ニシノフラワーのキャラストーリー異伝【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:51:26

    注意
    アプリ版のキャラストーリーの1~4話の構成をもとに書いてあります
    妄想です(重要)
    トレーナーは男女どちらでも読めるように書いてあるつもりです

    それでもよろしければどうぞ

  • 2二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:51:39

    第1話

    トレセン学園の新人トレーナーになってしばらく経ち、自分の担当を持つ時期になった。
    とはいえ、自分のような新人に担当になってもらいたいと思うウマ娘なんているんだろうか……。
    そんなことを考えていると花壇にたどり着いた。
    学園の生徒たちが育てているらしく、色とりどりの花が咲いていた。

    「あの、なにをしてるんですか?」

    花を見つめていると声をかけられた。
    声の主はジョウロを持った小柄なウマ娘だった。
    どうやらこの子が花の世話をしているらしい。

    「きれいな花だなあ、って見とれてたんだ」

    そう言うと彼女は嬉しそうに微笑んだ。
    彼女は水をやりながら我が子のように花を紹介してくれた。
    自分も水やりを手伝うと申し出ると、また彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。

  • 3二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:51:50

    近くの水道で水を汲んでいるとジャージを着たウマ娘が駆け寄ってきた。
    「フラワーさん、よろしければ一緒に併走を……あ」
    水やりの途中であることを察してか、光る耳飾りを付けたウマ娘は口ごもってしまった。
    「大丈夫ですよ、ブルボンさん。もう少しで終わりますから」
    彼女がにこりと微笑むと、ブルボンと呼ばれたウマ娘もほっと胸をなでおろした。
    すると彼女がハッとした表情になる。
    そして私に向きなおって恥ずかしそうに口を開いた。

    「すみません、自己紹介がまだでしたね……私の名前はニシノフラワーといいます」

    これが私とニシノフラワーの出会いだった。

  • 4二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:52:09

    第2話

    水やりを終えてそのまま二人のトレーニングを見させてもらった。
    ミホノブルボンと名乗ったウマ娘は背も高く、しっかりと身体が出来上がっていた。
    小柄なフラワーと並ぶとそれが一層際立って見えた。
    ウォーミングアップも終わり、二人はスタートラインに立った。

    「……本当に2400でいいのですか?」
    「はい。お願いします」

    ブルボンの心配そうな口ぶりが気になったが、私はスタートの笛を吹いた。
    二人分の風が私の頬をなでる。
    速い。
    二人ともメイクデビューはまだのはずなのに、遜色のない走りをしている。
    特に目を引いたのはフラワーの走りだ。
    小さな身体で逃げるブルボンに食らいついている。
    いや、もし半分の1200mだったらひょっとすると、とも思える走りだった。
    しかし2000mを超えたあたりで明らかにフラワーの脚が鈍くなった。
    そして変わらず逃げるブルボンとの距離を縮められず二人はゴールした。

  • 5二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:52:21

    すっかり息が上がってしまっているフラワーに駆け寄る。

    「大丈夫!?」
    「へ、へいき……です……」
    「……ステータス『疲労』を確認。水分補給を推奨します」

    うっすらと汗をかいているブルボンがボトルを差し出す。
    受け取ってボトルに口をつけているフラワーの顔をタオルでふく。
    タオルはすぐに汗でぐっしょりと濡れそぼった。
    「すみません、二人とも……」
    ぽつりとフラワーがつぶやく。
    ブルボンはしゃがみこんでフラワーと視線を合わせた。

    「もっと長い距離を、と思う気持ちは私もわかっているつもりですから」

    表情は変わっていなかったが、どことなくやわらかな声色だった。
    とはいえ、この走りができるなら模擬レースでもきっといい結果が出せるはずだ!
    ……そう思っていたのだが。


    模擬レースの出走表にニシノフラワーの名前はなかった。

  • 6二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:52:40

    第3話

    私は模擬レースを担当するトレーナーに話を聞いた。
    「彼女はまだ身体が小さい。ケガをさせてしまっては元も子もない」
    多分至極まっとうな理由、なんだと思う。
    それでも私はフラワーの走りが頭に焼き付いて離れなかった。
    どうしたものかと頭を悩ませていると。

    「フラワーさん、どこ~?」
    「フラワーちゃん見つかりましたかライスさん?」
    「ううん……どこ行っちゃったんだろ」

    帽子をかぶった二人組のウマ娘が困ったように顔を見合わせていた。
    どうかしたの、と尋ねると二人は事情を話してくれた。
    フラワーが見当たらないらしい。
    「いつもならグラウンドでトレーニングしてるはずなんですけど……」
    青いバラが印象的なライスシャワーが心配そうに胸を押さえる。
    「お弁当でも作ってるのかなってキッチンも見に行ったんですけどいなくって」
    穴の開いた帽子から耳を突き出しているマチカネタンホイザも困り果てていた。
    「……もしかしたら」
    そうつぶやいた私を二人は不思議そうな目で見つめた。

  • 7二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:52:56

    小さな背中が花壇の前でしゃがみこんでいる。
    「隣、いいかな?」
    私が声をかけるとフラワーはまん丸な目で見上げてきた。
    でも彼女の目はすぐさみしそうな色に変わった。
    彼女は返事はせず、ただ黙ってうなずいた。
    フラワーと同じように花壇の前にしゃがみこむ。
    「……模擬レースのことは気にしないでください」
    彼女のほうからいきなり本題を切り出された。
    「私を心配してのことだとはわかっていますから」
    フラワーの目線の先には白い小さな花が咲いていた。

    「あなたは、どうしたいの?」

    「えっ……」
    フラワーの目線が花から私の顔に移る。
    私はにこりと微笑む。
    「花は自分で花を咲かせるでしょ?周りができることは水をやったり、お手入れをするくらい」
    彼女は真剣な表情で私を見つめていた。
    「ウマ娘だって同じだよ」
    そしてもう一度尋ねる。

    「フラワーはどうしたい?」

    彼女は少しだけ声を震えさせて。
    「……レースに出たい、です」
    目の奥に灯る光は煌々と燃えていた。

  • 8二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:53:08

    第4話

    翌日、私は件のトレーナーに頭を下げていた。
    フラワー自身からの要望もあり渋々ながら模擬レースへの出走を認めてくれた。
    トレーナーは私たちが部屋を出る直前まで心配そうな目で見つめていた。
    そして模擬レース当日。
    フラワーはゲートの後ろで準備運動をしていた。
    登録枠の関係で短距離1000mでの出走だった。
    観客席には私のほかにも何人かのウマ娘たちがいた。

    「だ、大丈夫かな、フラワーさん……」
    「うう~……まるで自分のことみたいに心配しちゃうよ」
    「……私たちにできるのは信じることだけです」

    ライス、タンホイザ、ブルボンの三人が心配そうに見つめている。
    そんな中。

    「心配ご無用ですよみなさん!なんといってもフラワーさんなんですから!」

    桜色の瞳を輝かせながらサクラバクシンオーが明るい声を響かせる。
    そうこうしているうちにコース上のウマ娘たちがゲートに入った。
    そして。

    ガコン。

    レースが始まった。

  • 9二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:53:30

    ブルボンとの併走を見た限り、フラワーは先行だ。
    どんな位置取りを、と思っていると。

    フラワーがハナをとった。

    掛かってしまったか!?
    そう思い、身を乗り出してしまう。
    いや、違う。
    フラワーが速すぎるんだ。
    「……いつものフラワーさんのペースです、問題ありません」
    ブルボンが抑揚の少ない声でつぶやく。
    そして最後までスピードを落とさないどころかさらに突き放して。

    フラワーはゴール板を駆け抜けた。

    感嘆で声を出せずにいると、桜色の声が私に向かって投げかけられた。

    「言ったでしょう?心配ご無用と」

  • 10二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:53:56

    レースを終えたフラワーに駆け寄る。
    すると例のトレーナーも一緒についてきた。
    フラワーのそばまで来ると、トレーナーはめずフラワーに、そして私にぺこりと頭を下げた。
    「すまない、二人とも。見た目や年齢だけで判断していけないと頭ではわかっていたつもりなんだが……修行不足だな」
    そう言ってばつが悪そうに頬をかいた。
    フラワーはにこりと微笑む。
    「私を心配してくれてのことだったんですよね?だから気になさらないでください」
    私も同意してうなずく。
    トレーナーは私たちを見比べて、苦笑しながらもう一度頬をかいた。

    「まったく、いいトレーナーを見つけたなフラワーくんは」
    「えっ、私はまだフラワーのトレーナーではなくて……」
    フラワーからは驚いたような視線を、トレーナーからはあきれたような視線を向けられた。
    「あー……あとは二人でやってくれ」
    「えっ、えっ?」
    トレーナーは肩をすくめながら去っていった。

  • 11二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:54:23

    おろおろしている私の手をフラワーが握ってきた。
    レース直後のせいかぽかぽかとしていた。
    「……前に言ってましたよね、花は自分で咲いて周りはそのサポートしかできないって」
    小柄なフラワーがこちらを見上げてくる。
    「でも花だってしっかりお世話しないときれいに咲けません。ですから……」
    彼女が大きく深呼吸をする。

    「私の、トレーナーさんになってくれませんか?」

    彼女の申し出にびっくりしながら、私はひざを折ってフラワーと目線を合わせる。
    私も大きく深呼吸をする。

    「私でよければ、喜んで」

    フラワーが花のように笑った。
    「私はあなたじゃなきゃイヤですよ」


    こうして私とフラワーのトレーナーになった。

  • 12二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:55:35

    運営~……

    はやくフラワーを実装してくれ~……

    絶対こんな駄文より素晴らしいストーリーなんだから早く見せてくれ~……

    お目汚し失礼しました


    こういうのも書いてます

    書いたSSスレをまとめたもの|あにまん掲示板月ごとでまとめるより思い立ったら都度整理してまとめたほうが見やすい(主に自分が)と思ったので以下のスレにまとめてある分も入っておりますのでご留意くださいhttps://bbs.animanch.com…bbs.animanch.com
  • 13二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 21:58:07

    いい同期達だ〜、いい…

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