【SS トレウマ注意】夏だから言わせてもらうけど

  • 1二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:00:58

    アキュートさんに「すけべ」って言われたくない?
    というわけで書きました。9レスほどになります。よければお付き合いください。

  • 2二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:01:35

     それは、夏合宿も折り返しを過ぎた朝のこと。
    「日焼け止めねぇ、塗りにくいとこがあって。ちょっと手伝ってくれんかね」
     二人で設置したパラソルとビニールシートの下で、担当ウマ娘、ワンダーアキュートにそう頼まれた。

     今朝は少しでも涼しい内にランニングでもと、待ち合わせてビーチに出たものの。顔をのぞかせている朝日は、早くもじりじりと肌を焼こうとする強さに達していて。

     更に強くなるだろう日差しの中、対策もなしに水着姿で過ごせば、彼女の白い肌は、日焼けどころか火傷さえしてしまいそうだ。……何よりも、彼女の頼みなら、なるべく応えたい。そう判断して頷けば、笑顔とともにお礼が返ってきた。

  • 3二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:02:13

     アキュートはすぐさま、ほい、と持っていた日焼け止めを渡すと、こちらに背を向け、敷いておいたビニールシートへ、ぺたりと腰を下ろす。

     そういえば塗れてないのは『どこ』か聞いてなかったなと、こちらが思い至る前に。
    彼女は、んしょ、と手で髪を束ねるように掬うと。そのまま左側へ豊かな髪を流し。
     先程まで亜麻色の髪に隠されていた首の後ろ…うなじを、白日の下に晒す。

    「え、そこ?」
    「えぇ、ここ」

    ……少し予想外だった。足の甲、とかではないのか。
     そもそも、さっきまでそこを覆っていた髪があれば、陽焼けの心配もないのではないか。疑問をそのまま口に出せば。

    「あたしもねぇ、そう思って横着しとったんじゃけど……」
     なんでも昨夜、後輩に『それでは甘い』『今年の日差しは侮ってはならない』とアドバイスされたと。それを受けて今朝方一人で挑戦したが、豊かな髪を前に苦戦したとのことで。

  • 4二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:03:11

     それにしても、うなじ。とは。どことなく、他人が……まして、異性が触れたり、見たりするのは躊躇われる場所な気がする、が。

     純粋な教え子の頼みにそう思うことこそ、そもそも邪な考え方ではないか。一度引き受けた手前、箇所を聞いてから慌てて判断を翻すというのも、それこそ彼女のうなじを邪な目で見ている証拠になりはしないか。などと考えた末。

     心頭滅却すれば火もまた涼し。そんな言葉を思い出しながら、ひとつ深呼吸すると。そのすぐ後ろに腰を下ろした。

  • 5二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:03:46

     彼女の持ってきた日焼け止めは、乳液タイプのもので。白い、少しとろみのある液体を手のひらに出し、人差し指の先に掬う。
     彼女の手で髪が除けられた首元へ、恐る恐る指を近づければ、さっきまでそこにこもっていたであろう熱を感じる。蓄えられていたのは、日差しの熱か、あるいは彼女の……そこから先は考えないように、心頭滅却、そう何度も唱えながら、触れる。

    「ひぁ」
     瞬間、驚きの声とともに、尻尾が跳ね上がり。さっきまで心のなかで唱えていた呪文は、早々に何処かへ飛んでいった。

    「っ、ごめん」
     咄嗟に謝ると、アキュートは不意の刺激に声こそあげたものの、姿勢は変えず、くすくすと笑って。

    「こっちこそ、びっくりさせたわねぇ。ちょっとくすぐったくて…もっと大雑把に使っちゃって、大丈夫よ」

     それもそうか。その言葉に頷いて。今度は中指や薬指の腹まで動員し。さっきよりは大胆に、真ん中から塗り拡げていく。
     アキュートの首は、再び到来した刺激にわずかにすくめられたが、ほどなく緊張が解けるのが、指越しに伝わってきた。

  • 6二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:04:55

     その一方で、今度はこちらが緊張する番だった。
     手が髪の生え際へと近づくにあたり、髪に付かないように塗らなければと、慎重になるのは当然で。

     そうなると、これまでなるべくピントを合わせないようにしていた部位を……目の前の、うなじを見る他なく。
    ……見て、しまったのだ。あるいは、魅入られてしまったのかもしれない。

     普段から、外気にも日差しにも晒されていないその肌は、ひときわ、眩しく、ほの白く。透き通るような、陶器を思わせるもので。

     その上に、まとわりつくような暑さをうけてか、すでに汗が何粒か浮いていた。パラソルの作った日陰の中でも、ガラス玉のように輝いていた。

     それに加えて。日焼け止めを継ぎ足し、また触れれる度、アキュートはくすぐったそうに身を震わせ、あるいは悩まし気な声をあげ。時折揺れる尻尾が、偶然こちらの膝をくすぐる。
    ……正直に言えば、彼女の無邪気な一挙一投足が、こちらの邪な気持ちを、煽ってくる。

     やがて、トレーナー、としての範囲を超え、一個人としての浅ましい感情が、邪な欲が、身をもたげ始める。

     今まさに大切な教え子を、『そんな目』で見てしまっていることは、トレーナーとしてあるまじきことで。彼女にも、誰にも、悟られてはならない。

     そう思い至ると、さっき思わず飲んだ生唾の音も、触れるたびに高鳴る喧しい心臓の音も、すぐ側の彼女に聞かれてやしないかと、気が気でなかった。

  • 7二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:05:27

    「ね、トレーナーさん」
     聞こえてきた呼びかけに、はっと我に返る。少し熱に浮かされていたのかもしれない。心頭滅却などと唱える事も忘れ、没頭していたらしい。手元を見れば、頼まれていたうなじは、くまなく塗った白いベールに守られていた。

     が。それに安堵する間も無く。

    「よかったら、このまま背中も、お願いしていいかしら」

  • 8二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:06:59

     少し視線を落とせば、学園指定の水着から見えているのは、肩甲骨が見えるか見えないか程度の、背中の一部。そういえばこちらも、あまり見たことはなかった。……まして、触れることなど。

    「見えてるとこまででいいからねぇ」
     こちらの混乱や感情など、まるで気づいてないかのように、姿勢は変えず、引き続き背をこちらに委ねてくる。

     悟られないように、長く息を吐き。日焼け止めを再び手に出す。

     先程よりも彼女の体温に近づいた指で触れ、なぞり、拡げるたび、指先から伝わるのは。自分のそれとは違う、女性特有の柔らかさと…その奥に感じる、確かな筋肉の張り。
     日頃から全身を鍛え、鋭さを保つ彼女の背は……見ても、触れても、しなやかで、どうしようもないほどに、美しく。

    「んっ……は、ふ……」
     加えて、鼓膜をくすぐるのは、さっきよりどこか甘ったるい響きの、吐息混じりの声。
     どうやら先の反省からか、出すまいと我慢しているようだが、その押し殺した声音に、逆に、嗜虐心が煽られるようで。

     注目しないようにすればするほどに、そうしないよう理性が訴えるほどに、強く、意識して、考えてしまう。
     風の音も、蝉の鳴き声も遠く。二人の息遣いと、彼女の声だけが、聞こえる。

  • 9二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:07:40

    「……これで、いい、かな」
     やがて、掠れた声で完了を伝えて。長く、長く息を吐く。そこで初めて、呼吸さえ忘れていたことに気づく。

    「そうねぇ、あとちょっとあるんじゃけど、あとは自分でしようかしら」
     両膝をこちらに向け座り直す彼女に、日焼け止めの容器を渡すと。……またすぐに、呼吸を忘れた。

     アキュートは、慣れた様子で手に出すと、自分の首元に塗り始めた。そのこと自体に問題はない。
    問題は。こちらと向かい合ったまま。お互いに、少し手を出せば届く位置で。堂々とそれを始めたことで。

     なんだ、なんだこれは。彼女側からするとさして異様なことでもないのかもしれない。冷静でない今の自分には、判断がつかない。
    わけがわからないまま、シャワーや着替えを覗いているような、背徳感と罪悪感が背を伝う。
     いや、彼女はただ日焼け止めを塗っているだけで。そう思うことこそ、邪ではないか。

     熱に浮かされたのか、目の前の光景に対して、もはや判断が追いつかない。追いつかないまま、目が無意識に彼女の手と、その軌跡を追いかける。

     白魚のような細い指が、同様に美しい肌を、撫ぜていく。まず首の左右を、ついで、その下にある鎖骨。水着との境目には、少し、指を、潜り込ませて。
     そうして、薄く均一に拡げられた白いベールが馴染み、肌の色と混じってわからなくなったころ。

    「これで、よしと」
     かちり。日焼け止めの蓋を閉じる音と、こちらの視線などなかったかのような彼女の一言が、同時に響いた。

  • 10二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:08:07

    「ほいじゃ、そろそろ行こうかねぇ」
     生返事を返すのが精一杯のこちらをよそに、アキュートは立ち上がろうとする……直前。自分とこちらの間に一歩、手をついて。呆然とするこちらの耳もとに、唇を寄せ。

    「ずっと、見とったね。あんなに夢中になって」

     不意に鼓膜をくすぐった、甘い囁き声の告発に、ひときわ強く心臓が跳ねる。
     いつから、気付いていたのだろう。さっきまで向けていた視線の奥にあった、浅ましい感情に。あるいは、最初から知っていたのだろうか。

     動揺のままに左右に泳ぐ視線が、こちらをじっと覗き込んでいた彼女の目と、ぴたりと合う。その表情を見た瞬間に、くらりと目眩がするようだった。

     少し上気したような頬。僅かに潤んだ、緑の瞳。
    さっきの穏やかな笑顔とは違う、あまりにも、蠱惑的な、妖しい笑み。

     やがてその唇から、こちらをからかうような、愚かさを愛おしむような、最後の一言を。


    「すけべ」

  • 11二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:08:28

     一連の言葉に、こちらが何か反応をする前に。
    アキュートは今度こそすっくと立ち上がると、乾いた砂浜へ駆け出してしまった。

     白砂に足跡を伸ばしていく背をぼんやりと見送りながら、先の出来事をなぞれば、頬が熱くなって、くらりとくる。まだ、日向に出てすらいないのに。

     熱中症、かもしれない。

  • 12二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:09:37

     以上です。お付き合いいただきありがとうございます。アキュートSSRを引けなかった侍、一太刀失礼いたした。

  • 13二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:13:06

    うむ…

  • 14二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:13:15
  • 15二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:15:59

    そう言ったことに縁遠そうな子からすけべとか言われるのはクるものがありますね…

  • 16二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 19:22:22

    どぎまぎしてるトレーナーの雰囲気が伝わってきたSSだった
    気になったのは、意図ある所もあるんだろうけど、
    所々の句読点とか語尾とかがおかしいと思った

  • 17二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 20:41:52

    いい夏だったよ

  • 18二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 20:44:11

    あーだめだめ淫靡すぎます

  • 19二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 20:54:17

    むっっっっっ!!!!!

  • 20二次元好きの匿名さん23/07/31(月) 21:15:17

    ありがとう それしか言葉が見つからない

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