チーム・魔法少女へようこそ!

  • 1二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:13:03

     …ん、これで全員かしら?それじゃ、アイツは会議で来るの遅れるって言ってたから先に始めるわよ。

     ふふん。アンタ達、チーム・魔法少女によく来たわね!アイツにスカウトされたのも、アイツを頼って入ってきたのもみーんな歓迎するわ。

     早速だけど自己紹介をしてあげる…ま、知らないなんて言わせないけどね。

     アタシは魔法少女、スイーピー!学園とか、世を忍ぶ仮の姿を演じている時はスイープトウショウって名乗ってるわ。テレビとかレース場で観た事あるってのはどれ位いるのかしら?

     …全員そうなのね。なら、説明するまでもないわね?

     そう、アタシが得意とする魔法はレースの魔法よ!

     アンタたちもスイーピーの魔法に魅了されてここに入ってきたのならわかると思うけど、これからはアンタたちも使えるようになってもらうんだから。

     覚悟しなさいよね!スイーピーのトレーニングはとにかくスパルタなんだから。

     ここに入った時点で皆例外なくアタシの子分よ。子分を卒業したければ、アタシにレースで勝ってもっとすっごい魔法の完成を見せたら認めてあげるから精進するのね。

     …ん、いいお返事ね。使い魔も見習ってほしいものだわ、まったく。

     アタシからはこれくらいかしら。何か質問はある?答えられる範囲だったらもしかしたら答えてあげなくもないわよ?

     …はいそこの右耳飾りの子。名前は…へえ、いい名前じゃない。ハミングを歌いたくなるわ。

     それで?…今出た使い魔って誰かって?えっ、知らないの?

     …一応聞いておこうかしら。アンタ達、使い魔の事を知ってるのがいたら挙手しなさい。

     …ウソぉ、誰も知らないの?あいつ、そんな地味だったなんて…ダッサ…ププ…、ああごめんごめん。それで、アンタ達全員使い魔が何なのか知らないのね?仕方ないわね、それじゃあ特別にアタシの口から説明してあげる。

  • 2二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:13:15

     使い魔はアタシのお世話を全部担当する眷属…ま、簡単に言えば専属のトレーナーよ。チームトレーナーになったからナマイキにも専属じゃなくなっちゃったけどね。まったく、誰の許可得てやってんだか…。

     …ああごめん、話がそれたわね。つまり、これからアンタ達の面倒を見るチームトレーナーがアタシの使い魔と思ってくれていいわ。

     あ、トレーナーって言っても他のとこと違って結構どんくさいヤツだから過度に期待したら情けないって失望するかもしれないわね。

     もしそれでアイツが信用出来ないって言うなら特別にアタシが話を聞いてあげるから遠慮無く言うことね!合う合わないはどうしようもないし。

     使い魔について質問はある?…どんな人か。どんな人…どんな…?

     うーん…正直、アタシにもよくわからないのよね。ま、ガミガミ言うタイプとかではないから舐められやすい系統なのは間違いないわね。

     強いて言うならああ見えて結構頑固なヤツ…とか?アタシのおねだりを平然とダメって言うヤツだから。失礼しちゃうわよね!

     だからアイツに対して何か意見を言う時はちゃんと自分でこうしたいってものを持って言う事ね。

     曖昧な考えをアイツに言うのは危険と思いなさい。もし通せたとしても、アタシがそれに足るものがちゃあんとあるって思えなければ水に流れるだろうけどね。

     何でそんなに言い切れるのかって?そんなの決まってるじゃない。

     アタシ達はそうやってコミュニケーションを取って、心で繋がって…レースの魔法を完成させたんだから。

     自分の考えを主張するのって、簡単なようで難しいのよ?

     こうありたいと思っても、実力が足りてないから、実力があってもまだ子供だから、やらかした失敗のせいで心配されちゃって…そんなつまんない理由で弾かれる事が当たり前の世界よ。

     ここに来るまでに実績があったとしても、アンタ達はこの学園では等しくまだ入ったばかりのペーペー。

     たったそれだけの理由で言ってもああしなさい、こうした方がいいからってこっちの意見を聞き入れてもらえないの。つまんないわよね。

  • 3二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:13:38

     ま、その辺はこのチームに入ったからには安心しなさい。使い魔、割とその辺は寛容だからアンタ達の“やりたい”をちゃんと伝えたらそれに沿った方向で進めてくれるでしょうし。

     で、さっき言ったわよね。使い魔に対して何か言うならちゃんと自分でこうしたいってものを持って言う事って。

     それはね、アンタ達の“やりたい”に対して使い魔は絶対にそっちの考えを聞いてくるからよ。

    「どうして?」「何か理由があるなら聞かせて?」って。

     アイツは、アンタ達を信じて“やりたい”をやらせてあげたいと思うからその意図を聞くの。

     だから、自分の言葉にちゃんと意思を持たせなさい。どんなに突拍子のない事でもアイツは意思がちゃんと伝われば絶対聞いてくれるから。

     もし、アイツが信じたアンタ達の“やりたい”が生半可なもので、大失敗を招いたとしたら…きっとアイツはアンタ達を責めずに自分を責めるわ。

     見てくれ通り、パッとしないヤツだからちょっと躓いたら転びまくってヘコんじゃって、ウジウジしちゃうのよね。

     そうなるとアタシの仕事が増えるから面倒なのよ。使い魔の管理もご主人さまの務めと言っても激を入れるのだってラクじゃないんだから。

     だから先に言っておいてあげる。アレならメモでも取っておけばいいんじゃないかしら。

     いい?言うのも癪だから一回しか言わないわよ?

     …ん、んん。

     使い魔に何か物申す時はアタシに同じこと言う時の5倍は覚悟を持って言いなさい。

     わかったわね?はいじゃあ次!

  • 4二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:13:55

     …使い魔とはどんな関係?そんなの見ればわかるでしょ、ご主人さまと使い魔よ。苦労ばっかかけられるけどね!

     さっきも言ったけどちょっとの失敗ですぐショボンてなってウジウジするヤツだから見ててハラハラするし。

     …ま、でも?ほんのちょっぴりだけど根性がある方なんじゃないかしら?

     レースの魔法を見つけるためにアタシの要望を叶えようと努力してたみたいだし?

     一度の失敗でメチャクチャ落ち込むけど次は同じ失敗をしないように頑張ってたみたいだし?

     …初めてアタシの魔法に掛かって魅了されたヤツだし?

     常に最強の魔法少女の使い魔になろうとする姿勢だけはまあ…褒めてやってもいいんじゃないかしら?

     本人に言ってあげないか?バカバカ!そんなこと言ったらチョーシ乗るに決まってるじゃない!絶対言ってやらないもん!

     …コホン。で、総合して言うともう少し自覚を持ってほしいものよね。あんなんでも、スイーピーの使い魔としては最上の立場なんだから。

     あ、そうそう。これ言い忘れてたわ。

     当然のことだけど使い魔にとっての最優先事項はスイーピーよ。もし、アイツとお出かけしたいならまずはアタシに声を掛けなさいよね。

     何でって、当たり前じゃないそんなの。あの使い魔は元々アタシだけの使い魔よ。あくまでチームになったからって事でアンタ達にも貸してあげるってだけなんだから。

     急を要する相談なら直に使い魔に言いなさい。そういう時はアタシの事情なんて無視していいけど、余程じゃない時は基本ご主人さまのスイーピーが優先されると思っておくように!わかったぁ!?

     …ん、良い返事…って何よその顔。何で皆そんなニヤニヤしてるのよ…。

     じゃあ他に───。

  • 5二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:14:17

    「いやあごめん…おお、皆揃ってるのか」
    「あーっ、やっと来たわね!ふんだ、来るの遅いからアンタの恥ずかしい話してやったわ、ねー皆?」
    「心当たりがありすぎて辛いね…」

     長かった会議も終えてようやく解放され、足早にトレーナー室に向かうと今年から発足した俺達のチーム…チーム・魔法少女に加入した有望株のウマ娘たちと、かれこれ4年目と長い付き合いになった原初の専属担当のウマ娘が出迎えた。

    「結構長かったじゃない、無駄話してたんじゃないでしょうね?」
    「途中からもうこれするなら終わりでいいだろって話になってた…今日が全員と初めて顔合わせだってのに厄日だよホント」

     見透かすようなスイープの鋭い視線に体を少し小さく縮ませて答える。実際、とっとと終わらせてくれと心の中で何度も願い続けて話のネタが切れて解散になったのでだいぶロスしてしまった。

     一息ついてから改めて室内を見渡すと、ありがたいことにチーム発足初年度だと言うのにティアラ路線からシニアのGⅠ制覇を目指すウマ娘や鳴り物入りで入学してきた実力者から逆指名を受け、入部が決まったウマ娘と出来て間もないチームにしてはもったいないほどのウマ娘が集まった。

     これもひとえにスイープと頑張ってきた賜物なのだとしたら、多少は報われたのかなと万感の思いになるが…。

    「ほら、アタシだって皆に挨拶したんだからアンタもしなさいよ」
    「その通りだ、ありがとうスイープ」

     あくまでここはゴールではなく、トレーナーとして新たなステージのゲートの中に入ったに過ぎないのだ。すうっと大きく息を吸い、期待と不安の眼差しを向けられる中。胸を張って彼女たちに挨拶をする。

    「皆さんこんにちは。私はチーフ…と言ってもまだチームにはトレーナーは一人ですがやっております、スイープトウショウのトレーナーです」
    「スカウトされて入った子や入部を希望して入ってくれた子と、ここに来た事情こそは違うけど…今こうして一つの部屋で会した訳です」
    「同じ夢を抱く同士として、同じ夢を目指して鎬を削るライバルとして!切磋琢磨し、叶うべき夢の先へ行ってやりましょう」
    「私は、そんな皆さんの夢を叶える魔法の手助けが出来ればと思います」
    「では、最後に…スイープ?」
    「もうっ、しかたないわね」

  • 6二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:14:35

    「「トゥインクル・トゥインクル☆チーム・魔法少女へようこそ!」」

  • 7二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:15:29

    暑いので息抜きの短いお話です
    形式上、改行が多いのはどうか許し亭

  • 8二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:16:00

    先輩スイーピーはやっぱりいいな…

  • 9二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:22:40

    多分誰よりもちっこいけど誰よりも強くて速いんだろうなと
    見てみたいですね、そんな未来も

  • 10二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:27:01

    最初の3年が終わった後かなとか思いながら読んでました。
    他キャラでもどうなるかなとか、想像が広がる良き作品でした

  • 11二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:34:56

    自身のトレーナーの優先権は自分にあるって言うところで独占欲マシマシじゃんよお前〜と1人でニヤニヤしてました…

  • 12二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:42:10

    最後のところ、2人で練習とかして合わせてたのかなあと思うと萌えますね…

  • 13二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 20:55:11

    相変わらずスイープのエミュが上手い、解像度も高い
    いいものを読ませていただきました

  • 14二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:14:06

    先輩しつつも可愛いスイーピーいい…

  • 15二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:18:01

    可愛い先輩風吹かせるじゃないの

  • 16二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:26:04

    可愛さの中にも現実の厳しさも伝えるあたりで彼女もまた、修羅場を潜り抜けた猛者という面を両立させてる魅せ方がお見事でした

  • 17二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:59:42

    多分使い魔にとってもこの先、スイープに助けられたり逆に手を差し伸べたりするんだろうなと先が楽しみになりました

  • 18二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 22:26:05

    いいねえ
    ホッコリしつつもわずかな成長をしてるスイープが頼もしく見えた

  • 19二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 23:27:50

    このちょっと背伸びしようとしてるけど現実を淡々と語ってる時の方が大きく見える感じのスイーピーがもう…すき…

  • 20二次元好きの匿名さん23/08/07(月) 05:47:41

    >早速だけど自己紹介をしてあげる…ま、知らないなんて言わせないけどね。


    ここ最高にスイープですき

  • 21二次元好きの匿名さん23/08/07(月) 07:49:06

    育成キャラがチームの先輩として振る舞うの、頼りなさげだった前作主人公がつよつよなお話が好きな私からしたらもう大好物です
    素敵なお話ありがとうございます😊

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