スイープトウショウ「フラワーはホント花好きよね」【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 13:16:41

    半ば呆れながら花壇の花に水をあげる。
    フラワーは相変わらずにこにこと微笑んでいた。

    「こんなたくさんの花の世話なんて考えただけで気が遠くなるわ」
    「私だけでお世話してるわけじゃないですけどね」
    「でも毎日花壇の様子を見に来てるじゃない」
    「やっぱり気にはなってしまうので……」
    花壇のそばにしゃがみこんで花を見つめるフラワー。
    彼女の隣にアタシも座り込む。
    目の前の小さな白い花をなでるフラワーの手をなんとなく目で追う。

    「……アタシには花の世話は無理そうね」
    「スイちゃんもカラスやカエルのお世話してるじゃないですか」
    「しもべよ、お世話なんてしてない」
    即座に訂正をする。

    「それにあの子たちはすぐ反応を返してくれるもの。花の感情は……すぐにはわからないし」

    少なくともアタシにはね、と肩をすくめる。
    フラワーの視線が花からアタシへと移る。
    そしてまたにこりと微笑んだ。

    「花もちゃんと自分の気持ちを伝えてくれますよ。ちょっとだけ、伝え方がゆっくりなだけです」

    アタシはフラワーになでられていた花を指先でつついた。
    花はゆらゆらと揺れるだけだった。

    「……やっぱりわかりやすいほうがアタシは好きね」

    そうつぶやくと、花は少しだけ首を傾げたように見えた。

  • 2二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 13:17:21

    もう少し花を様子を見ていたいというフラワーと別れ、中庭を歩いていると。
    「スイープさん!」
    にぎやかな声が聞こえてくる。
    振り返るとキタサンが大柄な身体を揺らしながら駆け寄ってきた。
    「どこ行くんですか?」
    「別に。決めてはいないけど」
    「じゃあ一緒にいてもいいですか?」
    期待するようなまなざしで見つめられる。
    「勝手にすれば?」
    アタシがそう言うとキタサンの顔がぱあっと明るくなる。

    まったく、キタサンはわかりやすい。

    嬉しいときは嬉しそうな顔をするし、悲しいときはこれでもかと落ち込む。
    ……アタシはこのくらいわかりやすいほうがいい。
    隣に並んできたキタサンの手を握る。
    「す、スイープさん……!?」
    途端に顔を赤くするキタサン。
    「なによ、イヤなの?」
    「い、嫌ってことはなくて、その……」
    彼女の熱が手を通じて伝わってくる。
    アタシはにやっと笑って手に力を込めた。
    さらにキタサンが赤く、熱くなる。


    「ま、イヤだって言っても放してなんかあげないけどね」

  • 3二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 13:18:45
  • 4二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 13:48:18

    「フラワー」
    白いデイジーの花を見つめていると後ろから声をかけられた。
    「スカイさん!」
    振り向きながら声の主の名前を呼ぶ。
    「今日もお花の世話?いつもえらいねえ」
    「好きでやってることですから」
    話しながらスカイさんが隣にしゃがみこむ。
    私たちはしばらく無言で花を見つめた。

    静かでゆったりとした、二人だけの時間。

    おもむろに頭をスカイさんの肩に乗せる。
    スカイさんは微動だにしなかったし、顔も見えなかった。
    でも、いつもより少しだけスカイさんの身体が温かく感じる。
    それだけで私はとても幸せな気分になった。
    そよそよと風が通り過ぎる。


    目の前のデイジーが嬉しそうにゆらゆらと揺れていた。

  • 5二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 13:48:38

    重ね重ねお目汚し失礼しました

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