【単発SS】夢

  • 1二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 20:49:45

    自宅は大通りから一本横道に入った坂沿いにある。
    最寄りのスーパーは家から大通り沿いにしばらく歩いて、これまた一本横道に入ったところにある。

  • 2二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 20:52:40

    スーパーから出たがここからが面倒だ。出口は地上数階の高さにある広場に直結しており、地上に降りるまでの経路が複雑なのだ。
    例えば出口からすぐ目の前の階段を降りると廃墟とも公園ともつかない荒れ果てた空き地の階層だ。いつも間違えてこの階段を下りてしまう。ちらとみたところ奥に住居らしきものが見えるから誰かが住んでいる階なのだろう、住むやつの気が知れない。
    家に帰るためには広場から何度か隣のビルに乗り移りそこの階段を下りてさらになんやかんや移動する必要がある。

  • 3二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 20:53:50

    この夜は一人でフードコートにいた。
    机の上の箱にはDARSチョコが並べられている。好きなCPについて語るとその絵柄がチョコに描かれて食べることができるようになるのだ。本来は某掲示板上で行う遊びであり、レスバ相手がいないなら本来成立しないのだがまあいいだろう。今一人なのだから仕方あるまい、チョコおいしいし。

    フードコートの喧騒は慣れれば心地がいい。
    ピンクのTシャツを着た頭のおかしなBBAがそばを通って行った、気が散るからよそでやってほしい。

  • 4二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 20:57:38

    夜も遅くなったのでそろそろ帰ることにしよう。
    残ったチョコは頂戴することにした。一応公共のものなので褒められた行為ではないのだが、誰もが使えるということは自分が全部使ってもよいと言い換えられなくはない。
    バイキングの残りを袋に詰めて帰るときのような気まずさを覚えたが、チョコが箱から落ちないよう手で押さえながらスーパーを出た。一個ギリギリ手からはみ出るからおっかない。

  • 5二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 21:02:00

    当然外は真っ暗で街灯くらいの明かりしかない。昼でもやっとの思いだったのに今から帰ることができるだろうか。
    どこかから仏具らしきものの名前をつぶやく男の声が聞こえる。声の主はおそらくそこの物陰にいる影のように真っ黒な坊主だろう、向こうに転がっている金属製の物体のことを言っているのだろうか。

  • 6二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 21:03:46

    途方に暮れていても仕方がない、とにかく進もう。
    目の前の階段を降りると例の荒れた空き地だった。しかも例のピンクのBBAまで歩いている。
    また間違えたことに内心憤りながら引き返す。こんな時間にBBAがほっつき歩いていることへの不気味さは感じたが、イカれた女がイカれた物件に住んでいるというのはむしろ納得のいく話ではある。

  • 7二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 21:06:34

    いくつかビルを乗り移ったが階段の場所がわからない。ビルの上からは大通り沿いの見知った景色が見える、地上まで降りられれば家まですぐなのだが。後ろから仏具の名前をささやかれている気がする。

  • 8二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 21:08:07

    空が明るい。
    何個目かもわからないビルの上に、生い茂った草の中に隠されたような階段があった。前に昼に帰った時はここから降りたのか?そんな気もする、そうじゃないような気もする。
    広場からの距離は明らかにおかしいがフロアにおける階段の位置は似ているし草感もあった気がする。1:2の多数決だ、階段を下りよう。

  • 9二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 21:09:10

    降りてみると確かに正しい経路のような気がする、植物が生い茂って迷路のようになった階層を進んでいく。真にかやうな路筋だったであろうか、そんな考えが頭に浮かぶ。
    声はさっきから仏具の説明をしているようだ。柏の葉のような形をしていることから名づけられたというが今足元に転がっているそれはどう見ても葉には似ていない、あえて言うならシンバルになら似ているかもしれない。

  • 10二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 21:10:19

    降りるとそこは展示室だった。絶対にここを通ったことはない。
    真っ白な空間、仏像やら鬼の面やら用途不明の青銅製の器具やらがガラスのショーケース内に飾られている。天井が低いのか力が入らないのか立つことができない。入り組んだ展示ケースの順路の奥から黒い巨大な坊主がブツブツつぶやきながら歩いてくる。金皮剛単安金心、そんな考えが頭に浮かぶ。

  • 11二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 21:13:03

    坊主はその全貌が見える寸前にケースの陰で静止した。違う、目の前の坊主と同じものが後ろにいる。振り返ることもできないが、黒い坊主が声も足音もなく後ろから近づいているのは明確にわかる。今まさに首筋に何かを書きいれようとしている。

    冷たっ。

  • 12二次元好きの匿名さん23/08/03(木) 21:14:16

オススメ

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