ダイタクヘリオス「自分のモノに名前を書く話」【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん21/12/06(月) 21:52:01

    「ヘリオス、なにしてるの?」
    パーマーがウチの手元を覗き込んでくる。
    「んー?新しくハンドクリーム買ったから名前書いてる」
    返答しながらキャップの部分に“ヘリオス”とペンでさらさらと書き上げた。

    寮住まいのウマ娘たちはトラブル防止のため私物に名前を書くようにしている。
    ウチもその例にもれず今日もお店で買ってきたものに名前を書いていた。
    特に珍しい光景というわけでもない。
    パーマーもそっかとだけ言うと机に向かって書き物を始めた。

    買ってきたものにあらかた名前を書き終え、パーマーのほうを見る。
    パーマーはペンを持ったままノートとにらめっこをしていた。
    ウチより少しだけ大きな背中が無防備に向けられていた。
    キャップをしたままのペンを持ってこっそりと近づく。

    そしてペンでつんと背中をつついた。

    「ひゃわっ!?」
    パーマーが情けない声を上げる。
    つい笑みがこぼれてしまう。
    「ど、どしたんヘリオス?」
    戸惑うパーマーに構わずペンで背中をなぞる。
    ゆっくりと、刻み込むように。


    “ダイタクヘリオス”と。

  • 2二次元好きの匿名さん21/12/06(月) 21:52:22

    なぞり終え、ペンを背中から離す。
    パーマーがそろそろと振り向く。
    少しだけ頬が赤くなっていた。
    「……ヘリオス?」
    「あはは、ごめんごめ……わっ」
    言い切る前にベッドに押し倒された。
    天井灯がにやりと笑うパーマーの輪郭を縁取っている。
    ペンを取り上げられると、パーマーが私の頬をつついてきた。

    「名前なんて書かなくても私はヘリオスのモノだよ」

    そう言うとパーマーは私の手に嚙みついてきた。
    痛くはなかったが、噛まれたところからじわりと熱が広がっていく気がした。
    パーマーが口を放して、噛んだ痕をぺろりと舐める。
    ゾクゾクと甘い痺れが駆け巡った。

    「だからヘリオスも私以外のモノになっちゃダメだよ?」

    ウチはくらくらするくらい熱い頭でうなずくことしかできなかった。

  • 3二次元好きの匿名さん21/12/06(月) 21:53:02

オススメ

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