- 1二次元好きの匿名さん23/07/02(日) 23:03:24
- 2二次元好きの匿名さん23/07/02(日) 23:07:52
カプは尾月増えるかもしれない
- 3二次元好きの匿名さん23/07/02(日) 23:37:35
タブレットを置き椅子にもたれ掛かる。
モビルスーツに傷がないことに安心したが、
意識ははっきりしていてもう一度眠れるとは思わない。
それは話す相手もいないこの空間では何も出来ないのと同じだった。
仕方なくタブレットで何か不備がないかともう一度確認をする。
メールの一番上にはデカデカと書かれている文字に目がいった。
【月島様 入学】
アスティカシア高等専門学園 二年 転入
タブレットに写される情報を今でも信じられない。
(面倒臭いな…)
確認を終え本当にする事がなくなったのでそんな事を考えながら窓を覗く。
暗く広い宇宙空間の中に不自然な人工物が大きく浮遊している。
近付けば近付くほど、この宇宙船が蟻のようなスケールに思えるアステカ学園は、それはまるで惑星の要塞のようだと禍々しく感じた。
(ん?)
目を凝らして見ると宇宙服を着た何者かがポツンと宇宙中を漂っていた。
「すみません、アスティカシア学園の近くに人が漂っています。船も近くに見当たらないので恐らく要救助者かと。」
「なに?それは大変だ。場所は、」
「俺が行きます。」
俺はそう言うとアナスタシアを起動した。
「場所は俺が知っているし、アナスタシアの方が速いでしょう。もし緊急性があるのなら早く行くに越したことはない。」
「うん……、確かにそうだな…。今、ハッチ開けます。」
その言葉を皮切りに目の前の扉がゆっくりと開いていく。
俺は慎重にゆっくりと右ペダルを踏みレバーを動した。
すると同時にアナスタシアはゆっくりと動きだした - 4二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 00:15:43
順調に宇宙空間の中を操作し降り立つ。
そこで初めて違和感に気付いた。
(小さい…子供か?)
違和感を持ちながらもモビルスーツを動かしその漂う人物を手で掬う。
思ったより軽い宇宙服を持ち機体内に押し入れる。
やはり目の前の人物は背丈も小さく子供だということがわかった。
俺はヘッドを開き問いかける。
「大丈夫か」
数分沈黙の空間が流れた。一向に返ってこない返事に、心なしに悩んでいると暗く表情の見えないヘッドが開く。
「すまない、手を煩わせてしまって。」
その声は大人びていて、見るとそこには黒髪の青い目をした少女がいた。 - 5二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 01:09:53
「すみませんでした!保護してくださって!」
そう宇宙船の乗組員が血の気が引いた顔で感謝を伝えている。
(面倒臭い…)
どうしてこうなったのか
救助した時、船員達は慌てて少女を連れていき俺に頭を何回も下げている。
別に良いと思うのだが、そう思いながら俺は機械のように相槌を打つ。
何故頭を下げる必要があるのか。寧ろ勝手に判断し出たのは俺だ。俺が批難されるべきだと強く思っていた。
「保護してくださった貴方にお礼が…!」
特に目の前の男はしつこく断っていたのだがお礼がしたいと、このしつこい若い男の猛烈な攻撃に俺は敢えなく撃沈した。
「はぁ、ありがとうございます…」
そうして貰ったのはチョコレートだった。
「有り合わせでしかないですが、此れでよろしくお願いします!」
その男は頭を勢いよく下げた。急に頭を下げられ思わず驚いてしまう。
「……有り難うございます。」
そう言い手のひらにある数個のチョコレートを持つ。
「はい!本当に保護してくださりありがとうございます!では!」
そう若い髭男はハキハキしながらの声で握手し去っていった。
「あ、あぁ…」
巧く丸め込まれた気がするが、こちらとしても損はないので一粒を口に含み、そのまま俺は眠りに着くことにした。 - 6二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 01:27:13
俺は汗に握りながらパソコンに報告書を打っていく。
「…まさかあの人がな…。」
勤務中なのだが頭を抱えうだなれてしまう。
「まぁ、無事だから良いじゃないか。」
そう十歳離れている上司は肩に手を乗せてくる。
「本当にそうですね…。月島君が見つけてくれなければと思うとゾッとします。」
「月島君…、あぁあの子17歳だっけ?あの的確な判断は本当に凄いね。大人顔負けじゃない…?」
「本当に彼、大人びていますよね…でもチョコレート渡したとき子供ぽかったですよ。可愛かったなぁ。」
「はは、よくやったじゃないか。じゃあ報告と届け終わったら今夜飲みにいくか?」
「え、本当に良いんです?奢りですか?」
「割り勘だ。」 - 7二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 01:28:28
保守