「あと8年……待っていて、くれますか？」

1二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 10:35:54

アストルムを脱出してその後の世間のゴタゴタがありながらも子供という立場から多くの人に守られ何事もなく失われた日々をより多くの思い出で満たし心身ともに成長した鏡華ちゃん。
唯一心残りだったのは、騎士くんと交わしたあの日の約束。文通によって繋がりは途切れていなかったものの、アストルム事件の中枢に関わる者として身柄を拘束されていた騎士くんとは逢えず、1人寂しく過ごしていた。

しかし、あの約束から丁度8年が経とうとするある日、手紙に綴られた「高校入学おめでとう。あの日の約束、まだ覚えているかな？お祝いもしたいし、約束の内容も聞きたいから今度は僕が会いに行くよ」という文字に、どうしようもなく歓喜する心。
また会えるその日のために、ミミにコーディネートを教わり、みそぎの激励を受けてとびきりのお洒落をマスターする。

そして、遂に8年ぶりの再会を果たし、あの頃よりも更に輝いて見える騎士くんの顔に、思わず目を伏せてしまう。
私も大人になったつもりだったけど、あの人はそれ以上にかっこよくなってる……。
言いようのない嬉しさの中、「大きくなったね」と頭を撫でられ、もう心は爆発寸前。

しかし、気付いてしまう。
彼の左手の薬指にはもう、紅い宝石の指輪が嵌められていたことに。
動揺する鏡華、思わずその指輪はなんですか？と聞いてしまったが、直ぐに後悔。

「僕をアストルムで支えてくれた晶さんを、あれから現実に戻ってきた時に僕が支えて……今年、やっとあの事件の全てが終わって結婚したんだ」

そんなの、知らない。やっと会えたあの人からの言葉なのに、何一つ聞きたくない。
速くなる動悸を抑えようと胸に手を当てる鏡華。騎士くんの言葉は止まらない。

「でも、まだ最後に残っていたのは君との約束だ。8年前からずっとあの約束の答えを君から聞くのを待っていた。ねえ、聞かせてよ」

そう言って微笑むあの人の顔は、自分が小さな小さな子供の時と何も変わらなかった。
私はあの日からずっと、あの人の中では変わらない存在だった。
あの人が答えを待ってる。答えってなに？約束ってなに？今日この日に出会った理由って、なに？
そして、飛び出た言葉は……。

まで考えたんだけど鏡華ちゃんは騎士くんになんて言うと思う？