- 1二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 23:14:31
ガソリンスタンドの背の高い屋根が作る影に身を寄せ、途方に暮れていた。朝の予報に反して午後からの猛暑、例年のこの時期には予想し得ない気温と湿気に気が遠くなる。
駅までどのくらいかかるだろう。いや、一番近いコンビニはどこだったか。陽炎なのか、目が霞んできたのか、視界が揺らめいたその時。
「お姉さん、具合悪いの?」
同じ影の中から声がかかる。いつの間にか小学生のウマ娘が二人、心配そうに私を見上げていた。
透き通るような白い肌と活発そうな褐色の肌の二人組は、濃い影の中に突然生えたかの如く際立つ。
「……うん、少し疲れたの。でも大した事ないよ」
「でも顔色悪いよ!大人の人呼ぶ?」
「休めば大丈夫だから。本当に気にしないでいいの、ありがとう」
目線を合わせるフリをして屈み込むと、ほんの少し楽になった。が、すぐに後悔する。――あれ、立ち上がれるかな?いやこの子たちを不安にさせては――
そんな事を考えていると、首元にヒヤリと柔らかい感触が巻き付いた。
「やっぱり辛そうだよ、コレ貸したげるね!」「私も」
「これは……ネッククーラーですか」
「学校で配られたんです。でもほとんどの子は自分でも持ってるので」「私たち、予備にしてるの。遠慮しないで!」
学校側がそこまでするのは、保護者の中にも腰が重かったり理解のない者が居るからだろう。しかし今は、それが僥倖となった。心地よい冷気に、ほんの少しだが気力体力が戻ったのを感じる。
「お姉さん立てる?」「カバンはアタシが持ちますね」
「……ありがとう。ありがとう……」 - 2二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 23:15:17
最寄りのコンビニまで付き添ってもらい、イートインに腰を下ろす。涼しい店内で水分を染み渡らせ、体調もかなり回復して来た。
「もう少し休んだら一人で帰れるから、二人とももうお帰りなさい。……本当にありがとうね」
「うん、気を付けて帰ってね、お姉さん」
「あなた達もね」
店外に出てもなお心配そうに、時々振り返る二人。優しい子達だったな。おかげで倒れたりせずに済ん――あっ!
二人のネッククーラーを借りたままだった。今から追いかけても、探すのはきっと無理。
吸水ポリマー式のそれを首から外し、端から端まで確かめる。だが今のご時世、住所や電話番号などは書いていない。
「こっち向きかな。ココン?……と、〇で囲ったグ、か」
やはりフルネームも無し。この辺りが通学路なら、また会える事を祈って持っていよう。
――意外な形で二人との再開を果たすのは、紆余曲折を経たのち数年を要したが、それはまた別の話。 - 3二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 23:16:05
終了 こちらにインスパイアされました
昼間にこんなスレが立ってたなんて……どうか皆さん10レス保守して下さい……
すみませんここに来れば|あにまん掲示板学生時代の理子さんが街中で熱中症になりかけて気分が悪くなった所を二人の小学生ウマ娘に介抱されて実はその二人がココグラだったというSSか絵を書いてもらえると聞いて来たのですがbbs.animanch.com - 4二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 23:17:41
別の話にしなくていいからこのスレに続きを書けください
- 5二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 23:22:07
誠に素晴らしいものを読ませてもらいました。元スレ含めて心がほっこりしましたねぇ。スレ主さんに感謝だねぇ
- 6二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 23:31:26
- 7二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 23:39:17
寝る前にいいものを読ませてもらった
- 8二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 23:51:45
こういう昔に少しだけ接点があるの好き
- 9123/07/24(月) 00:29:50
- 10二次元好きの匿名さん23/07/24(月) 00:41:09
いいお話しだ
- 11二次元好きの匿名さん23/07/24(月) 07:02:05
こういうのもっと流行って欲しい
- 12二次元好きの匿名さん23/07/24(月) 07:23:02
ココグラ、優しい子たちだねえ〜
理子ちゃんは黒髪ロングだから一層日差しの強い日は辛いのかも
きなこ棒とかから察するに思い出の品を大事にする人だからこの日以降自分用のネッククーラー使ってそう - 13123/07/24(月) 08:01:06