《SS?怪文書》藤丸立香とパーソナル・レッスン

  • 1二次元好きの匿名さん21/12/14(火) 19:50:03

    ああ、いいところに来た、マシュ。所長にまた色々教わってるところなんだ。ただちょっと……話が専門的すぎてさ。君に補足とかをお願いしたいんだけども……いいかな?ん、ああ……そうだ、そうでしたね、ええ……マシュについての誤解、俺から説明してようやく解けたよ。君は所長を恨んでなんていないってさ。ははは……ホント、一度染み付いた認識ってのはなかなか……解けないもんだな。全く君と顔を合わせたがらないから……苦労したよ。まぁ、今はそんな心配ないけれど、さ。ですよね、所長……?ああ、ええ……そうですね。一度休憩ついでにお茶をいれてきます。マシュも混じえて……はは、こんな瞬間が来るなんて、夢みたいですよ。カップ、取ってきますね。

  • 2二次元好きの匿名さん21/12/14(火) 19:51:53

    ……どうしたんだ、マシュ?そんなマジな顔して俺の肩なんか掴んでさ。
    ん……?何言ってるのさ。俺は何もおかしくはないよ。だから止してくれ……そんなヤバいもの見る目で俺の事見るのは……

    ……いや、言うなよ。言わないでくれ。わかってるわかってるんだわかってるとも、よせ言うなやめてくれ聞きたくない違う違う違う違う!そうだ、わかってる……オルガマリー所長は……あの時死んだ。いや死んでなんか居ない、死んでなんか居ないんだよ、でなきゃ、おれに魔術なんて、教えてくれるわけない、クソ、ああ、クソッ……クソ……どうなってんだよ……俺の頭はイカれてるのか……わかってる、わかってる……筈なんだ……あの時、オルガマリー所長は……カルデアスに呑まれて……あの男に……知ってるはずなんだ、見たはずなんだ……でも、認めたくないんだよ……おれは……幻なんか見てない……筈なんだ……
    クソ…やっぱおれ…イカれたんだな……なぁ、マシュ……君は……本物なんだよな?君まで、幻覚だったら……俺は……う、ううっ……うああああああああああっ…う、ぐうううううう、うあ゛ああ、ああああああああああああああッ!!

  • 3二次元好きの匿名さん21/12/14(火) 19:53:01

    ……見苦しいとこ、見せちゃったな。ごめん。
    さ、早いとこ戻ろう。これ以上マリーを待たせたら悪い。はは、カップ取って戻るのにどれくらい掛けてるんだって……きっとおかんむりだ……一緒に頭、下げてくれないか?マシュ……

  • 4二次元好きの匿名さん21/12/14(火) 19:54:41
  • 5二次元好きの匿名さん21/12/14(火) 21:03:00

    私は気づくべきでした。先輩は、戦場に立つような人ではなかったと。
    人理焼却以来、冬木からロンドンまで、私たちは振り返ることも、止まることも無く突き進んできました。
    そして5つ目の特異点、南北戦争中のアメリカを攻略して、私が体調を崩してから、先輩はおかしくなってしまったのです。
    考えても見れば、自然極まりないことです。今まで平和な世界にいたのに、急にたくさんの死が降りかかる戦場に放り捨てられ、何度も命の危機に陥ったのに、それでも尚、前を向いていられるはずが、無かったのです。
    しかし先輩は、恐れたり弱音を吐くような素振りを決して、わたしやほかのサーヴァントの方々に見せようとはしませんでした。だから、私たちは大きな思い違いを犯してしまっていたのです。
    思い返せば、私が頭から血を流した時、先輩はとても動揺していました。気を失ったあとの様子はあとから伺ったのですが、仕切りに「俺のせいだ」「俺が無茶させたから」と、呟いていたそうです。ああ、なるほど、この時からせんぱいは壊れてしまったのでしょうか。こういう記述を読んだことがあります。
    人の心は硝子のコップのようなものだと。一度ヒビが入ったら、砕けてしまっては、二度と元に戻ることは無い、と。
    その言葉を噛み締めながら、私はただ、私に縋り泣き腫らす先輩を宥めるしか無かったのです。
    ​───────ああ、私はなんて、無力なのでしょうか。守るはずの先輩は、心に傷を負って限界を迎えている。なのに気づくことすら出来なかったなんて。
    先輩の背をさすりながら、私はただ自分を呪うしか出来ませんでした。

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