
一つ一つの描写は簡潔で淡々としてるのに情景が次々と浮かんでくるの凄いな
- 35二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 18:28:18
こんなに情景が浮かぶとは…すごい
相棒はブロロンだったのかな - 36二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 18:33:09
冗談抜きでこれ現行スレの中でもぶっちぎりの隠れた名作スレだと思う
- 37二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 18:55:55
あまりにも文豪すぎる
ポケモン世界の国語の教科書に芥川龍之介の羅生門的な枠で載ってそうなレベル - 38123/06/17(土) 20:48:52
………………私は暫く思案した後、無言で窓を開けた。生暖かい風が私の体に激しく吹きつける。私は窓枠に足をかけ、身を乗り出す。何故だか心臓が早鐘のように脈を打ち、胸が今になってキリキリと痛み出してきた。脳が強く「戻れ!」と催促している気もした。だが、今更何を躊躇う事があろうか?戻ったとしても最早私の望んでいた物は我が手中に収められんというのに。私は意を決して、手を離した。操り人形の糸が切れたように、私はゆっくりと虚空に向かって倒れていく。…不思議と不快感は無かった。寧ろ自身を今まで散々縛りつけていた全てから解放された気がして、私は見知らぬ土地にはしゃぐ幼子のような高揚感を噛み締めていた。それに終止符を注げんとしたのか、ゆっくりと大地が近づいてくるのが見えた。
- 39123/06/17(土) 21:04:12
ドサッ!
期待していた程衝撃は強くなかった。私は思わず身震いして全身を確認した。……大丈夫、全身の感覚がある。腕も脚もついている。「アー、アー。」数ヶ月ぶりに自身の声を聴いた気がする。何故だか不明だが、意識していた訳でもないのに私の口から形容し難い嗚咽が漏れた。私の両の眼から涙が溢れていた。全身から汗という汗が吹き出た。こんな感覚は間違いなく初めてだった。私はおぼつかない動きで立ち上がる。少し全身を強く打っただけで済んだのだろうか。病院の方角を見ると、その総合病院は巨大なビルなどではなかった。せいぜい3、4階建ての小規模な病院だったようだ。その病院の2階のある一室だけ、窓が開け放たれていた。…私は全てを悟った。夜特有の心地よい風がまだ私に吹きつけていた。久しぶりに散歩にでも行こうか。呑気にそう思い立った私はぎこちない足取りで暫し夜の街を探索する事にした。あの独特な高揚感がまだ、私の心の内奥を支配していた気がした。 - 40二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 21:10:30
表現力252振りで草
続き更新が遅いのも納得の出来。 - 41二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 21:52:55
文豪爆誕
- 42二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 22:55:28
これポケモンの話なのか……
- 43二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 10:07:22
ホシュ
- 44二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 13:00:42
総合スレではなく単体スレでやらなければならない理由がある稀有なスレ
- 45二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 15:36:38
なにこれ凄
- 46二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 20:20:22
私は静寂に包まれた町を練り歩いた。町は完全に沈黙しており、その姿はあたかも世界の時計の秒針だけが突如停まってしまったような印象を私に与えた。街灯に群がるドクケイル達や街の照明を避けて動くジュペッタは私にとっていくらか新鮮な光景であった。戯にそのジュペッタの真似をして明かりを避けて動いてみたりすると、ここ長い事忘れていた童心に帰れた気がした。……暫く街を歩いた所で、私は懐かしい者に遭遇した。街灯の薄明かりに反射して美しい光沢を見せる羽根。見事なまでに磨かれており、独特の艶やかさを放つ爪。闇の中でも爛々と妖しげな光を放ちつつ、此方を凝視するその真紅の瞳。その瞳の主は、まさしく……私と最初に心を通わせ、長い、長い旅路を共有してきたアーマーガアその人であった。
- 47二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 20:41:40
私はふと口に出していた。「君は元気にしていたかね。」自然とそれに手が伸びていった。私は本当に久方ぶりに彼女の羽を撫でる事が出来た。彼女は返答するようにクゥと短く鳴いた。そいつは何故か心底嬉しそうな表情で初対面の筈の私に嘴を擦りつけてきた。私は不審に思って彼女の後肢の個体識別コードの刻まれた足環を確認した。 見覚えのある番号だった。 Y-30-7418
何とそれの正体は、私と共に膨大な時を共有してきた個体であった!
こんな偶然が有るものか。私は瞬時に額を指で小突いた。まごう事なき現実の痛みであった。私の目から自然と涙が滴り落ち、無音で地面に落ちた。今回の理由は明白であった。今度こそ幻覚ではないと確信した。
同時に、私の中にずいぶん昔の記憶が鮮明に蘇えってきた。 - 48二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 21:06:31
おいらバカだからよくわからねェけどよ、もしかしてこのスレにはポケカテの歴史に名を残すクラスのバケモン1が降臨してるんじゃねェのか?
- 49二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 22:18:31
最初からアーマアガアをメスと認識してる所が相棒の面影を感じてる感あって好き
冒頭のまごう事なき現実の〜っと同じフレーズが使われてるのに意味が全く違って感じる事ができて好き - 50二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 22:22:05
なんとか寛解してまたアーマーガアと共に鋼タイプのジムリーダーを目指して欲しい
アルセウス様頼むわ - 51二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 01:14:48
- 52二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 01:15:01
文豪1すこ
- 53二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 10:24:56
アーマーガアの様子からして本当に大事にしてたんだな…
- 54二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 12:40:44
…大切な手持ちなのに何で夜の街にいるんだ?
入院してる間何があったんだろう - 55二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 22:20:51
私の父は技マシンを作る工場で働いていた。父は工場の近隣で拾ったらしいクレッフィだの、カヌチャンだのを良く家に連れてきて私に見せてくれた。私は、普段厳格な父のそうした所が大好きだった。今思えば、それが私にとってはがねタイプのジムリーダーを志すに至った契機であったのかもしれない。そして自分がポケモンを所有出来る年になった時、父と初めてのポケモン捕獲に出向いた。そこでゲットした個体が彼女であったのだ。当初、彼女の私に対する処遇は許容し難かった。あの頃は良く私の命令を無視して羽根の手入れを始めたり、私があげようとした餌に対して、嘴を明後日の方向に向けてボイコットしたりした。思い返せば感慨深い。あの頃の話をたまに聞かせてやると良く首を傾げるが、今ではその一挙一動すら私にとっては愛らしい。尤も、あちらに私の言が届いているとは思えないが。
- 56二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 22:42:04
私はふと疑問に思った。果て、どうして彼女はこんなところにいるのだろうか?勝手に夜外を出歩くような行儀の悪い個体ではなかった筈だ。私は訝しげな表情を彼女に向けたが、彼女の対応は怪訝な表情をして首を傾げるという素っ気ない物であった。
まさか、ここ長い間顔を見せない私を探していたのだろうか。私は目の前で呑気に餌をくれ!のポーズをとる姿を見てすぐにその考えを改めた。
「私も出来ることなら上げてやりたいが、生憎今は持ち合わせが無いんだ。」私が両手を挙げて何も物品を所持していないジェスチャーをすると、彼女は嘴を落として仕方なさそうに餌を要求するポーズをやめてくれた。「約束しよう。次に邂逅した時はきっと奮発した餌を用意してやる。」私が微笑を浮かべながら彼女の羽根をそっと撫でると、彼女は満足そうな声で一声鳴くと、私の腕から何処かへ飛びさって行ってしまった。
自信あり気に返答した手前、顔には出せなかったが私は正直不安であった。これが彼女との最後のまともなやりとりになるかもな、と知らない声が囁いて来た。……薬の効果が鈍ってきたのだろうか。
もう戻ろう。瞬間、私はどっと重くなった体を引きずりながら病院への帰還を目指した。 だが、不思議と心地は以前程悪くなかった。 - 57二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 04:10:32
ちょっとだけ精神安定したかな…約束は破るなよ頼むから
- 58二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 13:09:36
あのアーマーガアを腕に乗せるとはとんでもねえフィジカルですね?
- 59二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 22:06:37
ほしゅ
- 60二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 22:09:00
- 61二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 22:24:29
私は妙な心地のまま、足を引きずりながら病院に戻った。夜はすっかり明けかけていた。病院に来ると何故か一台のパトロールカーが止まっていた。私は何食わぬ顔で病院に入ろうとしたところ、背後からやはり声がかかった。神妙な面持ちをした、体躯の大きな警察官であった。観念した私は大人しく自身のした事を打ち明けた。私は警察に連行された。
どうも病院の者に行方の知れない患者がいると勘づいた者がいたらしい。
そこは、酷く殺風景な空間であった。窓の無い一面白地に塗られた壁。部屋の中央に置かれた此方もまた白一色の机、その近くに備え付けられていた素朴さを感じさせるパイプ椅子と、机の上に無造作に置かれたデスクライトは金色に輝く朝日に照らされながら、淡い光を放っていた。 - 62二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 22:40:51
私は取り調べ室で先程説明した事を可能な限り真実に近い形で彼等に説明しようと試みた。というのも、外に出てからアーマーガアと出会う云々の話が私にとっては今になって半ば何処までが真実なのか判断しかねた為である。
彼等は私の主張を辛抱強く聞いてくれていた。何故か不思議な心地がした。ここ最近はどうも誰かと会話をする時、必ずしつこく口を挟んでくる幻聴がいた為である。私が最近主治医と話をした時は、やれコイツはきっとゾロアが化けた姿で私を欺いているだの、コイツはつい最近逮捕されたテロ組織の一員だの、突拍子もない眉唾な物ばかりであった。
一度は奴の言に迎合し、こいつの囁く空想の世界に身を委ねたくなる事も少なくなかった。だが、それでもこいつを心の奥底から信じたことなど一度足りとも無かった。
だがどういう風の吹き回しか、私が彼等に話を聞かせている間、奴は沈黙し、すっかり鳴りを潜めていた。 - 63123/06/20(火) 22:41:11
!?
- 64二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 23:02:08
今思えば「無し」とかじゃなくて「NO IMAGE」なのめちゃ闇深
- 65二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 10:25:55
75kgのアーマーガアを腕に乗せてるから妄想を疑いたくなるけどポケモン世界の人間ならそのくらいできるとも思える…
- 66二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 20:08:25
保守
- 67二次元好きの匿名さん23/06/22(木) 05:39:27
保守
- 68二次元好きの匿名さん23/06/22(木) 16:52:08
保守々っと参上