【SS】「ぼっちちゃん私のお酒飲んじゃったの!?」

  • 1123/07/14(金) 03:00:57

    STARRYにて
    「せんぱ〜い!お酒ちょうだ〜い!」
    いつものように結束バンドの4人で開店前の準備をしていると、入口から呂律の回らないお姉さんの声が聞こえてくる。私達のライブはないのにどうしたんだろう?途端に店長さんの眉間にしわが入る。
    「うわ、呼んでないのに来たよこいつ…」
    「先輩ひど〜い、あ、ぼっちちゃんだ!おっは〜!」
    お姉さんが階段を降りながら私を見つけると、紙パックを掲げながら笑顔を向けてくる。なんとなく来た理由はわかった。単に一人で飲むのが寂しかったんだ…。

  • 2123/07/14(金) 03:04:44

    「あっ、お姉さん…こ、こんにちは」
    「ねぇねぇお姉さんいじめられちゃったよ〜慰めて〜!」
    アルコールの匂いを漂わせながら私に抱きつく。お姉さん特有の距離感にも若干慣れてきたと思ってはいたけど、直接触れられるとどうしても身体が強張り声もうわずる。
    「あ!あ、あのお姉さん…」
    「ぼっちちゃんの邪魔しないで下さい…ホントに」
    虹夏ちゃんがお姉さんを引き剥がす。私には向けない光のない目がお姉さんに向いている。
    「妹ちゃんまで辛辣〜!もう飲むしかねぇ〜!」
    口を尖らせながらお姉さんはライブハウスのすみっこに座り、お酒をぐびぐびと飲んでいる。

  • 3123/07/14(金) 03:09:19

    「虐げられて孤独に酒を煽る…すごい、まさにロックだ」
    そんな姿を見てリョウさんは何故だかうんうんと頷いている。…ロックってそうなのかな…。
    「そろそろ開店だし準備進めましょ、ひとりちゃん!」
    私が違う世界を生きている2人を遠目に見ていると喜多ちゃんが声をかけてくれた。そうだ、今日もが、頑張らないと…。

  • 4二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 03:10:35

    かわいい

  • 5二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 03:11:22

    ぐでぐでだったのが急にシラフに戻るきくりさんはいいぞ

  • 6123/07/14(金) 03:12:23

    「そうだ。ぼっちちゃーん、ちょっとこっち来てくれる?」
    「あ、は、はい!」
    店長さんに呼ばれた。わ、私何か間違えてたかな!?緊張しながら向かうと店長さんは手にドリンクに使っているプラスチックのコップを持っていた。飲み物は入ってない。
    「これアイツに渡してくれる?他のお客の前で紙パックで酒飲んでるの良くないってことでさ」
    「な、なるほど…」
    店長さんに言われた通りコップをお姉さんに渡す。
    「あ〜、ぼっちちゃんありがと〜…ってお酒じゃないの〜!?私に飲ませる酒は無いってか〜!!」
    「黙れ。ドリンク代取らないだけ感謝しろ」
    店長さんたちのやり取りを横目に、私は皆と準備を進めていく。今日は私が一人でドリンク担当だ…。結束バンドのためにも頑張らないと…。

  • 7123/07/14(金) 03:16:27

    ライブも始まって、STARRYはそこそこに賑わってきた。途中で、結束バンドのライブが無いのに1号さんと2号さんも来てくれて、ドリンクを出す私に挨拶もしてくれた。バイト中でさえ私を応援してくれるファンがいると思うと顔がニヤニヤしてしまう…ふへへ。
    何番目かのバンドの順番になったときにはドリンクを取りに来るお客さんもいなくなってきて、私の仕事も一段落ついてきた。少しは慣れてきたとはいえ、まだ少し緊張する。自分が飲む水をコップに注ぐ。
    「お疲れさま〜!ぼっちちゃん氷ちょうだ〜い!」
    お姉さんから急に声をかけられ、びっくりした拍子に目や鼻、そしてコップの水をこぼしてしまう。幸いモノや人には掛からなかったけど、モップをしないと…。

  • 8123/07/14(金) 03:20:53

    「あちゃ〜、ごめんねぇ。驚かせるつもりは無かったんだけどさぁ、あ、顔こっちに向けて〜」
    お姉さんはお酒を一旦テーブルに置いて、床に散らばった私の顔のパーツをぺたぺたとくっつけてくれた。私の顔がおおよそ元通りになると、お姉さんは少し困った顔をしながら話を始めた。
    「ぼっちちゃん頑張ってるね〜、お姉さんずっと見てたけどめちゃくちゃ成長を感じるよ〜」
    褒めてくれた!?お姉さん…優しい…。
    「あ、いやそんなぁ、私なんてまだまだですよへへへ」
    「そんなことないって、路上ライブのときからすると目線も話し方も一目瞭然って感じ〜!私が酔わないと逃げちゃうことをさ、ぼっちちゃんはシラフで出来るようになってるんだよ」
    そうなのかな…ただ単に高校生だからお酒を飲めないだけかも、と自分では思っている。
    「まぁそうは言ってもら私はお酒やめられないけどね〜。そのままじゃ言えないことも言えるようになるし、感情や感覚を高められる…バンドマンにとって表現の為のパートナーなのだよ!!〜ってね」
    そのポジションは楽器なのでは!?と思いつつも、一理あるのかもとも感じる。私も、今出来ないことがお酒があったら出来るようになったりして…。
    「だからさ、ぼっちちゃんがお酒を飲めるようになったときには一緒に飲もうね!お姉さんとの約束だぞ〜」
    「あっ、そ、そうですね…そのときは」
    お姉さんは私の返事を聞かずにコップを再び手に持ち店長さんのところへ向かっていった。
    「せんぱ〜い、お酒切らしちゃったから一旦買い足してくるね〜」
    「お前もう帰れよ!」

  • 9二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 03:21:54

    楽しみ

  • 10123/07/14(金) 03:25:00

    ss初めて上げるのでテキストの量の調整が下手なのは許して

  • 11123/07/14(金) 03:25:30

    お姉さんたちを見ながら水を入れていたコップを手に取る。思ったより溢れてなかったみたいだ。水を飲みながらさっきのお姉さんとの会話について考える。
    お酒が飲めるようになったとき、私が二十歳になったとき…私はまだ皆と結束バンドで活動してるのかな。もし私が不甲斐ないせいで虹夏ちゃんとの約束を果たせなくて、解散をしてしまっていたらどうしよう…。口に水を含んでいるのに変な考えのせいか喉が渇く。身体が熱い。考えがぼやける。コップを持つ角度が急になっていく。それに水の味を濃く感じ…
    あれ、これ水の味じゃない?
    もしかしてこれ、さっきお姉さんが持ってたコップなんじゃ…。

  • 12二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 03:25:41

    >>10

    いいよ❤️

  • 13123/07/14(金) 03:27:31

    身体がふらふらとする中で視線の端に虹夏ちゃんを捉えた。私と目があった虹夏ちゃんは私のもとへ駆け寄って来た。
    「大丈夫ぼっちちゃん!?頑張りすぎた?」
    よろめく私を虹夏ちゃんが支えてくれる。
    「虹夏ちゃん…」
    「今日は一人でドリンク担当頑張ってくれたもんね、ちょっと替わろっか?」
    虹夏ちゃんは優しいな…。ダメダメな私をいつも助けてくれて…。私、もっと頑張るので…。
    「虹夏ちゃん…」
    「どうしたの?」
    「ずっと、私と一緒にいてください」

  • 14123/07/14(金) 03:33:30

    「え…ど、どうしたのかなーぼっちちゃん!?」
    虹夏ちゃんの顔を見ると、耳まで真っ赤になっている。もしかして私、言葉足らずで不安にさせちゃったのでは?もっとちゃんと目を見て伝えないと…!
    「私、もっとバイトもギターも頑張ります。虹夏ちゃんの夢も結束バンドみんなの夢も全部叶えるので…私のそばにずっといてください。ずっとずっと。」
    思いを伝えながら、言葉だけじゃ伝えられない気がして気がつくと私は虹夏ちゃんを抱きしめていた。お互いの口が耳元にある姿勢で…伝わったかな、私の気持ち。
    「は、はい…♡」
    抱きしめていた腕を解いて顔を見てみると、虹夏ちゃんはとろんとした顔で全身を硬直させていた。これは…身体の芯まで思いを届けられたってことかな?

  • 15123/07/14(金) 03:40:34

    安心したところで、他の二人にも気持ちを伝えないと、という気持ちが溢れてきた。
    部屋を見渡すとリョウさんが受付からライブを眺めている姿を見つけた。
    私は固まった虹夏ちゃんを椅子に座らせてあげて、リョウさんのところへ向かった。

  • 16123/07/14(金) 03:42:59

    「リョウさん、あの、話があるんですけど…」
    受付の席の隣に座った私に対して、リョウさんは視線を向ける。敵意はないけど、何故か警戒をした表情だ。
    「待ってぼっち。返すあてはある。だからまだ待ってほしい」
    リョウさんはいつも通りの整った顔立ちで、かつこわばった表情でいつもより少しだけ早口で話し始めた。
    確かに前のご飯代は返してもらってないけど…。それより今は伝えないことがある。

  • 17二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 03:43:33

    ぼっちちゃん暴走!!

  • 18123/07/14(金) 03:45:37

    「今フリマアプリで着なくなった服は出品してる、売れたら返せる、だから店長にはまだ言わないでほしい…」
    言葉が止まらない!こんなに饒舌なリョウさんは見たことないけど…今は私の話を聞いてほしい。
    「リョウさん…私の言葉を聞いて下さい」
    なんとか言葉を遮りたくて、私は立ち上がりながらリョウさんの唇に人差し指を当てた。イメージ通りに低い体温が指先から伝わってくる。座ったまま私を見上げるリョウさんは、いつもより小柄に見えた。
    「…ぼっち?」

  • 19二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 03:49:01

    ぼっちちゃんが真面目な顔でそれやったらまずいよ!!!

  • 20123/07/14(金) 03:49:34

    普段はクールな印象なリョウさんが少し動揺している。ある意味で、一番第一印象からギャップがあるのがリョウさんだったな、とふと感じた。完璧っぽいのに少し私に似てだらしなかったり弱気なところもあって、マイペースに見えるけど意外と感情豊かで…。私が偶に日常や演奏から感じるイメージがふと口からこぼれた。
    「リョウさん、可愛いです」
    「」

  • 21123/07/14(金) 03:52:20

    「お金にだらしなくて困ってる顔も、虹夏ちゃんに甘えてるときの表情も…リョウさんってクールなだけじゃなくて、可愛いところがあって、私好きです」
    「ぼ、ぼっち、まぁ私は確かに魅力溢れるいい女だし惚れたくなる気持ちもわかる、けどいきなりそういうことを言われても」
    困らせてしまった!?あ、そ、そうか。急に可愛いって言われても戸惑っちゃうよね。ちゃんとバンドについての感謝も伝えないと…!

  • 22123/07/14(金) 03:54:58

    「か、可愛いところだけじゃなくて、リョウさんの作る曲も私好きなんです。それも、編曲される前に私だけに聞かせてくれる曲が」
    これまでプロの曲を自分で演奏するだけだった私が、結束バンドに入ってから初めて作詞をしてみて…。最初は辛かったけれど、リョウさんの作るメロディや世界観を私の書く言葉で結束バンドの曲にしていく、2人だけで行うようなこの工程が好きだと思うようになったから。
    リョウさんはさっきから何故か目を合わせてくれないから、青くてサラサラした髪を手で書き分けて両目をよく見えるようにして、言葉を続けた。
    「これからも2人で曲を作るなら…もっとリョウさんのことを知って作りたいです。リョウさんの全部を私に見せてくれませんか?」

  • 23二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 03:56:47

    悪い女後藤ひとり

  • 24123/07/14(金) 04:00:56

    「」
    伝え終わったあと、リョウさんも虹夏ちゃんと同じようにカチコチになってしまった。
    かくいう私も、普段言い慣れてない思いを伝えているうちに緊張で喉が渇いてきた。コップの中身をくいっと飲み干して喉を潤す。
    喜多ちゃんはどこにいるだろう…フロアを探すとさっきまで私がいた所、虹夏ちゃんのそばに喜多ちゃんはいた。フリーズした虹夏ちゃんに声を掛けているみたいだ。
    喜多ちゃんにもいつも助けてもらってる、バンドだけじゃなくて、学校でもそうだ。伝えたいことはいくらでもある!後藤ひとり、想いを伝えます!

  • 25二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 04:09:36

    総攻めぼっちは劇薬

  • 26123/07/14(金) 04:21:52

    「き、喜多ちゃん!」
    「大変なのひとりちゃん!虹夏先輩が蝋人形みたいに固まっちゃって!私ひとりちゃん意外の状態異常にどう対処したら良いのかわからなくて…!」
    「に、虹夏ちゃんは店長さんに任せましょう。それより喜多ちゃん、今良いですか?」
    気持ちを伝えたくて仕方ない私の気持ちを汲み取ってくれたのか、喜多ちゃんは少し戸惑いながらも
    「わ、わかったわ」と笑顔で返してくれた。虹夏ちゃんは店長のそばに移ってもらって、階段を登りいつか虹夏ちゃんと話をした自販機の前まで場所を移した。

  • 27123/07/14(金) 04:28:36

    「それで…どうしたのひとりちゃん?なんだか真剣な表情だけど」
    喜多ちゃんは笑顔でこっちを見る。虹夏ちゃんとは少し違う笑顔。虹夏ちゃんが花みたいな笑顔だとしたら、喜多ちゃんはそれこそ「キターン」とした太陽みたいな笑顔だ。
    「それとも、少し顔も赤いしちょっと涼みたかったとか?少し休んでから戻りましょうか?」
    「喜多ちゃん…」
    「なぁに?」
    「ハグ、させて下さい」
    「えぇっ!!?」

  • 28123/07/14(金) 04:31:19

    喜多ちゃんは距離感が近い。私が一生掛けて縮められない関係を喜多ちゃんはすぐに詰めて、学校の皆や結束バンドの2人、ふたりやお父さんお母さんと仲良くなった。それに、私とも。
    喜多ちゃんのスキンシップには驚くことも多いけど、でも喜多ちゃんが私に触れてくれるとき、私は嬉しい気分になる。キターンな光に暖められるような心地よさがある。私がそれにどれだけ助けられているかを伝えるには、こうするのが一番なんじゃないかと思う。
    「私の気持ちを伝えたいんです。だ、駄目ですか…?」

  • 29123/07/14(金) 04:37:10

    言っているうちに自信が無くなって、目が潤んできた。一度広げた両腕も徐々に狭くなっていく。喜多ちゃんを困らせているかも、陰キャが調子に乗りすぎた…!?
    「だ、だ、駄目じゃないわ!しましょうハグ!」
    喜多ちゃんは(そんな顔されたら断れないじゃない!)といった顔で返事をした。やっぱり喜多ちゃんは優しい。
    喜多ちゃんは顔を赤くしながら距離を詰めて、私の胸の中に収まった。丁度喜多ちゃんの顔が胸に当たる。ふたりが小さい頃、こうやって抱きかかえていたことを思い出す。今は嫌がって中々させてくれないけど。
    自然と手が喜多ちゃんの頭を撫でていた。びくんと跳ねる喜多ちゃんだけど、嫌がってるわけではなさそうだ。

  • 30123/07/14(金) 04:56:31

    「ひとりちゃん…?急にハグしたいなんてどうしたの?」
    「き、喜多ちゃんが私にとって特別だからです」
    「へっ!!!?」
    「学校で誰かに声をかけるのも、友達と外で一緒に写真を取るのも、私にとっては全部初めてのことで、それを出来たのは喜多ちゃんのおかげなんです。そ、それで…こうやって触れ合って幸せな気持ちになるってことも喜多ちゃんに教えてもらったので、私からも伝えたくなったんです…。」
    喜多ちゃんの方を向くと、喜多ちゃんは息が上がっていた。そんなに強く抱きしめていたつもりは無かったんだけど…苦しかったのかな!?
    「ね、ねぇ…じゃあひとりちゃんに、私からまた一つ教えてあげたいことがあるんだけどいいかしら…?」
    喜多ちゃんの唇が艶を帯びている。いつも可愛らしい喜多ちゃんだけど、なんだか今は色っぽくもある。いけないことをしている気分になる。

  • 31二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 04:58:10

    総攻めぼっちキターン
    これだからバンドマンは

  • 32123/07/14(金) 05:06:20

    「わ、私もしたことないことなんだけど?きっとひとりちゃんも喜んでくれると思うの!」
    さっきまで胸の中に収まっていた喜多ちゃんの顔が、徐々に私の顔に近づいていく。荒く吐かれた息を首筋に感じる。喜多ちゃんが何をしようとしているか、わからないのに何だかドキドキする。心臓がうるさい。
    「で、でも喜多ちゃんも私が一人目でいいんですか?」
    口に出したそばから、必要ないことを口にしたなと思った。
    「私がひとりちゃんとしたいの…」

    視界に喜多ちゃんしか見えない状態になって、目を閉じようとしたとき

    背後から固形物と液体があふれる音がした。

  • 33二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 05:15:49

    廣井テメェ!!

  • 34二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 07:49:13

    ひ、廣井いいいいいい!!!!

  • 35二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 11:22:56

    ほしゅ

  • 36二次元好きの匿名さん23/07/14(金) 15:40:02

    落とすわけにはいかねぇ…
    保守

  • 37123/07/14(金) 19:54:58

    家帰ったら続き書きます

  • 38123/07/14(金) 23:37:16

    「お姉さん!?」
    振り返ると電信柱の陰に真っ青な顔でうずくまっているお姉さんがいた。私は駆け寄ってお姉さんの背中をさする。
    「良いところだったのに…!」喜多ちゃんは見たことのない表情でお姉さんを睨んでいる。
    「2人ともー、店長が呼んでますよ」PAさんが私達を呼びに来た。
    「あ、あっ、あの、私お姉さんを介抱してから戻ります」
    そう答えるとPAさんは喜多ちゃんを連れてSTARRYへ戻った。
    「ぼっちちゃーん…心配してくれるのー?やっぱり私にはぼっちちゃんしかいないやぁ…」
    お姉さんはお酒と胃液の匂いのする息を吐きながら力なく笑う。その弱々しい表情が普段気付かなかった身体の細さや目や肌の乾きを引き立てているような気がした。今に限らず、お姉さんはボロボロに見える

  • 39123/07/15(土) 00:00:43

    頬が熱く濡れているのを感じる。お姉さんがいつか唐突に死んじゃうんじゃないかと想像してしまって、私は泣いていた。
    「ど、どうしたのぼっちちゃん!?そ、そんな悲しい顔されるとお姉さんも悲しくなっちゃうよ?」
    「お姉さん…」
    「んー?」
    「死なないで下さい…」
    「え」
    しまった。また変なことを言ってしまった。何かごまかさないと…。
    「お姉さんが好きなんです…も、もちろんお姉さんがお酒が好きなのもわかってるんです。でも、お姉さんがボロボロになるのを見ると、こ、怖くて…」
    言葉を続けるごとにお姉さんはオロオロと戸惑っている。

  • 40123/07/15(土) 00:05:58

    「私、もっとギターうまくなって結束バンドで頑張ります…だから、その」
    「これからもずっと側で見守ってほしいんです」
    お姉さんはこちらをじっと見ている。表情はふにゃふにゃだったけど、顔色は良くなっていて、むしろ赤くなっていて、何だか元気そうだ。…何故か目が涙ぐんでいるけど。
    「ぼっちちゃん…そこまで私のことを思ってくれていたんだね…」
    「決めたーっ!私はもう二度と飲まない!」
    「お姉さん…」

  • 41123/07/15(土) 00:09:49

    「可愛いぼっちちゃんにそこまで言わせちゃあね!そ、それにぼっちちゃんからの…ぷ、プロポーズを酔って忘れちゃあ…勿体ないし…」
    お姉さんはおさげを指でいじりながらごにょごにょ言ってる。いつもの声色と違ってあんまり聞き取れないけど…。なんだかさっきから耳が遠いし、普段口に出せないことが言える不思議な日だなぁ…。

  • 42123/07/15(土) 00:15:22

    「おい、ぼっちちゃんを独り占めすんな」
    いつの間にか後ろにいた店長さんがお姉さんをグーで小突いた。
    「いだーーい!可愛い後輩を虐めないで下さいよぉ」
    「お前はもう可愛いって歳じゃないだろ」
    「あっ、あの私が勝手に心配してここにいるんです、お姉さんは悪くなくて…」
    私がオロオロと言うと店長さんは仕方ない、という顔でお姉さんに水を渡した。
    「酔いが覚めたら戻ってきな、じゃあぼっちちゃんも戻ろっか」
    「あっ、はい」
    そう言ってSTARRYに戻っていく店長さんに私もついていく。
    「ぼっちちゃーん!側にいてくれるんじゃないのー!?」

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