閲覧注意 ホミカSSのボツネタを供養するスレ

  • 1二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:25:13

    大気が震える

    楽器の音が鳴り響く

    観客たちが熱狂する

    ライブ会場のすべてが一体となって、むき出しの肌を叩く。

    一糸まとわぬ群衆。一糸まとわぬ歌姫。まさに裸の集合体は、魂の限り叫ぶ。

    ホミカはいま、ミュージシャンとしての極致に達しようとしていた。


       ・     ・     ・ 

  • 2二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:25:41

    凍てつくような冬は過ぎ、春先に入ってから数日。タチワキシティにはどこか仄かに冷たい風が吹くような時節。

    その少女は病室で独り胸の痛みをこらえていた。

    少女の母は彼女が寂しくないようにと、連日のように病室に泊まり込んで看病をしてくれている。いま現在も少女の病床のすぐ脇で母は浅い寝息を立てている。

    少女は看病に疲れている母を起こすまいと、咳ひとつにも音を殺して気をつかっている。幼い少女なりの健気な気遣いが功を奏したのか、彼女の母親が起きることはなかった。

    静寂の代償となったのは、胸に走る激痛。

    生まれながらにして病弱という訳はなかった。彼女にも、彼女の両親にも、その他の誰にも落ち度はない。ただ不幸というのは、善人にも悪人にも平等にやってくる。実に不公平なことであるが。

    突如として病魔に蝕まれた少女はここ数か月病室から出ることができなくなっていた。

    決して不治の病ではない。大がかりではあるが、手術をすれば十二分に根治の見込みがある病。

    それでも少女には勇気がなかった。いまの痛みに耐え続ければ、明日の朝も変わらず母の声で目を覚まし、母の顔を見て挨拶をすることができる。成功する見込みが強いとはいえ、失敗する可能性はゼロではない。そうなれば、麻酔の中でぼんやりとした意識のまま、二度と母や父と会うことができなくなってしまう。

    少女には勇気がなかった。

    しかし、彼女は幼いながら、賢しい知性を持ってもいた。頭ではわかっている。手術を受ければいいと。

    もうほんの少し。

    ほんの少しの勇気、そのひとかけらの勇気を与えてくれる何かを、少女はじっと待っていた。

  • 3二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:25:56

    暗い病室の中で灯りも点けず、少女はすっかり闇に慣れた目で傍らの雑誌の表紙を見やった。

    そこにあったのは、いや、「居た」のは、タチワキシティの若きジムリーダー、ホミカ。

    表紙一枚ではあったが、幼子が胸の痛みを忘れるには十分すぎるだけの魅力と衝撃を伝えてくれる、そんな一枚の写真。

    楽器を持っている。歌手らしい。
    どんな歌を歌うんだろうか、どんな声で歌うんだろうか
    ポケモンはどんな戦い方をするんだろうか

    聞いてみたい
    見てみたい
    もっと知りたい


    その気持ちは確かに病の痛みを忘れるための現実逃避から始まったものだが、間違いなくホミカに対する興味そのものであった。

    お母さんが起きたら聞いてみよう。お父さんにも聞いてみよう。

    ごくささやかではあるが、少女は明日の朝、母親に話す内容を心の中で定めてベッドの中に顔をうずめる。

    胸の痛みはいくらか落ち着いていた。

  • 4二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:26:19

    あ!全裸だ!

  • 5二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:26:20

    タチワキシティの一角、決して大きくはないが、立派なライブ会場でホミカはベースを鳴り響かせていた。ライブ当日がすぐそこに迫っているというわけではないが、日々の練習を怠るような彼女ではない。

    ベースギターの音色は今日も聞く者の鼓動を跳ねさせるような躍動感に満ちている。

    そして、彼女のもう一つの顔である、ジムリーダーとしての鍛錬も当然抜かりはない。

    バンドの練習後、ホミカは人目を避けて、草むらや廃工場などに赴き、ポケモンたちを鍛えている。ひと気のない場所を選ぶのは、彼女のポケモンたちが毒タイプであることに由来する。

    無論、技の範囲を見誤って一般人に危害を加えるような事態は一度も起こっていないし、これからも起こることはないだろう。

    それでもホミカは他人に迷惑をかけることを何よりも嫌がっていた。そのため、彼女は多少不便であっても、毒タイプの訓練は余人の立ち入りを厳禁した上での、単独行を彼女自身の中での原則としている。

  • 6二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:26:33

    この日はコンビナートでの鍛錬。ときたまに不良たちやプラズマ団のような反社会組織の者がたむろすることがある場所だが、今日は無人のようである。入念に確認をしたのち、ホミカはドガースたちを繰り出し、毒わざの修行を始めていった。

    コンビナート一帯に棲息するポケモンであるコイルは、ホミカにとって天敵であるとともに良い練習相手でもある。

    死角である背後が武術家にとっては必殺の領域であるように、毒使いのホミカにとってはがねタイプは、長年対策してきたかっこうの餌食となる。

    自分はジムリーダー。イッシュの最高戦力の一人。この街の看板を背負う重役の一角。

    真面目なホミカは、そんな責任感を力に変えて、その日も鍛錬に励んでいた。

  • 7二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:26:54

    その日は不安定な空模様で、雨こそないものの分厚い雷雲がタチワキシティの上空をすっぽりと覆い隠していた。

    ホミカがコンビナートに来たのは決して夜中というわけではなかったはずだが、辺りはまるで日が暮れた後のように暗く、どことない緊張感が漂っていた。

    今まで幾度となく足を運んできた場所であり、床の小さな凹凸の機微まで体で覚えているホミカだったが、どこか異様な雰囲気を感じ取り、危険地域に足を踏み入れたときのように、警戒を高めていく。

    見知った場所だからと油断するような腑抜けではジムリーダーは務まらない。

    コンビナートの建物の影に何かがうごめくのを見止めたホミカは素早くポケモンたちを展開し、臨戦態勢を築く。

    僅かな動きも見逃さないよう細心の注意を払い、ドガースたちには空気の動きを視認できるように薄い煙幕を吐き出させていく。

    空を奔る稲妻は音もなくきらめき、コンビナートの影を断続的に一瞬だけ照らす。

    その一瞬で見えたのは、レアコイルの姿だったが、様子がおかしい。体色は黒く、その身には電撃の残滓をまとっている。かなりの高レベル個体であることは間違いないだろう。

    住宅地に近いこの場所でこれだけの高レベルポケモンが野生で野放しでいるのは、かなり危険である。ホミカはこのレアコイルを排除することに決めた。

    いかに高レベルとはいえども、野生のポケモンが単騎でジムリーダーを倒すことなど到底できることではない。

    電撃が奔り、鋼が飛ぶ戦いが繰り広げられはしたものの、勝負そのものは危なげなく、意外にもあっさりとホミカに軍配が上がった。

    レアコイルの排除には成功したものの、周囲にはかなりの電磁的エネルギーが満ちていた。その電荷はドガースたちの身体、そしてホミカ自身の衣服や体表にも溜まりこみ、ジリジリとした不快感を伴っていた。

  • 8二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:27:12

    とはいえ、ケガもなく、損害はきわめて軽微なまま戦いを終わらせることができた。

    コンビナートの建物の外ではいつまにかポツポツと雨が降り始めていた。

    稲妻が光る。かなり遠いのか、雷鳴はまだ届いてこない。

    「げっ・・・土砂降り・・・」独りごちるホミカ。

    遠くからの雷鳴が彼女の全身を叩いたとき、その身に宿っていた電磁的エネルギーが超反応を起こし、ふくれ上がって暴発した。当然まとっていた衣服は弾け飛んでいく。

    パァンッ・・・と小気味よい音と共に弾け飛んだホミカの衣服。電流の方向の関係で靴と靴下だけはそのまま残っていたものの、コンビナートに残っていたのは、突如全裸になったホミカと気まずそうに主人を見るドガースたち。

    「・・・なんで?」

  • 9二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:27:28

    ホミカは意外に冷静だった。妙齢の女子が無人とはいえ、自宅以外で突然全裸に剥かれたにもかかわらず、彼女の頭は事態を把握しようと懸命に働いていた。

    周囲には無惨な糸くずとなった衣服が散乱している。自身の体表にはチリチリとした熱感が残っている。異常個体のレアコイルを毒ポケモンで倒したという前提条件に雷鳴という振動エネルギーが叩きつけれた結果、エネルギーが暴走し、衣服は弾け、ホミカ全裸靴下状態にしたということ。

    「いや・・・なんで?」

    だんだんと羞恥心がこみあげてくるが、幸いここには誰もいない。自宅までドガースを派遣して、衣服を持ってきてもらうことにしたが、ドガースを待っている間、ホミカは全裸でこの現象について考えていた。

    ポケモンの能力はときとして不思議な現象を引き起こす。おそらくは今回のこれもそういった超常の内のひとつだろう。熟考の末、ホミカがたどり着いた結論は・・・

    「大きい音を聞いたら裸になる・・・」であった。

  • 10二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:27:53

    身にまとった電磁的エネルギーはまだまだ多く残っている。つまり、まだまだビッグボイス全裸の可能性はあるということ。

    「来週のライブ・・・中止かなぁ・・・」極めて不本意ながら、公衆の面前で全裸になることと比べれば仕方のないことでもある。原因となったレアコイルがいなくなっている以上、時間経過によって解決されることは間違いないだろう。だが、それがいつになるか分からない以上は不用意に全裸になる危険性は避けるべきだろう。

    遠いパルデア地方には最強の座を決めるため全裸で技を競い合う大会を催す学校もあるそうだが、その地方独特のフェチズムともなると、年若いホミカの理解が及ぶものではない。

    自宅からドガースが着替えを持ってきた後も、ホミカは気が気ではなかった。なにしろ大きな音がなる度に全裸になるなど、彼女の人生にはなかった経験である。

    いや、ホミカに限らず、妙齢の女子が屋外を全裸で闊歩するなど正気の沙汰ではないだろう。

    結局、その日ホミカは自宅に帰り着くまでの間に、3回の雷鳴を聞き、その度に全裸へとフォルムチェンジした。三回目ともなると、少し楽しくなってきたが、ホミカがそれを伝える相手などいない。

  • 11二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:28:14

    翌日、ホミカは極力自宅を出ずに過ごした。また、家の中では衣料品の損失を抑えるため、水着のように布面積の少ない服を着用することにした。もちろん水着だろうとはじけ飛ぶのは変わりないが、彼女なりの抵抗だろうか。

    ホミカのファンがいれば見惚れてしまうだろう恰好だが、幸か不幸かこの場にはホミカだけである。

    バンドの仲間たちには「大きい音を聞くと全裸になる」と伝えてあるため、ホミカは自宅で独りベースの練習をしていた。

    途中、ふと鏡が目に入った。そこに映るのはベースギターを手にした自分。ちょうど水着を隠すような形になるため、まるで全裸でベースを弾いているような姿となっていた。

    「・・・・・・へへ」ほんの少しだけ頬が赤くなるホミカ。改めて自分を客観的に見た結果、「そんなに悪くないじゃん」という感想がこみあげてきた。実際、彼女は相当な美少女であり、彼女を恋慕している者は数多い。本人はあまり意識して来なかったが、改めて自分を見れば、そう評価するのも自然なことである。

  • 12二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:28:38

    ホミカが全裸籠城戦を始めてから数日が経ち、変化した生活習慣にも慣れ始めてきた頃、彼女の自宅に一通の手紙が届いた。

    ある少女からのファンレターであった。

    いつものファン層とは少々違った存在からの手紙に、ホミカは興味をそそられる。丁寧にペーパーナイフで封を切って、中の手紙に目を通し始めた。

    そこには、少女が病弱で現在も闘病中であること、偶然ホミカの存在を知ってから毎日のように曲を聞いていること、ホミカの曲から気力と勇気をもらっていること、そして、次のライブの成功を祈っていることが拙いながらも懸命な字で綴られていた。

    「・・・・・・・」手紙を読んだホミカはしばらく動かなかった。

    深く考え込んだ後、短く息を吐き、顔を上げて独りつぶやく。

    「やるか」



    ライブを敢行する。

    そう決めたホミカのそれからの行動は実に現実的な発想に基づいていた。ステージ上で全裸になることなど、もはや覚悟の上。全裸が不自然にならないような演出を習得しなくてはならない。年若いとはいえ、街の看板を背負うジムリーダーが無様な姿を晒すなどあってはならないのだから。

    舞台上の演出といえば、やはりイッシュが誇る一大エンターテインメントであるポケウッドを忘れるわけにはいかない。幸いにして、ホミカの友人メイがポケウッドで名を馳せている。彼女やその関係者なら十分に演出技術を教えてくれるだろう。

    思い立ったその日のうちに、ホミカはポケウッドへと向かうことにした。随行するドガースが提げている鞄の中には、着替えがたくさんに詰まっている。

  • 13二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:28:54

    現実的な第一関門としてタチワキシティの街中をどうくぐり抜けるかという問題がある。

    タチワキシティは大きな港町であり、人口の割に交通量も多く、人々の声も絶えない街である。人間の声量程度ではエネルギーが弾けることはないようだが、人数が増えればそれもどうなるか分からない。

    今のところ、ホミカの体表のエネルギーによって衣服がはじけ飛ぶには、音量以外の条件はないようである。

    やはり最大の懸念事項は、ポケウッドまでたどり着くまでの間に服を失うこと。無頼のホミカといえどもうら若き乙女の羞恥心は当然持ち合わせている。

  • 14二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 09:29:27

    と、ここまで書いてなんか違うなってなりまして・・・

  • 15二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 10:08:29

    うわぁ急に正気に戻るな!

  • 16二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 10:38:03

    面白かったよ
    全裸さん本人にしかわからん感覚もあるだろうしまた改稿できたら見せて欲しい

  • 17二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 10:41:29

    違くない!全然ちがくない!
    いやでも恥じらうタイプのほうがいいな……

  • 18二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 10:43:14

    ビッグボイス全裸とかの単語選びはさすがの一言
    全裸エリアゼロの時は皆知っているところがもし全裸だったら4災はどんな過去があり現在に至ったのかが面白ポイントでしたが
    今回はホミカがなんだかんだ全裸でコンサート開くんだなって道筋もゴールもすでに見えていて順当すぎるのが違和感の理由ですかね

    もしかするとホミカに少女との約束のライブの日程が近づくもビックボイス全裸になってしまい
    全裸を全力で嫌がるもよなよな全裸で練習していくうちに全裸への目覚めとそれに対する葛藤理性が吹っ飛んでいくさまが描けると良かったかもしれませんね

  • 19二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:02:14

    >>16

    全裸さん


    「 全 裸 さ ん 」

  • 20二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:04:03

    >>18

    理性も衣服も吹っ飛んでるw

  • 21二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:07:14

    >>10

    トップ、もしかして全裸大会開催なさった・・・?

  • 22二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:25:41

    >>18

    ドガースの顔がいい味出しとる

    お前いつものニヤけ顔はどうした

  • 23二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 12:04:17

    ドガース「なにがおこった」

  • 24二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 18:44:56

    最初はさ!病気の女の子が出てきたからさ!シリアスだと…いやちょっとシリアスなんだけど…!約束の物語なんだけどさぁ…!!

  • 25二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 18:56:55

    このレスは削除されています

  • 26二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 20:58:15

    >>24

    全ペも基本的にシリアスじゃない?服着てないだけだよ?

  • 27二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 21:01:47

    パルデア地方では全裸大会があるってのが気になるんだが!?

  • 28二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 00:51:50

    >>26

    どれだけシリアスでも感動的でも服着てないと絵面がギャグなんだよ!!

    どれだけ感動的でも最後に(でもこいつら服着てないんだよな…)ってなるんだよ!!

    これで何も考えないのは裸族の人とかだよ!!

  • 29二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 10:15:55

    シリアスと全裸の混雑具合が良いんだよな
    下に下に降ろされる下着の描写で救われる命もあるんですよ

  • 30二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 15:37:59

    >>29

    そんな命は失った方がいいのでは・・・

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