- 1二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:39:13
- 2二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:39:32
事の発端は、別件で移動中の際、トレーナー室を通りががった時である。。
特に意識もせずに通り過ぎようとしたその瞬間、物凄い力で引っ張られて、トレーナー室に引きづり込まれた。
勝手に扉も開かれていて、投げ込むように部屋に放り込まれて、俺は尻餅をついてしまう。
直後、バタン、ガチャと無機質かつ絶望すら感じる音色が、部屋の中に響き渡った。
……まあ、十中八九カフェの“お友だち”の仕業だろうから、あまり怖くはなかったのだけども。
とはいえ“お友だち”がここまで直接的な手段をとるのは珍し────くもないが、悪戯とかそういうことではないのだろう。
もしや、カフェに身に何かあったのだろうか。
脳裏に過る一抹の不安、胸騒ぎを感じながら、俺は腰を落としたまま部屋の中を見渡す。
部屋の中央、そこには美しい漆黒の長髪を持ち、トレセン学園の制服に身を包んだ一人のウマ娘が、四つん這いになって無表情に佇んでいた。
どこか悲しそうな、寂しそうな瞳で虚空を見つめる、カフェの姿だった。
「カフェ? そんな格好をして……もしかして、怪我でも?」
立てないほどに重症なのか、そう思いながら、可能な限り冷静に言葉を紡いだ。
俺の言葉を聞いてようやく俺の存在に気づいたのか、カフェはゆっくりと視線をこちらに向ける。
知らない相手を見つめるような、警戒した瞳。
だから彼女がすんと鼻を鳴らすと、その緊張感はすぐに解れていき、尻尾がピンと立ち上がる。
そして、無邪気な、満面の笑みを浮かべながら、彼女は四つん這いのままこちらに駆けだした。
「…………にゃっ♪」
謎の声を発しながら、カフェは頭から突っ込んでくる。
その勢いはあまり強くなく、俺でも簡単に受け止めることができたほどであった。
ぽすん、と軽い感触でぶつかると、ぐりぐりと気持ち良さそうに頭を押し付けて来る。
突然の出来事に、俺は現実を受け止めることが出来ず、ただひたすらに混乱していると、耳元で声が聞こえた。
ただ一言────まかせた、と。 - 3二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:39:48
「いやいやいや、ちょっとは説明をして!?」
俺と“お友だち”はカフェを通してではないとコミュニケーションを円滑に取れない。
しかしこの危機的な状況に対して、俺達は何とか種族(?)を越えた交流を図り、状況の共有したのであった。
異文化交流の難しさを実感させられる苦難の連続であったが、諦めなければ人はいつか分かり合えるということを確信できる貴重な体験であった。
それはさておき、今のカフェがどういう状況なのかというと、どうやら小猫の霊的なものに憑かれてしまっているらしい。
“お友だち”が少し目を離した隙、あまりにも悪意がなかったため、見落としてしまったそうだ。
幸いというべきか、その存在は弱々しく、その意思は無垢そのもの。
やろうと思えば無理矢理引き剥がすことも出来るし、放っておけば勝手にその意思は離れて消える。
「……でもカフェとしてはあまりそれを望まない、と」
相槌代わりに“お友だち”は棚の資料を一冊落とす。やめて欲しい。
話している間もじゃれついて来るカフェにかまいながら、彼女らしいなと思い、笑みを浮かべる。
出来るなら遊んであげて、満足させて、旅立ってもらいたい。
そんな彼女の想いを尊重しつつ────面倒臭がった“お友だち”はたまたま近くにいた俺を使うことにした、というわけである。
まあ、用事はそんな急ぎではないし、カフェのやりたいことには協力してあげたいから良いのだけど。
「にゃあ……にゃあ……ごろごろ……」
「カフェとしてはあまりこんな姿を見られたくなかったんじゃ?」
カフェの顎の下を撫でてあげると、幸せそうに目を細める。
というかごろごろって口で言うんだ……。
俺の疑問に対して“お友だち”は沈黙を貫き、やがてその気配は消える。
────逃げたな。
俺は大きなため息をつくと、カフェはそんな姿を見て不思議そうにに首を傾げた。 - 4二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:40:17
いつまでも地べたでというのもアレなので、ソファーに移動する。
怪異の影響なのか、この時のカフェはまさに子猫のような軽さで、簡単に持ち上がった。
ソファーに腰かけると、彼女はすぐに俺の膝の上で横たわって、身体を丸くさせる。
「にゃーん……にゃーん……」
そして冒頭の状況に至る、というわけである。
最初はあまりに距離の近いカフェの姿に緊張していたが、徐々に慣れてはきた。
素直に甘えて来るその姿は、とても可愛らしくて、見ていて幸せな気分になってくるよう。
いずれトレーナー寮を出ることになったら、猫を飼ってみるのも良いかもなあ……と思うくらいだ。
「……にゃお」
ふと、どこか物欲しそうな声をあげるカフェ。
見れば耳をピコピコ動かしながら、何かを訴えかけるようにこちらを見ていた。
頭を撫でろ、ということだろうか?
俺は恐る恐る、壊れ物を扱うよう慎重に、彼女の頭にそっと触れた。
艶やかで、さらさらで、梳いた手がすり抜けそうなほど触り心地の良い黒髪。
そしてその耳は先端がとても柔らかく、毛並みも髪質と同じようにさらさらだ。
「…………にゃあ♪」
カフェは声上げながら、気持ち良さそうに身じろぐ。
その様子に俺の方も癒されてしまい、思わず猫のいる生活を妄想してしまう。
飼うなら黒猫がいいな、見た目は孤高でクールな印象を受けるんだけど実は結構な寂しがり屋で、家にいる時なんかはずっとすり寄ってきて、俺の方もやれやれと言いながらついつい笑顔で構っちゃうような、そんな子と一緒に暮らしてみたい。
そんなことを夢想していると、急に頭を撫でる腕の動きか止まる。
見れば、彼女が俺の腕を両手で掴んで、不満そうな表情で見つめていた。 - 5二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:40:42
「しゃー……ふー……!」
「あはは、ごめんごめん、君に集中するから」
「……にゃん」
そう言って笑いかけると、カフェはあっさりと怒りの感情を投げ捨てる。
そして、そのまま俺の指を、何故か興味深そうにじっと見つめていた。
すんすんと匂いを嗅いだり、色んな方向から見てみたり。
何か楽しいのだろうか、少し機嫌良さそうに尻尾をゆらゆら揺らしながら、腕を放さない。
やがて彼女はゆっくりと顔を近づけて────その小さな口でかぷり、と噛りついた。
「んな……!?」
「にゃむ……にゃむ……」
はむはむと、力の入っていない甘噛み。
それ故に痛みはないものの、彼女の白い歯や薄く柔らかな唇の感触、口内の熱が伝わってしまう。
時折、指を舌でちろりと舐めたり、赤ん坊のように軽くしゃぶったり、色んな手段でカフェは俺の指先を蹂躙していく。
ぞくぞくと背筋に走る感覚。
普段ならば絶対に触れることのない部分に触れてしまっているという背徳感。
行っているのがあのクールで大人しく奥ゆかしいカフェであるという事実。
自分がしていることがとんでもないことであると理解していない純粋な瞳。
しばらくすると、急に興味を失ったように、彼女は指から口を離す。
そんな彼女の口元から俺の指にかけて、てらてらと光る一条の橋がかかっていた。
ぐちゃぐちゃになった感情でそれをじっと見つめていると、彼女は疑問の声を上げた。
「んなう……?」
「……うん、君に深い意味はないよな、わかってる、わかってるよ」 - 6二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:41:01
自分に言い聞かせるように、俺は言葉を吐き出す。
そんな俺をまるで気にかけず、カフェは気ままに体勢を切り替えた。
俺の膝の上で、天井を見上げるように、仰向けになる。
両腕を上に挙げて、足からも力を抜いて、だらんとお腹を晒すように彼女は寝そべった。
聞いたことがある、ヘソ天と呼ばれる状態だっただろうか、甘えたり信頼する相手に見せる姿だっただろうか。
……というかこの子なんで俺のことを信用してくれてるんだ?
カフェはともかく、憑いている子猫の方は初対面のはずなのだが。
そのまま彼女はくねくねと身を捩りながら、何かを期待するような視線でこちらを見る。
「ああ、また頭を撫でて欲しいのかな?」
カフェの頭に手を伸ばそうとすると、彼女の手はそれを阻止した。
どうやら違うようであるのだが、何を望んでいるのか一向に見当がつかない。
しばらくの間、俺の手が虚空を彷徨っていると、業を煮やした彼女が俺の手を掴む。
そして、そのまま自身のお腹の上に、ぽんと俺の手を置いた。
「……えっ、お腹を撫でろってこと?」
「にゃん……♪」
その通り、と言わんばかりの表情でカフェは返事をする。
……お腹、お腹かあ。
頭ですらこういう状況でなければ触れるのが躊躇われるのだが、お腹かあ。
流石に拒否するべきかとも思うが、期待に目を輝かせる彼女を見ると、それも出来ない。
…………仕方ない、そう、これは仕方がないのだ。
彷徨える彼女の魂のため、そして早くカフェを解放してあげるためにも、俺は彼女のお腹を撫でなければいけないのである。
「じゃっ、じゃあ撫でるからね?」
「……にゃーお」 - 7二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:41:20
そうして俺はそっと、カフェの腹部に手を添えた。
制服越しからでも伝わってくる彼女の体温と、身体のしなやかさ。
華奢な身体つきに見えるが、そこにはしっかりとした筋肉があることが伝わってきた。
俺はそんな彼女の身体に沿わせるように、手をゆっくりと動かしていく。
すりすりと、あまり力を入れずに、優しく彼女のお腹を撫でていく。
触れれば触れるほど、肉体の柔らかさが、腰のくびれが、身体のラインが、理解出来てしまう。
「にゃあっ……にゃっ……にゃん……にゃおっ……」
ぴくんと身体を震わせて、どこか恍惚とした表情を浮かべるカフェ。
彼女の顔は徐々に赤みを増していき、目には潤みが入り混じり、呼吸は少し荒くなった。
身体の熱は先ほどとは比べ物にならないくらい熱くなり、身体の動きも激しくなっていく。
理性がガリガリと削れていくのを感じながら、ただ無心で、ひたすら手を動かすのであった。
────数分後、俺の膝の上には小さな声で寝息を立てるカフェの姿があった。
僅か数分、しかしそれは長編小説で描かれるような、長く苦しい戦いであった。
ただ彼女と戯れていただけ、殆ど動いてすらいないはずなのに、疲労感がすごい。
心地良さそうにしている姿を眺めていれば、多少なりとも満たされるものの、この消耗は誤魔化せない。
昨日仕事で就寝時間が遅かったのも相まって、瞼が重くなってきた。
「……このまま、俺も眠っちゃって良いかな」
冷静になれば良いはずないのだが、愚鈍になった思考はその事実に気づかない。
もはや俺は、この睡魔に耐えられそうになかった。
遠のいていく意識、狭まっていく視界の中、俺は一つのことを胸に決めた。
猫を飼うのはやめておこう、と。 - 8二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:41:41
次の日、俺はトレーナー室で前日の仕事の遅れを取り戻していた。
昨日色々とあったソファーに腰かけて、テーブルの上に資料を広げている。
あの後起きたら、カフェの姿はなかった。
その代わりにタオルケットがかけられていて、机には置き手紙。
『彼女は満足してくれたみたいです、ありがとうございました』
カフェの綺麗な文字で、それだけ書き残されていた。
とりあえず上手くいったようで何よりだけど、一つだけ疑問が浮かぶ。
昨日のことを、カフェは覚えているのだろうか。
頭を撫でさせたり、顔をすり寄せたり、指を舐めたりかじったり、お腹を触らせたり。
覚えていたら大変なことになりそうなものだけど、どうなのだろうと、不安になってしまう。
すると突然、コンコンとトレーナー室の扉がノックされる。
「あの……トレーナーさん…………私です」
「ああ、開いてるからどうぞ」
普段通りの、抑揚の少ない、低い、でもどこか安心するカフェの声。
どうやらあまり気にしてない様子なので、昨日のことは覚えていないのだろう。
静かに開けられた扉から、彼女の姿が現れる。
いつもの落ち着いた様子で入室して、そのまま俺の方を向いて。
────ボンッ、と爆発するような勢いで、彼女は顔を真っ赤に染め上げた。
ああ……これは覚えてますねえ……。
「……昨日は…………本当に……ご迷惑を…………!」
「あっ、ああ、気にしないで。君の力になれたら何よりだから」
「彼女も……その…………アナタに……あっ、甘えられて…………感謝……してました」
「そっか、それは良かった。でも、何で俺なんかに、あんな信頼してくれたんだろ?」
「それは……その……」 - 9二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:41:57
カフェの目が、都合悪そうに泳ぐ。
聞かない方が良かったのかなと思いながら、彼女の言葉を待った。
やがて彼女は大きく息を吐いて、とても恥ずかしそうに、言葉を紡ぐ。
「私から……トレーナーさんの匂いが強く……それで………………アナタを、飼い主だと」
「……」
それを聞いて、俺の顔も熱くなった。
もう少し距離感を考えるべきか、それとも自分の匂いに気を遣うべきだろうか。
ふと、彼女がずっと立っている状態なのに気づいて、俺は声をかけた。
「まあ、とりあえず座ってよ、本当に気にしなくて良いからさ」
「…………はい……ありがとう……ございました」
頬の赤みを残したまま、カフェは嬉しそうに微笑む。
そして、机を挟んで俺の向かい側に置いてあるカフェ愛用の椅子──を何故かスルーした。
そのまま俺の隣にくっつくように、彼女は腰を落とす。
思わず彼女を見つめるが、まるでなんてこともないと言わんばかりに、平然と笑みを零していた。
「ふふっ……あなたは本当に…………“彼ら”に好かれますね」
「えっと、それは、良いんだけど」
「…………あと……丸投げにした“お友だち”には……キツく……言っておきました……」
「それも、まあ、良いんだけど」
「…………優しいですね……少し…………不安になるくらい」
そしてカフェはあろうことか、そのままごろんと俺の膝の上に寝転がる。
力を抜いて、リラックスした状態で、彼女は俺の顔を下から見つめていた。
あまりにもスムーズに昨日の状況再現が為されて、俺は困惑するしかない。
その様子を彼女は不思議そうに見つめながらも、居心地良さそうにくつろいでいた。
……昨日の件で悪影響があったのかもしれない、俺は正直に問いかけることにした。 - 10二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:42:14
「あの、カフェ?」
「はい…………どうかしましたか?」
「その、この状況は一体……?」
「この状況……? ……………………っ!?」
ようやく自分の行動に気づいたのか、ピシリと身体が固まり、カフェの顔が再点火する。
慌てたように手を動かしながら、弁明の言葉を彼女は口にした。
「すっ、すいません…………これは……昨日のクセで…………身体が勝手に……」
そう言いながらも、彼女は動く素振りを一切見せない。
やがて、諦めたようにため息をつくと、ゆるりと力を抜いた。
そして物欲しそうに耳をピコピコ動かしたり、咳払いしたり、身体をくねらせたりする。
俺はどうしていいのか分からず、身動きを取れないまま沈黙をしていると、やがて彼女は小さく呟いた。
「………………撫でて…………くれないんですか?」
伏し目がちに伝えられる、カフェの可愛らしいお願い。
ようやく俺の思考も再起動し始めて、どうしたものかと考えを巡らせる。
……いや、昨日のはあくまで緊急時の対応だったのだから、あまりするべきではないだろう。
そうは思うものの、拒否をする言葉は、全く出てこなくて。
そうこうしているうちに────カフェの方からトドメを刺してきた。
彼女は両手を軽く握って猫の手を作ると、それを顔の横に置いて、目を逸らしつつ言う。
「にゃっ…………にゃーお…………?」 - 11二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:43:30
お わ り
とあるスレ用のSSです - 12二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 16:56:20
- 13二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 17:04:57
そういうプレイなん?
- 14123/07/03(月) 19:35:02
- 15二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 20:15:38
分かっててトドメ刺すの好き
抗えない かわいい
カフェかわいい - 16123/07/03(月) 23:45:08
真っ赤になりながらつよつよ攻めするカフェいいよね……