(SS注意)アグネスタキオンの尻尾ハグ実験

  • 1二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:46:43

    「ふむ、感心感心、休日だというのにトレーナー室に待機しているとはなんと素晴らしい」
    「……待機してたわけではないんだけど」
    「いやはや、君にもモルモットとしての自覚が出てきたようだねえ……ククッ、これで研究も捗るというものだ」

     日曜日、朝というには遅く、昼というには早い時間帯。
     トレーナー室にて、少しだけ残ってた仕事の処理をしていた俺の前には一人の来客がいた。
     栗毛のふわふわとしたウルフボブ、右耳には化学構造式を模した耳飾り。
     紫色の襟ぐりのほつれたオーバーサイズの服に黒いズボン。
     担当ウマ娘のアグネスタキオンは、朝からいつも通りのテンションで笑みを浮かべていた。

    「とりあえずおはようタキオン、申し訳ないけど今日はお弁当は用意してないんだ」
    「……おはよう、ところで君は私をタカリか何かと勘違いしてないかい?」
    「………………いやそんなことは」
    「まあいい、お弁当に関しては夜の分だけ用意してくれれば結構」
    「要求はするんだ」

     タキオンは当然だろう? と言わんばかりの呆れた表情でこちらを見た。
     ここに来た目的が弁当ではないということは、必然的に彼女の目的は『もう一つ』のものなのだろう。
     ウマ娘の“果て”を知りたいという彼女の命題に対するアプローチ──すなわち。

    「さあトレーナー君! 実験を始めようじゃあないか!」

     無数の可能性を見せるかのように、タキオンは両手を広げて言い放った。
     その瞳には好奇心に憑かれた子どもみたいな輝きと、悪魔のような狂気が混ざり合っている。
     自分が魅せられたその瞳、つまるところ、いつも通りの彼女であるということだ。

  • 2二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:48:53

     実際のところ、すでに残っていた仕事は終わってこの後はフリーなので問題はなかった。
     タキオンもその辺りは察した上でこのタイミングで来たのだろう。
     まあ、終わっていなかったとしても実験には付き合わされることなると思うけれど。
     広げていた資料を片付けながら、俺は密かに気合を入れて、彼女に言葉を投げかけた。
     ついでに手のひらも差し出した。

    「わかった、任せてくれ、今日は何本飲めば良いんだ?」
    「……自覚がありすぎるのも考え物だな、まっ、今日は薬はないから安心したまえ」
    「…………そうなんだ」
    「何で残念そうにしてるんだい?」

     別に残念だと思ったつもりはなかったが、少し拍子抜けしてしまった。
     光ったりしないで済むならそれに越したことはない。
     さて、薬品関係の実験ではないということは、運動のデータ取り絡みになるのだろうか。
     となると、流石に今のワイシャツとスラックスでは厳しいな。

    「じゃあ着替えるからちょっと待ってて」
    「……私も一応うら若き乙女なのだから、さも当然のようにここで着替えようとしないで欲しいねえ」
    「えっ」
    「…………なんだいその信じられないようなものを見る目は、とにかく、激しい動きはないから着替えは不要だよ」

     あまりに衝撃的な反応に、俺は思わず間抜けな声をあげてしまった。
     薬を飲んだ後などに触診だと言ってぺたぺた身体を触ってくるタキオンからそんな言葉が出ようとは。
     ……普段の距離感に慣れ過ぎてデリカシーが足りなかったかもしれない。
     しかしながら、今日の実験がどのようなものなのか全く予想ができなくなってしまう。
     困惑の感情が顔に出ていたのか、彼女は俺の疑問への答えをすぐに出してくれた。

    「今日の実験は────『尻尾ハグ』さ!」

     タキオンの言葉によって疑問は氷解し、そして新たな疑問が頭に過るのであった。

  • 3二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:50:23

    「いいかいトレーナー君、そもそもハグには科学的に基づいた効果がすでに実証されているのだよ。βエンドルフィンが分泌されて鎮痛効果やリラックス効果などが得られる……我々にも馴染みのあるものではいわゆる『ランナーズハイ』と呼ばれる状態もこのβエンドルフィンが影響しているとされているねえ。そもそもウマ娘の走りは肉体、技術的な観点の他にもメンタルやモチベーションなどの精神的な観点も重要なファクターであることはトレーナーである君も良く知っているだろう? ましてや尻尾ハグという行為はウマ娘しか出来ない行為だ、その効果や影響を分析することでウマ娘の限界速度へと近づく一助になるのではないかと私は考えたんだ」

     立て板に水を流すように話続けるタキオンの言葉を聞きながら、尻尾ハグについて思い出していた。
     確かに最近学園でも人気だったドラマでやっていた行為だっただろうか。
     特別な感情を持っているウマ娘同士が、お互いの尻尾を絡ませる、みたいな感じだったと思う。
     彼女達にとってはかなり大胆の行為らしく、学園でも尻尾ハグ禁止令が一時は噂されていたほどである。
     ……それはさて置き、まずは真っ先に聞かなければいけないことがある。

    「色々言いたいことはあるんだけど、まず一つ」
    「ふむ、正直予想はつくが言ってみたまえ」
    「本来はウマ娘同士でやる行為なんだから、俺じゃなくて他のウマ娘と実験するべきなんじゃないか?」
    「────全員から断られるか逃げられた。スカーレット君から拒否されたときは泣きそうになった」
    「すまない、聞いて悪かった」

     目を逸らして表情を曇らせるタキオンに、俺は頭を下げた。
     まあ、マンハッタンカフェらはともかく、ダイワスカーレットは恐れ多いとかそういう理由だろうけど。
     ただでさえ危険人物として避けられてる傾向があるので、この手の実験での協力要請は難しいのだろう。
     やがて彼女は気を取り直して、言葉を紡ぎ始めた。

    「実験としては不十分であるが、ウマ娘以外に対して尻尾ハグを行い一定の効果があったという話も聞いている。だとすれば、トレーナー君相手でもある程度の結果は見込めるだろう?」
    「理屈としてはそうなるけど」
    「ならば後は実験あるのみっ! さあトレーナー君! 私に背中を向けたま」
    「駄目です」
    「えーっ!?」

     タキオンの驚愕の叫びが、トレーナー室に響き渡った。

  • 4二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:50:55

    「どういうことだい実験拒否なんて! モルモットとしての自覚が足りないんじゃないのかい!?」
    「俺の自覚さっきから過不足が激しい……薬ならいくらでも飲むけど、尻尾ハグは一時学園でも危険視されていた行為なんだ。君の将来のことを考えると異性とはそういう行為はするべきではないよ。薬ならいくらでも飲むからさ」
    「トレーナー君の癖に正論とは生意気な……というか君、薬がアディクションになってないか?」

     そう言ってタキオンは渋面を浮かべながら椅子に腰かけた。
     ……妙だな、彼女がここまであっさりと引き下がるのは今まで見たことがない。
     やがて何かを思い出したように、彼女はわざとらしくパチンと手を叩いた。

    「そうだそうだ、一つ研究結果を聞いておくれよ」
    「……それくらいなら構わないけど」
    「二週間ほど前の話なんだが偶然デジタル君の所持していた本を見てしまってねえ、その中に特定の行為をしないと出られない部屋というのが出て来たんだ」
    「おっ、おう」
    「その特定の行為に関してはデジタル君の名誉と命のために伏せておくが、その仕組みが妙に気になってしまってねえ」
    「あー、なんかそういうどうでも良いことが気になることはあるよな」
    「だろう? そこでシャカール君にいくらかの実験データと引き換えに協力をしてもらったのさ」

     そう言って、タキオンはどこからともなくリモコンを取り出した。
     話の流れからもうすでに嫌な予感しかしないのだが、一先ずは平静を装いつつ話を続ける。

    「技術的にはそう難しいものではなかったよ、装置を起動させたら部屋にオートロック、中から鍵が開けられないように細工して、室内で設置したカメラで事前に設定した特定行為のモーションを認証したら鍵が開くようにするだけさ……まあ、その精度に関してはご察しというレベルだけれど」
    「……特定行為の、モーション?」
    「ああ、例えば、そう、『尻尾ハグ』とか」

     その言葉と共に、タキオンはニヤリとした笑みを浮かべる。
     俺は全てを察した。
     数日前にしばらくトレーナー室を貸して欲しいと言われており、恐らくはその時のその装置を設置したのだろう。
     彼女が手で弄んでいるリモコンを操作すれば、すぐにこの部屋を『尻尾ハグしないと出られない部屋』に出来るに違いない。

  • 5二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:51:30

    「タッ、タキオン、他の実験なら何でも付き合うから、その装置を起動するのだけは……!」
    「……はぁ、やれやれ、トレーナー君は私をアニメか何かの悪役と勘違いしていないかい?」

     タキオンは嘆息のため息をついた後、優し気な笑みを浮かべて告げた。
     ああ良かった、あのタキオンにも人並の倫理観が残っていたのか。
     思わず彼女の同じように俺も笑みを浮かべて────刹那、彼女の顔から笑顔が消えた。

    「35分前に起動したよ」

  • 6二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:51:52

    「アッハッハッハ! 何、天井のシミでも数えてればすぐ終わるさ!」

     タキオンは機嫌良さそうに高笑いをしながら、実験の準備を行う。
     準備といっても主だったものは手首に心拍数などを測る機械を取り付けるだけなのだが。
     あの後、慌ててドアを確認したがピクリとも動かなくなっていた。
     観念した俺は、彼女に背中を差し出して、脱出のため実験に協力することにした。

    「……ちなみに尻尾ハグは何分くらいやれば良いんだ?」
    「5分ほどで鍵は開くようになっているよ、その後は結果を見てだね、一度も二度も大差あるまい?」

     見透かしたような視線で、タキオンはこちらを見抜く。
     彼女の言う通り、詰みになった時点で腹は括った。彼女に継続の意思があるならば鍵が開いて付き合うだろう。
     やがて準備を終えた彼女は、俺の目の前に立って、くるりと背中を向けた。
     紫の服から晒されている首筋や肩が視界に飛び込んできて、思わず固まってしまう。
     すると彼女は訝しげに顔をこちらに向けた。

    「早くトレーナー君も背中を向けたまえよ、尻尾ハグにならないじゃないか」
    「あっ、ああ、すまない」

     タキオンの視線から、俺は慌てて背を向ける。
     そして手首の機械を起動させると、彼女はすぐに興味深そうな声をあげた。
     背後からは彼女の手元のタブレットが操作される微かな音。
     それは手首の機械と連動しており、俺のデータは彼女が即座に把握出来るようになっている。

    「おやおや、すでに若干の緊張が見られるね……ククッ、気楽にしたまえ」
    「……はい」
    「それじゃあ始めていくよ」

  • 7二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:52:12

     言葉を合図に、俺の背中にはふぁさふぁさと柔らかな感触が走った。
     くすぐったいというか、こそばゆいというか、なんとも言えない感じ。
     そして尻尾が背中をなぞっていく度に、ふわりとタキオンの匂いが舞い上がっていく。
     消毒液や薬品などの香りが入り混じりどこか病院のような匂い、それでいて、どこか甘さも感じる。
     
    「……っ」
    「なるほど、それほど特筆した印象は受けないが────悪くない。トレーナー君はどうかね?」
    「……すごい恥ずかしいです」
    「アッハッハッハ、良いではないか良いではないか、なんてね」

     そう言って、タキオンは尻尾を動かす勢いを少し早くした。
     バサバサと音が切り替わり、撫でるというよりは叩くという感じ。
     流れるようなさらさらとした感触、とても近くに感じるタキオンの存在、より強くなっていく匂い。
     ……なんだろう、恥ずかしいし、気持ちが良いということもないが、確かに悪くない気はした。
     
    「今度はリラックスしているのかい? 案外ハグと同じ効果はあるのかもしれないねえ」
    「そうなのかな、慣れてきただけなのかも」
    「では、今度はもう少し尻尾を近づけてみよう」

     すると、タキオンの尻尾の感触がより強く、激しくなった。
     足音とかはなかったのにどうやってやったのだろうか。
     そんなことが気になってしまい、俺はつい、首だけ回して後ろを見てしまった。

  • 8二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:52:30

     アグネスタキオンというウマ娘は、私生活のおいて、割と雑だ。

     食事も自分と出会う前は、栄養バランスを考えて揃えた材料をミキサーにかけていた。
     今着ている服も通販で適当に購入したらしく、微妙にサイズは合っておらず、そもそもウマ娘用じゃない。
     そう、ウマ娘用ではないのだ。
     彼女の服には尻尾用の穴がついておらず、服の裾からそのまま飛び出る形になっている。
     そして、今彼女の尻尾は尻尾ハグのために激しく揺れ動いている。
     更にいえば、俺の方がいくらか身長が高いため、それに合わせるために彼女の尻尾も高い位置に上げている。
     服の裾から飛び出した尻尾を、高く上げて、激しく振り回している。

     その結果────尻尾を動かす度に、ぺろんと彼女の背中と尻尾の付け根が見え隠れするのであった。

     それだけではない、今の彼女は尻尾を近づけるために、腰をこちらに突き出していた。
     尻尾の激しい動きも相まって、ズボンは少しだけずり下がり、その下の見えてはいけない布地がチラ見している。
     
    「……!?」

     見てしまった瞬間、言葉が詰まり、顔が熱くなって、心臓が暴れだす。
     そして我に返り、慌てて視線を逸らそうとする。
     しかし、こんな激しい反応を見逃すほど、アグネスタキオンの実験への好奇心は甘くなかった。

    「おおっ! トレーナー君の体温と心拍数が急上昇しているじゃないか! 一体なに……が…………」

     俺が目を逸らすよりも早く、タキオンはこちらを見た。
     そのまま俺の視線の先を辿り、自身の尻尾の付け根回りの惨状を認識して、固まる。
     直後、弾けるように俺から距離を取って、尻尾を隠すように服の裾を押さえながら身体ごとこちらに向き直った。
     そして目を泳がせながら、引きつった笑顔を作る。

  • 9二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:52:48

    「ふっ、ふぅん、これくらいで動揺するなんて、トレーナー君も意外と初心だねえ」
    「……タキオン、顔真っ赤」
    「うっ、うるさいな! そういうことは口にしなくて良いんだよ! 全くデリカシーのない……!」

     顔の赤みまでは誤魔化せなかったタキオンは、こちらをジトっと睨みつけて来る。
     彼女らしからぬ表情を見たせいか、逆に緊張は落ち着きを見せて来た。
     冷静になってくると、一つの疑問が浮かんできて、俺はそれを口にする。 

    「えっと、実験はどうするの?」
    「中止に決まってるじゃないか! まったく! 君には昼のお弁当も作ってもらうからな!」
    「いやまあ、構わないけど」

     むしろ願ったり叶ったりである。
     弁当作りは手間といえば手間だが毎日やっていることだし、タキオンの感想を聞くのは楽しい。
     彼女は尻尾をブンブンと怒りに合わせて振り回しながら、リモコンを取り出した。
     そしてスイッチを押す────直前、ボンという音と少しばかりの火花。
     気づけばリモコンからは、微かな黒煙が立ち上っていた。

    「……そういう仕様だったりは」
    「するわけがないねえ、実は来る前に落としたのをブルボン君に拾ってもらったんだ、一瞬だったし使えてたから大丈夫だと思っていたんだが、まさか遅効性だったとは……彼女の体質は実に興味深いねえ」
    「……もしかして、かなりヤバい?」
    「いやいや、念のためのバックドアくらいは用意するさ、外から特定の操作で簡単に開けられるようになってる」
    「うん、外出たらその装置すぐに外してね?」

     なんだその鍵として終わっている仕組みは。
     実際そこまで切羽詰まっているわけじゃないのか、タキオンは面倒そうにスマホを取り出す。

    「ちなみにトレーナー君の知り合いで来てくれそうな人はいるかね?」
    「……学園の職員なら確実に来てくれるけど、その場合は二人で反省文だな」

  • 10二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:53:08

     無論、知り合いのトレーナーはいるものの、休日に来てくれるほど親密ではない。
     そもそもタキオンの実験の過程で閉じ込められたと説明すれば、平日でも誰も来てくれないだろう。
     自分で言うのもアレだけれど、何に巻き込まれるかわかったものじゃないからな。
     俺の言葉に対して、彼女は嫌そうな表情を浮かべた。

    「それは私も願い下げだねえ……デジタル君とポッケ君はお出かけと言ってたかな、シャカール君は……まあ来ないだろうね」
    「ダイワスカーレットなら来てくれるんじゃないか? 今日の朝、自主トレしてるのを見かけたぞ」
    「はあ!? 休日に勤勉にもトレーニングに励んでいるスカーレット君をこんな実験に付き合わせるつもりかい!? 君には常識というものがないのか!?」
    「………………うん、悪かった」
    「ああ、そういえばカフェが今日は一日寮にいると言ってた気がするな」

     そう言ってタキオンはスマホを操作し始めた。
     数分後、返信が返ってきたのか彼女の耳と尻尾がピンと立ち上がり、そして即座に垂れた。
     ……もうオチが読めた気がするが、確認はしなければなるまい。

    「……どうだった?」
    「『読書で忙しいので自力で何とかしてください』、だそうだ」
    「……詰みかな」
    「……詰みだねえ」

     二人して大きなため息をつく。
     反省文覚悟で助けを求めるか、あるいは。
     俺が脳裏にその考えを過らせた時、タキオンは心底不服そうに口を開いた。

    「やれやれ仕方がないな、トレーナー君、背中を見せたまえよ」
    「まあ、そうなるよな」

  • 11二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:53:27

     俺は彼女に対して、くるりと背中を向けた。
     正規の手段で鍵を開けるのが一番手っ取り早いだろう。
     タキオンの服装に変化はないけれど、そもそも俺が見なければ良い話。
     それでも肌を晒すのは彼女としても不本意だろうが、ずっとここに閉じ込められてるよりはマシなはずだ。
     と思っているのだが、一向に彼女の動きがない。
     振り向けば、じっと彼女は俺の背中を見つめながら、その場で待ち続けていた。

    「……タキオン、どうしたんだ?」
    「どうしたはこっちの台詞だよ、さあ、早く背中を見せたまえよ」
    「見せてるけど」
    「いやいや、ちゃんと『背中』を見せたまえよ、私の背中を見たんだから、当然だろう?」

     数秒の沈黙、思考が宇宙を旅した後、俺はようやくタキオンの言葉を理解した。
     ……えっ、脱げと?
     いや、ちょっと前に彼女の前で着替えようとしたけれど、この流れだと恥ずかしい。
     俺は彼女に対して反論を口にした。

    「アッ、アレはそもそも君が勝手に見せてきたようなもんじゃないか!」
    「人を露出狂みたく言わないで欲しいねえ! ほら、はーやーくー! はーやーくー見せてくれよー!」
    「ちょっ……服引っ張らないで!」

     まるで我儘な子どものように、タキオンは俺の服を引っぺがそうとしてくる。
     力の差は歴然だが、男としての尊厳の為にも、俺は抵抗を続ける他なかったのであった。
     なお、最終的に脱がされた瞬間、なんだかんだで心配して来てくれたマンハッタンカフェに目撃されることとなるのだが、それはまた別の話。

  • 12二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 13:54:01

    お わ り
    この時期に水着一切絡まないタキオンのSS書くヤツがいるそうですよ

  • 13二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 15:13:14

    ふぅん
    非常に良いSSではないか
    で?別のお話の方は無いのかい?

  • 14123/08/02(水) 17:37:06

    >>13

    オチはちゃんと書くべきだったなと反省中です

  • 15二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 19:13:23

    良い...

  • 16123/08/02(水) 19:58:18

    >>15

    ありがとうございます

    そう言っていただけると嬉しいです

  • 17二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 20:07:46

    モルモット君の前しっぽがいつ飛び出してくるのかハラハラした

  • 18123/08/02(水) 21:14:13

    >>17

    前尻尾は根性で抑えてました

  • 19二次元好きの匿名さん23/08/02(水) 21:16:00

    最近下っぽいの増えたね
    悪いわけじゃないよ

  • 20123/08/02(水) 21:31:57

    >>19

    自重しつつ書いていきたいと思います

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています