【SS】異世界クラス転移スレ

  • 1二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:29:23

    「こっ、ここは!?」
     周囲を見渡すと、俺は見たこともないような古めかしい王宮の中に居た。
     俺は平凡などこにでもいる転校生、ついさっきまで編入したての教室で授業を受けていたはずだったが……。
     気が付けば、時空のうねりの様なものに巻き込まれて、俺は見たこともない場所に立っていた。

  • 2二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:30:46

     周囲を見渡すと、他のクラスメイトも同様に周囲を見渡していた。
     混乱しているのか、皆一様に口をつぐんできょろきょろとするのみであった。
    「良く召喚に応じてくれた、勇者たちよ」
     そんな俺達に話しかけてくる、聞き覚えの無い声があった。
     その声の方を見ると、いかにも王様という絢爛華美な装飾と金色の王冠を纏った太めの白髭成人男性が立っていた。
    「ファンタジーっぽい王様!」

  • 3二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:31:56

    「まさかこれは……」
     この展開を、俺はなろうで良く知っていた。
     おそらくこの王様が黒幕で、償還された俺達は凄まじい戦いに巻き込まれてしまうという展開。
    「貴殿らには勇者として、この世界を救っていただきたい」
    「────異世界クラス転移!」
     そう、俺はこの日、異世界クラス転移に巻き込まれてしまったのであった。

  • 4二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:32:42

    「ますはそこの君。何ともさえない顔をした少年よ」
    「誰の事だ……?」
    「今『誰の事だ……?』と呟いた、さえない顔をした少年よ」
    「俺だった」
     王様は失礼な態度で、俺を手招きして呼び寄せた。
     逆らうとどうなるかわからないので、俺は素直に使づくことにした。

  • 5二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:33:53

     王様は俺に、あやしげな水晶に手をかざすよう命令した。
    「これはなんだ」
    「貴様の勇者としての能力を確かめさせてもらうのだ」
    「い、いきなりか」
     どうやら俺は、今からチート能力の精査をされるらしい。
     この展開の速さは嫌いじゃない。
    「では、この勇者石に手をかざすと良い」
    「わ、分かりました。う、うおおお、何か体の力が抜けていくような」

  • 6二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:34:54

    「ふむ……貴様のスキルは『精霊の炎』じゃ。直接的な攻撃力は無いものの、味方をサポートするのに優れる」
    「お、おお。何か凄そうだぞ」
     王様は俺にそう言うと、「ぜひ力を貸してくれ」とにこやかにほほ笑んだ。
     なんだか悪い気はしなかったので、俺は「うっす」とだけ頷いてクラスの輪に戻っていった。
     そして隣の席の、比較的よく話す田中に話しかけに行くことにした。

  • 7二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:35:37

    「皆、気を付けろ。何かあの魔石、力を吸われるぞ」
    「……」
     田中は転校生の俺に、何かと丁寧に世話を焼いてくれた良い奴だ。
     あまり友人のいない俺にとって、貴重な話しかけられる相手であった。
     しかし
    「うるせぇ、俺達に話しかけるんじゃねぇよ」
    「えっ」
     王様の前から帰ってきた俺を、田中は底冷えのするような冷たい目で睨みつけていた。

  • 8二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:36:32

    「お前の能力、ゴミスキルじゃねーか」
     田中は開口一番そう言うと、気持ち悪そうな目で俺を見下した。
    「味方のサポートに優れるって、言い換えればお荷物でしかないって事だろ」
    「ど、どうした田中君。昨日まであんなに仲良く話してくれたのに」
    「お前にはがっかりだよ。とっとと失せろカスが」
     田中はそう言うと、ペッペと唾を吐いて俺を遠ざけた。
    「次は俺の番だ。お前より百倍は凄いスキルを引いてやるから見ておけよ」
     そのあまりの人間の変わりように、俺は呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。

  • 9二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:37:16

    「戸惑っている様だな」
     友達だと思っていた田中に冷たくあしらわれ、ショックで立ち尽くす俺。
     そんな俺に、訳知り顔で語り掛けてくる奴がいた。
    「君は……鈴木君」
    「お前は転校生だから、このクラスの本当の顔を知らなかったんだろう」
     鈴木は俺の後ろの席で、眼鏡の解説キャラという感じの男だ。
     今迄多少は話したことのある、知り合い程度の関係だ。
    「そんな……あれが、田中君の本性だと言うのか」
    「いや……」

  • 10二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:40:21

    「ふむ、田中よ。お前の能力は『風の神鳥』、いつでもどこでも仲間を連れてワープ出来る」
     田中のスキルは、ルーラのようだ。一度行った場所に自由に行き来できるとは。
     本当に、彼は宣言通り俺よりも凄い能力を引き当ててしまったらしい。
    「田中、このゴミが!」
    「お前にはがっかりだぜ田中! 攻撃力の無い無駄スキルじゃねぇか!」
    「アンタなんかと同じクラスだったことが恥ずかしいわ!」
    「く、くそぉ!」
     しかし、何故かクラスメイトの評判は散々だった。
     貴重な?ワープスキルを引いた田中はクラス中にやじられ、肩身が狭そうに隅に追いやられてしまった。
    「えっ、凄く使い勝手がよさそうなスキルだけど」
    「ああ、俺もそう思う。だがな」

  • 11二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:41:45

    「実はうちのクラス、なろう系が凄く流行っているんだ」
    「おい木下! お前にはがっかりだぜ!」
    「このクラスから追放してやる!」
    「ぐぬうう、見ていろよ!」
    「アイツら、まさかこの状況で追放モノごっこしてんの!?」
     俺は鈴木の解説で、この場の全員が茶番で動いていることを知った。

  • 12二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:42:24

    「佐藤、お前はこのクラスにはふさわしくない」
    「そんなー」
    「順調に一人づつ追放していってるな」
     どうやら、クラス全員が主人公をやりたいらしく。
     恒例行事の様にもらったスキルをゴミ呼ばわりされ、クラスから追放されていく展開が続いて行った。
    「王様が大分困惑しているぞ、どうするんだこれ」
     その異様な光景に、王様は心底困惑した態度を取るのみであった。

  • 13二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:43:13

    「つ、つぎ。そこの髪の長い女よ」
     やがて、一人の少女が王様に呼び出された。
     黒髪ロングの、パッチリ瞳。そこに誰もが目を引くような美人が悠々と立っていた。
    「わ、あの娘すごい可愛いな」
    「クラス1の美少女、橋本さんだな。男子連中は、彼女をヒロインにしたくて仕方ないだろう」
     成程、クラスのマドンナみたいなものか。
     まだ話したことは無いが、是非お近づきになりたいものだ。
    「あの娘も追放するのか?」
    「分からん。その場のノリで決まるだろう」
     その場のノリで動いているクラス転移ってなんなんだろう。

  • 14二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:45:24

    「勇者橋本よ。お前の能力は魅惑……すべての男性を意のままに操る能力だ」
    「強力すぎる」
     橋本さんはクラス内でも1~2位を争うぶっ壊れスキルを持っていた。
     これは流石に、追放にはならないかと思われた、が。
    「おい橋本、そんなゴミスキルとはがっかりだぜ!」
     一人のチャラっとした男が立ち上がり、堂々と橋本さんの7スキルをゴミ呼ばわりし始めた。
     どうやら、彼女も追放される流れ……、だと思ったが。
    「橋本、お前との婚約を破棄するぜ!」
    「な、何ですって! こんな公衆の面前でそんな!」
    「おい橋本さんジャンル勘違いしてんぞ!」
     橋本さんだけ婚約破棄モノの世界だった。

  • 15二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:46:29

     橋本さんの婚約破棄の後、一斉に男子が黙りこくった。
     それは不気味なほどの静寂だった。
    「えーっと、何でみんな黙りこくってんの」
    「ばか、婚約破棄物の定番は、もっと格好の良いイケメンと橋本さんがくっついてハッピーエンドだろ」
    「はあ」
     意味が分からなくて鈴木に耳打ちして聞いてみると、彼は真面目な顔で教えてくれた。
    「橋本さんは見定めているんだよ、真のヒーローに相応しい男子は誰なのか」
    「な、何と」

  • 16二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:47:36

     そうか、言われてみれば婚約破棄モノはより素晴らしいパートナーを見つけることでザマァするのがお約束。
     しかし、見た感じこのクラスの男子のレベルは高くない。全員、俺よりもかっこいい顔をしているとは思えない。
     となれば。ビジュアルだけで選ぶとすれば、真のヒーロー役は俺……っ!
     よ、呼ばれるのか? 俺が、ヒーロー役なのか?

  • 17二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:48:48

    「何か橋本さん、微妙な顔してクラスを見渡してるな」
    「お眼鏡にかなう人がいなかったんだろう」
    「だから婚約破棄モノは無茶だって言ったんだ」
     残念ながらクラスのマドンナは、残念そうな目で男子諸君を眺めるばかりだった。
    「橋本お姉さまを幸せにするのはこの私よ!」
    「吉田さん!」
    「女に走ったぞ」
    「これ婚約破棄モノとして大丈夫なの?」
    「クラスの男子が全員微妙だったんだから仕方ない」
     そして、クラス男子全員のため息が零れた。

  • 18二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:50:13

    「結局全員が追放された訳だが」
    「これ、ザマぁする元のパーティが無くね」
     クラス41名のうち、追放されたのが41名。
     これはもう、追放モノとは言えないのではないか。
    「勇者様たちよ、我々も協力を惜しまない。魔王を倒すべく力を貸してくれ」
     途中から俺達の茶番を無視し始めた王様は、誠心誠意そういって頭を下げた。
     パッち見た感じ、裏がありそうには見えなかったが。
    「あの王様怪しいな……」
    「きっと裏で俺達を奴隷のようにこき使う計画を立ててるんだぜ」
    「王様アンチが入った」
     定番として、王様を疑う展開が生徒の間で広がり始めた。

  • 19二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:50:24

    最終的に関係ない現地勇者が何とかしそう(予想)

  • 20二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:50:55

    「でもいきなり呼び出しておいて、戦えってのは変な話だ」
     しかし、よく考えれば王様が怪しいのは事実である。
     いきなり異世界の人間を呼び出して、戦えと言うこと自体が無礼千万。
     そんなに悪い人には見えないが、警戒しておくのは正解の筈だ。
    「俺達も、あの王様には警戒しておこう」
    「いや、実はいきなりじゃなくてな」
    「えっ」

  • 21二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:51:36

    「お前が転校してくる前の話だったか。先週、一回打診があったんだ。異世界に転移させていいですかって」
    「打診!?」
    「学級会が開かれて、賛成多数でオッケーってことになった」
    「学級会で参加するか決めたの!?」
     なんとあの王様、前もって連絡していたらしい。
    「俺達を元の世界に返せ! 王様!」
    「えっ、先週その辺は前もって説明せんかったかのう。しばらく帰れんから、来たくない人は教室に入るなと」
    「めっちゃ良心的! そしてなぜそれを俺に伝えない!」
    「その反応が見たかったから」
    「外道しかいないのかこのクラスは!!」

  • 22二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:52:52

    「どうしてもと言うのなら、また魔力を使って別の勇者を呼ぶが……。協力的でないものに戦って貰うのは不安じゃし」
    「よし、魔王を退治するぞ皆!」
    「おう!」
    「急に一致団結したぞ」
     どうやら王様アンチは定番だからやっているだけで、本当は異世界なろうしたいらしい。
     なろう系好きなんだもんな、お前等。

  • 23二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:54:30

     こうして、俺だけ何も知らされていないクラス転移が始まった。
     その日の晩は歓待を受け、王位して貰った大部屋に雑魚寝する事になった。
    「おはよう」
    「おはよう鈴木君。……なんか人減ってね?」
     次の日。朝起きると、クラスの人数が2割くらいに減っていた。
     まさか、あの王様が何かしたのか?
     本当に罠だったのか?
    「裏でコソコソ暗躍したいらしい」
    「その役割がクラス8割は多いんよ」
     本当にこの先上手くやっていけるのだろうか。
     一抹の不安を抱えながら、俺は鈴木君と共に余りまくっている朝食をたらふく食べた。

  • 24二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 18:55:53

    とりあえず第1話はここまでです。
    追放ものを書く練習としてあにまんに投稿してみました。
    改善点やご指摘などあれば、書いていただければ幸いです。
    ……もしかして、創作カテですかこれ?

  • 25二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 19:10:01

    暗躍が何なのかはわからなさそう

  • 26二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 19:14:33

    SSなら別にこういうのでいいと思う

    小説としてまとめるなら、キャラの行動と意図が分かりにくいのでもっと地の文で動きや表情や反応を書いた方がいいのではとも思う


    あとこれも別にいいっちゃいいんだけど>>7で魔石ってワードを王様も誰も口にしていないのに主人公がいきなり「魔石」って言い出したのはちょっと違和感

    なろう系のファンタジーとかそういうのに触れているから自然と出たワードと思えばおかしいってほどじゃないけど気にはなった

  • 27二次元好きの匿名さん23/06/16(金) 19:23:21

    >>25

    たぶんやってる本人も分かってない

    >>26

    ありがとうございます。ぶっちゃけSS用にかなり地の文減らしちゃったんですよね……

    追放コメディという変なジャンルをメイン小説垢でやる勇気が出ず、あにまんで反応を見たかったから投稿した感じです。なろうは匿名投稿しても何故かばれちゃうん仕様なんですよね

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています