- 1二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 02:23:22
トレセンに。
「おや。『何で俺の上半身が聖夜の喧しいイルミネーションみたく光っているのか』って、トレーナー君らしからぬ質問だね。3年を私に捧げてきた君が、よりによってスカーレット君に2対2のビーチバレーへと連行された私にそれを聞いたのだから……ああ、分かっている。私は確かに君との賭けに負けた、今現在私の身柄は君の自由にされる他にない。だからこそ、勝者の余裕を見せて待っておくれよ。スカーレット君」
たえて悪魔の。
「ああ、一応答えておくか。服用者の肉体を数時間の間16,777,216色に光らせる薬を、君の食べていたかき氷に混ぜた。……『海の家に行けない』か。そう躍起になるなよトレーナー君、此度の実験は頗る有意義なものとなったんだ。そう、かき氷のシロップは実際味が変わらない。つまるところ、この薬は香料や着色料などのありふれたもので容易にシロップへ擬態を──分かった。スカーレット君、私がサーブを打つ番なんだな。よく分かった、向こうでオペラオー君が妙に気取ったレシーブの態勢を取っていることも」
なかりせば。
「さて、何処を狙おうか。ウオッカ君然りオペラオー君然り、守備範囲は広いからね……ところでスカーレット君、前に出たまえよ。ん、何故って?」
「ほら、こんなふうにネット際に落ちたボールは、下から掬い上げて返すしかないだろう。君ならそこを叩いて……ほら、これで3点差がついたね。素晴らしい手首のスナップだよ」
「──トレの心は のどけからまし」
「んー、85点」
「あとの15点、取得条件は?」
「『トレ』が『モル』なら5点加算してもいいぜ」
明らかにおかしな足し算をして、私の友人であるゴールドシップは海よりも濃いサファイア色のトロピカルジュースを一口飲んだ。飾り付けてあったパイナップルやチェリーは、とうにむしゃむしゃされたあと。さぞかし甘美な味わいだったのだろうと想像するだけで、私も海の家へ財布を握りしめて赴きたくなってしまう。 - 2二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 02:23:54
書けてるじゃないか
- 3二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 02:26:17
脳内で構築したものを供養します。もし寝落ちしたら起きてから書き切ります
- 4二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 02:29:14
アイアムトレーナーウマ娘を楽しんでるようで何より
- 5二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 03:04:10
私、ビワハヤヒデと他数名のウマ娘は本日、国内のとある海を訪れていた。このプチ夏合宿は簡単に言うなれば、各々の様々な意図が奇跡的な合致を見せたことで実現したものである。
今春、私達の3つ下の世代が日本ウマ娘トレーニングセンター学園──通称『トレセン学園』から巣立っていった。3月の後半に開催された第6回URAファイナルズが例年と変わらぬ大盛況のうちに幕を閉じ、そしてファイナルズが創設されたときに丁度学園の門をくぐったばかりだった雛達は、立派に成長して学び舎より羽ばたいていったのだ。
ところでトレセン学園に入学した時点で、諦めなければならないものが幾つかある。 - 6二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 03:05:35
ふむふむ
- 7二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 03:05:38
(今更ですが詳細不明の部分は独自解釈しています)
- 8二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 03:08:37
問題ない、行け
- 9二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 03:09:01
あと、スレは10レス超えないと2時間で消える
- 10二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 03:09:26
こうして、超えさせる必要があるのでお先に失礼する
- 11二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 03:18:46
おい待てェ失礼すんじゃねぇ ありがとうございますくらい言いたいだろうが
- 12二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 03:48:30
それらは総称すれば『青春』と呼べるのではないだろうか。気の置けない友人と夜遅くまで話題のゲームに没入するのも、魅力的な異性とロマンチックなラブロマンスに浸るのも、普通ならそう厳しく咎められる行為ではない。
だが、トレセン学園の門を叩いた時点で、『普通』は『異様』へと変化する。私自身、少し悪い言い方ではあるが学園で過ごす中で感覚が麻痺していた部分はある。世間一般の常識に照らし合わせて考えるなら、年頃の少女が厳しい体重管理に耐え、毎日気の遠くなる程に過酷なトレーニングをこなし、それでいて一切の成功が確約されない無情な空間に6年間留まり続けるなど、はっきり言って正気の沙汰ではない。 - 13二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 04:21:01
「さあ、これでこっちのマッチポイントよ。ふふん、幾らオペラオー先輩がいたって相方があんたじゃ負けないっての」
「ふぅン……流石は三冠に並んで困難と言われるトリプルティアラを達成したウマ娘。体力は有り余っているらしい、大変結構。結構なのだがスカーレット君……私は現役を退いてはや数年。残念なことに……ついこの間まで2000mだの2500mだので猛ダッシュしていた……君達とは……体力面で如何ともし難い差が生まれてしまってね」
「何をおばあちゃんみたいなこと言ってるんですか。ほら、ここが超高速サーブの見せ所ですよっ!」
「助けてくれトレーナー君。私の肩とふくらはぎは、爆弾で言えば導火線の残りがミリ単位に突入している。いつ爆発してもおかしくない、ということだ」
自分達が過ごしたのとは、また違った形の青春を体験してみたい。そう宣った『ミス・パーフェクト』ことダイワスカーレットが企画主となって、この海旅行は実現したというわけだ。
青春を『失った』と言わなかったことに、勝手ながら私は内心で安堵していた。あくまで別の形に昇華したのであり、決してトレーニングなどに費やしたあの時間は無駄ではなかったと、スカーレットは誇りを持って断言できるのだろう。手放しに賞賛に値する精神を育てたものだ、そんな彼女が今どんな顔をしているのか見てみたくなって、私も一通の手紙で丁寧に送られてきた招待に応じたのである。 - 14二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 13:57:44
がんばれ♥がんばれ♥
ある程度メモ帳に纏めて書いてから投下した方が楽な場合もあるから気を付けるんだぞ♥ - 15二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 14:18:44
相も変わらずスカーレットとウオッカは仲良く喧嘩している。彼女達は入学初期の段階で既に素質あるウマ娘、そして互いに反り合い弾き合うライバルとして注目を集めていた。かくいう私も、間違いなく複数回G1レースで優勝すると謳われる逸材に興味を持っていたのを覚えている。
この旅行はスカーレットが企画・招待を担当しているが、そもそもの発想自体はウオッカ由来だと聞いた。堂々の1番人気で迎えた最後のURAファイナルズを、見事彼女らしい差しっぷりで優勝したあと、新たな戦いの機会を求めた彼女は海外へと主戦場を移した。
海の向こうできっと友人も作っているだろうが、それでも故郷の懐かしい戦友達を思うと寂しくなったのか。スカーレットへいち早く参加の返事をしたのはウオッカだと、向こうでタキオンらしき呻く屍と勝利を喜び合うスカーレットから教えてもらった。 - 16二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 14:21:26
こんな感じで、ちょっとだけ触りを書いてみました。各人の卒業後の様子とか今をうかがえるようなSSが読みたいので誰かこの原案を文章化してSSにしてください
- 17二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 14:25:06
名前欄に
#[任意の文字・漢字不可]
(例.#あにまんまんをあがめよ)
を入力することでトリップを付けられることをお前に教える - 18#あにまんまんをあがめよ21/12/07(火) 14:27:45
- 19二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 14:27:52
シャープの記号は半角で書くと善いぞよ
あと、メモ帳に今回書いたことをまとめつつ改行を考えたり誤字を治しても善いぞよ
乙なのじゃ - 20二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 14:29:03
- 21◆ssLYnC2HLYAF21/12/07(火) 14:29:10
あんたもSS書きか? 的確なアドバイスに感謝感謝
- 22二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 14:36:38
この文章力あればあとはどしどし投稿してくだけじゃねぇか…へへっ
待ってる - 23◆ssLYnC2HLYAF21/12/07(火) 23:35:39
「折角海外から帰ってきたところを悪いけど、私の勝ちよ。文句はないわよね? だって言ったのは他でもないアンタだもん、帰ってくるまでに強くなってろって」
「誰がビーチバレーの練習してろって言ったんだよ……ちくしょー、あそこ自分で行ってたらなぁ。申し訳ねーっすオペラオー先輩」
今日このビーチに集ったのは、ウマ娘が6人とトレーナーが3人。向こうでタキオンのトレーナーよりは弱いが、それでも昼間の陽射しに負けないくらいの七色光りを発現させているのは、ゴールドシップのトレーナー。大方タキオンのトレーナーのかき氷をこっそり拝借したのだろう。これ以上周りがカラフルに点滅するのは居た堪れないので、自分のトレーナーにはつい先程伝えておいたばかりだ──『アグネスタキオンという禁忌には頼るな』と。
頬にひやりと冷たい感覚。驚いて振り返れば、友人がいつも通りの悪戯な笑みを浮かべて立っている。危うく素っ頓狂な声をあげてしまうところだった、視線で抗議すればゴールドシップの笑みは深くなるばかり。彼女と顔を合わせるのは実に1年ぶりといったところだが、変わっていないようで安心……とお世辞にも言い難いのはどうなのか。
ともかく、私の分までトロピカルジュースを買ってきてくれたなら、受け取るのが礼儀というもの。彼女の手からグラスを譲り受けて一口、強めの炭酸の刺激が南国の甘味を伴って体を突き抜けていく。ビーチに到着したときからこれは飲んでおきたいと思っていた逸品だ、ゴールドシップの気遣いには感謝しておかねばなるまい。 - 24◆ssLYnC2HLYAF21/12/07(火) 23:56:52
グラスが七色の光を反射する。夜の花火にはまだ早い。そう言うと、タキオンを運んできた彼女のトレーナーは目隠し用と思しき黒い布を差し出してきた。そこは苦笑なりするところではないのか、別に真っ暗な視界の中でろくに見えない花火がしたいわけではない。ビーチから溢れそうなくらいの群衆がいる中で、火を扱うのも躊躇われるし。
「やあハヤヒデ君。君を見ているといつかのことを思い出すよ。苦渋の決断、最後の手段と覚悟したかのような悲痛な表情で私のラボを訪れてきた、あのときの君の顔をね」
「ふん。私の知る限りでだが、お前がどうにかできなかった唯一の例だったろう」
「いつかリベンジマッチを申し込みたいところだねぇ。可能であれば梅雨時以外にね」
勝ち逃げだ。そう言い切って最後の一口を飲み干す。個人的には、多少炭酸が抜けてからの方が、甘味をより強く感じられて好きだった。
タキオンへの切り返しは、ある種ちょっとした自虐でもある。波状毛と捻転毛の奇跡的なコラボレーションが実現した私の髪は、如何なるケア用品も達人の腕も全く寄せ付けない、まさに最強の荒くれ者である。彼女に助力を願ったのは、確か今くらいの季節だったはず。それでも手も足も出なかったのだから、幾ら異端の天才でも五月の私の髪と戦うのは勘弁願いたいとみえる。この勝負だけは完全敗北を喫したいのだが、それが許される日は果たして来るのやら。 - 25◆ssLYnC2HLYAF21/12/08(水) 00:20:33
今となっては良い思い出、といえるだろうか。何も敗れたタキオンを恨むつもりは毛頭……少しもない。だがこの髪は選手としての私と同じく、今も現役で戦っている。しかも私よりもずっと猛威を振るいながら。逆なら良かったのに、そう思ったのは一度ではないはずだ。
ビーチバレーで体力を使い果たしたタキオンは、うつ伏せになったまま動こうとしない。海鼠や海星でももう少し動くだろうに、余程疲労が蓄積したのだろう。未だにぎゃいぎゃいと言い争っている後輩達とはえらく違う。
「よーうタキオン! オメー今暇か? よし、それならこのゴルシちゃん特製『お前の持ってきた薬全部乗せトロピカルジュース〜ひと夏の思い出を添えて〜』を飲みな!」
「十まで聞いて一も理解できない言葉を話すって、最早特技と言って差し支えないと思うよ?」
呆れ返った顔で寝転がりながらグラスを受け取る。色は透き通った青、匂いは普通。だがタキオンの薬が混入していると言われるだけで、このトロピカルジュースがぼこぼこと泡立ちながら紫色の煙を吐き出す、あたかも童話の悪い魔女が調合している危険な液体に見えてくる。
「あり? 躊躇ねーじゃん」
「薬の安全性は既に保証済みだ。如何なる組み合わせにおいても、ね。君が今日来ると分かった時点でその辺は抜かりない。ちなみに全て混ぜるとあらゆる効能を互いに打ち消し合ってただの水になるんだ、悪いねぇ」
しかしタキオンは危険物をあっさりと飲み干した。ゴールドシップ対策は怠らない、ベクトルこそ違えども同じ問題児だからこそ、そこは徹底しているのか。にやにやとしたり顔で悪い笑みを浮かべ、優雅な肉体急速の時間へと戻っていった。
「……ふぅンン゛ッ!?」
「確かにオメーは薬の効果を完全に確認していたのかもしれねーな。だが詰めが甘いってもんよ、私はゴールドシップだぞ?」
そして細身の体が電気ショックを与えられた魚のように跳ね上がった。疲労を忘れたようにのたうち回るタキオンに視線を吸い寄せられながら話を聞くと、渡す直前にこっそりとオブラートに包んだデスソースを入れていたという。成程、薬の話をすれば当然タキオンの意識はそちらに向く。やはりゴールドシップ、あのタキオンの上を行くとは大したトリックスターである。 - 26◆ssLYnC2HLYAF21/12/08(水) 00:45:38
彼女の早過ぎる引退は、私も鮮明に覚えている。高等部在籍時点で、今もなお破られない強烈なレコードをとあるレースに刻んだ。快進撃は学園卒業後も変わらず、かの『皇帝』シンボリルドルフに続く史上2人目のG1優勝回数2桁への到達も期待された彼女は、しかし一昨年に突如として引退を表明した。
まだやれるだろう。世間は引退に否定的だった。事実、最後に走ると決めたレースで2着に3バ身差をつけて冠を戴いている。余力を存分に残しての不可思議な引退だと、皆が思うのも無理はない。
「ひい……トレーナー君、水を。これはカプサイシン、いやピペリン……無理だ、判断できない」
必死になって口内の辛味成分を押し流そうとしているこの可哀想な女は、その肉体を極限まで酷使してきた。私達が長期的に耐えられる疲弊は、彼女にとってはあまりにも重荷だったのだ。それを背負い、戦い続けるには。
現在、タキオンは学園で仕事をしている。それも意外や意外、担当するのは保健室である。下級生でバ体実験をしていないか、私を含めた結構な数の面々が不安がったものだが、今のところ彼女による被害が発生したとの話は聞いていない。一応は真面目に職務をこなしているようで何よりだ。 - 27◆ssLYnC2HLYAF21/12/08(水) 01:21:51
「ふう……危うく白日の元に痴態を晒すところだった」
「まあまあ手遅れな心配してね?」
「んんっ……あー、ゴールドシップ君、さっきのはカプサイシンと思われる。もしやエル君のを?」
「エサクタ! ちなみにエルコンが結構辛いって感じるレベルだ、そりゃお前耐えられねーよなって」
エルコンドルパサー。また新しい、それでいてよく知っている名前が出てきた。彼女も卒業後選手として活躍し、黄金世代の呼び名に恥じない実力を発揮し続けている。ダートでも充分に走れる彼女は、果たして幾つの重賞レースを勝っていくのか……しかし彼女の名前をエルコンと呼ぶのは初めて聞いた。同じ黄金世代のグラスワンダーなんかは、エルと呼んでいるのに。
「ハヤヒデ、こいつが落ち着いたら泳ぎに行こーぜ。オペラオーは放っときゃこっち来るだろうし、あの2人は……なぁ?」
「誰のせいで落ち着けていないと。先に行っておけば良い、私も後で合流するからね」
うつ伏せの恨み言を華麗に聞き流し、ゴールドシップは海へ勇み足で向かっていく。黙っていれば顔もスタイルも良い、まさに完璧とさえ形容できよう女なのに。いや、黙っていても無理だ──うきうきな足取りで5歳くらいの子供が使うようなアヒル付きの浮き輪を片手に邁進する女では。お前は泳げるだろう、という指摘は野暮なのかもしれない。 - 28◆ssLYnC2HLYAF21/12/08(水) 11:05:01
「誰が1番長く花火を燃やし続けられるか選手権のお時間だオラァ! ふぅ〜〜〜〜ン!」
「困ったな。歳を取るとこんな下らない物真似で青筋が立ってしまう」
結局夕方近くまで海で遊んでいた。久々に童心に返り、多少の疲れと引き換えに心が洗われたかのようにリフレッシュできた。その疲れもホテルでの入浴で丸ごと吹き飛ばし、豪華なディナーでかえって体力の残りが増えたようにも感じられる。
奮発して良いホテルを選んだのは、大正解だったといえる。折しも人の少ない時間帯に行けたお陰で、露天風呂からサウナまで一通り存分に楽しめた。ディナーは海鮮がメインだったが、どれも単品で店を開けるのではないかと思える程の逸品であった。
絶品料理に舌鼓を打ち、心身ともに満足して部屋へ戻った私達。部屋は2人で1部屋、トレーナー諸君は3人で固まると言っていた。特にこういった旅行などで、男がやたらと固まりたがるのは何故なのだろう。女は普段と同じくらいの距離感でわいわいしているが、彼らはイベントに際して驚く程に団結しがちだ。……まあ私達がいると話し難い話題もあるだろうから、敢えて女の園に引き込んだりはしないでおく。
2人で水入らずの時間を過ごす者、部屋の垣根を越えて騒ぐ者。各々思うがままに過ごしていたところに、花火をしようと提案してきたのはやはりゴールドシップだった。どうやらトレーナー諸君とオセロ総当たり戦をしているときに、そういう話になったらしい。私のトレーナーが若干憮然とした表情になっていたので、戦績は芳しくなかったのだろう。この手の頭脳勝負となると、タキオンやゴールドシップに勝つのは中々難しいものだ。 - 29◆ssLYnC2HLYAF21/12/08(水) 17:21:11
ぱちぱち、と色を変えながら、20本入り約300円のお徳用花火は光る。大人になったらこんな子供の遊びで楽しむのは無理だろうと思ったこともあるけれど、やってみると案外楽しいものだ。それとも、皆と一緒に遊んでいるからなのか。
「なあ、ウオッカ」
ふと頭を過ぎったことがあり、漫ろに火花を見つめていたウオッカへ声をかける。余程惚けていたのか、1拍分のタイムラグの後に焦ったように返事をしてくれた。隣でスカーレットが、面白そうに小さく吹き出した。
「君はこの後、どうするんだ?」
ホテルに戻ったら何をして遊ぶか、そんなことを尋ねてはいない。この中で彼女は唯一、海外の猛者達へ挑戦している。まだ目立った成績を叩き出すところまではいっていないらしいが、それも時間の問題だろう。彼女ならきっと、海外の強豪だって差し切ってしまえる。その輝かしい未来に向けて、どんな計画を立てているのかを知りたかった。