【トレマルSS】「夏夜に解けて」

  • 1二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:05:36

    マルゼンとナイトプールいく話です

    書き溜め徐々に投下していきます

  • 2二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:08:53

    「ふふっ、じゃあ18時に集合!遅れたら罰金よ〜♪」
    連日の猛暑に日々の練習や業務の疲労が見えてきた中、マルゼンスキーからナイトプールのお誘いを受けた
    暑さをプールでリフレッシュし、夏を乗り切ろうと思って提案してくれたもので、夜間であるため予定も合わせやすかった
    そう言ってこの暑さの中で太陽のように笑う、風となって楽しそうに走る彼女を…マルゼンスキーを俺は愛している

    最初は何の気無しにトレーナーを初めて、特に目標もなくブラブラとして、楽しそうに走るのを見ていたいってだけで担当にしたのに
    いつの間にか彼女自身にも魅せられていた、走り終えた彼女を抱きしめそのまま…なんてものを想像してしまう
    しかし、担当とトレーナー、恋仲はご法度である(デートだけでなく、家の掃除して飯を食べるまで常習化してるのに何言ってるんだという話だが)
    この関係にもいつか決着を付けねば、と思いながらこんなデートを繰り返している毎日だ

    そんなこんなで待ち合わせの時間、マルゼンの運転でプールへと到着した俺達は、更衣室に別れてプールサイドで落ち合うこととした
    …ナイトプールってカップルが多いんだな…当然か……
    1人あぶれた疎外感を感じながら待っていると…
    「ハァイ♪トレーナーくん♪おまたせ♥」
    「いや、いま来たとこ…」
    そう言って振り返った先のマルゼンスキーの姿に目を奪われた
    いつもの勝負服のビキニ、ではなくシックなハイネック、しかも首元はシースルーで谷間がむしろ強調されていて…
    「どう?これ今年の新作♪似合ってる?♥」
    ポニーテールと変わらなかったが、いつものバブリーなビキニとは一転、大人な水着にたじろいだ
    「…ああ、すごくドキッとしたよ、とっても…似合ってる」
    なんて頬を掻きながら言った、なんとも情けないもんだ
    「フフッ、嬉しいわ♥さっ!トレーナーくん、今夜はフィーバーよ〜!」
    さっそく準備運動を行ってからネオン輝くプールへと2人で飛び込んだ
    休暇を楽しむにはまず童心に帰ること、頭の中で青春のサザンが鳴り響かせ、マルゼンスキーとともに大いに楽しんだ

  • 3二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:16:24

    しばらく遊んで休んでいるとアナウンスが響いた
    『ただいまからロマンチックタイム!ロマンチックタイムとなります!こちらの流れるプールへカップルボートを流していきますので、カップルの方は是非ご利用ください〜!』
    ムーディなBGMとライトに変わり、さっきまでいたプールへ、デカデカとしたハート型の背もたれが付いたボートが投下されていく。見るよりも明らかに恋人達がロマンチックなムードに包まれていく
    「あはは…」
    乾いた笑いが出てくる…こんなのマルゼンと一緒に乗ったら、勘違いされてしまう…いやされても…なんて逡巡していると
    「さぁトレーナーくん!私達もいきましょ♥」
    と腕を絡ませ引っ張られる、水着越しに胸が当てられて…
    「あ、いやでもあれでボート終わりみたいだし…」
    「あ、そこのカップルさん!追加のボートありましたよ!!」
    「」
    …なんとも気が効くスタッフだ、ああいうやつが出世するんだろうなぁ……
    「はいはい、トレーナーくんも乗って乗って♪」
    マルゼンに誘われるままにボートに乗る、プールのボートには俺たちの他に、カップルしかいない

    みんながみんないいムードだ
    このムードに当てられるのはよくない…

  • 4二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:22:59

    ボートを楽しむマルゼンとは裏腹に、自分が隣にいていいのかと思ってしまう、腕組みをされてマルゼンの胸が当たっている幸福が自分にあっていいのか

    「う~ん…マルゼン、やっぱりこれ…」
    「カップルに見られちゃう……とか?」

    俯いていたマルゼンに、自分の発言も取られギクリとなる
    「トレーナーくんは……私とカップルに見られるの…………イヤ?」
    更に腕に体を絡ませ、上目遣いでこちらを見つめる、いつもゴールを見つめる、真っすぐな目
    「今日は気合い入れてきたんだもの、『追い込み』しちゃうわよ」

    …このまま彼女から逃げていていいのか、1人の男として彼女の気持ちに答えを出すべきではないのか、しかしトレーナーとしての理性もある、正反対の感情に答えは出ない

    ボートの上で見つめ合う2人、その距離は近づき…

  • 5二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:30:11

    『ピンポンパンポーン、まもなくロマンチックタイムは終了となります…ご利用の方はスタッフまでボートの返却を…』

    プールのアナウンスによって2人は現実に戻される、スタッフがボートの回収にも回ってきている……12時の鐘は鳴ってしまった

    ボートを返却し、とぼとぼとした足取りでプールを後にする、先程の気持ちにもまだ答えは出ない
    「さっ、今日はこれでお開きお開き♪明日からまたトレーニングね!」
    マルゼンが手を叩いて話題を切り出す

    「暑い時期からこそスタミナを付けなきゃ!私達には秋のレースも待ってるんだから!」
    そうだ、俺達はウマ娘の担当とそのトレーナー、私的な関係などあってはならない

    「今日は楽しかったわトレーナーくん!それじゃあ帰りましょうか!」
    マルゼンが足取りを早める、明日からまた元の担当とトレーナーに戻るだけ…昨日までと同じく……

  • 6二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:49:45

    ━そんなの
    マルゼンの腕を掴む
    「えっ…どうしたのトレーナーく…」

    ━そんなの嫌だ
    強引にマルゼンを抱き寄せる
    「…まだ帰りたくない、今夜は君といたい」

    一瞬きょとん、とした顔をしたマルゼンがパニックで赤くなる
    「…本当にいいの?」
    「マルゼンさえ…良ければ」
    抱きしめておいて、彼女の言い訳を欲しがる、自分が恥ずかしい
    「うん…だって私…トレーナーくんのことが大好きだもの…」
    「ああ…俺もマルゼンが大好きだ…!」

    改めて見つめ合った2人は口吻を交わす、経験なんてない、トレンディなんて言えるかわからない、初心な2人のぎこちないキス

    ほんの一瞬のようなキスを終え、また見つめ合う2人、さっきまでのキスを思い出して真っ赤になって互いの顔を見て吹き出してしまった

    ナイトプールのネオンに照らされ、幸せを噛み締めながら、いつまでもいつまでも2人は笑い合うのであった


    終わり

  • 7二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 21:53:28
  • 8二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 22:06:09

    大いに良かったです!

  • 9二次元好きの匿名さん23/08/06(日) 23:59:47

    よい、とても。

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