お姉ちゃんは──ホラを吹いた

1二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 21:18:33

お姉ちゃんは「カレンのためなら死の淵から蘇ってみせるしなんなら10人に増えても見せるよ」と冗談を言ったのだった
カレンチャンは勿論冗談だと分かっていた。
でも他の相手には絶対言わない荒唐無稽な冗談を自分に言ってくれることを嬉しく思い、「知ってる。お姉ちゃんはカレンのためなら不可能を可能にしてくれるでしょ？」と返したのだ
ただそれを又聞きしていた別生徒がいるのに二人は気付いていなかった
しかもその生徒はよりにもよってその冗談を真に受けた
瞬く間に噂は広がり、いつの間にか「カレンチャンのトレーナーは分身や復活が出来る」と評判になった
もちろん普通の一般人であるお姉ちゃんはこの上なく混乱した
ただそれだけならまだマシだった。しかし噂というのは何時も尾ひれ羽ひれがつくもの
何故か不死の存在ということになり、体を乗っ取るだの溶けて復活するだの神話的存在として扱われるようになった
果てには宇宙を創りたもうた存在とまで言われ、お姉ちゃんは完全にいたたまれなくなっていた
それに気づいたカレンチャンがSNSなどをフル活用して対策を行い、噂は急速に収束していき、お姉ちゃんは平穏を取り戻した

それから時は経ち、お姉ちゃんはカレンと結婚し、娘が生まれていた。自慢の一人娘、カレンモエだ
そんなモエがトレセン学園に入学してからある程度の時間が経った日のこと、台所に立つお姉ちゃんにカレンモエは尋ねた
「お母さん、他人を乗っ取る能力があるって本当？」
お姉ちゃん（兼お母さん）は──泣いた