- 1二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:27:38【閲覧注意】痛っ……|あにまん掲示板(昨日の夜の記憶がない…頭が痛重い…てかなんで裸…ってベッドにもう一人!?)dice1d3=@3 (3)@1右2真ん中3左https://bbs.animanch.com/img/1889233/1bbs.animanch.com
こちらのスレで誕生したぐだと剣式・アース・キャストリアのハーレムについて語るスレです
2スレ目
【閲覧・CP注意】ぐだと上位存在系ヒロイン達のハーレム|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/1926799/こちらのスレで誕生したぐだと剣式・アース・キャストリアのハーレムについて語るスレです↑のスレ主とは別人ですbbs.animanch.com前スレとは違うけど1スレとはスレ主が同じ
- 2二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:28:01
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- 3二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:28:39
エロはないの?
- 4二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:29:17
うめ
- 5二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:32:49
このレスは削除されています
- 6二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:42:44
10まで保守ろう
- 7二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:44:00
保守
- 8二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:47:06
保守
- 9二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:47:13
- 10二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:52:53
- 11二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 11:55:00
このレスは削除されています
- 12同窓会ss作者23/06/15(木) 12:06:58
- 13二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 16:56:17
楽しみにお待ちしております…!!!!!!!!!!!
- 14二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 16:57:23
- 15二次元好きの匿名さん23/06/15(木) 21:21:04
独占欲が強い3人もぐだも大好き
- 16二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 01:36:51
ぐだが疲労とかで先に寝ちゃって、その後誰がぐだの隣で寝るかとか争ってる3人はいると思うんですよね
- 17二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 06:39:48
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- 18二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 13:25:43
ぐだが3人のうちの1人とキスしてるときに残りの2人がぐだの耳を舐めるシチュはありそうだよね
- 19二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 14:43:41
ぐだ男は性豪なんだろうな
- 20二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 19:12:36
保守
- 21二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 21:08:09
- 22二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 00:46:05
肉布団か……
- 23二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 00:50:42
ぐだの体の上で誰が寝るか争うんだよな……
- 24二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 02:20:08
両隣はぐだの腕を抱き抱えてるんだよね…
- 25二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 07:27:44
ちょっと前スレに寝言で名前呼ばれて襲っちゃう式さんいたけどあの時は体の上にいたのかな
- 26二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 10:37:40
家で映画鑑賞する時の四人ってどうなんだろうとか思って考えてみた
個人的には、静かな雰囲気の映画が好みの剣式、全般的に楽しむアース、冒険活劇系に胸躍らせるキャストリア、そして何故かZ級映画ハンターと化したぐだが各自でディスクを持ち寄る感じが好み - 27二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 12:40:57
全員で映画見てるんだけどキャストリアが途中で寝ちゃって、そのキャストリアをぐだが膝枕してあげて映画鑑賞を続行するんだけど剣式さんとアースは映画鑑賞どころじゃなくて・・・・次映画見るときにわざと寝ようとする剣式さんとアース・・・
- 28二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 16:13:03
家のソファーに4人で座るときあすなろ抱きポジションを取り合ってそう
- 29二次元好きの匿名さん23/06/17(土) 20:45:22
ぐだ男と誰かが一緒に昼寝してたらそっと毛布を掛けてくれそうな式さん
- 30二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 00:21:24
でも嫉妬はするので翌日一緒に昼寝しましょってぐだを誘ってくる剣式さん
- 31二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 06:14:27
- 32二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 14:12:06
優しかったり激しかったり………
- 33二次元好きの匿名さん23/06/18(日) 21:33:28
保守
- 34二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 03:48:26
良い…………稀に攻守交替しててぐだが責められてるのもいいよね……
- 35二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 07:38:21
ヒロイン一人を三人で責めるシチュとかどう?
- 36二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 14:10:53
このレスは削除されています
- 37二次元好きの匿名さん23/06/19(月) 20:54:25
この三人の衣装交換が見てみたい
- 38同窓会ss作者23/06/20(火) 01:31:49
皆様ほんとに長らくお待たせいたしましたァ。
………………生きてますよ( ˙꒳˙ )
それでは連続投下のお時間……の前に、ちょっと注意をワンクッション。
⚠️注意⚠️
今回は前回までにばらまいた不穏要素の回収"前編"です。本当は1回にまとめたかったけど、そうなるとメインのぐたとヒロインたちのイチャイチャほのぼのがZERO~!になってしまうということで分割しました。そして、前編の更に前半部分、……………かなりゲスですね、胸糞警報出しときますね。そして案の定、オリキャラ説明でもあります。
………大丈夫!今回語られた子もちゃんとぐだと彼女達のイチャイチャ、というより尊い!を生み出すための舞台装置的な感じで活躍する予定なので!!!
それではドゾドゾ(っ´∀`)っ
- 39同窓会ss作者23/06/20(火) 01:35:21
同窓会会場が大盛り上がりしていた一方、とある路地裏には、メインストリートから聞こえる活気を含んだ喧騒とは裏腹に、重い雰囲気を纏う男3人が肩を組みながらヨロヨロと歩いていた。……………より正確には、3人の男のうち真ん中の一人が、両サイドの男二人を肩組みで支えながらバランスを崩さないように歩いているのだけなのだが。
「クソがぁ!!!この僕が!どうしてこんな目に会わなきゃ行けないんだ!!」
その無駄に整ったイケメンフェイスをこれでもかとしかめ、声を荒げているのは……………そう、皆さんお察しの通り、アルトリア達にナンパをし、その上、話を無視して強引に迫ろうとした結果、無様に返り討ちにされた、雑音(アース曰く。)3人組の1人、雑音その1である。全身強打により1ミリも動けない雑音その2と、顔面を張り手でぺちゃんこにされて未だ意識すら戻らない雑音その3を両肩で支え、"ある場所"を目指して歩いていた。
「…………あのクソ女共め!泣いて喚いたってもう許さないからな………僕らに喧嘩売ったこと絶対後悔させてやる………!」
憎悪の念を吐き出しながら、そして復讐心に駆られながら、男は歩みを進めてく。
それからしばらくして、雑音3人組がやっとの思いで辿り着いたのは、一通りのほとんどない場所に面した、ただの倉庫にしか見えない場所。雑音その1は通い慣れているのか、躊躇うことなく倉庫の中へと入り、倉庫内に隠されていた階段を降りて、一部の人間しか知らない地下へと足を踏み入れた。
──────倉庫の地下空間、その中でも最奥とも言える部屋には、とある青年がいた。
「あ〜あ〜。クッソ暇だなぁ〜〜。なーんか暇つぶしできるような面白いことないのか~?」
海外から取り寄せたであろうヴィンテージの高級品ソファに寝そべっているその青年は、手に持ったむき身のナイフを手慣れた手つきで回しながら、呟いている。呟きにしてはわざとらしく、相応しくないほどの大声ではあるが。
「だいたいさ~。今日は本来、繁華街にパァ〜っと"遊び"に行く予定だったんだけど。それなのに、急な"仕事"ができましたとか、ふざけるなよ!、って話だよな~?いや~、困ったもんだぜ~。報告しに来たヤツに八つ当たりする訳にもいかねぇしよ~。」
- 40同窓会ss作者23/06/20(火) 01:37:08
そう言って、青年は手で回していたナイフをまるでダーツの矢のように、"的"に向かって投げつけた。"ドスッ"と、刺さる音がした。"ん゛ん゛ーー!!!"と、"的"がヒット音を鳴らした。
「恨むのなら、こんな急な仕事を作った存在、元凶ってやつだよな~~。」
男はそう言って立ち上がり、ソファの備え付けのテーブルに、さも当然のように置いてあった拳銃を手に取り、"的"の方へと歩み寄っていく。
「ん゛ーーーー!ん゛ーーーー!」
「さっきから、うるさいな~。機嫌悪いのはこっちの方なんだけどな~。………………テメェのせいでなぁぁ!!(ジャキッ)」
「ん゛ん゛ーーーー!!!」
青年は"的"、もとい、20代後半の男性の額に銃を突きつけた。
「………俺らから金借りてるクセに、なに警察にチクリに行こうとしてんだよ。おかげで俺の仕事が増えたじゃねぇか!アホなのか、テメェ?」
「ん゛ーー!!ん゛ーーー!!!」
「ハハッ。おいおい、ちゃんとわかる言葉で言えよ?人間だろ?」
青年はそういうが、口に厚手のタオルを噛ませられた状態でまともな言葉が出せるわけが無い。…………わかってて言っているのだ。その証拠に青年の顔は相手をバカにするような笑みが浮かんでいる。
「それに、そう怒るなって。………借金の担保代わりに、お前の女にちょ~~っと良くしてもらっただけだってのにさ~。」
「ん゛ん゛ん゛ーーー!!!💢」
「ほらほら、怒るなって、彼女の方から言ってきたんだ、文句は言うなよ~。え~っと、婚約者?だったっけ?まぁ、そんなのどうでもいいや。……それにしても、結婚の前に会社で機密情報の漏洩が発覚して、その担当がお前で。」
拳銃の銃口で額から顔の側面をなぞる様に動かしながら、青年は淡々と言い続ける。
「そのせいで会社に多大な損害が出て、そんで持って自腹を切れと会社に言われ、それでも払いきれずに借金をしようとしたものの、なぜか銀行はお金を貸してくれず、仕方なく、俺らに借りることになってぇ………」
銃口は顔の側面、顎を通り、喉仏に突きつけられた。
「返しきれずに、このザマと。ん〜〜、つくづく、ツイてなかったなぁ~。同情したいところだけど、"ケジメ"ってものがこっちにもあるからな~。それだけは破れないんだよ。……………という訳で、だ。」
青年は男性に銃口を押し付けたまま、ポケットから注射器を取りだした。
- 41同窓会ss作者23/06/20(火) 01:39:06
「これまでの借金の返済をチャラにしてやるから、これの被検体になってくれねぇかな?」
青年が取りだしたのは注射器。無論、その中身は…………
「俺らんとこオリジナルの、"クスリ"さ。大丈夫だって。毒じゃねぇし、打ったところで死にやしねぇよ。脳の働きを抑制して、な〜んも考えられないくらいに判断力と思考力を落として、ちょっと気持ちよ〜くなりやすくするだけ。それに、今ならこれの被検体なるだけで今までの借金全てがチャラ!破格の条件だろ?…………拒否ったらテメェの喉に風穴空くことになるけど………なってくれるよなぁ?ん〜?」
「ん゛ーーー!!!」
男性は首を縦にも横にも振ることなく、ただ青年を睨みつける。怒りに満ちた目で、ずっと。
「チッ。つまんねーの。もうちょっと揺れてくれた方が面白いのにさ。どうせ結果は変わんねぇのに、バカだよな、テメェ。………………ハァ。んじゃ、喉元風穴開けて一気に楽にするのはやめて、これの実験体になってもらおうか。」
青年は男性の首元に注射器の針の先を押し付けた。
「ん゛ーーーーー!!!ん゛ん゛ん゛ーーーーーー!!!!!」
「最初から最後までうるさいなぁ!少しは黙ることが出来ねぇのか、テメェは!!………つくづく俺をイラつかせやがって………テメェがそんな態度取るってんな、こっちだってそれなりの対応をしなくちゃなぁ!?いいか!耳かっぽじってよーく聞けよ~~?」
「テメェの働いてた会社の機密情報漏らしたの…………………俺なんだよ。」
男性の目が驚愕の事実によって、さらに開かれる。
……………青年は言葉を続ける。邪悪な笑みを浮かべながら。
「なんなら、お前に自腹切るように上司に命令させたのも俺。テメェには絶対に金を貸すなと銀行に脅しをかけたのも俺。テメェはツイてなかったんじゃなくて最初からずっっっと俺の思惑通りなんだよ。」
「ん゛ん゛ん゛ん゛ーーーー!!!!!💢💢💢💢💢」
男性が怒りのあまり、タオルの口枷などものともしないほどの大声をあげる。
- 42同窓会ss作者23/06/20(火) 01:39:41
「テメェが借金してまで返したっていう損害費も、本当は半額だったし、その返済の余剰分は全部俺の手元にある。それに、テメェの女に担保になってもらうのも上手くいった。正しく一石二鳥だなぁ!!!我ながら最高の計画だったよ!!!……………ん?どうしてそこまでするかって?そりゃぁ……………テメェが昔世話なったヤツへの嫌がらせだよ。それが一番だし、お前そのもの正直はどーーーでもいい。で〜も、わざわざ金と女も背負ってきて、この俺の快楽のために全てを捧げに来てくれたカモなら、最後まで存分に利用しないと、失礼ってもんだろ?」
注射器が男性の首筋に突き刺さる。青年はゆっくりと、ほんの少しずつ注射器に力を込めていく。………より長く、恐怖を感じるように、苦しむように。
「さてさて、そろそろ終わりにするけど、冥土の土産?にひとつ小話をしてやるよ。このクスリな、男に使うのは初めてなんだよ。いっつも、いっつも女にばっか使ってたからな。…………あ、そうそう。これ最近打った女、びっくりなことに、いつもの用量打ったのに耐えやがってさ、『私には婚約者が……』だの、『彼の借金は……』だのうるさかったから、思わず用量の3倍ぶち込んじまったよ。すぐに頭イカれちまってよ、ヤる時も全然反応してくれなくて、ホントつまんなかったわ~。………………ちなみに、今手に持ってるこれは、そんときの余り。ほら…………お揃いだろ?」
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ーーーーーー!!!!!!!!💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢」
「最後までうるさいなぁ……。まぁ、それももう終わりだ。んじゃあ………バイバーイ☆」
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢」
- 43同窓会ss作者23/06/20(火) 01:41:04
ふぅ、やっと終わった。あとは"コレ"をさらに地下の独房部屋にぶち込むだけだ。最後がこんなうるさいヤツだとは思わなかったけど。これで計画完遂だな。俺自身の計画だから、俺がやるべき"仕事"だし、何より他人に任せるて失敗なんざ許されねぇからな。………ともかく、これで"先代"のクソ親父のツテになりそうなやつは全部消えた。やっと、これで好き放題できる。どれもこれも数年前に会った、"アイツ"の言う通りだったな。
クソ真面目に勉強して大学に行って、社会の歯車になる未来よりも、暴力、経済力、権力、ありとあらゆる"力"がある今の方が圧倒的にいい。だと言うのに、あのクソ親父、『お前に組を継ぐ資格は無い』とかデタラメ言いやがってぇ………。カタギに手を出すなだの、ヤクはやっちゃいけないだの、前時代的な思考回路してるから、組は廃れていったっていうのにさ。仕方がねぇから、俺が"改革"してやった。古くさい時代遅れの老害どもと、それに付き従うアホ共を追放して………抵抗の強かった一部はぶっ殺したが………俺の理想の組織に変えてやった。クソ親父と言えど、組長や患部を皆殺しってのは、体裁が悪くなるから軟禁状態にしかできてねぇが、実質、"若頭"の俺が全権限を握っている。これで、この街の金も女も、何もかも俺の思うがままだ。俺の思い通りにならないやつはもういn
コンコン
「……………入れ。」
雑音1「………失礼します、若頭。少しお耳に入れていただきたいことがありまして……。」
そう言って入ってきたのは、雑音その2とその3を両肩で組むように抱えた雑音その1であった。
「なんだ、お前らか……って、オイ!そのふたり、こっぴどくやられてんじゃねぇか!誰にやられた!?」
雑音1「それは、その………」
「なんだ!?早く言えぇ!!」
雑音1「…………女の3人組にやられました。」
「…………は?女に負けたってのか?……酔っ払って冗談言ってるんじゃねぇんだろうなぁ?ア゛ァ!?」
雑音1「冗談じゃないですよ!女のクセにバカみたいに強かったんっすよ!!!それに、ふたりが一方的にやられるなんて、今までなかったでしょう!?」
「そりゃあそうだな。…………だとしても、だ。お前らの勝手な失敗だろ?それを俺に伝えてどうしようってんだ?」
- 44同窓会ss作者23/06/20(火) 01:42:05
雑音1「それだけじゃないんですよ、若頭。………あの女共、龍紋組の名を聞いても『だからどうした』って言いやがりました。………舐められてるんすよ、"若頭が作りあげた新生龍紋組"が。」
「!………前言撤回だ。俺らを舐めてかかってんなら、ぶちのめさねぇとなぁ!!」
雑音1「それに、その女3人とも超絶美人でした。今までヤったどんな女よりも、そこらの女優と比べて、一回りも二回りも上級の女っすね。」
「……………オイ、それはマジだろうな?」
雑音1「………マジです。」
「…………な~ら、しょうがねぇなぁ。女のクセに俺の組の庇護下のもんに手ぇ出しといて、その上、新生龍紋組そのものをバカにしたんだ。これは俺直々にたっぷりと、"わからせない"となぁ~。」
雑音1「ですねぇ~。(よしっ!上手く乗ってくれた!)下っ端から女共がどこに行ったのかも把握済みです。繁華街の駅近に3ヶ月前できたあの居酒屋店に入っていったっぽいです。なんでも、地元の中学卒の同窓会があるみたいで店ごと貸切らしいっす。強行突破するっすか?」
「………ん?その中学ってどこだ?何年卒の集まりだ?」
雑音1「それは………」
青年が雑音その1から聞いた中学名と卒業年度から考える、その集まりはに………かつて自分がいた中学の同級生たちの集まりだった。自分だけ、ハブられていたことに青年は気づいた。気づいてしまった。
「………この俺を………この街の裏を支配する龍紋組トップの、俺を…………………」
雑音1「………若頭?」
「……………この俺を!ハブりやがったのか、アイツらぁ!!!何様のつもりだァ!?」
雑音1「うぉっ、若頭?」
「おい!お前は今すぐ、あそこでイカれてる男を独房部屋に押し込んでこい!!それと、特攻隊の図体でかい5人組集めろ!強行するぞ!この街の裏の支配者たる俺を差し置いて集まりなんか開きやがって………俺に対する礼儀っていうものを教えてやらぁ!!!………………オイィ!!早くしろぉ!!」
雑音1「はっ、はいぃぃぃ!」
- 45同窓会ss作者23/06/20(火) 01:43:50
───『虎の威を借る狐』。アルトリア・アヴァロンが雑音その1を見て言った言葉。それ自体は非常に的を得た言葉ではある。が、この"狐"、"虎"の後ろで威張るだけであればいいものの、自分のプライドが傷ついたのが相当許せなかったのか、あろうことか自分の後ろ盾たる"虎"を本当に矢面に立たせようとしているのだ。そして、偶然か必然か、はたまた、幸か不幸か、ドス黒い欲望を満たすために、自分をハブった同級生たちに目にものを見せるために、"虎"が"狐"の甘言に乗ってしまった。そうして、"虎"こと新生龍紋組の実質トップ、若頭の"リュウジ"は立香達が楽しむ同窓会の会場たる居酒屋店へのカチコミ決行へと準備を進めていく。
これが崩壊への引き金になるとは知らずに──────
一方、同窓会会場の居酒屋店にて………
ユウカ「いやぁ~。いいもの見せてもらったよぉ~。こっちが赤面するくらいのイチャラブっぷり。くぅ~、人の恋路、これ以上ない酒の肴だねぇ~。んぐんぐんぐ………ぷはぁ!店員さーん!生ビール、ジョッキでおかわりくださいぁ~い!」
マツナガ「ユウカくん……一体それ何杯目だい?急性アルコール中毒とか泥酔状態になったりしない?」
タケル「ほっとけ。こいつ、この前飲みに行った時にひとりでジョッキ15杯分のビール飲み干しときながら、『まだほろ酔いだよぉ~!』とかのたまいやがったからな。」
ぐだ「ユウカはすごいなぁ………。」
アース「………立香、ちょっとよろしいですか?」
ぐだ「ん?どうしたの、アース?」
アース「その………実は、こういった店に来るのは初めてで、ルールやマナーなどは知識として知ってはいるのですが、実践はしたことがないのです。ですから………」
ぐだ「そっか。アースはこういう居酒屋って来るの初めてだっけ?それじゃ、俺が細かいところとか教えてあげるから、一緒にやろうか。せっかく来てくれたからには楽しんでもらいたいしね。今日は食べ飲み放題のコースらしいし、まずは焼肉からやってみようか。」
アース「そうですね。………では立香、私への指導、お願いしますね?」
ぐだ「もちろん。といっても、そんなに堅苦しいものじゃないんだけどね。例えば、生肉を触ったトングで食器とか焼きあがったら食材を触らない、とか、他人が食べようとして焼いているのを取らn」
- 46同窓会ss作者23/06/20(火) 01:44:44
ユウカ「あ〜、これ、いい感じに焼けてるねぇ~。いっただっきま~すぅ~。はむっ………う~ん。何度食べても、やっぱり美味しいねぇ~。店イチオシなのがよくわかるぅ~。」
タケル「な・ん・で!俺が焼いてる肉だけピンポイントで取ってくんだよ、テメェはよ!………オイこら、目ぇ逸らすな!!こっち見ろやぁ!!!」
アース「…………他人の焼いたものをかすめ取っていますが………あれはマナー違反なのでは?」
ぐだ「…………………あれは例外。じゃれあってるだけだから気にしないで。」
アース「………あのような親愛の表現方法もあるのですね。勉強になります。」
ぐだ「う〜ん、親愛とはまた違うような気が………」
アヴァロン「2人とも、トングを持ったまま固まらないでください。私を含め、他の人が使えなくて困ることになりますよ。」
ぐだ「おっと。ごめん、アルトリアの言う通りだった。」
アース「では、手早く済ませましょう。私の正面にあるの金網の上に焼きたいものを乗せればいいのですよね?」
ぐだ「そうそう。あとは、たまにひっくり返しながら焼き上がるのを待つだけ。足りなくなったら追加で頼むから一回で焼く量は少なめにね。」
アース「なるほど………こうやって、最後は自分の手で仕上げるのですね。興味深い……。」
剣式「セルフサービスの方式はやったことがない人からすれば新鮮だものね。それにしてもこのお店、メニューも豊富で、お酒も美味しいわ。よく貸し切りなんてできたわね。」
ぐだ「お酒、特に日本酒が結構揃ってるみたいだ。それに、日本酒限定のボトルキープとかもやってるみたいだし、やっぱり居酒屋だからお酒にも自信あり!なんだろうね。こんないいお店、よく予約取れたよなぁ。」
マツナガ「予約を取った僕でもそう思うよ。なんでも、大規模な宴会のドタキャンがあったらしくて、食材とかも準備済みで困っていた時にちょうど僕らの同窓会の予約の電話が…って店長さんもいってたし、正しく奇跡のタイミングだったよ。」
ぐだ「へぇ~。そんなことがあったんだ………。でも、そのキャンセルのおかげで、こうしていいもの食べれてるからある意味感謝しないとだね。」
- 47同窓会ss作者23/06/20(火) 01:46:02
タケル「………ん?なんか、焦げ臭い匂いしねぇか?」
ぐだ「本当だ…………ってもしかして!アース、お肉、お肉!焦げ始めてるよ!」
アース「えっ?いえ、私がそんな単純なミスをする訳が…………本当です………」
アヴァロン「あ~、見事に焦げてますね………」
アース「どうして………いつもは焼き上がるのにもう少し時間が必要なはず………」
ぐだ「あっ……あのね、アース。家の電気コンロとフライパンで焼くよりこっちの金網の方が火力が高いから、すぐに火が通るんだ………伝え忘れてた!ごめん!!!」
アース「………いえ、いつもと調理環境が違うのであれば、火の通り方も違うのは当たり前。それを忘れ、いつもと同じだと考えていた私の落ち度です。立香が謝る必要はありません………(シュン)」
ぐだ「………ねぇ、アース。俺が焼いてたの、食べる?アースはまだ慣れてないし、代わりに俺がアースの分焼いてあげるからさ。」
アース「ですが………それでは立香の手間を増やしてしまいます。ですから、その必要はありません。………大丈夫です。次は、失敗しません。」
ぐだ「手間じゃないんだけどなぁ………うん、わかった。もう一回、チャレンジしてみようか。今度は俺もしっかり見てるからさ。」
アース「………ありがとうございます。立香が見ていてくれるのなら、頼もし限りです。」
剣式「ねぇ、立香。アースに付きっきりでは自分の分は焼けないわよね?だったら、私が代わりにあなたの分も焼いていいかしら?」
ぐだ「えっ、いやいいよ。俺の分は気にしなくても……」
剣式「遠慮なんてしなくてもいいのよ。ほら、今ちょっど焼いている牛ハラミがいい感じに焼けてるわね。………では、立香。あーん♡」
ぐだ「えっ!?」
剣式「あら、いらないの?食べるのなら、早くしないとタレがこぼれてしまうわよ。はい、あーん♡」
ぐだ「う、うん。………あ、あーん。(モグモグ)」
剣式「どうかしら?」
ぐだ「えっと……とても、美味しかったです…///」
剣式「ふふっ、良かったわ。丹精込めて、いえ、"愛情"をたっぷり込めながら焼いた甲斐が有ったわね。(ニコッ)」
- 48同窓会ss作者23/06/20(火) 01:47:11
タケル「おー、おー、隙あらばイチャイチャしてんなぁ、立香さんよぉ。間近で惚気られる見にもなってくれってもんだぜ、全く。(ニヤニヤ)」
ユウカ「そ~だ、そ~だぁ~。お酒がなきゃやってらんないよぉ~。(ニヤニヤ)」
ぐだ「……2人とも!そんな顔でこっち見ないでよぉ!」
アヴァロン「むぅ……………立香への愛情で式に負ける訳には行きません。立香、次は私の焼いたのを食べてくれませんか?ちょうど良い塩梅に火が通って、塩ダレの効いた豚トロです。………あ、あーん♡」
ぐだ「アルトリアも!?いや、ダメじゃないけど……………」
アヴァロン「では、早く食べてくれませんか?………私も、す、少し恥ずかしくなってきましたので…///」
ぐだ「そ、そうだね///。………あ、あーん。(モグモグ)」
アヴァロン「ど、どうですか?」
ぐだ「…………うん、美味しいよ。その………式にも負けないくらい、あ…愛情がこもってると、思う……よ///」
アヴァロン「! そ、そうですか………それは良かったです///」
アース「2人とも、ずるいです(ボソッ)…………でしたら…………立香、少し待っていてください。今から本気で焼きます。もちろん、アルトリアや式よりも上回る愛情を込めて、私が焼いたものが1番だと言わせてあげましょう。私の持ちうるあらゆる技術を駆使して、全身全霊で、"インチキなし"で!最高峰の焼き具合に仕上げてみせます…!」
ぐだ「いや、その………アース、そこまで本気にならなくてもいいよ?気楽に楽しもう?ね?」
アヴァロン「………いいでしょう。アースがその気なら、私も本気で最高の焼肉というものを仕上げましょうか。どちらが立香を美味しいと唸らせる焼肉を焼けるか、勝負です。………ちなみにですが、私は今日、一度も肉を焦がすという失態はしていませんが。」
ぐだ「ちょっと、アルトリア!煽るようなこと言わないの!」
アース「………その勝負、受けて立ちます。私が本気である以上、勝つのは決定事項ですが、せいぜい足掻くことですね、魔猪の氏族さん?」
アヴァロン「………それはこちらのセリフです。先程みたいに失敗しないといいですね、箱入りのお姫様?」
アース・アヴァロン「「(バチバチ)……………絶対に、負けません!!!」」
- 49同窓会ss作者23/06/20(火) 01:47:41
- 50同窓会ss作者23/06/20(火) 02:01:44
今回はここまでぇ!!!
ふぅ(*´・ω・`)=3
今回文字に書き起こすのに超苦労しました。ヤクザの口調なんか知らねぇよォ………
という訳で満を持してのリュウジさん登場です。いやぁ~~~酷い!自分で書いてて思うんだもん。これは酷い。絵に書いたようなゲスさですねぇ。これは同窓会呼ばれませんわァ………
そんな、リュウジさんハブられて大激怒。カチコミするそうです。居酒屋店に……ハイ、大事なことなのでもう一回、"居酒屋店に"
………前スレで語られてました、えらいもんを見た店員さん達…………まだ来ますよ。それも特大級の地雷原みたいなのが。(*^^*)ニコッ
店員さんの情緒と胃が破壊される予言をしたところで次回予告を。次は不穏要素回収後編です。まぁ、ぶっちゃけると、アヤネとリンと???の出番ですね。頑張って仕上げますので気長に待っていただけると。
感想くれるとやる気が√5倍します。
それじゃまた次回お楽しみに( ˙꒳˙ )
- 51二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 03:05:41
待ってました!!!!!!!!!良かった…とても良かった…ぐだと3人のイチャイチャが特に最高だった……ほんとありがとうあなたのSSが大好きだ…リュウジくんがぐだと3人にぼこぼこにされるのが楽しみ。こいつは許しちゃいけない
- 52二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 03:09:18
待ってた!!!!!!いつも素晴らしいSSをありがとう……アースが焼肉を焦がしてしまった理由が自分のすぐ傍にいるぐだの横顔に魅入ってて焼肉を焦がしたっていうのが頭に浮かんできた。これからもこのSS楽しみにお待ちしております!!!!
- 53二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 05:40:27
保守
- 54二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 07:27:02
質問!ここの式さんに両儀組のアレコレはあるの?
- 55二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 07:35:49
独占欲高いぐだを組み込んだらどんな反応をするか……
- 56二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 07:45:45
- 57同窓会ss作者23/06/20(火) 07:50:01
- 58二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 07:58:15
- 59二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 09:51:57
SSありがとう!前半と後半の温度差がすごい…
そして聖剣の守護者&根源接続者&真祖の姫を相手に喧嘩売りに行くヤクザの無謀さよ - 60二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 11:46:12
- 61二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 19:54:02
『両儀式』は対外的には両儀組組長のお姉さん的ポジションになるのかしら?と思ったり
あと同窓会ss作者さん別のスレでコテハンそのままでしたよ - 62二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 21:11:28
無知とは恐ろしいね
- 63同窓会ss作者23/06/20(火) 22:13:21
- 64二次元好きの匿名さん23/06/20(火) 22:17:09
- 65同窓会ss作者23/06/21(水) 00:16:30
- 66二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 02:40:05
この概念ほんと好き愛してる
- 67二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 07:11:45
子供が出来たとき一番落ち着いてるのはぐだ男のイメージ
- 68二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 10:33:10
このレスは削除されています
- 69二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 17:21:34
三人同時にデキたら大変だろうなあ
- 70二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 20:05:38
金銭関係どうなってるか語られてたっけ?
- 71二次元好きの匿名さん23/06/22(木) 04:08:51
- 72二次元好きの匿名さん23/06/22(木) 04:16:40
チンピラニキの高度な自殺行為に涙が止まりません!
溢れる涙を止めるためにはぐだとのイチャイチャシーンが必要です! - 73二次元好きの匿名さん23/06/22(木) 07:11:35
大人気ないなあ
- 74二次元好きの匿名さん23/06/22(木) 16:10:42
保守
- 75二次元好きの匿名さん23/06/22(木) 19:00:16
- 76二次元好きの匿名さん23/06/22(木) 20:12:01
地獄かな?
- 77同窓会ss作者23/06/23(金) 01:36:54
こんばんは皆様( ˙꒳˙ )唐突な番外編のゲリラ投下です。前スレ185及び191の概念を使わせてもらいます。m(_ _)m
とある休日の昼下がり
キャストリア「立香、立香!今ちょっといいですか?」
ぐだ「ん?どうしたの、アルトリア?」
キャストリア「その………手空いてればでいいんだけどさ…………耳かき、して欲しいなぁ……なんて…///」
ぐだ「うん、いいよ。ちょっと待ってね、今キリいい所まで終わらせるから。」
キャストリア「い、いいの?ホントに?頼んだ私が言うのもあれだけど、忙しいんじゃ………」
ぐだ「別に今すぐにやらなきゃいけないってものでもないし、休憩にもなるからさ。それに、今はアースと式が買い出しに出かけてるから、たまにはアルトリアと2人きりの時間を過ごしたいなぁ~と思ってさ。………嫌かな?」
キャストリア「嫌じゃないですぅ!むしろ嬉しいですぅ!!!…………ハッ!勢いでつい…///」
ぐだ「そんなに喜んでくれるのならこっちも嬉しいよ。んじゃ、もう少しで切り上げるから先に居間のソファで待ってて。」
キャストリア「は、はいぃ(カオマッカ)…………」
ぐだ「ふぅ、一区切りついたぁ………待たせてごめんね、アルトリア。」
キャストリア「だ、大丈夫ですよ。それに5分も経ってないし………」
ぐだ「ありがと。んじゃ、隣に座るね。」
キャストリア「ど、どうぞ…………(ソワソワ)」
ぐだ「よいしょっと………それじゃ、アルトリア。(パンパン)膝に頭乗せて。」
キャストリア「し、失礼しますぅ!」
ぐだ「アハハ、そんなに緊張しなくてもいいって。」
キャストリア「うぅ~、緊張するものはするんですってぇ~~(コロン)(………あっ、立香の膝………少し硬いけど……あったかくて、逞しい♡……スキぃ♡……)(ホオスリスリ)」
ぐだ「こ~ら、アルトリア。頭動かさないでよ。じっとしてて。」
キャストリア「あっ……ごめんなさい……」
ぐだ「分かればよろしい。それじゃあ、するよ~。」
キャストリア「よ、よろしくお願いします。………んっ!」
ぐだ「あっ、大丈夫?痛かった?」
キャストリア「い…いえ、少しくすぐったかっただけです。構わず続けてください……」
ぐだ「……わかった。痛かったら言ってね?」
キャストリア「わ、わかりました………その、優しくしてくださいね?」
ぐだ「もちろん、任せて。」 - 78同窓会ss作者23/06/23(金) 01:38:43
カサッ………カリカリ…………
キャストリア「んっ、………んっ、………」
カリカリ………スイーーー………カリッ、カリッ………
キャストリア「………んっ、…………あっ………そこぉ、もっと奥にぃ…………」
カリッ……カリッ………………サワッ…………カリカリ……………
キャストリア「んっ、んっ、………………気持ちい、…………あんっ、…………んっ、…………」
ぐだ「………………(ウズウズ)」
カリカリ……………フ~~~
キャストリア「ひゃあああぁぁぁぁ!!!!!(ガバッ)」
ぐだ「うおっ」
キャストリア「ちょっと立香ァ!!!いきなり耳に息吹きかけないでぇ!!!びっくりしたじゃんかぁ!!!(プンスカ)」
ぐだ「ごめんごめん。なんだか少し意地悪したくなっちゃって、つい。」
キャストリア「つい、ってなんですか!?つい、ってぇ!」
ぐだ「まぁまぁ。ほら、あれだよ。好きな子にはつい意地悪したくなっちゃうやつ。そんな気分だったんだよ。」
キャストリア「むぅ………立香はズルいです。いつもそうやって、私をからかって………」
ぐだ「ホントにごめんって………」
キャストリア「…………もう片方の耳もちゃんとやってくれるのなら許してます。今度はイタズラしないでくださいね?」
ぐだ「…………………わかった。」
キャストリア「……その間はなんですか、その間は。(ジトー)」
ぐだ「…………イタズラしたくなるほど可愛い反応するアルトリアも悪いと思うなぁ。」
キャストリア「可愛いって///…………ん~~~、もう!!早く耳かきしてください!!!(プンプン)」
ぐだ「はいはい、了解しましたよ。(ニコニコ)」
キャストリア「全くもう、立香はホント…………(ってあれ?さっきは立香に背を向けていたから、次は立香の方を向くんだよね?……待って。膝枕の状態で立香のほう向いたら、位置的に立香のアレが目の前に…………って何考えてるのよ私!バカバカバカァ!!!)(カァァァァア)」
ぐだ「ん?どうしたの、アルトリア?耳かきの続きしないの?………って顔真っ赤じゃん!大丈夫?」
キャストリア「! な、なな、なんでもありません!!!私は大丈夫です!!!」
ぐだ「ならいいけど……んじゃ、反対側やるからさっきとは逆に寝転んでくれる?」
キャストリア「わかりました………(ゴクリ)…………コロン」
- 79同窓会ss作者23/06/23(金) 01:40:12
ぐだ「新しいティッシュ用意してっと……よし、準備はいい?やるよ~。」
キャストリア「は、はい、………(目の前というか視界全部が立香で埋まってるよぉ!その上、Tシャツ1枚しか着てないから、風でめくれて立香のお腹が見えて)……んっ、……(………薄っすらだけど、ちゃんと割れてる…………それに………スンスン………立香のにおいがすぐ近くに……)……あっ、そこぉ、………もうちょっとぉ…………(………あっ、これ、ヤバい。色んな意味でヤバい……)………んっ、…ハァ♡ハァ♡……」
ぐだ「………アルトリア?大丈夫?」
キャストリア「ハァ♡ハァ♡………だ、大丈夫だからぁ、続けてぇ………もっとぉ………ハッ!(何言ってるんだよぉ私ぃ!!これじゃあ、あっちの方のオネダリしてるみたいじゃんか!!!恥ずかしぃ!!!)」
ぐだ「!(そんな蕩けた顔でそういうこと言わないでよアルトリアァ!?………! まずい。今は反応するのは非常にまずい!我慢我慢我慢~!!!)」
ぐだ・キャストリア「「………(カオマッカ)」」
ガチャ
ぐだ・キャストリア「「!!!」」
アース「ふぅ、立香。ただいま戻りまし……た………」
式「今日も暑いわね。立香、アイス買ってきたからアルトリアを呼んで、みんなで食べま………しょ…………」
ぐだ「ふ、二人ともおかえり!ええっと、これはね………その…………」
アース「………………また抜け駆けですか?アルトリア?それも、私達がこの暑い中買い出しに出かけていたというのにですか?(ジトー)」
式「……………膝枕だけでも羨ましいのに、その上、耳かきまでしてもらってるのね。(ジトー)」
キャストリア「………二人とも、目が笑ってないのですが………アハハ………え~っと………………その、セ、セーフだったりは、します?」
アース・式「「アウトに決まっているでしょう!!!(わよ!!!)」」
- 80同窓会ss作者23/06/23(金) 01:41:08
- 81同窓会ss作者23/06/23(金) 02:00:40
久しぶり、といえほどでもないかも?同窓会ss作者です( ˙꒳˙ )
ちょっと筆が乗ったので番外編というか、スレで語られたネタ拾って仕上げてみました。どうでしょうか?
それと、一応本編もちゃんと書いてるから、むしろ進んでるから期待しててくd
「質問です」
………なんですか?( ˙꒳˙ )
「なんで本編順調に進んでるのに番外編みたいなの書いたんですか?」
…………………それは、たまにはこういう形式もいいかなって……
「前回の本編更新で気になる感じで終わったというか、不穏要素まだ残ってるから早く回収と解決編した方がいいのでは?」
……………………それは……
「………何か言わなきゃ行けないことあるんじゃないんですか?」
…………(・ω・`)彡プィ
「おいこら目を逸らすな…………とっとと白状しろぉ!!!一═┳┻︻▄(´・ω・`)チャキ」
ギャアァァァァ(゚Д゚|||)━━━━━━!!!!!!
- 82同窓会ss作者23/06/23(金) 02:19:06
とまぁ茶番はさておき、お知らせ及びお詫び?ですかね。さぁ皆さん知っての通り現在同窓会ssの本編は不穏要素回収前編で止まっておりますが、「早く解決してぐだとのイチャイチャが見たい!溜めて一気に投下してくれると嬉しい!」との声が上がり、それとそうかと考えてですね。軽ーく書きたいことリストにあげて大方のシナリオ作ってみたんですけど………まぁ、その、はい。とてもじゃないけど溜めて一気に投下するには多すぎるなぁ、という結論に至りましてな。……とどのつまり、一気に全部投下は無理ですごめんなさい。この解決編が作者の1番こだわりたいところでして……それに伴い本編もこれからしばらくシリアス寄りの内容になります。ご了承ください。
作者のくだらない自己満ルールとして、まとめ投下の時にイチャイチャシーンを必ず載せようというのがあるのですが、それも今後書く中身によっては無理になるかも、と考えて今回のようなスレで語られたネタを勝手に拝借して仕上げて、それをイチャイチャ要素にしよう!と愚行しました次第です。これで満足してくれるといいなぁ(希望的観測)
でもご安心を、何度も言ってますが私の書くssは確定ハピエン仕様です。作者はバットエンド書けないのですよ、感情移入して辛くなるので。幸せハッピーエンドの方が心の栄養になるだろぉん!?それに、わざわざ不穏要素ばらまいたのもその後に書くイチャイチャや尊い!の引き立て役にしたいがためです。曇らせなんてありません(断言)。
- 83同窓会ss作者23/06/23(金) 02:19:52
ここで少しだけ予告をば。このssでは、今の所アルトリア・アヴァロンとぐだこと藤丸立香の激重感情をさらけ出しましたね。それぞれ、キャストリアの告白と、ぐだの公開独白ですね。そしてそれぞれの激重感情発露の直前には、立香がが自分を殺そうとしていた事件、ハーレム野郎許さねぇ事件未遂と、割と重めな話がありました。あれ、残りのアースと式のふたりの激重感情は?もちろん書きますよ!………ハイ、つまりはそういうことです。このための不穏要素です。
これも作者の悪い癖ですね、………本来なら言わないで置いた方がいいんだけど、このスレの主旨は『ぐだと上位存在系ヒロイン達のハーレムのイチャイチャ』なので、あまりにシリアス続くとスレチじゃね?と思い報告させていただきました。一応、ね?
長々と語らせていただきすいません。
という訳で今後とも私の拙作ではありますが、同窓会ss楽しんでくれると嬉しいです。
それではまた
˙꒳˙)˙꒳˙)˙꒳˙)˙꒳˙)˙꒳˙)˙꒳˙)ヌンヌンヌンヌンヌン
- 84二次元好きの匿名さん23/06/23(金) 04:09:52
いつも楽しみにさせていただいております……!!!!気長にお待ちしておりますので頑張ってください!!アースと式のふたりの激重感情の話楽しみですね…………
- 85二次元好きの匿名さん23/06/23(金) 07:08:25
弱いオタクです
悪人の被害に会った人たちも含めて全員幸せになるならそれを希望に耐えられると思います - 86二次元好きの匿名さん23/06/23(金) 15:53:33
保守
- 87二次元好きの匿名さん23/06/23(金) 21:12:35
待機
- 88二次元好きの匿名さん23/06/24(土) 01:14:26
保守♡
- 89二次元好きの匿名さん23/06/24(土) 07:28:48
保守
- 90同窓会ss作者23/06/24(土) 09:20:26
- 91二次元好きの匿名さん23/06/24(土) 09:22:38
- 92同窓会ss作者23/06/24(土) 09:52:35
- 93二次元好きの匿名さん23/06/24(土) 10:27:37
自分は語彙力とアイデアが乏しいタイプだからそんな多くは語れないけどもあえて語るならば
もちろんぐだ男は普段からイケメンスパダリムーブをカマしたり庇護欲をそそられるようなムーブをしたりして奥さんたちをキュンキュンさせてるんだけどさ、基本的には受け身、草食系だと思うのよね?
そんなぐだ男が何かのキッカケで肉食系モードになって積極的に三人を口説き落とすわけですよもう堕ちてるのに
イケボ(CV.島崎信長)で一人一人のツボを的確に刺激するトークをしつつボディタッチで話に集中できないほどではないけど確実に蓄積する快感を与えていって言葉と体で意識をかき乱すんですね
そうしてベッドに誘った時はもう三人とも子宮がコラ半島超深度掘削抗くらい降りてきて思わずぺたん………って座り込んじゃってるので、ぐだ男が一人一人口説き文句を絶やさぬままベッドまでお姫様抱っこして運ぶのよ
そしてこれからコトを始めるにあたってぐだ男が「これから皆の全部を奪い尽くすから覚悟してね」みたいなことを言うんですよ
そんなこと言われたらもう腰はガックガクに砕けて何もかも捧げたいという意思で頭がいっぱいになりますわな
そして事中では全身の至る所にキスマークや歯型を付けたり付け合ったり身体の内外にマーキングしたり欲望をぶつけ貪り尽くしなお飽き足らず一切合切を食らって喰らって………足腰が立たなくなり脳も蕩けて最早獣とも形容し難い肉と成り果ててなお饗宴は終わらずされどその有様は七珍万宝より比べようがないほど美しく麗しい
みたいな
個人的にはこの後無事ご懐妊なされているとベネ
- 94同窓会ss作者23/06/24(土) 10:38:38
- 95二次元好きの匿名さん23/06/24(土) 14:30:34
では俺もネタ提供をば
・ぐだと当番制混浴する上位存在系ヒロインズ(日曜は全員)。素肌のまま密着、浴槽のお湯に謎の効能が付加、ソープマットが無から出現なんかは日常茶飯事。ただしソープ嬢のあれこれなんて四人とも知らないので、普通にヤるのとあまり変わらないとか
・夜の営みで所謂見せ槍をされてときめく上位存在系ヒロインズ。三人とも最初は恥じらい半分ときめき半分くらいで頬を赤らめ、ヤケになったキャストリアが魔猪の氏族っぷりを発揮してむしゃぶりついたのをきっかけに残りの二人もがっつきにいく感じ - 96二次元好きの匿名さん23/06/24(土) 21:51:30
あ、この時のぐだ男は独占欲全開放モードね?
- 97二次元好きの匿名さん23/06/24(土) 23:16:21
夜の営みでぐだに目隠しさせて3人がかりで責めつつ、誰とキスしてるか・誰のナカに挿れてるのかとかを当てさせるの倒錯しててエッチだと思う
ぐだが間違えちゃった場合はヒロイン達(特に間違えられて拗ねてる子)から搾り取られる
ぐだが正解したら『ご褒美』と称して一晩中身体を好きなように使ってOKとかで
不正解パターン
「さぁ、今繋がってるのは誰でしょう?」
ぐだ「(気持ち良すぎてそれどころじゃない……!)ええと……アース、かな……?」
「……正解は」目隠しを取る
キャス「私です!酷いですよ立香ァ!」
ぐだ「うっ、ごめん……気持ち良すぎて全然集中できなくて……」
キャス「ま、まぁそれは妖精眼で見えていたので知っていましたが……」テレテレ
アース「……むしろ間違えられた挙句、実際に交わってもいない私の方が被害者なのでは……?キャスターの番が終わったら覚悟するように、沢山その身体に覚えさせますので……!」
ぐだ「えっ、いやその……」
剣式「あら、私だけ仲間外れはさみしいわ。立香には悪いけど私だってちゃんと覚えていてほしいもの。……頑張ってね♪」
ぐだ(コレは……大変な夜になりそう……!)
正解パターン
「さぁ、今繋がっているのは誰でしょう?」
ぐだ「……耳元で囁いてるのがアルトリア、さっきまでキスしてたのがアース、今エッチしてるのが式さんだよ。」
「「「!!!」」」目隠しを取る
アース「キスや声まで正解とは……驚きです……!」
キャス「割と声も似せた筈でしたが……それにしても最近、正答率上がってませんか?ズルとかではないんでしょうけど。」
剣式「ふふっ、それなら単純よ。……ほら、何度も私達の身体を彼に教えたでしょう?その成果ね。」
ぐだ「それもあるけど……目隠し程度で区別付かないなんてみんなに悪いし不誠実だからね。」
3人「「「……っ♡」」」
剣式「な、ならやっぱり正解の『ご褒美』をあげないといけないわね……♡」
アース「待ちなさい、立香が当てたのは全員分。……つまり私にも『ご褒美』をあげる必要があるはずです……♡」
キャス「あっ2人とも!それなら私だって『ご褒美』あげたいですっ♡」
ぐだ(結局負担は変わらないのでは……?まぁ幸せだしいいか!) - 98二次元好きの匿名さん23/06/25(日) 06:45:22
保守
- 99二次元好きの匿名さん23/06/25(日) 12:46:10
ぐだ男と一緒に昼寝してて先に目が覚めたらお腹を抱っこされてて顔が赤くなるキャストリア
ありだと思います - 100二次元好きの匿名さん23/06/25(日) 20:45:52
そういえば眠らない式は夜泣きの相手に最適なのか
- 101二次元好きの匿名さん23/06/25(日) 21:15:47
でもぐだは式さんに任せっきりにはしないと思う
そんな善性を持つ人だからこそヒロインズも惹かれたんだろうなって
剣式「眠らない、というのも案外役に立つものね。もちろん赤ちゃんには傷一つ付けさせないから安心して。」
ぐだ「ありがとう式さん。でも夜泣きの時はオレも起こしてくれないかな、一人だと大変だろうし。」
剣式「あら、心配?コレでも『あの子』の子育ての様子を見てたのよ?」
ぐだ「式さんの事はもちろん頼りにしてるけど……子育ては夫婦でするものだから。大変な事だけ押し付けたくないよ。」
剣式「……♡そ、そうよね!私達、夫婦だもの!……ふふっ♡」
AA「私ならアヴァロンへ連れて行けるので泣き声の心配もありませんよ!」
アース「待ちなさい、それなら私の千年城でも良いでしょう?」
- 102二次元好きの匿名さん23/06/26(月) 05:08:28
とても良い…………あと赤ちゃんまでアヴァロンや千年城に拉致するのはやめてね……
- 103二次元好きの匿名さん23/06/26(月) 13:55:12
保守
- 104二次元好きの匿名さん23/06/26(月) 20:49:29
世界線によるけどいとこに会いに来る未那ちゃんとかもいいと思うの
- 105二次元好きの匿名さん23/06/27(火) 07:30:48
ぐだ→アース→アヴァロン→ぐだの順で夜泣き当番決めててもいいかも
- 106二次元好きの匿名さん23/06/27(火) 17:13:31
保守♡
- 107二次元好きの匿名さん23/06/27(火) 19:51:57
- 108二次元好きの匿名さん23/06/27(火) 20:08:03
上位存在3人に囲われてるのに何か職を与えると何が起こるかわからんな
- 109同窓会ss作者23/06/27(火) 21:05:32
- 110二次元好きの匿名さん23/06/27(火) 21:34:33
今から心が苦しくなってきた
- 111二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 06:26:39
マーリンの気分で見守ろう……(ハッピーエンド大好き民)
- 112二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 11:38:16
このレスは削除されています
- 113二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 19:52:08
マスターを分身させるとかできたりするのかな?
- 114同窓会ss作者23/06/28(水) 19:54:32
- 115二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 20:00:10
回収編投下終わったら明るい話をして気を紛らわそうそうしよう
- 116二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 20:02:51
おお!!!お疲れ様です!!!更新ありがとうございます!!!
- 117二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 20:04:11
- 118二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 20:04:42
- 119同窓会ss作者23/06/28(水) 20:49:41
- 120同窓会ss作者23/06/28(水) 20:50:05
一悶着あるかと思われた、立香のハーレムバレ事件。しかし、シンヤとユウリの熱弁も相まって、クラスメイトの大半が立香のハーレムを受け入れていた。
………が、例外というものはどこにでもあるようで、その現状を面白く思わないものもいた。
居酒屋内の女子トイレ………店自体が最近できたが故に、もはやデパートの化粧室と遜色ない設備が施されたその空間に、1人の女性がいた。
「…………あぁもう!クソがァ!!!ホンット、イライラするぅ!!!!!」
その女性は洗面台の前に立って、大声で不満を吐き出していた。正面の鏡に映るその顔には、隠しきれないほどの苛立ちと怒りが浮かんでいる。
女性の名はアヤネ。金髪に染めた髪が特徴的な女性である。現在女優業をしており、美人と言えるような整った顔立ちと、スレンダー寄りの体型でありながら、出るところはしっかり出ているという正しく理想とも言える体型、そして磨き上げた演技力を武器に活躍する、期待の若手実力派女優である……………というのが、世間一般から見えるアヤネという女優のイメージ。しかし、一部の近しい人間しか知らない彼女の本質、それは、『異様にプライドが高く、自分の美貌に絶対の自信を持っており、その美貌で既婚者や彼女持ち関係なく手当り次第に男漁りを繰り返し、自分が誘惑し堕とした男が、自分への執着、または浮気や不倫で破滅していく様を見るのが大好物』という、悪辣極まりないものであった。それだけでも害悪ではあるのだが、更に厄介なことに、普段はこの醜悪な本質を、生まれ持った才と言えるで驚異の演技力で隠していること、そして売れっ子女優である、という社会的地位を手に入れているということが、アヤネのたちの悪さを助長させた要因であり、誰も手出しできない原因でもあった。
- 121同窓会ss作者23/06/28(水) 20:50:56
そんなアヤネがわざわざ同窓会に参加した目的、それは言うまでもなく男漁りである。例えかつての学友であろうと、彼女にとっては前から顔見知りなだけの"獲物"でしかないのだ。そうして心の中で舌なめずりをしながら獲物を見定めている時に目をつけたのが、集合時間ギリギリに来た藤丸立香である。優しい印象を受ける顔立ちに日本人離れした青い瞳とルックスだけ見ても上々、その上、中学時代に見せていた、とんでもないお人好しの善人、言い換えれば"騙しやすい"性格が未だこのっている状態。これほどまでに都合のいい獲物をアヤネは見たことがなかった。………今夜の獲物はコイツだ。そう確信したアヤネはどう貪ってやろうか、どう破滅していくのか、どう嘲笑ってやろうかと、まだ堕としてもいない立香の人生をめちゃくちゃにしていく妄想ばかりが浮かんでいた。まさに"取らぬ狸の皮算用"。
立香が他のテーブルを回り始めた時には、『藤丸セコム』筆頭のユウカに立香と話す機会を尽く潰されるという妨害をされ、少し苛立っていたものの、簡単な色仕掛けで堕とせるだろう、今回は楽勝だな。となめきっていた。立香の恋バナが始まった時も、アヤネにはまだ余裕があった。立香に彼女がいなければそれでヨシ、いたとしても、堕とした後に見る人間関係の破滅がもっと面白くなるからヨシ、といった心境だった。自分より女としての魅力が勝るものは居ない。なまじ芸能界をその美貌で勝ち抜いてきただけに、心の底からそう考えていた。
──────立香の彼女、アルトリア・アヴァロンが襲来するまでは。
そこから起こった怒涛の出来事は、アヤネにとって想定外の連続であった。
一つ目の想定外、それはアルトリア・アヴァロンを一目見た時、アヤネの思考回路を襲った、強烈な敗北感だった。負けた。敵わない。次元が違う。自分がどれだけ努力しようと、あの美貌の領域には届かない。と。その証拠に、彼女が乱入してから、アヤネが怒り狂っている現在に至るまで、今まで当たり前のように自分に向けられていた、羨望の視線が何一つ感じられなかった。もう、嫌でも理解してしまったのだ。自分の最大の自慢だった美貌を真っ向からねじ伏せられる人物が存在していたのだと。
- 122同窓会ss作者23/06/28(水) 20:51:52
二つ目の想定外、それは、今夜の獲物と定めた立香がアルトリア・アヴァロンの彼氏であったことだ。この事実によって自分の容姿を駆使した色仕掛けで堕とす、という当初の計画がご破算となってしまった。自分の最大のアイデンティティを真っ向から否定するような存在に、今夜の獲物まで掠め取られた。(実際には立香はまだアヤネのものになってはいないが、取らぬ狸の皮算用をしていたため、そう錯覚しただけなのだが)これにより、アヤネのイラつきがさらに加速していくこととなった。
それでも、付け入る隙が少しくらいはあるのではないか。という希望的観測をしていた時に襲い掛かった三つ目の想定外。それは、アルトリア・アヴァロンに並ぶ美女である『両儀式』及びアーキタイプ:アースまでもが、立香の彼女だったことだ。自分の美貌を優に勝る存在が3人もいる。偶然が3回続けば何とやら。もはやアヤネの自分の美貌に対する絶対的"だった"自信は、ほんの数分にして粉々に砕け散った。
しかし、その一方で、立香があの美女3人を三股しているという事実(実際は浮気ではなく合意の上でのハーレムなのだが)が露呈したことで、クラスメイト達が立香を疑惑的な目で見るようになり、否定的な空気になっていたのも事実。もしかしたら、今の立香への否定的な雰囲気を利用すれば、まだ獲物を奪い取れる。それも自分のアイデンティティを粉々にしてくれた3人から。そう考えたアヤネは早速実行しようと、否定の声を挙げようとした………その時だった。無慈悲にも四つ目の想定外が彼女を嘲笑うかのように襲い掛かった。まるで自分が声を挙げるのを狙ったかのようなタイミングで被せるように始まった、シンヤとユウリの熱弁であった。
- 123同窓会ss作者23/06/28(水) 20:52:36
ここでひとつ、アヤネという人間の話をしよう。何故アヤネは既婚者、彼女持ちまでも男漁りの対象にしているのか?大前提として、アヤネには関係を持つに至る男に対しての恋愛感情は存在していない。相手の方がどうかは知らないが、アヤネ自身は相手は獲物としか見えていないのだから。では何故?その答えを知るには彼女の両親が深く関わっている。アヤネの両親は傍から見れば仲睦まじい夫婦だったが、家では言葉を交わすこともないほど冷えきっていた。どちらも不倫していたのだ。それが世間にバレ、両親は離婚。ここまではいい。最大の問題点はまだ子供であったアヤネの親権を両方がいらないと、放棄しようとしていたことだった。離婚後、形だけは母方に親権は渡ったが、母親は子供を親戚に押し付け消えてしまったのだ。自分は両親に愛されていなかったこと。両親も互いに打算だらけの結婚をしていたこと。この2つがアヤネの思考の根底にあったのだ。故にアヤネにとって、"純愛"という概念は空想上、二次創作の産物でしかないのだ。既婚者や彼女持ちをも手当り次第に食い荒らしていたのは、"純愛'などという空想を語る連中に現実を教えてやる、そんな考えの元動いていたのだ。
元々、アヤネはオタクというものが嫌いであった。"尊い"だとか"純愛"だとか、アヤネにとって幻想でしかないものを追い求め、それを布教と言いながら感染症のように広める存在。鬱陶しいことこの上なかった。そんなアヤネがシンヤとユウリの熱弁を聞いたらどう思うのか、もうお分かりであろう。自分が最も忌み嫌う概念を、素晴らしいものだとクラスメイトに広め、あろうことか三股している立香がその体現者だと。さっきまでの不穏な空気が、クラスメイトたちの疑惑の目線が、嘘かのように消えていく。アヤネにとっての最後の切り札が、取るに足らぬと見下していたオタク達の言葉によって霧散していく。何よりも、浮気や不倫をもたらす側である自分の存在価値そのものを全否定された気がしたのだ。。『純愛など存在しない。この世は打算だらけだ。』という自分の根幹たる信念が、『純愛は存在する。そしてそれはここにある。』という信念によって揺さぶられている。大丈夫、オタク共の妄言だ、証明などされていない。アヤネはそう自分に言い聞かせてはいたが、嫌な予感が頭から離れなかった。
- 124同窓会ss作者23/06/28(水) 20:53:36
そして五つ目の想定外、クラスメイトが立香のハーレムを容認したこと、そして立香の独白によって、"純愛"が証明されてしまったことが、アヤネにとどめを刺した。立香の言葉、どれを汲み取っても打算なんて一欠片もなかった。なまじ、打算だらけの付き合いばっかりしていた自分だからこそ、それがわかってしまったのだ。ここに"純愛"は存在していたのだと証明された。アヤネの耳に、いや、脳内に、彼女の根幹がボロボロに崩れていく音が明確に響いた。
アヤネ「クソッ!クソッ!クソッ!クソッ!!!………クソがァァァァ!!!!」
自分の美貌という絶対的な自信は完膚なきまでに破壊され、理想の獲物を目の前で奪われ、トドメと言わんばかりに自分の行動、思考、アヤネをアヤネたらしめる全ての根幹たる信念までもがボロボロに崩壊させられた。怒り狂うなというのも無理な話だ。
アヤネ「どれもこれも、あの立香の彼女達が来たからだ!!!………あいつらのせいだ!あいつらのせいで……私はぁぁぁぁぁ!!!!!」
憎い、憎い。自分の尊厳を粉々にしたあの3人と立香が、憎い。そして何よりも………最大の武器を壊され、打開策も見いだせず、ろくな抵抗すらできず、このまま無様に敗北することしか出来ない自分が、憎い。こうして怒りの感情を吐き出すことしか出来ない惨めな様を晒している自分が、憎い。憎い。憎い。憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い…………
湧き上がる"憎い"という真っ黒な感情に支配しれながらも、もはやどうすることも出来ないほど負けが確定している現状を、正しく理解していたアヤネ。このまま放っておけば、いずれ"憎い"という感情を消費もしくは廃棄することが出来ず、行き場を失った感情がキャパシティの限界を超えるだろう。それにより、いずれ心がポッキリと折れてやる気を無くす、すなわち無害化する……………はずであった。
- 125同窓会ss作者23/06/28(水) 20:54:33
アヤネ「クソがァァァ!!!!………ハァ…………ハァ…………ハァ………」
もう叫ぶのにも疲れて果て、息が途絶え途絶えになっているアヤネに、話しかける人物がいた。
「おー、荒れてるね。女優のあなたもこんなふうに怒るんだ。てっきり普段から激しい感情を押し殺しているのかと思ってた。意外。」
アヤネ「! 誰だぁ!………ってアンタか………」
「アンタじゃなくてリン。いい加減名前で呼んで。」
アヤネに話しかけた女性の名はリン。ポニーテールと、抑揚のあまり見られない声で話すのが特徴的な女性である。
アヤネ「……………それで、私に何か用?まさか、私の事笑いに来たわけ?」
リン「まさか。わざわざ笑いものにするためにわざわざ来るなんて非効率極まりない。」
アヤネ「じゃあ尚更何しに来たのよ。………慰めでもするつもり?お金以外さして興味が無いアンタが?」
リン「慰めはしない。共感はするけど。あなた程では無いけれど、私だってそれなりに容姿が優れている自覚はある。でもアレと比べられると、勝てる気がしない。容姿を武器にするあなたにとっては相性が悪すぎる。」
アヤネ「慰めにかかってんじゃん、相性が悪いからしょうがないとか言って。バカにしてるの?」
リン「それは客観的事実に基づく発言。しょうがないとか言ってないから。…………そんなことより、あなたに提案があるの。」
アヤネ「提案?」
リン「そう。あなたと私、2人で組んで藤丸立香を堕とす。だから協力して。具体的な作戦内容も……」
アヤネ「ハァ!?アンタと協力して!?ナイナイ。そんなん有り得ないわよ、バカバカしい。」
リン「なんで、有り得ないと思うの?」
アヤネ「アンタねぇ………アンタと私は同じ獲物を狙うライバル、敵同士なのよ!わざわざ手を組んでも、後で手柄全部掻っ攫われるのがオチよ。それに………悔しいけど私はどう足掻いたって負け確なの。それを勝手に同情されて、『分前もくれてやるから協力しろ』なんて都合がよすぎる。そんな見え見えの罠に私がハマるとでも?舐め腐ってんなら、とっとと立ち去ってくれる?」
リン「さっきも言ったけど、同情など非効率なことをはしない。こっちとしても非常に不本意だけど、あなたの力が必要なの。無論、こちらにもあなたと協力するだけのメリットがあるからこうやって提案しているの。」
アヤネ「同情じゃないならなんだって言うのよ?」
- 126同窓会ss作者23/06/28(水) 20:55:43
リン「それは順を追って説明する。まず、私とあなた、確かに求める獲物、つまり藤丸立香を狙っているのは同じ。だけどその獲物から得たいと思うものが違う。私は藤丸立香の持つお金が欲しい。あなたは藤丸立香を性的に喰らって、そこから始まる人間関係の崩壊を楽しみたい。ほら、求めるものが違う。これで、手柄の取り合いにはならない。」
アヤネ「…………言われればそうだけども。何、藤丸ってば、そんなに大金隠し持ってんの?」
リン「私がわざわざ貧民ごときを狙うわけないじゃない。確実に、それもかなりの大金を持ってる。」
アヤネ「なんでそんなことわかるのよ…………って、あぁ。アンタの親のコネか。ただの県議会議員のクセに異常な数のパイプを持ってるって噂、本当なんだ。」
リン「その通り。コネなんてある分だけ有効活用しないともったいない。それで調べてもらってわかったけことがある。藤丸立香は2年ほど前からアパートを借りてアルバイトをしながらの一人暮らしをしていたのに、ある時急に一軒家を購入した。それも、一等地とは言えないけれども、それなりに良い土地に最近できた新築を現金一括払いで。その上、明らかに一人分ではない量の家具や、最新鋭の家電まで一気に購入してた。多分、あの3人の彼女と暮らすために一軒家を買ったのでしょうけど、あまりにも金払いが良すぎる。」
アヤネ「………やっぱり、同棲までしていたのかよ………。付け入る隙がないのも当然か……」
リン「1番大事なのはここから。一軒家に引っ越してからというものの、藤丸立香は"就職どころかバイトにすら出ていない"。完全な引きこもり状態。しかも4人暮らしで。彼女達3人の戸籍は2年半ほど前にできたばかりのもので、もちろん無職。それにもかかわらず頻繁に国内の観光地に旅行してるし、定期的に海外渡航までしている。そんな生活が今日まで2年も維持できている。明らかにおかしいと思わない?」
アヤネ「なによそれ………宝くじで一山当てたとかじゃないと説明つかないじゃない。」
- 127同窓会ss作者23/06/28(水) 20:56:38
リン「それは無い。藤丸立香の宝くじ購入履歴は一つもない。彼女達3人も同様。それに………これは確定の情報では無いのだけれど、あらゆるコネを駆使して藤丸立香名義の銀行口座の情報を調べてもらったの。でも、何故か交渉が上手くいかなかったらしくて、口座の情報丸々入手は出来なかったけど、その断片だけは知ることが出来た。その結果、どうやら定期的にどこからか大金が振り込まれてるらしいのよ。」
アヤネ「………なるほどね。何もしなくても勝手に金が振り込まれる、と。」
リン「そう。正に無限に湧き出る金銭の泉。何がなんでも私のモノにしたい。」
───リンの言っていた通り、現在藤丸立香の持つ資産は単純な金額だけでも億を超えている。人理焼却の解決に伴い貰った報酬だけでも立香曰く「今後の心配をしなくてもいいほどのすごい金額」なのだが、そこに人理漂白の報酬も相まって、個人が持つのには有り得ないほどに膨れ上がっていた。それに、カルデアで契約し、絆を深めた様々なサーヴァントから貰った物品も全て残っており、そのほとんどは当然のごとく触媒にもなり得るため魔術的にも価値が高く、ものによっては、今までの歴史や物理法則さえも覆すものばかり。仮に売ったとしたらとんでもない金額になるであろう。立香本人にとってはサーヴァントたちのと想い入れの強い品ばかり、絶対に売ることはないのだが。ともかく、今後、立香が金に困ることはもうないであろう。
………当の立香本人は、さすがに無職はダメだろうと、何度か就活を試みているが、立香が働く→立香と一緒にいる時間が減る!!!、という結論に至ったアルトリア・アヴァロン、『両儀式』、アーキタイプ:アースの「私達が現代社会の生活に慣れるまでは働かないで、一緒にいて!!!(これは建前で、本当は今後も働かせる気はさらさらない)」という全力の説得により、現在も無職のままである。あえて言うなら専業主夫辺りか。ちなみに、定期的に海外渡航しているのは、カルデアに報告、顔見せ、及びマスターとして微小特異点の修復をしに行っていたからである。また、定期的に振り込まれる大金は、一度に払えなかった人理修復及び人理再編の解決の報酬の残りである。決して無限に金が湧き上がる訳では無いが、とても人間が一生掛かっても使い切れないであろうことは確かである。
- 128同窓会ss作者23/06/28(水) 20:58:52
アヤネ「やっぱり金の亡者ね、アンタ」
リン「この世はお金が全て。お金を持っていること、それは一種の権力そのもの。豪華な暮らしもできる、欲しいものも諦めることなく手に入る。政治も、法律も、犯罪行為も、お金で全て解決する。人の命や他人の人生でさえも思いのまま。だからこそ、お金を持つということに価値が生まれ、故に、お金を持たない人間は価値がない。一方、生まれながらにお金と資産を持つ私は価値がある人間。この社会の、世界を回す側の人間。そんな私がお金を得るためにちまちまと働くなんて、おかしいと思わない?だから、他の人から"貢がせてもらってる"の。価値を持って生まれた私に、自らの価値たるお金を貢ぐ。それを使って私達は"理想"の社会を作る。そして"私達の理想"の社会に価値たるお金を貢いだものが従属し、お金を稼いで、また貢ぐ。そして経済は活発になり、街は発展する。これほど世のためになることは無いでしょ?」
アヤネ「ハイハイ、大層な理由をお持ちのことで………」
リン「………少し脱線した。話を戻す。具体的な作戦の内容だけどこれを見て。」
そう言って、リンは自分のスマホを見せる。そこには………
アヤネ「これは……………住宅地の映像?真ん中のは誰の家?」
リン「"藤丸立香の実家"。そして、写っているのは"両親"。仲睦まじいわね。そして、もうひとつ。最近ヤクザの抗争の劇的な変化があって、龍紋組以外の組織が軒並み解体に追い込まれたのは知ってるでしょ?いくらヤクザと言えど組が無くなれば無職に早変わり。それに便乗して私はその中でも腕の立つものたちを私兵として雇って、そのうち半分に今この映像を送って貰ってるの。………すぐに動けるようにね。」
アヤネ「………脅すのね。」
リン「言い方が悪い。せめて"お話"するって言って。それに、直球で脅しても意味が無い。脅迫罪になるし、あらぬ噂を立てられる。だから、"一芝居打ちたい"の。あなた、曲がりなりにも"女優"でしょ?」
アヤネ「!」
リン「私はお金さえ手に入ればそれでいい。それと、今回、親の"お得意様"が、情報収集とか、あぶれ者たちの雇入れに協力してくれたから、その人の要望のもの以外なら、成果は全てあなたのものに………って、どうしたの、いきなり震えだして。」
- 129同窓会ss作者23/06/28(水) 20:59:51
アヤネ「………………ふふっ………ふふっ…………そうよ、そうじゃないの………私は女優、それもなんちゃってじゃなくて、実力派……………一流の演技力…………まだあるじゃない、私の"武器"………」
リン「………ボソボソ喋るのやめて、ちょっと怖い。」
アヤネ「………ふふっ………いいわ。その提案に乗ってあげる。」
リン「嘘。さっきまで嫌々で、やる気ゼロだったのに、急にどうしたの。ついに気が狂った?」
アヤネ「なわけないでしょ!勝ち筋が見えたから乗ってあげるってことよ。むしろ、感謝しなさい。」
リン「急に上から目線。さっきまで怒り狂ってた人物とは思えない。」
アヤネ「うるさいわね。………それに、これであいつらに復讐できる………!」
リン「復讐?」
アヤネ「そうよ!私のプライドを傷つけた全ての元凶、立香の三股相手の3人への復讐!あいつらの目の前で、藤丸をぐちゃぐちゃのボロボロになるまで犯して、虐めて、堕としてやるの。私の方があいつらなんかよりも、女としてはるかに優れているということを、身をもって知ってもらうのよ!!!」
リン「………やる気があるからいいや。んじゃ、どういう芝居を打つか、プロのあなたの意見も参考にしたい。」アヤネ「それが懸命ね。一流の女優は、一流の詐欺師と同じ。誰にも見抜けない一流の"嘘をついて"、相手のの求める役を演じて、皆を騙す詐欺師。嘘なら私の超得意分野よ。」
リン「ならとっととシナリオ考えて。ここが1番重要なんだから。」
アヤネ「わかってるわよ。最高の芝居にしてあげようじゃない。ふふっ、あいつらの無駄に整った顔が、屈辱に歪むのが楽しみね…………私を敵に回したこと、盛大に後悔してもらうわ…………!」
こうして、アヤネは自分のプライドをボロボロにした立香の彼女3人に復讐するために、リンは立香の持つ莫大な金を手に入れるため、手を組んだ。両者は不敵に笑い、自分たちの勝利を少しでも磐石に、確実にするために、策を練り上げる。
- 130同窓会ss作者23/06/28(水) 21:00:48
───もしアヤネがもっと早くに心が折れていれば、もしリンが他者を頼るような行動をしなければ、2人の辿る末路は、まだ幾分かマシであっただろう。両者とも諦めが悪かった故に、結託してしまったが故に、その結果見えた、いや、見えてしまったほんの僅かな勝利の可能性にすがってしまった。無我夢中な2人は気づかない。自分たちが縋るそれが、濁流にかかっているボロボロの橋のように、崩れ去ることが分かりきっている偽りの可能性だということを。こうして、アヤネとリンの2人も崩壊への引き金を引いてしまったのだ───
リン「よし。これで詳細まで決まり。失敗しないでね?」
アヤネ「もちろんよ。あとは隙を見て決行するから、その時に連絡するから。」
リン「了解。………ん?」
アヤネ「………どうかしたの?」
リン「いや、今すれ違った子って………」
アヤネ「あぁ~、確か、ミツキじゃなかったっけ?名前。」
リン「そう、そんな名前の子。人形みたいで不気味だって噂になってた子。途中、確か3年生の後半頃に親の事情だとかで登校できなくなって、そのまんま卒業式も出ることなく卒業しちゃった子。なんで忘れてたんだろ。」
アヤネ「なんか、影薄かったし、不気味だって誰も近寄んなかったし、そのせいじゃないの?……んで、ミツキがどうしたって?」
リン「……………ううん、やっぱなんでもない。早く行こ。」
アヤネ「はぁ………そんなんでちゃんと計画達成できんの?アンタのせいで失敗したら、ガチで許さないからね?」
リン「切り替えくらい簡単に出来る。そっちこそヘマしないでね?」
アヤネ「当たり前よ。本職だもの、完璧に演じてみせるわよ!」
アヤネとリンの2人組とすれ違いで女子トイレに入ってきた女性、彼女は1番奥の個室にいた。便器の蓋の上に直接腰を下ろしていた。
- 131同窓会ss作者23/06/28(水) 21:03:05
ミツキ「ふぅ、ふぅ………はぁ~………やっぱり、人が多いのには、慣れないなぁ………」
個室で一人、小さなつぶやきをこぼす彼女の名はミツキ。言うまでもなく、立香のクラスメイトの一員である。両目にかかるほど前髪を伸ばしており、個性が強い子が比較的多い立香のクラスメイト達の中でも当時からあまり目立つことの無い、オドオドした控えめな性格をしている。そんな彼女、今まで何回か行われた集まりにも参加することはせず、今回の同窓会も参加を遠慮するはずであった。では、何故、ミツキは今回の同窓会に参加したのか?"とある人物"からの後押しも理由の一つだが、ミツキにはとある目的があり、その達成のために今回の同窓会に参加していた。その目的が………
ミツキ「………でも、覚悟決めて来たかいがあった………やっと、やっと会えたぁ………ずっと待ってたんだよぉ………」
次の瞬間、前髪で隠された両目にはっきりと、ハートマークが浮かび上がった。
ミツキ「………藤丸くん♡」
ミツキの目的、それは藤丸立香に会うことであった。
ミツキ「やっと、やっっっと!生の、リアルの、藤丸くんに会えたぁ♡!大人になってさらにカッコよくなった藤丸くん♡、大人の色気も身についた藤丸くん♡、あの頃のように無邪気に笑う藤丸くん♡!藤丸くん♡、藤丸くん♡、藤丸くん♡!!! 私、諦めなくてよかったぁ。勇気出して参加してよかったぁ。ずっと待ってたんだよぉ、私だけの王子様ぁ♡」
一瞬にしてミツキの心の中が、立香へと向ける感情に支配された。それは憎しみでも、嫉妬心でも、ましてや嫌悪感でもない。紛れもない好意、尊敬、そして"愛情"であった。
ミツキ「好き♡、好き♡、好き♡、好き♡、好きぃ♡。ずっと、ずっっっと、好きっだったのぉ♡。中学3年生のあの時から、私の人生を変えてくれた、あの時からずっとぉ♡」
- 132同窓会ss作者23/06/28(水) 21:04:19
ミツキは元々、この地の歴史ある良家に生まれた長女であった。ミツキの実家では長女もしくは長男が家の後継となる風習があったため、幼い頃から礼儀作法を叩き込まれた。ここまでは、歴代の長男長女が通ってきた道であり、そこまで辛く苦しいものではなかった。しかし、現当主とその伴侶であるミツキの両親は、歴史ある自分達が衰退の一途を辿るのが相当嫌だったようで、自分達と同じ考えを持つ者たちと協力して、かつての家の繁栄を取り戻さんと画策した。その一端として行われたのが、ミツキに対する過剰なまでの躾という名の洗脳であった。まず、インターネットを初めとした外界との関わりを全て遮断した。また、ミツキに"余計な知識"を与えることないように、小学校にはコネを使って在籍だけさせて一切通わせなかった。次に、親や将来の夫の言う事は無条件で全て信じろ、女は男に使えるべきで絶対に逆らうな、より良い身分・社会的地位を持つ男と結婚して優秀な子供を産むのがお前の唯一の価値だ、という時代遅れも甚だしい常識を植え付けた。さらに、自分達に対して少しでも反抗的な態度や言動を取るたびに、お仕置きという名の体罰を与えた。2度と反抗することのないように、自分たちに都合のいい道具に仕上げるために。ミツキの両親は最初は他の両家の娘を嫁として迎えようとしたため、長男を望んでいたのだが、生まれたのは女のミツキ。両親にとっては望んでいない子供も同然で、ミツキ向ける愛情など何一つなかったが故に、一切の躊躇いなく洗脳が行われた。そうやって幼いミツキは両親達の洗脳によって自由意志を根こそぎ削ぎ落とされ、家の繁栄のための道具として仕上げられた。さらに、ミツキが12歳の時には10も年の離れた政治家一族の息子を婿に迎える、政略結婚が案の定、本人の了承もなく決まり、もはや彼女に将来選択の自由などなかった。
さすがに形だけの入学にするにはもう誤魔化せないと、中学校には普通に通わせて貰えたが、この頃のミツキにはもう自分の意志が完全に欠如しており、親の願いのため、家の繁栄のために動く人の形を模した自律機械と何ら変わらなかった。まるで"人形"のようだと、その不気味さ故に、誰も彼女と友好的に関わろうとせず、ミツキは周囲から孤立していった。
- 133同窓会ss作者23/06/28(水) 21:06:31
そんな色彩のない灰色の中学生活を2年間も送っていたミツキだったが、3年生のある日、彼女にとって人生最大の転機とも言える出来事に遭遇する。
ミツキはかつての藤丸立香と同じく、他人から面倒事を押し付けられることが多々あった。だが、生まれながらの善性により他人からのお願いを断らなかった立香と決定的に違うのは、ミツキ自身の自由意志そのものが削ぎ落とされていたため、他人に対して文句を言う、断るという発想そのものが生まれなかったという点である。
そうして、いつものように大量に押し付けられたノルマを下校時間ギリギリに終わらせて、職員室にその成果を届けようと廊下を歩いている時であった。掃除の班の誰かがサボったのか、足元に残ってあった紙くずに、大量のプリントを運んでいたため気づかなかったミツキは足を取られ盛大に転んでしまった。体を思いっきり床に打ち付けたにも関わらず、ミツキは痛がる素振りも見せずに起き上がり、散らばったプリントを集め始めた。それもそのはず、ミツキの体は両親からの厳しい躾の影響により、痛覚の反応しなくなっていたのだ。ミツキは黙々とプリントを集めるが、いかんせん量が多く、順番もバラバラになってしまったため、想定より時間がかかってしまうのは明白だった。
ミツキ(このままでは門限に間に合わない。また、お仕置される。今日は多分寝れないな。)
淡々と、恐怖や焦りもない、感情の抜け切った心でそんなことを考えながらプリントを集めていた、その時だった。
「ミツキさん、大丈夫?プリント拾うの手伝おうか?」
そう言って手を差し伸べてくれたのは同じクラスの藤丸立香であった。
当時の私は藤丸くんに声をかけられた時ものすごくびっくりした。本当に必要な時以外、私に話しかけてくる人なんて家でも、学校でもいなかったから。
ぐだ「これだけの量のプリント、1人で運ぶのは大変だし、手伝うよ。」
藤丸くんは私の返事も聞かずに散らばったプリントを拾い始めた。ううん、違う。当時の私は返事すらできなかった。多分、まともな会話すらこの時のが初めてで、どうすればいいのか分からなかったんだ。
ぐだ「あ、ごめん。もしかして余計なお世話だった?………って、膝!怪我してるじゃん!?大丈夫!?」
ミツキ「………あ。」
- 134同窓会ss作者23/06/28(水) 21:07:38
藤丸くんに言われて初めて、私は自分が膝を擦りむいていることに気づいた。血が滲み出ていたのをよく覚えている。
ぐだ「早く保健室の先生に見てもらわないと!えっと、痛くない?1人で立てる?無理そうだったら俺の肩貸してあげるから。」
ミツキ「……………プリン、ト、運ばな、きゃ………」
その時は、生まれて初めての他人との会話というものになれてなくて、でも何か言わなきゃ、って必死で、途切れ途切れの言葉しか出でこなかった。
ぐだ「それは後で俺が代わりにするから!膝の怪我見てもらうのが先!」
ミツキ「大丈、夫。これくらい、の傷、慣れ、てる、から。………そ、れに、ひと、りで立て、あっ(カクン)」
多分、普段からの"躾"のダメージが溜まってたっぽくって、無理に立ち上がろうとしたけど、足に力が入らなくて、バランスを崩してしまった。
ぐだ「危ない!(ガシッ)」
多分、藤丸くんが咄嗟に支えてくれなきゃ、今度は頭を地面に打ち付けていたと思う。
ぐだ「ふぅ、間に合った…………全然大丈夫じゃないじゃん!また怪我するところだったじゃんか!!!」
ミツキ「………ご、ごめん、なさい。」
ぐだ「謝るのは後で!とりあえず腕貸して!今、保健室に連れていくから!」
ミツキ「………でも、時間、そ、れに、門限、が………」
ぐだ「俺の帰る時間とかは気にしないで!後で親に連絡するから!………それに、門限に間に合わなかったら一緒に謝るからさ。今はミツキさんの怪我を見てもらうのが最優先!ちょっと腕、借りるよ。」
そう言って、藤丸くんは少しだけ強引に(全然痛くなかったけど)、私の腕を自分の肩に回した。
ぐだ「それじゃ、これからいっせーのーせで、立ち上がるよ。あと、歩いてる時に、痛かったり、歩くのが早かったりしたら遠慮なく言って。無理して怪我が悪化したら、元も子もないからさ。」
ミツキ「う、うん。わかっ、た。」
ぐだ「それじゃ、行くよ~。………いっ、せー、のー、せ!ってうおっ!?(ガクン)」
藤丸くんを支えにして立ち上がろうとしたけど、やっぱり足が言う事聞かなくって。またバランスを崩してしまった。
ぐだ「ミツキさん、大丈夫!?」
ミツキ「私、は、全然。…………もう、いい、よ。ひとり、で、何とか、する、から。迷惑、に、なってる、か、ら……………」
- 135同窓会ss作者23/06/28(水) 21:08:27
ぐだ「怪我した人を放ってなんかおけないよ!!!」
ミツキ「!」
思わず息を飲んだ。他人からこんなに心配されるのが、初めてだった。私にとっては、あまりに衝撃的で、固まってしまっていた。
ぐだ「こうなったら………できるかな……いや、でも、やるしかない!…………ミツキさん!」
ミツキ「ひゃ、ひゃい!」
ぐだ「ミツキさん、立てそうになかったから、俺がおんぶしていく!さぁ、乗って!」
ミツキ「えっ、いや、で、でも…………」
ぐだ「いいから早く!もしかしたら保健室の先生帰っちゃうかもしれないから!」
ミツキ「……………う、うん。」
そうして、私は藤丸くんの背中にもたれかかった。
ぐだ「いい?しっかり捕まっててね。せー……、の!………うぐっ……」
ミツキ「や、やっぱり、無理、しな、くて、も……」
ぐだ「俺は大丈夫!………ふぅ、さぁ、歩くからね。落ちないように気をつけてね。」
ミツキ「わ、わかった。」
こうして、私は藤丸くんにおんぶされて保健室まで運ばれて、ちょうど帰り支度中の保健室の先生に、膝の怪我を見てもらった。怪我としては出血量が少し多いくらいで重症じゃなかった。
ぐだ「良かったぁ………」
私の事なのに、まるで自分の事のように安堵していた藤丸くんが印象に残ってた。
その後、2人とも親に連絡して、迎えに来てもらった。
ぐだ「それじゃあ、また明日ね!ミツキさん!」
ミツキ「う、うん…………ま、また、明日。」
またあした、なんて言われるのも初めてだった。
家に帰ってから、私は、親に迷惑をかけるな!と、いつもより少しキツめのお仕置を受けた。暴力を振るわれるのなんて日常茶飯事だったし、その時の私は人形見たく自分の意思が希薄だったから、何も感じなかったけど。まぁ、それは置いといて。その日の夜、私は何故か寝付けなかった。いつもは決まった時間に寝れるのに。藤丸くんの心配そうな顔が、無理した私を諌める声が、おんぶされた時に感じた温もりが、その時感じた不思議な安心感が、いつまでも蘇ってきて、眠れなかった。
- 136同窓会ss作者23/06/28(水) 21:10:02
その日以降、藤丸くんは、私によく話しかけてくるようになった。朝におはようってわざわざ挨拶しに来てくれたり、放課後に途中まで一緒に帰ろうと誘ってくれたり、あの日みたいに他人に面倒事を押し付けられた時には、それを片付けるのを手伝ってくれることもあった。私も違って、藤丸くんには他にも友達が沢山いるのに。私は不思議でしょうがなかった。あの日、どうしてそこまで仲良くもなかった私のことを助けてくれて、その上ここまで気にかけてくれているのか。だから、本人に直接聞いてみた。そしたら、藤丸くんはこう返した。
ぐだ「そこまで大層な理由じゃないんだけど………あの時、ミツキさんのことを見てないふりをして、そのまま帰るっていう選択肢もあるにはあったんだ。実際、その日は俺も居残りしてて早く帰りたいって思ってたし。でも、もしあの時、ミツキさんを見捨てたら、俺はきっと後悔する、そう思ったから声をかけたんだ。それに、最初は気が付かなかったけど、怪我してる人を放って置くことなんてできなかったし。」
ミツキ「じ、じゃあ、どうして、私、なん、かに、昨日も、今日も、声を、かけて、くれ、る、の?」
ぐだ「今まであまりミツキさんと話すことなかったから、かな。ミツキさんってどういう人かあまり知らなかったからって言うのもあるかな。それに、ミツキさん、とっても優しいしから、一緒にいて楽しいだろうなぁって思って。」
ミツキ「私が、優、しい?」
ぐだ「だって、ミツキさん、あの時自分が怪我してるのに、勝手にお節介を焼いた側の俺のことを、ずっと心配してくれたじゃん。」
ミツキ「………あれ、は、どう、したら、いいか、わからな、くて、咄嗟に………」
ぐだ「咄嗟に出た言葉だったら尚更だよ。ミツキさんは他人を思いやれる優しい人だよ。」
ミツキ「っ~~~!」
嬉しかった。初めて、生まれて初めて、人から褒められたから。
ぐだ「それに、俺はミツキさんのこと、友達だと思ってるし。だからこうして、一緒に話したいなって思ってるけど………」
ミツキ「………とも、だち?」
ぐだ「そう、友達。………もしかして、嫌だった?なら、ごめん!」
ミツキ「あ、………う、ううん。そう、いうん、じゃなく、て、その、初めて、言われた、から、びっくり、して。………私、なんかが、友達、で、いい、の?」
ぐだ「もちろん!これからもよろしくね、"ミツキ"!」
- 137同窓会ss作者23/06/28(水) 21:11:04
そう言って藤丸くんは笑った。無邪気な、それこそ屈託のない、心の底から嬉しそうな顔で笑った。そんな表情をした藤丸くんに私は目が釘付けになった。人形のようだと言われ、実際に何も持たない私の心が、暖かいもので埋まっていくような感じがした。当時の私はよく分からなかっただろうけど、多分この時から、私は藤丸くんを───好きになってたんだ。
その日から私は時々藤丸くんと放課後に残ってお喋りをした。私があまりにも世の中のことを知らないさすぎたってこともあるけれど、藤丸くんは色んな話をしてくれた。勉強の話、クラスメイトの話、最近のニュースの話、失敗談とか、美味しかったお店とか、最近の噂だとか、ゲームやアニメといったサブカルチャーとか、ちょっと怖い話、思わず笑っちゃうような話、くだらない話も。とにかく色んなことを私に話して、教えてくれた。藤丸くんとお話する度に、空っぽだった心が少しづつ色んな色に染まっていく感じがした。藤丸くんと話して、私は、人生で、初めて怒って、初めて泣いて、初めて感動して、初めて不貞腐れて、初めて呆れて、初めて怖くなって、初めて、笑った。藤丸くんと話すことで、私は感情を知った。もちろんその間も、両親からの躾も続いたけど、それで失う以上に、藤丸くんは私に色んなものを与えてくれた。空っぽだった人形の私は、少しづつ、人間に変わっていった。
それからしばらくして、私に2度目の転機が訪れた。それは中学3年生には誰もが直面したであろう、進路についてだった。私も三者面談のお知らせが来たけど、両親が私なんかに時間を割く訳もなく、仕事が忙しくて行けないと適当に理由をつけて来ることは無かった。それに、将来は結婚して家を継ぐ、というのが、勝手にだけど決まっていたから、私の進路相談は形だけのものとなって早急に終わった。でも、ある日、いつものように藤丸くんとお話している時だった。
ぐだ「少し気になってたんだけど………ミツキは、将来のこととかどう考えてる?………俺は全然決まってなくて、とりあえず自分の学力で行ける進学校あたりに行こうかなーってくらいにしか考えてないんだ。もし良かったら参考にしたくてさ。」
ミツキ「私の、将来…………」
- 138同窓会ss作者23/06/28(水) 21:13:27
なんて答えたらいいか分からなかった。私の将来は自分で考えたことじゃなくて、両親が決めたことだから。藤丸くんの参考にはならないと思ったから。多分、答えたくない、と言えば、藤丸くんはそれ以上聞くことは絶対にしない。だから、断ろうと思った。……………………けど、今まで自覚していなかった、私の心が『全て話せ』と訴えていた。仮に、話した所で何かが変わる確証もないし、もしかしたら嫌われるかもしれない。けれど、藤丸くんの、『もしあの時、ミツキさんを見捨てたら、俺はきっと後悔する』という話を思い出して、理解した。多分この慟哭は、見逃しちゃいけない、そうしたら、きっと、後悔するって思った。昔の私だったら、迷わず話さないことを選んでいたけれど、藤丸くんに沢山のことを教わったから今の自分だからこそできた決断だった。
ミツキ「私の、将来は……………ずっと、前、から、決められて、いる、から。」
ぐだ「えっ………」
それから、私は包み隠さず話した。幼い頃からの両親の"躾"、家の繁栄のための道具として育てられたこと、結婚できる年になったら政略結婚すること、そこに、私の意思が何一つないことを、伝えた。
ミツキ「だから、将来、のことは、私、何も、考えて、なく、て、藤丸くんの、参考、には、ならない、から。だから………」
ぐだ「そんなのって……………そんなの、間違ってる!!!」
ミツキ「えっ………!」
私は驚いていた。今までどんなことをされても怒らなかった藤丸くんが、ものすごく怒っていたから。
ぐだ「自分の子供を道具としか見てないなんて、そんなの親じゃない!」
ミツキ「ふ、藤丸くん?」
ぐだ「あ、…………ごめん、いきなり大声出して。ちょっと頭に血が上っちゃった。」
ミツキ「いいよ、ちょっと、びっくり、しただけ。」
ぐだ「ありがとう。…………………人様の家の事情を、他人の俺がどうこういうのは間違ってるってわかってる。けど、これだけは聞かせて。………ミツキは、本当に、それでいいの?」
ミツキ「……………だって、もう、決まって………」
ぐだ「そうじゃなくて!………親の決定とか関係なく、ミツキ自身はどうしたいのかを、知りたいんだ。」
ミツキ「………私が、どう、思ってるの、か?」
- 139同窓会ss作者23/06/28(水) 21:15:21
ぐだ「そう。ミツキの将来はミツキだけのものだから。他の誰でもない、ミツキ自身が決めることだから。…………ミツキは自分の将来、どうしたいの?」
ミツキ「私、は、………………」
今までずっと自分で何かを決めることなんて1度もなかった。私は家の繁栄のための道具で、そこに私の意思は不必要だったから。そうずっと言われ続けていたから。だから………
ミツキ「……………分から、ない。分から、ない、よ。なんて、言えば、いいの、か、どう、すればいい、のか、分からないよ…………」
ぐだ「………んじゃ、質問を変えるよ。ミツキは、両親の言う通りに顔も知らない人と、政略結婚することには、どう思ってるの。それでいいの?それとも、嫌?」
ミツキ「……………私、は。」
親の決定に意見する。そんなことをしたら思いっきり叩かれた。小さい時からずっと。その光景がフラッシュバックして、体が、声無き悲鳴をあげるように震え始めた。でも
ぐだ「…………大丈夫。今は、俺が近くにいるから。俺はミツキの友達だから。ミツキがどんなこと言っても、バカにしたり、見限ったり、ましてや暴力を振るうことなんて絶対にしないから。だから、安心して、自分の本当にしたいことを、言いたいことを言って。」
そう言って、私の手を握ってくれた。とても暖かくて、私の体の震えを、不安を、傷つかないように無意識に作っていた心の壁も、全部吹き飛ばしてくれた。
ミツキ「私は、………………両親に、………決め、られた、将来を、歩む、………の、……は…………」
ぐだ「うん、うん。ゆっくりでいいよ。焦る必要は無いから。」
この日、藤丸くんのおかげで、私は………
ミツキ「………………………嫌だっ。知らない人と結婚なんて、家の繁栄のための道具になるなんて、そん、なの、……ヤダぁぁ!」
──────初めて、ずっとずっと心の底に隠し続けていた、本音を言うことが出来た。
- 140同窓会ss作者23/06/28(水) 21:16:47
ミツキ「………ヤダ………ヤダ、ヤダ、ヤダぁあぁあぁ!」
私は、大粒の涙を流しながら、まるで子供の癇癪のように泣いた。頭の中はぐちゃぐちゃで、とにかく泣きじゃくるしか出来なかった。そんな私を藤丸くんは何も言うことなく、黙って私の手を握ってくれていた。
それからしばらくして、泣き尽くして落ち着いてきた頃に、藤丸くんが確認するように喋りだした。
ぐだ「……………嫌なんだね。政略結婚するのが。両親の決めた将来が。」
ミツキ「うん!………うん!………」
ぐだ「なら、そのことをちゃんと両親に伝えないと………って言いたいけど……」
ミツキ「………両親は、私の、言うこと、聞いて、くれない。口答え、するな、って、暴力を、振るわれる、だけ。」
ぐだ「本当に、自分の子をなんだと思ってるんだ……………でも、じゃあどうすれば………あ、そういえば!」
藤丸くんは自分のバックの中を少し漁って、小さなカードを取り出した。
ミツキ「それは………?」
ぐだ「昨日、駅前で貰った、児童相談所の案内のカード!ここに電話しよ!携帯持ってる?」
ミツキ「私、携帯、持って、ない……………」
ぐだ「………んじゃ、俺が連絡する………って、今日、携帯家に置いて来ちゃったじゃんか!俺のバカァ!………こうなったら………ミツキ!今すぐ駅前まで行こう!今日の5時半まで出張相談してるみたいだから、今から走って行けば間に合う!ミツキ、早く!!」
そう言って藤丸くんは私の手を取って、その上2人分のバックを背負って教室を飛び出した。私も転ばないように必死に足を動かす。
ミツキ「ちょ、藤丸くん!?無理、だって。あと、30分も、残って、ない!間に合わない、よ!…………また、………また、明日に、連絡しよ?大丈夫。今日、1日、私が、耐えれば、いいだけ、だから。ね?」
ぐだ「そんなの、俺が嫌なんだ!これ以上、ミツキが、俺の大切な友達が傷つくのを見過ごせない!!」
ミツキ「で、でも!私、足遅いし、体力もない、から!絶対、間に、合わない、って!」
こうしている間にもどんどん体力が減っていく。学校を出で、3分も経っていないだろう頃にはもう、私の呼吸は酸素を求める荒いものになっていた。
- 141同窓会ss作者23/06/28(水) 21:17:47
ミツキ「ハァ………ハァ…………ふじ…、まる…、くん…。わたし、もう………」
ぐだ「ミツキ!?そうか!ミツキはあまり動けないんだった……このままじゃ間に合わない!やっぱり諦めるしか……」
そんな時だった。私たちとすれ違った車が、なにかに気づいたかのように少し後の路肩に停車した。ブザーが響き渡る。2人してびっくりして後ろを振り返ると、運転席から女の人が出て来た。
「やっぱり、今から迎えに行くところだったのに、どこに行こうとしてるの、立香?」
ぐだ「! お母さん!」
車から出てきたの藤丸くんのお母さんだった。
そこからはあっという間に物事が進んだ。藤丸くんのお母さんに事情を話して、駅前まで送ってもらった。藤丸くんは『人様の家の事情に首を突っ込まないの!』と、怒られていたけど、その後『でも、人として、人間としては正しい行動ね。さすがは私達の自慢の息子。よくやったわね。』と、褒めていた。
歩いていけば確実に30分以上かかるであろう道のりも、車であれば10分もかからなかった。そうして駅前について、藤丸くんと一緒に児童相談所の出張相談に行った。児童相談所の職員さんに話す時も、藤丸くんはずっと隣にいてくれた。相当酷かったのか、私の虐待の詳細はすぐに警察に通報され、私は保護された。それから3日後に、私の両親は逮捕された。私への虐待以外にも様々な悪事をしていたらしい。現当主が逮捕、それも複数の罪状があったこともあり、私の実家はすぐに没落し、政略結婚もお蔵入りした。万が一のことも考えて、私は苗字を変えて、名前が同じだけの別人として過ごすことになった。それから、私を養子に出すのか、それともこのまま保護施設で暮らすのか、とか、その他もろもろの問題点が山積みになっていて、児童相談所に行った日以降、中学校には行くことが出来なくて、卒業式にも間に合わなかった。卒業式に参加出来なかったのは正直どうでもよかったけど、藤丸くんにちゃんとお礼を言えていなかったのが心残りだった。
- 142同窓会ss作者23/06/28(水) 21:19:15
結局、私は保護施設で住み込みで働くような形になった。特例らしい。バタバタしていて、ろくに高校受験の勉強ができていなかったのもあったのもあるけど。
そして、今の生活が落ち着いた頃、多分、藤丸くんが高校に入ってから半年くらい経った頃、藤丸くんの実家を訪れた。直接、藤丸くんにお礼をしたかったから。あの時、本音をさらけ出せたのも、今こうして平和に暮らせているのも、全部、藤丸くんのおかげだから。…………それに………私の、初恋の人だから、あわよくば……なんて考えも、正直あった。
けど、藤丸くんは、高校入学してすぐに、とある海外ボランティアに参加したそうで、もう日本にはいなかった。こればっかりはしょうがないと、諦めるしか無かった。
…………私は藤丸くんに、この思い伝えることが出来なかった。でも、それでいいと思ったんだ。私はもう十分、多くのものを藤丸くんから貰ったから、これ以上を望んでは行けないと、他の誰でもない自分自身がそう決断し、納得したのだから。それから、時間が流れていくにつれ、藤丸くんへの恋慕は段々と薄れて言った。こうして、私の初恋は終わったのだ。
それから数年経って、私の所にも、今回の同窓会開催のお知らせが来た。正直、最初は参加しないつもりだった。何せ、学生生活の最後の行事、卒業式にも参加しておらず、藤丸くん以外に仲の良かった人は居なかったから。でも、藤丸くんも参加することを知ったことで、私は、それはそれは盛大に悩んだ。藤丸くんにあの時のお礼を伝えるためだけに参加してもいいのだろうか、他の皆に迷惑になるのでは無いか、と。同窓会への参加表明の締日切が刻一刻と迫る中、趣味であるファミレス巡りをしながら、うだうだと悩んでいた。そんな時、『大丈夫ですか?』と、青年に声をかけられた。最初は新手のナンパかと思って疑ってかかっていたけど、話を聞くに、私が相当思い詰めた顔をしていたらしく、
また、話しかけてくれた青年がカウンセラーになるために勉強中だったのも相まって、思わず声をかけたそうだ。そこまで辛気臭い顔をしていたのか、と少し落ち込んだ。
- 143同窓会ss作者23/06/28(水) 21:20:08
『ここで出会ったも何かの縁でしょう。個人情報に繋がりそうなことは聞きませんので、私のカウンセリング、受けてみませんか?私の方の練習にもなりますし、誰かに話すことでスッキリすることもありますから。』
そう、青年に言われて、私は藤丸くんのことを思い出した。あの時、私が本心をさらけ出すまで、根気強く付き合ってくれたからこそ、今の私がある。なんとなくだけど、彼からも藤丸くんと同じような雰囲気を感じた。だから、その提案に乗ってみることにした。
私は、青年に言われた通り、個人が特定されないように、大方ぼかしながら、私と藤丸くんとの出会い、そして同窓会に参加していいかどうか、迷っていることを伝えた。男性は私が言い淀んでいても、文句も言わず黙って聞いてくれた。そうして何とか話し終えた頃、青年は俯きながら、静かに喋り始めた。
『………それじゃあ、私と少しお話をしましょう。いいですか?』
ミツキ「は、はい。」
そして、青年が顔を上げる。………気の所為だろうか。私には青年の右目が───淡く光っているように見えた。
──────もし、ミツキがこのファミレスに居なければ、もう少し青年のことを疑っていたら、青年を注意深く観察できていれば、結果は違ったのかもしれない。しかし、いくらもしもを考えようと、それは結局IFでしかなく、そして無慈悲なことに、この世界にIFは存在しないのだ。
───青年は彼女に語り掛ける。ゆっくりと、心の底に深く残るように。
- 144同窓会ss作者23/06/28(水) 21:21:50
『あなたは、自分を助けてくれた彼への恋を、まだ諦めきれていないのではないでしょうか?』
……………えっ?そんなわけ、私の初恋は、もう終わった。他の誰でもない自分が納得したんだ。………もう、終わったんだ……………。
『彼は、あなたを助けてくれた。それだけでなく、空っぽだったあなたに、様々なことを教えてくれた。あなたはその恩義に報いたい。彼に恩返しがしたいとそう思っている。そうでしょう?』
………そうだ。私は貰ってばかりだった。この心も、この感情も、今ある私の全ては、藤丸くんから貰ったもの。だから、藤丸くんに少しでも恩返しがしたい。藤丸くんの為になりたい。藤丸くんには感謝してもしきれないから。でも………
『しかし、彼に感謝の念を抱くのと同時に、少しづつ、彼を好きになってしまった。』
………そうだ。私は藤丸くんを好きになった。それは変えられようのない事実。かつての私は、なんて欲張りだったのだろうか。もう十分過ぎるほど、彼は私に与えてくれたのに、それ以上を求めるなんて。貰ってばかりの私には、そんな資格はない。そして、何よりも………
『初めての恋に、際限なく溢れる想いに、あなたは恐怖を感じてしまった。』
………そうだ。私は怖かったんだ。この想いを藤丸くんに伝えるのが怖かった。藤丸くんがこれを受け止めてくれる確証なんてない。だって、藤丸くんは私のことを大切な"友達"だと言ったから。友達に、こんな重い感情を向けられたら、誰だって迷惑だろう。そして、藤丸くんから拒絶されてしまえば、私はきっと立ち直れない。何より、拒絶した側の藤丸くんの良心までも、傷つけてしまう。そんなことになるくらいなら、藤丸くんの"友達"という関係性を続けた方が互いに傷つかなくて済む。だから、私は………
- 145同窓会ss作者23/06/28(水) 21:22:31
『苦しい思いをしたくない。ずっと不安を抱いていたくない。そて何より、彼を、傷つけたくない。あなたはその一心で、自らの抱いた想いを抑え込み、心の奥底に封印した。違いますか?』
………そうだ。だから私は、その想いを諦めて、我慢して、しまうことにしたんだ。自分と、自分の恩人を傷つけないために。藤丸くんに貰った心の中に。彼から貰った大切な感情だから、大切に、壊れないように。自分でも自覚出来ないようにしてしまえば、思い悩むことも、苦しい思いをすることも、なくなる。藤丸くんに嫌われずに済む。………それで、それだけで、良かったんだ。
『あなたの気持ちはよく分かります。誰しも、初めての恋に臆病になるものですから。ですが、先程も言ったようにあなたはこの想いを我慢する必要は無いのです。………私の推測にはなりますが、きっと彼は、あなたの想いを受け止めてくれると思いますよ。』
………そんな、都合のいいことなんて起きるわけ…………
『彼が1度でも、あなたを拒絶したことは、ありましたか?なかったでしょう。空っぽだった時のあなたも、本音をさらけ出した時のあなたも、全て受け止めてくれたのでしょう?恐れる必要など、どこにあるのでしょうか?』
………そうだ。そうだった。彼はどんな私でも、受け止めてくれた。焦らすことも、否定することも無く、ただ隣で待っててくれた。藤丸くんなら、きっと………いや、でも………
『自分の想いに、自分の心の声に、正直になるのです。そして、その想いを彼に伝えるべきです。』
………そうだ。あの時、藤丸くんがそうしてくれたように、自分の想いに、心の声に正直になるべきだ。あの時、上手くいったんだ。きっと、今回も、大丈夫。………大丈夫。
ミツキ「…………………ありがとう、ございます。少し勇気が湧きました。わざわざ、それも見ず知らずの私のために、相談にまで乗ってくれて………」
『いいえ、こちらこそ。"私のため"でもありますから。では最後に、いくつかアドバイスをしても?』
───こうしてミツキは、立香への恋心を再び認識するようになった。…………青年の思惑通りに。そして、青年は最後の追い込みをかける。その右目を妖しく輝かせながら、ミツキの恋心を利用するために、彼女に"暗示"を施していく。それはまるで、人を堕とす悪魔の囁き。
- 146同窓会ss作者23/06/28(水) 21:23:40
『あなたの持つ彼への想いは秘めておくには勿体ないもの。我慢する必要もなく、また、"感情を抑制する必要はない"のです。』
───人は本来、己の感情を本能的にコントロールすることが出来る。が、何らかの影響で感情の抑制が出来なくなれば、人は溢れ出す感情に支配され、やがて暴走する。
『彼を本気で好きなのであれば、あなたは彼の"全てを愛する"べきです。そうすれば、彼もきっと、あなたの愛に答えてくれます。』
───全てを愛する、ということ。それは、苦しむ姿も、涙する姿も、自分を拒絶する姿さえも、愛するということ。それは正しく、狂気の沙汰にほかならない。
『彼の交際相手として、彼から全てを貰ったあなた以上に、ふさわしい存在はいません。あなたと彼は"結ばれる運命にある"のですから。』
───思い込みというものは、時に人を間違った道へと誘導する。その思い込みが強ければ強いほど、人をより妄信的に、盲目的にしていく。
『あなたが、これから抱くであろう愛を、決して"疑わない"でください。誰がなんと言おうと、その愛は正しいのですから。』
───人は、己の言動を疑うことが出来なければ、他人の指摘を聞き受けることが出来なければ、己が犯した間違いに気づくことは、ない。気づかないまま取り返しのつかない事態へと陥っていく。
『………以上です。互いに良い結果を迎えられるといいですね。それでは。』
ミツキ「………………」
強い出力による"暗示"の影響か、放心しているミツキをその場に残し、青年は去っていった。彼女に背を向けたその瞬間に、歪な笑みを浮かべながら。
その日以降、ミツキの心は少しづつ、侵食されていった。
ミツキ(……………おかしい。最近、藤丸くんのことが、頭から離れない………ずっと考えている………今までこんなこと無かったのに………)
侵食していくその感情は…………"愛"。憎悪に並ぶ程の、人を突き動かすことの出来る強い感情。その強い感情が大量に、一気に、ミツキの心に流れ込む。
ミツキ(……………胸が、苦しい…………痛い………痛い……なにこれ…………こんなの、初めて………)
『彼の全てを愛せ』という暗示によって、強制的に生み出されたその愛は、容赦なくミツキを侵食していく。
- 147同窓会ss作者23/06/28(水) 21:25:40
ミツキ(こんなの、知らない…………知らないよぉ………怖い、怖いよぉ…………)
それは奇しくも、立香が教えることが出来なかった感情。未知ゆえの恐怖にミツキの精神は徐々に傷ついていく。
ミツキ(…………我慢しなきゃ、我慢しな、きゃ………………)
どうにか抑え込もうとしても、『感情の抑制の禁止』という暗示によって、無意識のうちに抑制を拒絶され、留まることなく、"愛"は溢れ出し、躊躇無くミツキを侵食していく。
ミツキ(……………どうして…………どうして、抑えきれないのぉ!今までずっと出来てたのにぃ!)
時だけが無情にもすぎていく。
ミツキ(…………痛い、苦しい、怖い………誰か、…………助けて…………藤丸くんっ……藤丸くんっ……助けて…………)
立香に助けを求める度に、立香のことを思い浮かべる度に、ミツキにとっての未知たる"愛"は増えていき、侵食は加速していく。しかし、皮肉なことに、ミツキには頼れる者が、助けてくれる人は、一人しか、いない。計算され、意図的に引き起こされた、負の連鎖。
ミツキ(……………嫌だっ…………嫌だぁぁ!………)
───もはや、彼女には抗う術は残されていなかった。
そんな状態が3日も続いた頃。
ミツキ(怖い、痛い、苦しい、怖い、怖い痛い痛い怖い苦しい苦しい苦しい怖い痛い怖い怖い苦しい痛い怖い怖い痛い怖い痛い怖い苦しい痛い怖い…………嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……………)
もう、ミツキは限界だった。
ミツキ(…………助けて、助けてぇ!………藤丸くんっ、藤丸くんっ、藤丸くんっ、藤丸くんっ、藤丸くんっ………)
そして、ついに………
ミツキ(………あ、………もう、無理。……………ごめん…………ふじ、まる、く…)
プツン
ミツキ「………………………………………アハ」
ミツキ「好きぃ♡、………………好きぃ♡、好きぃ♡、藤丸くん♡、藤丸くん♡、藤丸くん♡………好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡好き♡、好きぃ♡」
立香と出会ったあの日のことも、立香と過ごした思い出も、立香を想うあの恋心も、立香から貰った感情も、立香が彩ってくれた心も、その全てが、…………『狂愛』に呑み込まれた。
- 148同窓会ss作者23/06/28(水) 21:26:33
そして、現在、ミツキは女子トイレの1番奥の個室の中で一人、立香への"愛"を語っていた。
ミツキ「藤丸くん♡、藤丸くん♡!好きぃ♡、好きぃ♡、好きぃ♡、好きぃ♡、好きぃ♡、好きぃ♡、好きぃ♡、好きぃ♡、好きぃ♡、好きぃ♡、好きぃ♡、………好きぃ………………」
突然、彼女の纏う雰囲気が変わった。先程までの狂気が嘘のように、理性が目に見えて戻っていた。
ミツキ「………私は、こんなに愛しているのに、………………藤丸くんはいつまでたっても、応えてくれない。……………おかしい、こんなの、おかしいよぉ!!!私はどんな藤丸くんでも愛せるのに!笑ってる藤丸くんも愛してる!怒ってる藤丸くんも愛してる!泣いてる藤丸くんも愛してる!喜んでる藤丸くんも愛してる!楽しそうな藤丸くんも、眠そうな藤丸くんも、照れてる藤丸くんも、困っている藤丸くんも、苦しむ藤丸くんも、拒絶する藤丸くんも、傷つく藤丸くんも、諦める藤丸くんも、狂ってる藤丸くんも、全部全部!愛してる!!!……………私は!!!こんなにも藤丸くんの全てを愛せてるのに!!!なんで、応えてくれないのよぉぉぉ!!!!!!」
ハイライトが消えた瞳で、ミツキは叫ぶ。これが、彼女の愛が狂愛である所以。『彼の全てを愛せ』という暗示の産物。狂っている以外の何物でもない。その上、ミツキ自身は、『自分の愛を疑わない』という暗示によって、これが異常な愛だと認識できていないのだ。しかし、そんな彼女でさえ、"自分に無関心な藤丸くん"は愛することが出来なかったようだ。"好きの反対は無関心"、とはよく言ったものだ。
ミツキ「…………藤丸くんは悪くない。そんなことはありえない。絶対に。…………ならどうして?……………私の愛が足りないの?…………………………違う。あの人たちだ。藤丸くんの彼女だなんて嘘ついて、"私の"藤丸くんにまとわりつく、エセ彼女達のせいだ!絶対そうだ!そうに決まってる!!!藤丸くんに1番相応しいのはこの私なのに!、あんなエセ彼女達が藤丸くんの寵愛を授かっているなんて、絶対有り得ない!!!」
- 149同窓会ss作者23/06/28(水) 21:27:37
本来ならば自分が立香の隣に立つべきなのに。『立香と結ばれる運命にある』という暗示によって、ミツキは立香の1番が自分であると、本気で信じている。そこに根拠がなかろうと、彼女の中では既に決定事項。しかし、目の前に現れた愛しい愛しい藤丸くんの隣にいるのは、ぽっと出の赤の他人。それも1人じゃなくて3人も。だからこそ、立香の周りに鬱陶しい程まとわりついている新参者の、アルトリア・アヴァロン、『両儀式』、アーキタイプ:アースが気に食わない。それもそのはず、ミツキにとっては自分の運命の相手を横取りした下手人にしか見えないのだから。
ミツキ「でも、藤丸くん、あのエセ彼女達が好きだって言った………もしかして、藤丸くん…………あのエセ彼女達に洗脳されて、思ってもいないことを言わされている!?そうだ!絶対そうだ!!!…………早く、早く!私の藤丸くんを助けないと!あの時藤丸くんがしてくれたことを、今度は私がやらなくちゃ!!!」
普通ならそんな結論にはそうそう至らない。しかし、ミツキには実際に洗脳されてい経験があるからこそ、容易に想像出来てしまったのだ。あの時の苦しみを誰よりも知っている、だからこそ、助けられるのは同じ経験をした自分しかいない!そう決断したミツキは動き出す。今も苦しんでいるであろう立香のためにも、手段を選んでいる時間はミツキにはなかった。
ミツキは自らの肩にかけていた、女性が持つにはいささか大きめなサイズのバックを開ける。その中には、梱包材に包まれた、『ピンク色の液体が入った同じくピンク色のガラスの試薬瓶』と、『赤い液体の中に小さい何かが入った丸型フラスコ』が入っていた。
ミツキ「後押ししてくれた"あの人"からの贈り物、持ってきてよかった……………。これでエセ彼女達3人を出し抜ける。」
彼曰く、『惚れ薬の上位互換』と、『万が一の時の人工護衛』。それ以上のことはミツキにはよく分からなかったが、……………これを使えば立香を魔の手から救い出せる。それが例え、多少強引な手段であろうとも。
- 150同窓会ss作者23/06/28(水) 21:28:39
ミツキ「待っててね、藤丸くん。もう少しの辛抱だよ…………私が、将来の伴侶の私が、絶対、絶対に、助けてあげる。あんなエセ彼女達よりも、私と一緒にいた方がいいってこと、私の愛で証明してあげるから。私の方が藤丸くんを愛してるんだから。幸せにできるんだから……………」
虚ろな目で、決意を固めるミツキ。皮肉なことに、"かつてのミツキ"が持っていた、"立香の為になりたい"という思いが、彼女を凶行へと走らせる。
ミツキ「………私が、私が助けるんだ、藤丸くんを…………藤丸くんを……………藤丸くん…………藤丸くん藤丸くん藤丸くん♡藤丸くん♡藤丸くん♡藤丸くん♡藤丸くん♡藤丸くん♡藤丸くん♡藤丸くん♡藤丸くん♡藤丸くん♡……………アハ♡大丈夫だよ藤丸くん♡助けたらすぐに首の忌々しいキスマークを"削り取ってあげる"から♡代わりに私がたくさんたくさんキスしてあげる♡たくさんたくさんキスマークつける♡"血が流れてもやめてあげない"んだから♡そしたらね♡そしたらね♡同窓会なんか抜け出して、私の家に行こう♡他の人のことなんて"死んだっていい、どうでもいい"から、ね♡2人だけで熱い夜を過ごすんだぁ♡藤丸くんは、怖がるかなぁ、泣いちゃうかも…………でもやめないよ♡だって♡そんな藤丸くんもだ~い好きだから♡愛してるからぁ♡。好き♡、好き♡、好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡好きぃ♡」
- 151同窓会ss作者23/06/28(水) 21:29:05
突然、彼女はまた立香への向ける"愛"を語る。先程までの理知的な雰囲気を掻き消して。これが、長い間狂愛に侵食され続けた結果、生まれてしまったミツキの厄介な性質。ほんの些細なきっかけで突然狂いだし、そしてある時突然正気に戻り理性が宿る。まるで二重人格者のように、コロコロと変わる情緒の不安定さ。この同窓会において誰一人、彼女の異常に気づけていないのはこのため。アヤネやリンの獲物を狙うような視線に敏感に反応したとはいえ、ただの人間であるユウカには見抜けなかった。上位存在である、アルトリア、式、アースの3人ならば見抜けたかもしれないが、元来の大人しい性格と目立ちにくい容姿により、3人の目に留まることがなかった。つまり、ミツキは現状、誰も把握出来ていない、藤丸立香争奪戦のダークホース的存在であった。時が経つにつれ増していく狂愛に呑まれていくミツキは、狂気と幸福感に満ちた笑みを浮かべる。もう我慢しない。我慢できない。だって、だって、こんなにも愛おしいのだから───
───こうして、良家に生まれ、人形のようだと称された『無垢なお姫様』は、『運命の王子様』に助けられた。けれど、運命というのは非情なもので。『お姫様』は人生で初めて抱く『王子様』への恋心を、『悪い魔法使い』に利用され、『お姫様』は狂うほどの『愛』に支配されてしまいました。そして、『悪い魔法使い』の思惑通りに、『お姫様』は『王子様』を求めました。『お姫様』の持つ狂った『愛』が、『王子様』を傷つけてしまうことに気づかずに──────物語の続きはまたいずれ。
- 152同窓会ss作者23/06/28(水) 21:30:01
同時刻、某所。
卓上のライトだけが周りを照らす、薄暗い空間に、男が1人。人当たりの良い青年のような見た目をした男は、かなりの値が付くであろう、高級なワインを嗜んでいた。
『細工は全て終わった。あとは結果を待つだけだ。』
地元のヤクザとのコネを確保し、同窓会会場への誘導も完璧にできた。この街の有力者である県議員の娘にも、それとなく情報を流して彼女らの"狩り"の支援もした。自ら仕上げた伏兵は誰にも気付かれずに今も狂気を内包している。全てが、男の計画通り。浮かれるのも無理は無い。男の感情を表すように、彼の右目が、人工的に作られた魔眼が、淡く光っていた。感情の昂りを抑えるかのように、男は残ったワインを呷った。空のワイングラスが、この空間の唯一の光源が置いてあるテーブルに置かれる。その横に立てかけられたコルクボードには、『カルデアの制服を着た藤丸立香』の写真が張られていた。
『………もうすぐだ。ようやく私の悲願が、達成される…………我が一族の無念は、必ず……………ふふっ。』
新しく中身が注がれたワイングラスを回しながら男は余裕の含んだ笑みを浮かべる。───男の目には、確かな執念が蠢いていた。
- 153同窓会ss作者23/06/28(水) 21:30:39
同時刻、同窓会会場の居酒屋店
タケル「………おい、ユウカ。立香のアレ。あのまんま放っておいて大丈夫か?止めた方がいいんじゃねぇのか?」
ユウカ「ん~?藤丸くんが、彼女達3人から、休むことなく焼肉をあ~んされてるのを、止めろって言ってるのぉ~?止めるのめんどくさいしぃ~、面白いから放置しとこうよぉ~。」
タケル「それはテメェが楽しみてぇだけだろ。………そうじゃなくて、ほら、周り見ろって。」
ユウカ「ん~?………あっ。」
マツナガ「あぁ~………彼氏、彼女いない歴イコール年齢の人達が見事に突っ伏してるね………コレは大ダメージ必須………」
タケル「アイツらも、立香のハーレム事情を受け入れたとはいえ、さすがにずっとイチャつかれるのは、その………酷だろ。」
ユウカ「…………もう、しょうがないなぁ~。一旦止めるのには賛成するよぉ~。まぁ~、でも、ま~たすぐにイチャつきだすだろうしぃ~、一時しのぎなだけだけどねェ~。というわけでぇ~、2人とも頑b」
タケル「パス。俺少し外に出で新鮮な空気吸ってくるわ。テメェ見たく酒に強いわけじゃねぇから、インターバル入れねぇと、到底無理だ。」
マツナガ「僕もパスだね。………………ちょっと急用のメールが来てさ。………すぐに返信しないと。」
タケル「っつー訳で、テメェが止めてこい。」
マツナガ「いやぁ、ごめんねぇ、ユウカくん。」
ユウカ「えぇ~~~?そんなぁ~~~。めんどくさぁ~~~いぃ~~~!」
タケル「文句言うな。早く止めた方が立香に迷惑かけるやつが出でくるかもしれねぇだろ。」
ユウカ「うぇえぇ~~~………………むう、わかったよぉ~。やるよぉ~。…………これ飲みきったらやるぅ~。」
タケル「…………オイ。」
マツナガ「まぁまぁ、ユウカくんがするって言ったんだし。それに、タケルくんは早くリフレッシュしてきたらどうだい?結構キツイんだろ?」
タケル「…………あぁ、そうだな。またコイツの悪ふざけに乗って目的見失うところだったわ。サンキュー、マツナガ。んじゃとっとと行くわ。」
ユウカ「ちぇ~。もう少しだったのにぃ~。」
マツナガ「…………ユウカくん、飽きられないうちにやっといた方がいいと思うよ、僕は。」
ユウカ「は~~~~いぃ~~。」
マツナガ「それじゃあ、僕も失礼するね。………………ユウカくん、大丈夫かなぁ?」
- 154同窓会ss作者23/06/28(水) 21:31:46
ユウカ(あんの、デカブツめ………。面倒臭い用事だけ作って残しやがって………後で罰として駅前の高級チョコレート奢ってもらおう。うん、そうしよう。………………っと、そんなことより、あの問題女2人組、一体どこいったんだ?立香はアルトリアさん達が完全ガードしているから、今は大丈夫だけど………………)
ユウカは周りを見渡して問題児2人を探す。しばらくして、2人を見つけることが出来たが、ユウカにとって想定外が起こっていた。
ユウカ(あ~。見つけた、見つけた。良かった。まだなんも動いてなさそうだ……………って!はぁ!?あの二人が会話している!?いつもは殺し合いする直前かってくらい対抗意識バチバチの犬猿の仲なのに!?……………これ、もし二人が手を組んだのだとしたら、相当まずい………早く、アルトリアさん達に伝えて…………いいや、ダメダメ。コレはクラスメイトの問題。アルトリアさん達を巻き込む訳には行かない…………迷惑になる前に、私が何とかしなくちゃ…………私とタケルとでならギリ捌き切れるはず………よし、覚悟を決めろ、私ぃ!警戒レベル最大!何がなんでも藤丸くんを守り抜く!大切な親友一人、迫る魔の手を全部叩き落とすくらい、やってやるよこんにゃろう!!!)
ユウカは軽く両頬を叩いて、己を鼓舞する。大切な親友を立香を守るため、彼の幸せな今を、守るために。
一方、タケルは店から外に出てすぐの場所で文字通り外の新鮮な空気を吸っていた。タケル自身、十分にアルコール耐性高めなのだが、すぐ近くに規格外の存在がいるため、あまり自覚できていない。むしろ、雰囲気酔いしやすい傾向にあるため、長い時間飲み会に参加する時は、時々こうして外の空気を吸い、深呼吸をしてリセットするのはタケルにとって必須なのだ。繁華街の未だに活気に溢れている喧騒をBGMに、タケルは、ゆっくりと深呼吸をする。
タケル(………………ふぅ。よし、リセット完了、っと。………さてと、戻りますか。アイツがちゃんと立香達のとこ止めてるか確認しねぇと………)
そうしてタケルが店の中に再び入り、戻ろうとしたその時だった。
- 155同窓会ss作者23/06/28(水) 21:33:04
ドンッ
「……………きゃあっ!」
タケル「うおっ!」
店の入口の横にあるトイレの出入口の方向から出てきた人物とぶつかってしまったのだ。
タケル「おっと、すまん!大丈夫か!?」
「大丈夫です…………って、確か…………タケルくん、だよね?」
タケル「おう、そうだせ!………そっちは、えっと、確か…………ミツキ、だっけ?」
ミツキ「うん、そうだよ。……………久しぶりだね。と言っても当時はあんまり話したことないけれども…………」
タケル「それはそうだな………………あ!いけねぇ!思いっきりぶつかっちまってすまん!完全にこっちの不注意だ!ホントにすまん!」
ミツキ「そんな、謝らなくても大丈夫だよ。私も考え事してたし、それに、どこも怪我してないから…………そ、それじゃ、私はこれで……」
タケル「お、おう…………」
そう言って、ミツキは少し焦っている様子で、会場に戻っていった。
タケル「…………俺も、戻るか。」
タケルもまた、彼女の後を追うように、自分のテーブルへと戻っていった。
ここまでなら、日常にありふれたあるあるな出来事だったが、タケルの中には少し、ほんの少しだけ、引っかかることがあった。
タケル(…………ぶつかる前になんかぶつくさ言ってたような気がするな…………確か………………)
『……………藤丸く……………私…………絶対に…………洗脳……解い…………………ずっと、一緒に……………』
タケル(立香と仲良かったのは、立香本人の話で知っていたから、それは別にいいけど………あの人形見てぇに大人しかったミツキが、洗脳だとか、んな物騒なこと言うわけないか…………気の所為、だよな………)
気のせいだと跳ね除けられても文句も言えないくらいそのほんの僅かな引っ掛かりが、何故か、タケルの頭から離れなかった。
- 156同窓会ss作者23/06/28(水) 21:33:45
さらに、同時刻。
メールを返すからと、席を離れたマツナガは、何故か店の裏手にまで足を運んでいた。ただメールを返すだけであれば、わざわざここまで人目のない場所にまで来る必要は無い。それに、マツナガの緊張した様子を見るに、少なからず、そのメールが彼にとってただ事では無いことを物語っていた。
マツナガ「……………ゴクリ」
マツナガは意を決したかのように喉を鳴らし、自分宛のメールを開く。中身はたった一文だけ。
『ウチのバカ息子を、止めてやってくれ。頼む。』
場を静寂が包む。マツナガは黙り込んだまま動かないが、その顔は心の中の葛藤を表すように険しく歪んでいた。
しばらくして、彼は、
マツナガ「………………ハァァァァァ。」
大きなため息をついた。
マツナガ「……………そんなふうに頼られたら、僕が断ることなんて、出来ないこと、よく知ってるくせに。」
それは、ここにはいない、マツナガと親しいであろう誰かに向けられた、呆れの籠った呟き。
マツナガ「まぁ、僕に出来ることなんて、精々知れていますけど……………」
いつものように、飄々とした口調で彼は言葉を続ける。その胸中に…………
マツナガ「…………………わかった、やってやるよ。………"オヤジ"。」
必ずやり遂げる、という決意を抱いて。
- 157同窓会ss作者23/06/28(水) 21:34:19
──────ここに、主役は出揃った。
───ある者は憤怒に駆られ、
───ある者は復讐を誓い、
───ある者は策略を巡らせ、
───ある者は狂愛を謳い、
───ある者は警戒を強め、
───ある者は疑念を抱き、
───ある者は決意を固め、
───そして、ある者は執念を掲げる。
激動の一夜の幕が今、上がろうとしているのだ───
アース「ふぅ………出来ました。今度こそ、会心の焼き具合です。……さぁ、立香。食べてください。そして率直な感想をお願いしますね。」
アヴァロン「肉本来の味を引き正すには、やはり塩のみの味付けが1番、シンプルイズベスト、です。というわけで立香、私の焼いたのも食べてください。」
剣式「ふふふっ。私はサンチョというもので巻いてみたの。お肉だけ食べていたら飽きると思って………どうかしら?」
ぐだ「あ、あの………3人とも、俺もう、そろそろお腹いっぱいで………」
3人「「「あ~ん♡」」」
ぐだ「えっと…………お腹いっぱいだから…………」
3人「「「…………あ~ん♡」」」
ぐだ「…………………い、いただきます………」
───まぁ、その激動の中心人物たる藤丸立香は、そんなこと、つゆも知らないのだが。
- 158二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 21:35:38
藤丸がまた善性で人の脳を焼いておられるぞ!!!!
藤丸の恋人達が強すぎてギャグ展開になる気しかしない… - 159同窓会ss作者23/06/28(水) 21:46:20
今回はぁここまでぇ!!!
いや~長い。すげぇなげぇよ。よう書いたなぁ。ホント。
それでは本文の作者感想を
アヤネとリンは手を組みましたね。どちらも真性のクズなので潰しがいがありますねぇ。ここで触れられたぐだのお金and就職事情ですが、正直、世界を2度救うという大仕事やり遂げたんだから、もう今後ニートでも怒られないと、私は思います。なので組み込みました。
さて問題のダークホース、ミツキ編ですが………
最初は中学時代にぐだに一方的に恋したヤンデレにしようかなぁと考えていたのですが、書いてるうちにあれよあれよと増えまして、ミツキが超絶曇り、黒幕が超絶クズになりました。コンナハズジャナイノニィ!
あと、ミツキ編で出てきた魔眼とかの設定はwikiなりでできる限り調べておかしくならないようにしたはずなのですが、もしここ違うよってところは寛大なお心でスルーして頂けると。本編オリジナル解釈と捉えてくれると嬉し。
- 160二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 21:48:00
弱いオタクだけど思ったよりダメージは受けなかった
前回は直接描写がダメだったみたい。これなら余裕で待てる - 161同窓会ss作者23/06/28(水) 21:51:44
さて、これで目下の問題は3つありますね。
1つ目が『ヤクザ』の若頭、リュウジ
2つ目が『嘘』を駆使するアヤネとリン
3つ目が『いい所のお姫様』だったミツキ
そして、ぐだのヒロインも3人。
言いたいことはわかりますね?
はい、そうです。解決編豪華三部作構成です!イェーイ!………………頑張って書きます。ハイ。
というわけで次回予告
次回は解決編の導入部分ですね。ついに"彼ら"がカチコミしてきます。お店側大迷惑間違いなしぃ!?果たしてどうなるのか乞うご期待!
(ぐだ達が圧倒するのはもう決まってますが……ね?)(¬¸¬)ボソ
まぁ、次は番外編ですけどね。荒れた心を癒せるようなほのぼのイチャつきエピソード仕上げたいなと。今のところ、みんなで遊園地デート!のss書こうかなと思ってたりします。その他にも色んなシチュ提案して、存分に語ってくれると嬉し。
ではまた(*´︶`*)ノ
- 162二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 21:56:19
- 163二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 21:58:48
このレスは削除されています
- 164二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 22:04:45
アヤネとリンも犯罪よりも悪質なレベルでやばいけどぶっちゃけミツキの連続好き好きで全部持ってかれた。
最初らへんのミツキのくだりで「【悲報】藤丸立香氏、カルデアに来る前からやばい奴に好かれていた」と思っていたけどミツキのクソ親どものくだりで「まぁあんな環境ならぐだに依存するか・・・」って納得した。最後らへんで怪しい男が出てきて「あっ、これ催眠術とかでおかしくなったやつ」って思ったけど暗示という単語が出てきて「魔術師やんけぇぇぇ!?」ってツッコまざるを得なかった。
お姫様うんぬんのところで沙条愛歌や「両儀式」を、王子様うんぬんのところでアーサーを連想した。ミツキは被害者だから彼女には救いがあってほしいと願うばかり。
カルデア制服を着ている立香の写真を持っている魔術師らしき男は何を企んでいるかめっちゃ気になる。そして無惨に破滅しろ。
今回も最高にドキドキハラハラでワクワクな神ssありがとうございました。読んでいるときはずっとニヤニヤしており、読み終わってもしばらくしてました。次回の投稿も期待してお待ちしております。最近暑くなってきているので熱中症や夏バテなどにはお気をつけてください - 165二次元好きの匿名さん23/06/28(水) 23:50:18
更新ありがとうございます!!!!!!!!!
楽しみにお待ちしておりました!!!!!!!
いつも通り最高の一言しか出ませんでした……藤丸立香お前……ヤバいやつに好かれすぎだろ……って思うけどそこが好きだ藤丸立香……アヤネとリンのクズっぷりが凄かった……なのでぐだ達に破滅させられるのがすごい楽しみですね……黒幕らしきやつはガチの破滅されて欲しい……ぐだ本人が破滅させてるのも良いな……ミツキには出来れば救われて欲しいよねぇ……いやまぁあの3人には勝てないけど……次回で出てくるであろう例の彼らには物凄い破滅を……破滅を……上位的3人がつよつよ最強なのは当たり前だけどぐだも人類最後のマスターでつよつよなのでヤクザごときにはビビらないしなんなら喧嘩売ってボコボコにしそうだなって……次回も楽しみにお待ちしております!!!!頑張ってください!!!!!
- 166同窓会ss作者23/06/29(木) 07:08:42
皆様感想ありがとうございます!( ˙꒳˙ )
- 167二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 08:12:56
読み返して思ったけどリンの私兵にとって龍紋組は仇なんだよな……バッディングしたらもしかして?
- 168二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 13:49:34
状況が混沌とし過ぎて、一周回ってギャグに見えてきたぞ…まるで犯人たちの事件簿だ
アヤネ(決まった…!! 何という演技力…!! 正直一女優にしておくにはもったいないレベル…!! アクシデントはあったけどこれで藤丸を籠絡出来れば儲けもの…私の…勝ちだ!!)
リン(すごくダンサブル…!!)
キャストリア(え? 何ですこれドッキリ? リツカの同窓会なんてタイミングでリツカ陥れようとする悪女現れます? え? 私の方がドッキリかけられてます?)
またしても何も知らない藤丸立香「?」 - 169二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 18:16:42
- 170二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 18:39:04
- 171二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 18:44:05
なるほど
- 172二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 19:50:55
もしかしてゴッフがこっそり護衛潜入させてたりするのかな?
- 173二次元好きの匿名さん23/06/30(金) 01:12:55
此方も保守せねば…無作法というもの…
解決編もr-18も終わった後でいいので、皆で楽しくダンスする話とか見てみたいですな。
ヒロイン達と優雅にワルツとか踊るのも良いし、ストリートファイター4のディージェイのbgmみたいな陽気な音楽でクラスメイトも巻き込んで踊り狂うのも良し。 - 174二次元好きの匿名さん23/06/30(金) 04:10:54
ぐだも新宿で踊ったことあるしダンス上手そうだよね…………
- 175二次元好きの匿名さん23/06/30(金) 10:07:11
千年城の固有結界で二人踊る……これほど美しいものは無いじゃあないか
- 176二次元好きの匿名さん23/06/30(金) 13:20:20
(順番待ちしてる二人)
- 177二次元好きの匿名さん23/06/30(金) 21:04:20
ぐだ男の女装に興奮する三人概念を投げておこう
- 178同窓会ss作者23/07/01(土) 01:16:14
今晩は皆様( ˙꒳˙ )夜分遅くに失礼します。同窓会ss作者です。
というわけで、2回目の番外編ゲリラ投下です。それではドゾ!
とある日の夕方。
キャストリア「ふっふっふっ~。3週目の半分にして、差をつけての単独トップ。オマケに手持ちにはバナナが2つと防御も完璧。どうやらこのレース、私の勝利は間違いなしのようd………」
剣式「あら、今青いのが飛んで行ったわね。」
キャストリア「ええぇぇぇぇ!?このタイミングで青甲羅ぁ!?ちょっと待って、今爆破されたら穴に落ち………嫌あぁぁぁぁぁ!!!」
アース「はぁ………有頂天になって、驕り高ぶるから、そうなるのです。それはそれとして、遠慮なく先に行かせてもらいますね。」
剣式「ふふっ、そうはさせないわよ、お姫様。お先に失礼するわ♪」
アース「な!いつの間に私の前に………まさか!先程の建物内にショートカットがあるのですか!?」
剣式「実はあるのよ。難易度が高くて、その上キノコ必須だから、タイミングが合わないと使えないけど。」
アース「ぐぅ、かなり差をつけられてしまいました。次が最後のアイテムボックス…………いいものを引けるといいのですが………」
キャストリア「7位………さっきまで1位だったのに………ま、まだ挽回のチャンスはあるはずですっ!最後のアイテムボックスに全てを掛ける……!」
剣式「あら、この引きは………」
アース「最後のアイテムは………キノコ、ですか。………この先のショートカットは苦手なのですが、一か八か、ですね。」
キャストリア「いいもの来いっ!いいもの来いっ!………っ!青甲羅とキラー!!!よっし!!!これで逆転できる!!!ふっふっふっ………さぁ、式さん。私と同じ絶望を味わってください…!」
剣式「………十分に引き付けて………ここ!(バィーン)」
キャストリア・アース「「ク、クラクション!?いつの間に!?」」
剣式「ついさっき出たのよ。………これで、1位確定かしらね。」
キャストリア「えぇ………(唖然)。い、いいえ!まだ、まだです!キラーの効果がまだ続いて………って終わったぁ!もうちょっと持ってよぉ!?この距離は挽回は無理だってぇ!!!」
アース「………最後のショートカット………っ!………上手く行きました……!このまま加速して………!」
剣式「追い上げてきたわね。でも、勝利は譲らないわ……!」 - 179同窓会ss作者23/07/01(土) 01:17:21
───ガチャ
ぐだ「ただいまぁ~。3人とも、今時間いいかな?ちょっと話したいことが………」
剣式「ふぅ………無事1位でゴールで来たわね。」
アース「間に合いませんでした………。もう一回、もう一回やりましょう。次は負けません………!」
キャストリア「………アオコウラ、キライ(ズゥーン)」
ぐだ「あ~…………相談するの、ご飯の後でいっかぁ………」
剣式「…………あら?立香、いつの間に帰ってきてたのね。」
ぐだ「いつの間にというか、ついさっき、かな。改めて、ただいま、みんな。」
キャストリア「! 立香!聞いてください!!さっきからずっーーーと、NPCが私を執拗に狙ってくるんですぅ!3連赤甲羅とか、無敵体当りとか、さっきの青甲羅とか!私が上位にいる時に限って、こぞって妨害してくるんですぅ!!!私の幸運値Bなのにぃ!!!」
アース「………確かにあなたがよく狙われていますが、それこそ時の運というものでしょう?いっそ、受け入れた方がいいのでは?」(幸運B)
剣式「むしろ、アイテムの引きは強い方だと思うわ。たまたま、という可能性もあるんじゃないかしら。」(幸運A)
キャストリア「アイテムの引きがいいのは式も同じじゃないですか!!あんなピッタリのタイミングでクラクション引くなんてぇ!!!私の事バカにしてるんですかぁ!?」
ぐだ「まぁまぁ、落ち着いてってアルトリア。たまにはそういう時もあるって。」
キャストリア「むぅ………で、ですがぁ………」
ぐだ「(こういう時は1回リフレッシュさせた方がいいよなぁ………う~ん………)………あ。ねぇ、アルトリア。そろそろ夕飯準備しなきゃ行けない時間だよね?実は、出かけてた帰りによった商店街のお肉屋さんで、ひき肉が特売になっててさ。それを見て今日はハンバーグ食べたくなって買ってきたんだ。」
キャストリア「ハンバーグ…………ですか?」
ぐだ「そ。だけど、4人分を俺一人で準備するにはちょっと時間がかかるからさ。もし良かったら、アルトリアにお手伝いを頼みたいんだ。いわゆるアシスタント役になるのかな。どう?手伝ってくれる?」
キャストリア「立香のアシスタント………2人での"共同作業"…………エヘヘ……やるっ!やりますっ!アシスタント役やらせてくださいっ!」
ぐだ「良かった。アルトリアがついてくれると心強いよ。んじゃ、早速準備を………」
- 180同窓会ss作者23/07/01(土) 01:18:11
アース「アルトリアだけズルいです…。立香、私にも手伝わせてください…!」
剣式「それなら私も手伝いたいわ。ほぼ毎日台所に立っている私なら、完璧なサポートができると思うのだけれど。どう?」
ぐだ「え、えっと………アースはともかく、式も参加するとなると、ちょっと………」
剣式「な!そ、そんな………どうして、私だけ…………わ、私だって、あなたのためになりたいのにぃ………(ナミダメ)」
ぐだ「違う違う!決して式が邪魔だとか、役に立たないとか、そういう意味で言ってるんじゃなくて!!!」
剣式「じゃ、じゃあ………どうして…………」
ぐだ「えっと………いつもはさ、式が中心になって3人でご飯の準備してくれてるじゃんか。その上、式の料理はとっても美味しいし。いつも感謝してるんだ。だから今日はみんなを労いたくて、俺が夕飯作ろうかなぁ、って。それで俺でもできる、かつ3人が喜んでくれる料理って何かなぁ~って考えた結果、手ごねハンバーグを作ろうと思ったんだ。」
キャストリア「立香の………!」
アース「手ごね………!」
剣式「ハンバーグ………!」
3人「「「………ゴクリ」」」
ぐだ「だから、今日は俺がメインで料理したいから………式には、その………」
剣式「……………わかったわ。直接料理に手は出さないわ。その代わり、簡単なサポートくらいはさせてくれないかしら。私だけ何もしないのは、嫌だもの。」
ぐだ「………ありがとう、式。遠慮なく頼らせてもらうよ。………それじゃあ、始めようか!」
- 181同窓会ss作者23/07/01(土) 01:19:13
───こうして俺達はハンバーグ作りを開始した。
アース「………ハンバーグ用のひき肉と言っていましたが、一般的なものと何か違いがあるのですか?」
ぐだ「牛と豚の合い挽き肉だよ。確か、牛肉と豚肉の割合が、えっと…………」
剣式「7対3ね。柔らかめなハンバーグなら豚肉の割合を増やして6対4にするのが一般的ね。」
キャストリア「ん?それじゃあたまにテレビとかで見る牛肉100%のハンバーグって普通のと何が違うんです?」
剣式「牛肉100%のハンバーグは赤身と脂身のバランスが取れていて、肉感が強くて、肉汁が溢れるのが特徴ね。でも、パサつきやすくて形成しにくいから初心者にはおすすめしないわ。豚肉100%のハンバーグはふっくらとした仕上がりで、濃厚で柔らかい口溶けが特徴ね。脂質が多いから、そういうのを気にしている人は要注意ね。それと、鶏肉100%のハンバーグっていうのもあって、牛100%や豚100%と比べて淡白な味わいになるけれども、低カロリーでヘルシーなのが特徴ね。鶏肉は女性や健康に気を使う人の味方だものね。」
ぐだ「…………料理の腕だけじゃなくて、知識も豊富なんだね。さすがだよ、式。」
───基本的には俺がメインで調理して………
ぐだ「みじん切りにした玉ねぎを飴色になるまで炒めてっと………アース!ボウルにひき肉移してくれないかな?アルトリアは、さっき測っておいたパン粉と牛乳も一緒のボウルに入れてくれる?入れ終わったら教えて。そこに玉ねぎ追加するから!」
アース・キャストリア「「わかりました…!」」
ぐだ「よ~し。それが終わったら………あとはひたすら粘り気が出るまで捏ねる!!!」
- 182同窓会ss作者23/07/01(土) 01:21:30
───時に3人に手伝ってもらいながら………
ぐだ「…………ふぅ。やっと捏ね終わったぁ……。」
剣式「お疲れ様。額の汗拭いてあげるわね。」
ぐだ「あ~、ありがとう、式。」
剣式「いいえ。………それで?次はどうするのかしら?」
ぐだ「次はこのハンバーグのタネを楕円形に形成する。アルトリアとアースは先に俺が手本見せるから見てて!………これくらいの量をとって…………ある程度形を整えて…………ほっ!……ほっ!……こうやって、片手に叩きつけるようにして……ほっ!……中の空気を抜きながら、形を整えて……ほっ!っと………最後に真ん中を少しくぼませて、………こんな感じにできる?」
アース「手順は完全に把握しました。完璧に仕上げてみせましょう。」
キャストリア「私も大体はわかりました。………よぉ~し!頑張るぞぉ~!」
───なんやかんやありながら………
アース「立香。こんな感じでしょうか?」
ぐだ「うん、いい感じだね。アースは飲み込みが早いなぁ。すごいや!(ニコニコ)」
アース「………い、いえ。この程度なら、失敗することもありませんし…///」
キャストリア「ほっ!……ほっ!……ほっ!……………あっ………また、勝手に聖剣作成のスキルが発動して………うぅ………もう一回………。」
剣式「…………どうやったら剣の形になるのか、逆に教えて欲しいくらいだわ………」
- 183同窓会ss作者23/07/01(土) 01:24:31
───もちろん1番肝心な焼く工程は俺がやって………
ぐだ「………………そろそろかな。んじゃ、ひっくり返すよ…………。」
3人「「「……………(ジー)」」」
ぐだ「(ゴクン)………………せーのっ!」
ジュワァァァァ…
全員「「「「おぉ~~~!」」」」
剣式「いい感じに焼き目が付いてるわね。」
キャストリア「狐色って言うんですよね?いい色してますね………」
ぐだ「よしっ!あとは、水とお酒を入れて、蒸し焼きにすればOK!だね。」
アース「………お酒も入れるのですか?」
ぐだ「うん。お酒っていっても料理酒だけどね。入れると風味が豊かになるらしいよ。………あんまり確証は無いけど。」
剣式「それでだいたいあってるわ。それに、この工程は水だけを入れる人もいたり、両面しっかり焼いてから蒸し焼きする人もいるみたいだから、コレっていう正解はないわね。」
アース「なるほど………」
ぐだ「あとは俺一人で仕上げるから、みんなは食器とか出して、座って待ってて。」
キャストリア「わかりました!……えっ〜と……立香!ハンバーグの盛るお皿ってこれでいいですか?」
ぐだ「それでいいよ。ありがとーアルトリア。」
───そして、ついに………
ぐだ「………ペロッ。うん、余った肉汁を使ったソースもこれでOKっと。あとは、先にやっておいた付け合せのにんじん、ベイクドポテト、ブロッコリーと一緒に盛り付けて……完成!!!」
───何とか完成させることが出来た。
ぐだ「それじゃあ、いただきます!」
3人「「「いただきます!」」」
キャストリア「うわぁぁ、美味しそう………あ~、あむっ!………むぐむぐ………」
アース「では私も。………おぉ………切った瞬間に肉汁が溢れでてきて……コレは…………はむ…………」
剣式「箸でも問題なく切れるわね。………はむ………」
ぐだ「ど、どうかな?上手くできてるといいけど………」
- 184同窓会ss作者23/07/01(土) 01:25:35
キャストリア「ん~~~~~!!!!!美味しい!立香!これ、すっごく美味しいですぅ!………あむっ………ん~~~!!!」
アース「柔らかさと噛みごたえのバランスがちょうどいいですね。美味しいです。さすがですね、立香。」
剣式「しっかり火も通っているし、ソースもハンバーグと合っているわね。家庭で作るもの中なら、十分美味しいの部類に入るわね。正直いって、すごいわ、立香。」
ぐだ「ホント!?………みんなの口に合って良かったぁ。」
キャストリア「立香はもっと自信を持ってください!家庭料理とは思えないくらい、美味しいですから!」
アース「………それに、立香が私たちのために作ってくれたハンバーグですから。美味しいに決まっています。」
剣式「ふふっ、それもそうね。色眼鏡ありなら、世界一の、いえ、世界にここだけの最高のハンバーグだものね。」
ぐだ「そ、そうかな…///なんか、少し恥ずかしいや…………俺も食べよ。あむっ………うん。みんなで協力して作ったからかな。今までで1番美味しいや。」
アース「なら、こちらも手伝った甲斐が有るというものです。」
ぐだ「そうだね、みんな、ありがと!」
それからしばらく、みんな無言で会心の出来だったハンバーグを堪能した。
キャストリア「ふぅ………ご馳走様ぁ~。あ~、美味しかったぁ~。」
ぐだ「お粗末さまでした。みんな喜んでくれたようで何よりだよ。」
剣式「立香は料理頑張ってくれたから、後片付けは私たちがやるわ。それでいいかしら?」
キャストリア「わかりました。」
アース「私も賛成です。」
ぐだ「3人とも………んじゃ、遠慮なく頼むよ。いいかな?」
3人「「「もちろん!」」」
- 185同窓会ss作者23/07/01(土) 01:26:24
キャストリア「これをしまって………よし、片付け終わり!!!」
剣式「それじゃあ、私は明日の朝食の仕込みを始めるわね。」
アース「わかりました。…………そういえば、立香。」
ぐだ「ん?アース、どうかしたの?」
アース「今日の夕方、帰ってきた時に何か言ってませんでしたか?」
ぐだ「あ………すっかり忘れてた………。みんな、ちょっといいかな?」
キャストリア「ん?どうしたんです、立香?」
ぐだ「えっと、今日、俺昼からミツキの働く保護施設に手伝いに行ったのはみんな知ってるよね?」
アース「えぇ。事前にその情報は共有済みですが………」
ぐだ「それで手伝いが終わった時に、ミツキから手伝ってくれたお礼として、これ貰ったんだ。」
剣式「これは………どこかのチケットですね。」
ぐだ「そう。しかもあのU〇Jのチケット。なんでも、ミツキが仕事の同僚と一緒に行く予定だったんだけど、全員急な仕事が入っちゃったみたいで、使わないのもなんだしって、手伝いの報酬として貰ったんだ。それに、ちゃんと4枚あるよ。」
キャストリア「えぇ!?それってつまり………」
ぐだ「うん。3週間後の土日に、みんなで1泊2日のU〇J旅行行きたいなぁ~、って思ってるんだけど………どうかな?確かその日は誰も用事入れてないはずだから」
キャストリア「行く、行く!絶対に行きましょう!!!」
アース「せっかく貰ったものですから、使わないと損ですしね。私も旅行するのに賛成です。」
剣式「ふふっ、もちろん私も賛成よ。家でのんびり過ごすのもいいけれど、たまには遠出をしたくなるもの。丁度いい機会ね。」
ぐだ「んじゃ、満場一致で旅行決定ってことで!」
3人「「「異議なし!」」」
こうして、彼らはありふれた幸せな日常を過ごしていくだろう。
──────今日も藤丸家は平和です。
- 186同窓会ss作者23/07/01(土) 01:34:01
- 187二次元好きの匿名さん23/07/01(土) 07:20:23
ハンバーグ(聖剣)
- 188二次元好きの匿名さん23/07/01(土) 13:23:22
保守
- 189二次元好きの匿名さん23/07/01(土) 13:44:23
めっちゃ好き……日常の一コマありがとう……最初から最後まで相変わらず最高だった…式さんが手伝うのはちょっと……ってぐだが言った時の剣式さんの例のシーン反応可愛くて好き……ぐだの手ごねハンバーグを楽しみにしてる3人好き……
更新ありがとうございます!!!!本編の続きも楽しみにお待ちしております!!!!!!
- 190二次元好きの匿名さん23/07/01(土) 18:53:22
四人の子はどんな風に育つかな?
- 191二次元好きの匿名さん23/07/01(土) 21:16:12
何事もなく健やかに育ってくれると嬉しい
- 192二次元好きの匿名さん23/07/02(日) 01:00:23
わくわく
- 193二次元好きの匿名さん23/07/02(日) 07:26:37
そろそろ次スレかな?
- 194同窓会SSの人とは別人です23/07/02(日) 10:49:42
いきなり始まるぐだ×上位存在ヒロインズ 未知(?)との遭遇編
「突然変な事件に巻き込まれた訳だけど……昔マシュから話を聞いた時は、ネコアルクっていうのがここまでトンチキな存在だとは思いもしなかったよ…」
「ボーイ、アタシのことサメ映画のサメか何かの同類扱いしてない? ネコの顔も三度までってことわざ知ってっか?」
「それを言うなら仏の顔もでしょう。…これがアルクェイドの派生的ナマモノだとするなら、私も無関係では…。…泣きたくなってきました…」
「まあまあ。…アルトリア顔が増えるのと似たような物と考えれば、多少気が楽になりますよ。派生は私の方ですが」
「大変ね二人とも。私には縁のない問題を背負って。それより、この妙な空間から帰してもらえるよう交渉した方が良いんじゃないかしら」
「そうですね。ここは見たところ妖精郷の一種、あてもなく歩くより住人と交渉した方が良いでしょう」
「早く帰りましょう。でないと私、あの粗悪な鏡じみたナマモノを脳天からブチ割ってしまいそうですから」
「あら、アースもなの? 私もあのナマモノの斬り心地を確かめてみたいのよ。あんまり長居してると抑えられなくなっちゃいそう…」
「ニャニャ、あまりにも突然の殺意! アタシ達、どーして全能系ヒロインとかいう厄ネタ引き込んじゃったのかにゃー!?」
「と、とにかく交渉! 交渉しよう! 暫定の代表はオレってことで!」 - 195同窓会ss作者23/07/02(日) 18:26:32
とても良き(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ
- 196二次元好きの匿名さん23/07/02(日) 21:55:27
もう埋まりそうだね
- 197二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 00:36:17
そろそろ次スレ建てたほうがいいかな?この概念大好きだから是非続けたい・・・
- 198二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 00:44:54
明日お願い
- 199同窓会ss作者23/07/03(月) 11:41:40
夜まで持つように保守
次スレへのリンクは200にお願いします。 - 200二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 12:24:32