それでは授業を始める

  • 1通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:36:11

    今回は剥離城アドラの事件において、謎の根幹を担った天使と人体の照合について解説したいと思う。
    比較的複雑な内容だった分、質問を受ける機会が多かったからな。
    既に理解している者については、自身の知識を再確認する場として欲しい。

  • 2通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:38:51

    尚、私自身はあの非才極まりない、エルメロイの名を冠するのも烏滸がましい某ロード擬きとは全く関係ないので、そのつもりで頼む。
    では始めよう。

  • 3二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 20:39:32

    野生の教師が現れたな、ワクワク

  • 4二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 20:39:58

    そういうとこやぞ

  • 5通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:40:38

    まずはカバラにおける72の天使について説明しよう。
    彼らが何者であるかを語るには、シェムハムフォラエについて触れる必要がある。

  • 6通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:41:19

    かなり極端な言い回しになるが、シェムハムフォラエとはある種の辞書と考えると分かり易いだろう。
    古代ユダヤの民は、自分達の神の御名を四つの文字によって表した。
    魔術に詳しくない者でも、テトラグラマトンという言葉は聞いたことがあるかもしれないな。
    要するに文字にこそ神が、力が宿るという思想を彼らを持っていた訳だ。

  • 7通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:43:59

    しかしこの聖なる四文字、云わば元祖シェムハムフォラエというべきものだが、
    これは当時の人々によって12文字、22文字等の拡張されたパターンが生み出されていった。
    その内の、72文字の神に連なる文字を隠した集合体――これが現代においてシェムハムフォラエとして流布しているものだ。
    由来はエジプト記における19節から21節。
    モーセが海を渡る際に唱えたとされ、悪霊を祓い、病を癒し、不幸を遠ざける力を宿すとされた。

  • 8通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:46:20

    少々前置きが長くなったが、カバラの天使達はこの力ある72文字を定型化した概念だ。
    古代カバリストは文字の配列を数学的に分析、置換することにより、特定の意味を持った72の名前を定義した。
    これがカバラの72の天使達の正体だ。
    彼らには古代エジプトの暦に従って5日毎の支配日が与えられ、当時の人々は自身の誕生した日付から守護天使を見出していた。
    この天使と支配日の関係は後ほど重要になるため、頭の片隅に置いておいて欲しい。

  • 9二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 20:47:58

    目隠ししてたからスケベスレかと思ったら真っ当なお勉強スレだった…

  • 10通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:48:05

    続いて重要になるのは、このカバラの天使と黄道十二星座の関係だ。
    些か飛躍したように思えるかもしれないが、これを理解しなければ本題には辿り着かないので許して欲しい。
    現代において、カバラの天使と黄道十二星座は相関関係にあるが、これは西洋占星術の中にカバラの思想が取り込まれたことで生まれた思想だ。

  • 11通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:50:38

    歴史の話は省略するが、古代エジプトの哲学がギリシャへと流出した時、ギリシャの学者達は自らが定めた学問の中に天使……この時点ではまだ加護を持った精霊と言う扱いだったが、これを自分達が定めたシステムの中に取り込んだ。
    そこから時を経て16世紀頃、様々な学問や神秘がキリスト教的な世界観によって解釈される時代。
    ヨーロッパのオカルティストはカバラの叡知と西洋占星術、そして錬金術を調和させ、一つのシステムとして体系化することを試みた。

  • 12二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 20:52:09

    このレスは削除されています

  • 13通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:55:06

    その結果、前述した支配日の思想と暦を星座で分割する占星術の思想は複合し、
    特定の獣帯を特定の天使が司る、という概念が誕生したんだ。
    神の如き者"ミカエル"は宝瓶宮、明かす者"アリエル"は双魚宮を支配するといったようにな。

  • 14通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:56:10

    さて、以上を踏まえて本題に入ろう。
    それでは何故、天使と人体を照合することが可能なのか、という話だな。
    これを理解するには西洋占星術におけるイアトロマテマティカ――医療占星術と呼ばれる思想が密接に関わってくる。

  • 15通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 20:57:33

    多くの者が知っている通り、占星術という神秘はマクロコスモスとミクロコスモスの類比関係が根底に存在している。
    要するに星の運行が乱れれば、それに応じて自身の吉兆にも綻びが生じるという思想だな。

    イアトロマテマティカはこれをより肉体的な傷病に結び付けたものと捉えたら良い。
    分かり易い例を挙げると、例えば占星術の占いで、白羊宮に凶の兆しありと出たとしよう。
    イアトロマテマティカではその場合、自分の上顎部に何らかの変調が発生していると認識するんだ。

  • 16通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 21:00:39

    しかしイアトロマテマティカが登場した当初は星座――獣帯の宮単位で大まかな診断を下すことしかできなかった。
    上顎部と言っても、その中には様々な部位があるだろう?
    仮に白羊宮に不吉の兆しが示されても、具体的に問題が発生している部位については明らかにできなかったんだ。

    そこでエバーティンという占星術師は診断を詳細化するために、黄道360度の1度ずつに身体の特定の部位を割り振った。
    例えば白羊宮の1度であれば大脳、双児宮の1度であれば気管といった具合にな。
    この時点で勘の良い者は察しただろうが、つまり360度分の身体部位と、各宮に配置されたカバラの天使は照合することが可能なんだ。

  • 17通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 21:05:42

    ここで剝離城の事件において、化野菱理が死亡した際の推理を振り返ってみよう。
    わた……あの非才なロード擬きは彼女の遺体を検分した直後、アッシュボーンの城に集まった者達に割り当てられた天使の意味を導き出すことができた。

    カバラの天使の支配日は5日毎であるために、黄道十二星座上では5度単位で配置される。
    またシェムハムフォラエにおける"ハハシア"の序列は51位。
    つまり"ハハシア"は黄道十二星座上における255~260度、白羊宮の一部を支配する天使と考えることができる。
    この辺りは実際のホロスコープを確認すると理解も早まるだろう。

  • 18二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 21:11:08

    このレスは削除されています

  • 19通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 21:11:50

    そしてエバーティンが提唱した天体と身体の照応論において、
    255~260度の位置における身体部位は、眼球、視神経、舌または毛髪、脳梁、前頭葉、側葉となる。

    ……化野菱理はあの時、眼球を奪われて死亡していた。
    そして彼女に割り当てられた天使の名は"ハハシア"。
    無論前述した全てが奪われている訳ではなかったが、カバラの天使と占星術の関係から、
    天使名は殺.害時に剥ぎ取られる部位を指しているのだと、あのロード擬きは推理することができた訳だ。

  • 20通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 21:15:40

    以上が今回の授業の解説となる。
    天使という概念は古代エジプトより各地を巡ることで、様々な属性が付与された概念だ。
    興味を持った者はこの機会に調べてみて欲しい。

  • 21二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 21:17:00

    勉強になりましたロード

  • 22通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 21:20:46

    次回は双貌塔イゼルマの事件の根幹を担った、美という魔術についての解説をしよう。
    それでは失礼する。

  • 23二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 21:26:41

    ありがとうございましたロード
    そして三田先生の知識も流石やなって

  • 24二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 21:32:08

    匿名のバイロン卿「もうダメだぁ…おしまいだぁ…!」

  • 25二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 21:32:32

    >>24

    とっくにおしまい定期

  • 26二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 21:49:59

    質問です。

    >>6では、文字に神や力を宿すという事であるとおっしゃっていましたしたが、

    それは類感的理論によって偶像や記号、行動や流れから繋がりを見出し、神の力を引き出すやり方から派生するものなのでしょうか?

    それとも言霊やルーンの様に、発すること、刻むこと、或いは表現する事そのものが力を生じさせる事があると故郷で聞いた事があるのですが、そういったものの一種という事なのでしょうか?

    講義の本筋から少しズレた話題となり大変恐縮ではございますが、ご教授頂けると幸いです。

  • 27二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 22:32:36

    このレスは削除されています

  • 28二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 22:40:17

    >>27

    ご返答ありがとうございます。

    なるほど、文字を神と自分達との間を繋ぐ経路やツールとして利用しているのでしたか。

    ご教授感謝申し上げます。

  • 29通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 22:40:27

    質問に答えよう。
    ルーンや言霊については君の認識通り、意味のある記号や行為自体が神秘を起こすものだ。
    一方でシェムハメフォラシュ記された文字は、天上の神と接触するための媒介という意味合いが強い。
    つまり文字自体が神秘を起こすのではなく、文字を通じて接続された先から術者に力が与えられるんだ。

    この考え方は古代ユダヤにおける発散主義という思想に基づく。
    これは万物は神を起点として派生したというものだが、逆説的に我々には神より通じた経路が存在するとも言える。
    即ち古代ユダヤにおける力ある文字とは、その経路を一時的に開き、声を届けるための道具と捉えるべきかもしれない。

    少々私見を交えてしまったが、以上を回答とさせて貰いたい。

  • 30通りすがりの魔術講師23/07/13(木) 22:41:19

    >>28

    失礼。

    少々言い回しに不備があったので訂正させて貰っていた。

    とは言え納得して貰えたのなら何よりだ。

    次の授業も暇があれば参加して欲しい。

  • 31二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 23:15:44

    初読時に全然分からなかったから助かる

  • 32二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 23:16:45

    ぼんやり人体に天使の名前が割り振られてる位で読んでたからこの解説は助かる

  • 33二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 23:18:56

    …何でこれを即興で推理できてるんだロードエルメロイ2世…こうして説明されてようやく理解できるレベルだぞこれ…

  • 34二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 23:34:32

    ワザワザ聴講席を確保した甲斐があったな

  • 35二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 23:43:38

    エジプト神話や英雄譚を読むとエジプト魔術って「手続きを行って神の知恵を盗み出すこと」だからある意味神の再現が前提なんだろうか

  • 36二次元好きの匿名さん23/07/13(木) 23:59:04

    詳しい解説で勉強になったわ
    顔を隠してるけどどこかの高名な魔術師なのかな?

  • 37二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 00:03:22

    >>33

    魔術や神秘の知識自体は二世レベルで持ってる魔術師はたくさんいるんだ

    二世がやばいのはホワイダニットへの追及や魔術と魔術師への深い愛情と洞察力ですぐに該当する魔術知識をヒットさせてそのまま解体することなんだ

  • 38二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 00:06:44

    あの略奪公は知識がやばいんじゃなくて理解して解体するスピードがやばい

  • 39二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 10:14:22

    >>38

    知識だけならⅡ世以上に造形の深い人は古い家尋ねればそれなりに出てきそうなのがミソよな

    知識は蓄えるだけじゃなく活用しないとだめよね〜って思わされる

  • 40二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 11:32:13

    オルロック老との関係好き
    剝離城アドラはⅡ世の特性がうまく活かされた事件なので一巻に相応しいな
    グレイのロンゴミニアドも対城宝具って迫力だったし

  • 41二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 11:34:45

    >>40

    魔術師としてみればペーペーのウェイバー何だけど解体っていう他に無い特性があるからオルロック老もそこには敬意というか礼を払ってる関係は良いよね

  • 42二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 16:40:10

    >>9

    エミュも上手すぎてふざけた質問する雰囲気ではないな

    次に先生来るまでまったり保守していきたい

  • 43二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 16:57:04

    こういうお勉強系スレ大好き

  • 44二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 23:42:02

    >>41

    ルヴィアの魔術をバラしかけていやースッキリしたわするオルロック翁割とすき

  • 45二次元好きの匿名さん23/07/15(土) 09:01:32

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん23/07/15(土) 18:48:52

    これは良質なスレ

  • 47二次元好きの匿名さん23/07/15(土) 19:14:01

    他学部に入れないニューエイジ向けの実に初歩的な講義だった
    今後も聴講させてもらう

  • 48二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 06:43:42

    >>44

    いいよね

  • 49二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 15:13:36

    次の講義まだかな?

  • 50二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 15:27:35

    魔眼列車でグレイが目撃してしまったティンティンナブラムの解説回を期待していいんですか!?

  • 51通りすがりの魔術講師23/07/16(日) 16:10:09

    すまない。
    第二回の講義だが教材の準備に想像以上の時間がかかってしまっていてな……
    内容が固まり次第、また改めて教室を開かせて貰いたい。
    この教室を押さえてくれていた者には心より謝罪する、申し訳なかった。

  • 52通りすがりの魔術講師23/07/16(日) 16:12:47

    お詫びと言っては何だが、他に取り上げて貰いたい題材があればメモを残していってくれたまえ。
    次回以降の講義内容として前向きに検討させて貰う。

  • 53二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 19:26:24

    魔眼がただの一般人でも発現しうる一種の魔術回路で一工程の魔術行使できることは理解できますが何故眼なのでしょう?

    魔力を通すだけで魔術を起動できるなら神の手とも表現できる右手やインドなどで不浄の手とされる左手なども特殊な魔術回路として機能しそうですが聞いたことがありません

  • 54二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 19:29:11

    10大惑星についてご教示いただきたく

  • 55二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 20:23:42

    こういう魔術知識や理論が好きな人は同作者のコレも好きそう

  • 56二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 20:29:48

    生命の樹とカバラの関連について知りたい!

  • 57二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 20:33:27

    >>55

    むしろレンタルマギカでガチガチ理論派魔術に嵌る→「えっ、あの三田先生がFate書くの!?」→絶頂の流れなんだよなぁ……

    更にはこれと真逆に魔法を科学の延長としてガチガチに規定したされ竜も同時期に読み漁ったせいで拗らせ切って今でも一般ファンタジー魔法世界観じゃ満足できない身体に……

  • 58二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 20:48:25

    >>53

    >>1じゃない通りすがりの推論として話半分に流してもらえれば幸いだけど

    眼、ひいては視線にまつわる魔術の源流は邪視じゃないか?

    古くから「邪な視線が良くない事象を引き起こす」という伝承はヨーロッパひいては中東圏にも根強く、邪視避けのお守りも多い

    (型月世界では)指差しの呪いとされるガンドが同じくシングルアクションの魔術として分類されるあたり、

    「不吉とされる動作で不吉な事象を引き起こす」という呪いの魔術なのだと思われる

  • 59二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 20:56:18

    十字教世界に於ける天使や悪魔の立ち位置と立ち位置、在り方などについて
    アンゲロイからセラフィムまでの天使の階級毎の役割や特性、在り方の違いとそれぞれの階級に属する代表的な天使について
    十字教による宇宙や星々に対する認識と、主要な星々や星座に付随或いは照応する属性や存在について
    教会勢力や十字教的世界観に於ける妖精やリヴァイアサンやバハムートなどの幻獣に対するスタンスについて
    セフィロトやクリフォトがどの様なモノであるかと、各セフィラやパスそしてi 000や000の様な番外セフィラの大まかな意味や役割について
    どうして本来下位である筈の非人型の天使が宗教画などに描かれることが多いのかについて

    コレらについて出来る限りお教え頂けるとありがたいです

  • 60二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 20:57:59

    ルーン魔術、あんだけもの文字の数とそれにこめられた意味だけでなんの魔術ができんねんといつも思ってた

  • 61二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 20:59:00

    黄金の夜明け団の目指した魔術の理念

  • 62二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 21:00:17

    >>58

    天草の宝具、右手左手のように「触れて奇跡を起こす」筆頭に「触れる」ってのはポピュラーな神秘的行為だよね


    禁書あたりでも触れることで発動する魔導書とか出てきてたし

  • 63二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 21:01:18

    タロットの解説小と大どっちも

  • 64二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 21:03:02

    道教的世界観と道などの概念、
    そこから生じる神や入道、仙人、蠱などについて

  • 65二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 21:07:52

    >>61

    あらゆる魔獣基盤の綜合、魔術師の抱く超人幻想への抵抗、高次元知性への接続ないし昇華


    総じてマハトマじゃない?

  • 66二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 21:09:33

    神道における神と魂と霊の在り方や性質についての詳細

  • 67二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 21:09:53

    陰陽道の五行と四大元素

  • 68二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 21:18:00

    >>59

    十字教は禁書独自だからロードにも答えられないんじゃない?

  • 69二次元好きの匿名さん23/07/16(日) 21:39:23

    仏教に於ける悟りや仏の定義や存在する意味
    神と仏の違いと、何故神や竜が仏としての役職に就くのかという神話的な理由や意味づけ
    世界を作り変えられる程の強大な力や権能を宿し、超常の力や世界の理を司る神や竜が明王の位置にいるにも関わらず、悟りを得たとはいえあくまでも人間であるブッタがどうして彼らよりも高位の仏位を得ているのか、
    そもそも仏位とは具体的にどのような指標や基準によって位置付けられ、それにはどんな意味があるのか

  • 70二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 04:13:50

    冒険に出てくる神話同士のつながりについて…だとテーマが巨大すぎるので最近気になったアスラとデーヴァの「逆だったかもしれねぇ」現象についてお聞きしたいです
    イラン神話、インド神話、仏教で善神だったり悪神だったりするアスラですが何故こんなにコロコロ役割が変わるのでしょうか

  • 71通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 10:51:12

    それでは授業を始める。

  • 72二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 10:51:59

    キターッ‼︎

  • 73通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 10:52:33

    今回は魔術世界における眼と手について解説したいと思う。
    前回の予告から講義内容を変更する形となるが、容赦願いたい。
    では始めよう。

  • 74通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 10:56:59

    まずは魔術世界における眼についての説明する。
    魔眼蒐集列車(レール・ツェッペリン)であのロード擬きが語っていたことの復習になるが、
    各地で"視る"という行為が重要視されてきたのは、眼が人体の感覚器の中で最も得られる情報が多く、またあらゆる行動の起点になると考えられていたからだ。
    つまり眼が司る属性とは第一に"知る"ことがあり、これは言い換えれば視界内の物を"掌握している"とも言えるだろう。
    世界を統べる立場である天空神や太陽神が、往々にして広い視座を有している所以だな。

  • 75通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 10:58:40

    これを踏まえて魔眼の話に入るが、今回は邪視という呼称を使わせて貰いたい。
    さて今日で広く知られている邪視だが、その起源は一説では古代エジプトにまで遡るという。
    ホルスの目を示す記号は、皆一度は見たことがあるだろう。
    日輪の下、人々は常に神によって行動を監視されていると信じ、罪業を犯すことを躊躇った。
    つまり視線には人の行動や感情に影響を及ぼすという思想が、この頃から既に存在していたんだ。

  • 76二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 11:02:08

    魔眼というかノウブルカラーが天体運営に近いって言われてるのも星という球体に当て嵌めてるのかな
    極小の天体?魔術回路=霊脈みたいな

  • 77通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 11:02:14

    こうした思想が古代ギリシャやウガリット等に伝播し、瞳に対する信仰は確立していったと考えられる。
    まあこれは諸説様々なので、あくまで一説程度に留めておいて欲しい。
    重要なのは視線には力があると、古代の人々は強く信じていたという点だ。
    結果として夜闇に光る火山といった、本能的な畏怖を呼び起こす自然現象にまで瞳は見出されていった。
    邪視もまたその内の一つと言えるだろう。

  • 78通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 11:07:21

    悪感情を乗せた視線は人を殺す。
    当時は物事が信仰によって解釈されていた時代だ。
    前述した思想も相まって、突発的な傷病や事故の因果関係を説明するために、視線と言う媒介が選ばれたのはある意味必然だったんだろう。
    それに付随する形で視線を塞ぐ、返す、或いは逸らすことを目的とした装飾品も生み出されていった。
    有名どころで言えばファティマの手が挙げられるな。
    ああ、そういえばグレ……こほん、あのロード擬きには分不相応な内弟子も、魔眼蒐集列車で邪視除けの礼装を目にしていたか。
    あれは恐らく古代ローマを起源にしたものではないかと踏んでいる。何しろかの地では男根を模した魔除けが流通していたそうだからな。

  • 79通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 11:08:40

    ここまでが眼の概要となる。
    では続けて魔術世界における手は如何なる意味を持つのかについて触れていこう。

  • 80二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 11:13:56

    教授、出遅れてしまったのですがエバーティン氏が作成したという360度の人体照応の資料はどう探せば出てくるのでしょうか?

  • 81通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 11:14:37

    率直に言って、手が司る属性は極めて膨大だ。
    友好、信仰、権威、不屈、工芸、祝福、生命……。

    各地に残る伝承を軽く調べるだけでも、手にはこれだけの要素が秘められている。
    "触れる"という行為も、魔術的には小宇宙同士の境界を曖昧にし、エネルギーを循環させるからな。
    つまり外界に対し能動的に干渉する部位であるがゆえに、人々は手を重要視してきたということだ。

  • 82通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 11:16:37

    では魔術的に取り分け重要な要素は何かと言えば、やはり意味を象ることに尽きるだろう。
    有体に言えばジェスチャーだな。"触れる"、"かざす"という行為も広義の意味ではこれに該当すると思われる。

  • 83通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 11:18:20

    分かり易い例を挙げよう。
    東洋における合掌だ。
    古来より右手は男性を、左手は女性を示すと伝えられてきた。
    即ち合掌という行為は元来、シヴァとカーリーの結合を意味し、またその果てに無限に至ることを示す記号でもあったんだ。

    カーリーと言えば、ヨーロッパ圏で広く使われているコルナというジェスチャーもあったな。
    悪運を祓う効果があるとされているが、一説によるとあれもかの戦女神が示したムドラの一種が起源と言われている。

  • 84通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 11:24:36

    上で挙げられたガンドもまた意味のある象徴の一種と捉えて良いだろう。
    右手と左手が男女を示すように、指もまたそれぞれ固有の性質を所持している。
    中でも人差し指は"母なるもの"……即ち豊穣と衰退といった、大地に関わるエネルギーが宿るとされてきた。

  • 85通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 11:33:04

    この思想がヨーロッパへと伝わった結果、大地母神を崇める魔女たちは人差し指を己の武器と定めた。
    つまり人差し指を差すという行為を通じ、霊的に相手より上の立場に立てると解釈したんだ。

    他に面白い伝承としては、古きユダヤの女性たちは結婚指輪を人差し指に嵌められていたそうだ。
    女が持つ魔力を封じる目的があったそうだが、それだけ人差し指は女性的なエネルギーの象徴として、特別視されていたということだ。

  • 86二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 11:50:03

    このレスは削除されています

  • 87通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 11:54:08

    さて……ここまで魔術世界における眼と手について説明してきた訳だが、
    質問にあった魔眼以外の特殊な部位は何故存在しないのかについて、私見を述べさせて貰おう。

    結論から言えば、魔眼以外が存在する余地は充分にあると私は考えている。
    思い付いたものを挙げると、視た者を魅了する顔……ここでは魔貌とでも呼称しておこうか。人間の顔自体が特殊な魔術回路を形成していたとしよう。
    魔術において視線には力が宿る。と言うことは視られている側からも、反作用的な力が返されていると考えるのが自然だ。
    つまり"視られる"という行為自体によって、魔眼に似た神秘を起こすための条件が成立する。

    重要なのは行為が意味を成すということだ。
    腕や足は概ね能動的な働きが魔術発動のトリガーになるだろうが、
    視認といった外的要因が神秘を起こす条件を満たす代物が存在しても、何ら不思議ではないだろう。
    ……最も凡百の魔術師でしかない私には、あくまで推測することしかできないがね。Fxxx。

  • 88通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 12:00:57

    以上が今回の授業の解説となる。
    魔眼の存在も相まって隠れがちだが、手もまた人体の中では重要な役割を持つ器官だ。
    今回は省略したが右手と左手……右、左という方角にも魔術的な意味が内包されているので、機会があれば調べてみると良いだろう。
    それでは今回はこれで失礼する。

  • 89二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 12:37:48

    エルゴ君の神腕も神を象る砲身として使われてるもんね

    学習能力の高さは手から情報を得てるんじゃなくて素ですって言われた時は吹いたが

  • 90二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 14:01:58

    足だと禹歩が有名だろうか
    ぬ~べ~の赤いちゃんちゃんこ回のイメージだったんだけど道満のステップもそうだと今知ったわ

  • 91二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 14:22:23

    禁書で「十字教的な奇跡は大抵右手をもって行われるから」という理由で聖なる右手で色々な奇跡行使してる奴いたな

  • 92二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 14:25:52

    現実で邪視の始祖と呼ばれるもので言えば見ただけで相手を殺す死の天使サリエルの死の魔眼があるが型月だとどうなってんだろ

  • 93通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 16:05:37

    >>91

    興味深い話なのだが、各国の伝承を調べると、

    概ね右はポジティブなイメージが、左にはネガティブなイメージが持たれている。

    例えば邪視が宿るのは左目だし、インドでは左手が悪徳を担うといった具合にな。

    これは恐らくヨーロッパ圏と中東圏の宗教的文化が影響を及ぼし合った結果根付いたものと考えられるが、

    一方でカバラの伝統的な思想では、左手は好意的に解釈されている。

    右手が祝福と慈悲を象徴しているのに対し、左手は王権と正義を象徴しているんだ。

    この辺りの差異が生じた理由も調べてみると面白いかもしれない。

  • 94通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 16:23:41

    >>92

    あくまで私見ではあるがサリエルに邪視のイメージが定着したのは、

    かの天使が霊魂の監視者であることと、月を象徴していることが所以だと思われる。

    そもそも月は生と死のサイクルを象徴しており、サリエルは生命の流転そのものを司る霊格を有していると言えるだろう。

    また古代エジプトでは右目がホルスの眼――太陽を宿すのに対し、左目はウジャトの眼――月を宿すと考えられてきた。

    この思想を踏まえると、月の化身たるサリエルは元々、左目を通じて死を観測する天使だったのではないか。

    そしてかの天使に堕天使という肩書が付いて回るようになった結果、

    視線によって死を与える天使へと定義が変遷し、邪視のイメージと結びつけられていったのではないだろうか。


    ふと思いついた私見であるため、余り額面通りに受け取る必要はない。

    調査した上で裏付けが取れたなら、また改めて解説しよう。

  • 95二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 18:54:54

    相変わらず知らない話が馬鹿すかでてきて勉強になる……

  • 96二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 19:00:00

    そういやエレナさんも左道と右道の提唱者だよね

    クロウリーの自己破壊による深淵渡りも左道とか言われてたし、混沌系・破壊の属性をまといがちな気がする

  • 97二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 19:52:21

    野生の三田先生があにまんなんかにいちゃダメでしょ……。

  • 98二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 20:11:19

    視るとは掌握することって言い回しが凄くしっくりきた
    なるほどなぁ

  • 99通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 21:31:23

    少し手が空いたので>>70の質問に答えよう。

    文化圏の違いによって神と悪魔の立場が逆転する現象はまま見られるが、今回はヒンドゥー教とゾロアスター教に絞って説明させて貰う。

  • 100通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 21:32:35

    まずはよくある勘違いを正しておこうか。
    中東におけるインドとイランが対立関係にあり、その結果として神々の性質が逆転したという説は実のところ根拠としてはかなり薄い。

  • 101通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 21:35:25

    ダエーワとデーヴァがインド・ヨーロッパ祖語の同じ単語をルーツとしていることは有名だが、元々は両者共に神を意味する言葉であったと考えられている。
    そのため今日では悪魔として知られている存在も、中東圏では神として崇める部族が存在していたんだ。
    実際ゾロアスターの創始者、ザラスシュトラが残した経典『ガーサー』においてダエーワは信仰の対象であり、排斥されるべきものではなかった。

  • 102通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 21:36:55

    ところがその後、ザラスシュトラは二元論的な教義をより厳格に定めるにあたり、ダエーワを明確なる悪として定めたという。
    そのためザラスシュトラとダエーワを奉る部族間では論争が絶えず、教義が成立するまでに紆余曲折があったことが文献にも残されている。
    とは言えザラスシュトラ自身が未だ謎の多い人物であるので、彼が意識的にダエーワを貶めてか否かは定かではない。
    あくまで一説として捉えておいてくれたまえ。
    ともあれアヴェスターが登場して以降はダエーワとは悪魔を意味する言葉となり、ヴェンディダード等においても一貫してアフラ・マズダの敵対者として描かれることになった訳だ。

  • 103通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 21:39:03

    因みにアヴェスターが成立する際に、全てのダエーワが悪魔に零落した訳ではない。
    例えば契約と光の神ミトラ。
    ゾロアスターではミスラと呼称されているな。
    アーディティヤ神群の中でも取り分け高名なかの神も、元はダエーワの一柱であったが、アヴェスターにおいてはヤザタとして扱われている。
    ミトラと同じく重要な神格であったヴァルナも、アフラ・マズダに統合されたというのが俗説だ。

  • 104通りすがりの魔術講師23/07/17(月) 21:42:16

    結論を述べよう。
    ゾロアスターとヒンドゥーにおいて神と悪魔の地位が逆転した理由だが、現時点では曖昧と言わざるを得ない。
    ザラスシュトラの編纂の結果という説もよく知られているが、残念ながら彼は今の所伝説上の人物の域を出ず、
    彼が残したというガーサーも極めて謎が多いとされている。
    そのため後世の研究によっては、全く別の説が出る可能性もあるということを留意しておいて欲しい。

    明瞭とは言い難いが、以上をもって回答とさせて貰いたい。

  • 105二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 22:09:08

    神話系はほとんど原型が消し飛んでることも珍しくないからな……

  • 106二次元好きの匿名さん23/07/18(火) 08:19:38

    保守

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています