【三次創作SS】王来王者【微クロス】

[1 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:17:46]

※このSSは以下のスレから着想を得たものになります

ディスペクター総合スレ①｜あにまん掲示板

その存在は、ただただ歪であった。王としての気高さもなければ、優しき怪物の面影もない。ただただ、醜い勝利を求めるだけの存在

その存在は、トレセン学園のターフの真ん中に立っていた

「……これは、私と……マルゼンスキーさんを足した外見、かしら？」

呟くのは、化物と相対しているウマ娘、キングヘイロー。圧倒的な存在感と、醜悪な雰囲気を醸し出す"それ"に驚愕こそしているものの、臆する様子はない

『二流以下の存在をすべて潰す。そうすれば残るのは一流のみ、超一流の私だけが残れば良い』

化物は──美しい容貌と栗毛のロングヘアが特徴的な、しかし両腕が車輪の化物は同じ事を呟き、学園のターフを占領していた。見るからに危険な存在であるが故に、この場にいるウマ娘達も、学園の警備員も臆してしまったのだ

ただ一人、キングヘイローを除いては

[2 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:18:14]

「確かに競う相手が居なければ、自ずと一流の座は得られるわね。でもね……」

少しずつ化物に近付くキングヘイロー。化物は、ただじっと睨め付けている

「競う相手を潰して得た一流の名に、価値なんて無いわ。光栄に思いなさい、キングと模擬レースを行う権利をあげるわ、おーっほっほっほっほ！」

傲岸不遜に、大胆に笑うキングヘイロー。しかしその高笑いとは裏腹に、化物に対する闘志を轟々と燃やしていた

『キング……ヘイロー……お前を潰せば、私だけが一流になる。私だけが王となる。王は二人も要らない』

「そうね、王は一人で良い。でも残念ね、勝つのはこのキングヘイローなのだから。貴女には、私の背中を眺める権利をあげる」

かくして、異形の化物と、不屈の王の一騎打ちが始まった

[3 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:18:39]

「貴女、とことん他人を寄せ付けないつもりなのね。ま、いいわ。なら……このコインが地面に落ちたらスタート。グルっと一周回ったらゴール、距離は……このコースなら芝2400。日本ダービーとほぼ同じ距離、同じ形状ね。いいかしら？」

本来、模擬レースをする場合は第三者がゴールの判定を行う。しかし、化物はキングヘイロー以外の他者を寄せ付けようとはせず、周りのウマ娘達も恐怖で近づく事ができない様子だった

『潰す。私だけが勝てば良い』

「もう、ちゃんと返事をしなさい！ キングを模倣している姿の癖に、その態度は何なのかしら。私だけじゃなく、マルゼンスキー先輩にも失礼でしょう！」

『私以外の存在に価値などない。敬意を払う必要も無い』

「……あぁ、そう。ともかく、異論はないのね。じゃ、コインを打ち上げるわね___」

キングはそう呟き、手に持っていたコインを親指で弾く。宙高く飛んだコインは、くるりくるりと回りながら落ちていき、地面に接触しようとしていた
キングは、態勢を整え、スタートを切る体制をとったその直後──

ズダァンッ！

コインが地面に落ちるよりも早く、化物は駆け出していた。スターティングゲートが無い故に行われたフライングだ

[4 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:19:08]

「……へぇ、そういう事をするのね」

キングヘイローは、動揺する素振りも無く、コインが地面に落ちてからスタートを切る。実質的に出遅れた為、既に7バ身以上もの差が出来ていた
しかしキングは冷静に距離を詰め、4バ身ほどまでに差を縮めた

『ｼｨｯ!』

距離を詰めてきたキングヘイローに対して、化物は地面を強く蹴り、土塊を飛ばす。凄まじい脚力から放たれる土塊は、弾丸のようにキングヘイローへと飛んでくる

「……残念ね。読めているわ」

キングヘイローは、動揺する様子もなく土くれをステップで回避する。その後も次々と土塊を飛ばされるが、いずれもキングヘイローは軽い足取りで回避していた

「真っ当なレースをしてくるなんて思ってないわ。貴女のようなウマ娘も、居なかったわけじゃない」

ボソリと、キングヘイローは呟く。内心では腸が煮えくり返る思いをしているが、レース中にその感情を爆発させたら勝機が遠のくだけ。数々の経験から、それを知っていた
そうして妨害を回避し続けたキングヘイローは、少しずつではあるが、化物の距離が縮めていった。ゴールまで後少し、両者共にスパートをかけるタイミングだ。キングヘイローが溜めていた脚を使い、1バ身程まで近付いた時、化物が呟く

[5 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:19:25]

『潰す。潰してやる。お前を潰す』

化物は、速度を少し緩めると、真後ろのキングヘイローに向けて後ろ蹴りを繰り出す。ウマ娘の形をした化物の渾身の蹴りが、勢いに乗ったウマ娘に炸裂すれば死に至ってもおかしくない。化物は、勝ち誇ったように笑みを浮かべた

「……本当、残念ね」

だが、キングヘイローにその蹴りが当たる事は無かった。キングヘイローは、1バ身程まで近付いた時点で何時でも外に逸れる事が出来るように身構えていたのだ

「この僅かな時間だけでも、貴女が非凡な実力を持つのは分かっていたわ。このキングとマルゼンスキー先輩を模倣しているウマ娘が、こんなにあっさり詰められるわけがない。本当、残念で仕方ないわ。こんな形で勝つだなんて」

[6 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:20:11]

相手を潰すためだけに走り、脚を緩めていた化物は、勢いに乗ったキングヘイローを捉える事はできなかった。キングヘイローは、凄まじい末脚で最終コーナーを駆け抜ける

『まだ、まだ終わらん……！』

化物は車輪の腕を地面につける。蛙倒立のような姿勢になると、エンジンのような音が鳴り響く。そして常識を逸脱した加速によって、キングヘイローへと迫る
最終直線へと入り、化物が先頭へと立つ。勝利を確信した化物は、逆立ちのような姿勢で後ろを走るキングヘイローを見る

「一つ、良いことを教えてあげるわ」

キングヘイローは、未だ諦める様子を見せていない

「キングはね、首を絶対に下げないの。今の貴女、地面に這いつくばるようで、まるで一流とは程遠いわ」

キングヘイローは、ボソリとささやいた。普通なら負け惜しみと取れるだろう。だが、そのささやき
は、化物の精神に強い衝撃を与えていた

『私が、一流と程遠いだと……？ 貴様、貴様貴様貴様……！ 潰す、潰してやる！』

逆立ちの姿勢から、車輪の腕を大きく振るって土塊をキングヘイローへと飛ばす化物

「諦めないわ、絶対に……！」

キングヘイローは、目を瞑りながら土塊を顔面から受ける。強い衝撃に襲われるが、痛みは感じない。視界は失われたが、あとは真っ直ぐ走り抜けるのみだ。最早視界など不要と判断していた

『潰す、潰してや……ッ！？』

二輪で走行している自動車が、急に一輪になったらどうなるか。答えは単純、保たれていたバランスが失われる。バランスを失った化物は、勢いよくラチへと吹っ飛んだ
車輪による高速走行をしていた化物は、最後に自らのラフプレーによって自滅したのだ
キングヘイローは、気配のみでそれを察知し、更に加速して追い抜きを行う

[7 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:20:22]

『させるか、させるものか！』

それでも化物は、腕を振るって往生際悪く土塊をキングヘイローの背中へと飛ばす。だが、猛然と加速するキングヘイローに届く事はなかった

『負ける。私が、超一流の私が……』

ゴール地点を駆け抜けていくキングヘイロー。その背中を眺めていた化物は、縋るかのように手を伸ばしていた

[8 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:22:18]

完膚なきまでに敗北した化物は、いつのまにか姿を消していた。トレセン学園のターフがようやく自由に使えるようになったのだ

「……真っ当に戦いたかったわね、あの娘とは。本当に、残念ね」

勝利したキングヘイローは、しかし寂しげに呟いた

[9 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:22:56]

終わり。ウマ娘って存在そのものがレクスターズだよね、と思ったので書きなぐった
展開が雑なのは許して

[10 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:24:13]

乙乙乙乙
素晴らしかったです！！！！！！

[11 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:25:19]

あぁ～そうか、手をついたら頭を下げるディスペクトにもなるのか
良かった

[12 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:26:27]

【SS】酔っ払ったある日｜あにまん掲示板

前回はこんなの書いてました

[13 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:31:38]

ちなみにスレ主はタイトルの王来王者は【オーライキング】と読んでます

[14 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 01:44:34]

怪王電融 キングマルゼン　P　火/水文明　(7)

クリーチャー：ディスペクター/リヴァイアサン/ソニック・コマンド/イニシエート　11000

・EXライフ

・侵略：リヴァイアサンまたは火のコマンド

・進化：火または水のクリーチャー

・パワードブレイカー

・このクリーチャーが侵略によって場に出たとき、自分の場にある他のカードを全て墓地に置く。こうして墓地に置いた数だけ、このターン中このクリーチャーのパワーを+7000する

・このクリーチャーの攻撃の終わりに、自分の進化ではないリヴァイアサンあるいは7コスト以下の火のコマンドを墓地から場に出してもよい。そのクリーチャーはスピードアタッカーを得、ターンの終わりに破壊される

・このクリーチャーがバトルに負けた時、このクリーチャーとバトルしたクリーチャーパワーを-20000する

「二流と三流が消え去れば、自ずと残るは一流の存在」

[15 二次元好きの匿名さん 21/12/07(火) 09:34:11]

朝age