ほらマスター、早く早く♪

  • 1二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 19:36:21

    わたしにしてはわかりやすいはしゃいだ声を上げながら彼の手を引く。その手から伝わる体温がいつもよりほんのり高い気がするのは夏の暑さのせいか、それとも別の理由か…

    「全く…急がないと夏なんてすぐ終わっちゃうわよ」

    いきなり走ったせいか少し息の荒いマスターの方を振り向きながらわざと頰を膨らませる。常識的に考えてちょっとどうなの?となる行動ではあるが、マスターとはもうずいぶん長い付き合いになるので、わたしも彼もこれぐらいのじゃれ合いは慣れたものだ。さらに言ってしまうと、それだけわたしが彼のことを信頼している、というわけでもあるが。

    「ほら、水筒………ん、落ち着いたみたいね。それじゃ、わたしも飲もーっと」

    あえてマスターが飲んだ直後の水筒にそのまま口をつける。そんなわたしの行動に特に口出しはしてこなかったが、わたしの唇が飲み口に触れた途端にその顔が少し赤くなったのがとても可愛らしい

    「ふー……やっぱり暑い時に摂る水分は格別ね。あなたもそう思わない?」

    少し上目遣い気味に見つめながら世間話を投げかけてみる。すると彼はその問いに「そうだね」と答えた後、なぜ自分がここに連れてこられたのかを聞いてきた。

    「んー、そうねぇ……抜け駆けってところかしら」

    突然脈絡のない言葉が飛んできて疑問符を浮かべている姿が目に飛びこんてきたが、あえて気づかないふりをして話を続ける。

  • 2二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 19:37:44

    「だってそうでしょう?この後のことを考えたら早めに行動しておかないと、次はいつ2人きりになれるかわからないし」

    流石にここまで言うとなんとなく察しがついたのか急にソワソワし出すマスター。そんなわかりやすい彼に思わず笑みを浮かべつつ、逃げ出さないようにしっかりと手を握っておく。

    「そ・れ・に…今年はわたしにとって特別な夏だから真っ先にあなたを確保する必要があったの」

    「なら何故?」と言った疑問を顔に浮かべるマスター。そしてそんな彼を見て待ってましたとばかりにルーンが描かれた紙切れを取り出すわたし。

    「良い?今からちょっと魔術を使うけど…驚いてわたしから目を逸らしたりしないで、絶対に」

    念を押すように告げた後、名残惜しく思いながらも繋いでいた手を離す。そしてマスターから少し距離を取り、ルーンを起動させる。

    「……どう?似合うかしら」

    そう、今年は初めてわたしが水着霊基、というやつをもらえた年なのだ。去年までは夏になると嬉しそうに水着に袖を通すイリヤを嫉妬心混じりで眺める年が続いていたが、今回は違う。

    「一応、わたし好みの格好にしてもらったんだけど…」

    期待と不安の入り混じった眼差しを彼に向ける。普段であればもっと自信ありげに尋ねるところであるが、どうも今日のわたしは感情の起伏が激しいらしく、プラスの感情だけでなくマイナスな感情も大きくなりやすくなっている。それは多分わたしが彼に対して特別な感情を抱いてることの裏付けでもある。

  • 3二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 19:38:21

    ………ほんと?ほんとの本当に可愛いって思う?」

    我ながらめんどくさい女だと思いつつ問い続ける。そんなわたしを見た彼は引くどころか逆に真剣な眼差しをこちらに向けて、力強く頷き返してくれた。

    「……ありがと、その…あなたにそう言ってもらえるの、すごく嬉しいわ…」

    もう嬉しいやら恥ずかしいやらでごちゃごちゃになった脳内を押さえつけるようにゆっくりと話す。でももうそんな抑制など意味ないぐらいわたしの気持ちは昂っていて…

    「あーもうほんとそういうところよ!あなたの良いところで悪いところ!」

    訳のわからないことを叫びながらついマスターに抱きついてしまった。再三言っているが今のわたしはただでさえ、普段よりもテンションが高くなっている。そこにマスターからの純粋な気持ちが聞けたことで一気に色んなものが爆発してしまい、この行動に至ったというわけだ。

    「こら、逃げないの。あんな風に口説いてきたのに今更穏便に済ませようだなんて無理な話なんだから♪」

    もうマスターだけでなくわたしの方も照れで体温も心臓の鼓動も大変なことになっているが、気にしてなどいられない。だって、こんな楽しい夏のひと時をすぐに終わりにしてしまいたくないから。

    「今日はもう離さないわよ。わたしを本気にさせたあなたは責任をとってちゃーんと付き合うこと、良いわね?」

    いたずらっ子のような笑みを浮かべて彼の方を見つめてみる。するとそこには観念しつつもなんとなく嬉しそうな姿のマスターがいた……ほんと、この人はどこまでわたしを喜ばせようとするのかしら……

    「さてと、じゃあ早速遊びましょっか!せっかくの海なんだし、2人きりで目一杯楽しみましょう♪」

  • 4二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 19:38:21

    待っていたよ、君が来るのを

  • 5二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 19:38:24

    怪文書作られるの早くない!?

  • 6二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 19:38:52

    無量空処やめて?

  • 7二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 20:28:13

    仕事が早くてありがたいな

  • 8二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 21:45:02

    >>5

    >>7

    ずっと水着クロエ待ってたので…

  • 9二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 21:47:32

    スレ開いた瞬間に画面を覆い尽くす文字の群れ
    怪文書はこうでなきゃ

  • 10二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 21:48:11

    >>9

    怪文書というかただの神SSでは?

    ボブは訝しんだ

  • 11二次元好きの匿名さん23/07/29(土) 22:58:01

    新調した水着を見せるために2人きりになりたい、っていうちょっと子どもっぽい独占欲良いよね

  • 12二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 10:09:49

    俺知ってる!この後勝手に抜け出したことをゴッフに怒られるけど、なんとなく2人の雰囲気を見て察したダヴィンチちゃんに「まあまあ良いじゃないか、マスター君もたまには息抜きしてもらわないと。それに"誰かさん"が彼のためにすごく頑張ってくれたみたいだしね?」ってニヤニヤしながら言われて、マスターもクロも赤面するやつ!

  • 13二次元好きの匿名さん23/07/30(日) 21:17:35

    間接キス誘導に自然なハグ…これは恋愛強者ですね…

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