【SS】テスト勉強とアイス半分こ

  • 1二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 20:17:32

    「…う~ん、これは、こうかな……。」

     空調のきいたトレーナー室のなかで、いつもは元気いっぱいのマチカネタンホイザが珍しく、頭を悩ませながら問題を解いているようだ。
     それもそのはず、期末テストまで一刻、一刻と近づいてきており、それに向けた勉強をしなければならないのだ。そんなタンホイザの様子を見守りながら、こちらもテスト明けのトレーニングメニューを考え、組んでいく。

     俺もタンホイザもそれぞれの作業に没入し、時が過ぎていく。しばらくすると、タンホイザが難しい問題に挑戦しているのか、

    「……む~ん……む~ん……」
     
     先程からうんうんと頭をひねっている。どうやら、問題がなかなか解けずに苦戦している様子だ。
     そんな彼女に近づき、俺はそっと声をかける。

    「なにかわからないところでもあるのか?」

     俺の声に反応して、参考書とにらめっこしていた彼女は勢いよく顔をあげた。

    「あっ、トレーナー!実は、ここの問題が難しくて、なかなか解けないんですよ」

     彼女はそう言って、机の上にある数学の参考書をこちらに渡してきた。参考書を受け取ると、マーカーで引いてあるこの問題を解くことができなくて困っていたらしい。問題を読んでいくと、確かにこの問題はなかなか難しいと感じながらも、

    「……ああ、この問題ならここを先に出して、これを使って……」

    「ほえぇ!?そうなんですねぇ。」

     そんな解き方があるんだと感心してか、キラキラとした目でこちらを見つめてくる。こちらも褒められたようで少し嬉しい気持ちになる。

  • 2二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 20:19:38

    「ありがとうございますっ。トレーナーのおかげでこれでばっちりです。むん!!」

    「それは良かった。タンホイザ、キリもいいし、少し休憩を取らないか」

     時計を見ると、タンホイザが勉強を始めた時からそれなりの時間がたっていたため、休憩を取ることを提案した。

    「おぉー、もうこんな時間だったなんてびっくりです」

    「集中力には自信があったみたいだけど、ずっと勉強してたから疲れただろ?少し休まないとな」

    「はい、そうしますね」

    そういうと、背伸びをしてから、彼女はぐったりと脱力した。

    「あぁ~……でも、やっぱり疲れましたよ~」

    「結構頑張っていたもんな。偉かったよ」

    「へへっ、それほどでもないですよぅ。私はできることをやっているだけですから」
     
     少し照れくさそうにしているタンホイザを見て微笑ましく思いながら、そんなテスト勉強を頑張っている彼女にちょっとしたご褒美をあげたくなる。
     
     何がいいだろうか……、無難に飲料か、いや、糖分補給もかねてアイスにでもいいかな。この暑い季節にもぴったりだし。

    「それじゃ、勉強頑張っているタンホイザにアイスを買ってあげるよ。何か食べたいものとかはあるか?」

    「わぁ、いいんですか」

    「もちろんだよ。何でも好きなものを頼んでくれ」

  • 3二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 20:20:30

    「やったぁ!!じゃあですね……」
     
     耳をピコピコしながら、嬉しそうにリクエストしてくる彼女の要望を聞き入れてから、財布を持って、購買部に向かう。購買部でアイスを買うと、それをもってトレーナー室に戻ることにした。

    「はい、買ってきたよ」

    「トレーナー、ありがとう。ではでは、もらいますね。」

     彼女は目を輝きながら、俺からリクエストしたモナカアイスを受け取り、封を破って、

    「えい、えい、むん!!」
     
     タンホイザおなじみの掛け声と共に、パリッとモナカアイスを二等分にしてから、片方をこちらに渡してきた。

    「トレーナーさんも毎日暑い中、お仕事頑張ってますから、はい、半分こ」
     
     そう言って、こちらに笑顔を向ける。彼女は初めから、こうするために、半分こしやすいモナカアイスをわざわざリクエストしてくれたようだ。

    「気を使わせちゃったかな。悪いね」

    「いえいえ、全然大丈夫ですよ。今日も、私の勉強見てくれたのでそのお返しです」

    「ふふっ、そうか。半分こありがたくいただくとするよ」

    「はい、どうぞどうぞ!」

  • 4二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 20:21:28

    お互いにモナカアイスを食べ始める。パリッと音を立てながら、モナカが割れていく音がする。口のなかにひんやりとしたバニラの濃厚な味が口の中に広がりながら、噛み砕いていくとモナカとアイスが口の中で溶けて消えていく。美味しい。疲れた体に染み渡るような感覚だ。
     
     横にいるタンホイザを見ると彼女も美味しそうに頬張っている。

    「ん~、パリッパリッひんやりベリーデリシャス~。ごちそうさまでした。」

    「うん。とてもおいしかったよ。」

    「えへへ、よかったです。甘いものを食べたので、頭が冴えてきました。もう一頑張りできそうです」

    「それは良かった。また、分からないところとかあったら聞いてくれて構わないからな」

    「はいっ!その時はよろしくお願いしますね」

    「あぁ、任せて」
     
     そう言って、タンホイザが再び勉強に取り掛かる。その彼女の頑張る姿を見ながら、自分も負けていられないと思いつつ、俺も自分の仕事を再開するのであった。

  • 5二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 20:27:30

    アイス半分こをしたくて書きました

  • 6二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 20:30:40

    半分こ好き
    おマチさんの話し方好き

  • 7二次元好きの匿名さん23/06/29(木) 20:31:04

    色んなものを半分こしてきたマチタンにとっては当たり前の行動かもしれないけどそこに彼女の魅力が凝縮されてますね

    ほっこりしました、ありがとうございます

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