- 1二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 20:52:43
「あれ、ここは……公園か?」
「はい……どうやら、……幻影の中……のようです」
じめじめと湿度が高く、雨が降り続く日々。トレーナーさんと私はそんな雨が降り続く中、外に出ずカタツムリの殻の中のように部屋に引きこもるみたいに、コーヒーを飲みながら室内で日々過ごしていました。
今日も、目をつむり、雨の音に耳を傾けながら、コーヒーを楽しんでいたら突然意識が途切れたと思ったら、いつの間にか夜のこの公園に迷い込んだみたいです……。
トレーナーさんと一緒にしばらく歩き回って出口を探しましたが、特にそういたものは見つからず。前にもトレーナーさんと一緒に幻影の遊園地に迷い込んだりしましたが、どうやら、似たような空間のようです。
ただ、前回と違うところは遊べるところが多い遊園地と違い、この公園にはブランコだけポツンと置いてあるだけでした……。
「前みたいに、ブランコだけだけど遊ぼうか」
「そうですね……、ここではどんな景色が見られるでしょうか……」
そう言いながら、ブランコに座って二人漕ぐ準備をする。ひんやりと冷たい鎖を両手に握りしめ、助走をつけ地面を蹴り、ブランコが前後に揺れるタイミングをはかりながら、両足を曲げ伸ばしながら、漕いでゆく。
隣のトレーナーさんをちらりと見ると、私より足が長いのか少し窮屈そうに足を曲げながら漕ぐ姿に、日頃見ることがない格好だけに、トレーナーさんには申し訳ないですが、なんだか可愛らしいです……。 - 2二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 20:53:52
時折、背中から押される気配を感じながら、ブランコを漕いで、風を感じ、走って風を感じるとはまた違った気持ちよさが来ます。
「子供の頃以来だけど、なんだか懐かしい感じがするよ」
「私もです……。たまには童心に返って遊ぶ……というのも悪くないですね……」
そう言って、トレーナーさんの意見に同意しながら、私は目をつむりながら、ブランコを楽しむ。風に身をゆだね、鎖のギィコギィコという音を感じながら、子供の時を回想するのです……。
「カフェ、綺麗な景色だね」
私が物思いにふけっていたら、トレーナーさんから声をかけられ、目を開け、空を見上げれば、最近雨で見られなかった、夜空が広がり星々が煌めいている。
月明かりだけが唯一の光であり、まるで、私たち以外誰もいない世界にいるような感覚……いえ、私たちだけの世界でしたね……。 - 3二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 20:55:55
「はい、……とても綺麗な……、景色です……」
「そうだね……本当に綺麗だよ……」
二人でブランコに乗りながら、空を見上げる。ただそれだけなのに、なぜでしょう?こんなにも心が落ち着くのは……。
ああ、そうでした、私は誰かと一緒にブランコに乗ったことがないんでしたっけ……。だから、今は隣にトレーナーさんがいるだけで楽しいですし、嬉しいです……。
しばらくすると、次第にブランコの揺れ幅が小さくなり……、ブランコが止まると、気付くと、再び元の部屋に戻っていました。
「……、お帰りなさい、トレーナーさん。帰ってきましたね」
「うん、ただいま。戻ってこれてよかったよ」
お互いに挨拶を交わした後、私たちは小さく笑い合いました。現実に戻ったことを実感するために……。
「さあ……、コーヒーでも飲みましょうか……」
「いいね。ちょうど喉も渇いていたし」
いつも通りに戻り、豆を挽いて、ドリップしていれたコーヒーを二人で飲む。そして、窓から外を見れば、まだ雨は降っているものの、先ほどよりも弱まっているようでした……。
明日になれば止んでいるかもしれないと思いながら、私はマグカップに入った黒い液体を口に含みます。
ほろ苦くて美味しい味に頬を緩ませながら、同じコーヒーを飲むトレーナーさんを見て微笑みのです……。 - 4二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 20:58:23
- 5二次元好きの匿名さん23/06/21(水) 22:32:37
しっとりしてて良かった
- 6二次元好きの匿名さん23/06/22(木) 01:44:11
この雰囲気好き