- 1◆yHeFAtHegA23/07/29(土) 12:45:33
・前スレ:
【SS】これはあらゆる言動が湿気ているパーマーにビビるマックちゃん|あにまん掲示板「──ねえ、行っちゃおっか」 さっきよりは弱くなった雨、ぬるく湿った風、未だドロドロ不良状態の正門前通路。少し上目遣いになったメジロパーマーは傍らに立つトレーナーの顔を覗いた。「行くってまさか」「大丈…bbs.animanch.com・前回までのあらすじ:
雨の降るトレセン学園、何処か昏い蠱惑に濡れるメジロパーマーはトレーナーを江ノ島デートへ連れ出した。
すわ家出か駆け落ちか条例違反か──興味と好奇心に突き動かされたメジロマックイーンは盟友ゴールドシップを相棒に据えて一路追跡を始める。
好転する天気とは裏腹に湿る空、
増え続ける摂取カロリー、
それぞれの思惑が交錯し加湿する。
普段耳にしないメジロパーマーの甘い声音に魂を揺さぶられたメジロマックイーン、親愛なる令嬢のわがままへ愚直に付き添い続けるゴールドシップにもまた、湿った海風が吹き付けるのであった──。
*****
夏なので何やっても湿ってるパーマー×パーマーの湿り気に気付いていないパマトレ
出歯亀しに来たマックイーン×面白そうだからついてきたゴルシ
以上4人で江ノ島エリアをのんびり旅しています。
- 2二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 12:48:42
ほしゅ 次スレたすかる
- 3◆yHeFAtHegA23/07/29(土) 12:50:04
- 4二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 12:51:01
新潟千直ええな、一回は見てみてえ
- 5二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 12:51:59
長距離移動だ…!お気をつけてー
- 6二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 13:06:34
行ってらっしゃい
それと保守しとかんとな - 7二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 13:08:13
1のあらすじだけ見るとマックイーン主人公っぽいな
- 8二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 13:10:31
北陸道って車少ないから走りやすいよな、代わりに風もすごいけど
- 9二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 13:14:31
なんにせよ体調なんかに気をつけて楽しんできてね
- 10二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 13:14:48
保守
- 11二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 14:51:50
このレスは削除されています
- 12二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 16:49:56
まあメインはマックが食い散らかすところだからな
- 13◆yHeFAtHegA23/07/29(土) 22:59:13
皆さん保守ありがとうございます
- 14二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 23:04:37
やったー次スレだ!
スレタイがちょっと湿ってて笑った - 15二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 06:23:47
このレスは削除されています
- 16二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 06:33:15
既に甘味類かなり食ってるのに···
- 17◆yHeFAtHegA23/07/30(日) 14:15:45
- 18二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 14:21:10
熱中症には気をつけてくださいませ
- 19二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 16:08:38
よくスレタイ見てみたらビビるから湿ったになってる!
パーマーもそうだけどマックイーンも湿ると凄そうだし、2人で湿って周囲が水没しそう - 20二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 19:58:27
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- 21二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 22:39:01
このレスは削除されています
- 22二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 04:47:01
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- 23二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 06:47:21
直線だけど距離が長いなぁ…
- 24二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 13:06:50
約50キロなのか
- 25二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 23:02:13
このレスは削除されています
- 26◆yHeFAtHegA23/07/31(月) 23:07:48
40年前のバイクにムチ入れながら650㎞以上運転しておりましたわ
皆さま保守感謝です、明日から再開いたしまする - 27二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 23:14:03
お疲れ様です、明日から再開ヤッター
もっと休んでからでもいいのよ? - 28二次元好きの匿名さん23/08/01(火) 06:50:02
40年前…だと!?
- 29◆yHeFAtHegA23/08/01(火) 08:43:44
メジロパーマーは dice1d2=1 (1)
1: やっぱり他の神社も巡りたくなる
2: ちょっと羽目を外して甘いものを追加したくなる
- 30二次元好きの匿名さん23/08/01(火) 11:00:59
このレスは削除されています
- 31二次元好きの匿名さん23/08/01(火) 18:43:38
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- 32◆yHeFAtHegA23/08/01(火) 22:21:21
好きな相手と話す時はテンションが上がる。
好きだと思った相手は全身全霊で愛する。
自分の姿を重ねてしまうから、他人の恋路を追いかけたくなる。
自分で言ったセリフがブーメランもびっくりな楕円軌道を描いて跳ね返り、心臓に刺さって抜けなくなっている。
今日のアタシははっきりと自覚できるくらいテンションが高くて、
全身全霊で相手に向き合っていて、
そこにアタシの姿を重ねたいから、こうして延々問答を繰り広げている。
「ちょっと!聞いてますの?」
「……いや悪りー悪りー、ちょっとゴルゴル星からの定期通信電波受け取ってたわ」
「またそんなこと言って」
「電波翻訳教えてやろっか?まァマックちゃんにはわかんねーと思うけど」
「今日のところは遠慮しておきますわ」
右手の液晶端末は、ターゲット二人が江ノ島の頂上へ向けてゆっくりと歩いていることを示していて、つまりもうしばらくボーナスタイムは続くらしい。
「──私も、あれだけ変わることができるのでしょうか」
「何だよ急に」
「……いえ、変な話かもしれませんが、心の底から夢中になれるほど誰かを好きになる、私にそれができるのか少し心配になってしまって。してもない恋の心配なんて、変ですわね」
眉間に皺が寄るのが、自分でもはっきりと分かった。
「……全員が全員、あんな劇的に変わるわけじゃねーよ」
「そうでしょうか、なら、よいのですが」
年齢的にはちゃんと”恋”に憧れる年頃だし、それだけの資格がメジロマックイーンにはある。本当ならもっと無邪気に恋を語って愛に憧れて、少しばかり酸味の聞いた時間を過ごしても良いはずで、一線級の競技者である事を差し引いてもなお彼女にそれすら躊躇わせるものを考えれば──あのウマ娘に出歯亀しようとした理由は想像に難くない。
「……アタシがぶっ壊してやれたらいいんだけどな」
「急に物騒ですわね!?!?」 - 33二次元好きの匿名さん23/08/01(火) 22:53:51
江ノ島に登るならたこせんべいなんかも有名だよね
- 34二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 01:59:26
ゴルシマックのこと好きだなーおじいちゃん的な意味で
- 35二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 05:35:36
これはゴルシちゃんが湿度を中和するのに奔走するパターンじゃな?
- 36◆yHeFAtHegA23/08/02(水) 12:53:10
- 37二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 23:05:22
このレスは削除されています
- 38二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 08:01:08
保守
- 39二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 18:49:52
保守
- 40二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 22:13:14
パーマーがじっとりとした湿度なら
マックイーンはねっとりとした湿度になりそう - 41二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 00:57:34
このレスは削除されています
- 42◆yHeFAtHegA23/08/04(金) 01:50:06
*****
「やっぱさ、他の神社も回ってみたいなー……なんて」
「パーマーが平気ならいいけど、急にどうしたの」
「いや!特に理由とかそういうのはないんだけどさ、一つお参りしたんだし……そう思ったら、せっかくだから全部回ってみたくなった、的な?」
神様をダシにするあたり、今日の私はかなり肝が据わっているのかもしれない。とはいえ江ノ島に三女神がいると聞いて、そのうち一つだけお参りするというのも何となくすっきりしないのは事実だから、これもあながち嘘ではない。
「なるほどね……確かに、せっかくだし歩こうか」
「ところでトレーナー、あれ何?」
トレーナーは変な顔をしていた。
私の差した指の先には神社に似つかわしくない建築物とチケット売り場、そして──列を成すシニア層(ウマ娘じゃなくて高齢者)がいる。
「あれは……エスカーだよ。有料の巨大エスカレーター」
「そうなんだ。じゃあもし脚がキツかったら」
「私は絶対乗らないからね!」
ちょっと必死な顔が面白くて、思わず笑ってしまう。
さっきまで私はこの人のことを考えてどうしようもなく情けない気持ちでいて、でも数分経っただけの今はこんなに笑わせてもらっている。最初の頃はこの人に負担をかけないように、もっと役に立てるようになって思っていたけど、そんな過去を思い出す度に私は”この人に救われている私”を再認識している。
「ちょっ……トレーナー、必死すぎるんですけど……っ、マジでウケる」
「私だってまだ四捨五入すれば……ギリまだ若者……!」
「はーいはい、わかったから。若い私たちは黙って石段登ろうね」
- 43◆yHeFAtHegA23/08/04(金) 01:51:16
- 44二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 04:58:53
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- 45二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 06:00:35
近くに太陽が居ないとここまで湿るのか…
- 46二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 06:22:36
思考の一つ一つが刹那的でヤバいわよ!ガチャガムリョ
- 47二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 06:27:47
パーマーって幸せをそのまま幸せと受け取れず、必ずその時間には終わりが来るって事ばっか気にしてるから損な性格だわ
- 48◆yHeFAtHegA23/08/04(金) 09:09:00
レスどもです、以下スレ主の偏見と本SSにおけるパーマーの性格設計指針です
・本来のパーマーは幸せを肯定的に捉えて享受できるタイプではあると思います。幸せ自体を刹那的なものと本気で考えているウマ娘が他人のお悩み相談に対して、的確に答えて満足させるのは難しいと思うので
・ただそれは他者の幸せについてであって、パーマー自身の幸せは別の話です。彼女生来の自己肯定感の低さ、自信のなさに加えてストーリー開始時点では成功体験の乏しさが更に足を引っ張っています(これについてはメジロ家という枠組みによるところも大きいと思われる)
・つまり彼女はネガティブな学習を多くしてきたと考えられます、かなり言動に予防線が多いのはそのせいかと
・簡単に言えば「この幸せは続いてほしいけど、私の経験上そうと信じられない。もし続かなかったときの為に備えておこう、『ああ、やっぱり続かなかった』って納得できるように」
・まあそれで納得できないのがメジロパーマーなんですが。かわいいね
・育成ストーリーを進める中でトレーナーと二人三脚、成功体験を積み重ねることでその傾向は改善していきます
・本SSはシニア期半ばを想像しているので、トレーナーへの感情が先行する一方でまだ自己肯定感が低いままです。したがってこんな湿ったジェットコースターみたいな情緒なんですね。かわいいなあ
・パーマーは ああかわいいな いとしいな
- 49二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 18:16:54
- 50二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 19:41:59
- 51二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 23:10:01
最初から読んできた
好き過ぎてブクマした - 52二次元好きの匿名さん23/08/04(金) 23:13:14
こんな暑い時期に加湿すなーっ!!☝
心がムシムシのモワモワになるいいはなしだ - 53二次元好きの匿名さん23/08/05(土) 02:14:40
いくら成功体験を積み重ねようとどっかで湿り続けるパーマーは良い
自己肯定感って子供の頃に成功体験をうまく与えられないと一生引きずるからな
上澄みの中の底辺ってのが一番そうなりやすい
まさにパーマーだね可愛いね - 54◆yHeFAtHegA23/08/05(土) 02:25:38
江ノ島神社中津宮は弁財天信仰の中でもとりわけ美の側面を強調しているところがあって、階段を上り切ってまず見える社殿自体も目立つ朱色に彩られているし、『中津宮』の縁起を記した立て看板には『美しい恋したい。』と直球のメッセージ、そして何より目立つ赤いハート型の美人祈願絵マ掛けが決して広くはない順路沿いに並ぶ様は、ここを訪れる人々の願いと江ノ島神社のマネジメント上手っぷりを体現しているようである。
「お、これ江ノ島名物の恋愛成就絵マだ……パーマーこれ知ってた?」
「──うん、読んだ……ガイドブックで。……なんか、すごいピンク……だよね」
流石のパーマーも気圧されてしまっているのか、気まずそうに絵マから目線をそらしているようだった。……無理もない。普段頼ることが多く忘れてしまいがちだがパーマーとてまだ十代の学生、これだけ強烈で生々しい願望の山を前にして平気でいろと言う方が無理な相談だろう。
「まああれだ、パーマーは他人との縁をちゃんと大事にできていると思うし、きっと良縁には困らないよ」
「──ありがとね。でも、もう十分恵まれてるよ」
「もっと欲出しても良いと思うけどなあ」
メジロパーマーは両手を頭の後ろに回して、「そうかなあ」と困ったように笑って見せた。今はそれでいい。少なくとも君のトレーナーでいられる間は、君の代わりに私が肯定するのだから。
「トレーナーの方こそ絵マ書かないの?ほら、トレセンに居たら出逢いとか滅多にないでしょ」
「そんなことに割く時間はないよ、重賞バの担当トレーナーなんだしさ」
「そっか……あっ、美人守なんてあるんだ。買ってこうかな」
実際、今はパーマーのために使う時間だけで一日の大半を使い尽くしてしまう状態だ。こんな状態で出会いを探せるほどの甲斐性は持ち合わせが無い。
- 55二次元好きの匿名さん23/08/05(土) 12:39:21
出会いがあったとしても担当持ってたらなかなか時間の都合もつけられないトレーナー職
相手の理解もとても必要そう - 56二次元好きの匿名さん23/08/05(土) 22:49:18
流石に龍恋の鐘までは今はいかないな
- 57◆yHeFAtHegA23/08/06(日) 01:08:57
「ね、トレーナーはどっちがいいと思う?美肌守と、美笑守」
「ん?そうだな……いや、ここは美形守がいいと思う」
スタイル維持ってこと?と彼女は頭を傾けて思案する。
それもそうではあるが……
「これは”健康で”スタイルのいい体って書いてあるだろう。パーマーには健康でいてもらわないと困るからね……さっき有マ狙うって言ったしな」
「そういうことじゃあないと思うんだけどなあ、でもせっかくだし買おうかな。いくらでもつけていいみたいだし、この際美笑も」
「他のはいいんじゃないか?パーマーなら買わなくても大丈夫だよ」
「なーにそれ?無くても大丈夫って…………ぇ?」
リモコンの一時停止ボタンを押したようになって、パーマーが止まった。
……なんかものすごく顔を見られている。
「どうした?美形守買うんじゃないのか?」
「ぁ……うん、買う。これだけ……そう、だね。買ってくる」
錆に覆われた自転車のような、見ているだけでギコギコと音のしそうな、あるいはKURE556を注入したくなるような動きでメジロパーマーは社務所に歩いていく。
美肌、美髪、美笑、美形、美白──どれも魅力的な響きだけれど、だからと言ってメジロパーマーにそれが必要とは限らない……まあ、美形は健康面的に惹かれたけれど。美肌も美髪も美笑も既に十分すぎるくらい彼女には備わっている、お守りに願うまでもない。美白については──
「お、お守り買ってきたよっ!行こ、トレーナー!まだ上あるんだよね?」
「ちょっと遠いし、焦らないで行こう」
──時代錯誤と言われるかもしれないが、唯白い肌よりも、レースとトレーニングでほんの少し色づいた彼女の肌こそを何より美しいと思えるのだ。
なんて、とても本人に言えたことではないのだけれど。
- 58◆yHeFAtHegA23/08/06(日) 05:24:07
湿度に湿度をぶつけると、一回ドカ雨降った後綺麗に晴れるんですよ。お好きです?
アッありがとうございます!アキレスが一瞬で追い越せそうなくらい亀進行ですがお付き合いください。
でも、湿った暑い空気の中でも好きな相手となら無限に肌をくっつけられるもんなんですよね。不思議なことに。
個人的解釈(続)になりますけど、ストーリーのパーマーが逃げによって活路を得られたのは「逃げたから」ではなく「逃げること、そして逃げた先すら肯定されたから」な気がします。太陽も無限肯定太陽神してくれていたので、今まで彼女の人生に欠乏していた肯定量が瞬間的に詰め込まれたんですよね。だから彼女は強くなったし
……まあ急に詰め込まれたもんでまだ安定しないんですよね。かわいいね
でもきっとパマトレなら、彼女の自己肯定感が人並みに回復しても(たとえそれを意識していなくても)ずっしょしてくれる気がします。
ま普通に考えたらトレーナーの結婚相手はウマ娘が一番成立しやすいのはそういうことでしょうね。普通のヒト学生とウマ娘(特にトレセン育ち)の学生とではこのあたりの人生観が根本的に違うんでしょう
パーマーの幸福度が許容量超えてしまうので……
- 59二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 08:52:16
- 60◆yHeFAtHegA23/08/06(日) 15:24:18
ここで言えるやつは湿らず生きてけるのですよ
- 61二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 23:16:48
保守
- 62二次元好きの匿名さん23/08/07(月) 05:13:50
- 63二次元好きの匿名さん23/08/07(月) 12:12:30
観光は続くよどこまでも
- 64二次元好きの匿名さん23/08/07(月) 20:05:38
- 65◆yHeFAtHegA23/08/07(月) 22:17:47
*****
「そもそも、」とメジロマックイーンは語り出す。
「人を好きになれば、皆変わるものなのでしょうか。……もしかして、ライアンも私の知らぬところではパーマーの様になっているとか……」
「流石にそれはねーと思うけどさ、てかまず今日の二人は例外枠っていうか、あそこまでガッツリ空気感変わっちまうのは結構珍しいと思うけどな」
大きく傾き始めた夕日に目を細めた少女は、どこか安心したような風情で曖昧に頷くと、今日何度目かわからないため息を細くついて漣に目線を落とした。
「……マックちゃんさ」
「何ですの」
「言われて思い出したんだけどさ、マックちゃんのトレーナーってどんな感じなのよ」
「どんな感じ……って」
「なんか一心同体らしいな」
「雑に言わないでくださる!?」
適当に舌をべろべろ動かして誤魔化した。
「はぁ……あの方は、本当に細かいところまで気の利く方です。あとはたまに努力の方向が少々斜め上に行くことはありますが……これは多くの名トレーナーと言われる方々も同様らしいのでむしろ喜ばしいことですわね」
「アタシのトレーナーもよく斜め上にすっ飛んでるぞ」
「物理的に飛ばす話はしていませんわッ」
ツッコミのキレ具合に精神状態の復調を感じ取って、少し安心する。オッケーこの調子、流れを途切れさせないように注意して言葉選びは慎重に──いや、流れを一回切ったのはアタシだけどまあそれはいいや。
「飛ばすで思い出したんだけどさ」
「何を!?」
「マックちゃんとこのトレーナーが作るお菓子、めっちゃうまいらしいじゃん」
「!! ええとても、とても自慢できる味ですわ。ローカロリーなのに美味しくて──」
「トぶくらい?」
「言い方ァ!カタカナにするのだけはやめていただけません!?」
- 66二次元好きの匿名さん23/08/08(火) 07:25:58
食べる度にトんでるのかな
- 67二次元好きの匿名さん23/08/08(火) 12:36:59
湿地帯が二つ出来つつある…
- 68二次元好きの匿名さん23/08/08(火) 22:45:33
ライアンがパーマーみたいになったらそれはそれで可愛いだろうな
- 69◆yHeFAtHegA23/08/08(火) 23:34:18
「──自慢のトレーナー、なんだな」
「もちろん!」
私と共に歩んでくださる方ですもの──そう言おうとして、不意に喉が詰まった。今日一日思い出さずにいたはずの、心の底に押しとどめていたはずの感情が漣の音を割って心の中に染み出してくる。なんで、急に。
今日耳にしたパーマーの声音が脳内に反響して、それに返していたトレーナーの楽しげな声もまた反響して、空っぽになった世界に反響して足もとから私のこころをあぶりだす。
一緒に歩んでくれている、果たして本当にそうだろうか。自分ばかりがあの人に重さを預けてしまってはいないだろうか。甘えているだけで何も返せてはいないんじゃなかろうか。私が楽しいと思って話していても本当にあの人が楽しんでくれている保証はない。私のこの感情さえ、負担になっていないという保証はない。何より、私の走りがあの人を満たせているかさえも──。
「マックちゃん」
「ぁ──……」
視界を、ハンカチで覆われた。
「ごめん、なさい──なんで。私──」
「なーんかそんな気はしてたんだよなー。やっぱ劇薬じゃねーか」
肩に手を回された。
よしよしと優しげな声が聞こえて、そんなあやすような言葉よりも優しいリズムを手のひらが刻む。
「なーにが駆け落ちだ、なーにがメジロ家の危機だ。助けてほしかったらもっと素直に言ってくれてよかったのによー」
「私はそんなこと──」
バシ、と音を立てて、しかし柔らかく背中を叩かれる。
- 70二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 06:10:19
この後一心同体宣言するんだよね…
- 71◆yHeFAtHegA23/08/09(水) 08:41:27
「アタシの眼をごまかせると思ってたんなら、まだまだだな。つかバレバレだったんだよ最初っから。……マックちゃんさ、二人のこと追いかけるっつって出てきたくせにほとんど何もしてなかったじゃんよ」
図星だった。
あの二人をダシにして出てきたくせに、あの二人からはずっと逃げていた。
「何なら、あの二人を直接見れるってときにもちょっと抵抗あったろ。あと食欲に逃げるのも今のシーズンはまあ許すとして……いややっぱ食いすぎだわ」
わき腹をつねられた。
ちょっと痛かった。
「何ならマックちゃん今日朝イチで電話寄こして来たろ?なんとなくそのあたりで察しちゃいたのよ……朝から一日予定もなくてドフリーなんて、普段のマックちゃんじゃまずありえねーじゃんか。大方トレーナーがどっか急な出張にでも行っちまったんだろ?んでタイミング悪く二人のデートを目撃したわけだ」
頷くしかできない。どこかですべて見破られているような予感はしていたけれど、こうも一つ一つつまびらかにされると悲しさよりも気恥ずかしさの方がだいぶ勝ってくる。そこまで分かっているならきっと、私の心も知られてしまっている──。
「寂しくなっちったか」
じわ、とハンカチに潮がいきわたる。
何とかして言葉を出そうとする喉は掠れて、うめき声にもならない音を微かに立てるだけだった。
「あ……これは自信ねーんだけどさ。もしかしてマックちゃん元々今日はトレーナーと出かける予定だった?」
「……はぃ」
「あ~~~~~これはダート式スケキヨ564年の刑に処するしかねーわな」
慌てて首を左右に振った。だって、寂しくなってしまったのは私の勝手だから。
あとそれもう普通にただの処刑ですわ。
- 72二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 09:24:33
マックちゃんも湿度高めになったな
- 73二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 09:59:36
全員湿度高いじゃん……
ゴルシ→マックなのにこれ言ってあげれるのスゲェよゴルシ……心中やいかほどに - 74二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 11:58:38
あれぇマックちゃんもベチャベチャになってる…
メジロのお屋敷がカビてまう - 75二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 22:50:54
このレスは削除されています
- 76◆yHeFAtHegA23/08/09(水) 22:52:43
私を外界からやさしく隠してくれていたハンカチが取り払われる。
緑色のサングラスをかけた葦毛の髪の向こうに、オレンジ色の光が透けてキラキラと光の粒を盛んに散らしていた。
「マックちゃんはえらいよ、マジで。すげー重いもん背負ってるし、その自覚もあるし。……家のこととか歴史の重さ、やるべきこと、それを全部なあなあにしないで、ちゃんと向き合ったうえで毎日努力してる」
「そんな……買いかぶり、です」
「んなこたあねーよ」
手を引かれて、されるがままに立ち上がる。歩くたびに靴の裏から跳ね返って来た固いコンクリートの感触は、6歩目で砂の音に変わった。
「その努力をアタシは肯定する。その上でアタシから一つアドヴァイスだ──トレーナーに対して責任とか、義務感とか、報いるとか……そういうことは考えないでくれ」
それだけは出来ない!私はあの人に支えられた恩返しをしなくてはいけない!あの人がかけてくれた時間に報いる走りをしなくちゃいけない!だって──
「──費やしてくれた時間への恩返しを、期待に応えることを、勝利で報いることを考えなかったら、私はどうやって……トレーナーに、向き合えと……言うのですか」
果たしてゴールドシップは──この、どこまでも憎めなくて、他人の心へ土足で入り込んできて勝手に水田を作って稲を植えていくようなウマ娘は──笑っていた。
「トレーナーっていう人種はなあ、それすら気にしねーで死に物狂いで着いてくるような、そんな連中なんだよ。例えマックちゃんが何の責任も義務も果たせなくてもな、それでもしれっとついてくるのがアタシらのトレーナーなんだよ。それにアイツらみんな大人だから心配しすぎなくてもいーの。余計な線引きなんか今は気にすんな」
「線、引き……」
「マックちゃんはトレーナーのことが好きなんだろ?それでいいんだよ。それでもう”全部”なんだよ」
考えは何一つまとまっていなくて、脳みそは混乱で埋め尽くされていて、それでもなお彼女の問いかけに、私の首は反射的に頷いていた。
「あ~~~~~疲れた。ガラじゃねえこと言うとマジでつかれんのな。これでやっとアタシの言い分が分かってもらえたかねえ」
「はい……まだ、少し混乱していますけれど……」
「じゃもっとわかりやすく一言で言ってやるよ」
- 77二次元好きの匿名さん23/08/09(水) 22:53:09
このレスは削除されています
- 78◆yHeFAtHegA23/08/09(水) 22:55:56
- 79◆yHeFAtHegA23/08/09(水) 23:09:08
保守どもです
今作のウマ娘三人については、明確に「境界線」「ハードル」などに対する向き合い方が分かれていてかなり面白いと思ってます。そのへん序盤でうまく盛り込みたかったなと今更後悔……何とか終わるまでには、ハイ
暮れなずんできましたんでそろそろですね、長く読んでいただいてありがとうございます
執筆の裏でパマトレの流してたプレイリスト組んだりしてたら思いのほか時間とられましたわ……
おう禁止カードは使こたらアカンから禁止言われてん。ダーリンもそう思わんか?いやノーコメて何?
マックちゃんにはヘヴン状態の背景が似合う似合う
何をおっしゃいますか、それじゃ一つ足りないですよ
単純な加湿じゃなくて、何となくですけど過湿+乙女化が進行するタイプのような……かわいいな……
一心同体(2)_final_rev2.mjr とかかもしれないですねえ
実は大分冒頭の方から、マックちゃんもゴルシも大分正常じゃないって片鱗をちょいちょい出してます
メタ的にはモブがほとんど最低限しか出てこないのも割とそのせいです
皆さま保守ありがとうございます、助かります
- 80二次元好きの匿名さん23/08/10(木) 05:49:08
互いに方向性は違えどメジロの重圧がかかってるもんね…他の子もそうだけど
- 81二次元好きの匿名さん23/08/10(木) 12:17:06
実はマックの方が湿気ってるなんて想像できるかよぉ
マックちゃんはパクパクするおもちゃだと思ってたのによぉ! - 82◆yHeFAtHegA23/08/10(木) 21:25:50
- 83二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 02:55:02
保守
- 84二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 12:03:27
どんな恋バナが聞けるのかな?
- 85二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 21:06:02
- 86二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 03:28:59
hosyu
- 87二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 09:03:28
- 88二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 15:28:00
- 89二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 23:12:11
応援保守です〜
- 90二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 09:13:35
- 91◆yHeFAtHegA23/08/13(日) 10:56:12
「意外と暗くなっちゃったな、急ごうか」
「ん──わかった」
こんなことを言ったら三女神さまに怒られてしまうかもしれないけれど、奥津宮のことは正直あんまり覚えていない。中津宮でトレーナーに掛けてもらった言葉が何度も心の中で跳ね返って増幅して、思考回路をすべて塗りつぶされてしまったような心地で。他の情報なんてとてもとても、入れられるわけがなかった。
でも、嫌じゃない。
(綺麗になるためのお守りを、トレーナーはそんなもの必要ないって言った)
階段というものは、一度上ったのならばいつか降りるものである。
石段と私の靴が一つ音を立てるたびに私の体へ下向きの力がかかるのは、今歩いている道が下り坂だからだ。
登りがあれば下りがある。
始まりがあれば終わりがある。
半ば強引に始めたこの時間にも、もう終わりが来る。
私の体が勝手に脚の歩みを遅くして、少しでもこの時間を引き延ばそうとしていることに気付いて惨めになった。
「パーマー、脚……どうかした」
「……なんでもないよ、大丈夫……ほら、怪我しないように、ちょっと慎重めに、ね」
「オッケー。ペース合わせるよ」
やっぱり、脚にはすぐ気付くんだね。
「いいよ気にしないで、……だってさ、トレーナーもこれ以上早くしたら降りられないでしょ」
申し出は有難いけど丁重に断った。今の私はトレーナーを頼りに歩いているんだから、私にペースを合わせられちゃったら二人ともここから動けなくなってしまう。私はそれで良くても、きっとあなたはよくないから。
- 92二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 11:24:22
加湿型乙女パーマーからしか得られない栄養はきっとある
- 93二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 20:43:41
しかしゴルシは大変だろうな
ここからバイクで帰宅するの - 94◆yHeFAtHegA23/08/14(月) 00:57:22
「確かに、あんまり速いのは私もきついな」
「やっぱり。ダメだよトレーナー、無理は禁物」
トレーナーは照れたように、ちょっと困った顔をして腰に手を当てた。何か思案するような顔をしてから顔を動かす──目が合った。
「案外、自分でも無理してるって気づかないもんなんだな……パーマーが無理しすぎないように、私も気を付けるよ」
「……ありがと、ちゃんと見てくれて」
ちょっと笑ってから先に降りていくその背中に、抱き着きたくてたまらない気持ちが不意に湧いてきて、でもそんなことをしたら今の私とあの人にある関係……競技者と指導者という関係性を失ってしまうのはほぼ確実だから、しなかった。
できなかった。
カツ、カツと石段を踏んで左に並ぶ。ちょっと顔に疲れは見えるけど、幸い楽しそうな顔をしてくれている。多くを望まないから、この顔を少しでも長く、近くで見ていたいなと思う。
「パーマー」
「何、どしたの」
「今日行けなかったけどさ、上にバラ園有っただろう?」
「確かに、なんかタワー……灯台だったっけ?もあったよね」
表情は伺えない。
「そう、サムエルコッキング苑……結構おいしいフレンチトーストの店があるんだよ」
「──そうなんだ。もしかしたら、マックイーンなら知ってるかもなあ」
「そうかもしれない……パーマー、」
「何?もったいぶってさ」
顔を見せないまま鞄を背負いなおしたり耳の後ろを掻いたりと暫く落ち着かない様子でいたトレーナーは、手探りな、あるいは少し逡巡をにじませるような様子で口を開いた。
「秋──いや、冬でもいいんだけど。また……二人で、来ないか?まだ紹介できてない店がいくつかあるんだ」
- 95二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 01:23:33
これは一心同体
- 96二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 10:46:08
デートの約束が増えるねパーマー
- 97二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 11:59:58
ちょこちょこ挟まれるトレマク尊い
- 98二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 20:25:45
パーマー良かったね
それにしてもマックの湿り気ェ - 99◆yHeFAtHegA23/08/15(火) 01:16:46
数秒の沈黙。無音ではなく、私たちの世界に二人分だけの足音がこだましている。トレーナーの言葉を理解するのにそれくらいの時間がかかってしまった。
「……パーマー、」
「来たい──また、来たい。私、トレーナーと一緒にまた、ここに来たい」
「──そうか。よかった」
そこまで会話して漸く振り向いたその顔は恥ずかしそうに微笑っていて、日に焼けたのか耳がちょっと赤かった。
……多分、私のミミも。
「約束──絶対、だから。そしたら私、もっとレースもトレーニングも頑張るから」
「ああ、頑張ろう」
辺津宮、大鳥居、ドクターフィッシュの怪しいお店、クラゲせんべい、デニムストリート、女夫饅頭、貝殻のお店。この旅を忘れないようにと山道を上りながら焼き付けていたはずの記憶が、現在進行形で足音に乗って押し流されていく。またきっと来るから──その日までは、一旦のバイバイ。
数歩、跳ねるように歩いて、左隣に並んだ。
「帰るころにはヘロヘロかもだな、これは」
「トレーニングしたほうが良いんじゃない?パーマーさん手伝っちゃうよ~」
何とも言えない渋顔を作られたのが面白くって吹き出す。他愛のない会話が楽しくってたまらない自分に気が付いて、隣の顔を見て、それから下を見て再認識した。
やっぱり私は、トレーナーと一緒がいいんだ。
「トレーナー、今日はわがまま聞いてくれてありがとね。私、今──めっちゃ楽しいよっ」
「楽しんでもらえてうれしいよ、おかげさまで私も楽しかった」
波音と二人分の足音に重なって、心臓がうるさいくらいに跳ねている。私と一緒にいたこの数時間を、楽しい時間として受け入れてもらえた事実に頬が熱くなる。
江ノ島大橋を渡る私たちの周りには誰も歩いていなくて、カモメ(ウミネコかもしれないけどよくわからない)さえもそっぽを向いていて、このまま時間が止まってもきっと私は幸せでいられる。
けれどそんなことは起こらない。だから私は、少しばかり勇気を出すことにした。
- 100二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 11:26:07
パーマーニッコニコだろうな
- 101◆yHeFAtHegA23/08/15(火) 19:31:51
江ノ島の店舗が徐々に閉まり出す夕方、それも雨上がりで人影も少ない日とあっては江ノ島大橋を渡る人も少ない。橙色に照らされた漣と海風の音、それから自分とメジロパーマーの靴音だけが響いていた。
何か言葉を発そうにも、さっき交わした言葉が今更照れくさくて何も言えないまま橋の半ばを超えてしまった。
「なぁ……パーマー、……ッ!?」
「──何?トレーナー」
中指と薬指を暖かい柔らかさに包まれた。
地面を見ている彼女の顔は見えない、ただせわしなく動く耳と尻尾と少し震えている指が、これがどうやら遊びや揶揄いの類ではなさそうなことを如実に表している。
「ごめん、……今だけ、だから」
何も答えられなかった。今の自分は学生を導く指導者であって、その立場から彼女の言葉に返答することは、例えそれが”今だけ”でも”ずっと”でも許されることではない。私は彼女の問いに対して、決して答えてはならないのだ。
何も言えなかったし、何も返せなかった。
「──ぁ」
言い訳がましいかもしれないし、そもそも職業倫理的に許されるギリギリ──いや、その線を踏み越えているかもしれないけれど、せめて彼女に、決して今が嫌な時間ではないこと……或いは、少しばかりの罪悪感と背徳感を伴った幸福すら心にあることだけを、暗に示しておく必要があると思った。
それくらい、彼女を失うことが怖くなっている自分もまたここにいるのだ。
「……ぁり、がと」
小さくこぼれた言葉にすら答えない。
ただ、私の指を包む手の甲を親指で握り返したまま、黙って歩く。
永遠のようで一瞬な、波音に包まれているようで静寂な、橋が終わるまでの1ハロン。
最後の最後に指がほどける感触すら熱くて冷たかった。
- 102二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 20:25:42
手を繋ぐ程度でこのジケジケ!
- 103◆yHeFAtHegA23/08/15(火) 21:58:32
保守感謝です
まあ……今回はカットですんで(尺的に)皆さん思い思いの一心同体シーンを想像してください
その通りですね、スパダリトレーナーの支えさえあればあとは自力でどうにでもなる娘と、それだけでは足りない娘がいると思います。マックイーンは色々とうまく立ち回れてしまう分、かえってトレーナーだけではだめなのかなと
湿気たパーマーのSSしか書いてこなかった成果が栄養になって出てきましたわ
朝っぱらから連れ出され一日引き回されメンタルケアをしてこれからまた運転して帰る……ゴルシトレあたりに甘えてもらいましょう
他ウマ娘のSSだとすぐにデートしたり手つないだりするの見かけるんですけど、パーマーは中々その構図が思い浮かばんのです
これで少しは苦労が報われただろうか
トレーナーも海風に吹かれて湿ったんでしょう、きっと
皆さま保守ありがとうございます、助かります
もうちょいだけ続きます、帰るまでがお出かけなので
- 104二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 05:08:36
パーマーは温泉イベで「気が乗らないって言われたらどうしよう」って考えてるからねぇ
- 105二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 12:24:04
保守
- 106◆yHeFAtHegA23/08/16(水) 18:49:07
- 107二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:10:37
- 108二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 06:59:46
保守
- 109二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 14:02:26
保守
- 110◆yHeFAtHegA23/08/17(木) 23:58:38
- 111二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 06:51:25
じっとりしてる…!
多分手を繋ぐ時もじっとりしてる! - 112二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 12:49:58
保守
- 113◆yHeFAtHegA23/08/18(金) 15:50:28
*****
緑色に染まった視界の向こうで、葦毛の少女は楽しそうに自分のトレーナーのこと──彼がいかに優れているか、どれほど丁寧に面倒を見てくれているか、どれだけ料理が上手かを語り、そして時折緩んだ頬を抑えながら心動かされた逸話を口ごもりながらも話した。
当人がどう思っているかはさておき、彼女にしては珍しく、赤くなったり緩んだりと目まぐるしく変わる表情は恋する乙女のそれだった。
「あれだな、マックちゃんのトレーナーはドチャクソハンサムなんだな」
「ちょっと……クソだなんてそんな言い方しないでくださる!?」
「何だよー褒めてんじゃねーかよー」
訂正──恋に恋するだなんて形容詞を一瞬あてはめそうになったけど、そんなことはなかった。メジロマックイーンは、思っていたよりも”ちゃんとした”感情の向け方を心得ているらしい。
嬉しいけれど、存外寂しい。
「さっきから私だけ話してばかりで、少し不公平ではありませんの?ゴールドシップさん、貴女のトレーナーもきっと素晴らしい方なのでしょう......何せ、珍しく続いていますし」
「ああモチのロンよ、顔はまあまあだけど中身は超ドチャクソハンサムだぜ」
「それ本当に褒め言葉ですの?」
本当だ。
少なくとも、今日帰ったら直ぐにでも会いに行ってゴルシスマッシュぶち込んでやりたいって思う程度には、アタシはアイツに甘えている。
「無茶振りに全部返してきた奴なんて初めてだからな……ありゃ逸材だわ、我ながらいい選球眼してたね」
「あら、どちらかと言えば貴女のトレーナーさんが類稀なる悪球打ちだったのではなくて?」
「うるせーやい、誰が悪球だ」
軽くデコピンしてやれば、彼女は可笑しそうにくすくすと笑った。
……その顔見せてやれば、トレーナーなんざイチコロなんだろうな。
「冗談ですわ……でも、ちょっと意外でしたわね」
「何が?」
「──貴女も、そんな顔をするなんて」
- 114二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 17:08:28
いい感じの恋バナができたようで
なんだかんだ江ノ島観光を楽しんだ2人だったね - 115二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 21:44:26
ゴルシちゃん目線で見ちゃうな
せつない…… - 116◆yHeFAtHegA23/08/18(金) 23:35:34
その言葉に、砂浜をゆっくり歩いていた足を止める。
「あ?アタシそんな変な顔してたかよ」
「あら、案外自分では気付かないものでしょうか。貴女らしくない優しい顔をしていたのに無意識だなんて」
「秘めた母性爆発しちまってたかな」
「違いますわ」
もう一発、デコピン。
「痛ァァァッ!」
「アタシだってなーッ、相手によっちゃ優しくもなるし甘えもするんだよ。変幻自在っぷりがこのゴルシ様の持ち味だろうがよーッ」
「そんなこと言って、貴女いつも追い込みしかしないじゃないですの!」
「脚の話はしてねェーッ!」
そのまま二人してデコピンの応酬が始まった。こめかみ、首筋、わき腹、背中、額とお互いに幾度も狙って、交わして、打って、打たれた。靴の中が砂まみれになるのも構わず、煽って返して歩いて跳ねた。
知らないうちに、二人ともずっと笑っていた。
「……ッハハ、マックちゃんなかなかやるじゃねーの。いいスタミナしてるわ」
「ステイヤーとしてスタミナ勝負に負けるわけに、いきませんもの……でも、貴女も流石にしぶとかった」
マックちゃんの年齢相応な笑顔を久しぶりに見られた気がする。まだまだ十代前半の身に負うにはあまりに重いものを載せて、それでいてなお年齢不相応にまっすぐ居ようとする姿は痛々しくて見ていられなかった。今日一日かかっちまったけれど、少しは気分を晴らせただろうか。
「ゴールドシップさん」
「お……っとデコピンじゃなかったか。何、どうしたの」
葦毛の少女は、アタシが選んだ服を着て、アタシと一緒に遊んだ笑顔で夕日を背に立っていた。
- 117二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 09:29:27
デコピンのデコがほとんど機能してない
- 118二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 09:52:07
アッ湿気が飛んで涼しくなってきた…
思いを吐き出して笑い合うのすき
抱えた思いを吐き出せる関係なのもいい - 119◆yHeFAtHegA23/08/19(土) 11:57:39
「今日はありがとうございました……本当に、色々」
「何だよ今更かしこまっちゃってさァ、恥ずかしーじゃねーか」
「いえ、これを言っておかないと私の気が済みませんわ。……助けられました、ありがとう。私自身も知らないうちに抱えていた悩みを、すっかり見透かされていたなんて」
見透かしてなんかいない、ただずっと見ていただけだ。
「その上で、図々しいことを承知の上でもう一つだけ……お願いしても?」
「おう、120億用意しろとかじゃない限りやれることはやっちゃるぜ。ゴルシ様だからな」
「そんなこと頼みませんわよ。そうじゃなくて──」
メジロマックイーンの頬が赤くなっていたのは夕日の橙に染められていたからじゃないのは見た瞬間に解った。下を向く目を飾る睫毛は濡れていて、ミミと尻尾はパタパタと落ち着きなく動いていて、胸の前で組まれた指は握って開いてを繰り返して……
それはもうどうしようもなく、世界一可憐な姿で。
「また、すぐじゃなくてもいいので、また恋、バナを……したいな、と」
「ぁ────、もち、大歓迎。……つかそんなん聞かれるまでもねーって」
2歩大股で歩いて、肩に腕を回す。
彼女は少しだけ驚いた顔を一瞬見せて、でも”それだけだった”。
「今日はおしゃべりする為にわざわざ連れ出されてやったんだぜ?それともアタシが断るとでも思ってたのかよ」
「そんなこと──」
続く言葉を遮るために、メジロマックイーンの頭を胸の中に掻き抱いた。帽子と、ミミについた砂を払い落とせば胸元から、「んむぐがご」と苦しげな声が聞こえたので緩める。
「──なァ、マックちゃん。何で今日緑色のサングラスしてたか、分かるか?」
「何で、ってそんな……ファッションは貴女の方が詳しいでしょうし、分かりませんわ」
「分かった、質問変える。このサングラス似合ってる?」
「ええ、スタイリッシュで似合っているように見えますわよ」
「そっか──ありがとな」
- 120◆yHeFAtHegA23/08/19(土) 18:58:56
──あー……フラれた。
もう一度だけ、できるだけこの名残惜しさを悟られないように、強めに抱きしめる。時間にして数秒……それで十分。
きょとんとしたメジロマックイーンに、”いつも通り”の笑顔を見せた。
「──っし、帰ろう。外泊届出してねーからあんま遅くなるとマズい」
「そうでしたっけ……ちょっと待ってください、海老名SAのメロンパンはどうするのですか、寄り道する時間はありますの!?」
「んなモンねーわ!」
人差し指にゴルゴル号のカギを引っ掛けて、波を避けるステップに合わせくるくる回す。同時にサングラスを外して懐に──今日限りでコイツもお役御免だ。
「帰りは飛ばしてこーかねー」
「法定速度!法定速度順守でお願いしますわ!」
「んなもんゴルゴル星には無いけど?」
「ン蛮族の惑星ッ!」
一歩砂を踏むたび、打ちつけるようにして心の一部屋に蓋をする。いつかもう一度、この感情と向き合っても懐かしめるようになるまでの、きっと長い封印になる。想いと思いと、それから緑色の眼をした”ゴールドシップ”を丁寧に閉じ込める。
「そういえば、今日少し食べすぎた件……トレーナーに謝るのを手伝ってくださる?」
「流石にモノ食ったのは自己責任だろ」
「分かってはいるのですが……これだけ食べた手前、一人で行くのが怖くて」
「あー、分かった分かった。手伝えばいいんだな」
振り向けば、数歩後ろを歩くメジロマックイーンの眼が輝いていた。……こういうところだけは年齢相応に現金な少女で、しかしそれが愛らしいのもまた事実なのだ。
「本当に!手伝ってくださるのですか!?」
「たりめーよ、大好きなマックちゃんの頼みだからなッ!」
ザッ、っと音を立てて漣が、アタシの足跡を洗い流した。
- 121二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 22:00:02
上機嫌なパーマーのお土産に期待しよう
- 122◆yHeFAtHegA23/08/20(日) 03:05:27
- 123二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 10:31:16
ああ、マックちゃんの除湿に成功したと思ったらゴルシが湿ってしまわれた…
ゴルトレにじゃれついて乾かすしかないんだろうな - 124二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 20:18:15
保守
- 125二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 01:15:23
保守
- 126二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 01:37:48
- 127二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 06:53:58
メジロの多湿さは他人にも伝播するのか…
- 128二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 16:16:31
ゴルシは(新しい恋でも見つけて)時間が経っていつの間にか蒸発できるのか、何かの拍子に蓋から溢れてきちゃうか、なんにせよマックちゃんに気持ちをバレないようにしたそうなゴルシさんですね……
- 129◆yHeFAtHegA23/08/21(月) 21:32:16
*****
バタンと車のドアが閉じられて、トレーナーと二人きりの空間に納まってようやく、夢から醒めたように意識の輪郭が整った気がした。
「帰ろうか」
「うん」
優しい声。
もう心臓は徒に跳ねたり躍ったりしないけれど、音にすればたった5音のその言葉だけでふっと心が安らいで、口元が自然と笑ってしまう。少なくともトレーナーと二人で乗る車というのは、私にとって安らげる場所になっていた。
「帰りもさ、トレーナーのプレイリスト聞きたいな」
「サザンばっかだけどいい?」
「ぜーんぜん、よきよきだよ」
そんなことを話しながらエボシラインを西に走る。
「あ、これイントロめっちゃ好きかも」
──♪せつない胸に風が吹いてた 帰らぬMy old days──
少しでも会話を増やそうと無理をしていた往路の自分を思い出して恥ずかしくなって、高速道路に乗るまで結局何もしゃべれなくて、それでも何一つ苦痛はない。
6月のまだ明るい夜へちらほら浮かぶ街灯りを背景にしてトレーナーはハンドルを取っている。その横顔を独り占めできている事実にほの暗い満足感があった。
「今日ずっと歩いてたし、眠かったりしない?サービスエリアとか寄っても大丈夫だからね」
「そうだね……いつ眠くなるかわからないし、厚木PAに寄って行こうか。パーマーはメロンパン好き?」
「好きだけど……なんで?」
車線の向こうを見ていた顔が一瞬だけ私の眼を見て、それからちょっと笑って自慢気に答えてくれた。
「めっちゃうまいメロンパンがあるんだよ、厚木にさ」
- 130二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 22:06:05
お土産っ!お土産もお忘れなくっ!
- 131二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 22:19:13
- 132二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 06:58:41
これは…延長戦だな!
- 133◆yHeFAtHegA23/08/22(火) 08:37:23
スマホにポップアップした通知を叩くと、ウマスタが立ち上がった。画面一杯に出たのは歪な半月型に割られたメロンパンで、そのアカウントには珍しくただ一言『ごほうび』とだけ添えられていた。
「あれ、もしかしてトレーナー、私のウマスタ通知入れてるの?」
「嫌だった?」
「そんなことないよ!──むしろ、ちゃんと見てくれてたんだなって……でもちょっと恥ずかしいかも」
そう言って隣で笑ったメジロパーマーの手には、さっき見た画面の中に映っていた半月がある。
私の左手にはその片割れ。
「「いただきます」」
海老名メロンパンは、その名の通り海老名SAの「ぽるとがる」で購入できる名物メロンパンである。当然ご当地名物である以上それだけを目当てに海老名SAを訪れる者も少ないのだが……実は圏央道厚木PAでも購入できるのだ。
「……ん~!!おいし~!超フワッフワ!ヤバ!」
「ん、うまい。この分厚さがたまらんね」
「これはハマるのわかっちゃうなー、名物っていうだけあるよね!でもここで売ってるって、よく知ってたね」
知ったのは全くの偶然だったのだ。たまたま立ち寄った時に海老名SA限定品であるはずのものを見つけた衝撃が大きかったし、何より美味しかったから記憶に残った。
「そのうちまた来るかもしれないと思って、覚えてたんだ」
彼女はうんうんと頷きながら、口の端にクッキー生地のかけらをつけておいしそうに食べている──こっちまで笑ってしまいそうになる。
本当に、覚えておいてよかった。
- 134二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 10:45:58
これはマック湿るな
メロンパンで - 135二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 18:59:13
普通に甘酸っぺえデートしてて良い
- 136◆yHeFAtHegA23/08/23(水) 02:29:33
- 137◆yHeFAtHegA23/08/23(水) 11:50:48
──♪燃える夏の太陽が 眩しすぎたせいかしら 胸を焦がす恋なんて 今じゃお伽噺か冗談ね……──
海岸から遠く離れた今になっても砂浜の香りを纏ったサザンオールスターズの曲が車の中で流れていて、メジロパーマーも指先でリズムをとりながら楽し気に頭を揺らしている。アップテンポな曲を選んでおいて正解だったかもしれない。
「この曲は何て言うの?」
「ん?えーと……これはだな……」
しかし、「教え子と二人で乗っている車の中」では口にすべきでないタイトルの楽曲が流れる可能性を完全に失念していた。
「どしたの?」
「ん、いや何でもない、何でもないんだけど」
視界の隅で、悪戯っぽく笑った少女が私の顔を見ている。
「もしかして、これはアレかなー……恥ずかしくなっちゃうから言えないとか、言うべきじゃないとか、そういう感じ?大丈夫大丈夫、パーマーさんその辺気にならないからさ」
「いや、そういうもんじゃないんだけど」
「ほらほら~、早く言っちゃった方が楽になるよ」
「分かったよ……この曲はな──」
結論から言えば、これ以降メジロパーマーはトレセンの駐車場に着くまでの間顔を赤くしたまま黙り込む羽目になったし、黙った結果車内にはより一層歌詞が響くことになった。
……今度からはプレイリストをもっとちゃんと考えて作ろうと、そう思った。
「──パーマー、もう着くよ」
「……ぅん。運転……ありがとね」
車のタイヤが”雨上がり”に取り残された水たまりを踏み割って乗り越える。
その音を聞いて初めて、この時間が終わってしまうのだという実感が心の中にあふれてきたのだった。
- 138二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 21:12:40
青春だなぁ…
- 139二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 22:32:46
キスしちゃえ
雨上がりだしいけるだろ
まだ1度もしてないけど - 140二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 07:07:39
- 141二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 12:36:14
このレスは削除されています
- 142◆yHeFAtHegA23/08/24(木) 12:37:38
車から降りたところでトレーナーは何かを話すわけでもなく、だからと言って私に言葉の持ち合わせがあるわけでも無くて、ただ、”まだ一緒に居たい”と思う時ほど言葉少なになっちゃうんだな、なんて妙に他人目線な感想を抱いている。
この気持ちが、私だけのものじゃないといいな。
「パーマー」
声がかかる、足音が止まる。つられて立ち止まって顔を上げればそこは寮と学校の分かれ道。
どんなにあがいてもここまでだ。
「晴れてよかった」
「そう、だね……よかった。ほんとに」
「また行くためにもトレーニング頑張らないとな」
「わかってるよ!頑張っちゃうからね~」
こんな会話をしたいわけじゃなない。
こんな、今日一日を締めくくろうとするような、終わらせるような話がしたくて立ち話をしているんじゃない。
「──トレーナー!一個だけ、最後に、お願いがあって」
「どうした急に」
そのまま勢い任せで言葉は──出ない。紅くなった顔を闇が誤魔化してくれている今のうちが、今日のラストチャンスなのに。
浮かんだ言葉をいつも遮るのは、もう一人の自分だ。そんな思いはトレーナーの枷になるんじゃないか、嫌がられるんじゃないか、そもそもそんな感情を急に持ち出されたら誰だって困惑するだろう……。
「疲れちゃった?明日のトレーニングメニュー見直しとかならすぐやるけど」
「ああいや、そうじゃなくて」
──でも、自分をだませるのもまた自分なんだ。だから私は嘘を吐くことにした。世界で一番ダサくて狡くて姑息な小さい嘘を、私自身をだますため、震える声に出す。
「ハイタッチ!したいかも!」
- 143二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:16:16
頑張れパーマー
- 144◆yHeFAtHegA23/08/25(金) 09:09:29
トレーナーは一瞬、ハテナマークが口から出て来そうな、何とも気の抜けた顔をした後で困ったような眉のまま笑ってくれた。
「ハイタッチなんて、いつでもしてあげるのに」
「や、なんかそう言う感じじゃなくてさ……ほらせめて、今日の締めくくりを……ちょっとでも明るくできたらなって!そう思ったの!」
苦しい嘘が恥ずかしくて、また心臓の鼓動が早くなって、少しでも高くと振り上げた右手が選手宣誓みたいになってしまう。きっと今、私の尻尾は今日イチ忙しく動いているに違いない。
「そうだね、明日からまた頑張らなきゃだし、切り替えていこうか」
そんな言葉と共に左手が挙がる……私の右手に合わせた高さ。そんなことすらこの人の優しさに思えてきて、その優しさに付け込んで嘘を吐いている罪悪感が湧き出てこようとするのを、わき腹をつねって抑え込んだ。
「じゃあ、」
またあした、と続けられた言葉に合わせて、パチンとお互いの手のひらを軽く合わせる。私のよりも少し大きくて、あまり手入れのされていない指。今日一日ハンドルを握ってくれた指。案外上手にナイフとフォークを扱っていた指。子どもみたいに水族館の水槽へ伸びていた指。何度も私の手に触れた指。江ノ島大橋で触れた時には思い出せなかった今日一日の記憶が、アルバムのように切り出されて瞼の裏に流れていく。
私、ウマ娘でよかった。
普通の女の子だったらこんなことはできないし、きっと思いつきもしない。
「ちょっ、パーマー?」
手を重ねた一瞬で、素早く指を絡めとる。そのままぐいと力を込め、決して逃げられないように──その体を抱きしめた。
- 145二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 18:55:55
大胆にいったー
- 146二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 02:03:11
人ではウマ娘には抗えない…(いいぞもっとやれ)
- 147二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 09:33:08
湿ってる事も多いけど決断すると流石メジロ…徹底的になる
- 148二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 12:06:32
一心同体に貴方もメジロですする娘達と同期だからな
メジロでは婿候補は徹底的に囲えと走る事と同じくらい教育されてても不思議じゃない - 149二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 17:11:57
このレスは削除されています
- 150二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 17:15:34
- 151二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 00:40:49
お疲れ様です
- 152二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 08:19:47
しかしマックちゃんでこう湿るとなるとライアンとかドーベルとかも結構ジメっとしちゃうんだろうか
アルダン?公式で永遠刻むペアですしおすし - 153二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 13:39:00
ブライトも湿り様が無いしラモーヌは捕食者(暫定)だから大丈夫だな、ヨシ!
- 154◆yHeFAtHegA23/08/27(日) 17:22:45
少し上から困惑の声がしたけれど、聞こえないふりをする。
ヒトの骨格に無理がかからない範囲でさらに力を籠める、この人の形を私がしっかりと覚えて置けるように──或いは、今日の私のカタチをちゃんと覚えておいてもらえるように。どんなに大切な思い出でも年月が経てば劣化は避けられないから、きっといつかはトレーナーの中から今日の記憶は欠片を落とすようにして失われていく。
トレーナーの記憶から私が抜け落ちても、私の跡さえ残っているならそれでいい。
「……嫌?」
「──ぁ、……いやじゃ、ない」
我ながら狡い質問だ、拒絶される回答が来ない事なんて最初から百も承知でわざとこんなことを聞いている。少しでもこの人の中で私が、一人の”メジロパーマー”という存在として残り続けることができるのなら、例え不躾とか破廉恥とかそういうことを思われるとしてもこうすることには価値がある。
少し引けている腰を左手で囲い込んで、私の体を押し付けた。夏の薄着を数枚隔てただけの体温に肌を灼かれたような気分になる。
「……ッ、どうしたの、パーマー」
「私、忘れないから。今日すっごく楽しかったの、本当に」
ミミを押し当てている旨の拍動が少し早くなっているのが聞こえる。
「絶対忘れないし……忘れたくなくて」
「ああ」
「──忘れられたくないの」
ずっと一方的に握っていた右手へ、握り返される感覚を感じた。背中にも腕が回される感覚がして(おっかなびっくりって感じだったけど)、手のひらの暖かさが腰から伝わって心地良い。
「私も楽しかったし、今日のことは忘れたくない良い思い出だよ」
「……うん」
「だからこそなんだけど──忘れないために、ちょっとだけ離れてくれても……いい?」
- 155二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 18:17:18
ジメッとしてる
- 156二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 23:42:26
前スレから読み直したら開始が丁度2ヶ月前だった
- 157二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:15:12
おっと-?永遠を刻みそうになってるぞ-?
- 158二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 06:57:55
パーマーが仕掛けてきた!
- 159二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 12:43:37
このレスは削除されています
- 160二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 21:27:52
パーマーは公式でも湿る娘なのに弱者(恋愛的な意味で)のイメージ全くないしね…
- 161◆yHeFAtHegA23/08/29(火) 01:45:12
手はトレーナーの腰に回したまま、体と体の間に手のひら一枚分くらいの空間を開けた。熱はまだ皮膚の上に残っている。
「私も……今日のことは忘れたくないんだけど」
「うん」
「正直、今ので全部上書きされそうになっちゃって」
暗さを深めた闇の向こうでも明確に分かるくらいの焦った顔がそこにあった。目線を合わせようとしてもその軸を逸らされる。
「トレーナーとしてこう言うことを言うのは本当によくないんだけどさ」
「いいよ、何でも言って。私なら何でも聞いてあげられるし、どんな言葉でもトレーナーの物なら真剣に考えられるし、答えることもできるから」
「ありがとう、ゆっくり聞いてくれるならいいよ」
私は、極めて真剣に頷いた。言葉に嘘はなくて、どんな言葉が出てきても正面から受け入れるつもりだし、何を求められても抗わない心の用意はとっくにできている。トレーナーとの時間を少しでも多く手にできるのなら、何を賭けたって安いもんだ。
「よし、じゃあ一言二言だけ」
そんな言葉が聞こえた瞬間。
繋がった右手を引かれる、背中に回された腕が私の体を搔き寄せる、さっきとは真逆の立場で同じシチュエーションが再上映。いくらウマ娘とヒトとで膂力に差があっても、不意に働いた力は完全に油断しきっていた私の重心を容易に動かした──その胸の中へ。
「ぁ────」
今までずっと近くて遠かったはずの場所に、拍子抜けするほどごく自然に収まった。
「パーマーはいつものままでいてくれていいんだよ、それだけで十分忘れないから」
優しい声は、小さくてちょっと震えていた。
- 162◆yHeFAtHegA23/08/29(火) 01:46:49
「──っ、」
返す言葉の一文字目を口にする前に、パッと身が離される。トレーナーは天を仰いで……なんか小刻みに頭を揺らしていた。
「流石にまずいよなあこれ……いやコンプラ引っかかるよなあ……」
「ど、どしたのトレーナー」
「んーや……後悔はしてないんだけど善後策考えてなかった、的な」
「それ、私の爆逃げと一緒じゃん」
どっちが先に吹き出したのか今となっては思い出せないけれど、二人してテンションがおかしくなってしまっていて、どうでもいい私の一言でしばらく笑っていたのだった。
そんな私が、いつもの私だ。
「秋もその爆逃げしっかり決めてやんないとな」
「もっとスタミナ付けてかないとだね!頑張っちゃうよ!」
じゃあ、と口にしたのは私だった。これは今日の総括で、責任の着地点。最初に連れ出したのは私で、それならこの言葉も私から掛けるのが、きっとスジってものなんだ。さっきまでは想像するだけで苦しかったそのフレーズが、ほんのいくつかの言葉と数秒の時間を経ただけでもう笑顔のまま口にできるようになっている。
この人は、すごい人だ。私を導いて勝たせて、大舞台で輝ける力をくれて、沈んで腐っていた心さえも見抜いてあっという間に救ってくれる、すごい人。
ほんとうに──。
最後の最後まで名残惜し気に繋がっていた手にきゅっと力を込めた後、ほどいてそのまま頭の上へ。すっかり乾いたアスファルトの上へ、街灯に照らされた私の影が遠く伸びて陽気に踊った。
「また──明日ね!」
私の好きな人は、いつも通りの優しい笑顔で左手を上げた。
「ああ、遅刻するなよ」
- 163◆yHeFAtHegA23/08/29(火) 08:38:54
*****
非日常は日常に帰っていく。楽しい遠足はバスから降りてしまえばそこで終わる。外で遊びたくなる晴れの日はずっと続く訳じゃなくて、休みの日に限って雨が降ることもある。舞い上がっちゃうくらい楽しい時間が終われば、いつもその終わりに待っているのは日常に帰る事、楽しかった時間が終わってしまうへの無力感だ。
「あらパーマー、何だか随分と楽しそうですわね」
「うんうん!なんかいいことあった?」
「ちょっと、ね。心の重荷が一つ降りたって言うかさ、すごく良い”休日”を過ごせたんだ」
こうして私は日常に戻って来た。でもそこに名残惜しさはあっても、あのどうしようもない無力感は欠片もない。だって今日も私はこうして笑っている。
「もしかしてあのメロンパンってそういうこと!?あれすっごくおいしそうだった!」
「ちょっとライアン今なんと?今メロンパンって言いましたわね?聞き捨てなりませんわ」
「えーっとね、ほら見てよこれ、昨日パーマーがウマスタに投稿してて」
「あ、それ。めっちゃおいしかったよ!ふわっふわでさぁ」
何気ない休み時間でさえ、愛おしい。
「あのこれ……あのお店ですわ、確か海老……海老原?かどこかにある……なんかこう『じぶらるたる』みたいな名前のお店のメロンパンですわ!何でしたっけ……」
「え?これ買ったの厚木だけど」
「どこですのそれ!?」
「あれパーマーのトレーナーさんじゃない?聞いてみようよ」
だって、普通に過ごしているだけなのに、偶然目の前の準備室から好きな人が出て来る、そんなことも起こるんだ。
昨日のことを思い出して少し恥ずかしかったけれど、それでも変わらずいつも通りの、それだけで忘れないと言ってくれた私の笑顔は自然とその人の方へ向く。
「おはよ!トレーナー!──あのさ、厚木ってどこにあるの?」
(終)
- 164◆yHeFAtHegA23/08/29(火) 08:40:17
SS中に歌詞の記載がある楽曲(SS内での登場順)
・ロックンロール・スーパーマンサザンオールスターズ - ロックンロール・スーパーマン~Rock’n Roll Superman~ [Official Music Video]
・君こそスターだ:サザンオールスターズ – 君こそスターだ(Full ver.)
・せつない胸に風が吹いてた:
https://southernallstars.jp/mob/titl/titlShw.php?site=SASJP&ima=3740&cd=VICL-60660
→リンク先は試聴ページ。Track07
・雨上がりにもう一度キスをして:
https://southernallstars.jp/mob/titl/titlShw.php?site=SASJP&ima=4714&cd=VICL-35558
→リンク先は試聴ページ。Track02
今回トレーナーがプレイリストを作るときに使ったアルバム
1:海のYeah!!
Spotifyopen.spotify.com2:バラッド3 ~the album of LOVE~
Spotifyopen.spotify.com3:キラーストリート
Spotifyopen.spotify.com - 165◆yHeFAtHegA23/08/29(火) 08:42:17
*****
くぅ疲
ということでパーマーが除湿されて素直に好意を自覚できるようになるまでのお話でした。
裏でマックちゃんも脱水されて自分の感情に名前を付けられるようになったのでヨシです
2ヶ月の長きにわたりお付き合いいただき皆さまありがとうございました
以下”乾燥”パートとなります。スレ主は反省点など投下する予定です。
質問とか小ネタに関する問い合わせ有ればお答えしますんで何卒
ゴルシちゃんAppendixは筆が向いたら…… - 166二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 12:37:34
完結お疲れ様です
厚木ってどこにあるのは確かにパーマーなら言いそう - 167◆yHeFAtHegA23/08/29(火) 22:24:29
そのうち再編集して渋かどっかに上げます
- 168二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 08:32:00
ライブ感重視で書き進めると長くなるからね仕方ないね
- 169二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 12:43:30
食べ歩きバージョン、ゴルシマックイーンに気づく、鎌倉に行ったらとかダイス分岐先が気になった
- 170二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 14:37:06
完結乙でした
湿るどころかびっしょびしょまで行ってからの差し切り勝ちでパーマー良かったね
ゴルシ編は対マックちゃんは敗北確定なのでむず痒いけど是非見たいかなぁ - 171◆yHeFAtHegA23/08/30(水) 23:03:22
青春はよく言われるキラキラだけじゃなくて、あの時代特有の精神状態も考慮するとなんだかんだ皆湿るもんだと思ってます。青春とは思い悩む季節でもあると信じているので。パーマーには雨を降らせよ。至言だ
上でもちょいと書いたんですけどメジロの娘たちはみんなどこかしら歪んでいるという偏見があります。決断すると徹底的とか一心同体って言うのは、発されたシチュエーションがどうであれ本質的にはかなり追い詰められた末の"必死の言葉"だと曲解している夏です。
パーマーはお察しの通り抱え込んで一人で悩んでどうにもできなくなると暴発してびしょぬれになりますきっと。そうであれ。トレーナーに負担掛けないようにして結果空回りって最序盤から君そういうとこだぞ
生存ッ!
正直なところラモさんも大分歪んだメンタルお持ちな感じしますよね
ブライトはちょっとよくわからない()
本質的には恋愛強者なんでしょうけど成功体験の欠乏と自己肯定感の低さが足引っ張りすぎて水風船になってます
限界超えると己の身を顧みずに爆発してびっしょびしょですのよ、トレーナーさんが職業倫理のちゃんとした方でよかったですわ
決して本質おバカではないのだがこの凸凹激しそうな感じ…
まあはい……もうこのスレも完走見えてきてますしおすし
おつありですトレーナーと自分の関係をつなぎとめるためにどんどん本来の自分から離れていく(=湿る)パーマーと、自分自身を肯定されて本来の自分を取り戻せた(Happy end...)パーマー
とりあえずいい感じに想定してたオチに持っていけてよかったです
短めのゴルシちゃんAppendは書いてみますが、間に合わなかったらひっそり別スレ立てて書きますわ
過去イチパーマーの湿った心を書けたのでわりと達成感あります……ザックリ総文字数45,000……マジか……
- 172◆yHeFAtHegA23/08/30(水) 23:22:54
以下ダイスの運命に選ばれなかったルートです
・鎌倉に行く、だと大幅にルート変更入ります。まず江ノ電で密着ハプニング入ります。スイーツの構成が大幅に変わります(この場合私の撮った写真も大幅増)。終盤の橋渡る間だけ手をつなぐ演出はなくなりますが、疲れて江ノ電で舟をこぐトレーナーにちゃっかり肩を貸してすげえ湿るパーマーが出ます。
・ゴルマクに見つかる、だとパーマーの言動が湿度UPします(正直これはかなり書きたかった)。見つかったことを暗にトレーナーに仄めかし、マジの駆け落ちを示唆するようなセリフとか出してきます。あと一周まわって堂々とくっつこうとします。生きろトレーナー
・甘いものを追加したくなる、だとトレが言及していたフレンチトーストの店へ行くルートでした。美人守の自己肯定感爆アゲ要素はなくなるんですが、めちゃくちゃきれいに食べるパーマーに見とれるトレーナーと間接キスで真っ赤になるパーマーが入る感じです
- 173二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 10:58:35
- 174二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 22:24:29
どれも見たいな
江ノ島に登るもあったけどそこは大差ない感じなのかな? - 175◆yHeFAtHegA23/09/01(金) 02:48:21
そっちはろくすっぽ構築してなかったんですが何かしら湿らせていたはずです
- 176二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 13:33:26
完走乙です
ゴルシちゃんAppendix読みたいですわ - 177二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 15:10:01
何かしら湿らせていたはずは芝
まー湿るよね普通に - 178二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 23:28:57
どの道を言ってもラブコメの波動が強い!!
- 179◆yHeFAtHegA23/09/02(土) 03:51:05
本SSで気を遣ったポイントとまるで伝える気のないこだわり要素です
・パマトレが行きの車でかけていた曲の歌詞はパマトレではなくパーマーの感情をイメージしていた
・ゴルシは最初からマックちゃんのことしか考えていない。その証拠に、口に出して名前を呼んだのはマックイーンだけ。パーマーとパマトレのことは名前を出していない
・パマトレとパーマーの世界は最初の方からかなり閉じている。いくら人が少ない日とは言え観光客の描写が異様に少ない、他のウマ娘の名前がほとんど出ず、世間で普通に生きているはずのウマ娘の描写も一切ないのはお互いがお互いしか見えていないから
・パマトレとパーマーのデートコースは一回スレ主本人が現地で検証した(採用されなかった鎌倉ルートも歩いた)
・帰りの車でパーマー一行の車内にかかっていた曲は、帰りの描写が一切ないゴルシが帰途に抱いていた感情の描写代わり
・湿ってる時のパーマーは本人が素のつもりでも大分自棄かつ自分を偽っているので、主語のニュアンスが"自分ひとり"であることが多い。反面乾いているときは"自分とトレーナー"のニュアンスがかなり濃い
こんなこと考えながら書いて、いただいたレス見ながら「おっこのリアクション得られたってことはこの要素入れたらもうちょいおもろくなるな」とかやった結果がこの文字数です。
SSは計画的に。
いつかそう遠くない望来のうちに……ね……
うまくまとまるか不安ですが今更書き始めました
でもこのラブコメ……ちょっと湿ってます……
- 180二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 12:21:35
そういえば過去作とかはありませんか?
あるのなら是非とも読みたいのですが - 181◆yHeFAtHegA23/09/02(土) 17:21:12
- 182二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 18:39:30
複数ルート用意して話も組み立ててあるとかすげえな
- 183二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 23:24:32