ライアンの背側骨間筋ファンスレ支援SS

  • 1二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:19:33

     あたしみたいな、毎日のように鍛えるウマ娘と、その担当トレーナーでもなければ、快晴の日の昼休みにまで学園のトレーニングルームへ来ることはそうない。
     となれば、休憩スペースも、その日はあたしたちの貸し切りで。
     おかげで、思わず出てしまった驚きの声も、椅子から転げ落ちそうになった姿も、他の娘に知られることはなかった。

    「は、背側骨間筋ですか?」

    「うん」

  • 2二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:20:16

     筋トレの直後だからって『好きな筋肉はありますか?』とは、さすがにヘタな質問だったかな、なんて後悔がどこかへ行くほどの衝撃。

     休憩用に置かれた椅子に、並んで座っていた答えの主……トレーナーさんの顔をまじまじと見る。
     担当になってからこれまでのやりとりから、筋肉についての知識も、嗜好も、人並みかと思っていた。そんな人物の『好きな筋肉』に挙がる名前ではない、はず。

     背側骨間筋。手の甲(あと足の甲)の、指の根本の間を橋渡しするように並ぶ筋肉たちだ。

  • 3二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:20:46

     数ある筋肉からそれを挙げた驚きと、トレーナーさんがマイナーな彼らのことも知っていたのだという興奮のまま、思わず質問を重ねてしまう。

    「もっとメジャーな、腹直筋とか、上腕二頭筋とかでもなく?」「うん」

    「手の筋肉たちが好き、とかでも?」
    「手も……まぁ、好きだけど、その中でも特に、かな」
    「足にも、同じ名前の筋肉がありますけど」
    「いや、手の方。足の方はあまり見てないし」

    「手の方も見えなくないですか、普段」
    「そうなんだけどさ、だからこそ、気になるというか」
     気になる。ってことは、好きだけどあまり知らないんだ。じゃあ。

     そうよぎって放った次の一言は、なかば無意識というか、勢いのまま、言ってしまったというか。

    「じゃあ、触ってみませんか?あたしの」

  • 4二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:21:40

    「いや、それは…いいの?」
     あたしの提案に、口では遠慮しようとはしているけど、好奇心は隠せてないようだった。トレーナーさんにウマ耳があったら、きっと前に向いてただろう。

    「見えないとしても、ちゃんと鍛えてますし!」

    「いや、いやいや。手にベタベタ触られるの、気持ち悪くないか」

    「そんなこと!トレーナーさんに…」
    ──触ってもらえるなら、あたしも嬉しい。
     続けようとした言葉は、なんだかすごく…はしたない言い方かも、と思ってしまって。

    「……トレーナーさんには、お世話に!日頃からお世話になってますから!大丈夫です!さあ!」
     若干恥ずかしくなってきたことをごまかすように、勢いのまま、手の甲を上にして、左手を差し出すと。

     トレーナーさんは、何か大切なものを受け取るように、恭しく両手で、包むようにする。

    「……な、なんで、そんな」
    丁寧に。

  • 5二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:22:08

    「あ、いや、両手でも、よかったかな」
     いや、いいんですけど。拒絶と思われないよう、慌ててこくこくと頷きながら、心のうちは穏やかでなかった。

     なんだかこの態勢は、この間読んだ漫画の一場面にも似てるんじゃないか。ヒロインの手の甲に、主人公がキスとかしちゃう、みたいな。でもそんな雰囲気でもないし、でも。ここまでがトレーナーさんの策だったりして、でもでも。

    ……などと、勝手に慌てるあたしをよそに、トレーナーさんは親指で手のひら側から、人差し指と中指は手の甲から、あたしの背側骨間筋を順に確かめては、ちょっとうれしそうにしている。

    「…奥に、"いる"ね」

  • 6二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:22:44

    く、く。と。
    トレーナーさんの指に押される度、少し痛いような、気持ちいいような感じ。

    「わかります、か?」
     少し指を曲げたり伸ばしたりして、動かして位置をわかりやすくしようとすれば、その度にあたしの指先が、自分のじゃない手のひらに触れる。

    「うん、本当に。しなやかで、芯があって……鍛えてるのが、よくわかるよ」
     その後は無言になると、背側骨間筋の形にそうように手の甲を撫でたり、少し指の間を広げるてみたり。色々な触れ方で確かめているらしかった。

  • 7二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:23:22

     それが、背側骨間筋だけじゃなくて、手を、弄ばれてるようで。心地よい、けど、何か恥ずかしくなってきて。早々に白旗を挙げてしまう。

    「そ、そろそろですね」
    「あ、そ、そうだよな、ごめん!普段無い機会だから、つい」
     トレーナーさんの両手から開放された手は、温められて、掌がほんのり赤くなっている。

    「……それにしても、そんなにお好きだったなんて」
    「恥ずかしながら、名前も最近知ったくらいなんだけどさ」

    「そうなんですね!あの人のを見て好きになった〜、みたいな、理想の背側骨間筋ってあるんですか?」
     今後の参考にしようと思って、聞くと。

    「え」
     その質問に、トレーナーさんは心底意外そうにまばたきを、ひとつ、ふたつ。それから。

    「……ライアンの筋肉の中で、って話じゃなかったの?」
    ……手の次は、耳が、赤くなった。

  • 8二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:23:59

    bbs.animanch.com/board/2107964/
    以上。上記スレで拝見した概念を元に、困惑しつつも、義によって助太刀いたした。
    背側骨間筋描写が足りんかも、すまぬ。

  • 9二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:25:29

    リンク上手く貼れてなかったので、再掲いたす。ご容赦を。

    ライアンの背側骨間筋ファンスレ|あにまん掲示板レッツマッスル〜bbs.animanch.com
  • 10二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:44:53

    なぜベストを尽くしたのか

  • 11二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 18:58:50

    背側骨間筋をただ使うだけでなくその特性を活かして書かれておられるとは恐れ入った…すごい発想力…

  • 12二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 19:37:11

    何この……何?

  • 13二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 20:19:21

    これは名作。

  • 14二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 20:25:31

    やたら主張の強い背側骨間筋はともかく良SSなのは間違いないねえ

  • 15二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 20:36:09

    ガチで良SSなの好き
    手→顔の流れ本当に好き

  • 16二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 21:00:51

    普通に伸びてほしい

  • 17二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 21:05:56
  • 18二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 23:01:53

    「トレーナーさん!そういえばの話、なんですけど」
     背側骨間筋の一件から数日後。
     水泳トレーニングを終え、プールサイドで待っていたトレーナーさんからタオルを受け取りながら、こちらから切り出す。

     他のレーンで泳いでた娘たちは、次のトレーニングの場所取りのため、忙しく更衣室へ向かっていく。予約制とはいっても、場所の良し悪しがないではないのだ。

     一方であたしたちは急ぐ必要がない。このあとはクールダウンも兼ねて、トレーナー室での座学とミーティングだから。
     これは1日の他の時間でマッスルする分、オーバーワークにならないようにと、トレーナーさんと決めた時間割。

     でも。あたしにはもうひとつだけ思惑があった。タオルで髪の水滴を拭きながら、『それ』を提案する。できるだけ、いつもの調子で。

    「足の方の背側骨間筋には、興味ないですか?」

  • 19二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 23:02:49

    「ない、ではないけど……どうして?」
     突然の提案に、トレーナーさんはこの前の一件を思い出したのか、少しバツが悪そうに、頬をかく。

    「前、『あまり見たことがない』みたいに仰ってたので。今のあたし、裸足ですし、せっかく時間もありますし」
     暗に、この機会は『偶然』だと、『逃せばもう無いかも』と思わせる布石を打って、畳み掛ける。

    「マッサージも兼ねて、触って、確かめてみたりとか、しませんか?」

     提案してるあたしでさえ、どこか背徳感を感じている。トレーナーさんは、なおのことだろう。

     断る理由を探すように、きょろきょろと周りを確認する。
     だけど、既に他の生徒やトレーナーはトレーニングへ向かい。次の時間帯の娘が来るまでも、まだ少し時間がある。
     だから、しばらくは、ふたりきり。

     そのことを確認したのだろうか。あたしには長く、長く感じた沈黙のあと。
     トレーナーさんは、やがて好奇心に負けて。

     こくりと、頷いた。

  • 20二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 23:04:01

     プールサイドにいくつか置かれた、休憩用の白いプラスチック製の椅子、そのひとつに腰掛けて、足を少し前に投げ出す。
     トレーナーさんは……一瞬姿勢に迷った後、片膝をついて、あたしの足元に。

     そして、どこか躊躇するような。
    一方で、なにかを期待するような。
    罪悪感と、好奇心の混じったような目で、こちらを見上げる。
     あたしは、普段より低い位置にある、その顔を、見下ろす。

     触ろうとしている手は、それでもまだあたしの足先に……背側骨間筋には、触れようとはしない。

     ああ。この人は今、あたしの言葉を待ってるんだ。足に、触れたいんだ。

  • 21二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 23:05:23

    跪いている。トレーナーさんが。あたしに。

     その目に、姿勢に……欲望に。
    どうしても、そう考えてしてしまう。

    「いいですよ、さわって」

    ぞくり。

     許可を出した直後、鳥肌が背を伝う。
    それは、先程まで水を蹴って冷えていた足に……背側骨間筋に、温かな手が触れたからか。

    それとも。

    ……どちらにせよ、ひどく背徳的で、心地のいい感覚には、違いなかった。

  • 22二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 23:08:44

    以上、もう一遍失礼いたした。
    背側骨間筋描写がより足りんかも。すまぬ。

  • 23二次元好きの匿名さん23/07/03(月) 23:22:36

    ちょっと背徳的なのと背側骨間筋の描写とを混ぜて
    背側骨間筋が背徳的と錯覚させようとするな

  • 24二次元好きの匿名さん23/07/04(火) 00:00:21

    >>背側骨間筋の一件

    この時点でだいぶ草

  • 25二次元好きの匿名さん23/07/04(火) 02:01:27

    なにやらすごいフェチを感じる

  • 26二次元好きの匿名さん23/07/04(火) 02:03:29

    うわっついに背側骨間筋のイラストまで挙がった!ッ好きです
    元スレで言われてた事が本当になるとは

  • 27二次元好きの匿名さん23/07/04(火) 08:41:47

    一晩経ったら続編とイラストが来てて草
    なんだこの熱意は

  • 28二次元好きの匿名さん23/07/04(火) 17:05:48

    >>25

    神絵師すぎる

    俺らの背側骨間筋をありがとう

  • 29二次元好きの匿名さん23/07/04(火) 19:54:03

    >>25

    まさか書いていただけるとは。遅ればせながら御礼申し上げます。ちゃんと背側骨間筋を触ろうとして絡み合う手が想像以上に……こう…よいですね、ありがとうございます。

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