【SS】二人きりの、夜の逢瀬

  • 1◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:47:06

     トレセン学園恒例の夏合宿。日中はトレーニングで賑わう海も夜の今は波が寄せるだけで静かだ。
     誰もいない筈のそこには、ひとりのウマ娘が佇んでいた。足元を何度も濡らす流れを形にしたような髪を持つ彼女は、マルゼンスキーだった。

    「んー……風が気持ちいいわね」

     マルゼンはその豊かな長髪を潮風になびかせていた。手入れを考えれば避けることを考えそうなものだが、彼女は構わず波打ち際に立っている。
     風に吹かれれば、髪というものは傷んでしまう。しかし、彼女はその風の中にいることを受け入れていた。

     幼い頃から風を追いかけ、風に並び、風を抜き去ってきた彼女。それを感じることこそが、マルゼンの喜びだった。
     彼女はその肢体を海に向かって広げる。水着の上にシャツという薄着は、容易に風を通して彼女に感じさせる。

    「太陽が出ている中で感じるのも悪くないけれど、月が照らす下で浴びるのも乙なものね」

  • 2◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:47:40

     マルゼンの呟きは風に溶けて消えていく。風を相手に話しているわけではなく、待ち人が来るまでの暇つぶしに口をついて出てしまうのだ。
     その待ち人とは、この合宿に一緒に来た人。ドラマのような劇的な出会いではなくて、変わっている人、という印象を彼女に残した存在。

     マルゼンも他とはちょっと違っていたウマ娘であり、二人は意識してはいないだろうがある意味お似合いのペアだった。
     その片割れである彼女は、もう一方の片割れである彼を考えていた。

    「それにしても……まだ、かしら」

     マルゼンは足元の波を軽く蹴飛ばす。ここがもし街の広場であるならば、内向きに着けた腕時計を何度も確認していることだろう。
     今の彼女は、何のアクセサリーも着けていない。だから時間も、予定も、何も確認出来ない。今の彼女は、自由だった。

     それなのに、彼女は縛られている。それも自らが取り付けた約束のせいで。

  • 3◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:48:11

    『ハァイ! トレーナー君、海までちょっと付き合って!』

     相手の都合も聞かず一方的に突きつけて、返答も待たずに先に来てしまっていた。その結果がこれである。

    「待ちぼうけになんて……ならない、筈よね?」

     『もしそうなったとしても、それは因果応報、自業自得というのではないかな?』彼女の友人の幻聴が聞こえる。

     マルゼンはぶんぶんと頭を振ってそれを追い払うが、焦らされていることには変わりがない。
     それは太陽がじりじりと照り付けるのに少し似ていて、少し違っていた。

  • 4◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:48:42

     彼女は待つという行為が苦手だった。レースであれば一番に駆け抜けてしまうから、後ろに留まってチャンスを窺うというのはしたことがない。
     後続の子たちもウマ娘であるから、ゴールしてから何分もかかるということもない。

     プライベートにおいても、彼女は周りから頼られることが多い。彼女が何もしなくとも、後輩の子たちが慕って集まってくるのだ。
     だから、彼女が相手をする時間を作るために彼女たちを待たせることがあっても、彼女たちに会うために待つことはない。

     おまけに、彼女は愛車である『タッちゃん』でのドライブを趣味としているが、どうも交通ルールを飛び出しかねない走りをする。
     本人曰く、『ちょぉっとギリギリを攻めるのが、サイッコー』だとか。苦手なのが徐行運転というのは納得する話だ。

     そんな全てを置き去りにしてしまうようなウマ娘が、どうして待つことに慣れていようか。
     そのストレスはあらゆる方向に発露する可能性を持っているが、彼女の場合はいじけてしまっていた。

    「……もう」

  • 5◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:49:13

     先程よりも波を蹴る頻度が増えている。しょぼしょぼとさせている表情は、いつもの大人びた印象と違って幼い子供を思わせる。
     いっそ、帰ってしまおうか。そんな考えが浮かんだり沈んだりしながら、それでも待っていれば。

     遠くから、マルゼンを呼ぶ声が聞こえてきた。即座に伏せていた耳をぴんと立たせて、彼女は声の方向へと振り返る。
     昼間と同じ黒いジャージ姿のまま走ってくるのは、彼女の契約相手のトレーナーだ。
     彼女が待ち焦がれた相手であり、後輩の子たちには言えないワガママを言える存在でもあった。

    「トレーナー君! こっちこっち!」

     マルゼンは相好を崩して彼を手招きする。余程嬉しいのか、軽く跳ねた足が湿った砂と波を何度も叩く。
     トレーナーもまたさらに足を速めて、彼女の近くに立つ。少し息を切らせてはいたものの、微笑んでいることから不快ではないようだった。
     二人共サンダルを履いていて、砂粒や海水が足にまみれることを厭わない。

  • 6◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:49:44

    「もう、カノジョを待たせるなんて。あたしとのデート、楽しみじゃなかった?」

     マルゼンはいたずらっぽく笑いながらトレーナーを見上げる。対する相手は彼女の言葉に一瞬動きを止めた後、すまないと謝った。
     彼女は不思議そうにして、彼がどうして止まったのか分からないようだった。
     その理由を尋ねることはせず、代わりに彼女も、

    「……なんてね。忙しかったでしょうに、ごめんなさい」

     彼女もまたすぐにしおらしげに手を合わせた。自分のトレーニングメニューを確認していたところに飛び込んだのだ。
     その日々の苦労は偲ばれるというものだった。突然のお誘いを躊躇う要素にはなり得なかったが。
     トレーナーはマルゼンのその態度を咎めることはなく、その理由について尋ねた。

    「えっ? どうしてって……言ったじゃない。デートしましょ♪」

  • 7◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:50:19

     マルゼンは何故尋ねてくるのか理解出来ない様子で改めて説明する。相手が再度止まるのを疑問に思いながら。
     対するトレーナーは、彼女の言葉を訂正しようか迷った。トレーナーと担当ウマ娘の間では、それは不適切だと思ったからだ。

     これまでも指導する側とされる側の関係として、適切な距離を保つように努めてはいた。
     流石にそこまでは、というものは行わないようにはしていたが、彼女は気にしていないのかとんでもない提案をすることもままあった。
     彼女が言うところの"デート"も、その突拍子もないことに当てはまるだろう。

     しかし、目の前の彼女は目をきらきらさせて彼を見ていた。それは月明かりを反射する海によるものもあるのだろうが、彼女自身が楽しみにしている証拠でもあった。
     彼は一介のトレーナーでしかない。担当ウマ娘の心を覗けはしないし、明け透けにものを言う性格でもなかった。

     そんな彼が出来るのは、彼女の誘いに応じることだけだった。今更な話であるかもしれないと内心呟きながら。
     彼の返答を聞くと、彼女はやはり嬉しそうに跳ねた。

  • 8◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:50:50

    「そうこなくっちゃ! さあ、何をしましょうか? ボール遊び? 水の掛け合いっこ?」

     マルゼンは嬉々として提案するが、トレーナーは却下した。道具もないし、夏だからといって風邪をひかないとは限らないと。
     彼女はじとーっと恨めしく彼を見上げる。

    「そんな……にべもなく断るなんて。トレーナー君はあたしとのデートをしたくないのね? え~ん……」

     嘘泣きまでしてみせるマルゼンだったが、トレーナーにはどうしようもなかった。
     彼女に付き合うことは決めたが、物理的に不可能であったり健康を損ねかねない問題は無視出来なかった。
     そのことは彼女も理解しているのか、すぐにぱっと表情を明るくさせて次の案を出した。

    「じゃあ、お散歩しましょ♪」

  • 9◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:51:21

     マルゼンとトレーナーは波打ち際に沿って歩いていた。夏の間寝泊まりする合宿所からはどんどん離れていく。
     二人の間の会話は、騒がしいものではない。ぽつり、ぽつりと思いついたから口にするといったもので、寄せる波と踏みしめる砂の音の方が大きいくらいだ。

     それをしばらく続けていると、トレーナーが改めてマルゼンに尋ねた。何故、"デート"を?
     マルゼンは目を丸くしたかと思うと、トレーナーと海に視線を右往左往させる。いつも自信に溢れている彼女にしては珍しい様子だ。
     彼はそんな彼女を急かすことなく、ただ待っていた。少しして、彼女はようやく言葉を口にした。

    「トレーナー君はあたしの………………これ、どう思う?」

  • 10◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:51:52

     そう言ってマルゼンはトレーナーの前に自らを広げた。彼女の肢体を包むのは学園指定の制服でもジャージでもなく、水着と薄手のシャツだけ。
     中身は日中のトレーニングで使用していたものとも違い、ある意味彼女のもう一つの勝負服だった。

     彼が目にするのは初めてではないし、何ならレースで走る姿だって見たことはある。流石に思うところはあったが。
     とはいえ、彼は似合っていると褒めた。何度か言ったことがあるこの感想は嘘ではないし、これからも変わらないものだった。

    「ありがと。ばっちりキメたデザインだから、そう言ってくれて嬉しいわ」

     月がマルゼンの赤らんだ頬を、薄い布で隠しきれない彼女の四肢を照らす。その火照りは彼女だけが感じていて、近くであっても彼には感じられない。

  • 11◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:52:24

    「それでね? お母さんが見てたドラマにこんなシーンがあったなーって」

     マルゼンは後ろ手に組んで、足首まで波に浸りに行く。熱が冷めるには触れている部分が少な過ぎる。

    「あのね、男の人と女の人が夜の海に来るの。それで、水着の二人は波打ち際で遊んで、疲れたーってなるまでくたくたになって……」
    「最初に見た時は、何でそんなことをしているのか分からなかったの。だって、あたしは走って風を感じているのが楽しかったし」
    「お母さんに聞いても、『大人になれば分かるわよ』って。もう『タッちゃん』だって運転出来るのに、あたしはあたしのままで……」

     熱に浮かされたようにマルゼンは喋り続ける。トレーナーは彼女のいつもと違う様子に気付きはしたが、その妖しさに目を奪われていなかったといえば……嘘になるかもしれなかった。
     彼が黙って聞いている間にも彼女は海に進み続ける。たとえ浅瀬であっても、徐々に海は彼女を沈めていく。

  • 12◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:52:55

     マルゼンは少々世俗からずれているというか、疎い面があった。
     それは彼女の母親に影響されているのは否定できないのだが、そもそもの心根が純粋といえるくらいだった。

     例えば、彼女が口にした"デート"。ドラマで聞いたことはあるし、クラスメイトたちが会話の中で出したことも記憶している。
     だから、彼女は知識として"デート"がそういうものだとは理解はしていた。

     しかし、彼女は実感はしていなかった。彼女は、半ば本気で文字通り"異性の友人とのお出かけ"と捉えている節があった。
     彼女はドラマをいくつも見ていたけれど、その中で繰り広げられる恋愛というものにはいまいちぴんと来ていなかった。

     そのため、彼女は分からないそのシーンを何度も見た。ドラマ自体が面白く、お気に入りだったというのはある。
     ただ、勧めた彼女の母親が呆れるくらいにテレビの前から動かなかった。いつしかそれは、彼女の中に憧れという感情を形作っていた。

  • 13◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:53:29

     彼の元に行き誘いをかけた時は、自覚すらしていなかった。彼女にとっては長い時間を待っている間に、何かが自らをそうさせたのではないかとは少しよぎった。
     そして今、その憧れた気持ちを彼女は体験していた。名前も知らなかったその感情は、彼女をドキドキさせる。
     普段走っている時と同じ心臓の鼓動なのに、それが作り出す熱で頭がぼうっとするのも同じなのに、どこかが違っていた。

     その違いを、明確にマルゼンは説明出来ない。自分のものだというのに、彼女は初めてその心に触れていた。
     その未知なる感情が望むままに、彼女は言葉を絞り出そうとする。何が出てくるかは、本人にも分からない。

    「だから……」

    「だからね、トレーナーく」

  • 14◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:54:00

     その時、一際強い波が寄せてきた。それだけであれば踏みとどまれただろうが、波というのは寄せては引くもの。
     一瞬で逆の方向に引っ張られるマルゼンはバランスを崩して、海の中に沈みかける。

     しかし、すぐさまトレーナーが彼女の腕を引き寄せて、左腕で彼女の肩も引き込む。
     結果的に二人とも転ぶことはなかったが、彼が彼女を抱きすくめる形で暫し固まる。

     お互いに、自分の鼓動が妙に大きく感じられる。相手の顔も近くにあり、もう少し寄れば触れてしまいそうな距離。
     少しだけ荒れた呼吸が相手の皮膚をなぞる。そのくすぐったさは決して不快ではなく、だからといってすぐに名前は見つかりそうもなかった。

     昼間の海水浴ならまだしも、夜に濡れてしまえば色々と面倒なことになる。
     それを回避出来てほっとしているからこうなっているのだろうと、トレーナーは考えた。マルゼンがどう考えているかは、彼には分からない。

     その分からない彼女が発する言葉は当然、彼には予測出来なかった。

  • 15◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:54:31

    「……ね? これって、"デート"?」

     彼は咄嗟に答えることが出来なかった。トレーナーとして、彼個人として。ただ見上げてくる彼女の瞳を見つめ返すだけだった。
     彼女のそれが潤んでいるように見えるのは、先程と同じで海を映しているからだろう。海を背にした彼女を見ながら、彼はそう考えることにした。
     しばらくそうしていた二人だったが、マルゼンの方からふっと息を漏らしながら目を逸らした。

    「言わなくてもいいわ。トレーナー君を困らせたくないもの」

     現在進行形でワガママに付き合わせている彼女は、そんなことを言う。そしてすぐに、くしゅんと小さなくしゃみをする。
     トレーナーは着ていたジャージの上着を脱ぐと、マルゼンに羽織らせた。彼女は俯いたまま呟く。

    「あーあ。また困らせちゃった」

     これくらいは問題ないとトレーナーが言えば、

    「ありがと。そうね……トレーナー、君。だものね」

  • 16◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:55:03

     妙な部分でマルゼンは言葉を途切れがちにする。
     二人が海から砂浜に戻る。それぞれ脚は濡れていて、トレーナーの方はジャージが張り付いたままだ。

    「その代わり……」

     そのまま二人は合宿所へ来た道を戻ろうとする。トレーナーが支えていた手を放そうとすれば、マルゼンは掴んで離れようとしなかった。

    「その代わり、お散歩の終わりまでこうしていてほしいわ。ね……?」

     完全に海から出たトレーナーに対して、マルゼンはまだ波をかぶる位置にいる。
     先程の強さの波が来たとしてもさらわれることはないだろうが、引き込まれてしまう可能性は捨てきれない。
     だから、彼はそのまま彼女の左肩を支え続けた。右手で彼の左手に触れるという奇妙な姿勢のまま、彼女は言葉を発する。

  • 17◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:55:34

    「まるで、ドラマの中のワンシーンみたいね」

     どんなストーリー? と、トレーナーが問えば、マルゼンは、

    「トレーナー君はあたしが見たそのドラマ、知らないでしょ? ロマンチックでね、二人共素敵だったわ……」
    「ねえ。二人は、どんな終わりを迎えたと思う?」

     いたずらっぽく問い返す。

    「知りたい? ざーんねん、教えないわ」
    「そうしたら……終わっちゃうじゃない?」

     どうにかして答えを聞き出そうとはせずに、彼は波が来るのに合わせて彼女を引き寄せた。
     ゆっくりと二人は歩き、その進みに従って合宿所からの光が段々と大きくなる。

  • 18◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:56:11

     彼女は時折、彼の指を握る。彼は肩を抱いているから握ることはしないものの、指先で押して彼女に返す。
     それをする度に、彼女からはくすくすと笑いが漏れる。何が可笑しいのかを、やはり彼は尋ねることはしない。

     また、彼女はくいと自分の方に彼を引っ張る。それで何事かと彼が目を向けても、彼女は黙ったまま見上げるだけだ。
     彼の瞳に海が映り、それを見る彼女の瞳にもまた海が映る。合わせ鏡のように揺れ動く波が二人の間に漂っている。
     それらを二人は、何度も何度も繰り返す。

     ふとマルゼンは、隣を歩くトレーナーの足元を見た。服が濡れてしまっているから、砂も張り付いていることだろうと。
     確かにそうなってはいたのだが、彼女は別のものにも気付いた。

     トレーナーはジャージのズボンをこれ以上汚れないように少し捲っていた。そこから覗いているのは、男性特有のがっしりとした脚。
     マルゼンは自分の脚も見てみた。ほっそりとしたそれは、見かけだけではとても時速何十キロを生み出すとはとても思えない。

  • 19◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:56:42

     二人の脚の作りは違いがあるのに、どちらも四肢の中でお互いを地面に立たせている。
     違っていても、同じカラダ。だったら、ココロは? 不安と期待が入り混じった感情があることにも、彼女は思い至った。

     彼女がまた彼の指先に自分を這わせる。彼女の左肩は彼の汗で既に濡れていて、それは端々に及んでも例外ではない。
     寒いとはいえないものの、十分涼しい筈なのに。もし暑さのせいではなくて、別の理由があるとしたら?

     自分もじんわりと手のひらに滲ませていることを感じつつ、お互いに同じ気持ちかもしれないという可能性にどこか可笑しさを感じて。
     彼女は小さく笑った。

     その様子に彼が気付いて、声を掛けてくる。

    「んーん、なーんでも」

     彼女がとぼけて返すものだから、彼もまた小さく笑う。
     二人の静かな笑い声は、風の中に消えていく。

  • 20◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:57:30

     二人が行きで踏みしめた足跡は波で半ば消え去っており、その上からまた新たに作っていく。
     帰りで作ってきた足跡はまだ形を残してはいるけれど、いずれは完全に消え去ってしまうことだろう。

     この夜に二人がここにいたことを示すのは、二人の記憶だけ。
     この先色褪せてしまって細かいことまで思い返すのは一苦労するであろう、思い出。

     それでも、二人は忘れないだろう。
     静かに波と砂の音を聞いて、お互いの瞳の中に海を見た夜を。


     二人きりの、夜の逢瀬を。

  • 21◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 20:58:03

    以上です。思いついたので書いてみました。
    トレンディって難しいですね。

  • 22◆zrJQn9eU.SDR23/07/12(水) 21:01:03
  • 23二次元好きの匿名さん23/07/12(水) 21:01:10

    マルゼン助かる
    ありがとう

  • 24二次元好きの匿名さん23/07/12(水) 21:01:12

    スレ主さんが文を貼り付けてるリアルタイムで読んでたよ。次のレスが出てくるのは何秒後か楽しみになっちゃった。情景描写がほんとに素晴らしい。いいもの読んだよ。ありがとう!

  • 25二次元好きの匿名さん23/07/12(水) 21:02:14

    俺の知ってるトレンディと違う(not 批判、but 褒め言葉)

    しかし思いつきでこんな文学的なSS書けるスレ主は一体何者なんだ

  • 26二次元好きの匿名さん23/07/12(水) 21:03:10

    どうしてこんなクソの肥溜めにこんなキレイな文章投げちゃったの?才能の不法投棄だよ?

  • 27二次元好きの匿名さん23/07/12(水) 21:29:37

    やはり良質なトレンディは健康に良い

  • 28二次元好きの匿名さん23/07/12(水) 21:40:33

    波に流されたとしても夏の日差しのように二人の心には鮮烈に刻みつけられているんだろうなって…

  • 29二次元好きの匿名さん23/07/12(水) 22:34:41

    良いものをありがとう
    言っちゃなんだが大袈裟に雑に誇張されたような作品ばかりが悪目立ちするウマ娘の二次創作の中で、こうやって丁寧な描写をしてくれる作品は本当に素晴らしいと思う

    次作も期待してるぜ!

  • 30二次元好きの匿名さん23/07/12(水) 22:49:01

    何故こんなところに才能を捨ててしまったんだスレ主

  • 31二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 04:43:53

    こんなトレンディな文章書けて羨ましい

  • 32◆zrJQn9eU.SDR23/07/13(木) 16:22:51

    皆さん感想ありがとうございます。褒めていただけてる内容かは自分ではあまり実感がありませんが、次も楽しんでもらえるものを書きたいと思います。

  • 33二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 17:16:22

    少女と大人を反復横跳びするマルゼンが見事

オススメ

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