新春福丸小糸SP 第十七幕

  • 1二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 10:42:57

    プロデューサー……どうか間違った選択はしないで小糸と幸せになってくれ……


    ここは福丸は俺氏の二次創作を実質福丸たちが楽しむ場です、次スレは>>190さんお願いします。


    前スレ

    新春福丸小糸SP 第十六幕|あにまん掲示板ついに福丸小糸とPの出会いまでやってきた!ここは福丸は俺氏の二次創作を実質福丸たちが楽しむ場です、次スレは>>195さんお願いします。前スレhttps://bbs.animanch.com…bbs.animanch.com
  • 2二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 10:44:59

    次スレちょっと早めて>>190にしました

  • 3二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 10:50:48

    こういうのって立たないからと早く立った後埋まらないから遅くされがちな印象

  • 4二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 10:50:54

    新スレ初ぴゃっ!

  • 5二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 10:52:19

    >>3

    あー確かにじゃあ、次スレから戻すか

  • 6二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 12:15:39

    保守

  • 7二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 12:28:29

    俺、福丸小糸(`ェ´)ピャー

  • 8二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 12:33:44

    もう既に夏も本格的に始まろうとしてるのに「新春」とはこれ如何に
    小糸もそう思わないか?

  • 9二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 12:41:31

    小糸、パン食べな

  • 10二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 12:42:50

    小糸はいつもかわいいけどさ
    今回もかわいいなぁ

  • 11二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 12:44:51

    >>8

    まあもう2周目だし…

  • 12二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 12:45:54

    このまま2周年狙うっぴゃ

  • 13二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 13:12:30

    た、建て乙です…!
    フヒュヒュスレ画可愛すぎますだ

  • 14二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 21:23:34

    小糸ちゃんめーっちゃ可愛いね★

  • 15二次元好きの匿名さん23/07/20(木) 00:06:04

    MMM

  • 16二次元好きの匿名さん23/07/20(木) 10:25:33

    NNN

  • 17二次元好きの匿名さん23/07/20(木) 21:03:43

    みゃっ

  • 18二次元好きの匿名さん23/07/20(木) 23:21:41

    ー^

  • 19二次元好きの匿名さん23/07/21(金) 07:02:06
  • 20二次元好きの匿名さん23/07/21(金) 09:53:03

    福丸は俺って地味にガチ勢だよな

  • 21二次元好きの匿名さん23/07/21(金) 14:55:04

    派手にガチ勢定期

  • 22二次元好きの匿名さん23/07/21(金) 20:43:08

    ぴぇい

  • 23二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 00:27:20

    ぴょい

  • 24二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 11:01:12

  • 25二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 22:57:12

    ぴゅ

  • 26二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 01:28:46

    ぴぴん

  • 27二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 09:57:19

    ぴぴぴん

  • 28二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 18:20:11

    ぴぴぴぴぴ

  • 29二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 21:58:13

    2日目で凄い良いポジション貰ったんだね……

  • 30二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 22:07:03

    まさかのトリに来て俺は泣いた……
    お前は小糸?

  • 31二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 22:47:46

    あさひとの組み合わせが良過ぎた

  • 32二次元好きの匿名さん23/07/24(月) 08:09:37

    一晩経ったがずっとちいかわみたいな声しか出せない

  • 33二次元好きの匿名さん23/07/24(月) 14:43:00

    ワイ!!

  • 34二次元好きの匿名さん23/07/24(月) 23:02:53

    ぴゃ〜!!

  • 35福丸は俺23/07/24(月) 23:15:24

    本編の続きを描く前に短編を一本書く予定っす
    よろしくお願いするっす

  • 36二次元好きの匿名さん23/07/25(火) 06:26:06

    息抜きは大事っすからね
    わかったっす!

  • 37二次元好きの匿名さん23/07/25(火) 16:15:06

    すっすっす〜

  • 38福丸は俺23/07/25(火) 22:16:10

    番外編  我儘なまま 〜あさひと小糸〜

  • 39福丸は俺23/07/25(火) 22:16:34

     「何か面白いことないっすかね〜」

    283プロのアイドルユニット、ストレイライトのセンター芹沢あさひは暇を持て余していた。

    その日、プロデューサーは他の担当アイドルの付き添いで事務所を留守にしており、ユニットメンバーの冬優子と愛依が事務所に来るのにも暫く掛かる。

    事務員の七草はづきも買い出しで事務所を空けており、事務所にいるのはあさひ一人のみだった。

    あさひは探す。興味を惹くものを、ワクワクするものを。

     「む〜 みんなもう飽きちゃったっす」

  • 40福丸は俺23/07/25(火) 22:16:50

    すると、事務所の扉が開く音が聞こえた。

    誰だろう。冬優子ちゃんか愛依ちゃんが予定より早く来たのかな。

    はづきさんが帰ってきた?

    それとも他の誰かかな?

    あさひは考え、そして思いついた。

    これから入ってくる誰かと何かして遊ぼうと。

    「お、おはようございます……」

  • 41福丸は俺23/07/25(火) 22:17:11

    やって来たのはあさひよりも小柄な少女。

    話したことはないが、あさひはその少女を冬優子によるアイドル評で知っていた。

    愛くるしい小動物のような容姿を持ち、一生懸命な姿が応援したくなる……そんなことを冬優子は言っていた。

    その少女はノクチルのメンバー、福丸小糸だ。

     「小糸ちゃん! おはよう!」

    あさひは小糸が部屋に入るなり満面の笑顔で声を掛けた。

    283プロの中であさひは年齢が低い方だ。

    歳下の果穂とはよく遊ぶ仲ではあるし、それならば目の前にいる小糸とも仲良くなって一緒に楽しく遊べるかもしれない。

    どうやら小糸は自身と同じくらいか、少し歳下だろうと、あさひはそう考えた。

    「ぴゃ……! あ……お、おはよう……?」

  • 42二次元好きの匿名さん23/07/25(火) 22:55:50

    しっかりライブ見てて笑ってしまった

  • 43二次元好きの匿名さん23/07/26(水) 06:38:42

    おっ

  • 44二次元好きの匿名さん23/07/26(水) 08:17:31

    >>42

    そりゃ福丸小糸がいるなら行くさ

  • 45二次元好きの匿名さん23/07/26(水) 17:06:37

    突然あさひPラブ学会になったかと思ったらあさこい学会になってた…

  • 46福丸は俺23/07/26(水) 22:25:31

    福丸小糸は驚愕し、そして困惑する。

    芹沢あさひ、小糸はその少女を識らない。

    同じ事務所に属するアイドルユニット……ストレイライトのセンター、その程度の認識でしかない。

    その彼女が今、目の前で満面の笑顔で待ち構えていた。

    一体何が目的なのか。

    「…………ぴぇ」

    小糸は沈黙しあさひの次の言葉を待つ。

     「小糸ちゃん! 今日のスケジュールは!?」

    「……え…………ゆ、夕方から……れ、レッスン……だよ……」

    「やった! じゃあそれまで一緒に遊ぼう!」 

  • 47福丸は俺23/07/26(水) 22:25:57

    小糸は答えに詰まった。

    はっきり言うと親しくもない相手と遊ぶなど御免被りたい。

    そう考える小糸だったが、僅かな時間で考えを巡らせるも角の立たない断り方が思いつかない。

    期待に満ちた笑顔でこちらを見つめる少女の提案を、どうして突っ撥ねることができようか。

    そして何よりショックだった!

    福丸小糸にとって実年齢より幼く見られるその容姿は大きなコンプレックスだ。

    福丸小糸には現在中学生の妹がいる!

    コンプレックスにより容姿年齢に人一倍敏感で、尚且つ中学生の妹を持つ小糸の目測によると、どうやら芹沢あさひは妹と同じくらいの年齢。

    おそらく中学2年生くらいだろう、と小糸は考える。

    とどのつまり歳下である!!

    2学年も歳下である!!!!

  • 48福丸は俺23/07/26(水) 22:26:19

    面識のない歳上にいきなりタメ口で話し掛ける……

    この状況から考えられる答えは──

    ナメられている……あるいは

    あさひは小糸の年齢を同年代、もしくは歳下と勘違いしている!

    その事実は小糸に大きなショックを与えた!

    「…………ぁ」

    「い、いいよ……一緒に遊ぼう…………」

    長考の末に小糸が導き出したアンサーは『YES』。

    この場から逃れることは叶わないと悟った小糸はただ願う。

    どうか1秒でも早く、誰かがやってきてこの状況を打破して欲しい、と……! 

  • 49二次元好きの匿名さん23/07/26(水) 22:42:48

    ひたすら草

  • 50二次元好きの匿名さん23/07/27(木) 00:17:34

    おお

  • 51二次元好きの匿名さん23/07/27(木) 01:47:44

    そういえば作者こんな作風だったなって…
    いやそれでもだいぶ大人しいなこれ

  • 52二次元好きの匿名さん23/07/27(木) 10:29:40

    (初期のハチャメチャさに比べたら)大人しい

  • 53二次元好きの匿名さん23/07/27(木) 11:40:06

    初期(冬優子アンチスレ,実福おじさん)

  • 54二次元好きの匿名さん23/07/27(木) 22:01:25

    うーんこの

  • 55福丸は俺23/07/27(木) 22:44:01

     「やったぁ! 何して遊ぶ!?」

    あさひのその言葉に小糸は「しめた」と思った。

    遊ぶ内容の決定権はこちらにあるということだ。

    ならば出来る限り言葉を交わさず、意思の疎通を必要としない遊びを考えれば良い。

    小糸は辺りを見回す。

    事務所内には誰の物かも分からない遊び道具が置かれているのを小糸は知っていた。

    「あ…………」

    ある物が小糸の目に留まる。

    盤上に交互に白と黒の石を置き、挟んだ相手の石を奪いその数を競う。

    単純明快なルール、日本人なら100億%知ってる超有名なボードゲーム……そう、

    「お、オセロなんて……どうかな……」

  • 56福丸は俺23/07/27(木) 22:44:43

    オセロ!

    19世紀ロンドン、ジョン・モレット,ルイス・ウォーターマンによって発明された『リバーシ』を現在からおよそ50年前、日本人によって遊び易くアレンジされたゲームである!

    小糸は勝利を確信した!

    ボードゲームの場合、集中している間は言葉数が少なくとも不自然ではない。

    一手一手をよく考えて慎重に指せば時間も稼げる。

    試合に負けることはあれど勝負に負けることはない。

    オセロを選んだ時点で最低限のコミュニケーションでやり過ごすという目的は果たされる…………


    ──ように思えた。

  • 57福丸は俺23/07/27(木) 22:45:45

     「えーそんなのつまんないよ」

     「それより外に行こう!」

    小糸の提案は敢え無く却下された!

    決定権など最初からなかった!

    小糸には知る由もないことだが、このゲーム……芹沢あさひは既に飽きていた!!

    オセロは日本人なら誰でも知ってるメジャーなゲーム……

    とどのつまり、お馬鹿や小学生でも遊べるゲームである!

    実を言えば芹沢あさひはおよそ半月前にオセロがマイブームとなり、暇さえあれば愛依や冬優子、時には果穂といった他ユニットのメンバーと勝負していた!

    結果は常勝無敗、勝ちの決まった勝負ほどつまらない物はない……あさひの中であっという間にオセロブームは終焉を迎えていた!

     「早く早く! 面白い物を探しに行こう!」

    「…………ぴぇ」 

  • 58二次元好きの匿名さん23/07/27(木) 23:55:39

    おっ

  • 59二次元好きの匿名さん23/07/27(木) 23:57:24

    お労しやこい上…

  • 60二次元好きの匿名さん23/07/28(金) 09:10:03

    ぴゃい

  • 61二次元好きの匿名さん23/07/28(金) 19:10:00

  • 62二次元好きの匿名さん23/07/28(金) 22:59:20

    ぴぇって何なんすか?
    何でそんな鳴き声が出るんすか?
    気になるっす!

  • 63二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 00:03:33

    抗体

  • 64二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 09:14:17

    お、おじさんになると、自然に出るようになるんだよ…!
    あ…あさひちゃんも、おじさんになったら…わ、わかるよ…!

  • 65二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 15:03:56

    ペンギン

  • 66二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 20:00:37

    もはや純粋な実福を見かけるのも珍しいな…
    純粋な実福って何だよ

  • 67福丸は俺23/07/29(土) 21:52:58

    あさひは小糸の手を引きながら、もう片方の手でドアノブへと手を掛ける。

    「ま、待っ──」

    いよいよ絶体絶命か。

    ────が、ここで状況が一変する。

    扉が開く。

    ……が、これはあさひの“意思”によるものではない。

    扉の向こうにはある人物が立っていた。

      「あさひちゃーん♪ 何してるのかなぁ?」

    ピンクと黒の地雷系ファッション……

    丸太のように逞しく、そして頼もしい脚……

    ──そう、黛冬優子である!

  • 68福丸は俺23/07/29(土) 21:53:37

     「あっ 冬優子ちゃん」

     「何って、小糸ちゃんと外に遊びに行くっすよ」

      「そっか〜小糸ちゃんに遊んでもらってたんだね♪」

      「でも、もうすぐ打ち合わせの時間だし、愛依ちゃんやプロデューサーさんもそろそろ来ると思うな〜」

     「えー……」

      「それに小糸ちゃんにも用事があるんじゃないかなぁ?」

    「……あ……わ、わたし……このあとレッスンで…………」

     「むー……分かったっす……小糸ちゃんと遊びに行くのはまた今度にするっす」

      「うんうん。小糸ちゃん、あさひちゃんと遊んでくれてどうもありがとう♪」

    「……い、いえ……」

  • 69福丸は俺23/07/29(土) 21:57:00

    黛冬優子は完璧な美少女である!

    誰に対しても分け隔てなく優しく、おだやかに接する。

    老若男女に愛され、多くのこってりしたオタクをそのルックスで!その声で!その笑顔で虜にしてきた!


    だがこの時! 福丸小糸は訝しんでいた!!


    つい先刻まで野生動物のように落ち着きがなかったあさひが、冬優子の優しげな言葉一つで大人しく引き下がる。
    そんなことがあり得るのだろうか?

    「ぴゃ……!?」

    そして小糸は感じ取る!

    冬優子があさひに掛ける言葉の中に……僅かな“圧”を!

    それは常人では察知のしようがない、本当に……本当に僅かに漏れ出た圧……!

    が、福丸小糸は気付く!

    日常生活に於いて、あらゆる事象を訝しんできた福丸小糸だからこその気付き!

    「ぴ……ぴぇ……」

    この瞬間、小糸にとって黛冬優子は、283プロ内で最上位級の恐怖の対象となった!!

    小糸は通学鞄の中から飴を取り出し、それを冬優子とあさひに向かって差し出した!!

  • 70二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 00:19:04

    おっ

  • 71二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 08:12:40

    飴で屈服の意を示すのほんと好き

  • 72二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 16:20:22

    “何か”を感じ取る小糸……

  • 73福丸は俺23/07/30(日) 22:25:03

    それから数日が経ったある日のこと。

    小糸は誰もいない静かな事務所で読書をしていた。

    勉強の息抜きにと何気なく手に取った冒険小説だったが、これが思いの外面白くこの空き時間で最後まで読んでしまおうと、すっかり本に集中していた。

    「…………ふぅ」

     最後まで読み終え、しばしの余韻に浸っていると、先ほどまで集中していて気づかなかったが、視界の端に人の気配を感じた。

    「ぴゃ……!?」

    なんとそこにいたのは芹沢あさひだった。

     「あ、やっと気がついた」

    「い……いつからいたの……!?」

     「分かんないけどずっとっすよ」

     「凄い集中してたから小糸ちゃんのことずっと見てたっす」

  • 74福丸は俺23/07/30(日) 22:25:26

    「ぴぇ……」

     「あっ! その『ぴぇ』って何なんすか? 教えて欲しいっす!」

    「ぴゃ……!? え、えっと……」

     「今度は『ぴゃ』になった! そっちも意味を知りたいっす!」

    「ぁ……えっと……その……」

     「む〜、声が小さくて聞こえないっす。もっと大きな声で話して欲しいっすよ」

    無論、あさひには一切の悪意はない。

    全ては純粋な疑問によるものだった……が

    それらは小糸の心を傷つけるのには充分過ぎた。

  • 75福丸は俺23/07/30(日) 22:25:45

     「そういえばそれ、どんな本なんすか?」

    「え……? ぼ、冒険小説だけど……」

    なんてことのない素朴な疑問だったが、あさひに対して苦手意識が強まっていた小糸は恐る恐る答える。

     「冒険小説……詳しく内容が知りたいっす!」

    あさひは先刻まで小糸が読んでいた小説に興味を示していた。

    いや…‥正確に言えば、小糸の持つ集中力に興味を示していた。

    『興味のあることに対して集中する余り、周りが見えなくなっている』

    それはあさひがこれまでの人生で度々指摘されていた悪癖だ。

  • 76福丸は俺23/07/30(日) 22:26:12

    繰り返し言われただけあって、あさひも自身の悪癖は自覚している(とはいえ改善するつもりは毛頭ないが)。

    そして先程見た小糸の集中力。

    あさひはそれに自身と近い物を感じた。

    あらゆる面で規格外の感性・能力を持つあさひにとって、そういった“共感”は何物より得難い経験であった。

    故にあさひは“見”に徹した。

    そして今、自身に勝るとも劣らない集中力を持つ小糸が読んでいた本へと興味が移ったという訳だ。

    「じゃ、じゃあ……あらすじ……読んで、あげようか……?」

     「え?いいんすか? お願いするっす!」

  • 77福丸は俺23/07/30(日) 22:26:35

    このとき小糸にとってもあさひは貴重な存在となりつつあった。

    依然小糸にとってあさひが苦手なタイプであることに変わりはない。

    が、あさひが本に興味を示したことが小糸の心象に変化を生んだ。

    福丸小糸の人間関係といえば、家族に加えて浅倉透、樋口円香、市川雛菜、そしてプロデューサー。

    その何れもが日頃から積極的に読書をするタイプではない。

    いくら親しい間柄であろうと、大好きな本の話ができない。それは小糸にとって少し寂しい物があった。

    『本の話ができるかもしれない』

    そんな僅かな期待が小糸に「教えてもいいかな」という気持ちを生んだのである。

  • 78二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 22:51:01

    読書感想文バトル!

  • 79二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 08:14:20

    ぴょー

  • 80二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 15:37:57

    来てたか

  • 81二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 21:21:39

    嬉しいよね
    共通点
    見つけるとさ

  • 82福丸は俺23/07/31(月) 21:59:55

     「小糸ちゃん! 虫取りに行くっすよ!」

    数日経ったある日、唐突なそのセリフに小糸は面食らった。

    あさひの手には虫取り網が握られていて、腰には小さなカゴが提げられていた。

    「む、虫……?」

     「さっき外で綺麗な蝶々を見つけたっす! だから急いで捕まえに行くっすよ!」

    「えっと……どうしよう、かな……」

    小糸はやはり気が乗らないようだった。

    幼い頃は幼馴染の透に連れられて虫取りに行くこともあった。

    ……が、高校生となった今、ましてや女の子が率先して虫取りなどするものではない。

  • 83福丸は俺23/07/31(月) 22:00:20

    ……だが、ここのところ小糸には、ほんの少し心境の変化があった。

    先日あさひに本の内容を分かりやすく説明してやると、あさひは大層興味を持ったようだった。

    そこで小糸はあさひに本を貸し与えることにした。

    するとあさひは翌日には貸した本を読み終え、次を貸して欲しいと小糸に懇願した。

    生憎続編はまだ発売していなかったので小糸は似たような作品をいくつかピックアップして貸し出した。

    あさひは残念がったが、結局の所それらもあっという間に読んでしまった。

    移り気なあさひのことだ。すぐに読書にも飽きてしまうかもしれない。

    しかし、自分が貸した本を相手が夢中になって読み、感想を聴く経験は小糸にとって非常に貴重な物だった。

  • 84福丸は俺23/07/31(月) 22:00:50

    その為、今の小糸にはあさひに対してそれほど悪いイメージはない。

    なんなら妹よりも素直であり、自分を慕ってくれる分可愛げがあるし……と、妹分のようにすら思えてきたようだ。

    「あさひちゃん一人だと危なっかしいし……一緒に行ってあげた方がいいよね……!」

    そう考えた小糸はあさひの誘いに乗ることにした。

    ……だが小糸はまだ知らない。

    芹沢あさひの本当の怖さを。

    黛冬優子が手を焼くその理由を。

     「やったぁ! じゃあ出発するっす!」

    あさひはそう言うや否や小糸の腕を掴み……

    「え……?」

    フルスロットルで駆け出した。

     「あははははは!」

    「ぴぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

  • 85二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 23:11:57

    いくらあさひだって多摩川に入ったりは多分しないはずかもしれない

  • 86二次元好きの匿名さん23/08/01(火) 01:09:16

    さてさて

  • 87二次元好きの匿名さん23/08/01(火) 10:17:42

    医務

  • 88二次元好きの匿名さん23/08/01(火) 18:50:12

    その調子で打ち解けていけ小糸…

  • 89二次元好きの匿名さん23/08/01(火) 22:05:14

    ぴぇ

  • 90福丸は俺23/08/01(火) 22:21:02

     「小糸ちゃ〜ん! こっちっすよ〜!」

    「ま、待って〜!」

    「あ……足速い……!」

    住宅地を全速力で駆け抜けるあさひ。

    そしてそれを必死に追い掛ける小糸。

    どれだけ追い掛けようと二人の距離は縮まるどころか広がる一方だ。

    小糸が立ち止まり、追い掛けるのをやめてしまえばあさひも張り合いを無くし戻ってくるかもしれない。

    が、不器用とも言えるほどに真面目な小糸の性格がそれをさせない。

    何処までも追い掛けるからこそ、あさひも走り続ける。

  • 91福丸は俺23/08/01(火) 22:22:14

     「あはは!」

    息も絶え絶えで、着いて行くのがやっとの小糸に対して、あさひは走りながら笑っていた。

    追いかけてくれることが嬉しかった。

    諦めないでくれることが嬉しかった。

    その人懐っこさから、あさひにとって人と仲良くなるのは難しいことではない。

    ……だが、一緒に遊んでいる内に、その誰もがあさひの元から離れていく。

    あさひは加減を知らない。

    奇抜。 奔放。 破天荒。

    そんなあさひの我儘に付き合うのは簡単なことではない。

    我儘に付き合ってくれるのはプロデューサーと大好きな冬優子と愛依くらいで……

    だから小糸との出会いはあさひにとって非常に嬉しい物だった。

  • 92福丸は俺23/08/01(火) 22:22:42

    「はぁ……はぁ……ど、道路で走っちゃ……ダメだよ……!」

     「む〜 どこいったんすかね」

    「こ、この辺りにいたの……?」

     「はいっす! でも見当たらないっす」

    「うーん……どこか飛んでいっちゃったのかな……」

     「……あっ」

     「あっちの公園が怪しいっす! 探しに行くっすよ!」

    あさひの指差した方には広い公園があった。

    木々だけでなく花畑などもあるので、確かに探してみる価値はあるかもしれない。

    そう小糸が考えている内に、既にあさひは再び駆け出していた。

    「ま、また走るの……!? ま、待って〜〜〜〜!」 

  • 93二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 00:07:18

    最近よく更新されるなあ

  • 94二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 00:10:53

    あさひはうさぎに興味を持ったこともあるんだろうけど今はもうなさそう

  • 95二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 08:57:08

    ノスタルジックな夏を感じる良いssだ…

  • 96二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 15:32:49

    ぴゃっすっす〜

  • 97二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 00:17:16

    ぴぴぴ

  • 98福丸は俺23/08/03(木) 05:31:44

    「見つからないね……?」

     「どこに行ったんすかね〜」

    あさひと小糸は公園で蝶を探す。

    だが10分、20分探し続けてもあさひが見たという蝶は見つからなかった。

    この場所を探すのはやめて他を当たろうか、そんな話をしていると……

     「あっ」

    どうやらあさひが何かを発見したようだ。

    「ど、どうしたの……?」

     「これ、見て欲しいっす」

    「アリさん……?」

    あさひが指をさした方には草花の上で大きなアリが何匹も、何物かにたかっていた。

     「何なんすかねこれ」

  • 99福丸は俺23/08/03(木) 05:32:08

    「蝶々の幼虫……? じゃないかな……!」 

    「アリの巣に運ぼうとしてるのかも……」

     「でも動かないっすよ?」

    「ほ、本当だ……! ちょっと調べてみようかな……」

    小糸はスマホを取り出し、適当なワードを入れて検索してみせた。

    「えっと……身体から甘い蜜を分泌して、それをアリに与えて、代わりに天敵から守って貰う……だって」

     「えっ そうなんすか?」

    聞くや否や、あさひは幼虫に手を伸ばして軽く触れた。

    そして触れた手を自身の口に……

    「だ、ダメだよ舐めちゃ……!」

     「えー でもどんな味か気になるっす!」

    「と、とにかくダメ! 代わりに飴あげるから……!」

  • 100福丸は俺23/08/03(木) 05:32:29

    どうにかあさひを制止した小糸。

    あさひは幼虫の蜜の味を確かめるのは諦めたが、持ってきた虫カゴに幼虫を摘んで入れた。

    「連れて帰るの……?」

    「蝶々じゃないけど……」

     「はいっす! 成長するまで育てるっすよ!」

     「どんな蝶々になるかお楽しみっす!」

    「…………そっか……!」

    「じゃ、じゃあ育てるのに必要なやつ、調べよう……!」

  • 101福丸は俺23/08/03(木) 05:33:13

     「小糸ちゃん! ご飯っすよ!」

    「ぴゃ……!?」

    「わ、わたし……?」

     「……? 違うっすよ」

     「虫の小糸ちゃんっす!」

    そう言ったあさひの手には、件の虫カゴが握られていた。

    「わたしの名前……使ったんだ……!」

     「ダメだったっすか?」

    「う、ううん……ダメじゃないけど……」

    「……ちょっと複雑かも…………」 

  • 102二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 10:21:15

    この時間に更新とは珍しい…

  • 103二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 19:29:24

    こんなところに

  • 104二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 19:55:45

    名前使われるほど懐かれてると考えればエモいな…
    小糸(芋虫)ちゃん…

  • 105二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 20:12:31

    はらぺここいと

  • 106二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 00:50:35

    来てたか

  • 107二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 08:16:53

    小糸、葉っぱ食べな

  • 108二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 18:37:47

    ꒰( ˶ ᷇ ͛🍃 ᷆ ˵ )꒰

  • 109福丸は俺23/08/04(金) 21:41:38

    てってんてててん。

    「はぁ……はぁ……」

    てってんてててん。

    「も、もう一回……!」

    二人で虫を捕まえた日から暫く経った。

    この日、小糸はダンスレッスンの後、レッスン室に居残りをして新曲の練習をしていた。

    小糸は自身の才能のなさを自覚している。

    幼馴染にしてノクチルのメンバーである3人は、小糸より遥かに才能に恵まれ、センスを生まれ持ち、歌もダンスも要領良くこなす。

    そんな3人と、大好きなみんなと少しでも一緒にいるために、小糸は誰よりも努力を重ねてきた。

    それがどんなに険しい道のりだとしても。

    てってんてててん。

    「うん……! 今のは上手くできたかも……!」

  • 110福丸は俺23/08/04(金) 21:42:07

     「小糸ちゃん!」

    「ぴゃ……! ど、どうしたの……?」

    突然やってきたあさひ。

    その手には大きな手提げ、どうやら何か箱のようなものが入ってるようだった。

     「小糸ちゃんに見せたいものがあるんすよ!」

     「それでプロデューサーさんにまだレッスン室に居るはずって聞いてきたっす!」

    「そ、そうなんだ……!」

     「あれ、小糸ちゃん1人っすか?」

    「うん……! レッスンの時間は終わって、今は自主練してるだけだから……!」

    「新曲でちょっと難しいステップがあったんだけど、上手くできるようになってきたんだよ……!」

     「へー、どんなステップっすか?」

     「見せて欲しいっす!」

    「う、うん……! いいよ……!」

  • 111二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 23:03:24

    あさひって人にものを教えたりできたっけ?

  • 112二次元好きの匿名さん23/08/05(土) 00:12:08

    字面で笑った

  • 113福丸は俺23/08/05(土) 07:25:39

    あさひに請われるがままダンスを見せることにした小糸。

    この時小糸は難しいステップが上手くいって、少し自信がついていた。

    それにあさひが懐いてくれるのを嬉しく思っていた。

    ダンスを見せてやれば大喜びで「すごいっす〜!」なんて褒められて、今以上に慕われるかもしれない。

    ……そんな期待を少なからず持っていた。

    「はぁ……はぁ……ど、どうかな……?」

     「フゥン……そうやってやるのか……」

     「わたしもちょっとやってみるっす」

  • 114福丸は俺23/08/05(土) 07:26:20

    「え…………」

    期待とは違うリアクションに、小糸は戸惑いを見せる。

    繰り返し言うが、福丸小糸は芹沢あさひを知らない。

    知っているのは無鉄砲さと、無邪気な少女の面だけ。

     「えーっと、たしか……」

    テッテンテテテン。

     「こんな感じっすかね」

    「……………!」


    そして、福丸小糸は知る──


    ──アイドルの芹沢あさひを。


    ──決して覆ることのない、才能の差を。


    「…………なんで……っ たった一回見ただけで……」

  • 115福丸は俺23/08/05(土) 07:27:11

    「………………」

     「あはは! 結構楽しいっすね」

     「それで見て欲しいものなんすけど……」

    「…………わ、わたし……」

    「ごめんね……今日はもう……帰らないと……」

     「えっそうなんすか? でもちょっとだけっすよ?」

    「い、急いでるから……! ま、また今度ね……」

     「むー、分かったっす……」

    小糸を見送った後、あさひは手提げの中身を取り出した。

     「蛹になった小糸ちゃん、見せようと思ったのに」

  • 116二次元好きの匿名さん23/08/05(土) 11:54:52

    ストレイライトではよくあること

  • 117二次元好きの匿名さん23/08/05(土) 20:44:00

    最近更新多くて嬉しいけど相変わらず胃は痛くなってきた……

  • 118二次元好きの匿名さん23/08/05(土) 21:16:29

    正体現したね

  • 119二次元好きの匿名さん23/08/05(土) 23:58:30

    ハイペース更新

  • 120二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 09:49:42

    歳下が自分より圧倒的に格上って思い知らされるのクッソキツいからな…

  • 121二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 19:02:39

    ぴゃい

  • 122二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 19:51:16
  • 123二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:10:55

    さすがは抜かりないんだ

  • 124福丸は俺23/08/06(日) 21:51:51

    それから2人が顔を合わせることはなかった。

    ……というより、小糸があさひに会うことを避けていた。

    努力の末にやっとの思い出で越えた壁を、あさひはあっさり越えていった。

    できるところを見せたかったのに。

    小糸は考える。

    あさひにどんな風に思われただろうか。

    呆れられた?

    幻滅された?

    どんな顔をして会えばいいのか分からない。

    どんな言葉を掛ければいいのか分からない。

    あさひに会うのが……並んで立つのが怖い。


    …………そして今日もまた福丸小糸は芹沢あさひを避ける。

  • 125福丸は俺23/08/06(日) 21:53:13

     「…………」

    「なによ。スンとしちゃってずいぶん大人しいじゃない」

    「まぁふゆにとってはその方が静かでありがたいけど」

     「小糸ちゃん……今日は来るっすかね」

    「福丸小糸? ……あぁ、最近一緒に遊んでたっけ」

    「喧嘩でもしたわけ?」

     「してないっすよ」

     「でも、この前遊びに行ったら急に帰ったっす」

    「あっそ。どうせあんたのことだからまた我儘言って迷惑掛けたんでしょ」

     「っす……」

    「…………」

    「…………」

    「…………世話が焼けるわね……!」

  • 126福丸は俺23/08/06(日) 21:55:30

    「って訳なんだけど、あんたの方で上手く取り持てない?」

    「あさひがいつまでもあの調子だと ふゆまで調子狂うのよ」

     「あの二人が最近仲良いのは俺の方でも把握していたよ」

     「あさひも小糸も、相手のことを楽しそうに話してくれるんだ」

     「でも……そうか、そんなことになっていたのか」

    「ふゆじゃあの子に怖がられるだけでしょ。だからあんたに頼みたいんだけど」

     「…………うん、俺としても二人には和解して欲しいと思うよ」

     「でも、今回の件は本人達で解決できると思う」

     「あの二人は似たもの同士だから」

    「…………は? どこ見てそう言ってんのよ……」 

     「ははっ、まぁ冬優子もしばらくはそっと見守ってやってほしい」

    「…………分かったわよ」

  • 127二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 22:24:41

    小糸と似ているあさひは実質福丸小糸

  • 128二次元好きの匿名さん23/08/07(月) 00:52:27

    最近供給多いな

  • 129二次元好きの匿名さん23/08/07(月) 10:22:45

    完全に娘達を見守る夫婦の会話なんだよね
    俺はPこいスレにいたはず…

  • 130二次元好きの匿名さん23/08/07(月) 17:55:25

    愛依ちゃん……

  • 131二次元好きの匿名さん23/08/07(月) 21:08:03

    作者は福丸小糸を自称する一方で和泉愛依に異常な愛情を見せる自己矛盾を極めた存在なんだ

  • 132二次元好きの匿名さん23/08/08(火) 00:01:02

    >>131

    まあ字面上の矛盾だけは「小糸→愛依」っていうマイナーカプになるし問題ないと思う

  • 133福丸は俺23/08/08(火) 06:16:45

    ある日の放課後、小糸は事務所に向かう途中で見知った後ろ姿を見つける。

    あさひだ。

    「…………っ」

    小糸は思わず隠れる。 

    制服姿を初めて見た。向こうも学校帰りかな、と考えながら小糸は少し離れて後ろを歩く。

    すると、しばらく歩いた先であさひは突然立ち止まった。

    尾行していた訳ではないのだが、小糸も立ち止まり思わず身構える。

    しかしあさひが立ち止まったのはどうやら別の理由のようだ。

  • 134福丸は俺23/08/08(火) 06:17:02

    小糸はあさひの視線の先を確かめる。

    「…………?」

    その先にいたのは、あさひと同じ制服を着た数人の女子中学生。

    なんてことのない。

    普通に並んで歩いて、普通に談笑して、普通に買い食いしている少女達。

    あさひはそんな彼女達をただ静かに遠巻きに見つめていた。

    あさひは今何を思っているだろう。

    後ろ姿からは想像することしかできない。

    ……けれど、小糸にはその背中がひどく寂しいものに見えた。

    「ぁ…………」

    「………………っ」

    小糸は思わず声を掛けようとするが、言葉が見つからずに口を噤む。

  • 135二次元好きの匿名さん23/08/08(火) 07:08:55

    お腹が空いているわけではない

  • 136二次元好きの匿名さん23/08/08(火) 16:25:49

    小糸の朝は早い

  • 137二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 00:09:21

    小糸は早そう

  • 138二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 10:35:52

    あさ曇は悲しくなるからやめろ
    やっぱやめないで

  • 139二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 17:16:08

    朝霧

  • 140二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 21:13:40

    ぴぴ

  • 141福丸は俺23/08/09(水) 21:48:05

    「はぁ……はぁ……」

    「もう一回……!」

    小糸は今日も居残りで練習をする。

    「無理はするな」と他人は言う。

    しかし、小糸が幼馴染達と肩を並べるにはまだ足りない。

    もっと頑張らなければ、もっと無理をしなければ追いつけない。

    「もっと……頑張らないと……!」

    「小糸には無理だよ」と諦められるのが怖いから。

    みんなといつまでも一緒にいたいから。

    「これは……わたしの我儘だから……!」

  • 142福丸は俺23/08/09(水) 21:49:06

    「あ……もうこんな時間……そろそろ出ないと……!」

    「プロデューサーさんが帰りに今度のお仕事の資料、持って帰るようにって言ってたっけ……」

    小糸はレッスン室を後にし、事務所に寄って帰ることにした。

    事務所の階段を上がると、階上から妙な物音がする。

    「…………?」

    小糸は音の正体を訝しみつつも、事務所に入り用を済ます。

    そして10分ほど経って事務所を出ると、先ほどの物音がまだ続いているのに気がついた。

    「…………なんだろう」

    「「屋上……? ……ちょっと覗いてみようかな……」

    小糸は物音を立てないように、静かに階段を上る。

    そして、恐る恐る屋上を覗くと……

    「あ…………」

    そこにいたのは芹沢あさひだった。

    あさひもまた自主練をしているようだった。

    だが、ダンスに集中していて小糸に気づく様子はない。

  • 143福丸は俺23/08/09(水) 21:49:34

    「…………すごいなぁ」

    それは今の小糸では到底真似できないステップで──

    「……みんな、がんばってるんだよね」

    「……わたしよりずっと凄い人たちもみんな……」

    ……分かってるよ。

    がんばってるのはわたしだけじゃないことくらい。

    ……だけど、それでも。

    追いつけるまでがんばるよ。

    我儘なままに── 

  • 144二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 23:14:42

    逆に小糸の練習もあさひは見てたのかな

  • 145二次元好きの匿名さん23/08/10(木) 00:34:25

    また来てたのか

  • 146二次元好きの匿名さん23/08/10(木) 09:31:58

    さり気なく訝しむ小糸を挟んで来るの好き

  • 147二次元好きの匿名さん23/08/10(木) 17:52:26

    小糸、仲直りしな
    仲直りして来なさいあさひ

  • 148二次元好きの匿名さん23/08/10(木) 20:58:50

    ぴゃいや

  • 149福丸は俺23/08/10(木) 21:40:02

    小糸は静かに、胸の奥で宣戦布告をする。

    いつか追いついてみせる。

    いつか追い抜いてみせると。

    そして思う。

    「…………ごめんね」

    逃げてしまった。

    「せっかく仲良くなれたのにね……」

    避けてしまった。

    わたしがいなくても大丈夫だと思った。

    あの子は明るくて、誰にでも話し掛けられる子だから。

    きっと他にも友達がいっぱいいて、わたしがいなくても全然よゆーなんだって。 

  • 150福丸は俺23/08/10(木) 21:40:26

    だけど……

    あのときどんな気持ちだった?

    あの日の放課後は?

    あの日見た背中は、とても寂しくて……とても哀しくて……

    わたしが思ってるだけで……勘違いかもだけど……

    中学生のときのわたしみたいだなって、思ったの……

    そういうと同情とか、傷の舐め合いに聞こえるかもしれないけど──

    楽しかったから……

    一緒に遊んで、お話しして、一杯走って、楽しかったから……!

    あのね、もしもわたしから声を掛けたら──

    「また、仲良くしてくれる……?」 

  • 151福丸は俺23/08/10(木) 21:43:07

    そして、精一杯の声と──


    精一杯の気持ちで──



    「あ……」



    「あさひちゃん……!」



    その名前を呼んだ。

  • 152二次元好きの匿名さん23/08/10(木) 23:44:21

    小糸ちゃんが羽化する

  • 153二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 00:01:38

    来たか

  • 154二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 09:28:41

    あさこいが芽吹く音がする…

  • 155二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 16:54:52

  • 156二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 21:16:01

    ぴえ

  • 157福丸は俺23/08/11(金) 22:10:31

    あさひは小糸の声を聞くと、足を止めて振り返った。

     「あっ 小糸ちゃん」

     「どうしたっすか?」

    「あのね……あさひちゃん」

    「避けるようなことしてごめんなさい……!」

    勇気を出して、精一杯の声を出して小糸は頭を下げる。

    ……しかし、あさひは……

     「えっ、そうだったんすか?」

     「でもこうして話し掛けてきたってことはもう避けてないっすよね?」

    「え……? う、うん……」

     「だったら別にいいっす!」

    「えぇ……り、理由とか……気にならないの……?」

  • 158福丸は俺23/08/11(金) 22:10:57

    その何事もなかったような、前と変わらない普通の反応に面食らう小糸。

    結局のところ、あさひが何を考えてるのかは分からない。


    ……でも、そんなのは関係なくて──


    「……ねぇ、あさひちゃん」


     「なんすか?」


    「ダンス……教えてくれる……?」

  • 159福丸は俺23/08/11(金) 22:11:24

    ある晴れた日のこと。

    小糸は事務所のソファに一人座っていた。

    今日はレッスンも仕事もない。

    ある約束のために事務所に来ている。

    「…………!」

    外からドタドタと音が聞こえてくる。

    ほどなくして扉が開き、少女は声を上げる。

    その肩には小さな虫カゴが掛けられていた。

     「小糸ちゃん! 行くっすよ!」

    「う、うん……!」

  • 160福丸は俺23/08/11(金) 22:12:07

    あさひと小糸、二人が来たのは近所にある大きな公園だった。

    蝶の幼虫を捕まえたあの場所だ。

     「いいっすか? 開けるっすよ」

    「うん……!」

    小糸の返事を聞くと、あさひは虫カゴの蓋を開けた。

    すると……中からひらひらと、美しい紫の羽を持った蝶が飛び立った。

    「わぁ……綺麗……!」

    「でも良かったの……? せっかく育てたのに逃がしちゃって」

     「小糸ちゃんが広い空で飛ぶところが見たかったっす!」

     「こんな狭い箱に閉じ込めてたらもったいないっすよ!」

    「そっか……うん、そうだね……!」

  • 161福丸は俺23/08/11(金) 22:13:05

    「どこまで飛んでいくのかな?」

     「ん〜 分かんないっす」

     「でも、きっと信じればどこまでも飛べるっすよ。小糸ちゃんは!」

    「…………!」

    「そっか……」

    「ねぇ……あさひちゃん」

     「なんすか?」

    「…………ありがとう」

     「…………? 何のお礼かよく分からないっすけど……」

     「はいっす!」





    終わり

  • 162福丸は俺23/08/11(金) 22:13:58

     「あっ あっちになんか面白そうな物持ってるお姉さんがいるっすよ!」

     「行ってみるっす!」

    「ぴぇ……!? ま、待ってあさひちゃん!」


     「あのー! それ、何持ってるっすか!?」


    「だ、ダメだよあさひちゃん……!」


      「…………これ?」



      「……これはね、ギター」

  • 163二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 23:34:55

    良かった
    仲良くなれて良かった
    いつかまた虫を捕まえたなら円香にもみせてあげよう

  • 164二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 01:17:48

    来てたか

  • 165福丸は俺23/08/12(土) 07:51:23

    例によって小出しになってしまいましたがお読みいただきありがとうございました。

    今回はpixivにも投稿したのでまとめて読む分はそちらの方が読みやすいかと思います。


    また、疲れちゃったので海に行くことにしました。そのため本編はしばらくお休みします。申し訳ありません。




    我儘なまま 〜あさひと小糸〜 | 福丸は俺 #pixiv
    #アイドルマスターシャイニーカラーズ #芹沢あさひ 我儘なまま 〜あさひと小糸〜 - 福丸は俺の小説 - pixiv「何か面白いことないっすかね〜」 283プロのアイドルユニット、ストレイライトのセンター芹沢あさひは暇を持て余していた。 その日、プロデューサーは他の担当アイドルの付き添いで事務所を留守にしており、ユニットメンバーの冬優子と愛依が事務所に来るのにも暫く掛かる。 事務員の七草はづき...www.pixiv.net
  • 166二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 16:28:27

    ぴぇ…おつかれさまです!!
    やっぱり更新頻度高いと嬉しいですね…にへへ

  • 167二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 22:33:04

    葛西臨海水族館いいよね
    クロマグロは格好良いんだ

  • 168二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 00:36:03

    この世界線での話だけど、小糸とあさひって真逆なようで共通点多かったんだなぁと…
    良かった…

  • 169二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 09:25:32

    凄く良き物を読んだ
    ありがぴゃや…

  • 170二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 17:32:34

    うむり

  • 171二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 22:02:07

    書類の書き方を教わるあさひ

  • 172二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 00:51:14

    ぴゃ

  • 173二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 11:22:12

    ぴえ…

  • 174二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 11:25:34

    >>171

    なんで嘘書く必要があるんすか?

    分かんないっす

  • 175二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 12:26:21

    あ、あさひちゃんの家は放任主義だからいいよね……!

  • 176二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 12:31:05

    せっかく仲直りしたのに喧嘩するんじゃないわよ

  • 177二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 13:29:50

    福丸は俺氏、気合いの入り方が違う

  • 178二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 20:21:22

    フォト機能がもう少し高機能だったら危なかった
    作者が危険人物になってしまうところだった

  • 179二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 22:11:25

    そんな人を異常者みたいに……

  • 180二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 01:17:42

    うーん…

  • 181二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 08:39:17

    ぴぇ……風強すぎ……

  • 182二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 15:58:47

    ぴッッ

  • 183二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 00:08:41

    あさひは小糸より先に本の新刊を読んだとしてもネタバレなんてしないんだ
    多分

  • 184二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 00:08:43

    ぴぇ〜ん

  • 185二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 08:52:57

    ぴぇいぴぇい(キレイキレイのリズム)

  • 186二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 19:09:08

    ぴえ…

  • 187二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 23:27:39

    Pィ

  • 188二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:59:09

    ぴ 

  • 189二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 09:51:08

    Pya...!

  • 190二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 20:27:58

    ꒰( ˶ ᷇ 𖥦 ᷆ ˵ )꒰

  • 191二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:33:48

    もうすぐこのスレも終わりっぴゃ

  • 192二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:49:32

    ぺやっ

  • 193二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:51:34
  • 194二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:57:57

    スレ立て感謝っす!

  • 195二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:58:50

    久し振りの1ヶ月で1スレ消費

  • 196二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 22:00:33

    283プロの仲間同士のストーリーも良いものでした。
    俺氏には感謝っす!

  • 197二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 22:01:30

    建て乙

  • 198二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 22:51:52

    埋めピャッ

  • 199二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 23:01:46

    ぴゃ埋め

  • 200二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 23:03:25

    PPP

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