- 1二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:45:53
- 2二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:46:32
- 3二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:47:35
あれは私がまだ王家のハサミと呼ばれていた頃の話だ。ある日王に呼ばれてお城に行ったんだ。
「王よ、ただいま参上致しました。」
「おぉ、来てくれたか。我が騎士…サー・キャンよ。今日お前を呼んだのは頼みがあってのことだ。」
「頼みとは何でしょうか?」
すると王は少し言い難そうにして言葉をつづけた。
「実はな…隣国のガザミ帝国との国境付近に暴れウミウシが現れたそうなのだ。既に近隣の村にも被害が出ておる、現状故あって軍を動かす事も出来ん。そこでお前には暴れウミウシの討伐を頼みたい。やってくれるな?」
「それが王のご命令とあらば…」
「そうか…やってくれるか。ではキャンよ、頼んだぞ。何か必要な物があれば言ってくれ、出来るだけ揃えよう。」
王の気持ちはありがたかったが当時の私は自分の強さに絶対の自信を持っていた。
「その必要はありません、私にはこの両手のハサミで充分でございます。」
「ハハハ!流石だなお前は!では直ちに出立するが良いサー・キャンよ!お前の無事を祈っておるぞ!」
- 4二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:48:39
- 5二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:51:31
その夜私が作戦を練っていると洞窟の入口で微かに物音がした。
(!何者だ!?村人達はとっくに避難している筈…賊か?)
両手のハサミを構え警戒をしながら洞窟の入り口に向かうとそこに居たのは一匹の蟹だった。
その蟹はこちらを見るとこう言った。
「おお!こんな所に蟹が居るとは!やはり我は運が良い!」
「………貴様、何者だ。」
「おっと失礼、まだ名を名乗っていなかったな!我が名はクラブディオ・カニバージェス!ガザミ帝国で闘牛士をしている!以後お見知りおきを!」
「クラブディオ…聞いた事のない名だな、ガザミ帝国の者か。私の名はキャン、カニランド王国に仕える騎士だ。」
「おお!貴殿がかの高名なサー・キャン殿か!王家のハサミの名は我が祖国にも届いているぞ!」
- 6二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:52:42
「それで、ガザミ帝国の闘牛士が何故こんな所へ?」
「よくぞ聞いてくれた!…実は最近この付近で暴れウミウシが出るらしくてな、近隣の村にも被害が出ているそうではないか。そこで!この我がその暴れウミウシを華麗に討伐してみせようと思いここへ来たのだ。なにせ私は闘牛士、ウミウシを相手にするくらいなんともない!」
クラブディオは高らかに宣言した。彼はどうやら誰に頼まれた訳でもなくたった一人で暴れウミウシを退治に来たようだった。
「となると私と目的は同じようだな。」
「む、ということはもしや貴殿も?」
「あぁ、王の命令で一人で暴れウミウシの討伐に来たのだ。」
「そうであったか!流石サー・キャン、たった一人でそのような任務を任されるとは信頼されているのだな!」
「まぁな、だが一人では厳しいと思っていた所だ。良ければ貴殿にも手伝って欲しいのだが…」
私がそう言うとクラブディオは目を輝かせて食い気味に頷いた。
「もちろんだ!かのキャン殿に助力を求められるとは光栄だ!」
「そう言ってもらえるとこちらも嬉しいよ。では早速暴れウミウシ倒す作戦を練るとしよう。」
「うむ、そうだな。」
その日はクラブディオと共に作戦を練った後、明日の決戦に備え早めに寝たのだった。
- 7二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:53:49
翌日、私たち昼頃に暴れウミウシを倒すべく村へと向かった。
暴れウミウシは昨日と変わらず荒れ果てた村の中心に居座っている。
「しかし本当に良かったのか?囮役で。」
「あぁ、もちろんだ。我は闘牛士だ、華麗に躱してみせるさ。」
「そうか…では頼んだぞ。」
「任せ給え!我の美技をお見せしよう!」
そう言うとクラブディオはウミウシの前へと躍り出た。
「暴れウミウシよ、此処はお前の住処ではない!早々に立ち去るが良い!」
すると暴れウミウシは触手を動かし辺りのものを壊し始めた。
「グォオオオ!!」
「ふっ、無駄だ。お前の相手はこの私だ、かかってくるといい。」
クラブディオは赤い布を取り出しウミウシに見せつけるようにはためかせた。
するとウミウシはその動きに反応し、触手を振り回しクラブディオに攻撃をする。
しかしクラブディオは片手に持ったサーベルで触手を捌き、ウミウシが突進してくれば蝶の様にヒラリと舞って躱し続ける。
- 8二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:55:01
- 9二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:56:29
その後も私たちは何度も攻撃を仕掛け、ウミウシを追い詰めた。
「あともう一息だ!」
その瞬間ウミウシの動きが僅かに止まった。
「今だ!」
私はウミウシにトドメを刺すべくハサミを振り下ろした。
「グォォォ!」
しかし、ウミウシは最後の抵抗とばかりにすべての触手を私に目掛け振るってきた。
私のハサミが奴の命を断つのと奴の触手が私の目を抉るのはほぼ同時だった。
「グオォォ…」
「ぐっ…!」
「キャン殿!大丈夫か!?」
「……ハァ…ハァ…!私の一族には優れた再生力がある…目は既に再生した…だが奴の毒のせいか視力までは…!」
私の目からは既に光が失われていた。
「おぉ…それは…」
「なに…心配は無いよ…目は見えなくとも私は生きている…それだけで充分さ。」
「そうか…貴殿がそう言うなら何も言うまい。どれ、肩を貸そう。」
「ありがたい、貴殿には随分助けられたな。」
「それはこちらも同じ事だ。気にしないでくれ。」
「そうか……」
こうして私たちは暴れウミウシを倒したのだった。
「では私はそろそろ行くよ。」
「あぁ!道中お気を付けてなキャン殿!息災でな!」
「貴殿こそな、クラブディオ殿。」
私はそのまま一人でカニランド王国へと帰っていったのだった。
- 10二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:57:41
「───ということがあったんだよ。
それ以来私は盲目の騎士とも呼ばれるようになったんだ。懐かしいのぉ…」
「おじいちゃんにそんな過去があったなんて……すごいカニ!やっぱりおじいちゃんはかっこいいカニ!僕も将来はおじいちゃんみたいな立派な蟹になるカニ!」
「そうかそうか、かにまんまんならきっと私を超える様な蟹になれるよ。」
「かにまんまん!おじいちゃん!ご飯が出来たからお母さんが呼んでこいって。」
「あ!お兄ちゃん!分かったカニ!すぐに行くカニ!」
「今日のご飯は何だろうねぇ…」
end
- 11二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:59:01
駄作だが載せさせていただいた
書いてて幼少期のかにまんまんかわいいなと思った - 12二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 03:59:02
もっと人がいる時間に投稿しろ
- 13二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 04:00:10
面白かった!
ただこの後のことを考えるとなんか泣けてきた……
いつのまにか好きになってて悔しい - 14二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 04:00:50
- 15二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 04:16:11
かにまんまん/Zero
- 16二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 08:52:20
朝起きたらかにまんまん祖父のSSが投稿されてる…
- 17二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 12:57:59
なにげにかにまんまん祖父の名前初出?
- 18二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 16:50:15
まだかにまんまんの家族がご存命だったときの話か…うぅ…
- 19二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 17:00:20
自分はブランド物の服を着ているという自覚を持った方がいいぞ
- 20二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 18:26:56
かにまんまんよりも先に祖父のSSが書かれるとはこのリハクの目を以てしても…
- 21二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 18:31:53
貴重なかにまんまんの祖父のSSだ!保護しろ
- 22二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 19:33:59
悲しいなぁ…
- 23二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 23:59:42
この後かにまんまんとおじいちゃん以外死ぬんだよね